JP2017143017A - 粒子加速器システムおよびそれを備えた粒子線治療システム - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度のパルス出力を得ることができる短パルス出力の粒子加速器システムを提供する。
【解決手段】粒子加速器1と、粒子加速器1にイオンを入射させるイオン源2と、粒子加速器1に高周波電力を供給する高周波電力源3と、粒子加速器1、イオン源2、および高周波電源3を制御する加速器制御装置7とを備えた粒子加速器システム10において、出射されたパルス状の粒子線の1パルスに含まれる粒子数を該1パルスの出力期間にわたる積分値として測定する出射粒子数測定器を備え、加速器制御装置7は、出射粒子数測定器により測定された1パルスに含まれる粒子数と、該測定時のイオン源2の制御パラメータの値との関係を較正データテーブルまたは関数により記憶しており、記憶された粒子数とイオン源2の制御パラメータの値との関係に基づいて、外部より入力された所要粒子数に対応したイオン源の制御パラメータの値となるようイオン源2を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、粒子線治療などに用いるため、荷電粒子を高エネルギーまで加速して、特に短パルスの出力として取り出す粒子加速器システムに関する。
放射線の応用の一つに癌の治療があり、最近、陽子線や炭素線などの重粒子線を癌細胞に照射して治療する粒子線治療が注目されている。陽子線や炭素線などの粒子線を発生させるためには、荷電粒子を高エネルギーまで加速する粒子加速器が必要となる。粒子加速器の種類には種々あり、それぞれの種類の粒子加速器から発生される粒子線には、それぞれの特徴がある。例えば、連続的に粒子線を発生させる粒子加速器がある一方、パルス的に粒子線を発生させる粒子加速器がある。パルス的に粒子線を発生させる粒子加速器としては、例えばシンクロサイクロトロンなどがある。
一方、陽子線、炭素線などの粒子線を人に照射すると、体の表面から深い部分で、粒子線が止まる位置、すなわちその粒子線の飛程の直前に相対線量がピーク値となる。このピーク値は、ブラッグピークBP(Bragg Peak)と呼ばれる。このブラッグピークを、人の臓器にできた腫瘍に照射して、癌の治療を行なうのが粒子線癌治療方法である。癌以外にも、体の深い部分を治療する場合にも用いることができる。
粒子線を細いペンシルビームとして癌患部などの照射対象に照射すると、ブラッグピークの位置の小領域であるスポット領域を照射することができる。ペンシルビーム状の、あるエネルギーの粒子線を移動させて照射すると、そのエネルギーに対応した深さのブラッグピーク位置の2次元の領域、すなわち層状の領域を照射することができる。さらに別のエネルギーの粒子線を移動させて照射することにより、異なる深さの層状の領域を照射することができる。このようにして、ペンシルビームを移動させてスポット領域を癌患部全体に移動することにより、癌患部のみに粒子線を照射することができる。この照射方法はスキャニング照射法と呼ばれている。
ペンシルビームをステップ的に移動、すなわち移動と停留を繰り返すことにより、照射されるスポットをステップ的に移動して照射する、いわゆるスポットスキャニング照射法では、まず各スポットに照射する粒子線の量を予め治療計画により設定する。実際の照射においては、予め設定された量の粒子線が照射されるように、加速器などの装置のパラメータを設定して照射を行う。したがって、設定された量の粒子線を照射するためには、粒子加速器の出力の精度が求められる。
特に、シンクロサイクロトロン(例えば特許文献1参照)などの、出力が短パルスのビームとなる粒子加速器では、出力パルス毎の粒子線の量、すなわち出力される粒子数の精度が要求される。特許文献2では、短パルス出力の粒子加速器において、精度の良い粒子数のパルス出力をさせるため、パルス毎に出力されるパルスの強度を測定して、その測定結果を加速器などの装置パラメータにフィードバックさせる技術が開示されている。
特表2008−507826号公報 国際公開 WO2010/149740号
シンクロサイクロトロンなどの短パルス出力の粒子加速器では、パルスの立ち上がり時間、立下り時間が、パルス幅に対して無視できない時間となっているため、特許文献2に開示されているような、パルス出力の平坦部の値であるパルスの強度を測定しただけでは、パルス毎に含まれる粒子数を精度よく測定したことにはならない。
本発明は、上記の課題を解決し、短パルス出力の粒子加速器システムにおいて、パルス毎の出力に含まれる粒子数を精度よく測定することにより、高精度のパルス出力を得ることができる粒子加速器システムを提供することを目的とする。
