JP4804546B2 - マイクロリレー - Google Patents

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本発明はいわゆるマイクロリレーに関する。マイクロリレーは半導体製造技術を応用して製造できる。マイクロリレーは従来型のリレーと比較して小型化を促進できる等、多くの利点があり最近、注目されているデバイスの1つである。
マイクロリレーの一般的な構造は、固定基板に対向するように可動板を備えている。マイクロリレーには、固定基板と可動板との間で所定電圧を供給したときに発生する静電引力(静電気力)を利用するものがある。このようなマイクロリレーでは、静電引力で可動板を固定板側に変移させることで接点を導通させる。また、電圧供給を解除することで接点の遮断を行う。この種のマイクロリレーについては、従来から複数の提案がある。例えば、特許文献1では一対の固定基体の間に可動板を配設したマイクロリレーが開示されている。この公報では、微小なマイクロリレーが温度変化による歪を受け易いこと、接続電極の形成が一般に困難であること等を課題とし、これを解決した構造を備えている。
特開平5−242788号公報
しかしながら、上記公報で開示する技術は、配線を外部に引出すためにマイクロリレー内部の密封性が確保されていない。リレーの特性として接点オン(ON)時での接触抵抗が低く安定していることが要求される。これは、接触抵抗が接点周囲の雰囲気に影響を受けるので、密封構造となっていることが望ましいからである。特に、マイクロリレーは半導体製造技術を用いてウェハ上にマイクロチップを多数形成し、これらをダイシングして個別化することで大量生産できるという大きなメリットがある。よって、このダイシングの際に用いる水や磨耗粉から、マイクロリレー内部の微細な駆動部や接点等を守る必要がある。しかし、特許文献1で開示するマイクロリレーでは、ダイシング前に内部の密封構造が確保されていない、よって、好ましいリレー特性を保証できないという問題がある。
マイクロリレーは上記のように密封構造が好ましい他、さらに以下に列挙するように解決すべき複数の課題があり、これらの課題をより多く解決した構造のマイクロリレーであることがより望ましいと言える。
(1) マイクロリレーの駆動方式として静電気力を用いることは、構造が比較的簡単で低消費電力を実現できるという利点がある。その際、接点間距離をできる限り大きく取ることがアイソレーション(開離接点間での信号漏洩量を抑制すること)を向上させる上重要である。ところが、可動板を駆動させる静電引力は、印加電圧の2乗に比例し、電極間距離の2乗に反比例する。さらにマイクロリレーで実用上使用できる駆動印加電圧(10V程度まで)やマイクロリレー自体の大きさを考慮すると、接点間距離は数μm程度と極めて小さくなる。よって、マイクロリレーに関して、接点間距離を大きく取った構造とすること自体が困難である。なお、ここでの接点間距離とは固定側の接点と可動板の接点とが開離したときの距離である。
(2) また、静電引力を用いるマイクロリレーでは接点とは別に駆動用の電極が固定基板及び可動板に存在する。この電極間距離が小さくなれば成る程、静電引力に基づく発生力が大きくなる。そのために、接点部以外で可動板が固定電極と接触し、電極間電荷残留(チャージアップ)により、可動板が固定電極に張付いて(強固に密着して)動かなくなるとう事態が発生する場合がある。このような事態になると、マイクロリレーとしての機能を果たせなくなる。
) さらには、マイクロリレーで用いる静電気力に基づいた接触力は小さい。しかし、リレー一般としては、接触力を大きくとり接触抵抗を小さく安定化させることが望ましい。よって、低電圧駆動ではあるが大きい接触力があるマイクロリレーが求められるが、相反する要求でありこのようなマイクロリレーの実現は困難である。さらに、マイクロリレーに関しては、電極間距離の精度を高めて製造上の歩留まりを向上させることが求められ、ワイヤボンディング等の外部接続を廃止してパッケージサイズの小型化や信号ラインでの低抵抗化について配慮した構造が求められている。
したがって、本発明の主な目的は密封性に優れ、製造工程を簡素化できるマイクロリレーを提供すること、さらには上記他の課題も合わせて解決できるより好ましい構造を備えたマイクロリレーを提供することである。
本発明は、固定接点及び固定電極を有する固定基板と、該固定基板に対向して配置したキャップ基板と、前記固定基板と前記キャップ基板との間に配置した可動板とを備え、前記可動板は枠部と可動部とを含み、前記可動部は前記固定基板及び前記キャップ基板の表面に対して垂直方向に移動可能とする弾性部材を介して前記枠部に接続され、前記枠部は前記固定基板と前記キャップ基板との間で密封接合され、前記可動部は、前記固定電極と対向する可動電極及び前記固定接点に対応する位置に可動接点を備え、前記可動電極と前記固定電極との間で生じる静電引力に基づいて前記固定基板と前記キャップ基板との間を移動し、前記弾性部材は複数のヒンジバネであり、前記可動部は、前記枠部の4隅にそれぞれ設けたヒンジバネで前記枠部に接続され、ヒンジバネのバネ係数はそれぞれに異なることを特徴とする。又は、前記弾性部材は複数のヒンジバネであり、前記可動部は、前記枠部の4隅にそれぞれ設けたヒンジバネで前記枠部に接続され、前記枠部の第1の辺に接するヒンジバネのバネ係数と、前記第1の辺に対向する前記枠部の第2の辺に接するヒンジバネのバネ係数とが異なることを特徴とする。
枠部と可動部との間に弾性部材が存在するので、可動部の移動が保証される。また、両基板及び可動板は密封接合されているので、可動部の移動する空間を外気から遮蔽することができる。また、弾性部材が複数のヒンジバネであり、可動部が、枠部の4隅にそれぞれ設けたヒンジバネで枠部に接続されているので、可動部の移動をスムーズにすることができる。また、4隅にそれぞれ設けたヒンジバネのバネ係数がそれぞれに異なる、又は、枠部の第1の辺に接するヒンジバネのバネ係数と、第1の辺に対向する枠部の第2の辺に接するヒンジバネのバネ係数とが異なることにより、可動接点が固定接点に対して擦るように接触することになる。よって、接点表面を新しい状態に維持することができる。
本発明は半導体製造で用いられている薄膜形成、薄膜加工技術を応用して実施できる。例えば、RIE(リアクティブ イオン エッチング)等のエッチング技術を用いることができる。
上記構成において、前記ヒンジバネが、前記枠部及び可動部より薄く形成されている構成とすることができる。可動部の剛性を上げるために可動部の厚みを増したときには、本発明のようにヒンジバネの部分を薄く形成することで可動部を円滑に移動させることができる。
上記構成において、前記枠部及び可動部の少なくとも一方に可動部の面内方向での移動を規制するストッパを備えている構成とすることができる。この構成により、可動部の移動方向とは異なる方向への動きを抑制できる。
上記構成において、前記可動部及び固定電極の少なくとも一方に、電荷を除去するための電荷除去手段を備えた構成とすることができる。マイクロリレー内に不要な電荷が残存した場合にこれを除去できるので、正確な動作を保証できる。
上記構成において、前記電荷除去手段は、前記可動部と固定電極との間の配線上に設けた放電抵抗である構成とすることができる。配線上に放電抵抗を設けるという簡単な構成で可動部或いは固定基板側に残る無用な電荷を除去できる。
上記構成において、前記可動部は前記固定基板に張付くことを防止するための凸部を備えた構成とすることができる。凸部を設けたことにより、可動部が固定基板に張付くことが確実に抑制できる。
上記構成において、前記凸部は放電抵抗として作用する電荷除去手段となっている構成とすることができる。可動部と固定基板との張付きを防止するストッパとして作用する凸部が、さらに電荷除去も行うのでより確実に張付きが抑制でき、静電気等の外乱を除いた高精度なデバイスとして提供できる。
上記構成において、前記枠部は前記固定基板及び前記キャップ基板との間の少なくとも一方でスペーサを介して密封接合されている構成とすることができる。スペーサでキャップ基板と可動部とのクリアランスが確保されているので、可動部の円滑な移動が保証される。
上記構成において、前記スペーサは、製造工程で堆積処理されたポリシリコン又は金属を含む構成とすることができる。ポリシリコン等はスパッタリング法等を用いて堆積させるので、シリコンをエッチングするより効率的にスペーサ構造を形成できる。
上記構成において、前記キャップ基板は、前記固定基板に対向して配置されキャビティを備えた構成とすることができる。キャップ基板が可動部の移動を許容するキャビティを備えているので、製造工程を簡素化できる。
上記構成において、前記キャビティ側の前記枠部と可動部とが同一面上に形成されている構成とすることができる。キャップ基板側と可動部とのクリアランスを考慮しなくてもよいので、製造工程を簡素化できる。
本発明によれば、枠部と可動部との間に弾性部材が存在するので、可動部の移動が保証される。また、両基板及び可動板は密封接合されているので、可動部の移動する空間を外気から遮蔽することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
(第1実施例)
図1から図3は、第1実施例に係るマイクロリレーについて示した図である。図1はマイクロリレーのチップ部を分解した斜視図、図2はこのマイクロリレーチップ205を完成品としてのマイクロリレーディバイス200に仕上げる様子を順に示した図、図3はマイクロリレーチップ205の断面構成例を模式的に示した図である。本第1実施例の説明では、まず図1及び図2を用いて実施例に係るマイクロリレーの概要を説明し、さらに図3を用いてより詳細に内部構成を説明する。
本マイクロリレーチップ205は、固定基板230とキャップ基板210との間に可動板220を挟んだ基本構造を有している。
可動板220は例えばシリコン単結晶のような半導体材料を基材にして形成されている。この可動板220は、環状に形成した枠部225と、この枠部225に対しその枠内で上下動する可動部221とを含んでいる。可動部221が上下動する方向は、キャップ基板210及び固定基板230の板面に垂直な方向となる。可動部221を上下動可能とするために、可動部221は弾性変形するヒンジバネ222により枠部225に接続されている。図1で例示する枠部225は矩形であるがこれに限らず、線対称型の形状であればよい。この枠部225の対称位置に複数のヒンジバネ222を設けて可動部221が保持されている。本実施例では枠部225の四隅にヒンジバネ222を配置して可動部221を保持している。後述するように、可動部221には静電引力が作用して上下動される。その際、静電引力を有効に用いて可動部221が平行状態を維持しながら上下運動するように4本のヒンジバネ222が設定されている。
