JP2014122397A - 貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法 - Google Patents

貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014122397A
JP2014122397A JP2012279645A JP2012279645A JP2014122397A JP 2014122397 A JP2014122397 A JP 2014122397A JP 2012279645 A JP2012279645 A JP 2012279645A JP 2012279645 A JP2012279645 A JP 2012279645A JP 2014122397 A JP2014122397 A JP 2014122397A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noble metal
group
metal ion
palladium
ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012279645A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6123284B2 (ja
Inventor
Yukinori Sudo
幸徳 須藤
Setsuo Yoshida
節夫 吉田
Takahiro Masuda
隆洋 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2012279645A priority Critical patent/JP6123284B2/ja
Publication of JP2014122397A publication Critical patent/JP2014122397A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6123284B2 publication Critical patent/JP6123284B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

【課題】 吸着剤に吸着された貴金属イオンを効率良く脱着することができ、さらに、該脱着液の還元処理によって、高純度の貴金属を簡便に回収することができる、貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法を提供する。
【解決手段】 貴金属イオンを吸着している吸着剤を、下記一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む溶液と接触させて、溶液中に貴金属イオンとして脱着させた後、得られた貴金属イオンを含む溶液を還元処理することにより貴金属を回収する。
【化1】
Figure 2014122397

(式中、Rはメチル基、エチル基、ビニル基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、カルバモイルメチル基、4−カルボキシル−3−チアブチル基、又は4−カルバモイル−3−チアブチル基を表し、Xは水酸基若しくは1級アミノ基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、貴金属イオン吸着剤に吸着された貴金属イオンを脱着する貴金属イオン脱着剤、及びその使用に関する。さらに詳しくは、特定のスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤、当該脱着剤を用いた貴金属イオンの脱着方法、並びに還元処理による脱着液からの貴金属の回収方法に関する。
工業用触媒若しくは自動車排ガス浄化触媒及び多くの電化製品には、パラジウム、白金、ロジウム等の貴金属が用いられている。貴金属は高価であり、資源としても有用であることから、従来から使用後に回収してリサイクルすることが行われている。最近では、資源保全の要求が高まり、貴金属の回収及びリサイクルの重要性が一層増加している。
貴金属を分離・回収するために、沈殿分離法、イオン交換法、電解析出法、溶媒抽出法等の方法が開発されており、これらのうち溶媒抽出法が経済性及び操作性の点から広く採用されている。
溶媒抽出法としては、抽出剤にジアルキルスルフィド化合物を用いた有機相と逆抽出剤にアンモニアを含む水相を用いて、パラジウムイオンの逆抽出が行われている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ジアルキルスルフィドによるパラジウムイオン抽出は、抽出速度が低いという課題があった。抽出速度を改善するため、ジアルキルスルフィドの硫黄近傍にアミド基を導入した抽出剤が提案されており、また、逆抽出剤に酸性のチオ尿素水溶液を用いたパラジウムイオンの抽出方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
抽出法以外のパラジウムイオン分離方法として、吸着法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。本法によると、パラジウムイオンのリガンド(受容体)として、特定のスルフィド化合物をスチレン誘導体ポリマー(例えば、ポリクロロメチルスチレン)担体上に固定化して、不溶性のパラジウムイオン吸着剤を作製し、この吸着剤をパラジウムイオンが溶解した水溶液中に直接添加することでパラジウムイオンの吸着が行われている。ただし、当該吸着剤のリガンドはスルフィド化合物であるため、特許文献1同様に吸着速度に課題がある。
また、本出願人らはパラジウムイオン吸着剤について既に特許出願している(例えば、特許文献4及び5参照)。