パルス幅が1ミリ秒以下のパルス状の粒子線を出射する粒子加速器と、この粒子加速器にイオンを入射させるイオン源と、粒子加速器に高周波電力を供給する高周波電力源と、粒子加速器、イオン源、および高周波電源を制御する加速器制御装置とを備えた粒子加速器システムにおいて、出射されたパルス状の粒子線の1パルスに含まれる粒子数を該1パルスの出力期間にわたる積分値として測定する出射粒子数測定器を備え、加速器制御装置は、出射粒子数測定器により測定された1パルスに含まれる粒子数と、該測定時のイオン源の制御パラメータの値との関係を較正データテーブルまたは関数により記憶しており、記憶された粒子数とイオン源の制御パラメータの値との関係に基づいて、外部より入力された所要粒子数に対応したイオン源の制御パラメータの値となるようイオン源を制御するようにした。
この発明によれば、パルス毎に高精度のパルス出力を得ることができる粒子加速器システムが得られる。
本発明の実施の形態1による粒子加速器システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に粒子加速器システムの動作を説明する線図である。 本発明の実施の形態1に粒子加速器システムの動作を説明する時間を拡大した線図である。 本発明の実施の形態1による粒子加速器システムの較正データテーブルの作成方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態3による粒子線治療システムの概略構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による粒子加速器システム10の概略構成を示すブロック図である。粒子加速器1にイオン源2から陽子あるいは炭素イオンといった、荷電粒子であるイオンが入射されるように構成されている。粒子加速器1はイオン源2から入射されたイオンを高周波電力源3から与えられる高周波電力により加速してエネルギーを増大させる。ここでは粒子加速器1としてシンクロサイクロトロンを例にして説明する。シンクロサイクロトロンでは、中央に入射されたイオンが、粒子加速器1内に発生する高周波電場により螺旋状の軌道を描きながら加速される。イオンが入射されてから、高周波電場の周波数を徐々に高い周波数から低い周波数に変化させる。この変化によりイオンは螺旋を描きながら加速され、螺旋半径が次第に大きくなり、最終的には外周部から粒子線6として出力される。
この動作の様子の概要を図2に示す。図2の横軸は時間であり、上段の線図は高周波電力源3から出力される高周波電力の周波数の時間変化を示す。中段の線図に示されるように、イオン源2から入射されるイオン粒子は、高周波の周波数が最大である時間に、イオン源2の引出電極9に引出電圧を印加することによりパルス的に短時間だけ入射される。下段の線図は、粒子線として出力される出力イオンビーム電流を示す。出力イオンビーム電流は出力されるイオンの粒子数に比例する。粒子線は、高周波の周波数が最低となった時間にパルス状に出力される。このように、高周波電力源3から粒子加速器1に供給される高周波電力の周波数変化を繰り返し、最高周波数の時点でイオンが入射され、周波数が最低となった時間ごとに、高エネルギーまで加速されたイオンの粒子の束が粒子線6となりパルス出力として取り出される。このような動作を行うよう、加速器制御器7がイオン源2および高周波電力源3を制御する。なお、イオン源2もしくは引き出し電極9は、粒子加速器1の中心部に内蔵される構成でも、その機能は同じである。
ここで、粒子加速器1がシンクロサイクロトロンである場合の典型的な動作例を説明する。高周波の周波数変化の繰り返しは例えば1秒間に1000回、すなわち1000Hzで高周波電力源3が周波数変調される。周波数変調範囲は、粒子加速器1の構成、イオンの種類、出力されるイオン粒子のエネルギーにより異なるが、例えば周波数変調範囲は90MHzから60MHzといった値である。出力されるパルスの幅は、典型的にはμ秒程度である。このように、粒子加速器1からは、典型的には、1msに1回、1μsのパルス幅の粒子線6が出力される。以上は典型的な例であるが、一般的に、高周波の繰り返しは100Hz〜1kHz、高周波の周波数は、100MHz〜10MHz程度であり、出力される粒子線のパルス幅は10ns〜1msである。すなわち、本発明は出射される粒子線のパルス継続時間であるパルス幅が1ミリ秒以下の短パルス出力の粒子加速器1に適用される。
