JP2014111524A - アルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓 - Google Patents

アルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓 Download PDF

Info

Publication number
JP2014111524A
JP2014111524A JP2013225604A JP2013225604A JP2014111524A JP 2014111524 A JP2014111524 A JP 2014111524A JP 2013225604 A JP2013225604 A JP 2013225604A JP 2013225604 A JP2013225604 A JP 2013225604A JP 2014111524 A JP2014111524 A JP 2014111524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alumina
oxide
alumina sintered
sintered body
alkaline earth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013225604A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6181520B2 (ja
Inventor
Satoshi Toyoda
諭史 豊田
Hidehiro Takenoshita
英博 竹之下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2013225604A priority Critical patent/JP6181520B2/ja
Publication of JP2014111524A publication Critical patent/JP2014111524A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6181520B2 publication Critical patent/JP6181520B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

【課題】印加される電圧によって沿面絶縁破壊の起こりにくいアルミナ質焼結体およびこのアルミナ質焼結体に電極を備えてなる耐電圧部材ならびにアルミナ質焼結体からなるマイクロ波透過窓を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウムの含有量を80質量%以上、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物を含み、酸化アルミニウムをαモル%、遷移金属の酸化物をβモル%、アルカリ土類金属の酸化物をγモル%としたとき、α+β+γ=100であり、比率β/γの値を0.5以上2.0以下として、さらに酸化アルミニウムとアルカリ土類金属の酸化物からなるスピネルを含み、このスピネルに遷移金属を含有してなることを特徴とするアルミナ質焼結体とすることにより二次電子放出係数を8以下とすることができ、焼結体の平均結晶粒子径を10μm以下とすることでさらに二次電子放出係数を小さくすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、印加される電圧によって沿面絶縁破壊の起こりにくいアルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓に関する。
従来、CTスキャン等の医療機器や透過型電子顕微鏡等の分析装置に用いられるカソード−アノード間に高い電圧が印可されるX線管のハウジング、大型加速器の壁面部材および高電圧導入端子、マイクロ波透過窓などの高い絶縁性の求められる部位に、各種セラミックスが適用されている。
例えば、特許文献1には、X線管の高電圧ブッシング(碍管)における絶縁部材として、アルミナセラミックスを用いることが提案されている。
特開平8−106828号公報
CTスキャン等の医療機器や透過型電子顕微鏡等の分析装置のカソード−アノード間において用いられるセラミックスは、電圧が印加されるとカソード側からアノード側に向かって電子が放出され、この電子がセラミックスの表面に衝突することによって二次電子が放出される。そして、アノード側に到達する二次電子の量が許容範囲を超えたとき沿面絶縁破壊が起こる。
そして、セラミックスの表面において、ゴミやガス等の付着物が多く存在するときには、二次電子が多く放出されることとなり、沿面絶縁破壊が起こりやすくなる。このような沿面絶縁破壊が起こると、CTスキャン等の医療機器や透過型電子顕微鏡などの分析装置において、カソード−アノード間に印加される電圧が瞬間的に降下(以降、瞬時電圧降下と記載する。)し、重要な医療データや分析データの欠落が起こる。そのため、このような用途に用いられるセラミックスは、二次電子の放出を少なくして沿面絶縁破壊が起こることを少なくする必要がある。
また、精度向上や軽量化の観点から、医療機器や分析装置等において小型化が望まれているが、単にカソード−アノード間の沿面距離を短くしただけでは、沿面絶縁破壊は起こりやすくなってしまうことから、小型化の要求に応えるためには、沿面絶縁破壊に至るまでの許容電圧を大きくする必要がある。
本発明は、上記要求を満たすべく案出されたものであり、印加される電圧によって沿面絶縁破壊の起こりにくいアルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓を提供することを目的とする。
