JP2014129329A - 粘膜用組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ビタミンA0.0005〜0.12W/V%、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分とする非イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤全量として0.007〜0.5W/V%であって、(A):(B)で表される質量比で1:0.4〜14、及び(C)低級アルコール、糖アルコール、糖、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムから選ばれる1種以上を含有し、上記(A)及び(B)成分を含む油相を、75〜90℃の水相に添加して撹拌して得られ、上記(A)及び(B)成分を構成成分として含有するナノエマルション粒子を含む粘膜用組成物。
【選択図】図1
Description
[1].(A)ビタミンA0.0005〜0.12W/V%、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分とする非イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤全量として0.007〜0.5W/V%であって、(A):(B)で表される質量比で1:0.4〜14、及び(C)低級アルコール、糖アルコール、糖、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムから選ばれる1種以上を含有し、上記(A)及び(B)成分を含む油相を、75〜90℃の水相に添加して撹拌して得られ、上記(A)及び(B)成分を構成成分として含有するナノエマルション粒子を含む粘膜用組成物。
[2].(A)ビタミンA0.0005〜0.12W/V%、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分とする非イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤全量として0.007〜0.5W/V%であって、(A):(B)で表される質量比で1:0.4〜14、及び(C)低級アルコール、糖アルコール、糖、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムから選ばれる1種以上を含有し、上記(A)及び(B)成分を構成成分として含有するナノエマルション粒子を含み、(A)成分フリー非イオン性界面活性剤の割合が、(B)成分総量の44質量%未満であることを特徴とする粘膜用組成物。
[3].(C)低級アルコールが、エタノール、プロピレングリコール又はグリセリンであり、糖アルコールがマンニトールであって、糖がブドウ糖である[1]又は[2]記載の粘膜用組成物。
[4].さらに、(D)酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる抗酸化剤を含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の粘膜用組成物。
[5].油相の温度が65〜90℃である[1]〜[4]のいずれかに記載の粘膜用組成物。
[6].眼科用組成物である[1]〜[5]のいずれかに記載の粘膜用組成物。
[7].(A)ビタミンA0.0005〜0.12W/V%と、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分とする非イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤全量として0.007〜0.5W/V%であって、(A):(B)で表される質量比で1:0.4〜14とを含む油相を、75〜90℃の水相に添加して撹拌する工程を含む、[1]又は[2]記載の粘膜用組成物の製造方法。
ビタミンAとしては、ビタミンAそれ自体の他に、ビタミンA油等のビタミンA含有混合物、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA誘導体等が挙げられる。具体的には、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられる。中でも、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノイン酸が好ましい。レチノールパルミチン酸エステルは、通常100万〜180万国際単位(以下、I.U.と略記する)のものが市販されており、具体的には、DSMニュートリションジャパン(株)製レチノールパルミチン酸エステル(174万I.U.)等が挙げられる。
本発明で用いる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分として、その他の非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
I−(1):HCO−VA低濃度
(A)ビタミンA0.003W/V%以上0.015W/V%未満
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる非イオン性界面活性剤を、(A):(B)で表される質量比で1:3.0〜10、1:3.0〜10.0がより好ましい。
I−(2)−1:HCO−VA中濃度
(A)ビタミンA0.015〜0.05W/V%、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる非イオン性界面活性剤を、(A):(B)で表される質量比で1:1.6〜7.0であり、1.6〜4以下がより好ましく、1.6〜4.0未満がさらに好ましい。
I−(3):HCO−VA高濃度
(A)ビタミンA0.05W/V%を超え0.12W/V%以下
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60及び/又はモノオレイン酸POE(20)ソルビタンを、(A):(B)で表される質量比で1:1.6〜5.0
