JP7270437B2 - プリプレグおよび成型体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリプレグおよび成型体の製造方法に関するものである。
近年、炭素繊維強化樹脂(以下、CFRPと略することがある)を形成材料とする成型体が提案されている。CFRPは、金属材料と比べ軽量でありながら機械的強度が高い。そのため、CFRP製の成型体は、例えば、金属代替部品として採用されている。
CFRPを用いた成型体は、半硬化させた硬化型樹脂と強化繊維である炭素繊維とを有するプリプレグを成形し、硬化型樹脂を硬化させることによって得られる。CFRPのプリプレグは、例えば、炭素繊維の織布に硬化型樹脂の溶液を含浸させ、次いで、溶液から溶媒を除去し、さらに硬化型樹脂を半硬化させることによって製造されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平01-272416号公報
上述の特許文献1に記載の方法においては、硬化型樹脂を炭素繊維に含浸させた際、得られたプリプレグの内部を詳細に観察すると、硬化型樹脂が十分に含浸できず空隙が形成されていることがある。このような空隙を有するプリプレグを用いて成型体を製造した場合、成型体の強度が低下するおそれがある。また、空隙がプリプレグ表面に露出すると、成型体表面に微小な凹部が残存することとなり、外観不良の原因となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、炭素繊維強化樹脂を形成材料とし機械的強度および外観が良好な成型体を製造可能とするプリプレグを提供することを目的とする。また、このようなプリプレグを用い、高品質な成型体を容易に製造可能とする成型体の製造方法を提供することを併せて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下のプリプレグを提供する。
[1]複数の炭素繊維を含む炭素繊維層と前記複数の炭素繊維の隙間に含浸したマトリクス樹脂と、を含み、前記マトリクス樹脂は、変性ポリオレフィン樹脂とエポキシ系化合物とを有し、前記炭素繊維は、サイジング剤で処理された連続繊維であり、下記方法で求めた未含浸率が5%以下であるプリプレグ。
(未含浸率)
プリプレグに含まれる炭素繊維の繊維方向と直交するプリプレグの断面において、露出する樹脂部分の面積をSp、隙間部分の面積をSvとしたとき、下記式(1)で求められる値の5視野分の平均値を未含浸率とする。
隙間の割合(%)=(Sv/(Sv+Sp))×100 …(1)
[2]前記マトリクス樹脂は、前記変性ポリオレフィン樹脂を前記マトリクス樹脂の全量に対して10質量%以上99.5質量%以下含み、前記エポキシ系化合物を前記マトリクス樹脂の全量に対して0.5質量%以上10質量%以下含み、前記変性ポリオレフィン樹脂の融点が70℃以上120℃以下であり、膜厚が10μm以上200μm以下であるシート状を呈する[1]に記載のプリプレグとしてもよい。
[3]測定温度180℃における前記変性ポリオレフィン樹脂の溶融粘度が、1000以上20000以下である[1]または[2]に記載のプリプレグとしてもよい。
[4]前記変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂である[1]から[3]のいずれか1項に記載のプリプレグとしてもよい。
[5]前記酸変性ポリオレフィン樹脂における酸置換基による変性率は、0.5質量%以上2.5質量%以下である[4]に記載のプリプレグとしてもよい。
[6]前記エポキシ系化合物の分子量が、300以上50000以下である[1]から[5]のいずれか1項に記載のプリプレグとしてもよい。
[7]前記エポキシ系化合物が、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種のエポキシ樹脂である[1]から[6]のいずれか1項に記載のプリプレグとしてもよい。
[8]前記エポキシ系化合物が、ビスフェノールA型骨格またはビスフェノールF型骨格を含む[1]から[7]のいずれか1項に記載のプリプレグとしてもよい。
また、本発明の一態様は、以下の成型体の製造方法を提供する。
[9][1]から[8]のいずれか1項に記載のプリプレグを、スタンパブル成形する工程を有する成型体の製造方法を提供する。
本発明によれば、炭素繊維強化樹脂を形成材料とし機械的強度および外観が良好な成型体を製造可能とするプリプレグを提供することができる。また、このようなプリプレグを用い、高品質な成型体を容易に製造可能とする成型体の製造方法を提供することができる。
プリプレグを示す概略断面図である。 プリプレグの製造工程を説明する説明図である。 プリプレグの製造工程を説明する説明図である。
以下、図1~図3を参照しながら、本実施形態に係るプリプレグおよび成型体の製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1は、本実施形態のプリプレグを示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態のプリプレグ1は、マトリクス樹脂10と、炭素繊維層20と、を含む。