可動部221には可動電極及び可動接点を含んでいる。また、本実施例の可動部221は、図1の中段に示すように、外観では2枚の長方形板の間を小さな接続部249を介して接続したような形状を成している。この接続部249の下には、ここでは確認できないが下方に突出するよう形成した可動接点223が存在している。また、長方形板は可動電極である。すなわち、可動部221の大部分は可動電極であり、その中央の一部に下向きの可動接点223が存在するという形態となる。よって、本実施例では可動部221が実質的に可動電極となっている。可動接点223と可動電極(可動接点223以外の部分)とは電気的に絶縁されている。例えば、可動部221の基材はシリコン単結晶であり、その表面に絶縁膜を形成して、可動接点223と絶縁されている。可動接点223自身或いは少なくともその表面は、金、白金、銅等の導電性材料で形成されている。
キャップ基板210及び固定基板230は、上記可動板220を上下から挟み込むように配置される。より具体的にその構造を説明すると、可動板220の枠部225がキャップ基板210及び固定基板230に密封接合され、その内部に形成された空間で可動部221が上下動可能となっている。キャップ基板210及び固定基板230は、例えば基材がガラス等の絶縁性部材である。
上記固定基板230は固定電極231及び固定接点233を有している。また、キャップ基板210は平板状或いは内部にキャビティを有した蓋形状のものを用いることができる。キャップ基板210下の可動部221が、円滑に上下動できるようにクリアランスを確保する必要がある。枠部225が適度な厚みを持って形成されたときには、このクリアランスが確保されているのでキャップ基板210を平板状に形成しても問題がない。しかし、枠部225の厚みが十分に確保できなかったときには、キャップ基板210の下面を掘り上げて、即ち下向きに開放したキャビティを形成して可動部221とのクリアランスを確保することが必要である。
図1では、固定基板230側の固定電極231と固定接点233とが示されている。固定基板230の固定電極231と固定接点233は、可動部221の場合と同様に電気的に絶縁されている。固定電極231は可動電極として機能する可動部221に、また固定基板230の固定接点は可動部221の可動接点に対応するように配置されている。この図1では確認できないが可動部221は下面側に固定基板230に対応する可動接点223を有している。固定基板230に関して説明すると、固定接点233は2つの電極が離間された構造である。可動部221が下がると、可動接点223が一対の固定接点233を導通させて信号ラインをオンするようになっている。
また、本実施例では固定基板230の内部からの電気配線の引出しはスルーホール219を介して行うようになっている。よって、固定基板230と枠部225との接合に気密性がある場合には内部の密封性を維持できる。
そして、図2に示すように、密封性を備えたマイクロリレーチップ205をベース基板240に固定し(B)、樹脂245で封止すれば好ましいマイクロリレーディバイスとなる(C)。なお、図2の(B)において可動板220は外部に接続パッド226を有しており、マイクロリレー205は段状になっている。接続パッド226はワイヤ246で電極パッド247に接続されている。上記ベース基板240に替えてリードフレームを用いてもよい。
ところで、キャップ基板210及び固定基板230と可動板220の枠部225とを気密性を持って密封接合させた構造は、例えば可動板220を単結晶シリコンとし、キャップ基板210及び固定基板230にガラスを用いることにより実現できる。シリコンとガラスとは陽極接合により簡単かつ強固な接合を得ることができる。陽極接合は所定温度以下で平坦なガラスとシリコンの面を接触させ、ガラス側をマイナス(−)極、シリコン側をグランド(GND)に接続して、直流高圧電圧を印加する接合方法である。キャップ基板210及び固定基板230用のガラスとしてはパイレックス(登録商標)ガラスを用いることが推奨される。このガラスはシリコンと熱膨張係数が近いので熱的にも安定である。シリコンの他、金属を用いても陽極接合を行うことが可能であるので、可動板220の枠部225に陽極接合できる金属を用いてもよい。この陽極接合では、接着剤や接合面の一部を溶融することなどが必要でない。よって、設計した寸法の精度を高くすることができる。マイクロリレーでは可動部221と固定基板230との間(ギャップ)の寸法精度が高いことが望ましいので、陽極接合による構造はこのような要求に応えることができる。なお、陽極接合による接合時には酸素ガスが発生する。密封後の内部に酸素ガスが残留していると、内圧の上昇によりリレー動作への影響や密封破壊の原因となることも想定される。よって、陽極接合は
不活性ガス内の減圧環境下で実行することが望ましい。
図2で(A)の状態から(B)のベース基板240上にマイクロリレーチップ205を接続する際には、フィリップチップ接合を用いるとワイヤボンディングよる構造と比較してマイクロリレーの小型化を図ることができる。また、後述するがキャップ基板210及び固定基板230と可動板220で共用する接続線として外周に溝状のサイドキャスティングラインを形成することによっても小型化を図ることができる。
図3は、図1及び図2で示したマイクロリレーチップ205の断面構成を模式的に示した図である。この図3では、図1及び図2で説明したマイクロリレーチップ205内の構成部の位置関係が確認し易いように模式的に示している。例えば図1では一対の固定接点233は各々が左右両端まで延在しているが、固定電極231を表すために短く表示している。この図を用いてさらに詳細に本実施例のマイクロリレーを説明する。この図ではキャップ基板210及び固定基板230並びに可動板220の構成が詳細に確認できる。この図3には、図1及び図2では確認できなかった本実施例のキャップ基板210が平板状であることが示されている。この可動板220はエッチング加工により、その枠部225の上下方向に十分な厚みが形成されている。そのため可動部221とキャップ基板210との間にクリアランスが確保できているので、キャップ基板210を平板状とすることができる。
下側の固定基板230の固定電極231と実質的に可動電極として機能する可動部221は対応する位置に形成されている。また、固定基板230の固定接点233は可動接点223下の対応する位置に形成されている。固定基板230側に設けた一対の固定接点233は信号ライン用の接点であり、可動接点223が降下して接触したときに離間している固定接点233を導通させる。
可動接点223は、可動部221の下面に突出するように配置している。この可動接点223は、例えば導電性の可動部221を形成した後にその表面に絶縁膜229を成膜し、その上に導電性材料をスパッタリング処理或いはメッキ処理して形成されている。
上記固定基板230の固定電極231は、可動電極として機能する可動部221との間で所定電圧が印加されるようになっている。固定電極231の各々はスルーホール219を介して裏面側に引出されている。可動板220は前述したように例えばシリコンで形成され、ここに不純物をドーピングさせて導電性が付与されている。この図3では、可動板220と固定電極231の接続線は図示されていないが、スイッチを介して導通及び遮断ができるようになっている。なお、スルーホール219の内部は導体で充填若しくは内壁に導体メッキが施されている。よって、固定基板230及び可動板220の枠部225で形成する内部空間の密封が破壊されない構造が確保されている。可動板220は枠部225及び可動部221がヒンジバネ222を含んでいるが、これらはシリコンを基材にして一体に形成することができる。シリコンに不純物をドープしておくことで、枠部225から可動部221の導電性も簡単に確保できる。ただし、可動部221の構成は係る形態に限定すべきものではなく、例えばその表面に金属製の電極を形成した形態でもよい。なお、前述したように可動接点223と電気的な絶縁を形成するために、可動部221の表面には絶縁膜229が形成されている。
そして、先の図1で確認できるように、可動部221は枠部225の四隅に設けたヒンジバネ222により上下動可能に支持されている。より具体的には、可動部221が、上記固定電極231との間で電圧が印加されると静電引力作用により固定基板230側に移動する。すなわち、静電引力により、可動部221は電圧供給のない初期位置と固定基板230との間を上下動する。その際に、可動接点223が下降したときには固定基板230の固定接点233と接触する。電圧の供給が無くなったときには、ヒンジバネ222の復元力で可動部221は初期位置に復帰する。よって、信号ラインの固定接点233に対して可動接点223が接触して閉成及び離れて開離するというリレーの動作を実現できる。
図4及び図5は、前記第1実施例の変形例について示した図である。図1〜3では固定基板230において外部への配線の引出しをスルーホール219により行っていた。しかし、固定基板からの電気配線の引出しはスルーホールを用いず、基板230と可動板の枠部225との接合面の平坦性が確保されるように一致させて配線を埋め込んだ構造としてもよい。本変形例はこのような構造例を示している。
図4は固定基板230との間で埋め込み配線を用いた場合の分解斜視図、図5は図4で示すマイクロリレー205を側部断面で模式的に示している。図4で固定電極231からの引出し配線236及び固定接点233からの引出し配線237は、共に固定基板の表面と同一になるように埋め込まれている。このように固定基板230の表面を平坦にしておくことで、先に説明したと同様の陽極接合を行なって内部の密封性を確保したマイクロリレーを製造できる。なお、この構造を採用する場合には引出し配線136、137が接触する枠部125に、固定基板230との電気的絶縁を確保するために絶縁膜227を形成することが必要である。
また、図5ではより好ましい一つの形態として、可動部221の下面の一部に下方に突出する凸部224を備えている。この凸部224はストッパとして機能している。可動部221が下に移動して可動接点223が固定接点233と閉成した後に、さらに可動部221が静電引力により更に引き寄せられる場合があってもこのように凸部224を設けることで可動部221と固定電極231とが張付くことを防止できる。図5では凸部224に対応した位置の固定電極231に凹部235が形成されている。この場合、少なくとも凸部224の高さは凹部235の深さより大きくなるように形成して、可動部221が固定電極231と強固に密着することが抑制されるようにしておくことが望ましい。なお、固定電極231側に上記のように凹部を設けず、比較的低い凸部224を設ける形態としてもよい。
図6は、図5で示した凸部224を備えた第1実施例のマイクロリレーを作動させた様子を示した図である。同図にはマイクロリレーを駆動させる駆動回路260が示されている。スイッチ265を接点261と接続すると、固定基板230の固定電極231と可動板220との間に電圧が生じる。なお、図6では、上段は可動板220に電圧を印加させない初期状態を示し、下段には可動板220に電圧を印加させた状態を示している。
