以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の好適な一実施例である粒子線照射システムの構成を示す図である。
本実施例の粒子線照射システム1は、図1に示すように、イオンビーム発生装置11、ビーム輸送装置14、照射野形成装置(荷電粒子ビームの照射装置、以下、照射装置という)30を備え、ビーム輸送装置14が、イオンビーム発生装置11と治療室内に配置される照射装置30を連絡する。
イオンビーム発生装置11は、イオン源(図示せず)、前段加速器12およびシンクロトロン13を備える。イオン源は前段加速器12に接続され、前段加速器12はシンクロトロン13に接続される。前段加速器12は、イオン源で発生したイオンビーム10をシンクロトロン13に入射可能なエネルギーまで加速する。前段加速器12で加速されたイオンビーム10aは、シンクロトロン13に入射される。
シンクロトロン13は、周回軌道に沿って周回するイオンビーム10bに高周波電圧を印加して目標のエネルギーまで加速する高周波加速装置(加速空胴)17、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極20a、およびイオンビームを周回軌道から取り出す出射用デフレクター20bを備える。
シンクロトロン13に入射されたビーム10bは、高周波加速空胴17に印加した加速高周波電圧によりエネルギーを付与されることで、所望のエネルギーまで加速する。この際、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bの周回軌道が一定となるように、イオンビーム10bの周回エネルギーの増加に合わせて偏向電磁石18、四極電磁石19等の磁場強度および、加速空胴17に印加する高周波電圧の周波数を高める。
所望のエネルギーまで加速したイオンビーム10bは、出射条件設定制御により、四極電磁石19および六極電磁石(図示せず)の励磁量を制御することで周回ビーム10bが出射可能な条件(周回ビームの安定限界条件)を成立させる。出射条件設定制御が終了後、出射用高周波電極20aに出射高周波電圧を印加し、シンクロトロン13内を周回するビーム10bのベータトロン振動振幅を増大させる。このベータトロン振動振幅の増大により、安定限界条件を超えた周回ビーム10bはシンクロトロン13からビーム輸送装置14に出射され、照射装置30に輸送される。シンクロトロン13からのビーム出射制御は、出射用高周波電極20aに印加する高周波電圧のON/OFF制御することで高速に実現可能である。
シンクロトロン13からのビーム出射制御が終了後、出射条件解除制御により、四極電磁石19および六極電磁石(図示せず)の励磁量を制御することで出射条件設定時に形成した周回ビーム10bの安定限界条件を解除する。
出射条件解除制御が完了後、偏向電磁石18、四極電磁石19等の磁場強度および、加速空胴17に印加する高周波電圧の周波数を下げることで、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bを減速し、次の運転周期に遷移する。
照射装置30は、上記ビーム輸送装置14にて導かれたイオンビーム10cを、患者36の体表面からの深さおよび患部形状に合わせて制御して、治療用ベッド上の患者36の患部37に照射する。照射法としてスキャニング照射法(非特許文献1の2086頁、図45)があり、照射装置30はスキャニング照射法によるものである。スキャニング照射法は、直接患部37にイオンビーム10dを照射するためイオンビーム10dの利用効率が高く、従来の散乱体照射法よりも患部形状に合致したイオンビーム10dの照射が可能といった特徴がある。
患部の深さ方向へのビーム飛程調整は、イオンビームのエネルギーを変更することで所望の患部への照射を実現する。特にスキャニング照射法では、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bのエネルギーを調整した後で出射することで、イオンビームの飛程を患部36の深さに合わせるため、患者への照射治療中に複数回のエネルギーの変更制御が要求される。また、患部平面方向へのビーム照射方法として、スポットスキャニング照射法、ラスタースキャニング照射法などがある。スポットスキャニング照射法は、患部の照射平面上をスポットと呼ばれる線量管理領域に分割し、スポット毎に走査を停止して設定した照射線量に到達するまでビームを照射した後にビームを停止し、次の照射スポット位置に移動する。このようにスポットスキャニング照射法は、照射開始位置をスポット毎に更新する照射法である。また、ラスタースキャニング照射法は、スポットスキャニング照射法と同様に線量管理領域を設定するが、スポット毎にビーム走査を停止せず、ビームを走査経路上を走査しながら照射する。そのため、一回当たりの照射線量を低くし、複数回繰り返し照射するリペイント照射を実施することで照射線量の一様度を向上する。このようにラスタースキャニング照射法は、照射開始位置を走査経路毎に更新する照射法である。なお、スポットスキャニング法においても、ラスタースキャニング法と同様に、一つのスポット位置に対する一度の照射で与える照射線量を低く設定し、照射平面を複数回走査することによって、最終的な照射線量に到達するように制御してもよい。
図2に照射装置の構成を示す。 照射装置30は走査電磁石32a,32bを有し、患部平面上を患部形状に合わせて走査電磁石32a,32bでビームを走査する。また、照射装置30は、患者に照射するビーム10dの照射線量を計測する線量モニタ31やビーム形状モニタ(図示せず)を有し、これらで照射するビーム10dの線量強度やビーム形状を逐次確認する。走査電磁石32で走査されたビーム10dは、コリメータ34で患者36の患部形状37に合わせて照射野を形成する。
図1に戻り、本実施例の粒子線照射システム1は制御システム100(制御装置)を備えている。制御システム100は、イオンビーム発生装置11およびビーム輸送装置14を制御する加速器制御装置40、粒子線照射システム1全体を統括して制御する統括制御装置41、患者へのビーム照射条件を計画する治療計画装置43、治療計画装置43で計画した情報やイオンビーム発生装置であるシンクロトロン13およびビーム輸送装置14の制御情報等を記憶する記憶装置42、照射装置30を構成する機器と患部37に照射するイオンビーム10dの照射線量を制御する照射制御装置44、シンクロトロン13を構成する機器の同期制御を実現するタイミングシステム50、患者36の安全を担保するために統括制御装置41とは独立したインターロックシステム60、シンクロトロン13を構成する各機器の電源46を制御する電源制御装置45から構成される。記憶装置42は統括制御装置41の一部として統括制御装置41に備えられていてもよい。
電源46はシンクロトロン13を構成する複数の機器の電源の総称であり、図1には複数の機器の電源として偏向電磁石18の電源46B、四極電磁石19の電源46Q、高周波加速空洞17の電源46Fが示されている。電源制御装置45も同様に複数の機器の電源に対応する複数の電源制御装置の総称であり、図1には電源46Bの制御装置45B,電源46Qの制御装置45Q,電源46Fの制御装置45Fが示されている。
統括制御装置41は、本発明の特徴である、シンクロトロン13の偏向電磁石18等の機器の運転制御パターンデータを自動的に生成するデータ生成装置を兼ねている。本実施例において、制御システム100は、シンクロトロン13において一回の運転周期内で複数エネルギーのイオンビームを出射可能とする多段出射制御運転を実施するように構成されており、データ生成装置(統括制御装置41)は、その多段出射制御運転に用いる運転制御パターンデータを自動的に生成する。
