JP2014129829A - 免震部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】地震震動発生面側と免震対象部材側との間に介在させる、長周期地震動に対して対応可能に構成した免震部材を提供する。
【解決手段】地震震動発生面側Aと免震対象部材側Bとの間に、金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料で製した免震用柱体C,Cを介在させて構成した既存の免震構造において、先端を球体状とする滑動子2を具えた基台盤1を地震震動発生面側Aに取付け、滑動子2の定位置安定用たる球状凹部3aを形成すると共にこれと同心円状に順次連なる複数の滑動子転移用円弧状溝3b…を所要数連設して成る免震制御用盤体3を、滑動子2を、免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3aに接触させた状態で、免震制御用盤体3を免震対象部材側Bに固定化した免震部材。
【選択図】図1
【解決手段】地震震動発生面側Aと免震対象部材側Bとの間に、金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料で製した免震用柱体C,Cを介在させて構成した既存の免震構造において、先端を球体状とする滑動子2を具えた基台盤1を地震震動発生面側Aに取付け、滑動子2の定位置安定用たる球状凹部3aを形成すると共にこれと同心円状に順次連なる複数の滑動子転移用円弧状溝3b…を所要数連設して成る免震制御用盤体3を、滑動子2を、免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3aに接触させた状態で、免震制御用盤体3を免震対象部材側Bに固定化した免震部材。
【選択図】図1
Description
本発明は、地震震動発生面側と免震対象部材側との間に介在させることに依って、長周期地震動に対して対応可能とするように構成した免震部材に関する。
従来、地震に対する免震化を施すための部材として、「金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料」(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)が存在する。 これを地震震動発生面側と免震対象部材側との間に介在させることに依って、建物等に対する免震作用を付加するように構成したものがある。 図4はその一例を示し、地面のような地震震動発生面側Aと、建物のような免震対象部材側Bとの間に、「金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料」で製した免震用柱体C,Cを介在させるように構成したものである。
地震には短周期地震動(周期1秒前後)と、長周期地震動(周期5秒以上)とがある。 上記したような従来の免震装置、すなわち、図4に示すような免震装置の場合、縦揺れ的振動である直下型地震と、細かな横揺れである短周期地震動に対する対応は可能である。 然し乍、極めてゆっくりとした大きな横揺れ的な振動である長周期地震動が発生した場合は、その振幅が極めて大きいため、通常の免震用柱体C,Cでは地震の振幅に対応できず、また、これを対応できるだけの高さのものを用いた場合は座屈等が生じてしまうと推定された。
すなわち、長周期地震動のような極めてゆっくりとした横揺れ的な振動が伝わった場合、その振幅が大きいため、免震用柱体C,C自体の長さ不足によりその振幅に対応できず、図4に鎖線で示すように大きく傾いてしまった場合、弾力的復元が不能化され、傾斜した状態でロックしてしまったり、極端な場合は破壊的座屈が生じてしまうこととなる。
本発明はこのような問題の解消化を企図し、既存の免震装置に対して添設することにより、長周期地震動に対しても対応可能とするような改良がなされるようにするための新規の免震部材の提供を図ったものである。
本発明は請求項1に記載のように、地面に直接設置されている地震震動発生面側Aと、建物のような免震対象部材側Bとの間に、「金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料」で製した免震用柱体C,Cを介在させるように構成した既存の免震構造において、
先端を球体状とする滑動子2を具えた基台盤1を地震震動発生面側Aに取付け、上記滑動子2の定位置安定用たる球状凹部3aを形成すると共にこれと同心円状に順次連なる複数の滑動子転移用円弧状溝3b…を連設して成る免震制御用盤体3を、
