JP2015158004A - 貴金属の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 貴金属を高収率で回収でき、かつ、金属イオン脱着液を再利用しても液量が増加しないため、貴金属回収に伴う廃液の排出(環境負荷)を低減可能な貴金属の回収方法を提供する。【解決手段】 貴金属の回収方法が、貴金属イオンを含む溶液と貴金属イオン分離剤とを接触させる貴金属吸着工程、貴金属イオンを吸着した貴金属イオン分離剤と貴金属イオン脱着剤とを接触させて貴金属イオンを脱着する貴金属脱着工程、並びに貴金属イオンを含み、前記貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液に酸性物質を添加した溶液を、前記貴金属脱着工程で貴金属イオン脱着剤として使用する。【選択図】 なし

Description

本発明は、貴金属を高収率で回収でき、かつ貴金属回収に伴う廃液の排出(環境負荷)を低減可能な貴金属の回収方法に関する。
工業用触媒、自動車排ガス浄化触媒及び多くの電化製品には、パラジウム、白金、ロジウム等の貴金属が用いられている。これらの貴金属は高価であり、資源としても有用であることから、従来から使用後に回収して再利用する、すなわちリサイクルすることが行われている。最近では、資源保全の要求が高まり、貴金属のリサイクルの重要性が一層増加している。
貴金属を回収するために、沈殿分離法、イオン交換法、電解析出法、溶媒抽出法、吸着法等の方法が知られており、経済性及び操作性の点からこれまでは溶媒抽出法が広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、溶媒抽出法は、抽出後の逆抽出工程において多量のアンモニアを使用しており、これは最終的には廃液として処分されるため、安全性や環境負荷の面で課題を有している。
一方、本件出願人らは、パラジウムイオンが溶解した水溶液と、パラジウムイオンを吸着するパラジウム分離剤とを接触させるパラジウムイオン吸着工程と、パラジウムイオンを吸着した分離剤と、パラジウムイオンを脱着するパラジウムイオン脱着剤とを接触させるパラジウムイオン脱着工程を行い、この脱着工程で得られたパラジウムイオンを含む脱着液(以下、「パラジウムイオン脱着液」と称する。)を、電解還元や還元剤の添加によって、パラジウムを還元析出させ回収する方法を提案している(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、パラジウムイオン脱着液の繰返し利用や、環境負荷の点では、パラジウムを還元析出させた後の液の再利用が課題として残っている。
特公平1−30896号公報 特開2012−149344号公報
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、貴金属を高収率で回収でき、貴金属回収に伴う廃液の排出(環境負荷)を低減可能であり、貴金属イオン脱着剤を再利用しても液量が増加しない貴金属の回収方法を提供することをその目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、貴金属を高収率で回収し、さらに貴金属イオン脱着剤を繰返し利用しても液量が増加しない貴金属の回収方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の要旨を有するものである。
[1]貴金属イオンを含む溶液と貴金属イオン分離剤とを接触させる貴金属吸着工程、貴金属イオンを吸着した貴金属イオン分離剤と貴金属イオン脱着剤とを接触させて貴金属イオンを脱着する貴金属脱着工程、並びに貴金属イオンを含む脱着液(以下、「貴金属イオン脱着液」と称する。)にアルカリ性物質及び還元剤を添加して貴金属を回収する貴金属回収工程を含み、前記貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液に酸性物質を添加した溶液を、前記貴金属脱着工程で貴金属イオン脱着剤として使用することを特徴とする貴金属の回収方法。
[2]酸性物質が塩酸であることを特徴とする上記[1]記載の貴金属の回収方法。
[3]貴金属イオン脱着剤が、メチオニンと塩酸を含むことを特徴とする上記[1]又は[2]記載の貴金属の回収方法。
[4]還元剤がヒドラジンを含むことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
[5]アルカリ性物質が水酸化ナトリウムであることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
[6]貴金属イオン分離剤が、下記一般式(1)で示される官能基が担体に固定化されているものであることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
Figure 2015158004
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、又はカルボキシエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。Zはアミド結合を表す。)
[7]貴金属が白金族金属類であることを特徴とする上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
[8]貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液に酸性物質を添加する前に、当該貴金属イオン脱着液を電気透析することを特徴とする上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
[9]無機塩を含んだ水溶液を予め塩回収室に存在させた後、貴金属イオン脱着剤を電気透析することを特徴とする上記[8]に記載の貴金属の回収方法。