固定基板230の固定電極231は予めGND(グランド)電位にされている。図6の下段に示すように、可動板220を正極電位にすると可動部221は固定電極231側に引き付けられる。可動接点223が固定接点233と接触する。可動接点223が固定接点233に接触した後も、可動部221は固定電極231によりさらに大きな力で引き付けられる。よって、図示のように可動部221は撓みを生じ可動接点223と固定接点233との接触力がさらに向上する。従って、接点の接触抵抗を低減することができる。
また、本実施例では好ましい形態として可動部221の表面に、ストッパとして機能する凸部224が形成されているので、可動部221と固定電極231との面接触を確実に防止できるようになっている。よって、可動部221が固定電極231に張付くという問題を生じない。なお、本実施例では図3で示したように可動部221の表面を絶縁膜229で被覆しているので、可動部221が固定電極231に接触してもショートの問題はない。しかし、凸部224で可動部221と固定電極231との接触を確実に防止できるようにすれば、この部分の絶縁膜を省略することが可能である。なお、図6の上段に示すように、スイッチ265を切替えて接点261との接続を切ると、ヒンジバネ222の復元力により可動部221は初期位置に復帰する。
(第2実施例)
図7は、第2実施例のマイクロリレーについて示した図である。第1実施例の可動板220は全てエッチング処理等の掘削加工により形成されている。可動板220における枠部225の下側の高さ(厚み)は接点間のギャップを規定し、またその上側の厚みは可動部221のキャップ基板210とのクリアランスを規定することになる。よって、枠部225は高精度に加工することが望ましい。本第2実施例はスペーサを用いて枠部225の厚みを調整する場合のマイクロリレーを例示するものである。なお、本実施例のマイクロリレーの基本構成は前述した第1実施例の構造と同様であるので、同じ部位には同一の符号を付すことで重複する説明は省略する。
本実施例の枠部225はスペーサ228を用いて形成されている。このスペーサ228は多結晶シリコン(ポリシリコン)や金属を堆積させることで形成できる。堆積には、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの方法を採用できる。このように形成したスペーサ228も陽極接合することできるので、本実施例でも内部密封型のマイクロリレーを製造できる。本実施例のようにスペーサを用いた場合にも同様に、エッチング処理による場合と同様に高い寸法精度で枠部225の厚み調整が可能である。一般にエッチング処理には時間を要するので、スペーサ228を用いて枠部225の厚み調整をする本実施例によると、工程時間の短縮化を図ることができる。
(第3実施例)
図8は第3実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例のキャップ基板210は下側に開放したキャビティ215を有した蓋形状に形成されている。このような形状のキャップ基板210は例えばガラス等の絶縁材料から成る平板状基板の中央部をエッチング処理等により掘削して、予め蓋状に加工しておけばよい。このようなキャップ基板210を用いると、図8で示すように可動板220側の枠部225の形状を簡素化できる。図8に示す例では、枠部225が可動部221とほぼ同一面に形成されているが、キャビティ215の存在によって可動部221とキャップ基板210のクリアランスが確保されている。本実施例のようにキャビティ215を有したキャップ基板210を用いると、枠部225の上側の厚み確保する為の工程を省略できるのでエッチング処理、スペーサ形成といった工程を簡素化できる。
(第4実施例)
図9は、第4実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例は固定基板の固定接点を片持ち梁の形状にした点に特徴がある。本実施例でも第1実施例のマイクロリレーと同様の部位には同一の符号を付している。これ以後の実施例についても同様とする。
本実施例の固定接点233は片持ち梁状に形成され、自由端側に降下した可動接点223が接触する構造となっている。よって、上段に示す初期位置から駆動電圧が供給され静電引力を受けた可動部221が下降すると、可動接点223が一対の固定接点233の自由端側を押し下げながら接触して信号ラインをオン状態とする。この後、駆動電源が遮断されたときには、変形した固定接点233が復元しようとするので可動接点223を押し返す。よって、駆動電源がオフとされたときにはヒンジバネ122の復元力に加えて、片持ち梁形状とされた固定接点233からの復元力が加わるので、接点の開離力が高くなる。よって、本実施例のマイクロリレーでは、オフ時での接点開離を確実に行える。
(第5実施例)
図10及び図11は、第5実施例のマイクロリレーにて示した図である。本実施例は、キャップ基板210及び固定基板230並びに可動板220で共用する配線路を設けた点に特徴があるマイクロリレーである。図10に示す本実施例のマイクロリレーチップ205もキャップ基板210と固定基板230の間に可動板220を挟んで陽極接合されて製造される点は同様である。しかし、同図の矢印Xで示すように各板210、220、230の周形状が整いすっきりとした外観となっている。そして、本実施例の場合も固定基板230の内部側からの電気配線は各々スルーホール219により反対側(外側)に取り出されている。この構成は第1実施例と同様である。
しかし、本実施例のマイクロリレー205は、図11に示すように、外周部にキャップ基板210、可動板220及び固定基板230の三層を貫通する共通配線路(サイドキャステレーション)248が形成されている。なお、図11の上段に示したマイクロリレー205は右側にその裏面側を示している。この裏面側は固定基板230の底面が示される。この底面には固定基板230のグランドパッド251、電極接続パッド252さらには可動板220との接続パッド255が示されている。また、ここには、後述する放電抵抗150が示されている。
本実施例のキャップ基板210は電極や接点を有さないシンプルな構造である。よって、キャップ基板210内と外部との配線は原則として考慮する必要がない。しかし、図10及び図11に示すように、各板210、220、230の大きさを整え、同時に外周に配線を設ける加工を行えば効率的である。さらに、キャップ基板210の外周にサイドキャステレーション248を設けておけばキャップ基板210の上面に配線を設けることもできるので設計の自由度を増すことができる。
本実施例のマイクロリレーチップ205は、図11の中段に示すように半田ボールなどでベース基板240にフィリップチップボンディングされてマイクロリレーアッセンブリ200を形成する。本実施例の構成を採用することで、ワイヤボンディングが不要となる。よって、図2の場合と比較すると明らかであるがワイヤボンディングのためのベース基板面を小型化でき、ワイヤによる導体抵抗の増加を除去できる。さらに、マイクロリレーチップに接続パッドを設けるための段差を形成する必要がない。よって、3枚同じ外形状の板を貼り合わせて3層貫通するスルーホールを形成して導電性の材料を充填しておき、これをダイシング工程の際にカットすればサイドキャステレーション248を外部に備えた構造のマイクロリレーを簡単に作製できる。
なお、本実施例のマイクロリレーチップの表面(キャップ基板上面側)を適当な保護膜等で被覆すれば、ベース基板実装や樹脂モールドを成形することなくマイクロリレーチップ205の状態そのままで、実装可能なデバイスとなり得る。この場合には更なる小型化が促進できることが明らかである。
(第6実施例)
図12は第6実施例のマイクロリレーについて示している。このマイクロリレーでは可動部221を厚めに形成している。本実施例では可動部221が静電引力を受けて移動し、下段に示すように可動接点223が固定接点233に接触した後に撓むことがない剛性を備える程度に可動部221の厚みが設計されている。前述した第1実施例では可動部221が撓むことを配慮しており、可動電極221と固定電極231との張付きを防止するための好ましい変形例として凸部124を設けている。しかし、本実施例の場合には可動部221が静電引力により撓むことがないので凸部を設ける必要がない。よって、第1実施例の場合と比較して工程を簡素化できる。なお、本実施例の当然の構成として、可動接点223が固定接点233に接触したときに、可動部221が接触しない高さで固定電極231が形成されている。
図13は上記第6実施例の改良例を示した図である。上記第6実施例のように可動板221の厚みを増すと円で囲んで示すヒンジバネ222の領域の剛性も増加することになる。しかし、ヒンジバネ222の剛性が可動部221と共に増すと、バネ性が低下して可動部221が初期位置から下へ移動し難くなる。そこで、本改良例はヒンジバネ222の部分を可動部221より薄くしてスチフネスを小さくして動き易くしている。本例によると、撓みを抑制した可動部221を確実に初期位置から下へ移動させることができる。
(第7実施例)
図14は第7実施例のマイクロリレーについて示した図である。この実施例では可動板220のヒンジバネ222の部分に特徴を有している。(A)はヒンジバネ222がつづら折で折り返しをされる範囲TWを広くしてスチフネスを小さくした場合、(B)はヒンジバネ222で折り返し回数を増加させてスチフネスを小さくした場合を示している。このようにヒンジバネ222に改良を加えることによって可動部221の移動が円滑に行える。この構造は特に第5実施例の剛性を向上させた可動部221を上下動させるのに有効である。
(第8実施例)
図15は、第8実施例のマイクロリレーについて示した図である。この実施例も可動板220のヒンジバネの部分に特徴を有している。(A)は4つのヒンジバネ222−1〜222−4を枠部225の4辺各々と接続して可動部221を保持する構造である。この構造によっても可動部221を上下動させることができる。しかし、この構造の場合、円内TERの部分での変移量が比較的大きくなる傾向があり、可動部221の円滑な上下動に支障が出る場合もある。
そこで、(B)或いは(C)に示すように、枠部225の互いに対向する辺にヒンジバネ222を接続する。(B)では左辺にヒンジバネ222−1,222−4、右辺にヒンジバネ222−2,222−3を接続している。(C)の場合は上下の辺に同様に接続している。このようにヒンジバネを対称配置した構造とすると、可動部221のバランスが良くなるので、スムーズに上下動を行えるようになる。また、この構造の可動板220は安定性が増すので、第1実施例の変形例で示した凸部224の追加を考慮しなくとも良い。
(第9実施例)