本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナの結晶を含み、該アルミナの含有量が80質量%以上であり、二次電子放出係数が8以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の耐電圧部材は、上記構成のアルミナ質焼結体に電極を備えてなることを
特徴とするものである。
さらに、本発明のマイクロ波透過窓は、上記構成のアルミナ質焼結体からなることを特徴とするものである。
本発明のアルミナ質焼結体によれば、二次電子の放出が少ないことから、沿面絶縁破壊を起こりにくくすることができる。
また、本発明の耐電圧部材によれば、本発明のアルミナ質焼結体に電極を備えてなることにより、沿面絶縁破壊が起こりにくいため、瞬時電圧降下によるデータの欠落を少なくすることができる。また、沿面絶縁破壊に至るまでの許容電圧が大きいことから、沿面距離を短くすることが可能となり、搭載する機器や装置の小型化を図ることができる。
さらに、本発明のマイクロ波透過窓によれば、本発明のアルミナ質焼結体からなることから、二次電子が雪崩式に増殖するマルチパクタ現象や、マルチパクタにより蓄積された電子が放出される表面放電によって破壊するおそれが少ないことから、信頼性が高く、長期間にわたる使用が可能となる。
以下、本実施形態のアルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓の一例について説明する。
本実施形態のアルミナ質焼結体は、アルミナの結晶を含み、アルミナの含有量が80質量%以上であり、二次電子放出係数が8以下である。ここで、二次電子放出係数とは、試料表面に電子ビーム(一次電子)を照射した際に、試料表面から放出される二次電子を検出して求められるものである。
より具体的には、二次電子放出係数は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)に用いるような電子銃、二次電子捕獲用のファラデーカップ、微小電流計、駆動式サンプルホルダー等から構成される二次電子放出係数測定用装置を用いて測定することができる。そして、測定においては、表面の帯電を避けるため電子ビームを高速ブランキングしたパルスビームを用い、測定条件としては、例えば、加速電圧0.6〜30.0kV、容器内圧力2.0×10−4Paの環境下で、パルスビーム電流値(I)90〜110pA、パルス幅1〜3msec
、照射面積0.1〜0.3mmとする。そして、パルスビームの照射によって放出された二次電子をファラデーカップ内に捕獲して微少電流計で二次電子電流(I)を測定し、Iの値をIの値で除することで求めることができる。
そして、本実施形態のアルミナ質焼結体は、二次電子放出係数が8以下であり、電子が衝突した際に生じる二次電子の放出が少ないものであることから、沿面絶縁破壊を起こりにくくすることができる。また、沿面絶縁破壊に至るまでの許容電圧が大きいと言い換えることができるものであることから、CTスキャン等の医療機器や透過型電子顕微鏡等の分析装置のカソード−アノード間において本実施形態のアルミナ質焼結体を用いれば、瞬時電圧降下によるデータの欠落を少なくすることができる。併せて、沿面距離を短くすることが可能となり、搭載する機器や装置の小型化を図ることができることから、精度向上や軽量化を図ることができる。
なお、沿面絶縁破壊に至るまでの許容電圧は、沿面絶縁破壊到達電圧によって確認することができる。この沿面絶縁破壊到達電圧とは、カソード−アノード間において、沿面絶縁破壊によって電圧降下に至った電圧を沿面距離(カソード−アノード間の距離)で除し
たものであり、本実施形態のアルミナ質焼結体によれば、この沿面絶縁破壊到達電圧は6kV/mm以上となるものである。
そして、本実施形態のアルミナ質焼結体におけるアルミナの結晶の存在は、X線回折装置(XRD)で測定して同定することにより、確認することができる。また、アルミナ質焼結体においてアルミナの結晶は、最も多く含まれる結晶であり、得られたX線回折チャートにおいて、最も高いピークを示す。
また、アルミナ質焼結体におけるアルミナの含有量は、アルミナ質焼結体の一部を粉砕し、得られた粉体を塩酸などの溶液に溶解した後、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置(ICP)を用いて測定し、得られたAlの定量値からAlに換算することで求めることができる。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体は、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物を含むことが好ましい。これは、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物を含んでいることによって、二次電子放出係数の値が小さくなるという知見に基づくものであり、その理由は明らかではない。そして、遷移金属の酸化物としては、バナジウム、チタン、クロム、マンガンおよび鉄などの酸化物が挙げられ、アルカリ土類金属の酸化物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムなどの酸化物が挙げられる。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体は、アルカリ土類金属およびアルミニウムからなる酸化物の結晶であるスピネルを含み、アルミナおよびスピネルに遷移金属を含んでいることが好ましい。ここで、スピネルの存在については、アルミナと同様に、XRDを用いて測定して同定すればよい。