ここで、本発明の一実施例によって生成される運転制御パターンデータを用いた多段出射制御運転の優位性について説明する。従来のシンクロトロン13の運転シーケンスを図8に示す。シンクロトロン13は、一回の運転周期で加速・出射・減速という一連の制御を実施する。出射制御の前後には、出射条件設定および出射条件解除といった、シンクロトロン内のイオンビームを出射するために必要な出射条件設定制御と、出射制御終了後の出射条件解除制御が必要である。
従来のシンクロトロン13の運転制御では、一連の制御に合わせた制御データをパターンデータとして電源制御装置45のメモリに用意しておき、電源制御装置45は、シンクロトロン13を構成する機器の制御タイミングを管理するタイミングシステム50から出力されるタイミング信号51に基づき、制御データを更新する。
図8に示したように、シンクロトロン13は一回の運転周期で、加速から減速までを制御しているため、出射するイオンビーム10cのエネルギーを変更するには、出射制御終了後に減速制御に遷移し残存ビームを減速した後、運転周期を更新する。運転周期を更新し再びイオンビーム10bを加速することで、所望のエネルギーへの変更制御を実現する。そのため、従来のシンクロトロン13の運転制御ではイオンビーム10bのエネルギー変更時間には、ほぼ一回の運転周期と同じ時間が掛かるため、治療時間が長くなり、線量率を向上していく上での課題であった。
特許文献1には、一回の運転周期内で複数のエネルギーのイオンビームの出射を実現する、イオンシンクロトロンの多段出射制御運転について示されている。このような多段出射制御運転により、スキャニング照射法でのエネルギー変更時間の短縮が実現できる。
また、非特許文献2には、イオンシンクロトロンより出射する複数のエネルギーに対応して、エネルギー変更制御と出射制御からなる階段状の運転制御データ(非特許文献2の34頁、図2)を予め用意しておき、出射するイオンビームエネルギーに対応した出射制御部の運転制御データの平坦部を延長する運転(非特許文献2の35頁、図3)が示されている。
非特許文献2に記載されているように、複数のエネルギーの出射が可能な運転制御データをパターンデータとして予め用意する制御を適用した場合、全ての照射を完了するために必要なイオンビーム量がシンクロトロンに蓄積されている場合には、一回の運転周期で全てのエネルギーの照射が完了できる効果があるが、全ての照射を完了するために必要なイオンビーム量がシンクロトロンに蓄積されていない場合には、イオンビーム量が枯渇した時点で減速制御を実施した後に、運転周期を更新してイオンビーム10bの入射と加速を再度実施する必要がある。この際、イオンビームが枯渇したエネルギーの出射制御から減速制御に遷移するには、運転制御データの連続性を考慮する必要があるため、イオンビーム10bが枯渇したエネルギーよりも後段に記憶されている全てのエネルギー変更制御の運転制御データを更新する必要があり、当該運転制御データから減速制御に直接遷移できない。そのため、シンクロトロン13の運転周期の更新には時間が掛かる課題がある。粒子線照射システム1を構成する機器に異常が生じた場合にも、同様に、当該運転制御データから減速制御に直接遷移できない課題があった。
特許文献2では、加速器の磁場コイルに励磁するコイル電流に関して、経過時間に応じた磁束密度情報を出力する磁場基準発生部と、磁束密度情報に応じた磁場を発生させるコイル電流を求める電流基準変換部とを備えた加速器の制御装置が示されており、このうち、磁場基準発生部が出力する磁束密度情報を4種類のパターン(初期上げパターン、減少パターン、増加パターン、終了パターン)を組み合わせて出力することで、一回の運転周期内で複数エネルギーのビーム出射を実現する制御方法が示されている。特許文献2によると、4種類の磁束密度パターンを組み合わせ、一回の運転周期内で複数エネルギーのイオンビームの出射が可能であるが、一方で、電流基準変換器が逐次、偏向電磁石および四極電磁石の励磁電流を逐次演算しながら出力するため、パターンを変更する度に演算パラメータの変更が必要となるため、機器構成および制御手段が複雑となる課題がある。また、特許文献2においても、非特許文献2で課題とされているシンクロトロンの運転周期の更新に時間が掛かる課題に対しては何も言及されていない。
本発明は、イオンシンクロトロンにおいて一回の運転周期内で複数エネルギーのイオンビームを出射可能とする多段出射制御運転(以下適宜多段出射運転という)に関するものであり、本発明により生成される多段出射の運転制御パターンデータを用いた多段出射運転は、ビームエネルギーの変更制御と運転周期の更新を短時間で実現可能なイオンシンクロトロンを提供できる。以下にその詳細を説明する。
まず、本実施例に係わる多段出射の運転制御パターンデータのデータ構造と、この運転制御パターンデータを用いた運転シーケンスについて、図3から図7Aおよび図7Bを用いながら説明する。
図3は、シンクロトロンを構成する複数の機器の制御データ(運転制御パターンデータ)の構成を示す図であり、機器の制御データの代表例として、偏向電磁石18の励磁電流を示している。実際には、非特許文献2に示されているように、照射するビームのエネルギー数に対応した段数のデータが用意されているが、本実施例では3段で説明している。また、本実施例では低いエネルギーから高いエネルギーに順次ビームを照射するような運転制御データを示しているが、高いエネルギーから低いエネルギーに順次ビームを照射する場合でも同様の効果が得られる。
図4は、本実施例の特徴である多段出射運転を実現する制御システム100(制御装置)の構成と各装置間の情報伝送を示す図である。図5は、多段出射運転を開始する前の照射準備フローを示す図である。図6は、多段出射運転時の制御フローを示す図である。図7Aおよび図7Bは、図3に示した制御データの組み合わせによる多段出射運転時の制御データの出力例を示している。
図3に示すように、シンクロトロンを構成する複数の機器(図示の例では偏向電磁石18)の制御データは、それぞれ、一回の運転周期で複数のエネルギーのビーム出射制御を行うための多段出射パターンデータ70と、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データ73a、73bとで構成され、多段出射パターンデータ70を用いて機器図示の例では偏向電磁石18)を制御することで複数のエネルギーのビームの出射制御を行いかつ、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データ73a、73bを有することで、どの出射エネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能となっている。
多段出射パターンデータ70は、複数の加速制御データ(加速制御部)71a〜71c(以下適宜71で代表する)と、複数の出射制御データ(出射制御部)72a〜72c(以下適宜72で代表する)および、減速制御データ(減速制御部)73c(以下適宜73で代表する)から構成される。また、多段出射パターンデータ70を構成する複数の出射制御データに対応して、複数の減速制御データ73a、73b(以下適宜73で代表する)を設ける。これらの制御データ71〜73は、それぞれ、対応する機器に直接与えられる制御量である電流/電圧の時系列データとして用意する。例えば、偏向電磁石18の制御データであれば、所定の偏向磁場強度を発生する際に必要な偏向電磁石電源46Bに設定する励磁電流と電圧(図示せず)の時系列データで構成される。多段出射運転を実現するための多段出射パターンデータ70としては、想定される複数の患者の照射条件に対応して照射エネルギーの組合せが異なるものが複数用意され、これらの多段出射パターンデータ70は、対応する複数の減速制御データ73とともに多段出射の運転制御パターンデータとして記憶装置42に予め記憶されている。図3に示す多段出射パターンデータ70と減速制御データ73a、73bからなる多段出射の運転制御パターンデータは、記憶装置42に記憶されたそれらの制御データの中から特定の患者の照射条件に応じて選択され、電源制御装置45に記憶されたものである。