図16は、第9実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例はヒンジバネのバネ係数のバランスを変更することで、可動接点と固定接点との間で極微小な摩擦を発生させるような構造を含んでいる。第1実施例の場合には可動部221が初期位置から水平状態を維持しながら下方へ移動するようになっている。しかし、本実施例では、積極的にヒンジバネのバネ係数を変更するようにした点で異なっている。図16で4つのヒンジバネ222−1から222−4は異なるバネ係数に設定されている。ヒンジバネ222の長さ、幅、厚さを適宜調整することでバネ係数を変更することができる。 各ヒンジバネ222−1から222−4のバネ係数を異なるものとし、(A)で示す初期状態から静電引力を作用させると先ずバネ係数の小さい側が先導して動き、(B)で示すように可動部221の片側のみが固定電極231に強く吸引された状態となる。その後更に(C)で示すように徐々に可動板221と固定電極231との間の距離が小さくなりバネ係数の大きい側も吸引される。最終的には第1実施例の場合と同様に可動部221の両側が吸引された状態となる。しかし、状態(B)から(C)となる動作の途中では、可動接点223と固定接点233との接触時に僅かな擦れ(ワイピングと称される)が生じる。このとき、接点表面では僅かな擦れが生じるため、接点表面の新しい面が現れる。すなわち、接点同士の擦れ合いで接点表面に絶縁性の被膜が形成されることや、絶縁性の物質が付着することが抑制される、本実施例ではこのように常に新しい表面が形成された状態を保持できるので接触抵抗が安定する。その結果、マイクロリレーの信頼性が向上する。
なお、ヒンジバネ222−1から222−4はバネ係数が全て異なるように設定してもよいが、ヒンジバネをグループに分けてグループ間でバネ係数を変更するようにしてもよい。例えば図15に示した対向する辺に接続されたヒンジバネ222−1、222−4とヒンジバネ222−2、222−3とでバネ係数が異なるように設定してもよい。
(第10実施例)
図17は第10実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例は固定電極231及び可動部221の剛性を高め、この両者の間で生じる静電引力を大きくできる構造例を示している。本実施例で示す可動部221は、第1実施例で示したものとは異なり一枚板に近い形状となっている。この板の中央部に一対の打抜き穴218が形成されている。可動部221の裏面で、打抜き穴218の間の部分に可動接点223が形成されている。よって、第1実施例で示したように2枚の板を、可動部223を下に有する接続部249で連結したような構造よりも剛性が高くなっている。また、可動電極として機能する可動部221の面積が増加するので、発生させる静電引力を大きくすることもできる。
一方、固定基板230側では固定接点233の長さが短縮され、スルーホール219を介して裏面側に引出される配線に接続されている。この固定基板230は第1実施例の場合と比較して、固定接点233の長さを短縮し、固定電極231の面積が拡大されている。この構造によっても固定電極231の剛性を向上させ、可動部221に作用させる静電引力を増加させることができる。よって、本実施例では可動部221及び固定電極231の構造を堅牢にしつつ静電引力を大きくして駆動効率を高めたマイクロリレーを実現できる。
なお、本実施例の固定電極231及び可動部221は何れか一方を採用した場合にも本実施例に準じた効果を得ることができる。
(第11実施例)
図18は第11実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例は固定電極231及び可動部221の電荷を除去する構造を具備したマイクロリレーである。図18はマイクロリレーを駆動する駆動回路260の周部構成を示している。(A)は放電抵抗が無いときに発生する可能性がある障害状態を示した図である。電源266がOFF状態になると固定電極231及び可動部221に電荷が残存する。これにより可動部221が保持される事態或いは漏れ電流により徐々に放電されて可動部221が初期位置に状態に戻るといった事態が生じる。さらに、残存する電荷の影響で可動部221の移動が不安定な状態となる場合
もある。
一方、(B)は、固定電極231と可動部221とを接続する配線上に放電抵抗250を設けた場合を例示している。この例の場合、固定電極231及び可動部221と並列に放電抵抗150が配設され、電源266−グランド(GND)間に放電抵抗250が存在した形態となる。このように電源266−グランド間に放電抵抗250が存在する(B)の場合、電源OFFとなったときに放電抵抗250を介して電流207が流れるので電荷が残らず可動部221を速やかにニュートラル状態(初期の状態)に復帰させることができる。上記放電抵抗250として数100kΩ〜数MΩのものを用いることが好ましい。
(第12実施例)
図19は可動部に設けた凸部に放電抵抗機能を付加した第12実施例のマイクロリレーについて示した図である。前述したように可動部221に設けた凸部224は、可動部221が固定電極231に張付くことを防止するストッパとして機能している。この凸部224が更に前述した放電抵抗としても作用すれば残留電荷を除去するので張付きをより効率的に防止できる。
凸部224の表面には、例えばシリコンやポリシリコンに不純物をドーピングして抵抗を形成すればよい。図19は、可動部221が順次下に移動する様子を示している。電源がオフの初期状態(A)からスイッチ265が切替えられて、電源オンとなると可動部221が固定電極231に電気吸引される。この動作は、(B)の状態のように可動接点223が固定接点233に接触して閉成する。このとき下側に設けた凸部224はまだ固定電極231に接触していない。さらに、可動部221が吸引されて凸部224が固定電極231に押付けられることで電流207が流れる。このように、凸部224は張付きを防止しつつ、可動部221とグランドとの間の放電抵抗として作用して電荷が残留することを防止する(C)。よって、接点閉成後の過度な静電吸引を低減できるので、可動部221の張付きを効果的に抑制できる。なお、本実施例の構造を採用する場合には時定数と可動部221の共振周波数を考慮し、振動が生じないように設計することが求められる。
(第13実施例)
図20は、接点を複数個有する構造に改良した第13実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例では可動部221の可動接点が223−1、223−2の2つとなっている。また、これに対応して固定基板230側に設けたそれぞれの固定接点233は分岐して略コ字状とされている。よって、本実施例の場合には接点構造が並列に複数存在するので一方の接点に不都合が生じたとしても信号ラインの接続、遮断を行うというリレーの機能を担保できる。図20では可動接点を2つとした場合を例示したが、もちろん3つ以上の複数としてもよい。
図21は、上記第13実施例の変形例を示した図である。図20では2つの可動接点223−1、223−2に接触できるように1つの固定接点233を分岐した構造であったが、本例では固定接点233側も独立した2つの固定接点233−1、233−2としている。本構造の場合には信号ラインも独立して複数となるのでリレーの機能をより確実に担保できるようになる。
(第14実施例)
図22は、第14実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例は固定基板に形成する好ましい固定電極の構造を提案している。(A)及び(B)は比較のための構造例を示した図、(C)が本実施例の構造を示した図である。(A)では固定基板230の固定電極231と固定接点233が略同じ高さである。このように両者が同じ高さであると、固定電極231と可動電極として作用する可動部221との電極間距離が大きくなる。よって、所定の静電引力を得ようとする場合には高い電圧駆動が必要となる。この対処法として、(B)に示すように可動部221を掘り込んで可動接点223を上方に移動させた構造も考えられる。しかし、(B)の構造は加工が困難であり、しかも工程数が増すのでコストアップにもなる。
そこで、(C)で示すように、本実施例では固定電極231の高さが固定接点233の高さより、高くなるように形成する。ここで、固定電極231と固定接点233の高さの差が、可動接点223の高さより僅かに小さいように設定することが望ましい。本実施例によると簡単な構造で、可動部221を確実に吸引できる。
(第15実施例)
図23は、可動板220の好ましい配線構造を備えた第15実施例のマイクロリレーについて示した図である。本構造では、可動板220の配線を固定基板230にスルーホール219−2を設けて裏面側に引出す構造である。このスルーホール219−2は、可動板220の配線を固定基板230用のスルーホール219−1を形成するときに同時に形成することができる。よって、別途に可動板220用の配線を設ける場合と比較して工程を簡素化することができる。ここでは、固定基板230側にスルーホール219−2を設ける例を示したが、キャップ基板210側にスルーホール219−2を設けても勿論良い。(第16実施例)
図24は好ましい可動板220を有する第16実施例のマイクロリレーについて示した図である。本実施例では、可動部221の外周と枠部225との間に所定の隙間257を確保し、可動部221の周部から枠部225の内面に向けて突出させた外周ストッパ258を複数設けている。このような構造であれば可動部221の横方向(可動部の面内方向)への動きを規制できる。この外周ストッパ258は可動部221と一体に成形してもよいが、弾性に優れた部材を付加すれば特に耐衝撃性にも優れた構造とすることができる。
この外周ストッパ258は可動部221の周部の対称となる位置に設けることが望ましい。また、外周ストッパ258は部分的な凸部であるので、周辺の空気流により可動部221が上下動することについて障害を受けることはない。また、可動部221と一体に形成する場合には工程の増加を伴うことなく簡単に形成できる。
この図24では、可動部221側に外周ストッパ258を設けた例を示したが、枠部225側、或いは可動部221及び枠部225の双方に設けてもよい。
なお、図示することは省略するが、前述したマイクロリレーに関する複数の実施例に関して、キャップ基板210の表面(可動板220とは反対の面)全体に接地したグランドパッドを設けると、信号ラインのシールド性を向上させることができると共に、静電引力に及ぼす静電気等の外乱に対するシールド性も向上した誤動作のない構造とすることができる。また、マイクロリレーチップの積層構造の側面に、絶縁膜を介して金属層を設けた構造とした場合にもこれと同様の効果を得ることができる。また、前述した可動接点223及び固定接点233は、例えば下層にAuを配した上にRh、Ru、Pdのいずれかで表層を形成した構造とすることが推奨される。下層のAuは所定のクッション効果を備え、接点表面には硬度の高い金属を有するので、張付き難い接点とすることができる。
