JP2014108990A - 炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、軽量で強度と剛性に優れた炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に関するものである。
【解決手段】 [A]炭素繊維、[B]サイジング剤、[C]ポリプロピレン系樹脂を含む炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物であって、
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂が以下の条件を満たす炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物により達成する。
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂を3:100(質量比)で混合した混合物とする。この混合物の加熱溶融物を流動性評価した際に、スクリューの回転数を維持するためのトルクの値が測定開始から1分以降にピークを持つ。
【選択図】 図1
【解決手段】 [A]炭素繊維、[B]サイジング剤、[C]ポリプロピレン系樹脂を含む炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物であって、
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂が以下の条件を満たす炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物により達成する。
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂を3:100(質量比)で混合した混合物とする。この混合物の加熱溶融物を流動性評価した際に、スクリューの回転数を維持するためのトルクの値が測定開始から1分以降にピークを持つ。
【選択図】 図1
Description
本発明は、軽量で強度と剛性に優れた炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に関する。
炭素繊維とマトリクス樹脂からなる炭素繊維強化複合材料は、軽量で優れた力学特性を有し、スポーツ用品用途、航空宇宙用途および一般産業用途に広く用いられている。従来はマトリクス樹脂としてエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多かったが、近年はリサイクル性・高速成型性の観点から熱可塑性樹脂が注目されている。
熱可塑性樹脂のうち、ポリプロピレン樹脂は、安価で、成形性、耐水性、耐薬品性(耐油性、耐溶剤性)、電気絶縁性などに優れた性質を有する。しかしながら一般的にポリプロピレン樹脂は、分子鎖に極性基を持たず、炭素繊維やガラス繊維との界面接着性が非常に低く、補強材としての機械特性の向上効果が十分に発現しないことが多い。
炭素繊維とポリプロピレン樹脂との接着性を改善する方法としては、マトリクス樹脂にマレイン酸変性ポリプロピレンを用いて、炭素繊維のサイジング剤としてエポキシ系サイジング剤を用いることで、炭素繊維と変性ポリプロピレンを結合させる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
炭素繊維とポリプロピレン樹脂との接着性を改善する方法としては、マトリクス樹脂にマレイン酸変性ポリプロピレンを用いて、炭素繊維のサイジング剤としてエポキシ系サイジング剤を用いることで、炭素繊維と変性ポリプロピレンを結合させる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
これらの方法を用いると、炭素繊維とマトリクス樹脂を接着させることが出来る。しかしながら、炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂を特に連続繊維強化シートの形態で用いる場合、サイジング剤のエポキシとマトリクス樹脂の反応性が過剰であると、マトリクス樹脂の炭素繊維への含浸が阻害され、結果として成形品の機械物性が低下するという問題があった。
本発明は、炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物において、含浸性と接着性を両立させることで、力学特性に優れた成形体を与える組成物を得ることのできるものである。
本発明は、[A]炭素繊維、[B]サイジング剤、[C]ポリプロピレン系樹脂を含む炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物であって、
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂が以下の条件を満たす炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物である。
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂を3:100(質量比)で混合した混合物とする。この混合物を流動性評価した際に、測定開始から1分以降にスクリューの回転数を維持するためのトルクの値がピークとなる。