本発明によれば、貴金属を高収率で回収でき、かつ、貴金属イオン脱着剤を再利用しても液量が増加しないため貴金属回収に伴う廃液の排出が削減可能なため、環境負荷を大幅に低減可能となる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の貴金属イオンの回収方法は、
(1)貴金属イオンを含む溶液と貴金属イオン分離剤とを接触させる貴金属吸着工程、
(2)貴金属イオンを吸着した貴金属イオン分離剤と貴金属イオン脱着剤とを接触させて貴金属イオンを脱着する貴金属脱着工程、並びに
(3)貴金属イオンを含む脱着液(以下、「貴金属イオン脱着液」と称する。)にアルカリ性物質及び還元剤を添加して貴金属を回収する貴金属回収工程を含み、
(4)前記貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液に酸性物質を添加した溶液を、前記貴金属脱着工程で貴金属イオン脱着剤として使用すること、
をその特徴とする。
まず、本発明の貴金属吸着工程について説明する。
本発明の貴金属吸着工程は、貴金属イオンを含む溶液と、貴金属イオン分離剤とを接触させることにより行われる。
貴金属イオンを含む溶液と、貴金属イオン分離剤とを接触させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、貴金属イオンを含む溶液と、貴金属イオン分離剤とを混合したスラリーを調製し、これを攪拌する方法(流動床)が挙げられる。また、貴金属イオン分離剤をカラム等に充填し、貴金属イオンを含む溶液を、カラム等に流通して接触させる方法(固定床)が挙げられる。
本発明に用いられる貴金属イオン分離剤は、操作性、輸送性及び繰り返し利用の点から、カラム等に充填して用いることが好ましい。
ここで、貴金属イオン分離剤を充填するカラムとしては、例えば、耐酸性、耐塩基性及び耐薬品性に優れる素材によるものが好ましく用いられ、具体的には、ガラス製カラム、アクリル樹脂製カラム等が好ましく用いられる。当該カラムとしては、市販品を用いることができる。
貴金属イオンを含有する溶液としては、特に限定するものではないが、例えば、自動車排ガス処理触媒や宝飾品を溶解した溶液や、白金族金属の湿式精錬工程における酸浸出後の溶液が挙げられる。
また、貴金属イオンを含有する溶液としては、水溶液、有機溶媒の溶液のいずれであってもよいが、環境負荷の点で、水溶液が好ましく用いられる。
貴金属イオンを含む溶液の液性としては、特に限定するものではないが、例えば、水溶液である場合は、酸性であることが好ましい。貴金属イオンを含む溶液を酸性にするために用いられる酸としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。これらのうち塩酸が、貴金属イオンの酸浸出液としても用いられるため、特に好ましい。
本発明で用いられる貴金属イオン分離剤としては、例えば、貴金属イオンを吸着する官能基(リガンド)を担体に固定化させたもの等が挙げられる。貴金属イオンを吸着するリガンドとしては、特に限定するものではないが、例えば、スルフィド基、アミノ基等を有する官能基が好ましく用いられる。具体的には、上記一般式(1)で示される官能基が好適なリガンドとして例示される。
貴金属イオン分離剤において、貴金属イオンを吸着するリガンドを固定化する担体としては、特に限定するものではないが、例えば、水に不溶性の担体が好ましい。具体的には、ポリスチレン、架橋ポリスチレン等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸系ポリマー;等の合成高分子担体、セルロース、アガロース、デキストラン等の天然高分子担体、活性炭、シリカゲル、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、マグネシア、ポリシロキサン等の無機担体等が挙げられる。
本発明において、「架橋ポリスチレン」とは、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等のモノビニル芳香族化合物と、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ビスビニルジフェニル、ビスビフェニルエタン等のポリビニル芳香族化合物との架橋共重合体を主体とする合成高分子担体をいい、これらの共重合体にグリセロールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のメタクリル酸エステルが共重合されていても良い。
これらの不溶性担体のうち、価格及び入手容易性の点で、シリカゲル及びアルミナが特に好ましい。
担体の形状としては、例えば、球状(例えば、球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(例えば、平膜等)等の、一般的に分離基材として使用される形状が利用可能であり、特に限定されない。これらのうち、球状、膜状、粒状、繊維状のものが好ましい。粒状粒子はカラム法やバッチ法で使用する際、その使用体積を任意に設定できることから、特に好ましい。
粒状粒子の場合、不溶性担体の粒子サイズとしては、特に限定するものではないが、通常、外径1〜1000μmの範囲のものを用いることができるが、貴金属イオン吸着性能及び取扱いの容易性の点から、10〜300μmの範囲のものが好ましい。
不溶性担体は、多孔質でも無孔質でも問題なく使用できるが、多孔質の方が貴金属イオン吸着の有効面積が広いため、好ましい。
貴金属イオンを吸着するリガンドを担体に固定化する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、物理的に吸着担持させる方法、又は化学的結合による固定化方法が挙げられる。