(マトリクス樹脂)
マトリクス樹脂10は、変性ポリオレフィン樹脂からなる主剤と、主剤を架橋させる架橋剤として機能するエポキシ系化合物とを含む。
マトリクス樹脂10中において、主剤の一部と、架橋剤の一部とが反応していてもよい。マトリクス樹脂10は、主剤が架橋剤により架橋されてなる架橋樹脂を含んでもよい。
このようなマトリクス樹脂10は、熱可塑性を有する。また、主剤と架橋剤とが反応することにより一部硬化する。
マトリクス樹脂10の主剤となる変性ポリオレフィン樹脂は、熱可塑性を有する。変性ポリオレフィン樹脂としては、酸変性ポリオレフィン樹脂、ヒドロキシ変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、エポキシ系化合物が有するエポキシ基との反応性の観点から、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の製造方法としては、未変性ポリオレフィン樹脂を酸官能基含有モノマーとを溶融混練によりグラフト変性する方法、オレフィンモノマーと酸官能基含有モノマーとを共重合させる方法等が挙げられる。マトリクス樹脂10の主剤としては、グラフト変性による酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。グラフト変性は、有機過酸化物や脂肪族アゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の構成において、酸官能基含有モノマーと共重合する場合のオレフィンモノマー、又は未変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ヘキセン、1-オクテン、α-オレフィン等の1種又は2種以上が挙げられる。
グラフト変性される前の未変性ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、プロピレンと1-ブテンとの共重合体、プロピレンとエチレン又はα-オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレン又はα-オレフィンとのブロック共重合体等の1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン、プロピレン-エチレンのブロック共重合体、プロピレン-エチレンのランダム共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーが1-ブテンを含有することにより、マトリクス樹脂10が加熱された際の分子運動が促進される。主剤と架橋剤とが相互に反応し得る官能基を有する場合、主剤と架橋剤との官能基同士が接触する機会が増える結果、マトリクス樹脂10の耐久性、被着体への密着性がより向上する。
酸官能基含有モノマーとしては、エチレン性二重結合と、酸基又は酸無水物基とを同一分子内に持つ化合物である。酸官能基となる酸基又は酸無水物基としては、カルボン酸基(-COOH)又はカルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)が挙げられる。カルボン酸基又はカルボン酸無水物基を有するモノマーとしては、不飽和のモノカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物等の1種又は2種以上が挙げられる。
1種又は2種以上の酸変性ポリオレフィン樹脂において、同一の酸官能基含有モノマーが用いられてもよく、異なる2種以上の酸官能基含有モノマーが用いられてもよい。
不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のα,β-不飽和カルボン酸モノマーの1種又は2種以上が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸)、エンド-ビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸(エンディック酸)等の1種又は2種以上が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ナジック酸、無水エンディック酸などの1種又は2種以上が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、架橋剤に含まれるエポキシ基との反応性が高いことから、酸無水物基を有する酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましく、カルボン酸無水物基を有する酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましく、特に、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。なかでも、接着性、及び適度な融点の観点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂が、未反応の酸官能基含有モノマーを含有する場合は、接着力が低下するおそれがある。