なお、多段出射パターンデータ70は加速制御部71と出射制御部72で構成し、減速制御データ73は、シンクロトロンから出射可能でかつ想定される複数の患者の照射条件を満たす全てのエネルギーに対応した個々の減速制御データをまとめて1組の減速制御データ73として管理する構成でも構わない。この場合、想定される複数の患者の照射条件に対応した全ての多段出射パターンデータ70のみ記憶装置42に予め記憶し、減速制御データ73は全てのものを電源制御装置45に予め記憶しておくことで、患者の照射条件に応じて多段出射パターンデータ70のみ逐次記憶装置42から選択して電源制御装置45に記憶することで照射が可能となり、患者の照射毎に管理する運転制御データの管理が容易になる。また、減速制御データ73は予め電源制御装置45に記憶しておくことで、患者の照射条件に合わせて制御装置間を伝送する運転制御データの容量が削減でき、照射準備に際しての運転制御データの更新時間も短縮できる。
また、記憶装置42に予め記憶される多段出射の運転制御パターンデータはシンクロトロン内の磁場強度の時系列データとして用意したものであってもよい。この場合は、運転制御パターンデータが統括制御装置41及び加速器制御装置40を経由して電源制御装置45に記憶される過程で、統括制御装置41或いは加速器制御装置40において運転制御パターンデータが磁場強度の時系列データから励磁電流と電圧の時系列データに変換され、電源制御装置45に励磁電流と電圧の時系列データとして記憶される。
多段出射パターンデータ70は、それぞれタイミングシステム50から電源制御装置45に出力されるタイミング信号51にそれぞれ関連付けられている。本実施例のタイミング信号51は、加速制御タイミング信号511、出射制御タイミング信号512、減速制御開始タイミング信号513、減速終了タイミング信号514から構成されている。電源制御装置45にタイミング信号51が入力されると、電源制御装置45は、タイミング信号51に関連付けられた制御データ71〜73を選択し、選択した制御データ71〜73の初期アドレスからデータの更新制御を開始する。
図3において、加速制御タイミング信号511の入力により、入射エネルギー(Einj)から初段の出射エネルギー(Ea)まで加速制御データ71aの更新制御が行われ、ビームが加速される。出射制御タイミング信号512の入力により、出射制御データ72aの更新制御が行われるとともに、出射用高周波電極20aに出射用高周波電圧の印加処理74が行われることで、ビーム出射制御を実施する。照射制御装置44は、出射制御中の照射線量311を逐次計測し、計測結果に基づき線量満了信号442を出力し、出射制御を終了する。照射制御装置44は、出射制御終了時の蓄積ビーム電荷量と次の照射エネルギーの有無に応じて、タイミングシステム50が加速制御タイミング信号511を出力して次の加速制御データ(エネルギー変更制御データ)に遷移(72aから71bに遷移)するか、タイミングシステム50が減速制御開始タイミング信号513を出力して減速制御データに遷移(72aから73aに遷移)するかを判断する。このような制御を実現するため、多段出射パターンデータ70は、出射制御データ72の終了値と次の照射エネルギーに加速する加速制御データ(エネルギー変更制御データ)71の開始値(例えば、図3の72aの終了値と71bの開始値)および、出射制御データ72の終了値と入射エネルギーまで減速する減速制御データ73の開始値(例えば、図3の72aの終了値と73aの開始値)は連続的に接続できるように同じ値としておく。このような制御を実現することで、タイミング信号51の入力に応じた制御データの変更と更新が容易に実現できる。
また、上記多段出射運転を実施する際は、インターロックシステム60は、照射制御装置44から出力されるエネルギー変更要求信号443、減速制御要求信号444、照射完了信号445および、電源制御装置45から出力される機器の健全性を示すステータス情報452に基づきインターロック信号61を出力する。このインターロック信号61にはエネルギー変更指令611、照射完了指令612および減速制御指令613が含まれる。タイミングシステム50は、インターロックシステム60から出力されるエネルギー変更指令611に基づき加速制御タイミング信号511を出力し、かつ照射完了指令612および減速制御指令613に基づき減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、加速制御タイミング信号511に基づき、多段出射パターンデータ70に含まれる加速制御データ(エネルギー変更制御データ)71を更新制御し、かつ減速制御開始タイミング信号513に基づき、複数の減速制御データ73a,73b,73cのうち、直前の出射エネルギーに対応する減速制御データを選択し、この減速制御データを更新制御する。
図3に示したシンクロトロンを構成する機器の制御データを用いて多段出射運転を実施する際の照射準備フローについて、図4および図5を併用しながら説明する。
まず、治療計画装置43は、患者の治療に必要な照射条件等を含む治療計画情報431を記憶装置42に登録する。統括制御装置41は、照射条件の設定情報に基づき、記憶装置42から照射条件421を読み込む(801)。統括制御装置41は、照射条件から、照射に必要なエネルギーと各照射線量と照射順序および、照射するエネルギーに対応した多段出射パターンデータと、減速制御データが記憶装置42に予め記憶してある場合は減速制御データを記憶装置42から選択する(802)。
統括制御装置41は、タイミングシステム50に対して、照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応したタイミング信号データ411aを伝送する(803)。
タイミングシステム50は、統括制御装置41から伝送された照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応したタイミング信号データ411aをメモリ内に記憶する(804)。統括制御装置41は同様に、加速器制御装置40および照射制御装置44に対して、照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応した制御データ411b、411cを伝送する(805)。このうち、照射制御装置44に伝送する制御データ411cには、各照射エネルギーの照射順序と目標照射線量が含まれる。
加速器制御装置40は、シンクロトロン13およびビーム輸送装置14を構成する機器の各電源制御装置45に対して、各機器の運転制御パターンデータと運転制御パターンデータに対応するタイミング信号のデータ401を伝送し(806)、電源制御装置45は、各機器の運転制御パターンデータと運転制御パターンデータに対応するタイミング信号のデータ401をメモリ内に記憶する(807)。照射制御装置44は、各照射エネルギーの照射順序と目標照射線量をメモリ内に記憶する(808)。
次に、図3に示したシンクロトロンを構成する複数の機器の制御データを用いて多段出射運転を実施する際のビーム出射制御フローについて、図4および図6を用いて説明する。