上記一般式(1)で示される官能基が担体に化学的結合により固定化されている貴金属イオン分離剤は、例えば、アミノ基を有する担体と、対応するスルフィド含有カルボン酸化合物とを反応させることによって製造することができる。
ここで、アミノ基を有する担体としては、特に限定するものではないが、市販品を用いることもできるし、上記した担体を一般公知の方法によってアミノ化したものを用いることもできる。例えば、上記した無機担体とアミノ基を有するシランカップリング剤とを混合し、反応させることによって製造することができる。
次に、本発明の貴金属脱着工程について説明する。
本発明の貴金属脱着工程は、貴金属イオンを吸着した貴金属イオン分離剤と、貴金属イオン脱着剤とを接触させ、貴金属イオンを脱着させることにより行われる。
貴金属イオンを吸着した貴金属イオン分離剤と、貴金属イオン脱着剤とを接触させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記した吸着工程と同様な流動床や固定床式の接触方法を挙げることができる。
貴金属イオン脱着剤としては、チオ尿素、含硫黄アミノ酸誘導体(例えば、システイン誘導体、メチオニン)等が挙げられる。これらのうち、脱着効率及び脱着速度の点でチオ尿素又はメチオニンが好ましい。
貴金属イオン脱着剤は、脱着剤が液体の場合は市販品をそのまま脱着工程に用いることもできるし、任意の溶媒に溶解した溶液として用いることもできる。貴金属イオン脱着剤溶液として用いる場合、例えば、有機溶液、有機−水混合溶液、水溶液又は酸性水溶液等として用いることができる。これらのうち、環境負荷の点で水溶液又は酸性水溶液として用いることが好ましい。
酸性水溶液とする場合に用いられる酸としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。これらのうち塩酸が、安価なため好ましい。酸性水溶液の酸濃度としては、0.1〜10mol/Lの範囲が好ましく、0.1〜3mol/Lの範囲がより好ましい。
貴金属イオン脱着剤溶液中の脱着剤濃度としては、特に限定するものではないが、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲から選ばれる。
貴金属イオン脱着剤の使用量は、特に限定するものではないが、例えば、上記一般式(1)で示される官能基が担体に固定化されている貴金属イオン分離剤を用いる場合、当該貴金属イオン分離剤中の硫黄量1モルに対して、通常2〜10000倍モルの範囲であり、脱着効率及び経済性の点で5〜1000倍モルの範囲が好ましい。
本発明の貴金属脱着工程を行うことによって、貴金属イオン脱着液が得られる。
次に、本発明の貴金属回収工程について説明する。
本発明の貴金属回収工程は、貴金属イオン脱着液から貴金属を回収することにより行われる。
貴金属イオン脱着液から貴金属を回収する方法としては、例えば、貴金属イオン脱着液に還元剤を添加し、貴金属イオンを還元後、貴金属をろ別する方法が挙げられる。
貴金属イオン脱着液中の貴金属イオンを還元する場合、還元効率の点で、中性から塩基性条件が好ましく、貴金属イオン脱着液に加えるアルカリ性物質としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重曹、消石灰等を用いることができる。これらのうち安価に入手できる点から水酸化ナトリウムが好ましい。
貴金属イオンの還元処理に用いられる還元剤としては、ヒドラジン誘導体、二酸化硫黄、水素、水素化硼素化合物等が挙げられる。ヒドラジン誘導体としては、ヒドラジン、ヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン硫酸塩、フェニルヒドラジン等に由来するものがあげられる。これらのうち、還元処理の容易さ、安価に入手できる点からヒドラジン塩酸塩が好ましい。
貴金属イオン脱着液の還元処理は、通常4〜100℃の温度範囲で実施されるが、50〜80℃の温度範囲がより好ましい。
還元処理し、沈殿した貴金属をろ過する方法としては、例えば、メンブレンフィルター、ろ紙、ろ布、又はグラスフィルター等を用いる方法が挙げられる。
本発明の方法においては、上記した貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液に酸性物質を添加した溶液(以下、「再生貴金属イオン脱着液」と称する。)を、上記した貴金属脱着工程で貴金属イオン脱着剤として使用する。
酸性物質としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。これらのうち、塩酸が、安価なため好ましい。酸性水溶液の酸濃度としては、特に限定するものではないが、例えば、0.1〜10mol/Lの範囲が好ましい。
貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液は、液量の増加を抑制するため、酸性物質を添加する前に電気透析を行い、塩化ナトリウム等の無機塩、及び水を除去することが好ましい。電気透析は、貴金属イオン脱着剤よりも高い塩濃度となる水溶液を、予め塩回収室に存在させ、次に、貴金属イオン脱着剤を電気透析する。塩回収室に存在させる塩濃度は大きい方が脱水量を多くできる為好ましく、例えば塩化ナトリウムの場合、100g/L以上が好ましい。濃度が低い場合、脱水量が不十分になり、液量を減少できない場合がある。電気透析の方法としては、特に限定するものではないが、例えば、イオン交換膜電気透析法が好ましい操作法として挙げられる。イオン交換膜電気透析法は、特定の陽イオンのみ、又は特定の陰イオンのみを通過させるイオン交換膜を交互に設置し、電圧をかけることにより、反応処理液を脱塩処理液と透過塩液とを区分された室(セル)に導くことができる電気透析法である。
再生貴金属イオン脱着液中の貴金属イオン脱着剤の濃度としては、特に限定するものではないが、上記した貴金属脱着工程と同様であり、好ましくは1〜99重量%の範囲、より好ましくは1〜10重量%の範囲から選ばれる。