ジアルキルスルフィドの硫黄近傍にアミド基を導入した抽出剤、又は当該化合物をリガンドとした吸着剤を用いた場合、塩酸やアンモニアを用いたパラジウムイオンの逆抽出、又は脱着は効率が低いため、通常、チオ尿素水溶液が好ましく用いられる(例えば、特許文献5参照)。
ところが、チオ尿素水溶液を用いて分離・回収したパラジウムイオンから高純度の金属パラジウムを製造するには煩雑な高純度化プロセスを行うことが必要であり、工業的に課題があった。
特開平9−279264号公報 国際公開第2005/083131号パンフレット 特開平5−105973号公報 特開2011−41916公報 特開2011−41918公報
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、パラジウムイオン吸着剤から、効率良くパラジウムイオンを脱着することができ、当該操作によって得られるパラジウムイオン脱着液から、安価、且つ、簡便に金属パラジウムを分離・回収することができる、パラジウムイオン脱着剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤が、従来公知の塩酸やアンモニアに比べて、優れたパラジウムイオン脱着性を示すことを見出した。さらに、一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いて得られたパラジウムイオン脱着液を還元処理することにより、チオ尿素を用いた場合と比較して、簡便に高純度の貴金属を回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は一般式(1)
Figure 2014122397
(式中、Rはメチル基、エチル基、ビニル基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、カルバモイルメチル基、4−カルボキシル−3−チアブチル基、又は4−カルバモイル−3−チアブチル基を表し、Xは水酸基若しくは1級アミノ基を表す。)
で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法に関する。
[1] 下記一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤。
Figure 2014122397
(式中、Rはメチル基、エチル基、ビニル基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、カルバモイルメチル基、4−カルボキシル−3−チアブチル基、又は4−カルバモイル−3−チアブチル基を表し、Xは水酸基若しくは1級アミノ基を表す。)
[2] 前記スルフィド化合物がチオジグリコール酸であることを特徴とする[1]に記載の貴金属イオン脱着剤。
[3] [1]又は[2]に記載の貴金属イオン脱着剤を、貴金属イオンを吸着した吸着剤と接触させて、貴金属イオンを脱着させることを特徴とする貴金属イオンの脱着方法。
[4] [3]に記載の貴金属イオンの脱着方法により得られた貴金属イオンを含む溶液を還元処理して、貴金属を回収することを特徴とする貴金属の回収方法。
[5] 貴金属イオンがパラジウムイオンであり、且つ、貴金属がパラジウムであることを特徴とする[4]に記載の貴金属の回収方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物において、Rはメチル基、エチル基、ビニル基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、カルバモイルメチル基、4−カルボキシル−3−チアブチル基、又は4−カルバモイル−3−チアブチル基を表し、Xは水酸基若しくは1級アミノ基を表す。
炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基としては、例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、1−ヘプチニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘキサトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基等が挙げられる。
炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
このうち、貴金属イオン脱着性及び入手容易性の点で、Rはカルボキシルメチル基が好ましく、Xは水酸基であるものが特に好ましい。すなわち、チオジグリコール酸が特に好ましい。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物は、カルボキシル基を有する場合、リチウム、ナトリウム若しくはカリウム塩等として用いることも可能である。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤としては、一般式(1)で表されるスルフィド化合物の溶液が好ましく、該スルフィド化合物は、特に限定されないが、通常、0.1〜20重量%の濃度範囲で用いることが好ましい。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤は、目的に応じて塩基性、中性、酸性のいずれの液性でも使用できる。