電源制御装置45は入射エネルギー(Einj)から出射エネルギー(Ea)まで加速制御データ71aを用いてビームを加速し、加速器制御装置40は周回ビーム10bのエネルギーを確認後、インターロックシステム60にエネルギー判定信号402を出力する。インターロックシステム60は、タイミングシステム60に出射制御指令614を出力し、出射制御に遷移する(809)。出射制御では、照射制御装置44の出射制御許可信号441に基づき、出射用高周波電極20aへの高周波信号の印加処理74が行われることで、ビームが出射される(810)。ビームの出射制御中は、照射制御装置44は線量モニタ31で患部への照射線量311を計測し(811)、照射線量311が目標線量に到達(満了)したか逐次判定する(812)。なお、ここで言う目標線量とは、スポットスキャニング法であれば一スポット位置に対して一度の照射で与えるべき線量であり、ラスタースキャニング法であればある走査経路を一度照射するときに与えるべき線量を指す。照射線量311が満了した時点で出射用高周波電極20aへの高周波電圧の印加処理が停止され、ビーム出射制御が停止される(813)。その後、照射制御装置44はレイヤー内の照射が完了しているか確認し(814)、レイヤー内の照射が完了していない場合はビーム照射開始位置を変更し(815)、引き続きビーム制御を継続する。照射制御装置44は次の照射データがあるか判断し(816)、照射データがなければ照射完了信号445をインターロックシステム60に出力し、インターロックシステム60はタイミングシステム50に照射完了指令612を出力する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力し、電源制御装置45は、現在の出射エネルギーに対応した減速制御データを選択し(821)、減速制御を実施(822)した後、照射制御を終了する(823)。
一方、次の照射データがある場合、照射制御装置44は目標エネルギーを更新した後(817)、シンクロトロン内の蓄積ビーム電荷量151を蓄積ビーム量検出手段15で計測し(818)、照射制御装置44は次のエネルギーのビーム照射に十分な蓄積ビーム電荷量151があるか判定する(819)。蓄積ビーム電荷量151が次のビーム照射に十分な量がある場合、照射制御装置44はエネルギー変更要求信号443をインターロックシステム60に出力し、インターロックシステム60はタイミングシステム50にエネルギー変更指令611を出力する。タイミングシステム50は、加速制御タイミング信号511を出力し、電源制御装置45は、現在の出射エネルギーに対応した加速制御データを選択し、次の照射エネルギーへのビーム加速制御に遷移する(820)。
一方、蓄積ビーム電荷量が不足していると判断された場合、照射制御装置44は減速制御要求信号444をインターロックシステム60に出力し、インターロックシステム60はタイミングシステム50に減速制御指令613を出力する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力し、電源制御装置45は、現在の出射エネルギーに対応した減速制御データを選択し(821)、減速制御を実施する(822)。減速制御を終了後、運転周期を更新し(824)、ビーム照射を継続する。なお、図6に示した制御フローには明記していないが、ビーム出射制御中にシンクロトロンを構成する機器の電源46および電源制御装置45に異常が生じた際には、各機器の電源制御装置45からインターロックシステム60に対して、機器の異常を示すステータス情報452を伝送する。インターロックシステム60は機器の異常を示すステータス情報452に基づき、タイミングシステム50に減速制御指令613を出力し、速やかに現在の出射エネルギーに対応した減速制御データを用いて減速制御を実施する。
本実施例の特徴である、多段出射運転時の制御データの出力例を図7Aおよび図7Bに示す。図7Aおよび図7Bでは、図3に示した多段出射パターンデータ70を用いた出力例を示しており、一回の運転周期内で出射可能なエネルギー数はEa、Eb、Ecの3種類である。図7Aは、三段(Ea、Eb、Ec)の全てのエネルギーのイオンビームを一回の運転周期で出射制御した場合の偏向電磁石の励磁電流値の変化を示しており、図7Bは、はじめの運転周期で二段(Ea,Eb)のエネルギーのイオンビームを出射した後、蓄積イオンビームが枯渇したため減速制御に遷移して運転周期を更新し、次の運転周期で三段目(Ec)のイオンビームを出射する場合の偏向電磁石の励磁電流値の変化を示している。一般に、偏向電磁石の励磁電流値とビームエネルギーは概ね比例関係にあるため、図7Aおよび図7Bは多段出射運転時のビームエネルギー変化と読むこともできる。
また、スキャニング照射法では、ビームの出射エネルギーが運転周期毎に異なるため、本実施例に示した減速制御データには、磁場履歴を一定に保つため、初期化エネルギー(Einit)まで加速した後、入射エネルギー(Einj)への減速制御を実施している。
まず、図7Aを用いて多段出射制御の出力例について説明する。タイミングシステム50から加速制御タイミング信号511が出力されると、電源制御装置45は、初段の加速制御データ71aを選択し、励磁電流データの更新制御を開始する。加速制御の終了後、加速器制御装置40は周回ビーム10bのエネルギーを確認し、インターロックシステム60にエネルギー判定信号402を出力する。到達エネルギーが目標エネルギーと一致する場合(この場合、到達エネルギーと目標エネルギーはともにEa)、インターロックシステム60は、タイミングシステム50に出射制御指令614を出力する。タイミングシステム50はインターロックシステム60からの出射制御指令614に基づき、出射制御タイミング信号512を出力する。電源制御装置45は、出射制御タイミング信号512に基づき、出射エネルギーEaに対応した出射制御データ72aを更新する。これと並行して照射制御装置44が出射制御許可信号441を出力し、出射用高周波信号の印加処理74が行われることでビームの出射制御が実施される。ビーム出射制御により患部への照射線量が満了すると、照射制御装置44は、出射用制御許可信号441の出力を停止し、出射用高周波信号の印加処理74を停止する。
照射制御装置44は引き続き、次の照射エネルギーの有無とシンクロトロン13内の蓄積ビーム電荷量の計測結果に基づき、インターロックシステム60にエネルギー変更要求信号443を出力する。インターロックシステム60は、タイミングシステム50に対してエネルギー変更指令611を出力し、タイミングシステム50は蓄積ビームを次のエネルギーに加速するため、加速制御タイミング信号511を出力する。電源制御装置45は、この加速制御タイミング信号511に基づき、出射エネルギーEbに対応した加速制御データ71bの更新制御を開始する。加速制御データ(エネルギー変更制御データ)71bによるビーム加速が終了後、加速器制御装置40は初段の出射エネルギーEaのビーム出射制御と同様に、目標エネルギーと到達エネルギーの一致を確認し、電源制御装置45は出射エネルギーEbに対応した出射制御データ72bを用いてビームを出射する。
このような制御を繰り返し、出射エネルギーEcのビーム出射を終了後、照射制御装置44は、次の照射エネルギーが無いことを確認し、照射完了信号445をインターロックシステム60に伝送する。インターロックシステム60はタイミングシステム50に対して、次の運転周期の制御が無いことを示す照射完了指令612を伝送する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、この減速制御開始タイミング信号513に基づき、減速制御に遷移する。減速制御では、直前の出射エネルギーEcに対応した減速制御データ73cを選択し、減速制御データ73cの更新制御を開始する。減速制御データ73cは、運転周期毎の磁場履歴を一定に保つため、初期化エネルギー(Einit)まで高めた後に入射エネルギー(Einj)まで減速制御を実施する。タイミングシステム50は、減速制御データ73cの更新の終了と合わせて減速終了タイミング信号514を出力し、照射完了指令612に基づき、照射を完了する。