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂が以下の条件を満たす炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物である。
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂を3:100(質量比)で混合した混合物とする。この混合物を流動性評価した際に、測定開始から1分以降にスクリューの回転数を維持するためのトルクの値がピークとなる。
本発明の条件を満たす炭素繊維、サイジング剤、ポリプロピレン系樹脂の組み合わせを用いることにより、炭素繊維束にポリプロピレン系樹脂が良好に含浸しており、なおかつ炭素繊維束とポリプロピレン系樹脂が良好に接着していることで、高い機械物性を持つ強化ポリプロピレン樹脂組成物を得ることができる。
(炭素繊維)
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に用いることができる炭素繊維は、炭素繊維の分野で公知の炭素繊維束を用いることができ、特に限定されない。通常の炭素繊維束は、平均直径が5μm以上15μm以下の単繊維を、1000本以上60000本以下束ねた形態を有している。この炭素繊維束を構成する単繊維は、例えば、アクリロニトリル系重合体(PAN系重合体)や、石油、石炭から得られるピッチ、レイヨン、リグニン等を繊維化し、炭素化することで得られる。特に、PAN系重合体を原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。なお、PAN系重合体は、分子構造中にアクリロニトリル単位を有していればよく、アクリロニトリルの単独重合体や、アクリロニトリルと他のモノマー(例えば、メタクリル酸等)との共重合体であることができる。共重合体中のアクリロニトリル単位と他のモノマー単位との含有割合は、作製する炭素繊維束の性質に応じて適宜設定することができる。
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に用いることができる炭素繊維は、炭素繊維の分野で公知の炭素繊維束を用いることができ、特に限定されない。通常の炭素繊維束は、平均直径が5μm以上15μm以下の単繊維を、1000本以上60000本以下束ねた形態を有している。この炭素繊維束を構成する単繊維は、例えば、アクリロニトリル系重合体(PAN系重合体)や、石油、石炭から得られるピッチ、レイヨン、リグニン等を繊維化し、炭素化することで得られる。特に、PAN系重合体を原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。なお、PAN系重合体は、分子構造中にアクリロニトリル単位を有していればよく、アクリロニトリルの単独重合体や、アクリロニトリルと他のモノマー(例えば、メタクリル酸等)との共重合体であることができる。共重合体中のアクリロニトリル単位と他のモノマー単位との含有割合は、作製する炭素繊維束の性質に応じて適宜設定することができる。
(サイジング剤)
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に用いることができるサイジング剤としては、エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル、乳化剤あるいは界面活性剤などが挙げられる。また、これらは1種または2種以上を併用してもよい。また、炭素繊維とマトリクス樹脂との接着性の観点から、サイジング剤には、エポキシ基が含まれることが好ましい。
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に用いることができるサイジング剤としては、エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル、乳化剤あるいは界面活性剤などが挙げられる。また、これらは1種または2種以上を併用してもよい。また、炭素繊維とマトリクス樹脂との接着性の観点から、サイジング剤には、エポキシ基が含まれることが好ましい。
エポキシ基を含む物質としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、大日本インキ化学工業(株)製、HP7200(商品名))、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、DPPノボラック型エポキシ樹脂(例えば、三菱化学(株)製、jER(登録商標)157S65(商品名))等が挙げられる。また、グリシジル基の代わりに、脂環式エポキシ基を有するものを用いることもできる。
サイジング剤の炭素繊維に対する付着量は特に限定しないが、強化繊維のみの質量に対して、0.01〜5.00質量%以下が好ましく、0.05〜3.00質量%以下がより好ましく、0.10〜2.00質量%以下付与することがさらに好ましい。0.01質量%未満では接着性向上効果が現れにくく、5.00質量%を越える付着量では、未反応のサイジング剤が樹脂組成物の機械物性に悪影響を与えることがある。
(ポリプロピレン系樹脂)