液性を調節するための添加剤としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が用いられる。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いることを特徴とする貴金属イオンの脱着方法は、一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を、貴金属イオンを吸着している吸着剤と接触させて、貴金属イオンを脱着させることを特徴とする。ここで、本発明における前記一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤は、有機溶媒に溶解した抽出剤(いわゆる溶媒抽出法)にも適用することができるが、有機溶媒を使用しない吸着剤に適用することが好ましい。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いることを特徴とする貴金属イオンの脱着方法において、脱着の対象となる貴金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、パラジウムイオン、白金イオン、金イオン等の硫黄原子に対する親和性が高い貴金属イオンが挙げられ、特にパラジウムイオンに対し有効である。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いることを特徴とする貴金属イオンの脱着方法において、処理対象となる吸着剤としては、オルガノ製のアンバーライトや三菱化学製のダイヤイオンといった種々の市販品、及び貴金属イオンを吸着するリガンドを適当な不溶性担体に担持させたもの等が挙げられる。貴金属イオンを吸着するリガンドとしては、特に限定するものではないが、スルフィド基やアミノ基を有する化合物が好ましく用いられる。
上記吸着剤において、貴金属イオンを吸着するリガンドを固定化する不溶性担体としては、水に不溶性のものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、ポリスチレン若しくは架橋ポリスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル若しくはポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン)、ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸系ポリマー等の合成高分子担体、セルロース、アガロース、デキストラン等の天然高分子担体、又は活性炭、シリカゲル、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、マグネシア、ポリシロキサン等の無機担体が挙げられる。
架橋ポリスチレンとは、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等のモノビニル芳香族化合物とジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ビスビニルジフェニル、ビスビフェニルエタン等のポリビニル芳香族化合物との架橋共重合体を主体とするものであり、これらの共重合体にグリセロールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のメタクリル酸エステルが共重合されているものでも良い。
これらの不溶性担体のうち、価格及び入手容易性の点で、シリカゲル及びアルミナが好ましい。
不溶性担体の形状としては、球状(例えば、球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(例えば、平膜等)等の一般的に分離基材として使用される形状が利用可能であり、特に限定するものではない。これらのうち、球状、膜状、粒状、繊維状のものが好ましい。粒状粒子はカラム法やバッチ法で使用する際、その使用体積を任意に設定できることから特に好ましい。
不溶性担体の粒子サイズとしては、通常、外径1〜1000μmのものを用いることができるが、貴金属イオン吸着性能及び取り扱いの容易性の点から10〜300μmのものが好ましい。
不溶性担体は、多孔質でも無孔質でも問題なく使用できるが、多孔質のほうが貴金属イオン吸着の有効面積が広いため好ましい。
貴金属イオンを吸着するリガンドを不溶性担体に固定化する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、物理的に吸着担持させる方法又は化学的結合による固定化方法が挙げられる。
市販の貴金属イオン吸着剤及び任意のリガンドを担体に固定化した貴金属イオン吸着剤は、限定するものではないが、カラム法又はバッチ法で使用することができ、カラム法の場合は充填床又は伸展床で使用することができる。
貴金属イオン吸着剤は、貴金属イオンが溶解した溶液と固−液接触することで貴金属イオンを吸着する。次いで、貴金属イオンが溶解した溶液から分離された吸着剤に、一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を固−液接触させることで、貴金属イオンが吸着剤から脱離し、液相に溶出する。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いることを特徴とする貴金属イオンの脱着方法において、一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤の使用量は、特に限定されないが、吸着剤に吸着されている貴金属イオン量に対して2倍モル量以上となるように調節することが好ましい。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いることを特徴とする貴金属イオンの脱着方法において、貴金属イオンを脱着させる操作は、通常、常圧下又は大気下で実施されるが、加圧若しくは減圧条件下又は不活性ガス存在下で実施することもできる。この貴金属イオンの脱着操作は、通常、4〜150℃の温度範囲で実施されるが、10〜50℃の温度範囲がより好ましい。
一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いて得られた脱着液からの貴金属の回収方法としては、特に限定されないが、前記貴金属イオンの脱着方法より得られた脱着液を、そのまま又は中和した後、還元処理することにより貴金属を沈殿させ、沈殿した貴金属をろ過により回収する方法が挙げられる。