次に、図7Bに示したように、多段出射運転時に運転周期を更新した場合について説明する。ここでは、図中の符号は図7Aと同一であり、図7Bでの二段目のエネルギーEbの出射制御を終了以降について説明する。
二段目の出射エネルギーEbの出射制御が終了した時点で、照射制御装置44は次の照射データがあることを確認後(817)、シンクロトロン内の蓄積ビーム量151を計測する。この計測結果が、次のビーム出射量を満足することができないと判定されると、照射制御装置44は、減速制御要求信号444をインターロックシステム60に伝送する。インターロックシステム60は、減速制御要求信号444に基づき、タイミングシステム50に対して、減速制御指令613を伝送する。タイミングシステム50は、減速制御指令613の入力に基づき、減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、減速制御開始タイミング信号513により、直前の出射エネルギーEbに対応した減速制御データ73bを選択し、減速制御データ73bの更新制御を開始する。
タイミングシステム50は、減速制御データ73cの更新の終了と合わせて減速終了タイミング信号514を出力した後、次の照射データがあるため、目標エネルギーをEbからEcに変更した上で、運転周期を更新し、加速制御タイミング信号511を出力する。
電源制御装置45は、加速制御タイミング信号511の入力により、加速制御データ71aの更新制御を開始する。加速制御終了後、加速器制御装置40は到達エネルギーと目標エネルギーを比較する。この際、加速制御データ71aでの到達エネルギーはEaである一方、目標エネルギーはEcであるため、出射エネルギーが一致しない(Ea≠Ec)。そのため、照射制御装置44は目標エネルギーと到達エネルギーが一致するまで、出射制御許可信号441を出力せず、出射用高周波信号は印加されない。一方、タイミングシステム50は、出射制御タイミング信号512とエネルギー変更タイミング信号513を目標エネルギーに到達するまで繰り返し出力する。電源制御装置45は、タイミングシステム50からのタイミング信号に基づき、出射制御データ72a、加速制御データ(エネルギー変更制御データ)71b、出射制御データ72b、加速制御データ(エネルギー変更制御データ)71cを順次更新制御する。到達エネルギーが目標エネルギーEcに一致するまでビームを加速した後、照射制御装置44は出射制御許可信号441を出力し、出射用高周波信号の印加処理74が行われることで、ビームが出射される。ビーム出射制御が終了後、照射制御装置44は次の照射データを確認する。本出力例では、次の照射エネルギーはない(Ecが最終エネルギー)ため、照射制御装置44は照射完了信号445をインターロックシステム60に伝送する。インターロックシステム60はタイミングシステム50に対して、次の運転周期の制御が無いことを示す照射完了指令612を伝送する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、この減速制御開始タイミング信号513に基づき、減速制御に遷移する。減速制御では、直前の出射エネルギーEcに対応した減速制御データ73cを選択し、減速制御データ73cの更新制御を開始する。減速制御データ73cは、運転周期毎の磁場履歴を一定に保つため、初期化エネルギー(Einit)まで高めた後に入射エネルギー(Einj)まで減速制御を実施する。タイミングシステム50は、減速制御データ73cの更新の終了と合わせて減速終了タイミング信号514を出力し、照射完了指令612に基づき、照射を完了する。
本実施例は、以上のように構成したので、ビームエネルギーの変更制御と運転周期の更新を短時間で実現可能な粒子線照射システムを提供できる。
次に、シンクロトロン13の偏向電磁石18等の機器の運転制御パターンデータを自動的に生成する方法と、この方法を実施する装置の実施例について説明する。なお,以下の説明では、上述した多段出射制御運転で用いた運転制御パターンデータの一段目の加速制御データを加速制御パターンデータ或いは加速パターンデータと言い、出射制御データを出射制御パターンデータ或いは出射パターンデータと言い、二段目以降の加速制御データをエネルギー変更制御パターンデータ或いはエネルギー変更パターンデータと言い、減速制御データを減速制御パターンデータ或いは減速パターンデータと言う。また,以下の実施例は、記憶装置42に記憶する運転制御パターンデータをシンクロトロン内の磁場強度の時系列データとして用意した場合のものである。
まず、本発明の運転制御パターンデータの生成方法の一実施例について、図9A〜図12を用いて説明する。図9Aは、異なる出射エネルギーに対応した複数(図示の例では3つ)の調整済みの単一出射の運転制御パターンデータから新たな多段出射の運転制御パターンデータを生成する方法を示す図であり、図9Bは、図9Aに示す多段出射の運転制御パターンデータを生成するのに必要となるエネルギー変更制御パターンデータを補間により生成する方法を示す図である。図9A及び図9Bにおいて、横軸は時間を、縦軸はシンクロトロン13内の磁場強度を表す。磁場強度とはエネルギーが可変である粒子をシンクロトロン13内で周回させるために必要となるシンクロトロン13の電磁石(例えば偏向電磁石18)の励磁電荷量である。粒子のエネルギーが高いほど粒子の速度が速くなり、粒子の速度が速いほどシンクロトロン13内での方向転換のために用いる電磁石の磁場強度を高く保つ必要がある。
図9Aにおいて、新たに生成する運転制御パターンデータは、上述した制御システム100の多段出射制御運転で用いた図3に示す制御データに対応するものであり、一回の運転周期で複数のエネルギーのビーム出射制御を行うための多段出射パターンデータAと、多段出射パターンデータAの複数の出射エネルギーEa,Eb(最終段以外の出射エネルギー)に対応した複数の減速制御パターンデータ(以下適宜減速パターンデータという)F1,F2とで構成され、多段出射パターンデータAを用いて電磁石(図示の例では偏向電磁石18)を制御することで複数のエネルギーのビームの出射制御を行いかつ、複数の出射エネルギーEa,Ebに対応した複数の減速パターンデータF1,F2を有することで、どの出射エネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能となっている。なお、本発明を非特許文献1及び特許文献2に記載されているような多段出射パターンデータAだけで構成される運転制御パターンデータの生成に適用してもよく、その場合、新たに生成する運転制御パターンデータは、複数の減速制御パターンデータF1,F2を備えていない。
図9Aに示す多段出射パターンデータAと減速パターンデータF1,F2とを新たに生成するためには、図9Aの上段に示す既存の複数の調整済みの単一出射の運転制御パターンデータA,B,C(以下適宜単一出射パターンデータA,B,Cという)が用いられる。図示の例では、新たに生成する多段出射パターンデータAは3段の出射エネルギーEa,Eb,Ecを有するものであるため、調整済みの単一出射パターンデータA,B,Cは、それぞれ、出射エネルギーがEa,Eb,Ecのパターンデータである。