また、「遷移金属を含んでいる」というのは、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いたマッピングにおいて、例えば、遷移金属がチタンであるとき、アルミナについては、AlおよびOの存在箇所にチタンの存在が確認され、スピネルについては、アルカリ土類金属がMgであるとき(MgAl)、Al,MgおよびOの存在箇所にチタンが確認される場合をいう。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、付設のエネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いて、アルミナやスピネルにスポット(φ1nm)を当てた際、チタンが検出されるか否かでも確認することができる。なお、「遷移金属を含んでいる」とは、遷移金属の固溶も含むものである。
そして、本実施形態のアルミナ質焼結体において、アルミナおよびスピネルに遷移金属を含んでいるときには、より二次電子放出係数の値を小さくできる。この理由は明らかではないが、アルミナおよびスピネルに存在する酸素欠陥を遷移金属が埋めることとなって、酸素欠陥が少なくなるためであると考えられる。
そして、本実施形態のアルミナ質焼結体は、遷移金属の酸化物が酸化チタンであり、アルカリ土類金属の酸化物が酸化マグネシウムであることが好ましい。この組み合わせであるときには、さらに二次電子放出係数の値の小さいアルミナ質焼結体とすることができる。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体は、アルミナをαモル%、遷移金属の酸化物をβモル%、アルカリ土類金属の酸化物をγモル%としたとき、α+β+γ=100であり、比
率β/γの値が0.5以上2.0以下であることが好ましい。比率β/γの値が0.5以上2.0以下
であることにより、さらに二次電子放出係数の値は小さくなり、沿面絶縁破壊到達電圧の値は大きくなる。特に、比率β/γの値は、0.8以上1.5以下であることがより好ましい。また、酸化アルミニウムは、90モル%以上であることが好ましい。
そして、これらのモル%については、次のようにして求めた値である。例えば、遷移金属がTiで、アルカリ土類金属がMgであるとき、ICPを用いて測定し、得られたAl,Ti,Mgの定量値からそれぞれAl,TiO,MgOに換算する。そして、それぞれの分子量からモル比を算出し、モル比の合計を分母、それぞれのモル比を分子として算出することにより、求めることができる。また、比率β/γの値は、TiOのモル%の値であるβと、MgOのモル%の値であるγとを用いて算出すればよい。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体は、平均結晶粒径が10μm以下であることが好ましい。このように、平均結晶粒径が10μm以下であるときには、さらに二次電子放出係数の値の小さいアルミナ質焼結体とすることができる。
なお、平均結晶粒径は、周知のプラニメトリック法にて求めればよい。まず、SEMを用いて試料表面を1000倍の倍率にて写真撮影する。次に得られた写真上で面積が既知の円を描き、円内の粒子数および円周にかかる粒子数をカウントして、以下のようにアルミナ質焼結体の平均結晶粒径を算出する。
円の面積A、円内の粒子数Nc、円周にかかった粒子数Njおよび倍率Mの各数値を次式((Nc+(1/2)×Nj)/(A/M))に代入して、単位面積当たりの粒子数Ngを求める。さらに、単位面積当たりの粒子数Ngの値を次式(1/√(Ng))に代入して算出することにより平均結晶粒径を求めることができる。
次に、本実施形態のアルミナ質焼結体の製造方法の一例について説明する。まず、平均粒径が1μm程度の酸化アルミニウム粉末を準備し、これを少なくとも80質量%以上となるように秤量する。酸化アルミニウム粉末以外には焼結助剤粉末を含むことができ、酸化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末とを1次原料とする。そして、秤量後の1次原料粉末100質量%対し、1〜1.5質量%のPVAなどのバインダと、100質量%の溶媒と、0.1〜0.5
質量%の分散剤とを攪拌機内に入れて混合・攪拌してスラリーとした後、これを噴霧造粒装置(スプレードライヤー)にて造粒し、顆粒を得る。
次に、得られた顆粒を用いて金型プレス成形法や静水圧プレス成形(ラバープレス)法などの各種成形方法により所定形状に成形し、必要に応じて切削加工を施した後、これを焼成炉にて大気雰囲気中1400〜1700℃の最高温度で焼成し、研削加工により仕上げる。
その後、得られた焼結体を真空または還元雰囲気で熱処理する。この熱処理により、アルミナ質焼結体表面のゴミやガス等の付着物を除去することがきるとともに、表面が改質されることによって熱処理後に大気雰囲気に曝された場合にも付着物の再付着を起こりにくくすることができる。なお、熱処理温度を800〜1400℃、処理時間を5分〜1時間とす
ることが好ましい。そして、このような熱処理を行なうことにより、二次電子放出係数を8以下にすることができ、沿面絶縁破壊到達電圧の値の大きいアルミナ質焼結体を得ることができる。なお、大気雰囲気で熱処理したときには、付着物が残りやすく、熱処理後において付着物が再付着しやすい。
次に、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物を含有するアルミナ質焼結体の製造方法として、遷移金属がチタン、アルカリ土類金属がマグネシウムである例を説明する。まず、酸化アルミニウム粉末に加えて、酸化チタン粉末および水酸化マグネシウム粉末を準備する。そして、各粉末を所定量秤量する。なお、酸化アルミニウム粉末は少な
くとも80質量%以上となるように秤量する。
また、酸化チタン粉末および水酸化マグネシウム粉末の秤量においては、アルミナをαモル%、遷移金属(チタン)の酸化物をβモル%、アルカリ土類金属(マグネシウム)の酸化物をγモル%としたとき、α+β+γ=100であり、比率β/γの値が0.5以上2.0以
下となるように秤量することが好ましい。
