JP2014129573A - 射出成形用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属粉末の射出成形法において、加熱脱脂の時間を大幅に短縮し、且つ従来の問題であった成形に発生するひけ・クラック等の成形欠陥の問題を解決し、複雑な成形体においても健全な脱脂、焼結体を得ることができる射出成形用組成物を提供する。
【解決手段】焼結可能な金属粉末と、有機バインダとからなり、前記有機バインダを構成する成分が、(a)融点が30℃以上100℃未満の結晶性ポリアルファオレフィン、(b)ポリオキシメチレン、(c)荷重たわみ温度が85℃以下であるポリオレフィン樹脂、(d)パラフィンワックス、を含有して金属粉末の射出成形用組成物が構成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形により金属粉末の成形体を製造し、この成形体から焼結体製品を製造するための射出成形用組成物に関する。
近年、複雑な形状の金属製品を成形するために粉末射出成形法が利用されている。この射出成形法では、金属粉末に流動性を持たせるために種々の有機化合物及び熱可塑性樹脂を添加し、加熱混練の後、これを成形用原料として射出成形し、得られた成形体を脱脂・焼結することにより、焼結体製品を得るものである。従来から用いられている射出成形用組成物、なかでも金属粉末を用いた射出成形用組成物では多くの場合、高分子化合物としてポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体及びポリスチレン樹脂等を用い、低分子化合物としてパラフィンワックス、カルナバワックス、ステアリン酸等を用いてバインダとするものであった。
しかし、これらのものを用いた場合には、多くの場合、軟化点が低いために加熱脱脂時に変形を生じやすいという問題があり、脱脂工程が長時間化する要因となっていた。
一方、低分子化合物としてパラフィンワックスを使用するため、成形時のパラフィンワックスが分離することで成形体に欠陥が生じる。併せて成形時の際金型に分離したパラフィンワックスが固着して金型が破損する問題が生じるため、金型のメンテナンスを頻繁に行う必要がある。また、パラフィンワックスの添加量が多くなると成形体にひけが生じたり、もろくなったりすることで、健全な成形体を得ることが困難になる。
特に、高分子化合物にポリオレフィン系ポリマーであるポリアセタール、ポリスチレン、メタクリル酸樹脂等を多く用いた際に上記のパラフィンワックスの分離が生じる事が多い。このことから、成形体がもろくなり、成形時クラックが生じる事が多い。
また、有機バインダとしてのパラフィンワックスの添加量が増加すると、成形体のひけが大きくなると共に成形体がもろくなる。
特開平2−145704号公報 特開平4−247802号公報 特開平5−98306号公報 特許第311306号 特許第3081779号 特開平11−343503号公報 特開2012−21172号公報
本発明は、金属粉末の射出成形法において、加熱脱脂の時間を大幅に短縮し、且つ従来の問題であった成形に発生するひけ・クラック等の成形欠陥の問題を解決することで、複雑な成形体においても健全な脱脂、焼結体を得ることができる射出成形用組成物を提供することを課題とする。
本願発明は、金属粉末と有機バインダを混合したものを原料(射出成形用組成物)として射出成形し、この射出形成体を脱脂・焼結して目的製品を得る方法において、焼結可能な金属粉末と、有機バインダとからなる射出成形用組成物に適用されるものである。本発明者らは、前記有機バインダとして、(a)融点が30℃以上100℃未満の結晶性ポリアルファオレフィン、(b)ポリオキシメチレン、(c)荷重たわみ温度が85℃以下であるポリプロピレン共重合体、(d)パラフィンワックス、を含有する有機バインダを用いることにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明にかかる射出成形用組成物は、焼結可能な金属粉末と、有機バインダとからなり、前記有機バインダを構成する成分が、(a)融点が30℃以上100℃未満の結晶性ポリアルファオレフィン、(b)ポリオキシメチレン、(c)荷重たわみ温度が85℃以下であるポリプロピレン共重合体、(d)パラフィンワックスを含有して構成される。当該射出成形用組成物を射出して得られた成形体を脱脂焼結することにより変形、膨れ及び割れ等の欠陥がなく、バインダからの残留カーボンが非常に少ない金属焼結体を短時間に得ることができる。
特に、前記成分(a)、(b)、(c)及び(d)を含有する有機バインダを25以上〜55未満vol%含むとともに、この有機バインダの組成比がa:3以上〜30vol%、b:5〜30vol%、c:5〜30vol%、d:30〜70vol%を含有するように構成するのが望ましい。前記射出成形用組成物を用いれば、加熱脱脂の時間を大幅に短縮し、且つ従来の問題であった成形に発生するひけ・クラック等の成形欠陥の問題を解決することができる。また、複雑な成形体においても健全な脱脂、焼結体を得ることが可能となる。
加熱脱脂の時間を大幅に短縮し、且つ従来の問題であった成形に発生するひけ・クラック等の成形欠陥の問題を解決することにより、複雑な成形体においても健全な脱脂、焼結体を得ることができ、膨れ、クラックの無い最終製品を製造することができる。