図3に出力される粒子線6のパルス波形を時間拡大して示す。パルス波形は、立ち上がり期間Trと立ち下がり期間Td、そして一定期間Tfからなる。従来はパルス波形の一定期間Tfにおけるイオンビーム電流値を測定し、その値とパルス幅の積が出射粒子数と等価であることを前提としていた。しかし、μsオーダーの短パルスビームの場合、立ち上がり期間Trと立ち下がり期間Tdに含まれるビーム電流値は無視できず、ビーム電流値とパルス幅の積と出射粒子数は等価ではなくなる。そこで、出射粒子数測定器5はイオン源2の引出電極9に引出電圧が印加される期間をパルス波形の時間積分範囲と定め、粒子モニタ4からの出力を1パルスの出力期間にわたる積分値として出射粒子数を算出する。また、引出電圧の強度は固定、引出電圧印加期間と高周波電力源の周波数変調との時間差も固定とする。その結果、上記立ち上がり期間Trと立ち下がり期間Tdに含まれるビーム電流値はパルス幅を変えることで同じになるため、引出電圧印加期間を変更することで、一定期間Tfの時間幅の長短化により出射粒子数を調整することができる。このため、精度よく出射粒子数を調整することが可能となる。粒子モニタ4として、例えばイオン化チャンバ等、測定原理にパルス波形の時間積分を有する測定装置を使用することも可能であり、この場合は粒子モニタ4が出射粒子数測定器5を兼ねることになる。
粒子モニタ4が設置される位置は、粒子線が粒子加速器1から出射されて、対象物に照射されるまでの位置であればどこに設置されても良い。例えば粒子加速器1の出口に設置されても、粒子加速器1の出口より下流に配置されても、又は、治療室内の粒子線照射装置に設置されてもよい。
加速器制御器7は、粒子加速器1から出射される粒子線6のパルスに含まれる粒子数がシステム制御装置15からの指令による所定の値となるよう、高周波電力源3、引出電極9などの加速動作に係る各構成機器の制御パラメータを設定する。加速器制御器7は、例えば、1パルスに含まれる粒子数を、各構成機器の制御パラメータの値の較正テーブルや関数として保有しており、所定の粒子数に対応する各構成機器のパラメータを、各構成機器に出力する。
粒子数を所定の値にするためには、例えば、イオン源2からイオンを出力するための引出電極9に引出電圧を印加する期間を、所定の粒子数に対応した期間とすればよい。一般的に、イオン源2は、パルス化モードで動作する。つまり、イオン源2は、注入ガスとフィラメントへの通電電流により発生する電子との衝突により、イオンを生成する。イオン源2のオン期間を制御することによって、上記衝突によるイオンの生成量が変更可能である。そして、引出電極9に引出電圧を印加する期間を調整することで、イオン源2から取り出されるイオンの粒子数を調整することが可能である。イオン源2から粒子加速器1に入射されたイオン粒子は、全加速サイクル期間内に加速され、粒子加速器1から取り出される出射粒子数を所定の値とすることが可能となる。一般的に、フィラメントの安定化のため、イオン源2のオン期間の方が、引出電圧印加オン期間より長い。
加速器制御器7は、所定の粒子数の出力パルスを得るため、各構成機器の制御パラメータの値を特定するコマンド値を送信する。コマンド値は、例えば、イオン源2‘オン’期間や、引出電極9の引き出し電圧印加‘オン’期間を特定するコマンドである。
加速器制御器7は、命令を受信するために、例えば粒子加速器システム10を利用するシステム全体を制御するシステム制御装置15とインターフェース接続する。それらの命令は、粒子線6の1パルスの粒子数を特定するコマンド値の形式で受信可能である。粒子加速器システム10を利用するシステムが、スキャニング照射法による粒子線治療システムの場合、各スポットに照射される放射線量は、治療計画装置によって処方される。この場合、例えば治療計画装置がシステム制御装置15となる。一般的にはコマンド値はモニタ単位の数として表される。又はGy単位の放射線量として表されることもある。この放射線量は、較正データテーブルの粒子数として保有している加速器制御器7に互換性のある量及び単位に変換される。この量は例えば、粒子(プロトンH+、炭素イオンC6+、・
・・)の数や、クーロン単位で表される積分された電荷であり得る。
加速器制御器7は、各構成機器の制御パラメータの値と粒子線6の1パルスに含まれる粒子数との間の関係を定義する較正データテーブルが記憶されているメモリを備える。較正データテーブルに代えて、制御パラメータの値と粒子数との間の関係を、数学的関数によって表現してもよい。複数の制御パラメータが出射粒子数を制御する場合には、複数の較正データテーブル又は数学的関数が定義され得る。