(C)成分としては、低級アルコール、糖アルコール、糖、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。低級アルコールとしては、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。糖アルコールとしては、マンニトール等が挙げられる。糖としては、ブドウ糖等が挙げられる。中でも、クロルフェニラミンマレイン酸塩、エタノール、ジフェンヒドラミン塩酸塩、グリセリンが好ましい。本発明においては、(C)成分を配合することで、意外にも(A)ビタミンAの安定性を高めることができる。
本発明の組成物には、さらに、抗酸化剤を配合することができる。抗酸化剤としては、酢酸トコフェロール(酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール(ビタミンE))、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
消炎・収斂剤であれば、例えば、0.0001〜10W/V%、好ましくは0.0001〜5W/V%である。
抗ヒスタミン剤であれば、例えば、0.0001〜10W/V%、好ましくは0.001〜5W/V%である。
水溶性ビタミンであれば、0.0001〜1W/V%、好ましくは、0.0001〜0.5W/V%である。
アミノ酸であれば、0.0001〜10W/V%、好ましくは0.001〜3W/V%である。
サルファ剤、殺菌剤であれば、例えば、0.00001〜10W/V%、好ましくは、0.0001〜10W/V%である。
抗アレルギー剤であれば、例えば、0.0001〜10W/V%、好ましくは0.001〜5W/V%である。
局所麻酔剤、散瞳剤、白内障治療剤であれば、例えば、0.001〜1W/V%、好ましくは0.005〜1W/V%である。
・「ナノエマルション粒子」とは、エマルション粒子内に(A)ビタミンAを含有するナノエマルション粒子であり、上記(A)及び(B)成分を必須構成成分として含有する。ナノエマルション粒子の粒子径は、1nm以上500nm未満であり、10〜500nmが好ましく、10〜300nmがより好ましい。例えば、特に好ましい範囲は40nmを超え140nm以下である。粒子径が40nmを超えると、ナノエマルション粒子からのビタミンAの放出性、例えば、点眼時等における角膜へのビタミンAの吸着性がより向上する。この点からは、下限は45nm以上、50nm以上、55nm以上が特に好ましい。一方、ナノエマルション粒子の粒子径を140nm以下とすることで、粘膜用組成物の外観が透明のものを得ることができる。この点からは、115nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましい。なお、本発明において粒子径とは散乱光強度から算出した粒度分布の平均径(メディアン径nm)を指す。粒子径は光散乱等の原理を応用した各種測定装置により、恒温槽を用い、25℃一定の温度条件のもと行う。
・「フリーミセル」とは、(A)ビタミンAを含まない、界面活性剤会合体をいう。
・「遊離界面活性剤分子」とは、ミセル(会合体)を形成していない界面活性剤をいう。
つまり、試料を、それぞれRI(非イオン性界面活性剤と脂溶性成分((A)ビタミンA,(D)抗酸化剤等)を検出)、UV(油性成分のみ検出)で検出し、その溶出時間とピーク面積により、「ナノエマルション粒子(RI+UV検出)」、「フリーミセル(RI検出)」及び「遊離界面活性剤分子(RI検出)」に分離し、その割合を算出することができる。試料中にこれらが全部含まれているとすれば、RIでは、(1)「ナノエマルション粒子」、(2)「フリーミセル」、(3)「遊離界面活性剤分子」の順でピークが現れ、UVでは、(1)のピークが現れる。詳細な条件は実施例で説明する。
表中に記載の水相温度、油相温度で、下記製法で表中に記載の組成(W/V%(g/100mL))の粘膜用組成物(眼科用組成物)を得た。得られた組成物について下記評価を行った。結果を表中に併記する。
油相(レチノールパルミチン酸エステル(ビタミンA、174万I.U.)、酢酸d−α−トコフェロール(ビタミンE)、(D)ジブチルヒドロキシトルエン、(B)成分を、設定温度で加温し均一に混合し、設定温度で加温した水相(精製水)400mLにマグネティックスターラーを用いて撹拌しながら添加し、マグネティックスターラーを用いて滴下終了から10分間撹拌して得た。撹拌開始から撹拌終了までの油相添加後の水相温度は、油相添加前の水相温度と同じである。撹拌終了後、室温で冷却し、(C)成分を加えて攪拌溶解、もしくは混和し、さらに他の水相配合成分を必要に応じて加え、全量が500mLとなるよう精製水を添加した。なお、表中では(A):(B)で表される質量比の(A)1に対する(B)の部分を、(B)/(A)として示す。
光散乱等の原理を応用した各種測定装置、動的光散乱式粒度分布計(LB−500、(株)堀場製作所)を用いて測定した。測定には恒温槽を用い、25℃一定の温度条件のもと行った。なお、実施例の粒子径は、1nm以上500nm未満であり、ナノエマルション粒子を含む組成物であった。
製造直後の眼科用組成物について、日立分光光度計U−3310を用いて、波長600nmにおける透過率(%)を室温で測定した。
油性成分が分離したものを「×」、上記外観透過率(%)が80%未満を「△」、80%以上90%未満を「○」、90%以上を「◎」として判断した。
<ビタミンA残存率>
ビタミンA(レチノールパルミチン酸エステル)含量を、製造直後及び密封したアンプルにて70℃で1週間保存後(過酷試験)に測定した。測定は、高速液体クロマトグラフィー法を用いて行った。得られたレチノールパルミチン酸エステル含量から、下記式に基づき、レチノールパルミチン酸エステル残存率(%)を算出した。
角膜表面とC8の疎水性度が近いことから、角膜に対するビタミンA吸着モデルとしてC8シリカゲルへのビタミンA吸着率を測定した。
(i)C8シリカゲルを水洗し、表面の汚れを除去し乾燥した。
(ii)サンプル5mL中に精製水10mLを入れ混合し、そこから10mL分取した溶液にC8シリカゲル0.2gを分散させ10分間撹拌した。
(iii)シリカゲルとサンプルをろ別し、ろ液中のビタミンA量と吸着させる前のサンプルのビタミンA量を高速液体クロマトグラフィー法により測定した。