次に、他の秤量例について説明する。アルカリ土類金属およびアルミニウムの酸化物の結晶であるスピネルを含み、アルミナおよびスピネルに遷移金属を含むものとするためには、酸化アルミニウム粉末の平均粒径が、水酸化マグネシウム粉末の平均粒径の0.6倍以
下の大きさであり、粒度分布における累積80%の粒径が平均粒径の1.75倍以下のものを用いればよい。このように、水酸化マグネシウム粉末よりも平均粒径の小さい酸化アルミニウム粉末を用いることにより、アルミナの活性を促し、アルカリ土類金属(マグネシウム)およびアルミニウムの酸化物の結晶であるスピネルを形成しやすくなる。また、酸化チタン粉末の平均粒径が、水酸化マグネシウム粉末の平均粒径の0.6倍以下の大きさのもの
を用いることにより、アルミナおよびスピネルに遷移金属(チタン)が含まれやすくなる。そして、秤量後の作製方法については、上記同様の方法で行なう。
また、アルミナ質焼結体の平均結晶粒径を10μm以下とするには、酸化アルミニウム粉末の1次原料の平均粒径が1.5μm以下の酸化アルミニウム粉末を用い、かつ焼成温度を1400〜1600℃の比較的低い温度域とすればよい。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
アルミナの含有量と、焼成後の熱処理条件を種々変更した試料を作製し、二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧を測定する試験を実施した。以下に、試料の作製方法を示す。
まず、1次原料として平均粒径が1μmの酸化アルミニウム粉末と、焼結助剤とを準備した。そして、焼結助剤量の調整によりアルミナの含有量が表1に示す値となるように所定量秤量して1次原料粉末とした。そして、秤量後の1次原料粉末100質量%に対し、1
質量%のPVA(ポリビニールアルコール)と、100質量%の溶媒と、0.2質量%の分散剤とを攪拌機内に入れて混合・攪拌してスラリーとした。その後、このスラリーを噴霧造粒装置(スプレードライヤー)にて造粒して顆粒を得た。
そして、得られた顆粒を金型内に充填してプレスし、その後切削加工を施して所定形状の成形体を得た。次に、得られた成形体を焼成炉に入れて大気雰囲気中1600℃の最高温度で焼成し焼結体を得た。
その後、研削加工を施し、表1に示す雰囲気、温度および時間で熱処理を実施することにより、外径がφ20mm、厚みが5mmの円板形状の試料No.1〜22をそれぞれ複数個得た。なお、試料No.1については熱処理を実施していない。
次に、各試料について、二次電子放出係数の測定を実施した。測定方法としては、まず、SEMに用いるような電子銃と、二次電子捕獲用のファラデーカップと、微小電流計と、駆動式サンプルホルダー等から構成される二次電子放出係数測定用装置を作製した。そして、駆動式サンプルホルダーに試料をセットし、加速電圧0.6〜30kV、容器内圧力2.0×10−4Paの環境下で、パルスビーム電流値(I)100pA、パルス幅1msec、
照射面積0.1mmの条件で、パルスビームの照射によって放出された二次電子をファラ
デーカップ内に捕獲して微少電流計で二次電子電流(I)を測定し、I/Iの値を算出して表1に示した。
次に、沿面絶縁破壊到達電圧を算出すべく、各試料の両主面の端部に金属電極をメタライズにより接合した。そして、予め電源端子から各金属電極に接続した配線を介して大容量電源(最大電圧120kV)により、徐々に高電圧を印加した。そして、電圧降下に至っ
た電圧を金属電極間の距離である沿面距離(試料厚み5mm)で除すことにより沿面絶縁破壊到達電圧を算出し、表1に示した。
なお、各試料の一部を粉砕し、得られた粉体を塩酸などの溶液に溶解した後、ICP(島津製作所製:ICPS−8100)を用いてAlの定量値からAlに換算し、アルミナの含有量が表1に示す通りであることを確認した。
Figure 2014111524
表1から、熱処理を実施していない試料No.1およびアルミナ含有量が80%未満である試料No.12については、二次電子放出係数の値が8を超え、沿面絶縁破壊到達電圧が6kV/mm未満と低かった。また、大気雰囲気中で熱処理を実施した試料No.2,3についても、二次電子放出係数の値が8を超え、沿面絶縁破壊到達電圧が6kV/mm未満と低かった。
これに対し、試料No.4〜11,13〜22は、アルミナの含有量が80質量%以上であり、
二次電子放出係数が8以下であることから、沿面絶縁破壊到達電圧が6kV/mm以上の良好な値を示し、本実施形態のアルミナ質焼結体は、沿面絶縁破壊が起こりにくいものであることがわかった。
また、アルミナの含有量が同じ試料No.13〜22を比較したとき、二次電子放出係数およ
び沿面絶縁破壊到達電圧の値より、800〜1400℃の温度で、5分〜1時間(60分)で熱処
理することが好ましいことがわかった。
次に、実施例1の試料No.5と同様のアルミナの含有量(98質量%)であり、表2に示す遷移金属の酸化物をβモル%およびアルカリ土類金属の酸化物をγモル%としたとき、比率β/γを1.0として添加した試料を作製し、二次電子放出係数、沿面絶縁破壊到達
電圧を測定する試験を実施した。
なお、それぞれ平均粒径が1μmの遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物を添加したこと以外の試料の作製方法については実施例1の試料No.5と同様の方法で作製した。そして、二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧については実施例1と同様の方法により測定した。二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧の結果を表2に示す。また、実施例1と同様の方法でICPを用いて測定および算出を行なうことにより、秤量通りの組成になっていることを確認した。
Figure 2014111524