制御パラメータの値と出射粒子数との間の関係は、較正を実施することによって実験的に定義することができる。このような較正は、粒子加速器1から取り出された粒子線6の1パルス内の粒子数の測定を要する。このため、出射粒子数測定器5を用いて、粒子加速器1から取り出された粒子線6の1パルス内の粒子(H+、C6+、・・・)の数を、前述のように積分値として測定する。
その較正プロセスは以下のようである。較正データは、粒子加速器1から取り出された単一のパルス内の粒子数を、制御パラメータの設定値の関数として表す。較正曲線を発生させるのに必要なデータは、各パルスに対して各構成機器の制御パラメータの値を徐々に変更しながらパルスの生成及び取り出しを繰り返すことによって得られる。好ましくは、各構成機器の制御パラメータの値は、制御パラメータの全動作スパンにわたって変更される。
較正プロセスをまとめると、図4に示すフローチャートのようになる。まず、各構成機器の制御パラメータの値の初期値(例えば最低動作値で始まる)を設定する(ステップST1)。次に設定パラメータにより粒子加速器システム10を1パルス出力だけで運転し(ステップST2)、粒子加速器1から取り出された出射粒子数を出射粒子数測定器5により測定する(ステップST3)。測定された出射粒子数、およびその時に設定されている各構成機器のパラメータ値を保存する(ステップST4)。所定の動作スパンで、各構成機器のパラメータを次の値に設定し(ステップST5)、ステップST2〜5を、全てのパラメータによる運転・測定が終了するまで(ステップST6 YES)繰り返す。
結果として、粒子線6の1パルス内の粒子数に対応する各較正機器の複数の制御パラメータ値を備えた較正データテーブルが得られる。入射されたイオンは、加速中に粒子加速器1内である程度損失する。このため、入射されたイオンの粒子数と出射されるイオンの粒子数は異なる。出射イオン粒子のエネルギーが異なると、高周波電力源3の制御パラメータである上限周波数、下限周波数、電力が異なり、粒子加速器1内での粒子の損失が異なる。したがって、例えば出射イオン粒子のエネルギー毎に、すなわち高周波電力源3の制御パラメータである周波数変調範囲、電力と、イオン源2の制御パラメータ、すなわち引出電極9の電圧印加時間幅とをパラメータ値として、各パラメータ値における出射粒子数を較正データテーブルとして作成する。なお、例えば、出射イオンのエネルギーが1種類の場合は、出射粒子数に対応する制御パラメータは引出電極9の電圧印加時間幅のみでもよい。
較正データテーブルの代わりに、較正プロセスを介して得られたデータを、数学的関数でフィッティング又は近似してもよい。数学的関数を定義するパラメータは、加速器制御器7のメモリに記憶される。好ましくは、較正曲線を定義するのに必要なデータを発生させるプロセス全体が、自動化コンピュータ制御プロセスとして実施される。このようにして、較正プロセスは、粒子加速器1の各使用の前に繰り返し可能である。例えば、粒子加速器システム10が粒子線治療システムにおいて使用される場合、較正は、各患者への照射前に実施可能である。
較正プロセスが完了すると、制御されたパルスビームの照射を開始することができる。加速器制御器7は、システム制御装置15から、照射する必要のある1パルスの所要の粒子数を特定する命令を受信する。所要の粒子数は、パルス毎に異なり得る。加速器制御器7が、所要の粒子数でビームスポットを照射する命令を受信すると、加速器制御器7は、第一のステップにおいて、各構成機器の制御パラメータ用の所望の値を求める。加速器制御器7が上述の較正データテーブルを用いる場合で、所要の粒子数が較正点の一つに等しくない場合には、加速器制御器7は、所要のデータ点に最近接の二つのデータ点の間で内挿を実施することができる。加速器制御器7が、較正点を備えた較正データテーブルを用いるのではなくて、上述の数学的関数を用いる場合、制御パラメータの所要の値は、数学的関数で直接計算可能である。第二のステップにおいて、加速器制御器7は、各構成機器の所要の制御パラメータの値を、各構成機器に送信し、粒子加速器1が所要の粒子数を有するパルスビームを生成するように粒子加速器システム10を設定する。
本発明に従って粒子加速器システム10で生成されるパルスビームは、高精度で照射可能であり、つまり、1パルス内に有効的に照射される出射粒子数は、特定の許容範囲内で所要の粒子数に等しい。本願で説明される方法で出射粒子数に対する高精度を得ることができるのは、粒子加速器システム10の性能を特徴付ける一連の物理量が変更されないままであり、又は時間の関数としてゆっくりとのみ変化するという点に基づく。これらの量は、例えば、イオン生成用のイオン源2効率、イオンの加速効率、粒子加速器1から粒子線6を取り出す効率である。
実施の形態2.