結晶性ポリアルファオレフィンとパラフィンワックス混合物の示差熱測定による温度に対する旧熱量の変化を示す図である。
本発明にかかる有機バインダの成分の(a)結晶性ポリアルファオレフィンとしては、融点が30℃以上100℃未満のものが用いられる。本発明において、結晶性ポリアルファオレフィンは不活性ガス雰囲気下においても400℃以下で速やかに熱分解し、熱分解時に残留しない。このことから焼結時において、不純物として存在せずに健全な焼結体を得ることができる。また、前記結晶性ポリアルファオレフィンのα−オレフィンとして、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。軟質ポリオレフィン系樹脂は、これらα−オレフィンの単独重合体でもよく、共重合体でもよい。共重合体の場合には、上記のα−オレフィンの他、エチレンを含んでいてもよい。
結晶性ポリアルファオレフィンとパラフィンワックスとの混合比を変えて、作成した混合物の示差熱測定を行った結果を図1に示す。雰囲気ガスは窒素を用いて、昇温速度毎分5℃で行った。測定結果から、パラフィンワックスに結晶性ポリアルファオレフィンを添加し、添加量を増加させることで、30℃前後に生じるパラフィンワックスの吸熱ピークが減少することが確認された。このことからパラフィンワックスに含まれる、低融点ワックスの溶融が抑えられていることが確認された。また、結晶性ポリアルファオレフィンの添加により、パラフィンワックスの結晶化ピークを減少させられることが確認された。このことから、パラフィンワックスの結晶性を抑えられることが確認された。
有機バインダに結晶性ポリアルファオレフィン化合物を用いることにより、有機バインダとして併せて使用するパラフィンワックスとの相溶性が高められる。このため、低融点成分の滲み出しが抑えられ、且つ結晶化度を小さくできることで、溶融状態から固化状態での収縮量が少なくなり、成形時のひけを抑えることができる。
本発明において、有機バインダの成分(b)として用いられるポリオキシメチレンは成形体の強度を高め、焼結における600℃以下での成形体の変形を防止する。しかも、焼結後において残留しない物質である。特に、ポリオキシメチレンは熱変形温度が150℃以上であるため、脱脂時の変形を防止する点で好ましい。すなわち、荷重たわみ温度が150℃以上で、しかも、熱分解時に残存しないというこの成分の特徴は、ポリオキシメチレン以外にはほとんど見当たらない。ポリオキシメチレンの添加量が5vol%未満の場合には、成形体の強度が低くなり、また、脱脂における600℃以下での変形が大きくなりやすい。また、ポリオキシメチレンの添加量が30vol%を越えた場合には、射出成形時の温度を高くしなければならず、成形体に欠陥が生じやすくなる。また、焼結における600℃以下での急激な熱分解により、割れ、膨れが生じやすくなる。
本発明の有機バインダの成分(c)として用いられるポリオレフィン樹脂は、成形体にじん性を付与し、焼結の割れ及び添加した低融点化合物の分離を阻止する。そして、この樹脂もまた、焼結後において残留しないという特質を持っている。前記ポリオレフィン樹脂としてたとえばポリプロピレンを採用できる。
同様の性質は、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート等の樹脂でも有しているが、熱分解温度が高いことや、他のバインダとの相溶性が悪いため、成形体強度を低下させる問題を有している。本発明では、特に、荷重たわみ温度が85℃以下のポリオレフィン樹脂を用いることにより、成形時の流動性並びに成形体の靭性を向上させることができる。荷重たわみ温度が85℃以下であれば、前記ポリオレフィン樹脂として、前記ポリプロピレンの他、ポリエチレン、エチレン- プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体からなる群から選ばれる一種以上のものからなるものを採用できる。
ポリオレフィン樹脂の添加量が5vol%未満の場合には、成形時にワックスのにじみ出しが大きく、焼結体に欠陥が生じやすくなる。また、ポリオレフィンの添加量が30vol%を越えた場合には、焼結における600℃以下での成形体の変形が大きくなる傾向がある。
次に、成分(d)としてパラフィンワックスが用いられる。パラフィンワックスを用いることにより、成形時の流動性を高めることができる。特に、前記各成分とともにパラフィンワックスを用いることにより、脱脂時における成形体表面へのにじみ出し、成形体の焼結における600℃以下の温度における変形並びに割れ、膨れを防止することができる。なお、パラフィンワックスの添加量が増加すると成形体にひけ、バリを発生しやすく、他に添加した有機化合物と分離することで、脱脂時にクラックを発生させることがある。