表2から、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物を含むことにより、二次電子放出係数の値をさらに小さくすることができ、沿面絶縁破壊電圧の値を大きくできることがわかった。また、二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧の値より、特に遷移金属の酸化物が酸化チタンであり、アルカリ土類金属の酸化物が酸化マグネシウムであることが好ましいことがわかった。
次に、1次原料の平均粒径の比率を異ならせた試料を作製し、二次電子放出係数、沿面絶縁破壊到達電圧を測定する試験を実施した。
まず、1次原料として、平均粒径が1μmの水酸化マグネシウム粉末と、水酸化マグネシウム粉末に対する粒径比率が表2に示す酸化アルミニウム粉末と酸化チタン粉末とを用意した。なお、酸化アルミニウム粉末は、平均粒径に対して粒度分布における累積80%の粒径が1.75倍であるものを用いた。
そして、Alが80モル%、TiOが10モル%、MgOが10モル%となるように、酸化アルミニウム粉末、酸化チタン粉末および水酸化マグネシウム粉末を秤量して1次原料とした。
そして、秤量後の工程については、実施例2と同様の方法で試料を作製した。そして、二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧を実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様の方法でICPを用いて測定および算出を行なうことにより、秤量通りの組成になっていることを確認した。
Figure 2014111524
表3から、試料No.35,36,39の結果に示すように、アルミナとスピネルとを有し、アルミナとスピネルとにチタンを含んでいることにより、二次電子放出係数の値を小さくすることができ、沿面絶縁破壊電圧の値を大きくできることがわかった。
次に、アルミナの含有量が98質量%であり、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物の比率β/γを異ならせた試料を作製し、二次電子放出係数、沿面絶縁破壊到達電圧を測定する試験を実施した。
なお、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物の比率β/γを異ならせたこと以外の試料の作製方法については実施例2の試料No.23と同様の方法、二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧については実施例1と同様の方法により測定した。二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧の結果を表3に示す。また、実施例1と同様の方法でICPを用いて測定および算出を行なうことにより、秤量通りの組成になっていることを確認した。
Figure 2014111524
表4から、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物の比率β/γの値が0.5
〜2.0であることにより、二次電子放出係数の値を小さくすることができ、沿面絶縁破壊
電圧の値を大きくできることがわかった。また、より好ましくは、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物の比率β/γの値が0.8〜1.5であることがよいことがわかった。
次に、酸化アルミニウム粉末の平均粒径を異ならせた試料を作製し、二次電子放出係数、沿面絶縁破壊到達電圧を測定する試験を実施した。なお、酸化アルミニウムの含有量は98質量%とし、遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物の比率β/γを1.0と
した。また、酸化アルミニウム粉末の平均粒径は、表5に示す通りとし、その他の作製方法については、実施例2の試料No.23と同様の方法、二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧については実施例1と同様の方法により測定した。また、試料の平均結晶粒径については、プラニメトリック法にて測定し、二次電子放出係数および沿面絶縁破壊到達電圧の結果とともに表5に示した。なお、試料No.50と試料No.43とは、同じ試料を示すものである。
Figure 2014111524
表5から、アルミナ質焼結体の平均結晶粒径が10μm以下であることにより、二次電子放出係数の値を小さくすることができ、沿面絶縁破壊到達電圧の値を大きくできることがわかった。
これらの実施例の結果から明らかなように、本実施形態のアルミナ質焼結体は、二次電子放出係数が小さく、沿面絶縁破壊電圧の値が大きいことから、印加される電圧によって沿面絶縁破壊の起こりにくいものであり、CTスキャン等の医療機器や透過型電子顕微鏡等の分析装置に用いられるカゾード−アノード間に高い電圧が印加されるX線管のハウジング、大型加速器の壁面部材および高電圧導入端子、プラズマ処理装置のマイクロ波導入窓などの高い絶縁性の求められる部位に好適に用いることができることがわかった。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体に電極を備えてなる耐電圧部材は、瞬時電圧降下によるデータの欠落を少なくすることができることがわかった。また、沿面絶縁破壊に至るまでの許容電圧が大きいことから、沿面距離を短くすることが可能となり、搭載する機器や装置の小型化を図ることができることがわかった。
さらに、本実施形態のアルミナ質焼結体からなるマイクロ波透過窓は、マルチパクタ現象や、マルチパクタにより蓄積された電子が放出される表面放電によって破壊するおそれ
が少ないことから、信頼性が高く、長期間にわたる使用が可能となることがわかった。