さらに、図25から図28を参照して、スペーサを用いて枠部の高さ調整している第2実施例のマイクロリレーチップ205の製造工程を説明する。図25は固定基板230の製造工程を示す図、図26はキャップ基板210につい示す図、図27は可動板220の製造工程を示す図、図28はこれらを組み付けてマイクロリレーチップを完成するまでの製造工程を示している。これらの工程は半導体製造技術を使用しており、成膜、露光、エッチング等の技術が利用されている
。 図25に示した工程により、固定基板230が製造される。0.2〜0.4mm程度の厚みのガラス基板を準備する(1)。このガラス基板としてはパイレックス(登録商標)ガラスを用いることが推奨される。後述するように、可動板に単結晶シリコンを用いたときに熱膨張係数が近く、精度良く接合ができるからである。
このガラス基板に、スルーホール形成用の穴219を設ける(2)。この様な穴はレーザ、サンドブラスト等を用いて作製することができる。この穴(スルーホール)にメッキ等を用いて導電性材料を充填する(3)。導電性材料として、例えば金、銅、アルミ等を用いることができる。
さらに、スパッタリング法、メッキ法等により固定電極231、固定接点233を形成する(4)。これらを形成する材料としては、金、白金等を用いることができる。下層に金をひいてその上に白金系の元素Rh、Ru、Pd、Pt等を載せてもよい。特に可動接点と接する固定接点233は、耐磨耗がある白金系の金属を表面に有していることが望ましく、その下に弾性ある金が存在するとクッションとして機能したり、導体抵抗が小さくのでより好適な構造となる。ガラス基板上に固定電極231、固定接点233が形成されて、固定基板230となる。最下段(5)に示すように、固定電極表面にCVD等を用いてSi3N4等による保護膜を必要により、適宜形成してもよい。
図26はキャップ基板210について示している。本実施例で用いるキャップ基板210は(A)に示す平板状である。この形状のキャップ基板を用いるときには、前述したようにクリアランスを確保するため可動板220の枠部225の部分にある程度の厚みを設けることが必要である。本製造例では枠部225の部分にスペーサを形成して可動部221とキャップ基板210とのクリアランスを確保する。
なお、(B)に示す蓋状のキャップ基板は予めキャビティ215が形成されている。このキャップ基板を用いる場合には枠部225上側の厚みを考慮する必要なくなるので工程を簡素化できる。この(B)で示すキャップ基板210を用いて製造したのが、先に図8で示した、第3実施例のマイクロリレーである。この(B)を用いての製造法の方がより簡易である。ここでは、工程数が多い(A)のキャップ基板を用いた製造法を説明する。この基本的な製造法を説明することで、(B)のキャップ基板を用いた場合の利点が合わせて理解できる。
図27は可動板220の製造工程を示している。ただし、可動板220は固定基板230と接合されてから最終形態に加工されるので、図27では半完成状態までの工程を示している。まず、SOI基板が準備される(1)。このSOI基板は、厚い絶縁性の支持層271上にSiO2等からなる酸化層(絶縁層)272を介して単結晶シリコン等による活性層273が積層された構造を有している。
このSOI基板の活性層273に不純物をドーピングして導電性を付与する(2)。さらに、その表面にスパッタリング等により例えばSiO2の絶縁膜279を形成する(3)。この絶縁膜は可動電極となる可動板221とその中に形成する可動接点223との電気的に絶縁するために形成している。続いて、絶縁膜279上に、スパッタリング、メッキ法で導電材料を成膜して可動接点223を形成する(4)。
その後、可動板220の枠部225に相当する外環部分(周部)に厚さ調整用のポリシリコンや金属を堆積させてスペーサ228を形成する。また、前述した張付き防止用のストッパとなる凸部224も必要によりこの工程で作製する(5)。
図28は、上記のように作製した固定基板230、キャップ基板210及び可動板220を積層状態に組み付けてマイクロリレーを製造する様子を示している。図28で、先ず、固定基板230上に半完成状態の可動板220を接合する(1)。図27で示す工程で作製して未完成状態の可動板220を上下ひっくり返して固定基板230上に配置して、密封接合する。この接合には陽極接合を用いることが望ましい。固定基板230側にマイナス(−)、可動板220側にグランド(GND)として陽極接合すると、簡易に両者を密着させて接合できる。
続いて、可動板220の残りの構造を完成させる。その前に、まず不要部となる支持層271、酸化層272を除去する(2)。その後は、図27で示したと同様の処理をここでも繰り返す。すなわち、不純物をドーピングして導電性を付与する(3)。さらに、表面に絶縁膜279を形成し(4)、さらに、枠部225に相当する部分に同様にポリシリコン等を堆積してスペーサ228を設ける(5)。ここで堆積させたスペーサ228により、前述した可動部221の為のクリアランスが確保される。すなわち、この工程(5)では、可動板220の上に接合するキャップ基板210と可動部221とのクリアランスを確保する為に、枠部225の厚みを調整している。よって、図26(B)のキャップ基板を用いた場合にはこの工程(5)は省略できる。
この後、可動板220のスリット形成を行う。このスリット形成で枠部225と可動部221とが弾性のあるヒンジバネ222で接続された構造を作製する(6)。特に可動板220に単結晶シリコンを用いていれば、RIE処理により枠部225と可動部221とが、つづら折り状に形成したヒンジバネ222で接続された構造を簡単に形成できる。
最後に、可動板220の上にキャップ基板210を載せて、固定基板230の場合と同様に陽極接合する(7)。この陽極接合の際には、減圧雰囲気、より好ましくは不活性ガスの雰囲気で実行する。これにより、内部に不要なガスを残留させずにマイクロリレーを密封できる。よって、このように製造されたマイクロリレーチップをさらにダイシング工程で個片化しても、内部が影響を受けることが無いので信頼性のあるマイクロリレーチップを製造できる。このようなマイクロリレーチップは、さらに前記図2で示したものと同様の工程を経て製品としてのマイクロリレーディバイス200にされる。
さらに、図29及び図30により、工程を簡素化したマイクロリレーの製造例を示す。前述までの説明では、キャップ基板210と可動板220とは別体であり、これを接合することで後に一体化する例を示した。ところで、図27で示したように、可動板220を作製する際にはSOI基板を準備している。このSOI基板は、Si等よりなる絶縁性の支持層271及びSiO2等よりなる絶縁性酸化層272上にシリコン単結晶等の活性層273を有している。そして、図28で説明したように工程中で、支持層271及び酸化層272は除去されてしまう。
図29及び図30で示す製造例では、上記支持層271及び酸化層272を有効に用いてキャップ基板を可動板に一体化した構造体を製作して工程を簡素化する。図29でのSOI基板は、予めパターニングして内部にキャビティ315を含んだ酸化層272を備えている(1)。なお、このキャビティ315は、前述した可動部とのクリアランスを確保するためにキャップ基板側に設けるキャビティ215を想定して設計されている。全面に酸化層272が存在するSOI基板をパターニングしてキャビティ315を形成するこの(1)工程前に実行してもよいが、このように予め酸化層272がパターニングされた基板を用いるとより工程を簡素化できる。
上記SOI基板の活性層273側の中央を掘削し、枠部225に相当する部分を高くするようにエッチング加工する(2)。この活性層273の表面にSiO2等の絶縁膜279を形成する(3)。絶縁膜279上にメッキ法、スパッタリング法等を用いて導電性材料を成膜して可動接点223を形成する。そして、ドライエッチング等により可動板220周部にスリット形成を行う。このスリット形成で枠部225と可動部221とが弾性のあるヒンジバネ222で接続された構造が完成する(5)。この工程(5)により作製された構造体は、支持層271部分がキャップ基板210に、酸化層272がスペーサとなり可動板220と一体的な構造となっている。すなわち、図29で示した可動板220の製造工程ではキャップ部(板)付きの可動板(合体構造体300という)が製造される。
なお、SOI基板のキャビティ315内に充填材、例えば有機系のフォトレジストを充填しておき、後に除去するようにしてもよい。このように、キャビティ315に充填材を充満させておくことで、加工工程での可動板の変形を確実に抑制できる。
そして、図30の上段に示すように、合体構造物300を固定基板230に載せて接合面290で陽極接合すれば、固定基板230まで含んで密封接合したマイクロリレー構造を実現する。さらには、図30下段に示すように固定基板230の裏面に配線パターン291を形成すればマイクロリレーチップ200が得られる。前述した説明から明らかなように、図29、図30の工程では、より簡易にマイクロリレーを製造できる。なお、図30の工程で用いた固定基板230は、先に説明した図25の工程により同様に製造できるので、ここでの重複する説明は省略する。
前述までの実施例では、可動板の枠部内に可動部を1個だけ備えたマイクロリレーの構造例を示した。しかし、このようなマイクロリレーは電子機器の回路内で、複数が隣接配置されて用いられる場合も多い。この場合には回路内でのスタブの発生が問題となる場合がある。以下では、複数の可動部を備えた構造とすることにより、さらに高周波特性に優れたマイクロリレーの構造例を示す。このマイクロリレーは、信号伝送路(信号ライン)上の不要な突出部(スタブ)を抑制できる構造となる。
まず、マイクロリレーを複数用いた場合の回路内でのスタブについて簡単に説明しておく。上記までに説明した、可動板に1つの可動部を有する基本的なマイクロリレーは、2つの隔たれた一対の固定端子(接点端子と称している)を、1つの可動接点で架橋閉成する。これはアイソレーション特性や製造が簡易である等で有利である。しかし、この基本的な構造のマイクロリレーを複数用いて回路を形成すると、スタブが形成されてしまう。スタブの入力インピーダンスは式(I)に示すように波長とスタブ長さにより決まる。
Zin=−j Zo cotβl ・・・式(I)

Zin: スタブの入力インピーダンス
Zo : 伝送路の特性インピーダンス
β= 2π/λ
λ: 伝送線路上の波長
l: スタブ長さ
βl : 電気長
周波数が高く、スタブ長が大きくなるほど、影響が大きくなり、インピーダンスの不整合のため、反射が発生して挿入損失が大きくなったり、波形を遅らせるなどの原因となる場合がある。フィルタや高周波回路などでは、特定の周波数に絞り、スタブを利用する場合がある。しかし、リレーではDCから高周波信号まで広い帯域で使用するため、できる限りスタブを含まない構造とすることが好ましい。