上記した滑動子2を、免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3aに対して接触させた状態で、免震制御用盤体3を免震対象部材側Bに固定化するように構成した免震部材に係る。
先端を球体状とする滑動子2を具えた基台盤1を地震震動発生面側Aに取付け、上記滑動子2の定位置安定用たる球状凹部3aを形成すると共にこれと同心円状に順次連なる複数の滑動子転移用円弧状溝3b…を連設して成る免震制御用盤体3を、
上記した滑動子2を、免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3aに対して接触させた状態で、免震制御用盤体3を免震対象部材側Bに固定化するように構成した免震部材に係る。
本発明は請求項2に記載のように、滑動子2を鋼球とし、これを基台盤1に対して自由回転自在に取付けるように構成した請求項1に記載の免震部材を実施の態様とする。
本発明は請求項3に記載のように、基台盤1を免震対象部材側Bに固定化し、免震制御用盤体3を地震動発生面側Aに固定化するように構成した請求項1または請求項2の何れかに記載の免震部材実施の態様とする。
本発明は請求項4に記載のように、滑動子2を上下方向の弾力性を付与させた状態で基台盤1に対して設けるように構成した請求項1乃至請求項3の何れかに記載の免震部材を実施の態様とする。
本発明は請求項5に記載のように、地震震動発生面側Aを地盤とし、免震対象部材側Bとして建物等構築部材として成る請求項1乃至請求項4の何れかに記載の免震部材を実施の態様とする。
本発明は請求項1に記載のような構成を採用したから、地面に直接設置されている地震震動発生面側Aと、建物のような免震対象部材側Bとの間に、「金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料」で製した免震用柱体C,Cを介在させるように構成した既存の免震構造において生じた欠点、すなわち、長周期地震動のような極めてゆっくりとした横揺れ的な振動が伝わった場合、その振幅が大きいため、免震用柱体C,C自体の長さ不足によりその振幅に対応できず、図4に鎖線で示すように大きく傾いてしまった場合、弾力的復元が不能化され、振られた状態でロックされてしまったり、極端な場合は破壊的座屈が生じてしまうこととなる。
これに対して本発明を図1に示すように、免震用柱体C,C間に設けることに依り、長周期地震動に対して十分に対応可能とされる。 すなわち、長周期地震動に基づくゆっくりとした大きな横振れが発生した場合、その揺れの大きさに対応して、基台盤1の滑動子2が免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3aからその外側にある滑動子転移用円弧状溝3b…を順次乗り越えて移動すると言うような軌跡、すなわち、水平方向の移動と上下動するような移動とがミックスしたような軌跡を辿ることなる。 従って、当該軌跡は単純なる水平移動のものと比して長いものとされ、そのため長周期地震動のような大きな振れに対する対応が可能化され、齟齬なく免震作動がなされることとなる。
上述したように、本発明に係る免震部材が奏する作動は、球状凹部3aからその外側にある滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動(図3に鎖線で示すような位置への移動)、更には、次段の滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動に際し、水平方向の移動抵抗と、当該乗り越えるための垂直方向の移動抵抗との、二つの抵抗力が働くこととなる。 そして、このような移動上の抵抗力は、免震用柱体Cの揺れ動きを規制する力として作用するため、これが例えば座屈等のような過剰揺れ動きの発生を阻止することとなると同時に、長周期地震動のような大きな振れに対する対応が可能化される。
また、本発明は、建物または橋の橋脚等、地表上の各種構築物に対する免震部材としての使用、または、墓石または石灯篭の中間材または土台に対する免震材としての使用、更には、ショーケース、各種棚、フロアー上の美術品或いはコンピュータ等に対する免震部材としての利用を図ることも可能化される。