(iv)得られたビタミンA量を比較し、ビタミンAの吸着率を算出した。
*C8シリカゲル:Phenomenex社製 SEPRATMバルク充てん剤 C8 (粒子径50μm、細孔径65Å)
[ビタミンAフリー非イオン性界面活性剤の割合(質量%)]
「ビタミンAフリー非イオン性界面活性剤」の割合を、Eluent gel permeation chromatography(以下、EGPC)を用いて測定した。
(i)各種濃度(0.0027質量%、0.08質量%、0.16質量%、0.3質量%、0.5質量%、1.0質量%、3.0質量%)の非イオン性界面活性剤水溶液(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO))をEGPCにより測定し、活性剤濃度とRIピーク面積値の検量線を作成した。
(ii)EGPC測定条件
カラム:Superose 6 10/300 GL(10×300mm)
注入:100μL
溶出液:HCO水溶液(500ppm)
流量:0.5mL/min
温度:35℃
検出:RI、UV(280nm)
(iii)試料をEGPCにより解析し、非イオン性界面活性剤と、油性成分(ビタミンA)を、それぞれRI(非イオン性界面活性剤と油性成分を検出)、UV(油性成分のみ検出)で同時に検出した。RIでは(1)「ビタミンA含有ナノエマルション粒子」(2)「フリーミセル」、(3)「遊離界面活性剤分子」の順でピークが現れ、UVでは、RIと同じ溶出時間に(1)のピークが現れる。(1)以外のピーク(RI)を、「ビタミンAフリー非イオン性界面活性剤」として、(i)で求めた検量線よりRIピーク面積値から活性剤濃度を算出した。
油相(レチノールパルミチン酸エステル(ビタミンA、174万I.U.)0.026W/V%、酢酸d−α−トコフェロール0.05W/V%、ジブチルヒドロキシトルエン0.005W/V%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60)0.1W/V%)を、85℃で加温し均一に混合し、85℃の水相(精製水)400mLにマグネティックスターラーを用いて撹拌しながら添加し、マグネティックスターラーを用いて滴下終了から10分間撹拌して得た。撹拌開始から撹拌終了までの油相添加後の水相温度は、油相添加前の水相温度と同じである。撹拌終了後、室温で冷却し、他の水相配合成分を必要に応じて加え、全量が500mLとなるよう精製水を添加した。得られた参考例1のEGPCの測定結果を示すチャートを図1に示す。なお、参考例1の粘膜用組成物は、ピークトップの溶出時間が12分未満に出現するピーク(UV)が得られ、ピークトップが12分以上に出現するピーク(比較的粒子径が小さいもの(UV))は見られなかった。詳細には、図1から、RIでは9分と36分に、UVでは9分にのみピークが認められた。即ち、参考例1は、溶出時間9分にRIとUVのピークがあることから(1)「ビタミンA含有ナノエマルション粒子」の存在が、溶出時間36分にRIのみのピークであることから(3)「遊離界面活性剤分子」の存在が確認された。
Claims (7)
- (A)ビタミンA0.0005〜0.12W/V%、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分とする非イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤全量として0.007〜0.5W/V%であって、(A):(B)で表される質量比で1:0.4〜14、及び(C)低級アルコール、糖アルコール、糖、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムから選ばれる1種以上を含有し、上記(A)及び(B)成分を含む油相を、75〜90℃の水相に添加して撹拌して得られ、上記(A)及び(B)成分を構成成分として含有するナノエマルション粒子を含む粘膜用組成物。
- (A)ビタミンA0.0005〜0.12W/V%、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分とする非イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤全量として0.007〜0.5W/V%であって、(A):(B)で表される質量比で1:0.4〜14、及び(C)低級アルコール、糖アルコール、糖、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムから選ばれる1種以上を含有し、上記(A)及び(B)成分を構成成分として含有するナノエマルション粒子を含み、(A)成分フリー非イオン性界面活性剤の割合が、(B)成分総量の44質量%未満であることを特徴とする粘膜用組成物。
- (C)低級アルコールが、エタノール、プロピレングリコール又はグリセリンであり、糖アルコールがマンニトールであって、糖がブドウ糖である請求項1又は2記載の粘膜用組成物。
- さらに、(D)酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる抗酸化剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の粘膜用組成物。
- 油相の温度が65〜90℃である請求項1〜4のいずれか1項記載の粘膜用組成物。
- 眼科用組成物である請求項1〜5のいずれか1項記載の粘膜用組成物。
- (A)ビタミンA0.0005〜0.12W/V%と、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを必須成分とする非イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤全量として0.007〜0.5W/V%であって、(A):(B)で表される質量比で1:0.4〜14とを含む油相を、75〜90℃の水相に添加して撹拌する工程を含む、請求項1又は2記載の粘膜用組成物の製造方法。
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