図31はマイクロリレーを2個用いた場合のスタブについて示した模式図である。図31では、コモン301を共通にして第1のライン302と第2のライン303からそれぞれ出力1と出力2を生成できる回路を示している。この回路では、第1のマイクロリレー304と第2のマイクロリレー305とが配設され、これらが交互に閉成、開離される。図31では、第1のマイクロリレー304を閉成、第2のマイクロリレー305を開離させて、出力1として高周波信号306を流した状態を示している。この場合には、参照符号308で示す部分がスタブとなり、第2の回路側にスタブによる反射307が発生してしまう。
図32は、(A)で2個のマイクロリレーを並列した場合のスタブの発生、(B)でマイクロリレーの上下に接点を形成した場合のスタブの発生を構造的に示した図である。図32(A)では、2つのマイクロリレーを分岐点309で接続した構造を示している。左側のマイクロリレーが閉成している場合には、参照符号308で示す箇所がスタブとして作用してしまう。また、図32(B)のように1つのマイクロリレーの上下に接点を設けても、参照符号308で示す箇所がスタブとして作用してしまう。このように実質的に2つのマイクロリレーを含む構造を隣接して設けるとスタブが発生して問題となる。以下で示すマイクロリレーはこのスタブを削減できる構造を備えている。
図33は、可動板に2つの可動部を有するマイクロリレーの概要構成例を示した図である。図33で示すマイクロリレーも固定基板330とキャップ基板310の間に可動板320を設けた構造を有している。しかし、この可動板320内には2つの可動部321、323が形成されている。第1可動部321、第2可動部323のそれぞれは第1可動接点322、第2可動接点324を有している。第1可動部321及び第2可動部323の他の部分は、実質的に可動電極を構成している。このような各可動部の構成は前述したマイクロリレーの場合と同様である。
固定基板330側には第1固定接点333及び第2固定接点334が形成されている。第1固定接点333は第1可動接点322に、第2固定接点334は第2の可動板324に対応している。この図33で示す構造では、固定接点333、334の片方側の信号ラインは共通のコモン端子335となっている。よって、図示のように第1可動部321が下がり第1可動接点322が第1固定接点333を閉成したときには、前述した場合と同様に参照符号308で示す共通ラインの半分がスタブとなる。しかしながら、このライン308はマイクロリレー内の極めて短い配線であるので、図32で示した構造と比較して悪影響を発生させることがない。なお、図33では固定接点333,334の周部に存在している固定電極の図示を省略している。固定電極の構成についてはこの後の実施例で詳述する。
(第17実施例)
図34及び図35は、第17実施例に係るマイクロリレーについて示した図である。図34はマイクロリレーのチップ部を分解した斜視図、図35はマイクロリレーチップの断面構成例を模式的に示した図である。この実施例は図33で示したマイクロリレーの構造をより詳細に示すものである。図33で示した部分と同様の部分には同一符号を付している。
キャップ基板310にはキャビティ315を有している。このキャビティにより下部の可動部とのクリアランスが確保されている。可動板320は枠部325内に2つの第1可動部321と第2可動部323を有している。第1可動部321は下面には第1可動接点322を有している。また、第2可動部323には下面に第2可動接点324を有している。
各可動部321、324は枠部325にヒンジバネ327を介して接続され上下動できるようになっている。この可動板320は、例えばシリコン単結晶のような半導体材料にドーピングして導電性を付与した基材を用いて形成されている。この基材をエッチングして枠部325内に、ヒンジバネ327を介して2つの可動部321、323を形成できる。この構造では、第1可動部321と第2可動部323とが電気的に導通した構造となる。これら可動部321、323は実質的に可動電極として機能する。
固定基板330は、第1可動部321及び第2可動部323に対向するように2つの固定電極が形成されている。これらの第1固定電極331と第2固定電極332は、電気的に絶縁されている。これら固定電極331,332は各スルーホール338を介して外部側から給電されている。
また、第1可動部321の第1可動接点322、第2可動部323の第2可動接点324が対向する位置には、それぞれ端子を隔てて形成した第1固定接点333と第2固定接点334が形成されている。これら固定接点333,334は各スルーホール336を介して外部配線と接続されている。第1固定接点333及び第2固定接点334の一方の端子は、コモン端子335に接続されている。このコモン端子335はスルーホール337を介して外部配線と接続されている。
本実施例の構造例では、キャビティ315を有したキャップ基板310を用いると共に、可動部321、323の下側の移動を確保するために固定接点333、334を形成した部分を周部より低くした段状の固定基板330を用いている。よって、可動板320は枠部325及び可動部321,323を平坦に形成されている。このような可動板320の形態は、加工が容易となる。ただし、図34で示す場合とは異なり、固定基板330側を平坦として可動板320の枠部に厚みを持たせた形態でもよい。可動板320側の枠部325に厚みを持たせた構造は可動部が1つである場合を説明した前述実施例で多く例示している。
図35は、図34示したマイクロリレーの断面構成を模式的に示した図である。本実施例のマイクロリレーは、可動板320の枠部325が固定基板330の周部枠上に乗り、さらにその上からキャップ基板310が載置された構造である。固定基板330の周部には可動板の枠部325に電源を供給するためのスルーホール339が形成されている。可動板320はこの給電用スルーホール339を介して外部電源と接続されている。この枠部325から可動電極となる第1可動部321及び第2可動部323に電圧が供給される。
本マイクロリレーでは第1固定電極331と第1可動部321との間、又は第2固定電極332と第2可動部323との間で、静電引力を発生させる。これにより、第1可動接点322が第1固定接点333を閉成し、又、第2可動接点324が第2固定接点334を閉成する。その際、一方の固定接点が閉成したときに、他方の固定接点の端子からコモン端子335の距離が極短いのでスタブ発生の影響を受けることが殆ど無い。
図36は、図35で示した第17実施例のマイクロリレーを作動させた様子を示した図である。同図にはマイクロリレーを駆動させる駆動回路及び外部制御スイッチ360が示されている。このスイッチ360は2つの接点361と362とを有している。ここで、上段に示すように、スイッチ360を接点361と接続すると、固定基板330の第1固定電極331と第1可動部321との間に電圧が生じる。よって、第1可動部321が下がり、第1可動接点322が第1固定接点333を閉成する。このとき、第2可動接点324と第2固定接点334は開離状態となる。
また、中段で示すようにスイッチ360を両接点361及び362から離すと、第1固定接点333及び第2固定接点334が開離したニュートラル状態を形成できる。さらに、下段に示すように、スイッチ360を接点362と接続すると、第2固定電極332と第2可動部323との間に電圧が生じる。よって、第2可動部323が下がり、第2可動接点324が第2固定接点334を閉成する。
上記のように本実施例のマイクロリレーでは固定接点333、334を交互に閉成して所望の信号ラインの切り替えができる。その際のスタブの影響は殆ど無い。ただし、図36に示した回路構成では、第1固定電極331はGND(グランド)電位、第2固定電極332は正電位にされている。可動板320に正電位又はGND電位を与え、2つの固定電極331、332を別々の制御スイッチで独立に制御してもよい。この場合には第1可動部321及び第2可動部323を同時に閉成した状態を形成することもできる。
(第18実施例)
図37及び図38は、第18実施例に係るマイクロリレーについて示した図である。図37はマイクロリレーのチップ部を分解した斜視図、図38はマイクロリレーチップの断面構成例を模式的に示した図である。この第18実施例では2つの可動部、すなわち第1可動部321と第2可動部323とが電気的に絶縁された構造となっているのが前記第17実施例と異なっている。また、このマイクロリレーでは、キャップ基板310が固定基板330に接合される点も異なっている。なお、本実施例でも図33で示した部分と対応する部分には同一符号を付している。
本実施例の可動板320は完全に分離された第1可動部321と第2可動部323とで構成されている。第1可動部321は、その前後がヒンジバネ327を介して支持部351により支持されている。この支持部351は前述までの枠部の一部と見ることができる。同様に第2可動部323も、その前後がヒンジバネ327を介して支持部352により支持されている。
本マイクロリレーを組み立てる際には、上記支持部351、352は固定基板330の外周部339の一部に乗るように配置する。外周部339の支持部351、352を載せる位置には給電用のスルーホール356が形成されている。この第1可動部321及び第2可動部323を内部空間に包むように上部からキャップ基板310が載置されて図38で示す状態となる。ここで図示は省略しているが、キャップ基板310の外周部319には固定基板330の外周部339との間で支持部351、352を挟む為の段部が形成されている。
また、本実施例の固定基板330では1つの固定電極355が、第1可動部321及び第2可動部323に対応している。すなわち、前述した第17実施例の場合とは異なり、第1可動部321と第2可動部323に対向する固定電極が電気的に導通した構成である。このような構成の違いによる動作の相違はこの後の説明で明らかとする。なお、図37に示した例では可動部321、323に対応する大きさに形成されているが、独立した固定電極を2つ配置して電気的に導通状した構造としてもよい。
図39は、図38で示した第18実施例のマイクロリレーを作動させた様子を示した図である。同図にはマイクロリレーを駆動させる駆動回路及び2個の外部制御スイッチ370及び375が示されている。これらのスイッチ370及び375は、それぞれ2つの接点を有している。スイッチ370は接点371、372を備え、スイッチ375は接点376、377を備えている。
図39の第1段に示すように、スイッチ370を接点371と接続し、スイッチ375を接点376と接続すると固定基板330の第1固定電極331と第1可動部321との間に電圧が生じる。よって、第1可動部321が下がり、第1可動接点322が第1固定接点333を閉成する。このとき、第2可動接点324と第2固定接点334は開離状態となっている。
次に第2段で示すように、第1段で示したスイッチの状態からスイッチ375を接点377に切替えて接続すると固定基板330の第1固定電極331と第1可動部321との間の供給ラインが切れて、第1可動接点322が第1固定接点333から開離する。このとき、第2可動接点324と第2固定接点334は開離状態を維持しており、ニュートラル状態となる。