再生貴金属イオン脱着液中の、貴金属イオン脱着剤の濃度を調整する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記した電気透析法による無機塩や水の除去、蒸留による水の留去の他、貴金属イオン脱着剤を添加する方法等が挙げられる。
以上の操作によって、本発明の貴金属の回収方法を用いた貴金属の回収が行われる。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。なお、本実施例では貴金属イオンとしてパラジウムイオンを用いた。
(分析方法)
水溶液中のパラジウムイオン濃度は、ICP発光分光分析装置(OPTIMA3300DV、Perkin Elmaer社製)で測定した。
合成例1.
ディーン・スターク装置付き2L四頚フラスコに、シリカゲル(富士シリシア化学製、商品名:PSQ 60B) 450g、o−キシレン 750g、水 22.5gを加えて50℃に昇温し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン 161.6gを10分間掛けて滴下し、さらに90℃で1時間、115℃で1.5時間撹拌した。次いで3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸 0.023g、3−チアペンタン酸 215.5gを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をろ過し、ろ取した固体をメタノールで洗浄して貴金属イオン分離剤 606gを得た。
得られた貴金属イオン分離剤の硫黄含有量は1.4mmol/gであった。
実施例1.
(貴金属吸着工程)
1回目;
合成例1で得られた貴金属イオン分離剤0.2gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填し、パラジウム(II)イオン1000mg/Lの1M塩酸溶液16mLをカラム上部から2mL/時の流速で通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。
2回目;
脱着工程の1回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の1回目と同様にパラジウム(II)イオン1000mg/Lの1M塩酸溶液16mLをカラム上部から2mL/時の流速で通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。
(貴金属脱着工程)
1回目;
パラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、貴金属イオン脱着剤として10重量%濃度のメチオニンを含む3mol/L塩酸水溶液をカラム上部から100mL/時の流速で20mL通液して、貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
2回目;
貴金属吸着工程の2回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、1回目の貴金属回収工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から100mL/時の流速で全量通液して、貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン濃度から、パラジウム脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
(貴金属回収工程)
1回目;
得られたパラジウムイオン脱着液に対し、ヒドラジン塩酸塩40mg、48重量%水酸化ナトリウム5.0gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、メンブレンフィルターでろ過し、析出したパラジウムを回収した。
貴金属回収工程で得られたろ液に36重量%濃度塩酸8.8gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、貴金属脱着工程の2回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
得られた再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
2回目;
貴金属脱着工程の2回目で得られたパラジウムイオン脱着液に対し、ヒドラジン塩酸塩40mg、48重量%水酸化ナトリウム5.0gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、メンブレンフィルターでろ過し、析出したパラジウムを回収した。
貴金属回収工程の2回目で得られたろ液に36重量%濃度塩酸8.8gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、脱着工程の3回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
得られた再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
同様の方法で、3回目〜5回目の貴金属吸着工程、貴金属脱着工程、貴金属回収工程の操作を繰り返した。
表1に、貴金属イオン脱着剤の分離性能を示す。
Figure 2015158004
表1に示すように、本発明の貴金属の回収方法を用いれば、パラジウムをほぼ定量的に回収でき、かつ、パラジウムを還元析出して回収する際に生じる貴金属イオン脱着剤の廃液は再生して繰り返し使用することができた。
本発明によれば、貴金属を高収率で回収でき、かつ、貴金属回収に伴う廃液の排出が削減可能なため、環境負荷を大幅に低減可能である。
実施例2.