以下、出射粒子数の精度を更に改善することができる実施の形態について説明する。粒子線6の1パルス内の粒子数と制御パラメータの値との間の関係は時間と共に僅かにドリフトする可能性があるので、本実施の形態2では、加速器1が粒子線6をパルスとして生成する度に較正データを連続的にアップデートする。このため、加速器制御器7は、各パルスの生成後に較正データを自動的に再調整する制御手段を備える。この再調整は、上述のように、出射粒子数測定器5から受信した測定粒子数を、システム制御装置15によって特定される所要の粒子数と比較することによって行われる。較正データが、対応する粒子数を備えた制御ビームパラメータのリストとして較正データテーブル内に記憶されている場合、リストをアップデートする方法は多様なものが存在する。例えば、測定粒子数と所要の粒子数との比較が許容範囲外である場合、較正データ点が追加されたり、データ点が新たなデータ点と置換されたり、既存のデータ点が再調整されたりし得る。較正データが数学的関数で近似される場合、アップデートされた較正データに対する新たなフィッティング、及び数学的関数の制御パラメータ値のアップデートを行うことができる。
実施の形態3.
本発明に係る粒子加速器システム10は、粒子線治療システムによく適したものである。図5は、本発明の実施の形3による粒子線治療システムの一例を示すブロック図である。この粒子線治療システムは、粒子線を生成するための粒子加速器システム10に加えて、ビーム輸送系20と、粒子線照射装置30とを備える。図5では、ビーム輸送系20は、1つの粒子線照射装置30に粒子線を輸送するシステムを示しているが、分岐路を備えて、2つ以上の粒子線照射装置に粒子線を輸送するビーム輸送系であてもよい。粒子線照射装置30は、粒子線を患者の患部35に照射し、粒子線の線量分布を与え、照射された放射線量をモニタリング及び測定するものである。粒子線照射装置30は通常治療室に備えられ、例えばスキャニング照射法により粒子線を、患部35を走査しながら照射するよう構成されている。スポットスキャニング照射法による患部35への粒子線の照射量を治療計画装置40において計画し、照射の際にスポット毎の照射量に相当する所要の粒子数を粒子加速器システム10の加速器制御器に送信する。
スキャニング照射法の一例は、スポットスキャニング照射法である。本発明によれば、短パルスの粒子線を出力する粒子加速器システム10を用いる際に、スポットスキャニング照射法の照射時間をより短くすることができる。スポットスキャニング照射法では、図5に示すように、患部35であるターゲットは、典型的には5000から10000個のスポット領域60(つまり基本ターゲットボリューム)が設定され、処方された放射線量を、典型的には1%の精度で各スポット領域60に照射する必要がある。更に、臓器運動を補償するために患部35を複数回照射するリペインティング照射を実施する場合、ターゲット照射を完了するためのスポット領域の総数が更に増加する。全ターゲット照射時間を合理的な値(典型的には60秒)に減じるために、単一のスポット照射の照射時間を、最大数ミリ秒のレベルに減じる必要がある。シンクロサイクロトロンからのパルスビームを用い、照射時間を合理的なレベルに保つためにスポット照射を2ミリ秒内に実施する必要がある場合、スポット照射を、理想的には単一のパルスビームで完了させる必要がある。パルスビーム持続時間は上述のように極端に短いので、パルスビームをパルスの途中で中断することは不可能であり、ビーム照射は、整数のパルスビームとしてのみ実施可能である。結果として、スポット照射を一回の又は限られた整数のパルスビームでのみ実施する必要がある場合、患部35内の所要の放射線量精度を保証することができるようにするために、各パルスビームの粒子数を高精度で制御する必要がある。