粒子線照射システム1の記憶装置42(例えば図4参照)には、予め、多数の調整済の単一出射の運転制御パターンデータが記憶されており、それらの中から出射エネルギーをインデックスとして単一出射パターンデータA,B,Cが選択される。
図9Aの上段において、まず、異なる出射エネルギーに対応した複数の調整済みの単一出射パターンデータA,B,Cのそれぞれを、加速制御パターンデータ(以下適宜加速パターンデータという)901AC,902AC,903AC、出射制御パターンデータ(以下適宜出射パターンデータという)901EX,902EX,903EX、減速制御パターンデータ(以下適宜減速パターンデータという)901DE,902DE,903DEに区分/分割し、これらを多段出射パターンデータA及び減速パターンデータF1,F2を形成するためのデータモジュールとする。このデータモジュールの区分/分割は時間(時刻情報)と関連付けて行う。例えば、加速パターンデータ901ACはデータ901ACの開始時刻をt0とし終了時刻をt1とした場合、時刻t0から時刻t1までのデータモジュールであると定義する。
また、図9Aの単一出射パターンデータA,B,Cには無く、多段出射パターンデータAを形成するのに必要となるエネルギー変更時のパターンデータ(エネルギー変更制御パターンデータ−以下単にエネルギー変更パターンデータという)901−902EC、902−903ECは、予め定めた補間関数を用いて生成する。この補間関数を用いたエネルギー変更パターンデータの生成方法を図9Bを用いて説明する。
図9Bにおいて、まず、エネルギー変更パターンデータを生成するための前エネルギー値座標(X0,Y0)と目標エネルギー値座標(X4,Y4)を決める。これらの座標の横軸の値X0, X4は時間であり、縦軸の値Y0, Y4は磁場強度である。時刻X0は仮に0と置き、時刻X4はシンクロトロン13が蓄積ビームを次のエネルギーに加速するのに必要な時間を設定する。磁場強度Y0は直前の出射パターンデータの出射エネルギーに、磁場強度Y4は直後の出射パターンデータの出射エネルギーに合わせてそれぞれ決める。例えば、エネルギー変更パターンデータ901−902ECであれば、磁場強度Y0は直前の出射パターンデータ901EXの出射エネルギーEaに合わせた磁場強度とし、磁場強度Y4は直後の出射パターンデータ902EXの出射エネルギーEbに合わせた磁場強度とする。また、エネルギー変更パターンデータ902−903ECであれば、磁場強度Y0は直前の出射パターンデータ902EXの出射エネルギーEbに合わせた磁場強度とし、磁場強度Y4は直後の出射パターンデータ903EXの出射エネルギーEcに合わせた磁場強度とする。
次に、使用する関数に応じた補間点を決め、前エネルギー値座標(X0,Y0)及び目標エネルギー値座標(X4,Y4)と使用する関数に応じた補間点を補間関数に入力することによりエネルギー変更パターンデータを自動生成する。
図9Bでは、補間点の例として、時刻X0からX4を四等分するようにX1,X2,X3を算出し、Y0からY4を四等分するようにY1,Y2,Y3を算出し、それらを(X0,Y0)と(X4,Y4)の間に位置する座標(X1,Y1)(X2,Y2)(X3,Y3)に設定する。これらの補間点、前エネルギー値座標、目標エネルギー値座標を用いてエネルギー変更パターンデータの生成を自動で行う。補間に用いることができる関数は0次補間、線形補間、放物線補間、多項式補間、キュービック補間、キュービックコンボリューション、ラグランジュ補間、スプライン補間、Sinc関数、ランツォシュ補間である。これらの関数を用いることにより、図9Bのエネルギー変更パターンデータ901−902EC、902−903ECを自動生成することができる。
上述した補間関数により生成したエネルギー変更パターンデータ901−902EC、902−903ECと、調整済みの単一出射パターンデータA,B,Cを区分/分割して得たデータモジュールから初期加速パターンデータ901AC、出射パターンデータ901EX、902EX、903EX、減速パターンデータ903DEを選択して組み合わせることによって、図9Bの多段出射パターンデータAを形成する。また、減速パターンデータ901DE、902DEはそのまま減速パターンデータF1,F2とする。
このように本実施の形態では、多段出射パターンデータAと減速パターンデータF1,F2は調整済みの単一出射パターンデータA,B,Cから生成されたため、生成後に再度調整する必要が無く、生成工程の短縮へと繋がる。このデータ生成方法によって、複数の調整済みの単一出射パターンデータを基に新たな多段出射パターンデータを含む運転制御パターンデータを自動生成することが可能となる。
上記とは異なる運転制御パターンデータ自動生成の例として、調整済みの多段出射パターンデータを含む運転制御パターンデータから単一出射パターンデータを生成する場合について、同じく図9Aを用いて説明する。
図9Aに示す調整済みの多段出射パターンデータAを加速パターンデータ901AC、出射パターンデータ901EX、902EX、903EX、エネルギー変更パターンデータ901−902EC、902−903EC、減速パターンデータ903DEに区分/分割し、これらのデータと、もともと分割されている調整済みの減速パターンデータF1,F2(減速パターンデータ901DE、902DE)を、新たな運転制御パターンデータを形成するデータモジュールとする。これらのデータモジュールから加速パターンデータ901AC、出射パターンデータ901EX、出射パターンデータ901EXに対応した減速パターンデータ901DEを組合せることにより、図9A上段の単一出射パターンデータAを自動生成する。前例と同様に、調整済みの多段出射パターンデータAを分割した加速パターンデータ901AC、出射パターンデータ901EXと調整済みの減速パターンデータF1で形成された単一出射パターンデータAは再度調整する必要が無く、生成工程の短縮へと繋がる。単一出射パターンデータB,Cも同様に生成することができる。
なお、上述したデータ生成方法は本発明の一実施例であり、本発明は、上記実施例で使用した出射エネルギーの段数、生成に用いる運転制御パターンデータの種類に限定されない。
また、上述した補間点の算出例についても本発明の一実施例であり、本発明は、上記実施例で使用した補間点の数及び座標算出方法に限定されない。
本発明の運転制御パターンデータの生成方法の他の実施例について、図10A及び図10Bを用いて説明する。本実施例は、調整済みの多段出射の運転制御パターンデータを分割して、新たな多段出射の運転制御パターンデータを生成するものである。
図10Aは、調整済みの多段出射の運転制御パターンデータから新たな多段出射の運転制御パターンデータを生成する方法を示す図であり、図10Bは、調整済みの多段出射の運転制御パターンデータから新たな多段出射の運転制御パターンデータを生成する他の方法を示す図である。図10A及び図10Bにおいて、横軸は時間を、縦軸はシンクロトロン13内の磁場強度を表す。
図10Aにおいて、調整済みの運転制御パターンデータは、多段出射パターンデータBと、この多段出射パターンデータBの複数の出射エネルギーEa,Eb,Ec(最終段以外の出射エネルギー)に対応した複数の減速パターンデータF1,F2,F3(1001DE,1002DE,1003DE)とで構成されている。この調整済みの多段出射パターンデータBを加速パターンデータ1001AC、出射パターンデータ1001EX,1002EX,1003EX,1004EX、エネルギー変更パターンデータ1001−1002EC、1002−1003EC、1003−1004EC、減速パターンデータ1004DEに区分/分割し、これらのデータと、もともと分割されている減速パターンデータ1001DE,1002DE,1003DEを、新たな運転制御パターンデータを形成するデータモジュールとする。このときの分割も、時間(時刻情報)と関連付けて行う。