(貴金属吸着工程)
1回目;
合成例1で得られた貴金属イオン分離剤0.2gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填し、パラジウム(II)イオン1000mg/Lの1M塩酸溶液16mLをカラム上部から2mL/時の流速で通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。
2回目;
脱着工程の1回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の1回目と同様にパラジウム(II)イオン1000mg/Lの1M塩酸溶液16mLをカラム上部から2mL/時の流速で通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。
3回目;
脱着工程の2回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の2回目と同様にパラジウム(II)イオン1000mg/Lの1M塩酸溶液16mLをカラム上部から2mL/時の流速で通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。
(貴金属脱着工程)
1回目;
パラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、貴金属イオン脱着剤として5重量%濃度のメチオニンを含む5重量%濃度の塩酸水溶液をカラム上部から100mL/時の流速で40mL通液して、貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
2回目;
貴金属吸着工程の2回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、1回目の貴金属回収工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から100mL/時の流速で全量通液して、貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン濃度から、パラジウム脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
3回目;
貴金属吸着工程の3回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、2回目の貴金属回収工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から100mL/時の流速で全量通液して、貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン濃度から、パラジウム脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
(貴金属回収工程)
1回目;
得られたパラジウムイオン脱着液に対し、ヒドラジン一水和物40mg、48重量%水酸化ナトリウム5.0gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、メンブレンフィルターでろ過し、析出したパラジウムを回収した。
貴金属回収工程で得られた濃縮液に36重量%濃度塩酸6.1gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、貴金属脱着工程の2回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
得られた再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
2回目;
貴金属脱着工程の2回目で得られたパラジウムイオン脱着液に対し、ヒドラジン一水和物40mg、48重量%水酸化ナトリウム5.0gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、メンブレンフィルターでろ過し、析出したパラジウムを回収した。得られたろ液を、塩化ナトリウム濃度が60g/Lになるまで電気透析した。液量は電気透析前に比べて20重量%減少した。電気透析装置としてマイクロアシライザーS1(アストム社製)、イオン交換膜カートリッジとしてAC−110−20(アストム社製)を用い、塩化ナトリウム排出液には純水100グラム、電極液には1%硫酸ナトリウム水溶液100グラムを用いた。
貴金属回収工程の2回目で得られた、この電気透析した溶液に36重量%濃度塩酸6.1gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、脱着工程の3回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
得られた再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
3回目;
貴金属脱着工程の3回目で得られたパラジウムイオン脱着液に対し、ヒドラジン−水和物40mg、48重量%水酸化ナトリウム5.0gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、メンブレンフィルターでろ過し、析出したパラジウムを回収した。
得られた再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、再生貴金属イオン脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
表2に、貴金属イオン脱着剤の分離性能を示す。
Figure 2015158004
表2の繰り返し回数3回目に示すように、貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液を電気透析した溶液に、酸性物質を添加した溶液を、貴金属脱着工程で貴金属イオン脱着剤として使用しても、パラジウムをほぼ定量的に回収することができた。また、パラジウムを還元析出して回収する際に生じる貴金属イオン脱着剤の廃液は、電気透析することによって濃縮され、再生して繰り返し使用することができた。
比較例1.