本発明は請求項2記載のように、滑動子2を鋼球とし、これを基台盤1に対して自由回転自在に取付けるように構成することに依り、球状凹部3aからその外側にある滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動(図3に鎖線で示すような位置への移動)、更には、次段の滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動が極めて迅速かつ正確に行われることとなる。 従って、免震作動の安定化が図られる。
本発明は請求項3に記載のような構成、すなわち、基台盤1を免震対象部材側Bに固定化し、免震制御用盤体3を地震震動発生面側Aに固定化するように構成することに依り、本発明は天地何れの形態でも同様な作用効果を奏することができる。
本発明は請求項4に記載のような構成、すなわち、滑動子2を上下方向の弾力性を付与させた状態で基台盤1に対して設けるように構成することにより、当該滑動子2の転動移動のより一層のスムーズ化が果たされ、免震作動の円滑化及び正確化が図られる。
本発明は請求項5に記載のような構成、すなわち、地震震動発生面側Aを地盤とし、免震対象部材側Bとして建物等構築部材とすることに依り、一般の建築用免震部材として広くその実施が図られる。
図4は従来の免震構造を表し、地面に直接設置されている地震震動発生面側Aと、建物のような免震対象部材側Bとの間に、「金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料」で製した免震用柱体C,Cを介在させるように構成したものである。
本発明はこのような従来の免震構造において生じた長周期地震動に対する既述したような問題点の解消化を果たすための免震部材に関する。
図1は発明の実施状態を表したものである。 すなわち、本発明は上述したような既存の免震構造において、免震用柱体Cの中心部分、例えば図1に示すように左右に対向させて2本の免震用柱がある場合はその中間部分に設ける。 そして、矩形の各隅角部に計4本の免震用柱体がある場合はその中心部、換言すると多数本の免震用柱が存在する場合は全てその中心部に位置させて設けるものである。
図2及び図3は本発明に係る免震部材だけを取り出して表したものである。 同図において、1は基台盤であって、先端を球体状とする滑動子2が設けられている。 図面においては、当該滑動子2は球体とし、これを自由回転自在に取付けるように構成してあるが、これを固定的に取付けるように構成してもよい。 更に、当該滑動子は先端を球体状とすることが重要であり、例えば先端を球状面とする突起状のものを、基台盤1に取付けるように構成しても良い。
更に、上記した滑動子2は上下方向の弾力性を付与させて基台盤1に設けるように構成しても良い。 その手段としては、滑動子の基部にスプリングを介在させて設けるか、或いは基台盤1として弾力性を具えた材料、例えばゴム材、若しくは免震用柱体Cと同様に「金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料」で形成するように構成しても良い。
3は円盤状を呈する免震制御用盤体であって、中心部には滑動子2の定位置安定用たる球状凹部3aを形成すると共に、これと同心円状に順次連なる複数の滑動子転移用円弧状溝3b…を所要数連設して成る凹面鏡状とするように構成してある。
図示の実施例にあっては、基台盤1側にある滑動子2を、免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3aに対して接触させた状態で、基台盤1を地震震動発生面側Aに固定化すると共に、免震制御用盤体3を建物のような免震対象部材側Bに固定化した状態とするようにして取り付けてある。 然し乍、図1の状態で天地逆転した形態で取り付けるように構成しても良い。 すなわち、基台盤1を免震対象部材側Bに取付け、免震制御用盤体3を地震震動発生面側Aに取付けるようにして実施することもできる。
図1に示す状態において、通常の地震である直下型地震及び短周期地震動を感知した場合は、既存の免震用柱体Cの縦方向の伸縮(縦揺れに対する免震作用)と横方向の揺れ動き(短周期地震動に対する免震作用)に基づく免震作用が奏される。 この時、本発明側は、免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3a内で、基台盤1の滑動子2が揺れ動くことに依り、免震用柱体Cの上記のような揺れ動きを妨げない。 すなわち、両者は同期状態とされるわけである。