このため、マトリクス樹脂10の主剤としては、未反応の酸官能基含有モノマーを含まない酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。未反応の酸官能基含有モノマーを除去した酸変性ポリオレフィン樹脂を主剤としてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂において、未変性ポリオレフィン樹脂又はオレフィンモノマーに由来する部分の割合は、酸変性ポリオレフィン樹脂の全量100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィンにおける酸置換基による変性率は、0.5質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。ここで言う「酸置換基による変性率」とは、グラフト変性率のことを指し、下記方法でグラフト変性率を測定して求められた値を指す。
(測定方法)
無水マレイン酸のペレット状のサンプルを熱プレスにより厚さ約100μmのフィルムを作成し、赤外線吸収スペクトルにおいて1780cm-1に現れる吸収ピークと、別途求めた検量線とからマレイン酸の含有率(質量%)を検量し、得られた値を全無水マレイン酸の含有率(質量%)とする。得られた値をAとする。
沸騰させたキシレンにペレット状の測定試料を溶解させた後、得られた溶液から測定試料をメタノールに再沈殿させる。その後、沈殿物を80℃で6時間真空乾燥させ、粉末状のサンプルを得る。
得られたサンプルに含まれる無水マレイン酸の含有率を、上記と同様の方法で検量し、得られた値をサンプル中のポリオレフィンにグラフトした無水マレイン酸の含有率(質量%)とする。得られた値をBとする。
グラフト変性した無水マレイン酸の含有率(B)を、全無水マレイン酸の含有率(A)で除し、得られた値を百分率で表した値((B/A)×100)を、測定試料における無水マレイン酸のグラフト変性率とする。得られたマレイン酸のグラフト変性率を、酸置換基による変性率とする。
変性ポリオレフィン樹脂の測定温度180℃における溶融粘度は、1000Pa・s以上20000Pa・s以下であることが好ましく、5000Pa・s以上20000Pa・s以下であることがより好ましい。溶融粘度の上限値および下限値は任意に組み合わせることができる。
本明細書において溶融粘度は、JIS K7199に準拠する方法で測定した値を指す。具体的には、レオメーター(AntonPaar社製、装置名:physicaMCR301)を用い、測定温度180℃、ひずみ振幅3%、1Hzの周波数で測定を行った際の値を指す。
変性ポリオレフィン樹脂の融点は60℃以上130℃以下が好ましい。この融点は、70℃以上120℃以下が好ましく、75℃以上110℃以下がより好ましく、80℃以上100℃以下がさらに好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、例えば10000~800000であり、50000~650000が好ましく、80000~550000がより好ましく、100000~450000がさらに好ましい。
次に、マトリクス樹脂10の架橋剤について説明する。架橋剤となるエポキシ系化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。フェノキシ樹脂は、一般にはポリヒドロキシポリエーテル樹脂とされているが、原料に由来するエポキシ基を有する場合には、架橋剤のエポキシ系化合物として用いることができる。
エポキシ系化合物としては、フェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種が好ましく、フェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
また、エポキシ系化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂も好ましい。ここで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。同様に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールF骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノール化合物を基本構造とし、その構造の一部にエポキシ基が導入された化合物である。ビスフェノール化合物はフェノール性水酸基を2個有するため、ビスフェノール型エポキシ樹脂は、通常、ビスフェノール骨格を有する二官能エポキシ樹脂となる。
本明細書において、フェノールノボラック型エポキシ樹脂とは、フェノールノボラック樹脂を基本構造とし、その構造の一部にエポキシ基が導入された化合物である。フェノールノボラック樹脂は、一般には、単に「ノボラック」ともいい、フェノール類化合物とホルムアルデヒドとを縮合して得られる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂における1分子あたりのエポキシ基導入量は特に限定されるものではないが、エピクロルヒドリン等のエポキシ基原料とフェノールノボラック樹脂とを反応させることにより、フェノールノボラック樹脂中に多数存在するフェノール性水酸基に多数のエポキシ基が導入されるため、通常は多官能エポキシ樹脂となる。