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に用いることが出来るポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと少なくとも1種のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンなどとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンを構成する単量体繰り返し単位には、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−オクテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のプロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンを構成する単量体繰り返し単位にはブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられ、これらその他の単量体繰り返し単位には、1種類または2種類以上を選択することができる。
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に用いることが出来るポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと少なくとも1種のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンなどとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンを構成する単量体繰り返し単位には、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−オクテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のプロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンを構成する単量体繰り返し単位にはブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられ、これらその他の単量体繰り返し単位には、1種類または2種類以上を選択することができる。
ポリプロピレン系樹脂の骨格構造としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと前記その他の単量体のうちの1種類または2種類以上のランダムあるいはブロック共重合体、または他の熱可塑性単量体との共重合体等を挙げることができる。例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが好適なものとして挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有しても良い。これらの例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。
またポリプロピレン系樹脂は得られる成形品の力学特性を向上させる観点より、変性プロピレン系樹脂であってもよい。変性ポリプロピレン系樹脂としては、重合体鎖に結合したカルボン酸および/またはその塩の基を有してなるプロピレン系樹脂である酸変性ポリプロピレン系樹脂があげられる。上記酸変性ポリプロピレン系樹脂は、種々の方法で得ることができる。例えば、プロピレン系樹脂を加熱溶融し得られた溶融物に不飽和ビニル基を有するカルボン酸および重合開始剤を攪拌下で反応させる方法や、プロピレン系樹脂と不飽和ビニル基を有するカルボン酸と重合開始剤とを混合したものを押出機に供給して加熱混練しながら反応させる方法が挙げられる。酸変性ポリプロピレン系樹脂に含有される酸の量は、赤外吸収スペルトル測定において、840cm−1の吸光度面積に対して1790cm−1 と1710cm−1の吸光度面積の和の比が0.4〜22になる変性量であることが好ましい。この範囲であれば酸変性基による接着性向上の効果を得ながら、樹脂の機械物性が著しく低下することもない。
(樹脂組成物)
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に含まれる炭素繊維の量は、樹脂組成物の機械物性と経済性の観点から、15〜80質量%が好ましい。前述の通り炭素繊維に対するサイジング剤の付着量は0.1〜2質量%がもっとも好ましいので、サイジング剤の含有量は0.02〜2質量%が好ましい。残りがマトリクス樹脂であるポリプロピレン系樹脂であるので、ポリプロピレン系樹脂の好ましい含有量は18〜85質量%である。
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に含まれる炭素繊維の量は、樹脂組成物の機械物性と経済性の観点から、15〜80質量%が好ましい。前述の通り炭素繊維に対するサイジング剤の付着量は0.1〜2質量%がもっとも好ましいので、サイジング剤の含有量は0.02〜2質量%が好ましい。残りがマトリクス樹脂であるポリプロピレン系樹脂であるので、ポリプロピレン系樹脂の好ましい含有量は18〜85質量%である。