次に、長周期地震動に基づくゆっくりとした大きな横振れが発生した場合、これに即応した免震用柱体Cの過剰的揺れ動き(既述したように座屈を伴うような限界を超えた揺れ動き)は、本発明に係る免震部材の存在に基づき阻止される。
すなわち、長周期地震動に基づくゆっくりとした大きな横振れが発生した場合、その揺れの大きさに対応して、基台盤1の滑動子2が免震制御用盤体3の中心部である球状凹部3aからその外側にある滑動子転移用円弧状溝3b…を順次乗り越えて移動することとなる。
従って、このような本発明に係る免震部材が奏する作動は、球状凹部3aからその外側にある滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動(図3に鎖線で示すような位置への移動)、更には、次段の滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動に際し、水平方向の移動抵抗と、当該乗り越えるための垂直方向の移動抵抗との、二つの抵抗力が働くこととなる。 そして、このような移動抵抗力は、免震用柱体Cの揺れ動きを規制する力として作用するため、これが例えば座屈等のような過剰揺れ動きの発生を阻止することとなる。
従って、このような本発明に係る免震部材が奏する作動は、球状凹部3aからその外側にある滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動(図3に鎖線で示すような位置への移動)、更には、次段の滑動子転移用円弧状溝3bへの乗り越え移動に際し、水平方向の移動抵抗と、当該乗り越えるための垂直方向の移動抵抗との、二つの抵抗力が働くこととなる。 そして、このような移動抵抗力は、免震用柱体Cの揺れ動きを規制する力として作用するため、これが例えば座屈等のような過剰揺れ動きの発生を阻止することとなる。
ところで、本発明は地震震動発生面側Aを地表とし、免震対象部材側Bを建物等構築部材とすることに依り一般的な構築物に対する免震部材としての利用を主たる目的とするものである。 すなわち、本発明を例えばビル等の構築物に対する免震部材として用いる場合は、図3に示すように地震震動発生面側A及び免震対象部材側B間に介在させ、このような介在点を所要数にして所要箇所に配置することに依り、当該構築物に対する免震作用が奏される。
また、地震震動発生面側Aを建物のフロアーとし、免震対象部材側Bを美術品またはコンピュータ等保護対象物とすることに依り、これらに対する免震部材としての利用を図ることができる。
すなわち、本発明は建物等の構築部材に対する免震用としての使用以外、例えばフロアー上に載置する美術品、コンピュータ機具等に対する免震部材として用いることができる。
A 地震震動発生面側
B 免震対象部材側
C 免震用柱体
1 基台盤
2 滑動子
3 免震制御用盤体
3a 球状凹部
3b 滑動子転移用円弧状溝
B 免震対象部材側
C 免震用柱体
1 基台盤
2 滑動子
3 免震制御用盤体
3a 球状凹部
3b 滑動子転移用円弧状溝
Claims (5)
- 地面に直接設置されている地震震動発生面側(A)と、建物のような免震対象部材側(B)との間に、「金属とゴム材等弾性資材を層状化してなる材料」で製した免震用柱体(C,C)を介在させるように構成した既存の免震構造において、
先端を球体状とする滑動子(2)を具えた基台盤(1)を地震震動発生面側(A)に取付け、上記滑動子(2)の定位置安定用たる球状凹部(3a)を形成すると共にこれと同心円状に順次連なる複数の滑動子転移用円弧状溝(3b…)を所要数連設して成る免震制御用盤体(3)を、
上記した滑動子(2)を、免震制御用盤体(3)の中心部である球状凹部(3a)に対して接触させた状態で、免震制御用盤体(3)を免震対象部材側(B)に固定化するように構成した免震部材。 - 滑動子(2)を鋼球とし、これを基台盤(1)に対して自由回転自在に取付けるように構成した請求項1に記載の免震部材。
- 基台盤(1)を免震対象部材側(B)に固定化し、免震制御用盤体(3)を震震動発生面側(A)に固定化するように構成した請求項1または請求項2の何れかに記載の免震部材。
- 滑動子(2)を上下方向の弾力性を付与させた状態で基台盤(1)に対して設けるように構成した請求項1乃至請求項3の何れかに記載の免震部材。
- 地震震動発生面側(A)を地盤とし、免震対象部材側(B)として建物等構築部材として成る請求項1乃至請求項4の何れかに記載の免震部材。
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