(貴金属吸着工程)
1回目;
合成例1で得られた貴金属イオン分離剤0.2gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填し、パラジウム(II)イオン1000mg/Lの1M塩酸溶液16mLをカラム上部から2mL/時の流速で通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。
2回目;
脱着工程の1回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の1回目と同様にパラジウム(II)イオン1000mg/Lの1M塩酸溶液16mLをカラム上部から2mL/時の流速で通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。
(貴金属脱着工程)
1回目;
パラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、貴金属イオン脱着剤として10重量%濃度のメチオニンを含む3mol/L塩酸水溶液をカラム上部から100mL/時の流速で20mL通液して、貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。パラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
2回目;
貴金属吸着工程の2回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、2回目の貴金属回収工程で得られたろ液を貴金属イオン脱着剤としてカラム上部から100mL/時の流速で全量通液して、貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン脱着液中のパラジウムイオン濃度から、パラジウム脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
(貴金属回収工程)
1回目;
得られたパラジウムイオン脱着液に対し、ヒドラジン塩酸塩40mg、48重量%水酸化ナトリウム5.0gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、メンブレンフィルターでろ過し、析出したパラジウムを回収した。また、得られたろ液を2回目の貴金属イオン脱着剤として、再利用した。
2回目;
貴金属脱着工程の2回目で得られたパラジウムイオン脱着液に対し、ヒドラジン塩酸塩40mgを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、メンブレンフィルターでろ過し、析出したパラジウムを回収した。
表3に、貴金属イオン脱着剤の分離性能を示す。
Figure 2015158004
表3に示したように、パラジウムを回収した後の溶液に酸性物質を添加しない場合、パラジウム回収率は、大幅に低下し、パラジウムを高収率で回収することはできなかった。
実施例3.
貴金属回収工程における「パラジウム回収後のろ液」を想定した溶液を調製し、下記条件で電気透析し、脱塩及び脱水を行った。
電気透析は、電極液として5重量%硫酸ナトリウム水溶液500mlを用い、塩回収室中の液としては初期の塩回収室中のNaCl水溶液の濃度が0〜250g/Lとなる液250mlを用い、脱塩室に「パラジウム回収後のろ液」を入れ、その電気伝導度が60msになるまで電気透析を行った。電気透析装置としてマイクロアシライザーS3(アストム社製)、イオン交換膜カートリッジとしてAC−110−550(CIMS/ACS)(アストム社製)を用いた。
表4に結果を示す。
Figure 2015158004
初期の塩回収室中の塩(NaCl)水溶液の濃度が0g/L(比較例1)に比べて、予めNaClが入っている水溶液(実施例1〜3)を用いた場合、「パラジウム回収後のろ液」から脱水される水の量が多いことが分かる。
実施例4.
本電気透析法を用いて、貴金属(パラジウム)を含む溶液から、パラジウムを回収した例を示す。
(貴金属吸着工程)
1回目;
合成例1で得られた貴金属イオン分離剤17gを、ガラス製のカラム(内径10mm、長さ300mm)に充填し、貴金属を含む溶液としてパラジウム(II)イオン5100mg/Lの1M塩酸溶液200mLをカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50gを通液してカラムを洗浄した。
2回目;
脱着工程の1回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の1回目と同様にパラジウム(II)イオン5100mg/Lの1M塩酸溶液200mLをカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50gを通液してカラムを洗浄した。
3回目;
脱着工程の2回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の2回目と同様にパラジウム(II)イオン5100mg/Lの1M塩酸溶液200mLをカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50gを通液してカラムを洗浄した。
4回目;
脱着工程の3回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の3回目と同様にパラジウム(II)イオン5100mg/Lの1M塩酸溶液200mLをカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50gを通液してカラムを洗浄した。
5回目;
脱着工程の4回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の4回目と同様にパラジウム(II)イオン5100mg/Lの1M塩酸溶液200mLをカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50gを通液してカラムを洗浄した。
6回目;
脱着工程の5回目でパラジウムイオンを脱着した貴金属イオン分離剤に、吸着工程の5回目と同様にパラジウム(II)イオン5100mg/Lの1M塩酸溶液200mLをカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50gを通液してカラムを洗浄した。
(貴金属脱着工程)
1回目;
パラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、貴金属イオン脱着剤として5重量%濃度のメチオニンを含む5重量%濃度の塩酸水溶液255gをカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50mLを通液して貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
2回目;
貴金属吸着工程の2回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、1回目の貴金属イオン脱着剤の再生工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50mLを通液して貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
3回目;
貴金属吸着工程の3回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、2回目の貴金属イオン脱着剤の再生工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50mLを通液して貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
4回目;
貴金属吸着工程の4回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、3回目の貴金属イオン脱着剤の再生工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50mLを通液して貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン含有脱着液中のパラジウムイオン含有量を算出した。
5回目;
貴金属吸着工程の4回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、4回目の貴金属イオン脱着剤の再生工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50mLを通液して貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
6回目;
貴金属吸着工程の5回目で得られたパラジウムイオンを吸着した貴金属イオン分離剤に対し、5回目の貴金属イオン脱着剤の再生工程で得られた再生貴金属イオン脱着剤をカラム上部から1時間掛けて通液し、次に水50mLを通液して貴金属イオン分離剤に吸着されたパラジウムイオンの脱着を行った。得られたパラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン濃度から、パラジウムイオン含有脱着剤中のパラジウムイオン含有量を算出した。
(貴金属回収工程)
1回目;
得られたパラジウムイオン含有脱着剤に対し、ヒドラジン1水和物1g、48重量%水酸化ナトリウム32gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、析出したパラジウムを回収した。
得られたろ液中のパラジウムイオン濃度及びメチオニン濃度を測定し、析出したパラジウム量、及びろ液中のメチオニン量を算出した。
2回目;
貴金属脱着工程の2回目で得られたパラジウムイオン含有脱着剤に対し、ヒドラジン1水和物1g、48重量%水酸化ナトリウム32gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。
室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、析出したパラジウムを回収した。
得られたろ液中のパラジウムイオン濃度及びメチオニン濃度を測定し、析出したパラジウム量、及びろ液中のメチオニン量を算出した。
3回目;
貴金属脱着工程の3回目で得られたパラジウムイオン含有脱着剤に対し、ヒドラジン1水和物1g、48重量%水酸化ナトリウム32gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。
室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、析出したパラジウムを回収した。
得られたろ液中のパラジウムイオン濃度及びメチオニン濃度を測定し、析出したパラジウム量、及びろ液中のメチオニン量を算出した。
4回目;
貴金属脱着工程の4回目で得られたパラジウムイオン含有脱着剤に対し、ヒドラジン1水和物1g、48重量%水酸化ナトリウム32gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。
室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、析出したパラジウムを回収した。
得られたろ液中のパラジウムイオン濃度及びメチオニン濃度を測定し、析出したパラジウム量、及びろ液中のメチオニン量を算出した。
5回目;
貴金属脱着工程の5回目で得られたパラジウムイオン含有脱着剤に対し、ヒドラジン1水和物1g、48重量%水酸化ナトリウム32gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。
室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、析出したパラジウムを回収した。
得られたろ液中のパラジウムイオン濃度及びメチオニン濃度を測定し、析出したパラジウム量、及びろ液中のメチオニン量を算出した。
6回目;
貴金属脱着工程の6回目で得られたパラジウムイオン含有脱着液に対し、ヒドラジン1水和物1g、48重量%水酸化ナトリウム32gを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。
室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、析出したパラジウムを回収した。
得られたろ液中のパラジウムイオン濃度及びメチオニン濃度を測定し、析出したパラジウム量、及びろ液中のメチオニン量を算出した。
(貴金属イオン脱着剤の再生工程)
1回目;
貴金属回収工程で得られたろ液に35重量%塩酸40gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、貴金属脱着工程の2回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