貴金属イオン脱着液の還元処理方法としては、目的や設備に応じて種々の方法を用いることができ、例えば、電気分解による電解還元法やヒドラジン等の還元剤を添加する化学的還元方法が挙げられる。
貴金属イオン脱着液の還元処理操作は、通常、常圧下又は大気下で実施されるが、加圧若しくは減圧条件下又は不活性ガス雰囲気下で実施することもできる。この還元処理操作は、通常、4〜100℃の温度範囲で実施されるが、10〜80℃の温度範囲がより好ましい。
貴金属イオン脱着液の還元処理によって生じる貴金属沈殿物のろ過方法としては、例えば、メンブレンフィルター、ろ紙、ろ布又はグラスフィルター等を用いる方法が挙げられるが、操作の容易性からメンブレンフィルター又はろ紙によるろ過が好ましい。
本発明によれば、一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤を用いることで、吸着剤の化学的損傷を最小限に抑えながら、吸着剤に吸着された貴金属イオンを効率良く脱着することができ、なお且つ得られた脱着液から高純度の貴金属を非常に簡便に回収することが可能になる。従って、本発明を利用することによって、貴金属リサイクルプロセスの選択肢が広がり、なお且つリサイクル工程を短縮することができる。
以下に、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
水溶液中のパラジウムイオン濃度及び金属パラジウム純度は、ICP発光分光分析装置(OPTIMA3300DV、Perkin Elmaer社製)で測定した。
硫黄含有量は、イオンクロマトグラフィー法で測定した。イオンクロマトグラフィー測定は、以下の前処理、設備及び条件で行った。
前処理: 試料を自動試料燃焼装置(AQF−100、三菱化学アナリティック)に導入し、燃焼生成したSO 2−を吸着液(内部標準物質PO )に捕集した。
測定装置: 東ソー製 IC−2001
分離カラム: TSKgel Super IC−AP(4.6mmΦ×150mm)
検出器: 電気伝導検出器
溶離液: 2.7mmol/L NaHCO + 1.8mmol/L NaCO
合成例1 パラジウム吸着剤の合成
官能基の担体への結合を含めて模式的に示した一般式(2)で表されるパラジウム吸着剤は、以下の方法に従って合成した。
Figure 2014122397
ディーン・スターク装置付き500mLナス型フラスコに、シリカゲル(富士シリシア化学製、商品名:PSQ60B) 100g、水 5g、オルト−キシレン 200gを量り取り、60℃で激しく攪拌しながら、予め調製しておいた3−アミノプロピルトリメトキシシラン 35.9gとオルト−キシレン 35.9gの混合溶液を10分間かけて滴下した後、90℃まで昇温し、1時間攪拌した。次に、110℃まで昇温し、1.5時間攪拌した。ディーン・スターク装置に溜まったメタノール、オルト−キシレン、水の混合溶液は系外に廃棄した。
次に、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸 0.005g、(エチルチオ)酢酸 48.1gを量り取り、激しく攪拌しながら24時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をろ過し、ろ取した固体をメタノールで洗浄してパラジウム吸着剤を得た。得られたパラジウム吸着剤の硫黄含有量は4.5重量%であった。
実施例1
合成例1で得られたパラジウム吸着剤 1gを、パラジウムイオンを1000mg/L含む1mol/L塩酸溶液 80mL中に添加し、室温で2時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの吸着量を吸着剤 1g当たり69.2mgと算出した。次に、ろ取した吸着剤を水洗後、乾燥した。乾燥した吸着剤 20mgを、チオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液(pH2)として調製した脱着剤 10mL中に加え、室温で1時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの脱着量を求めた結果、パラジウムイオンの脱着率は59%であった。
実施例2
実施例1において、チオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液(pH2)として調製した脱着剤 10mLの代わりに、水酸化ナトリウムを添加してpHを7に調整したチオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液として調製した脱着剤 10mLを用いた以外は実施例1と同様に行った。パラジウムイオンの脱着率は86%であった。
実施例3
オルガノ製アンバーライトIRA96SB 1gを、パラジウムイオンを1000mg/L含む1mol/L塩酸溶液 60mL中に添加し、室温で2時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの吸着量を吸着剤 1g当たり60.0mgと算出した。次に、ろ取した吸着剤を水洗後、乾燥した。乾燥した吸着剤 20mgを、チオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液(pH2)として調製した脱着剤 10mL中に加え、室温で1時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの脱着量を求めた結果、パラジウムイオンの脱着率は75%であった。
実施例4
三菱化学製ダイヤイオンSA10A 1gを、パラジウムイオンを1000mg/L含む1mol/L塩酸溶液 60mL中に添加し、室温で2時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの吸着量を吸着剤 1g当たり60.0mgと算出した。次に、ろ取した吸着剤を水洗後、乾燥した。乾燥した吸着剤 20mgを、チオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液(pH2)として調製した脱着剤 10mL中に加え、室温で1時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの脱着量を求めた結果、パラジウムイオンの脱着率は53%であった。