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物は、短繊維コンパウンド、長繊維ペレット、ランダムマット、バルクモールディングコンパウンド、一方向強化プリプレグ等の公知の形態で使用することが出来る。炭素繊維の機械的強度を充分に発現させることが出来ることから、本発明の樹脂組成物の形態は、一方向強化・または連続繊維織物のプリプレグである、連続繊維強化プリプレグシートが好ましい。連続繊維強化プリプレグシートは、成形時にテープ状にスリットした形態や、切り込みを入れた形態、テープ状のシートをさらに切断してばら撒いたランダムシートの形態で用いても良い。
(製法)
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物は、炭素繊維束にサイジング剤を付着させた後に、ポリプロピレン系樹脂と組み合わせることで製造することができる。
本発明の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物は、炭素繊維束にサイジング剤を付着させた後に、ポリプロピレン系樹脂と組み合わせることで製造することができる。
炭素繊維束にサイジング剤を付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、サイジング剤を水分散液または溶液(以降、サイジング液と称することがある)にし、炭素繊維束に接触させる方法を好ましく用いることができる。具体的には、このサイジング液にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに炭素繊維束を接触させてサイジング液を付与するタッチロール方式や、炭素繊維束を直接サイジング液中に浸漬させる浸漬方式等を用いることができる。炭素繊維束へのサイジング剤の付与量の調節は、サイジング液中のサイジング剤の濃度調整や絞り量調整によって行うことができる。サイジング液は、工程管理の容易さや安全性などの観点から、水分散液であることがより好ましい。なお、サイジング剤の製造方法は限定されないが、例えば、水分散液として用いる場合は、水中にサイジング剤を添加した状態でこのサイジング剤の融点以上の温度に加熱し、高せん断の条件下で攪拌して、さらに冷却する等の方法が挙げられる。
サイジング剤が付着した炭素繊維束とポリプロピレン系樹脂を組み合わせて強化ポリプロピレン樹脂組成物とする方法としては、ポリプロピレン系樹脂を加熱して溶融させて炭素繊維束に含浸させる方法、粉末にして分散媒に分散させた分散液を炭素繊維束に含浸させた後に分散媒を取り除く方法、溶媒に溶解させた溶液を炭素繊維束に含浸させた後に溶媒を取り除く方法など任意の方法を用いることができる。樹脂組成物の製造コストの観点から、ポリプロピレン系樹脂を加熱溶融させて炭素繊維束に含浸させる方法が好ましい。
(流動性評価)
以上の樹脂組成物において、サイジング剤とポリプロピレン系樹脂を3:100(質量比)で混合した混合物を流動性評価したばあいに、評価開始から1分以降にトルクのピークが見られる材料の組み合わせを用いることで、サイジング剤が付着した炭素繊維束に対するポリプロピレン系樹脂の含浸性と、炭素繊維束とポリプロピレン系樹脂の接着性を両立することができる。
以上の樹脂組成物において、サイジング剤とポリプロピレン系樹脂を3:100(質量比)で混合した混合物を流動性評価したばあいに、評価開始から1分以降にトルクのピークが見られる材料の組み合わせを用いることで、サイジング剤が付着した炭素繊維束に対するポリプロピレン系樹脂の含浸性と、炭素繊維束とポリプロピレン系樹脂の接着性を両立することができる。
本発明においては、流動性評価の方法として、ポリプロピレン系樹脂とサイジング剤を3:100(質量比)で混合した混合物41.2gを、230℃に加熱したラボプラストミル(東洋精機株式会社製)に投入して、100rpmで15分間混練する方法を用いた。混合物投入からの経過時間を横軸に、回転数を維持するために必要なトルクを縦軸にとったグラフを作成して、ピークの有無を確認した。
以下、本発明の炭素繊維束について、より具体的に実施例に基づいて説明するが、これは本発明の内容を限定するものではない。
[製造例1:サイジング液の製造]
ミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:ハイビスディスパーミックス、ホモミキサー仕様:型式3D−5型)を用い、以下の手順で、転相乳化することでサイジング液を調製した。
[製造例1:サイジング液の製造]
ミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:ハイビスディスパーミックス、ホモミキサー仕様:型式3D−5型)を用い、以下の手順で、転相乳化することでサイジング液を調製した。
エポキシ樹脂jER(登録商標)828(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)40質量部、エポキシ樹脂jER(登録商標)1001(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)40質量部、ノニオン系界面活性剤プルロニックF88(商品名、BASF製)20質量部の混合物を、90℃にてプラネタリーミキサーとホモミキサーで混練、混合し、樹脂組成物(II)(サイジング剤)を得た。次に、この樹脂組成物に脱イオン水を少量ずつ滴下して転相点を通過した後、滴下する水量を増加した。最終的に樹脂組成物濃度40質量%のサイジング液を得た。
[製造例2:サイジング液の製造]