次に第3段で示すように、第2段で示したスイッチの状態からスイッチ370を接点371に切替えて接続すると固定基板330の第2固定電極332と第2可動部323との間に電圧が発生して、第2可動接点324が第2固定接点334を閉成する。このとき、第1可動接点322と第1固定接点333は開離状態を維持している。
さらに、最下の第4段で示すように、第3段で示したスイッチの状態からスイッチ375を接点376に切替えて接続すると、固定電極335と第1固定接点321及び第2可動部323との間に電圧が発生して、両可動接点322、324が両定接点333、334を閉成する。上記のように本実施例のマイクロリレーでは、固定接点333、334を交互に閉成したり、両方の固定接点を同時に閉成して所望の信号ラインの切り替えを行うことできる。その際のスタブの影響は殆ど無い。
上記のように図39に示した回路構成では、2つの可動部321と323とが互いに絶縁されており、独立して制御が可能である。このように固定電極355を予めGDN電位とし、2つのスイッチ370,375を切替えることで所望の信号を供給できる。なお、一方の可動部にGND(グランド)電位、他方の可動部に正電位を供給する構成を採用してもよい。ただし、この場合には図39の最下段に示すように両固定接点333,334を同時に閉成することはできない。
(第19実施例)
図40は、第19実施例に係るマイクロリレーについて示した分解した斜視図である。この図でも前述した実施例と同様部位には同一の符号を付している。本実施例のマイクロリレーでは、コモン端子335の位置を第1固定接点333と第2固定接点334の直線上に配置して、信号ラインを一直線としている。このように信号ラインを一直線にすると、固定基板330の面積を小さくすることができるので好ましい。
ところで、本実施例の可動板320は枠部325の内部に電気的に絶縁された2つの可動部321,323を配置させた構造例を合わせて示している。この構造では枠部325も第1可動部321及び第2可動部323から分離している。この枠部325はスペーサとして機能しており、固定基板330とキャップ基板310の間に可動板320がを挟んだ構造となる。
ところで、図34で示した第17実施例のマイクロリレーは枠部325が第1可動部321及び第2可動部323と電気的に接続され、固定基板330とキャップ基板310の間に可動板320を挟んだ構造である。一方、図37で示した第18実施例のマイクロリレーは枠部が無く、第1可動部321と第2可動部323とが電気的に絶縁され、固定基板330とキャップ基板310が接続された構造である。よって、図40で示す構造は第17、第18実施例で示した構造の中間的な構造が例示されていることになる。
(第20実施例)
図41は第20実施例に係るマイクロリレーについて示した図である。この実施例は図40の実施例に関連した供給ラインの配置に関するものである。図41(A)は両固定接点333,334からの距離が等しくなるようにコモン端子335を設けた場合、(B)は一方の固定接点334側に偏移させてコモン端子335を設けた場合を示している。(A)の場合はスタブ308が同じになるので、マイクロリレーの高周波特性を平等にすることができる。また、(B)の場合は固定接点333を閉成した場合のスタブ308が短くなるので一方の出力の高周波特性を重視した構造にできる。
(第21実施例)
図42は、可動部の横方向の動きを抑制する第21実施例について示した図である。図42は図37で示した支持部351,352で支持される可動部321、323を改良した場合を示している。支持部351,352に凸部381を設け、これに対応する凹部382が可動部321、323に形成されている。このように凹部及び凸部を設けた構造することで横方後方の動きを規制し、マイクロリレーの耐衝撃性を向上させることができる。
図43は、上記第21実施例の変形例について示した図である。図43(A)は可動部の平面図、(B)は斜視図を示している。図示のように細いヒンジバネ328に変更している。このようなヒンジバネ328によりばねのスチフネスを小さくでき可動部を動き易くすることができる。
さらに、図44から図46を参照して、枠部内に電気的に絶縁された2つの可動部を有する第19実施例のマイクロリレーを製造する場合の工程例を説明する。図44は可動板320をキャップ基板310に接合してキャップ−可動板接合体を製造する工程、図45はこのキャップ−可動板接合体を示す斜視図、また図46は固定基板を製造し、上記キャップ−可動板接合体に組み付けてマイクロリレーチップを完成するまでの製造工程を示した図である。
図44ではキャップ−可動板接合体を完成するまでの工程を示している。まず、SOI基板が準備される(1)。このSOI基板は、厚いシリコンからなる支持層391上にSiO2等からなる酸化膜層(絶縁層)392を介して単結晶シリコン等による活性層393が積層された構造を有している。このSOI基板の活性層393に不純物をドーピングして導電性を付与する。さらに、その表面にスパッタリング等により例えばSiO2の酸化膜層394を形成する(2)。
続いて、酸化膜層394上にガラス、半導体基板等の基材にキャビティ315を備えたキャップ基板310を接合する(3)。これを反転させて、不要な支持層391を除去する(4)。続いて、酸化膜層392上に、スパッタリング、メッキ法等により所定間隔を持って導電材料を成膜し、第1可動接点322及び第2可動接点324を形成する(5)。
この後、可動板320のスリット形成を行う。このスリット形成で枠部225並びに、第1可動部321及び第2可動部323を分離させて形成する。そして、支持部351と第1可動部321を弾性のあるヒンジバネで接続された構造及び支持部352と第2可動部323を弾性のあるヒンジバネで接続された構造された構造を作製する(6)。ただし、この(6)では支持部351、352は図示されていない。
図44の工程により、図45に示すようなマイクロリレーの半完成体としてキャップ−可動板接合体が作製される。図44で示す断面は図45のCRS断面で示している。この図45により、枠部525及び支持部351、352で支持される第1可動部321及び第2可動部323の配置が確認することができる。可動板320に単結晶シリコンを用いていれば、RIE処理によりこのような構造を簡単に形成できる。
続いて図46に示した工程により、先ず固定基板330が製造される。0.2〜0.4mm程度の厚みのガラス或いはシリコン基板を準備する(1)。前述したと同様にガラス基板ではパイレックス(登録商標)ガラスを用いることが推奨される。この基板の外周部を残し、この後に形成される固定電極、固定接点が形成される領域をエッチングして段状に形成する(2)。このように固定基板330側を段状に形成することにより可動部321,323が移動するクリアランスを形成する。可動部321,323が移動する為のクリアランスを確保する構造としては、他に固定基板330側を平坦に形成して、可動板の枠部を厚く形成してもよい。
このガラス基板に、スルーホール形成用の穴336、337、338を設ける(2)。スルーホール336は第1固定接点及び第2固定接点の端子から配線を外部に引き出し、スルーホール337はコモン端子から配線を外部に引き出し、またスルーホール338は固定電極355から配線を外部に引き出すために形成される。この様な穴はレーザ、サンドブラスト等を用いて作製することができる。この穴(スルーホール)にメッキ等を用いて導電性材料を充填する(3)。導電性材料として、例えば金、銅、アルミ等を用いることができる。
さらに、スパッタリング法、メッキ法等により固定電極335、第1固定接点333及び第2固定接点334を形成する。これらを形成する材料としては、金、白金等を用いることができる。下層に金をひいてその上に白金系の元素Rh、Ru、Pd、Pt等を載せてもよい。特に可動接点と接する固定接点は、耐磨耗がある白金系の金属を表面に有していることが望ましく、その下に弾性ある金が存在するとクッションとして機能したり、導体抵抗が小さくのでより好適な構造となる。さらに、底面側に配線パターンが形成されて固定接点330が完成する(4)。
最後に図46の最下段に示すように、図44のキャップ−可動板接合体と上記固定基板330を積層状態に組み付けてマイクロリレーを製造する半完成状態のキャップ−可動板接合体を上下ひっくり返して固定基板330上に配置して、密封接合する。この接合には陽極接合を用いることが望ましい。固定基板330側にマイナス(−)、可動板320側にグランド(GND)として陽極接合すると、簡易に両者を密着させて接合できる。
上記接合の際には、減圧雰囲気、より好ましくは不活性ガス(N2等)や耐絶縁性の高いガス(SF6等)の雰囲気で実行する。これにより、内部に不要なガスを残留させずにマイクロリレーを密封でき、接点表面酸化防止や絶縁性能向上が期待できる。よって、このように製造されたマイクロリレーチップをさらにダイシング工程で個片化しても、内部が影響を受けることが無いので信頼性のあるマイクロリレーチップを製造できる。このようなマイクロリレーチップは、さらに前記図2で示したものと同様の工程を経て製品としてのマイクロリレーディバイス200にされる。
さらに図47から図49は、上記のような2つの固定接点を備えるマイクロリレーの採用例について示した図である。図47は、上記実施例で示した2つの接点を有するマイクロリレーを多数個組み合わせて基板上に実装した無反射形リレーモジュール例を回路図で示している。無反射形リレーモジュール内の最小単位は、いわゆる1c構成の接点であり、使用しない出力を終端抵抗に接続する。通常のリレーで構成すると構造が大きくなるが、本マイクロリレー多数組み合わせたリレー401を用いることにより全体を小型化できる。なお、参照符号402で示すのは終端抵抗である。
そして、図48に示すように同軸コネクタの付いた同軸スイッチの内部化回路としてこのモジュールを組み入れることで同軸スイッチの小型化が可能になる。また、図示するようにモジュール内に昇圧回路403を組込むことで低電圧化を図ることができる。また、多数のリレーを論理的に駆動する制御回路404を搭載してもよい。なお、接点構成としては、SPDT(1c)、SP4T、SP6T型等の種々のタイプを採用できる。
上記採用例と同様に、2つの固定接点を備えるマイクロリレーを多数個組み合わせたステップアッテネータ例を図49に示した。アッテネータ410は、減衰器で、入力した信号を任意のアッテネータ回路の組み合わせで、小さい信号として出力する。これにも本マイクロリレーを多数、組合わせたリレー401を用いて構成できる。上記具体例については、一つのウェハでリレーを集積することも考えられるが、リレーモジュールやアッテネータでは多様な組み合わせに対応し難い場合が多い。特にアッテネータでは精度の高い抵抗が作り難いなどの問題があるため、本マイクロリレーおよび抵抗等を多数個、基板上に実装してモジュール化した構造が有利である。