(a)〜(d)の成分以外にはアモルファスポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、グリシジルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エチルメタクリレート樹脂、ブチルメタクリレート樹脂、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂、エチレン・ビニルアセテート・無水マレイン酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体等の樹脂並びに、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、フタル酸エステル、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、モンタン系ワックス、ウレタン化ワックス、無水マレイン酸変性ワックス、ステアリン酸及びポリグリコール系化合物からなる有機化合物を使用することができる。これら有機化合物を添加することでさらに流動性が向上し、成形体の靭性も向上することができる。
本発明の有機バインダ成分(a)、(b)、(c)、(d)ならびにその他有機化合物の合計が、射出成形用組成物(金属粉末+有機バインダ)全量中で30vol%未満の場合には、成形体が脆くなりやすい。また、成分(a)、(b)、(c)、(d)及びその他有機化合物の合計が、射出成形用組成物全量中で60vol%よりも多くなると、焼結における600℃以下の温度域で成形体に変形が生じやすくなる。
本発明の射出成形用組成物として、金属粉末に、成分(a)、(b)、(c)、(d)及びその他有機化合物からなる有機バインダをバッチタイプもしくは連続タイプの混練機を用いて混練し、これを数ミリの大きさに粉砕し、射出成形を行い、脱脂炉により添加した有機バインダを除去し、脱脂後の成形体は焼結炉を用いて焼結を行い、必要があれば後加工を行い、製品を得る。
本発明に用いられる金属粉末はステンレス、鉄系材料、チタン、銅、ニッケル等の粉末が挙げられる。本発明に用いられる金属粉末の平均粒径は1〜30μmが好ましい。粉末の粒径が1μm未満になると、成形に必要なバインダ量が多くなるために脱脂時に変形及び割れ、膨れ等の欠陥が生じやすい。また、粉末平均粒径が30μmを超えると、成形時に粉末とバインダが分離しやすく、また、焼結後の密度が低くなり、得られた焼結体の強度も低下する。ここで、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法を使用した粒度分布測定装置を用いて、測定した重量累積50%の平均径を意味する。
本発明の上記組成物を射出成形し、得られた成形体を脱脂炉に入れ、処理温度50〜600℃の間において添加した有機バインダを除去する。脱脂後の成形体は900〜1500℃において焼結することにより、変形・膨れ及び割れ等の欠陥がなく、バインダからの残留カーボンが非常に少ない焼結体を短時間に得ることができる。この場合、焼結温度が900℃以下になると焼結体が十分に緻密化しない。また、最高温度が1500℃を越えると、成形体が溶融する恐れがあるため、注意しなければならない。
また添加した有機バインダを加熱処理する機能を具備する焼結炉を用いると脱脂炉と焼結炉を分けることなく同一炉内で焼結体を得ることが出来る。別途、プッシャー式、ウォーキングビーム式のような成形体が自動で炉内を搬送される脱脂炉、焼結炉を用いることで、連続的に成形体の脱脂、焼成が出来る。
以下、実施例及び比較例により発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
加圧ニーダー中に、まず、ポリオキシメチレンとポリプロピレン、エチレングリシジルメタクリレートを投入し、180℃で溶融させた後、SUS316L粉末(平均粒径:10μm)、パラフィンワックス(融点63℃)、結晶性ポリアルファオレフィンを投入して40分間混練し、取り出した後混練物を粉砕し、成形用組成物を得た。次に、成形温度165℃、金型温度40℃の条件で射出し、厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの成形体を得た。
射出成形用組成物
SUS316L粉末
100重量部(58体積%)
全バインダ量
7.8重量部(42体積%)
バインダ組成
(a)結晶性ポリアルファオレフィン(融点60度) 15.0vol%
(b)ポリオキシメチレン 12.5vol%
(c)ポリプロピレン 20.0vol%
(荷重たわみ温度65℃)
(d)パラフィンワックス 40.0vol%
(e)エチレングリシジルメタクリレート 12.5vol%
[実施例2]
加圧ニーダー中に、まず、ポリオキシメチレンとポリプロピレン、ポリビニルブチラールを投入し、180℃で溶融させた後、SUS304粉末(平均粒径:12μm)、パラフィンワックス(融点46℃)、結晶性ポリアルファオレフィン、カルナバワックスを投入して40分間混練し、取り出した後混練物を粉砕し、成形用組成物を得た。次に、成形温度170℃、金型温度40℃の条件で射出し、厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの成形体を得た。
射出成形用組成物
SUS304粉末
100重量部(60体積%)
全バインダ量
7.8重量部(40体積%)
バインダ組成
(a)結晶性ポリアルファオレフィン(融点50度) 15.0vol%