ビスフェノールAエチレンオキサイド60モル付加物(松本油脂製薬株式会社製)50質量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド30モル付加物(松本油脂製薬株式会社製)50質量部の混合物を脱イオン水に投入して攪拌し、最終的に樹脂組成物濃度が70質量%のサイジング液を得た。
ビスフェノールAエチレンオキサイド60モル付加物(松本油脂製薬株式会社製)50質量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド30モル付加物(松本油脂製薬株式会社製)50質量部の混合物を脱イオン水に投入して攪拌し、最終的に樹脂組成物濃度が70質量%のサイジング液を得た。
[実施例1]
(流動性評価)
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:モディック(登録商標)P958)40gと、製造例1で製造したサイジング液を80℃で質量変化がなくなるまで加熱して水分を除去した樹脂組成物1.2gとを混合した。得られた混合物を、あらかじめ230℃に加熱したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)に投入し、スクリューを100rpmで回転させて15分間混練した。混練中のスクリューを100rpmに維持するために必要なトルクを縦軸に、混練開始からの時間を横軸にプロットを作成したところ、混練開始から2分後付近でトルクにピークが見られた(図1)。
(流動性評価)
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:モディック(登録商標)P958)40gと、製造例1で製造したサイジング液を80℃で質量変化がなくなるまで加熱して水分を除去した樹脂組成物1.2gとを混合した。得られた混合物を、あらかじめ230℃に加熱したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)に投入し、スクリューを100rpmで回転させて15分間混練した。混練中のスクリューを100rpmに維持するために必要なトルクを縦軸に、混練開始からの時間を横軸にプロットを作成したところ、混練開始から2分後付近でトルクにピークが見られた(図1)。
(酸変性量測定)
前述のマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)を120℃のp−キシレンに攪拌溶解後、冷却後アセトンを加えて析出させ、ろ過して得られた試料から約10μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの赤外吸光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光計(サーモフィッシャーサイエンティフック社製、製品名:Thermo Nicolet iS10)を用いて測定し、840cm−1の吸光度面積に対する1790cm−1 と1710cm−1の吸光度面積の和の比を算出した結果、1.182であった。
前述のマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)を120℃のp−キシレンに攪拌溶解後、冷却後アセトンを加えて析出させ、ろ過して得られた試料から約10μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの赤外吸光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光計(サーモフィッシャーサイエンティフック社製、製品名:Thermo Nicolet iS10)を用いて測定し、840cm−1の吸光度面積に対する1790cm−1 と1710cm−1の吸光度面積の和の比を算出した結果、1.182であった。
(炭素繊維束の製造)
樹脂組成物等が付着していない炭素繊維束(三菱レイヨン社製、商品名:パイロフィル(登録商標)TR 50S15L)を、製造例1のサイジング液を固形分濃度2.0質量%に調製した水分散液に浸漬させ、ニップロールを通過させた後に、表面の温度を140℃とした加熱ロールに10秒間接触させることにより乾燥し、樹脂組成物が付着した炭素繊維束を得た。
樹脂組成物等が付着していない炭素繊維束(三菱レイヨン社製、商品名:パイロフィル(登録商標)TR 50S15L)を、製造例1のサイジング液を固形分濃度2.0質量%に調製した水分散液に浸漬させ、ニップロールを通過させた後に、表面の温度を140℃とした加熱ロールに10秒間接触させることにより乾燥し、樹脂組成物が付着した炭素繊維束を得た。
(サイジング剤含有量の測定)
サイジング剤が付着した炭素繊維束を約2g採取し質量(W1)を測定した。その後、この炭素繊維束を50リットル(1気圧、25℃における体積)/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、商品名:FP410)に15分間静置し、炭素繊維束に付着したサイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル(1気圧、25℃における体積)/分の乾燥窒素気流中の容器に移して、15分間冷却し、得られた炭素繊維束を秤量(W2)して、次式よりサイジング剤が付着した炭素繊維束中のサイジング剤の含有量を求めた。
サイジング剤含有量(質量%)=(W1−W2)/W1×100