図10Aにおいて、調整済みの運転制御パターンデータから得たデータモジュールを基に組合せ、新たな多段出射パターンデータCを生成する。具体的には、多段出射パターンデータCは、加速パターンデータ1001AC、出射パターンデータ1001EX、エネルギー変更パターンデータ1001−1002EC、出射パターンデータ1002EX、エネルギー変更パターンデータ1002−1003EC、出射パターンデータ1003EX、減速パターンデータ1003DEの組み合わせであり、これらは全て多段出射パターンデータBを分割することによって得ることが可能である。また、多段出射パターンデータCの出射エネルギーEa,Eb(最終段以外の出射エネルギー)に対応した減速パターンデータF1,F2は、多段出射パターンデータB用の減速パターンデータF1,F2(1001DE,1002DE)から得ることが可能である。
図10Aでは、調整済みの多段出射パターンデータB及び減速制御パターンデータF1〜F3から新たな多段出射パターンデータC及び減速制御パターンデータF1,F2を生成したが、その考えを応用すれば、出射制御パターンをN段類有している多段出射の運転制御パターンデータから、初期加速パターンデータ1001ACが共通する単一出射パターンデータ、または2段から最大N−1段の出射制御パターンデータを有する多段出射パターンデータを生成することが可能となる。
また、別の例として、図10Bに示すように調整済みの2つの異なる多段出射パターンデータD,Eと減速制御パターンデータF1,F2がある場合、多段出射パターンデータD,Eを前記と同様に分割してデータモジュールを生成することにより、多段出射パターンデータCと減速制御パターンデータF1,F2を含む運転制御パターンデータを生成することも可能である。このように調整済みの複数の多段出射の運転制御パターンデータから生成したデータモジュールを用いることにより、新たな多段出射の運転制御パターンデータを生成することができる。
なお、上述したデータ生成方法は本発明の一実施例であり、本発明は、上記実施例で使用した出射エネルギーの段数、生成に用いる運転制御パターンデータの種類に限定されない。
上述した実施例において、多段出射の運転制御パターンデータの残留磁場補正を行う実施例について図11A,図11Bと図12を用いて説明する。図11Aは、従来の単一エネルギー出射における残留磁場補正を説明する図であり、図11Bは、本実施例の残留磁場補正で使用する補正値のチャート(テーブル)を示す図である。図12は、残留磁場補正の補間を示す図である。
図11Aにおいて、従来の単一エネルギー出射では、出射後に初期化パターンIN1〜IN3を含む減速パターンデータ1101DE,1102DE,1103DEが存在し、これらの減速パターンデータによってビーム出射の後に生じる磁場の影響(残留磁場)がリセットされる。しかし、異なる複数のエネルギーを減速せずに出射する多段出射において、残留磁場が粒子線照射システム1を形成する電磁石に発生し、以降の加速器の磁場強度に影響し、結果として出射精度に影響する。したがって、残留磁場の影響を計算し、運転制御パターンデータを補正する必要がある。
一度の運転で、最大N段出射できる粒子線照射システムにおいて、残留磁場補正値は前出射の磁場強度によって影響するため、出射パターンデータの残留磁場補正値は初段からN段目の出射パターンデータまで、前出射の磁場強度に応じてそれぞれ補正量が異なる。異なる補正量に対応するため、予め図11Bに示すように、出射エネルギーA〜Gと、それぞれの出射エネルギーが運転制御パターンデータ内の何段目の出射であるか(1段目〜N段目)をチャート化し、それぞれの補正値を予め用意する。運転開始前に、図11Bのチャートから補正値を読み込み、各パターンデータに補正値を反映した後、運転を行うことにより、残留磁場補正を行う。各パターンデータへの補正値の反映は、各パターンデータに補正値を加算した値を記憶し、運転時にその値を読み込んで運転に用いるようにすればよい。なお、各パターンデータへの補正値の加算は運転時に行ってもよい。
上述した残留磁場補正は、出射パターンデータに対して行う補正であり、補正された出射パターンデータの直前に位置するパターンデータ(エネルギー変更パターンデータ、または加速パターンデータ)と、直後に位置するパターンデータ(エネルギー変更パターンデータ、または減速パターンデータ)を、補正された出射パターンデータに合わせて作り直す必要がある。
実際の磁場補正の例として、図12に示すように、出射パターンデータを2段有する多段出射パターンデータに磁場補正が必要なケースについて説明する。
図12において、まず、図11Bのチャートから出射パターンデータ1202、1204それぞれの補正値を読み込み、出射パターンデータ1202、1204に補正値を加え、補正された出射パターンデータ1202、1204を生成する。図12中、破線が補正前、実線が補正後の出射パターンデータ1202、1204である。出射パターンデータ1202、1204の補正後、補正された出射パターンデータの直前・直後のパターンデータ1201、1203、1205が補正後の出射パターンデータと繋がるように補間を行い、運転制御パターンデータを補正する。図12には示していないが、補正後の出射パターンデータ1202の出射エネルギーに対応した減速パターンデータも同様に補間を行い補正すればよい。また、補間は、図9Bの実施例と同様の要領で行うことができる。
図11Bに示す残留磁場補正のチャートの作成方法について説明する。残留磁場に必要となる補正値はシンクロトロン各々の形状などによって異なるため、磁場強度毎に残留磁場の影響を計測してチャート化する必要がある。例として、初段出射可能エネルギーが0.5MeVの間隔で50MeV〜249.5MeV(上下限幅199.5MeV)のエネルギーで出射可能かつ、20段出射が可能な粒子線照射システムにて、図11Bの形式でチャートを形成した場合、行数(初段出射エネルギー値別運転制御パターンデータ)が400行、列数(出射段数)が20列となり、8000種類の残留磁場補正値のデータを計測する必要がある。しかし、初段出射エネルギー5MeV間隔、10段毎に残留磁場補正値の計測を行い、それらを補間点とし、図9Bの実施例で利用した補間方法を適用しチャートを作成する。この場合、補間を用いることにより、計測する補正値は8000点から80点に減り、残留磁場補正値のデータ計測工程を短縮化することができる。
なお、上述したデータ生成方法は本発明の一実施例であり、本発明は、上記実施例の補間点(5MeV間隔、10段毎)に限定されず、任意の補間点で運用可能なものである。
なお、以上の残留磁場補正は、図9A及び図9Bに示す実施例の単一出射の運転制御パターンデータから多段出射の運転制御パターンデータを作成する場合のものであるが、図10A及び図10Bに示す実施例の多段出射の運転制御パターンデータから多段出射の運転制御パターンデータを作成する場合にも、同様に残留磁場補正のチャートを作成し、残留磁場補正を行うことができる。
次に、上述した運転制御パターンデータの生成方法を実施する装置の実施例について、図13を用いて説明する。前述したように、本発明の粒子線照射システム1の実施例では、例えば図4に示す統括制御装置41がデータ生成装置を兼ねており、統括制御装置41がデータ生成装置として、シンクロトロン13の偏向電磁石18等の機器の運転制御パターンデータを自動的に生成する。図13は、データ生成装置(統括制御装置41)が多段出射の運転制御パターンデータを自動で生成する処理手順を示すフローチャートである。