(b)ポリオキシメチレン 15.0vol%

(c)ポリプロピレン 10.0vol%
(荷重たわみ温度35℃)

(d)パラフィンワックス 40.0vol%

(e)ポリビニルブチラール 10.0vol%
(f)カルナバワックス 10.0vol%
[実施例3]
加圧ニーダー中に、まず、ポリオキシメチレンとポリプロピレン、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合体を180℃で投入し、溶融させた後、鉄−ニッケル8%粉末(平均粒径:8μm)、パラフィンワックス(融点63℃)、結晶性ポリアルファオレフィン及びカルナバワックスを投入して40分間混練し、取り出した後混練物を粉砕し、成形用組成物を得た。次に、成形温度160℃、金型温度30℃の条件で射出し、厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの成形体を得た。
射出成形用組成物
鉄−ニッケル8%粉末 100重量部(55体積%)
全バインダ量
7.0重量部(45体積%)
バインダ組成
(a)結晶性ポリアルファオレフィン(融点45度) 15.0vol%

(b)ポリオキシメチレン 15.0vol%
(c)ポリプロピレン 15.0vol%
(荷重たわみ温度35℃)

(d)パラフィンワックス 40.0vol%

(d)カルナバワックス 5.0vol%

(e)エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合体 10.0vol%
[比較例1]
実施例1〜3と同様に加圧ニーダーを用い、まず、熱可塑性樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン及びポリブチルメタクリレートをそのニーダー中に投入して180℃で溶融させた後、SUS316L粉末(平均粒径:10μm)、及びパラフィンワックス(融点46℃)を投入し、40分間混練し、取り出した後混練物を粉砕し、成形用組成物を得た。次に、成形温度140℃、金型温度30℃の条件で射出し、厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの成形体を得た。
射出成形用組成物
SUS316L粉末
100重量部(58体積%)
全バインダ量
7.8重量部(42体積%)
バインダ組成

