JP2015092019A - 白金イオンの分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 白金(IV)イオンを含む溶液から、簡便な方法、且つ高選択に白金イオンを分離する方法を提供する。
【解決手段】 白金(IV)イオンを含む溶液と、鉄(II)イオン及び白金分離剤とを接触させて白金(II)イオンを白金分離剤に吸着させる吸着工程と、白金(II)イオンを吸着した白金分離剤と、白金脱着剤とを接触させて白金(II)イオンを脱着させる脱着工程とを含む方法を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 白金(IV)イオンを含む溶液と、鉄(II)イオン及び白金分離剤とを接触させて白金(II)イオンを白金分離剤に吸着させる吸着工程と、白金(II)イオンを吸着した白金分離剤と、白金脱着剤とを接触させて白金(II)イオンを脱着させる脱着工程とを含む方法を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、白金イオンの選択的な分離を可能にする白金イオンの分離方法に関する。
工業用触媒、自動車排ガス浄化触媒及び多くの電化製品には、パラジウム、白金、ロジウム等の貴金属が用いられている。これらの貴金属は高価であり、資源としても有用であることから、従来から使用後に回収して再利用する、すなわちリサイクルが行われている。最近では、資源保全の要求が高まり、貴金属のリサイクルの重要性が一層増加している。
貴金属を回収するために、沈殿分離法、イオン交換法、電解析出法、溶媒抽出法、吸着法等の方法が開発されており、これらのうち溶媒抽出法が経済性及び操作性の点から広く採用されている。
溶媒抽出法は、白金イオンが溶解した水相と白金イオン抽出剤が溶解した有機相を液−液接触させることで白金イオンを有機相側に抽出する抽出工程と、有機相側に抽出された白金イオンと逆抽出剤が溶解した水相とを接触させることで白金イオンを水相側に逆抽出する逆抽出工程からなる。
この方法によれば、白金イオンを高選択的に分離できるため、工業的に利用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、当該溶媒抽出法では、多量の有機溶媒を使用することから、安全性や環境負荷の面で課題を有する。また、当該抽出法で一般的に用いられる燐酸トリブチル等の抽出溶媒を用いた方法では、低濃度の白金イオンの抽出率が不十分であり、また高濃度の白金溶液であっても抽出速度が遅いため、生産性が低いなどの課題を有する。
よって、低濃度から高濃度の範囲の白金イオン溶液から短時間で、且つ高選択的に白金を分離可能な分離剤、及びその分離剤を使用する白金イオンの分離方法の開発が望まれている。
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、Pt(IV)イオンを含む溶液から簡便な方法で、且つ高選択的に白金イオンを分離する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明の白金イオンの分離方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の要旨を有するものである。
[1]白金(IV)イオンを含む溶液と、鉄(II)イオン及び白金分離剤とを接触させて白金(II)イオンを白金分離剤に吸着させる吸着工程と、白金(II)イオンを吸着した白金分離剤と、白金脱着剤とを接触させて白金(II)イオンを脱着させる脱着工程とを含む白金イオンの分離方法。
[2]鉄(II)イオンが、塩化第一鉄又は硫酸鉄(II)に由来することを特徴とする上記[1]記載の分離方法。
[3]白金脱着剤が、アンモニア、チオ尿素、メチオニン、及びエチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の分離方法。
[4]白金分離剤が、下記一般式(1)で示される官能基が担体に固定化されていることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の分離方法。
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、又はカルボキシエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。Zはアミド結合を表す。)
[5]上記[1]の吸着工程で得られた溶液を分取し、再度、白金分離剤と接触させることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の分離方法。
[5]上記[1]の吸着工程で得られた溶液を分取し、再度、白金分離剤と接触させることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の分離方法。
本発明によれば、簡便な操作で、白金イオンの分離が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の白金イオンの分離方法は、白金(IV)イオンを含む溶液と、鉄(II)イオン及び白金分離剤とを接触させて白金(II)イオンを白金分離剤に吸着させる吸着工程と、白金(II)イオンを吸着した白金分離剤と、白金脱着剤とを接触させて白金(II)イオンを脱させる脱着工程とを含むことをその特徴とする。
まず、本発明の吸着工程について説明する。
本発明の吸着工程は、白金(IV)イオンを含む溶液と、鉄(II)イオン及び白金分離剤とを接触させることにより行われる。鉄(II)イオンは還元剤として作用する。
本発明で用いられる鉄(II)イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、塩化第一鉄、硫酸鉄(II)、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、硝酸鉄(II)、酢酸鉄(II)、シアン化鉄(II)、水酸化鉄(II)、リン酸鉄(II)等に由来するものが挙げられる。これらのうち、安価に入手できる点で塩化第一鉄及び硫酸鉄(II)が好ましい。