サイジング剤が付着した炭素繊維束を約2g採取し質量(W1)を測定した。その後、この炭素繊維束を50リットル(1気圧、25℃における体積)/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、商品名:FP410)に15分間静置し、炭素繊維束に付着したサイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル(1気圧、25℃における体積)/分の乾燥窒素気流中の容器に移して、15分間冷却し、得られた炭素繊維束を秤量(W2)して、次式よりサイジング剤が付着した炭素繊維束中のサイジング剤の含有量を求めた。
サイジング剤含有量(質量%)=(W1−W2)/W1×100
(炭素繊維シート及びプリプレグの作製)
製造した炭素繊維束をドラムワインドにて巻き付け、炭素繊維の目付(FAW:単位面積当たりの質量)が145g/m2の一方向の炭素繊維シートを作製した。なお、PAN系炭素繊維1は、繊維束(トウ)の状態で取り扱い、各繊維束を構成するPAN系炭素繊維1の本数は、15000本であった。
製造した炭素繊維束をドラムワインドにて巻き付け、炭素繊維の目付(FAW:単位面積当たりの質量)が145g/m2の一方向の炭素繊維シートを作製した。なお、PAN系炭素繊維1は、繊維束(トウ)の状態で取り扱い、各繊維束を構成するPAN系炭素繊維1の本数は、15000本であった。
作製した炭素繊維シートに適度に張力を掛け、炭素繊維シートに両面から、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)を40μmの厚みに成形したフィルム、フッ素樹脂製フィルム(日東電工社製、商品名:ニトフロンフィルム970−4UL)、及びアルミ製の平板の順に挟み、前記加熱冷却二段プレスの加熱盤で230〜240℃、5分、20kPa、さらに、冷却盤で5分、20kPaの条件で、炭素繊維が単一方向(UD)に配向している半含浸プリプレグ(連続繊維強化シート)を作製した。ここで、このプリプレグの目付(TAW)は、218g/m2であった。
(一方向炭素繊維複合材料成形板(12ply)の成形)
得られた一方向プリプレグを、長さ(0°方向(炭素繊維の繊維軸方向に対して平行な方向)の長さ)150mm×幅(90°方向(炭素繊維の繊維軸方向に直交する方向)の長さ)150mmにパターンカットした。次いで、パターンカットした一方向プリプレグを、0°方向に揃えて12枚積層(12ply)し、バギングした後、0.7MPaの窒素圧下、図3に示す昇降温度条件でオートクレーブ成形を行い、厚み約2mmの一方向炭素繊維複合材料成形板を得た。
得られた一方向プリプレグを、長さ(0°方向(炭素繊維の繊維軸方向に対して平行な方向)の長さ)150mm×幅(90°方向(炭素繊維の繊維軸方向に直交する方向)の長さ)150mmにパターンカットした。次いで、パターンカットした一方向プリプレグを、0°方向に揃えて12枚積層(12ply)し、バギングした後、0.7MPaの窒素圧下、図3に示す昇降温度条件でオートクレーブ成形を行い、厚み約2mmの一方向炭素繊維複合材料成形板を得た。
(成形板中の炭素繊維・サイジング剤の含有量)
得られた成形板を約5g採取し質量(W1)を測定した。その後、この炭素繊維束を50リットル(1気圧、25℃における体積)/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、商品名:FP410)に2時間静置し、成形板中のプロピレン系樹脂及び炭素繊維束に付着したサイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル(1気圧、25℃における体積)/分の乾燥窒素気流中の容器に移して、15分間冷却し、得られた炭素繊維束を秤量(W2)して、次式より成形板中の炭素繊維の含有量を求めた。
炭素繊維含有量(質量%)=W2/W1×100
求まった炭素繊維含有量と、用いた炭素繊維束に付着しているサイジング剤の量を用いて、成形板中の炭素繊維、サイジング剤、ポリプロピレン系樹脂の含有量を算出した。
得られた成形板を約5g採取し質量(W1)を測定した。その後、この炭素繊維束を50リットル(1気圧、25℃における体積)/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、商品名:FP410)に2時間静置し、成形板中のプロピレン系樹脂及び炭素繊維束に付着したサイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル(1気圧、25℃における体積)/分の乾燥窒素気流中の容器に移して、15分間冷却し、得られた炭素繊維束を秤量(W2)して、次式より成形板中の炭素繊維の含有量を求めた。
炭素繊維含有量(質量%)=W2/W1×100
求まった炭素繊維含有量と、用いた炭素繊維束に付着しているサイジング剤の量を用いて、成形板中の炭素繊維、サイジング剤、ポリプロピレン系樹脂の含有量を算出した。
(断面観察)
得られた成形板の周りをポリエステル樹脂(クルツァー社製、商品名:テクノビット4000)で包埋し、炭素繊維の繊維軸方向に対して垂直な切断面を研磨して測定試料を作製した。この測定試料を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、商品名:VHX−100)を用いて観察した。炭素繊維の間にポリプロピレン樹脂が行き渡っていることが確認された。