Claims (8)

  1. アルミナの結晶を含み、該アルミナの含有量が80質量%以上であり、二次電子放出係数が8以下であることを特徴とするアルミナ質焼結体。
  2. 遷移金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミナ質焼結体。
  3. 前記アルカリ土類金属およびアルミニウムの酸化物の結晶であるスピネルを含み、前記アルミナおよび前記スピネルに遷移金属を含んでいることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミナ質焼結体。
  4. 前記遷移金属の酸化物が酸化チタンであり、前記アルカリ土類金属の酸化物が酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のアルミナ質焼結体。
  5. 前記アルミナをαモル%、前記遷移金属の酸化物をβモル%、前記アルカリ土類金属の酸化物をγモル%としたとき、α+β+γ=100であり、比率β/γの値が0.5以上2.0以下であることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のアルミナ質焼結体。
  6. 平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のアルミナ質焼結体。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のアルミナ質焼結体に電極を備えてなることを特徴とする耐電圧部材。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする高周波またはマイクロ波透過窓。
JP2013225604A 2012-10-30 2013-10-30 アルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓 Active JP6181520B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013225604A JP6181520B2 (ja) 2012-10-30 2013-10-30 アルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012239220 2012-10-30
JP2012239220 2012-10-30
JP2013225604A JP6181520B2 (ja) 2012-10-30 2013-10-30 アルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014111524A true JP2014111524A (ja) 2014-06-19
JP6181520B2 JP6181520B2 (ja) 2017-08-16