エチレン−酢酸ビニル共重合体 20.0vol%

ポリプロピレン 15.0vol%

ポリブチルメタクリレート 15.0vol%

パラフィンワックス
50.0vol%
[比較例2]
加圧ニーダー中に、まず、熱可塑性樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体及び高密度ポリエチレンを投入し、180℃で溶融させた後、SUS316L粉末(平均粒径:10μm)、及びパラフィンワックス(融点46℃)を投入し、40分間混練し、取り出した後混練物を粉砕し、成形用組成物を得た。次に、成形温度140℃、金型温度30℃の条件で射出し、厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの成形体を得た。
射出成形用組成物
SUS316L粉末
100重量部(58体積%)
全バインダ量
7.8重量部(42体積%)
バインダ組成

エチレン−酢酸ビニル共重合体 25.0vol%

高密度ポリエチレン 25.0vol%

パラフィンワックス 50.0vol%
実施例1〜3及び比較例1〜2より得られた射出成形体のゲート部分並びにパーティングライン部分でのバリの状態を確認すると、実施例1〜3においては目視においてバリは確認できず、健全な成形体であったが、比較例1,2に於いてはゲート部分並びにパーティングライン部分において0.5mm幅以上のバリが確認された。なお、比較例1,2において金型温度を20℃にした場合にはバリは発生しないものの、成形温度を140℃から160℃に設定しないと、金型内の粘度が高くなり、健全な成形体を得ることが困難であった。しかしながら、成形温度160℃ではパーティングラインにはバリが発生し、成形体にひけも確認された。
次に、実施例1〜3及び比較例1〜2より得られた射出成形体を脱脂炉内に設置し、50℃から260℃までを昇温速度30℃/hr、窒素雰囲気下5torrの圧力で昇温加熱し、260℃から500℃までを昇温速度50℃/hrで最高温度500℃で2時間保持し炉冷した(脱脂加熱時間:合計13.8時間)。脱脂を終えた成形体はアルゴン雰囲気下で室温から(50〜400)℃/hrで徐々に加速昇温し、最高温度1350℃で2時間保持し、焼結を行った。実施例1〜3においては焼結体に膨れ、クラックのない健全な焼結密度95%以上の焼結体が得られた。しかしながら、比較例1,2においては脱脂時に成形体内部に膨れ、クラックが生じた。
[実施例4〜6]
さらに、有機バインダ成分を種々変更して実験を行った。用いた有機バインダの組成を表1に、射出成形用組成物の組成と結果を表2に示す。なお、混練の条件、脱脂の条件並びに焼結の条件は実施例1〜3に準じて行った。成形体の肉厚については厚さ3mm、幅10mm、長さ60mm3mmで行った。
表1
Figure 2014129573
表2
Figure 2014129573
なお、表1及び表2における各成分は下記のとおりである。
(a) LPO: 結晶性ポリアルファオレフィン 融点50度
(b) PP:ポリプロピレン
(c) POM: ポリオキシメチレン
(c) LDPE:低密度ポリエチレン
(d) PW:パラフィンワックス
(e) EGMA:エチレングリシジルメタクリレート
(f) CW:カルナバワックス
(g) EVA: エチレン酢酸ビニル共重合体
(g) N12: ナイロン12
表3
Figure 2014129573
実施例4〜6においては成形時でのバリの発生は確認されなかったが、比較例3〜6においてはバリの発生が確認された。特にパーティングライン部分並びに突き出しピンの箇所に0.2mm 以上のバリの発生が確認され、成形体には表面にひけが生じた。また、結晶性ポリアルファオレフィンをバインダに用いた比較例7〜13ではバリの発生は確認されず、バリの抑制効果が確認された。
次に成形体を脱脂した。比較例3、4には成形体のゲート部分の表層にクラックが確認された。これは成形時ゲート部分に圧力が生じ、バインダ成分中の低融点成分であるパラフィンワックスが表層分で分離し、脱脂後にクラックが生じたものと思われる。
また脱脂後の成形体は実施例4〜6において欠陥は見られず、焼結後においても相対密度95%を上回る健全な焼結体が得られた。しかしながら、実施例5〜13においては内部にクラックが生じたため、健全な焼結体を得ることができなかった。
以上の結果から、結晶性ポリアルファオレフィンを添加することで、パラフィンワックスとの相溶性を高め、成形体のバリ並びに成形体表層部のクラックを抑制し、荷重たわみ温度85℃以下のポリオレフィン樹脂の添加により成形体強度を向上させ、ポリオキシメチレンの添加は成形体の脱脂時の抑制に寄与している事が確認された。
[比較例14]
実施例1と同様の配合において、用いる結晶性ポリアルファオレフィンの融点を20℃にしたものを用いて、成形材料を作成した。成形条件、金型についても実施例1と同じにして行った。成形温度165℃の条件で射出し、厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの成形体を得た。得られた成形体はバリが発生し、健全な成形体を得ることができなかった。金型温度を10℃にすることで、バリの発生は抑えられたものの、成形体に未充填箇所が生じた。
[比較例15]
実施例1と同様の配合において、用いる結晶性ポリアルファオレフィンの融点を110℃にしたものを用いて、成形材料を作成した。成形条件、金型についても実施例1と同じにして行った。成形温度165℃の条件で射出し、厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの成形体を得た。得られた成形体はバリの発生は認められないものの、成形体に未充填の部分が認められた。金型温度を80℃まで上昇させることで、バリの発生は抑えられたものの、得られた成形体を脱脂焼結した場合に、成形体にクラックを生じた。これは低融点成分である結晶性ポリアルファオレフィンに110℃と融点の高いものを用いたために、ポリマーの分解前に成形体表面に溶融し移動することが困難となり、成形体に内圧を生じてクラックが生じたものと考えられる。
金属粉末の射出成形法において、加熱脱脂の時間を大幅に短縮し、且つ従来の問題であった成形に発生するひけ・クラック等の成形欠陥の問題を解決し、複雑な成形体においても健全な脱脂、焼結体を得ることができる。