実施例5
合成例1で合成したパラジウム分離剤 0.1gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填した。パラジウムイオンを10000mg/L含む1mol/L塩酸溶液をカラム上部から36mL/Hrの流速で2mL通液して金属イオンの吸着を行った。カラム流出液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの吸着量を吸着剤 1g当たり77.0mgと算出した。次に、水 20mLを通液(流速36mL/Hr)してカラムを洗浄した後、チオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液として調製した脱着剤をカラム上部から36mL/Hrの流速で50mL通液して金属イオンの脱着を行った。カラム流出液のパラジウムイオン濃度からパラジウムイオンの脱着量を吸着剤 1g当たり72.9mgと算出した。以上の結果からパラジウムイオンの脱着率は95%であった。
実施例6
実施例5において、チオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液として調製した脱着剤 10mLの代わりに、(エチルチオ)酢酸濃度5重量%の水溶液として調製した脱着剤 10mLを用いた以外は実施例1と同様に行った。パラジウムイオンの脱着率は58%であった。
実施例7
実施例5において、チオジグリコール酸濃度5重量%の水溶液として調製した脱着剤 10mLの代わりに、(エチレンジチオ)二酢酸濃度5重量%の水溶液として調製した脱着剤 10mLを用いた以外は実施例1と同様に行った。パラジウムイオンの脱着率は89%であった。
実施例8
1000mg/L濃度のパラジウムイオンと5重量%濃度のチオジグリコール酸を含む水溶液に水酸化ナトリウムを添加し、pHを7に調製した。次に、ヒドラジン1水和物 0.45gを加え、50℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、析出したパラジウムブラックをろ過し、ろ取した金属パラジウムを1mol/L塩酸で洗浄した。ろ液のパラジウム濃度からパラジウム析出率を求めた結果、パラジウム析出率は99.9%であった。得られたパラジウムブラックの硫黄含有量は1.8重量%であった。
実施例9
1000mg/L濃度のパラジウムイオンと3重量%濃度のチオジグリコール酸を含む水溶液を陽イオン交換膜(Nafion117)で区画したアクリル製電解槽の陰極液とし、陽極液に0.02mol/L塩酸水溶液を投入して、陰極に真鋳、陽極にカーボンを用いて陰極電流密度及び電解時間を変数として電解処理した。
陰極室にはパラジウムブラックの析出が認められ、陰極電流密度1A/dmでは2時間、3.5A/dm及び5A/dmでは1時間で、パラジウム析出率は99.5%以上であった。
実施例10
実施例9の陰極液と同一組成の溶液をイオン交換膜を介在しない、所謂1室電解槽に供給し、陰極電流密度を3.5A/dmとした以外は実施例9と同一条件で電解を行なった。その結果、1時間経過でパラジウム析出率は約100%であった。
比較例1
実施例8において、5重量%濃度のチオジグリコール酸の代わりに、5重量%濃度のチオ尿素を用いた以外は実施例8と同様に行った結果、パラジウム析出率は99.7%と高かったが、得られたパラジウムブラックの硫黄含有量は24.9重量%であり、実施例8と比較してパラジウムブラックに多量の硫黄が混入する結果であった。
比較例2
実施例10において、3重量%濃度のチオジグリコール酸の代わりに、3重量%濃度のチオ尿素を用いた以外は実施例10と同様に行った結果、溶液中に多量の不溶物が析出し、パラジウムブラックを高純度で得ることはできなかった。
本発明のスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤は、種々の吸着剤から貴金属イオンを効率良く脱着することができ、さらには得られた貴金属イオン脱着液を還元することで、非常に簡便に貴金属を回収することができる。このため、廃棄された工業用触媒若しくは自動車排ガス浄化触媒又は電化製品等に使用されている高価な貴金属を回収して再利用する資源リサイクル分野での利用が期待される。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるスルフィド化合物を含む貴金属イオン脱着剤。
    Figure 2014122397
    (式中、Rはメチル基、エチル基、ビニル基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、カルバモイルメチル基、4−カルボキシル−3−チアブチル基、又は4−カルバモイル−3−チアブチル基を表し、Xは水酸基若しくは1級アミノ基を表す。)
  2. 前記スルフィド化合物がチオジグリコール酸であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属イオン脱着剤。
  3. 請求項1又は2に記載の貴金属イオン脱着剤を、貴金属イオンを吸着した吸着剤と接触させて、貴金属イオンを脱着させることを特徴とする貴金属イオンの脱着方法。
  4. 請求項3に記載の貴金属イオンの脱着方法により得られた貴金属イオンを含む溶液を還元処理して、貴金属を回収することを特徴とする貴金属の回収方法。
  5. 貴金属イオンがパラジウムイオンであり、且つ、貴金属がパラジウムであることを特徴とする請求項4に記載の貴金属の回収方法。