鉄イオン(II)以外の還元剤として、例えば、アスコルビン酸等の有機酸、チオ硫酸塩類が挙げられるが、これらの還元剤で処理した場合、有機酸は化学的酸素要求量(COD)の増加につながり、チオ硫酸塩類は毒性の二酸化硫黄ガスが発生するため、本発明においては好ましくない。
白金(IV)イオンを含む溶液と、鉄(II)イオン及び白金分離剤とを接触させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、白金(IV)イオンを含む溶液と鉄(II)イオンとを接触させて得られた溶液と、白金分離剤とを混合したスラリーを調製し、これを攪拌する方法(流動床)が挙げられる。また、白金分離剤をカラム等に充填し、白金(IV)イオンを含む溶液と鉄(II)イオンとを接触させて得られた溶液を、カラム等に流通して接触させる方法(固定床)が挙げられる。
白金(IV)イオンを含有する溶液としては、特に限定するものではないが、例えば、自動車排ガス処理触媒や宝飾品を溶解した溶液や、白金族金属の湿式精錬工程における酸浸出後の溶液が挙げられる。
白金(IV)イオンを含む溶液は、白金(IV)イオンの他に、ロジウムイオン等の白金族金属イオン、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、亜鉛イオン等の卑金属イオンを含有していても良い。この溶液を、本発明の分離方法で分離すると、白金イオンを選択的に分離することが可能となる。
白金(IV)イオンを含有する溶液としては、水溶液、有機溶媒の溶液のいずれであってもよいが、環境負荷の点で、水溶液が好ましく用いられる。
白金(IV)イオンを含む溶液の液性としては、特に限定するものではないが、例えば、水溶液である場合は、酸性であることが好ましい。白金(IV)イオンを含む溶液を酸性にするために用いられる酸としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。これらのうち塩酸が、白金イオンの酸浸出液としても用いられるため、特に好ましい。
本発明で用いられる白金分離剤は、白金イオンを吸着するリガンドを担体に担持させたもの等が挙げられる。白金イオンを分離するリガンドとしては、特に限定するものではないが、例えば、スルフィド基、アミノ基等を有する官能基が好ましく用いられる。具体的には、一般式(1)で示される官能基が好適なリガンドとして例示される。
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、又はカルボキシエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。Zはアミド結合を表す。)
ここで、一般式(1)のRにおける炭素数1〜18の鎖式炭化水素基としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、1−ヘプチニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−メチル−1−プロペニル基等が挙げられ、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基としては特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘキサトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基等が挙げられ、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては特に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
ここで、一般式(1)のRにおける炭素数1〜18の鎖式炭化水素基としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、1−ヘプチニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−メチル−1−プロペニル基等が挙げられ、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基としては特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘキサトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基等が挙げられ、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては特に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
具体的な一般式(1)で示される官能基としては例えば、一般式(2)で示される官能基が挙げられる。
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、カルボキシルメチル基、又はカルボキシエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
さらには、一般式(1)又は(2)において、nが1の整数であることが好ましい。
さらには、一般式(1)又は(2)において、nが1の整数であることが好ましい。
また、一般式(1)又は(2)において、Rはメチル基、エチル基及びプロピル基であることが分離剤への白金イオン吸着容量が多い点で好ましい。
上記分離剤において、白金イオンを吸着するリガンドを固定化する担体としては、特に限定するものではないが、例えば、水に不溶性の担体が好ましい。具体的には、ポリスチレン、架橋ポリスチレン等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸系ポリマー;等の合成高分子担体、セルロース、アガロース、デキストラン等の天然高分子担体、活性炭、シリカゲル、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、マグネシア、ポリシロキサン等の無機担体等が挙げられる。