Family

ID=51168984

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013225604A Active JP6181520B2 (ja) 2012-10-30 2013-10-30 アルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6181520B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017188648A (ja) * 2016-03-30 2017-10-12 住友大阪セメント株式会社 静電チャック部材、静電チャック装置
JP2022055047A (ja) * 2020-09-28 2022-04-07 クアーズテック株式会社 アルミナセラミックス

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS623066A (ja) * 1985-06-27 1987-01-09 株式会社東芝 セラミツク組成物
JPH05334967A (ja) * 1992-05-14 1993-12-17 Nec Corp マイクロ波管用出力部窓材
JPH08217530A (ja) * 1995-02-07 1996-08-27 Kyocera Corp アルミナ質焼結体およびその製造方法
JP2000327405A (ja) * 1999-05-11 2000-11-28 Sumitomo Metal Electronics Devices Inc 着色アルミナ質焼結体
JP2001126596A (ja) * 1999-10-26 2001-05-11 Mitsubishi Electric Corp 真空開閉装置
US6641939B1 (en) * 1998-07-01 2003-11-04 The Morgan Crucible Company Plc Transition metal oxide doped alumina and methods of making and using
JP2005190853A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Okutekku:Kk 静電偏向器
US20070298245A1 (en) * 2006-06-23 2007-12-27 Denso Corporation Alumina composite sintered body, evaluation method thereof and spark plug
JP2008024583A (ja) * 2006-06-23 2008-02-07 Nippon Soken Inc アルミナ複合焼結体、その評価方法、及びスパークプラグ
JP2012216816A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Ngk Insulators Ltd 静電チャックの製法及び静電チャック