JP2012279645A 2012-12-21 2012-12-21 貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法 Active JP6123284B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012279645A JP6123284B2 (ja) 2012-12-21 2012-12-21 貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012279645A JP6123284B2 (ja) 2012-12-21 2012-12-21 貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014122397A true JP2014122397A (ja) 2014-07-03
JP6123284B2 JP6123284B2 (ja) 2017-05-10

Family

ID=51403129

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012279645A Active JP6123284B2 (ja) 2012-12-21 2012-12-21 貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6123284B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01293139A (ja) * 1988-05-18 1989-11-27 Sumitomo Chem Co Ltd 重金属の溶離方法
JP2010059533A (ja) * 2008-01-15 2010-03-18 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology パラジウムの抽出剤及びそれを用いた迅速分離回収方法
JP2012149344A (ja) * 2010-12-28 2012-08-09 Tosoh Corp 貴金属イオンを含む溶液からの貴金属の回収方法、それに用いる逆抽出剤及び脱着剤

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01293139A (ja) * 1988-05-18 1989-11-27 Sumitomo Chem Co Ltd 重金属の溶離方法
JP2010059533A (ja) * 2008-01-15 2010-03-18 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology パラジウムの抽出剤及びそれを用いた迅速分離回収方法
JP2012149344A (ja) * 2010-12-28 2012-08-09 Tosoh Corp 貴金属イオンを含む溶液からの貴金属の回収方法、それに用いる逆抽出剤及び脱着剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP6123284B2 (ja) 2017-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012091125A1 (ja) 貴金属イオンを含む溶液からの貴金属の回収方法、それに用いる抽出剤若しくは吸着剤、及び逆抽出剤若しくは脱着剤
JP5617430B2 (ja) パラジウムイオン吸着剤、及びそれを用いたパラジウムの分離回収方法
JP6079113B2 (ja) パラジウム分離剤、並びにその製造方法及び用途
CN112915963A (zh) 一种以酵母核酸为磷源和碳源制备磷化钴/生物碳复合材料的方法
JP5344607B2 (ja) パラジウムイオン吸着剤及びパラジウムの分離回収法
JP5387228B2 (ja) 溶存パラジウムの除去方法
JP5251786B2 (ja) 白金族金属吸着剤、及びそれを用いた白金族金属の分離回収方法
JP6123284B2 (ja) 貴金属イオン脱着剤及び貴金属の回収方法
WO2015060367A1 (ja) 白金族金属分離剤及び白金族金属イオンの分離方法
JP2015158004A (ja) 貴金属の回収方法
WO2014196190A1 (ja) カルボニル化合物の製造方法
JP2015089947A (ja) 貴金属の回収方法
JP5927912B2 (ja) 貴金属イオンを含む溶液からの貴金属の回収方法、それに用いる逆抽出剤及び脱着剤
JP5114704B2 (ja) 金属の分離方法、および金属の回収方法
JP3066499B1 (ja) カリックス[4]アレ―ン重合体、その製造方法およびこれを使用した2価鉛イオンの分離方法
JP5803136B2 (ja) アミド含有スルフィド化合物、並びにその製造方法及び用途
JP6123294B2 (ja) パラジウム分離剤の製造方法
JP2014133227A (ja) 白金分離剤及び白金イオンの分離方法
EP1504129B1 (en) Separation of platinum group metals
JP2015092019A (ja) 白金イオンの分離方法
JP2020015684A (ja) ギ酸溶液の濃縮方法、及びギ酸溶液の製造方法
JP2016113650A (ja) 金とパラジウムの選択的分離回収方法
JP5799340B2 (ja) 貴金属含有液中からの貴金属回収方法
CN116731247A (zh) 交联聚苯乙烯-乙烯基吡啶共聚物及其制备和在金属催化有机反应中的应用
JPH0313170B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170320

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6123284

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151