本発明において、「架橋ポリスチレン」とは、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等のモノビニル芳香族化合物と、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ビスビニルジフェニル、ビスビフェニルエタン等のポリビニル芳香族化合物との架橋共重合体を主体とする合成高分子担体をいい、これらの共重合体にグリセロールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のメタクリル酸エステルが共重合されていても良い。
これらの不溶性担体のうち、価格及び入手容易性の点で、シリカゲル及びアルミナが特に好ましい。
不溶性担体の形状としては、例えば、球状(例えば、球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(例えば、平膜等)等の、一般的に分離基材として使用される形状が利用可能であり、特に限定されない。これらのうち、球状、膜状、粒状、繊維状のものが好ましい。粒状粒子はカラム法やバッチ法で使用する際、その使用体積を任意に設定できることから、特に好ましい。
粒状粒子の場合、不溶性担体の粒子サイズとしては、特に限定するものではないが、通常、外径1〜1000μmの範囲のものを用いることができるが、白金イオン吸着性能及び取扱いの容易性の点から、10〜300μmの範囲のものが好ましい。
不溶性担体は、多孔質でも無孔質でも問題なく使用できるが、多孔質の方が白金イオン吸着の有効面積が広いため、好ましい。
白金イオンを吸着するリガンドを不溶性担体に固定化する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、物理的に吸着担持させる方法、又は化学的結合による固定化方法が挙げられる。
上記一般式(1)で示される官能基が担体に化学的結合により固定化されている白金分離剤は、例えば、アミノ基を有する担体と、対応するスルフィド含有カルボン酸化合物とを反応させることによって製造することができる。
ここで、アミノ基を有する担体としては、特に限定するものではないが、市販品を用いることもできるし、上記した担体を一般公知の方法によってアミノ化したものを用いることもできる。例えば、上記した無機担体とアミノ基を有するシランカップリング剤とを混合し、反応させることによって製造することができる。
次に、本発明の脱着工程について説明する。
本発明の脱着工程は、白金(II)イオンを吸着した白金分離剤と、白金脱着剤とを接触させ、白金(II)イオンを脱着させることにより行われる。
白金(II)イオンを吸着した白金分離剤と、白金脱着剤とを接触させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記した吸着工程と同様な流動床や固定床式の接触方法を挙げることができる。
白金脱着剤としては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニア、チオ尿素、メチオニン、エチレンジアミン等が挙げられる。これらのうち、脱着効率及び脱着速度の点でチオ尿素又はメチオニンが好ましい。
白金脱着剤は、液体の場合は市販品をそのまま脱着工程に用いることもできるし、任意の溶媒に溶解した溶液として用いることもできる。白金脱着剤溶液として用いる場合、特に限定するものではないが、例えば、有機溶液、有機−水混合溶液、水溶液又は酸性水溶液等として用いることができる。これらのうち、環境負荷の点で水溶液又は酸性水溶液として用いることが好ましい。また、酸性水溶液とする場合は、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸を用いることができる。酸性水溶液の酸濃度としては、0.1〜10mol/Lの範囲が好ましく、0.1〜3mol/Lの範囲がより好ましい。
白金脱着剤溶液中の脱着剤濃度としては、特に限定するものではないが、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲で選ばれる。
白金脱着剤の使用量は、特に限定するものではないが、例えば、白金分離剤中の硫黄量1モルに対して、通常2〜10000倍モルの範囲であり、脱着効率及び経済性の点で5〜1000倍モルの範囲が好ましい。
本発明の脱着工程を行うことによって、脱着した白金(II)イオンを含む脱着液(以下、「白金イオン脱着液」という。)が得られる。
次に、白金イオン脱着液から白金を分離する方法について説明する。
白金イオン脱着液中の白金(II)イオンは、例えば、還元処理やキレート剤の添加等の従来公知の方法により、金属白金又は白金錯体として沈殿させることができ、さらに、ろ過等の方法により、分離することができる。
白金イオン脱着液の還元処理方法としては、特に制限はなく、目的や設備に応じて種々の方法を用いることができる。例えば、電気分解による電解還元法やヒドラジン等の還元剤を添加する化学的還元方法が挙げられる。
白金イオン脱着液の還元処理は、酸性条件、中性条件、又は塩基性条件のいずれの条件でも実施可能であるが、白金イオンの還元効率及び設備の腐食性を抑える点から、pH6以上8以下の中性条件が好ましい。白金イオン脱着液の中和剤としては、特に限定するものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重曹、消石灰などの無機塩基化合物を好ましく用いることができる。中でも水酸化ナトリウムが中和剤としてより好ましく用いられる。
白金イオン脱着液の還元処理は、通常4〜100℃の温度範囲で実施されるが、生産性の点から50〜80℃の温度範囲がより好ましい。
金属白金又は白金錯体の沈殿物のろ過方法としては、例えば、メンブレンフィルター、ろ紙、ろ布、グラスフィルター等を用いる方法が挙げられる。
ろ過により得られた金属白金又は白金錯体の沈殿物は、白金の融点以上に加熱して溶融させることで、金属白金として分離することができる。
以下に、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
(分析方法)
水溶液中の白金及び鉄イオン濃度は、ICP発光分光分析装置(OPTIMA3300DV、Perkin Elmaer社製)で測定した。
水溶液中の白金及び鉄イオン濃度は、ICP発光分光分析装置(OPTIMA3300DV、Perkin Elmaer社製)で測定した。
合成例1.