得られた成形板の周りをポリエステル樹脂(クルツァー社製、商品名:テクノビット4000)で包埋し、炭素繊維の繊維軸方向に対して垂直な切断面を研磨して測定試料を作製した。この測定試料を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、商品名:VHX−100)を用いて観察した。炭素繊維の間にポリプロピレン樹脂が行き渡っていることが確認された。
(90°曲げ試験)
上記で得られた一方向炭素繊維複合材料成形板を湿式ダイヤモンドカッターにより長さ(90°方向の長さ)60mm×幅(10°方向の長さ)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。万能試験機(Instron社製、商品名:Instron5565)と、解析ソフト(商品名:Bluehill)とを用いて、ASTM D790に準拠(圧子R=5.0、L/D=16)した方法で得られた試験片に対して3点曲げ試験を行い、90°曲げ強度を算出した。結果を表1に示す。
上記で得られた一方向炭素繊維複合材料成形板を湿式ダイヤモンドカッターにより長さ(90°方向の長さ)60mm×幅(10°方向の長さ)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。万能試験機(Instron社製、商品名:Instron5565)と、解析ソフト(商品名:Bluehill)とを用いて、ASTM D790に準拠(圧子R=5.0、L/D=16)した方法で得られた試験片に対して3点曲げ試験を行い、90°曲げ強度を算出した。結果を表1に示す。
(0°曲げ試験)
上記で得られた一方向炭素繊維複合材料成形板を湿式ダイヤモンドカッターにより長さ(0°方向の長さ)120mm×幅(90°方向の長さ)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。万能試験機(Instron社製、商品名:Instron5565)と、解析ソフト(商品名:Bluehill)とを用いて、ASTM D790に準拠(圧子R=5.0、L/D=40)した方法で得られた試験片に対して3点曲げ試験を行い、0°曲げ強度を算出した。結果を表1に示した。
上記で得られた一方向炭素繊維複合材料成形板を湿式ダイヤモンドカッターにより長さ(0°方向の長さ)120mm×幅(90°方向の長さ)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。万能試験機(Instron社製、商品名:Instron5565)と、解析ソフト(商品名:Bluehill)とを用いて、ASTM D790に準拠(圧子R=5.0、L/D=40)した方法で得られた試験片に対して3点曲げ試験を行い、0°曲げ強度を算出した。結果を表1に示した。
[比較例1]
サイジング剤としてソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、製品名:デナコールEX−614B)を用いた以外は、実施例1と同様の評価を実施した。トルク測定結果を図1に、その他の評価結果を表1に示した。また、断面観察の結果、炭素繊維束中に樹脂が存在しないボイドが認められた。これは、EX−614BとP958が過剰に反応したために含浸不良を起こしたものと考えられる。
サイジング剤としてソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、製品名:デナコールEX−614B)を用いた以外は、実施例1と同様の評価を実施した。トルク測定結果を図1に、その他の評価結果を表1に示した。また、断面観察の結果、炭素繊維束中に樹脂が存在しないボイドが認められた。これは、EX−614BとP958が過剰に反応したために含浸不良を起こしたものと考えられる。
[比較例2]
サイジング液として、製造例2で製造したサイジング液を用いた以外は、実施例1と同様の評価を実施した。トルク測定結果を図1に、その他の評価結果を表1に示した。また、断面観察の結果、炭素繊維の間にポリプロピレン樹脂が行き渡っていることが確認された。
サイジング液として、製造例2で製造したサイジング液を用いた以外は、実施例1と同様の評価を実施した。トルク測定結果を図1に、その他の評価結果を表1に示した。また、断面観察の結果、炭素繊維の間にポリプロピレン樹脂が行き渡っていることが確認された。
[比較例3]
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)の代わりに、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名:SA06)を用いた以外は、実施例1と同様の評価を実施した。トルク測定結果を図2に、その他の評価結果を表1に示した。また、断面観察の結果、炭素繊維の間にポリプロピレン樹脂が行き渡っていることが確認された。
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)の代わりに、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名:SA06)を用いた以外は、実施例1と同様の評価を実施した。トルク測定結果を図2に、その他の評価結果を表1に示した。また、断面観察の結果、炭素繊維の間にポリプロピレン樹脂が行き渡っていることが確認された。