Claims (5)

  1. 焼結可能な金属粉末と、有機バインダとを含み、前記有機バインダを構成する成分が、(a)融点が30℃以上100℃未満の結晶性ポリアルファオレフィン、(b)ポリオキシメチレン、(c)荷重たわみ温度が85℃以下であるポリオレフィン樹脂、(d)パラフィンワックスを含有することを特徴とする金属粉末の射出成形用組成物。
  2. 前記成分(a)、(b)、(c)、(d)ならびにその他有機化合物の合計が金属粉末に対して30以上〜60未満vol%であるとともに、この有機バインダ中のa、b、c、dの各組成比がa:3以上〜30未満vol%、b:5以上〜30未満vol%、c:5以上〜30未満vol%、d:30以上〜70未満vol%であることを特徴とする、請求項1記載の射出成形用組成物。
  3. 前記成分(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分として前記成分(a)、(b)、(c)、(d)の合計量に対して、3〜20vol%の添加量である有機化合物を含む射出成形用組成物であって、
    前記有機化合物が、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、フタル酸エステル、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、モンタン系ワックス、ウレタン化ワックス、無水マレイン酸変性ワックス、ステアリン酸及びポリグリコール系化合物からなる群から選ばれる一種以上の物質からなることを特徴とする、請求項1または2記載の射出成形用組成物。
  4. 前記成分(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分として前記成分(a)、(b)、(c)、(d)の合計量に対して、3〜20vol%の添加量である有機化合物が、アモルファスポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、グリシジルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エチルメタクリレート樹脂、ブチルメタクリレート樹脂、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン樹脂、エチレン・ビニルアセテート・無水マレイン酸共重合体及びエチレン・エチルアクリレート共重合体からなる群から選ばれる一種以上の物質からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  5. 前記成分(c)のポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン、エチレン- プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体からなる群から選ばれる一種以上の物質からなることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。

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