ディーン・スターク装置付き2L四つ口フラスコに、シリカゲル(富士シリシア化学製、商品名:PSQ 60B) 450g、o−キシレン 750g、水 22.5gを加えて50℃に昇温し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン 161.6gを10分間掛けて滴下し、さらに90℃で1時間、115℃で1.5時間撹拌した。
次いで3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸 0.023g、3−チアペンタン酸 215.5gを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をろ過し、ろ取した固体をメタノールで洗浄して以下の構造を有する白金分離剤 606gを得た。
ディーン・スターク装置付き2L四つ口フラスコに、シリカゲル(富士シリシア化学製、商品名:PSQ 60B) 450g、o−キシレン 750g、水 22.5gを加えて50℃に昇温し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン 161.6gを10分間掛けて滴下し、さらに90℃で1時間、115℃で1.5時間撹拌した。
次いで3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸 0.023g、3−チアペンタン酸 215.5gを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をろ過し、ろ取した固体をメタノールで洗浄して以下の構造を有する白金分離剤 606gを得た。
得られた白金分離剤の硫黄含有量は1.4mmol/gであった。
参考例1〜2、比較例1〜7.
白金(IV)イオンの初濃度が200mg/Lの1M塩酸溶液20mLに合成例1で得られた白金分離剤60mgと、表1に示す還元剤とを加え室温で24時間撹拌し、白金イオンの吸着を行った。白金イオンの残存金属濃度と初濃度から白金イオンの吸着量を求めた。
白金(IV)イオンの初濃度が200mg/Lの1M塩酸溶液20mLに合成例1で得られた白金分離剤60mgと、表1に示す還元剤とを加え室温で24時間撹拌し、白金イオンの吸着を行った。白金イオンの残存金属濃度と初濃度から白金イオンの吸着量を求めた。
表1に、白金分離剤の評価結果を併せて示す。
表1に示したように、塩化第一鉄及び硫酸鉄(II)以外の還元剤では白金イオン(II)の吸着率が30%〜80%と白金(II)イオンの分離が不十分であったのに対し、塩化第一鉄又は硫酸鉄(II)を用いることで100%の吸着率で白金(II)イオンを分離した。さらに、還元剤として用いた鉄(II)イオンは、白金分離剤に全く吸着されず、選択的に白金(II)イオンのみを分離した。
参考例3.
白金(IV)イオンの初濃度が1000mg/Lの1M塩酸溶液15mLに合成例1で得られた白金分離剤 60mg、塩化第一鉄4水和物 31mgを加え室温で24時間撹拌し、白金イオンの飽和吸着量を測定した。残存金属濃度と初濃度から白金イオンの吸着量は、144mg/g−白金分離剤、白金選択率は100%であった。
白金(IV)イオンの初濃度が1000mg/Lの1M塩酸溶液15mLに合成例1で得られた白金分離剤 60mg、塩化第一鉄4水和物 31mgを加え室温で24時間撹拌し、白金イオンの飽和吸着量を測定した。残存金属濃度と初濃度から白金イオンの吸着量は、144mg/g−白金分離剤、白金選択率は100%であった。
(白金イオンの吸脱着操作)
実施例1.
合成例1で得られた白金分離剤 0.1gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填した。次に、塩化第一鉄4水和物 52mgを添加した白金(IV)イオンの初濃度が510mg/Lの1M塩酸溶液50mLをカラム上部から20mL/時の流速で全量通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。流出液の白金イオン濃度と初濃度から白金イオンの吸着量を求めたところ、104mg/g−白金分離剤であった。
実施例1.
合成例1で得られた白金分離剤 0.1gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填した。次に、塩化第一鉄4水和物 52mgを添加した白金(IV)イオンの初濃度が510mg/Lの1M塩酸溶液50mLをカラム上部から20mL/時の流速で全量通液し、水10mLを通液してカラムを洗浄した。流出液の白金イオン濃度と初濃度から白金イオンの吸着量を求めたところ、104mg/g−白金分離剤であった。
次に、白金脱着剤として10重量%濃度のメチオニンを含む3mol/L塩酸水溶液を、カラム上部から20mL/時の流速で20mL通液して、白金分離剤に吸着された白金イオンの脱着を行った。得られたカラム流出液中の白金イオン濃度から白金吸着量を求めたところ、104mg/g−白金分離剤であり吸着した白金の100%を回収できた。
実施例2.