図13において、まず、医師等の操作者が、統括制御装置41に備わるマウス等の操作装置を用いて操作画面のスタートボタンをクリックすることで、統括制御装置41は運転制御データの生成プログラムを起動する。次いで、想定されるある患者の照射条件に基づいてその患者の治療に必要となる、初段出射を含む全ての出射段のエネルギー値を統括制御装置41に入力する(ステップ1300)。統括制御装置41は、患者の治療に必要な全ての出射段のエネルギー値が入力されると、記憶装置42にアクセスし、各出射段のエネルギー値をインデックスとしてそれに対応した調整済の運転制御パターンデータを検索して取得する(ステップ1302)。記憶装置42には、予め、多数の調整済の運転制御パターンデータ(図9A及び図9Bに示す実施例のデータ生成方法であれば単一出射の運転制御パターンデータA,B,Cを含む調整済の運転制御パターンデータ)が記憶されている。次いで、取得した調整済の運転制御パターンデータに、患者の治療に必要な全ての出射段のエネルギー値に対応した調整済の運転制御パターンデータと初段出射エネルギーに対応する加速パターンデータが含まれているか判定する(ステップ1304)。例えば、図9A及び図9Bに示す実施例のデータ生成方法であれば、各出射段のエネルギーに対応する単一出射の運転制御パターンデータが取得できたかどうかを判定する。この判定で、該当するパターンデータの全てが取得できていない場合は処理を終了する。該当するパターンが全件取得できた場合は、統括制御装置41は、まず、初段の出射エネルギーに対応した調整済の運転制御パターンデータ(図9A及び図9Bに示す実施例のデータ生成方法であれば単一出射の運転制御パターンデータA)を前述したようにデータモジュールに分割し、出射パターンデータと減速パターンデータを生成する(ステップ1308)。初段の場合は、加速パターンデータ(初期加速制御パターンデータ)も生成する。次いで、最終段までパターンデータを生成したかどうかを判定し(ステップ1310)、最終段までパターンデータを生成していない場合は次段のデータ生成に進み、初段の場合と同様に、次段の出射エネルギーに対応した調整済の運転制御パターンデータ(図9A及び図9Bに示す実施例のデータ生成方法であれば単一出射の運転制御パターンデータB)をデータモジュールに分割し、出射パターンデータと減速パターンデータを生成する(ステップ1308→ステップ1310)。このようにして最終段までパターンデータ(データモジュール)を生成すると、データ生成方法の実施例3で説明したように、図11Bに示した残留磁場の補正値チャート(テーブル)から各段の出射パターンデータの残留磁場の補正値を読み込み、単一出射の運転制御パターンデータを分割して生成した出射制御パターンデータにその補正値を足し込み、補正された出射パターンデータを生成する(ステップ1312)。この補正を最終段まで繰り返して行い(ステップ1314→ステップ1312)、最終段まで補正が完了すると、図9A及び図9Bに示すデータ生成方法の実施例で説明したように、N段目の出射パターンデータとN+1段目の出射パターンデータを繋ぐエネルギー変更パターンデータを補間により生成する(ステップ1316)。補間によるエネルギー変更パターンデータの作成を最終段まで繰り返して行い(ステップ1318→ステップ1316)、最終段まで補間によりエネルギー変更パターンデータの生成が完了すると、各段のパターンデータを繋ぎ合わせ、連続した多段出射の運転制御パターンデータを生成する(ステップ1320)。そして、その多段出射の運転制御パターンデータと、最終段以外の出射エネルギーに対応した減速パターンデータを運転制御パターンデータとして記憶装置42に保存することで、運転制御パターンデータの自動生成が完了する。
本実施例によれば、複数の調整済みの単一出射パターンデータを基に新たな多段出射パターンデータを含む運転制御パターンデータを自動生成することが可能となる。
なお、上述したデータ生成装置の処理手順の説明では、単一出射の運転制御パターンデータから多段出射の運転制御パターンデータを作成する場合(図9A及び図9Bに示す実施例のデータ生成方法を実施する場合)について説明したが、多段出射の運転制御パターンデータから多段出射の運転制御パターンデータを作成する場合(図10A及び図10Bの実施例のデータ生成方法を実施する場合)に上記処理手順を適用してもよい。また、単一出射の運転制御パターンデータと多段出射の運転制御パターンデータの混合データから多段出射の運転制御パターンデータを作成する場合に上記処理手順を適用してもよい。
図14は、統括制御装置41が調整済みの多段出射パターンデータから単一出射の運転制御パターンデータを自動的に生成する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図14において、まず、医師等の操作者が、統括制御装置41に備わるマウス等の操作装置を用いて操作画面のスタートボタンをクリックすることで、統括制御装置41は単一出射の運転制御パターンデータの生成プログラムを起動する。次いで、想定されるある患者の照射条件に基づいてその患者の治療に必要な1つのエネルギー値を統括制御装置41に入力する(ステップ1400)。統括制御装置41はエネルギー値が入力されると、記憶装置42にアクセスし、そのエネルギー値をインデックスとしてそれに対応した調整済の運転制御パターンデータを検索して取得する(ステップ1402)。記憶装置42には、予め、多数の調整済の多段出射の運転制御パターンデータ(図9Aに示す実施例のデータ生成方法であれば多段出射の運転制御パターンデータAのような多数の調整済の多段出射の運転制御パターンデータ)が記憶されている。次いで、調整済の多段出射の運転制御パターンデータが取得できたかどうかを判定する(ステップ1404)。例えば、図9Aに示す実施例のデータ生成方法であれば、多段出射パターンAと減速パターンデータF1,F2が取得できたかどうかを判定する。この判定で該当するパターンデータが取得できていない場合は処理を終了する。該当するパターンが取得できた場合は、統括制御装置41は、次いで、出臆した多段出射の運転制御パターンデータに入力したエネルギー値に対応する加速パターンデータがあるかどうかを判定し(ステップ1406),加速パターンデータがなければ処理を終了する。加速パターンデータがある場合は、統括制御装置41は、取得した多段出射の運転制御パターンデータに含まれる多段出射パターンデータ(図9Aに示す実施例のデータ生成方法であれば多段出射パターンデータA)を前述したようにデータモジュールに分割し、加速パターンデータと出射パターンデータと減速パターンデータを生成する(ステップ1408)。次いで、入力したエネルギー値に対応する加速パターンデータと出射パターンデータと減速パターンデータを繋ぎ合わせ、連続した単一出射の運転制御パターンデータを生成する(ステップ1410)。そして、その単一出射の運転制御パターンデータを記憶装置42に保存することで、運転制御パターンデータの自動生成が完了する。
本実施例によれば、調整済みの多段出射の運転制御パターンデータを基に新たな単一出射の運転制御パターンデータを自動生成することが可能となる。
なお、上述した実施例では、統括制御装置41に運転制御パターンデータの生成方法を実施するデータ生成装置を兼ねさせたが、独立した制御装置を設け、この制御装置にデータ生成装置の機能を持たせてもよい。この場合は、独立した制御装置を統括制御装置41に接続し、通信にてデータの送受信を行うことが好ましい。また、生成したデータモジュールを記憶装置41以外のデータベースに保存してもよい。