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS623066A (ja) * 1985-06-27 1987-01-09 株式会社東芝 セラミツク組成物
JPH05334967A (ja) * 1992-05-14 1993-12-17 Nec Corp マイクロ波管用出力部窓材
JPH08217530A (ja) * 1995-02-07 1996-08-27 Kyocera Corp アルミナ質焼結体およびその製造方法
US6641939B1 (en) * 1998-07-01 2003-11-04 The Morgan Crucible Company Plc Transition metal oxide doped alumina and methods of making and using
JP2000327405A (ja) * 1999-05-11 2000-11-28 Sumitomo Metal Electronics Devices Inc 着色アルミナ質焼結体
JP2001126596A (ja) * 1999-10-26 2001-05-11 Mitsubishi Electric Corp 真空開閉装置
JP2005190853A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Okutekku:Kk 静電偏向器
US20070298245A1 (en) * 2006-06-23 2007-12-27 Denso Corporation Alumina composite sintered body, evaluation method thereof and spark plug
JP2008024583A (ja) * 2006-06-23 2008-02-07 Nippon Soken Inc アルミナ複合焼結体、その評価方法、及びスパークプラグ
JP2012216816A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Ngk Insulators Ltd 静電チャックの製法及び静電チャック

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
佐藤隆幸: "アルミナへの各種処理と二次電子放出係数及びカソードルミネセンスの関係", 電気学会放電研究会資料, vol. Vol.ED-98,No.199-208, JPN6017006018, 17 November 1998 (1998-11-17), JP, pages 19 - 24, ISSN: 0003504964 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017188648A (ja) * 2016-03-30 2017-10-12 住友大阪セメント株式会社 静電チャック部材、静電チャック装置
JP2022055047A (ja) * 2020-09-28 2022-04-07 クアーズテック株式会社 アルミナセラミックス
US11905219B2 (en) 2020-09-28 2024-02-20 Coorstek Kk Alumina ceramic
JP7481980B2 (ja) 2020-09-28 2024-05-13 クアーズテック合同会社 アルミナセラミックス

Also Published As

Publication number Publication date
JP6181520B2 (ja) 2017-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5111603B2 (ja) スパークプラグ
WO2010109792A1 (ja) スパークプラグ
JP6181520B2 (ja) アルミナ質焼結体および耐電圧部材ならびにマイクロ波透過窓
JP6369837B2 (ja) スパークプラグ
JP6352686B2 (ja) アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材
CN106981824B (zh) 火花塞
JP2008127263A (ja) アルミナ焼結体及びスパークプラグ
JP5918363B2 (ja) 高耐電圧アルミナ質焼結体および高耐電圧用部材
JP6039495B2 (ja) アルミナ質焼結体およびこれを用いた耐電圧部材
JP5421092B2 (ja) アルミナ質焼結体
JP4969488B2 (ja) アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材
JP2015125896A (ja) アルミナ質焼結体およびこれを備える静電偏向器
JP6151522B2 (ja) アルミナ質焼結体およびこれを用いた耐電圧部材
JP5445733B2 (ja) フェライト組成物
JP4368975B2 (ja) 高耐電圧性アルミナ基焼結体およびその製造方法
WO2012157462A1 (ja) 導電性マイエナイト化合物を含む部材の製造方法
US20210284578A1 (en) Alumina-based porcelain and ceramic heater
JP5398357B2 (ja) 碍子およびその製造方法、並びに荷電粒子線装置
JP2014024740A (ja) セラミック焼結体および熱処理用部材
JP2015078089A (ja) サーミスタ素子および温度センサ
JP7360900B2 (ja) 電気化学デバイス用粉体の製造方法
US20230257307A1 (en) Ceramic structure and electrostatic deflector
JP2017201576A (ja) スパークプラグ
JP2017174544A (ja) プラズマトーチ
JP2022055047A (ja) アルミナセラミックス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170720

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6181520

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150