合成例1で得られた白金分離剤0.1gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填した。次に、塩化第一鉄4水和物58mgを添加した白金(IV)イオンの初濃度が200mg/L、ロジウム(III)イオンが100mg/Lを含む1M塩酸溶液50mLをカラム上部から5mL/時の流速で全量通液した後、水10mLを通液してカラムを洗浄した。流出液の白金イオン濃度と初濃度から白金の吸着量を求めたところ、72.9mg/g−白金分離剤であった。このときロジウムの流出液濃度は検出限界以下であった。
合成例1で得られた白金分離剤0.1gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填した。次に、塩化第一鉄4水和物58mgを添加した白金(IV)イオンの初濃度が200mg/L、ロジウム(III)イオンが100mg/Lを含む1M塩酸溶液50mLをカラム上部から5mL/時の流速で全量通液した後、水10mLを通液してカラムを洗浄した。流出液の白金イオン濃度と初濃度から白金の吸着量を求めたところ、72.9mg/g−白金分離剤であった。このときロジウムの流出液濃度は検出限界以下であった。
次に、白金脱着剤として10重量%濃度のメチオニンを含む3mol/L塩酸水溶液を、カラム上部から5mL/時の流速で20mL通液して、白金分離剤に吸着された金属イオンの脱着を行った。得られたカラム流出液中の白金イオン濃度から白金の吸着量を求めたところ、72.5mg/g−白金分離剤であり吸着した白金イオンの99%を回収できた。また、回収した白金イオンの選択率は99%以上であった。
実施例3.
合成例1で得られた白金分離剤 1.1gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填した。次に、白金(IV)イオン濃度が1000mg/Lの1mol/L塩酸水溶液110mLに塩化第一鉄4水和物0.67gを添加し、室温で24時間攪拌した溶液をカラム上部から15mL/時の流速で全量通液した。カラムから出てきた溶液(以下、流出液Aと称す)を分取し、1時間後、カラム上部から15mL/時の流速で全量通液し、カラムから出てきた溶液(以下、流出液Bと称す)を分取した。次に1mol/L塩酸水溶液20mLを通液してカラムを洗浄した。
合成例1で得られた白金分離剤 1.1gを水に分散させた後、ガラス製のカラム(内径5mm、長さ100mm)に充填した。次に、白金(IV)イオン濃度が1000mg/Lの1mol/L塩酸水溶液110mLに塩化第一鉄4水和物0.67gを添加し、室温で24時間攪拌した溶液をカラム上部から15mL/時の流速で全量通液した。カラムから出てきた溶液(以下、流出液Aと称す)を分取し、1時間後、カラム上部から15mL/時の流速で全量通液し、カラムから出てきた溶液(以下、流出液Bと称す)を分取した。次に1mol/L塩酸水溶液20mLを通液してカラムを洗浄した。
流出液Aの白金濃度は12mg/L、流出液Bの白金濃度は0.2mg/Lであり、白金分離剤への白金イオンの吸着量は100mg/g−白金分離剤、白金の吸着率は99.98%と算出された。
次に、白金脱着剤として10重量%濃度のメチオニンを含む3mol/L塩酸水溶液を、カラム上部から15mL/時の流速で20mL通液して、白金分離剤に吸着された白金イオンの脱着を行った。得られたカラム流出液中の白金イオン濃度から白金吸着量を求めたところ、100mg/g−白金分離剤であり、吸着した白金の100%を脱着できた。
次に、上記脱着液中に水酸化ナトリウムを加え、水溶液のpHを12にし、水素化ホウ素ナトリウム0.05gを加え、室温で1時間攪拌した。次に室温に放冷後、析出した白金をろ取した。ろ液中の白金イオン濃度は0.2mg/Lであり、ろ液中の白金はほぼ全量回収できた。
本発明の分離方法は、白金(IV)イオンを含む溶液から簡便な方法で、且つ高選択的に白金イオンを分離でき、経済的にも環境保全上からも貴金属回収分野において広範に使用することができる。
Claims (5)
- 白金(IV)イオンを含む溶液と、鉄(II)イオン及び白金分離剤とを接触させて白金(II)イオンを白金分離剤に吸着させる吸着工程と、白金(II)イオンを吸着した白金分離剤と、白金脱着剤とを接触させて白金(II)イオンを脱着させる脱着工程とを含む白金イオンの分離方法。
- 鉄(II)イオンが、塩化第一鉄又は硫酸鉄(II)に由来することを特徴とする請求項1に記載の分離方法。
- 白金脱着剤が、アンモニア、チオ尿素、メチオニン、及びエチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離方法。
- 請求項1の吸着工程で得られた溶液を分取し、再度、白金分離剤と接触させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の分離方法。
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