[比較例4]
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)を40g、あらかじめ230℃に加熱したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)に投入し、スクリューを100rpmで回転させて15分間混練した。混練中のスクリューを100rpmに維持するために必要なトルクを縦軸に、混練開始からの時間を横軸にプロットを作成したところ、トルクにピークは見られなかった(図1)。
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)を40g、あらかじめ230℃に加熱したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)に投入し、スクリューを100rpmで回転させて15分間混練した。混練中のスクリューを100rpmに維持するために必要なトルクを縦軸に、混練開始からの時間を横軸にプロットを作成したところ、トルクにピークは見られなかった(図1)。
[比較例5]
比較例4で用いたマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)の代わりにポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名:SA06)を用いて比較例4と同様の測定を実施したところ、トルクにピークは見られなかった。(図2)
比較例4で用いたマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)の代わりにポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名:SA06)を用いて比較例4と同様の測定を実施したところ、トルクにピークは見られなかった。(図2)
以上の結果より、比較例2、及び比較例3はポリプロピレン樹脂のみを流動性評価した場合(比較例4、5)と同様のトルクカーブを示しており、これはサイジング剤とポリプロピレン系樹脂が反応していないことを示唆している。従って、成形板の曲げ強度も発現していない。
一方、比較例1はラボプラストミルのトルクが大きく上昇しており、これはサイジング剤に含まれるEX−614Bとポリプロピレン樹脂(モディック(登録商標)P958)が反応したことを示唆している。しかしながら、反応性が過剰であったためにポリプロピレン樹脂の炭素繊維束への含浸が不十分となり、成形板の曲げ強度を発現していない。
実施例1においてはラボプラストミルのトルクがピークを持っている。ポリプロピレン樹脂が炭素繊維束へ含浸していく過程では過度な反応性を示さず、含浸した後にサイジング剤とポリプロピレン樹脂が反応し、含浸性と接着性を両立することで、成形板は良好な曲げ強度を発現している。
Claims (5)
- [A]炭素繊維、[B]サイジング剤、[C]ポリプロピレン系樹脂を含む炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物であって、
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂が以下の条件を満たす炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物。
前記[B]サイジング剤と前記[C]ポリプロピレン系樹脂を3:100(質量比)で混合した混合物とする。この混合物の加熱溶融物を流動性評価した際に、スクリューの回転数を維持するためのトルクの値が測定開始から1分以降にピークを持つ。 - 前記炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物に含まれる[A]炭素繊維が15〜80質量%、[B]サイジング剤が0.02〜2質量%、[C]ポリプロピレン系樹脂が18〜85質量%である請求項1に記載の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物。
- 前記[C]ポリプロピレン系樹脂が、赤外吸収スペクトル測定において、840cm−1の吸光度面積に対して、1790cm−1 の吸光度面積と1710cm−1の吸光度面積の和、との比が0.4〜22.0となる酸変性量をもつマレイン酸変性、または無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂のいずれかを含有する請求項1または2に記載の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物。
- 前記[B]サイジング剤がエポキシ基を含む化合物を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物。
- 前記〔A〕炭素繊維が、一方向に引きそろえられたシート状炭素繊維である請求項1〜4に記載の炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物。
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-
2012
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