上記実施例では可動部を2つ設けた例を示したが3以上の複数としてもよい。この場合には各可動部を一直線状に配置するばかりでなく、平面内に配置するようにしてもよい。なお、図30までの実施例では可動部が1つである基本的なマイクロリレーの構造を説明した。また、図31以後の実施例では可動部を複数設けたマイクロリレーの構造例について説明した。しかし、これらの実施例には、可動部の設定
数に関係なくどちらの形態のマイクロリレーにも適用できる実施例が含まれていることを付言しておく。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲
内において、種々の変形・変更が可能である。
以上詳述したところから明らかなように、本発明のマイクロリレーは、半導体可動電極と定電極との間で生じる静電引力に基づいて、可動部が固定基板とキャップ基板との間を移動することにより接点の閉成、開離が行われる。この構造のマイクロリレーは半導体製造技術を用いて微小に、効率よく製造できる。そして、前記枠部は両基板の間に密封接合されているので、可動部の移動する空間を外気から遮蔽することができる。この空間には接点、電極等が露出しているので汚染や腐食を防止することができる。よって、ウェハ上に本マイクロリレーを多数形成して、ダイシングするような工程があっても、信頼性あるマイクロリレーとして提供できる。
また、予めキャビティを備えたキャップ基板を用いることにより、本発明のマイクロリレーは工程を簡素化して製造できる。また、複数の可動部を含んだ構造とすることによりスタブによる影響を抑制し、高周波特性に優れたマイクロリレ
ーとすることができる。
第1実施例のマイクロリレーのチップ部を分解した斜視図である。 図1のマイクロリレーチップを完成品としてのマイクロリレーディバイスに仕上げる様子を順に示した図である。 図1のマイクロリレーチップの断面構成例を模式的に示した図である。 第1実施例の変形例で、可動板と固定基板との間で埋め込み配線を用いた場合の分解斜視図である。 図4で示したマイクロリレーの側部断面を模式的に示した図である。 第1実施例のマイクロリレーを作動させた様子を示した図である。 第2実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第3実施例のマイクロリレーにいて示した図である。 第4実施例のマイクロリレーにいて示した図である。 第5実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第5実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第6実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第6実施例のマイクロリレーの改良例について示した図である。 第7実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第8実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第9実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第10実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第11実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第12実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第13実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第13実施例のマイクロリレーの変形例について示した図である。 第14実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第15実施例のマイクロリレーについて示した図である。 第16実施例のマイクロリレーについて示した図である。 実施例の固定基板の製造工程を示した図である。 実施例のキャップ基板について示した図である。 実施例の可動板の製造工程を示した図である。 マイクロリレーチップを完成するまでの製造工程を示した図である。 工程を簡素化したマイクロリレーの製造例について示した図である。 工程を簡素化したマイクロリレーの製造例について示した図である。 マイクロリレーを2個用いた場合のスタブについて示した模式図である。 (A)で2個のマイクロリレーを並列した場合のスタブの発生、(B)でマイクロリレーの上下に接点を形成した場合のスタブの発生を構造的に示した図である。 可動板に2つの可動部を有するマイクロリレーの概要構成例を示した図である。 第17実施例に係るマイクロリレーの分解斜視図である。 図34のマイクロリレーチップの断面構成例を模式的に示した図である。 第17実施例のマイクロリレーを作動させた様子を示した図である。 第18実施例に係るマイクロリレーの分解斜視図である。 図37のマイクロリレーチップの断面構成例を模式的に示した図である。 第18実施例のマイクロリレーを作動させた様子を示した図である。 第19実施例に係るマイクロリレーの分解斜視図である。 第20実施例に係るマイクロリレーについて示した図である。 可動部の横方向の動きを抑制する第21実施例について示した図である。 第21実施例の変形例について示した図である。 可動板をキャップ基板に接合してキャップ−可動板接合体を製造する工程を示した図である。 キャップ−可動板接合体を示す斜視図である。 固定基板を製造し、キャップ−可動板接合体に組み付けてマイクロリレーチップを完成するまでの製造工程を示した図である。 実施例で示した2つの接点を有するマイクロリレーを多数個組み合わせて基板上に実装した無反射形リレーモジュール例を示した回路図である。 同軸コネクタの付いた同軸スイッチの内部化回路としてマイクロリレーを含むモジュールを採用した例を示す図である。 ステップアッテネータにマイクロリレーを採用した例を示す図である。
200 マイクロリレーディバイス
205 マイクロリレーチップ
210 キャップ基板
215 キャビティ
219 スルーホール
220 可動板
221 可動部
222 ヒンジバネ(弾性部材)
223 可動接点
224 凸部
225 枠部
230 固定基板
231 固定電極
233 固定接点
250 放電抵抗
260 駆動回路
310 キャップ基板
315 キャビティ
320 可動板
321 第1可動部
322 第1可動接点
323 第2可動部
324 第2可動接点
325 枠部
327 ヒンジバネ
330 固定基板
331 第1固定電極
332 第2固定電極
333 第1固定接点
334 第2固定接点
355 固定電極

Claims (12)

  1. 固定接点及び固定電極を有する固定基板と、該固定基板に対向して配置したキャップ基板と、前記固定基板と前記キャップ基板との間に配置した可動板とを備え、
    前記可動板は枠部と可動部とを含み、前記可動部は前記固定基板及び前記キャップ基板の表面に対して垂直方向に移動可能とする弾性部材を介して前記枠部に接続され、
    前記枠部は前記固定基板と前記キャップ基板との間で密封接合され、
    前記可動部は、前記固定電極と対向する可動電極及び前記固定接点に対応する位置に可動接点を備え、前記可動電極と前記固定電極との間で生じる静電引力に基づいて前記固定基板と前記キャップ基板との間を移動し、
    前記弾性部材は複数のヒンジバネであり、前記可動部は、前記枠部の4隅にそれぞれ設けたヒンジバネで前記枠部に接続され、ヒンジバネのバネ係数がそれぞれに異なることを特徴とするマイクロリレー。
  2. 固定接点及び固定電極を有する固定基板と、該固定基板に対向して配置したキャップ基板と、前記固定基板と前記キャップ基板との間に配置した可動板とを備え、
    前記可動板は枠部と可動部とを含み、前記可動部は前記固定基板及び前記キャップ基板の表面に対して垂直方向に移動可能とする弾性部材を介して前記枠部に接続され、
    前記枠部は前記固定基板と前記キャップ基板との間で密封接合され、
    前記可動部は、前記固定電極と対向する可動電極及び前記固定接点に対応する位置に可動接点を備え、前記可動電極と前記固定電極との間で生じる静電引力に基づいて前記固定基板と前記キャップ基板との間を移動し、
    前記弾性部材は複数のヒンジバネであり、前記可動部は、前記枠部の4隅にそれぞれ設けたヒンジバネで前記枠部に接続され、前記枠部の第1の辺に接するヒンジバネのバネ係数と、前記第1の辺に対向する前記枠部の第2の辺に接するヒンジバネのバネ係数とが異なることを特徴とするマイクロリレー。
  3. 請求項1又は2に記載のマイクロリレーにおいて、
    前記ヒンジバネが、前記枠部及び可動部より薄く形成されていることを特徴とするマイクロリレー。
  4. 請求項1又は2に記載のマイクロリレーにおいて、
    前記枠部及び可動部の少なくとも一方に可動部の面内方向での移動を規制するストッパを備えていることを特徴とするマイクロリレー。
  5. 前記可動部及び固定電極の少なくとも一方に、電荷を除去するための電荷除去手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロリレー。
  6. 請求項に記載のマイクロリレーにおいて、
    前記電荷除去手段は、前記可動部と固定電極との間の配線上に設けた放電抵抗であることを特徴とするマイクロリレー。
  7. 前記可動部は前記固定基板に張付くことを防止するための凸部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロリレー。
  8. 請求項に記載のマイクロリレーにおいて、
    前記凸部は放電抵抗として作用する電荷除去手段となっていることを特徴とするマイクロリレー。
  9. 前記枠部は前記固定基板及び前記キャップ基板との間の少なくとも一方でスペーサを介して密封接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロリレー。
  10. 請求項に記載のマイクロリレーにおいて、
    前記スペーサは、製造工程で堆積処理されたポリシリコン又は金属を含むことを特徴とするマイクロリレー。
  11. 前記キャップ基板は、前記固定基板に対向して配置されキャビティを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロリレー。
  12. 請求項11に記載のマイクロリレーにおいて、
    前記キャビティ側の前記枠部と可動部とが同一面上に形成されていることを特徴とするマイクロリレー。
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