本発明に係る粒子加速器システム10ではスポットスキャニングを、典型的には1%の所要の精度で合理的な全照射時間内(典型的な全照射時間は60秒)に実施することができる。実際、上述のように、加速器制御器7が、1パルスの粒子数と各構成機器の制御パラメータとの間の関係を定義する較正データを発生させ、照射の際には治療計画装置40から送られてきたスポット毎の粒子数に基づいて1パルス毎の粒子数に対応した各構成機器の制御パラメータの値を各構成機器に送信することにより各構成機器を制御するため、高精度の粒子数を含む単一のパルスビームを生成することができる。このようにして、スポットスキャニング照射法を用いる場合に、単一のパルスビームを用いて、1スポットの精度良い照射を行うことができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 粒子加速器、2 イオン源、3 高周波電力源、4 粒子モニタ、5 出射粒子数測定器、6 粒子線、7 加速器制御器、9 引出電極、10 粒子加速器システム、15 システム制御装置、20 ビーム輸送系、30 粒子線照射装置、40 治療計画装置

Claims (6)

  1. パルス幅が1ミリ秒以下のパルス状の粒子線を出射する粒子加速器と、この粒子加速器にイオンを入射させるイオン源と、前記粒子加速器に高周波電力を供給する高周波電力源と、前記粒子加速器、前記イオン源、および前記高周波電力源を制御する加速器制御装置とを備えた粒子加速器システムにおいて、
    出射されたパルス状の粒子線の1パルスに含まれる粒子数を該1パルスの出力期間にわたる積分値として測定する出射粒子数測定器を備え、前記加速器制御装置は、前記出射粒子数測定器により測定された1パルスに含まれる粒子数と、該測定時の前記イオン源の制御パラメータの値との関係を較正データテーブルまたは関数により記憶しており、記憶された粒子数と前記イオン源の制御パラメータの値との関係に基づいて、外部より入力された所要粒子数に対応した前記イオン源の制御パラメータの値となるよう前記イオン源を制御することを特徴とする粒子加速器システム。
  2. 前記イオン源の制御パラメータは、前記イオン源に備えられた引出電極の引出電圧の印加期間であることを特徴とする請求項1に記載の粒子加速器システム。
  3. 前記加速器制御装置は、該測定時の前記イオン源および前記高周波電力源の制御パラメータの値との関係を較正データテーブルまたは関数により記憶しており、記憶された粒子数と前記イオン源および前記高周波電力源の制御パラメータの値との関係に基づいて、外部より入力された所要粒子数に対応した前記イオン源および高周波電力源の制御パラメータの値となるよう前記イオン源および高周波電力源を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の粒子加速器システム。
  4. 前記加速器制御装置は、当該粒子加速器システムの運転時に、前記出射粒子数測定器により測定された粒子数と、前記外部より入力された所要粒子数とが所定値以上異なる場合、前記較正データテーブルまたは前記関数を、前記測定された粒子数と、当該運転時の前記イオン源の制御パラメータの値とにより修正することを特徴とする請求項1に記載の粒子加速器システム。
  5. 前記加速器制御装置は、当該粒子加速器システムの運転時に、前記出射粒子数測定器により測定された粒子数と、前記外部より入力された所要粒子数とが所定値以上異なる場合、前記較正データテーブルまたは前記関数を、前記測定された粒子数と、当該運転時の前記イオン源および前記高周波電力源の制御パラメータの値とにより修正することを特徴とする請求項3に記載の粒子加速器システム。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の粒子加速器システムと、この粒子加速器システムから出射される粒子線を患者に照射する粒子線照射装置と、前記粒子線を前記粒子加速器システムから前記粒子線照射装置まで輸送するビーム輸送系と、前記加速器制御装置に前記所要粒子数を出力する治療計画装置を備えたことを特徴とする粒子線治療システム。
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