2回目;
貴金属回収工程の2回目で得られたろ液に35重量%塩酸40gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、貴金属脱着工程の3回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
3回目;
貴金属回収工程の3回目で得られたろ液を電気透析し、脱塩及び脱水を行った。
電気透析は、電極液として5重量%硫酸ナトリウム水溶液500mlを用い、塩回収室中の液としては初期の塩回収室中のNaCl水溶液の濃度が250g/Lとなる液250mlを用い、脱塩室に「貴金属回収工程の3回目で得られたろ液」を入れ、その電気伝導度が60msになるまで電気透析を行った。次にNaClを10.6g添加し、再度電気伝導度が60msになるまで電気透析を行った。電気透析装置としてマイクロアシライザーS3(アストム社製)、イオン交換膜カートリッジとしてAC−110−550(CIMS/ACS)(アストム社製)を用いた。
得られたろ液中のメチオニン濃度を測定し、ろ液中のメチオニン量を算出した。
上記電気透析を行ったろ液に35重量%塩酸40gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、貴金属脱着工程の4回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
4回目;
貴金属回収工程の4回目で得られたろ液に35重量%塩酸40gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、貴金属脱着工程の4回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
5回目;
貴金属回収工程の5回目で得られたろ液を電気透析し、脱塩及び脱水を行った。
電気透析は、電極液として5重量%硫酸ナトリウム水溶液500mlを用い、塩回収室中の液としては初期の塩回収室中のNaCl水溶液の濃度が250g/Lとなる液250mlを用い、脱塩室に「貴金属回収工程の5回目で得られたろ液」を入れ、その電気伝導度が60msになるまで電気透析を行った。次にNaClを10.6g添加し、再度電気伝導度が60msになるまで電気透析を行った。電気透析装置としてマイクロアシライザーS3(アストム社製)、イオン交換膜カートリッジとしてAC−110−550(CIMS/ACS)(アストム社製)を用いた。
得られたろ液中にメチオニン2.0gを加え、次いでメチオニン濃度を測定し、ろ液中のメチオニン量を算出した。
上記電気透析を行ったろ液に35重量%塩酸40gを添加して再生貴金属イオン脱着剤を得た。この再生貴金属イオン脱着剤を、貴金属脱着工程の6回目の貴金属イオン脱着剤として再利用した。
比較例2.
貴金属イオン脱着剤の再生工程で電気透析を行わなかった点を除き、実施例と同様な方法で貴金属吸着工程、貴金属脱着工程、貴金属回収工程、貴金属イオン脱着剤の再生工程を6回繰り返した。
表5に、貴金属イオン脱着剤の分離性能を示す。
Figure 2015158004
表5の実施例4に示すように、本発明の貴金属イオン脱着剤の再生方法を用いれば、貴金属イオン脱着剤の液量を増加させることなく、貴金属であるパラジウムをほぼ定量的に回収できた。一方、表5の比較例2では、貴金属であるパラジウムをほぼ定量的に回収できるものの、脱着剤の液量が繰り返し回数の増加と共に増加する課題が残る。
本発明によれば、貴金属を高収率で回収でき、かつ、貴金属イオン脱着液を再利用しても液量が増加しないため、貴金属回収に伴う廃液の排出が削減可能となる。
本発明の貴金属の回収方法は、貴金属を高収率で回収でき、かつ、金属イオン脱着液を再利用しても液量が増加しないため、貴金属回収に伴う廃液の排出が削減可能なため、環境負荷を大幅に低減可能であり、貴金属回収分野において広範に使用される可能性を有している。

Claims (9)

  1. 貴金属イオンを含む溶液と貴金属イオン分離剤とを接触させる貴金属吸着工程、貴金属イオンを吸着した貴金属イオン分離剤と貴金属イオン脱着剤とを接触させて貴金属イオンを脱着する貴金属脱着工程、並びに貴金属イオンを含む脱着液にアルカリ性物質及び還元剤を添加して貴金属を回収する貴金属回収工程を含み、前記貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液に酸性物質を添加した溶液を、前記貴金属脱着工程で貴金属イオン脱着剤として使用することを特徴とする貴金属の回収方法。
  2. 酸性物質が塩酸であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  3. 貴金属イオンを含む脱着液が、メチオニンと塩酸を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貴金属の回収方法。
  4. 還元剤がヒドラジンを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
  5. アルカリ性物質が水酸化ナトリウムを含むことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
  6. 貴金属イオン分離剤が、下記一般式(1)で示される官能基が担体に固定化されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
    Figure 2015158004
    (式中、Rは水素原子、炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、又はカルボキシエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。Zはアミド結合を表す。)
  7. 貴金属が白金族金属類であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
  8. 貴金属回収工程で貴金属を回収した後の貴金属イオン脱着液に酸性物質を添加する前に、当該貴金属イオン脱着液を電気透析することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
  9. 無機塩を含んだ水溶液を予め塩回収室に存在させた後、貴金属イオン脱着剤を電気透析することを特徴とする請求項8に記載の貴金属の回収方法。
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