フェノールノボラック樹脂を構成するフェノール類化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物であればよく、水酸基以外に活性水素を有しない化合物が好ましい。フェノール類化合物の具体例として、フェノール(ヒドロキシベンゼン)、クレゾール、ナフトール等のモノフェノール化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物などが挙げられる。ビスフェノール化合物を用いて構成されたフェノールノボラック樹脂及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格を有する。
架橋剤となるエポキシ系化合物として、ビスフェノール骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ系化合物のエポキシ当量は、100~300が好ましく、200~300がより好ましい。エポキシ当量(g/eq)は、エポキシ基1個あたりのエポキシ系化合物の分子量に相当し、この値が小さいほどエポキシ系化合物中のエポキシ基が多いことを意味する。エポキシ当量の比較的小さいエポキシ系化合物を架橋剤とすることにより、エポキシ系化合物の添加量が比較的少量でも、主剤の酸変性ポリオレフィン樹脂が十分に架橋される。
エポキシ系化合物の分子量は、300以上50000以下であることが好ましく、10000以下が好ましい。エポキシ化合物の分子量が50000以下であると、主剤中でエポキシ化合物が拡散しやすく移動しやすい。そのため、エポキシ系化合物の分子量が上記上限値以下であると、エポキシ官能基と、主剤の置換基や繊維の表面の置換基との反応確率が上がり、炭素繊維強化樹脂成型体とした際の強度が向上する。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の具体例として、三菱化学株式会社製のjER(登録商標)154、jER(登録商標)157S70、jER(登録商標)157S65;DIC株式会社製のEPICLON(登録商標)N-730A、EPICLON(登録商標)N-740、EPICLON(登録商標)N-770、EPICLON(登録商標)N-775(以上、いずれも商品名)等の市販品を用いることもできる。
マトリクス樹脂10を構成する樹脂組成物は、主剤及び架橋剤からなる接着性樹脂に加えて、所望により混和性のある添加剤、付加的な樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤等を適宜含有することができる。
マトリクス樹脂10中の樹脂組成物の全量を100質量部として、変性ポリオレフィン樹脂を10質量%以上99.5質量%以下含み、エポキシ系化合物を樹脂組成物の全量に対して0.5質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。
架橋剤の割合が多すぎる場合、適切な接着条件の設定が困難になるおそれがある。架橋剤が含まれない場合、酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋されず、マトリクス樹脂が硬化しない。
(炭素繊維)
炭素繊維層20は、複数の炭素繊維29からなる。炭素繊維は、実質的に炭素元素だけからなる繊維状の炭素材料の総称である。本実施形態のプリプレグの製造方法において、炭素繊維29としては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維など通常知られた炭素繊維を用いることができる。
本実施形態において用いる炭素繊維29は、連続繊維である。炭素繊維層20は、一方向に連続する炭素繊維29の束であってもよい。このような炭素繊維29は、単繊維であってもよく、撚り糸であってもよい。ここで「連続繊維」とは、プリプレグの全長にわたって連続する繊維の束であることを意味する。
また炭素繊維層20は、連続繊維である炭素繊維29を用いて形成した織物、または編物であってもよい。織物は、平織、綾織(斜文織)、繻子織など通常知られた織り方を採用することができる。
炭素繊維層20は、炭素繊維29としてPAN系炭素繊維を用いた織物が好ましい。
炭素繊維29は、表面がサイジング剤で処理されている。マトリクス樹脂10と炭素繊維29との複合材料とした際に、サイジング剤が炭素繊維29の表面を覆っていることで、サイジング剤の置換基とマトリクス樹脂10の置換基とが相互作用し、マトリクス樹脂10と炭素繊維29の密着強度が上がると考えられる。その結果、得られるプリプレグ1の強度が向上すると考えられる。
本実施形態のプリプレグ1においては、炭素繊維29を処理するサイジング剤は、エポキシ基を含有することが好ましい。プリプレグ1のマトリクス樹脂10がエポキシ樹脂を含むため、サイジング剤がエポキシ基を含有すると、マトリクス樹脂10と炭素繊維29とが相互作用し、マトリクス樹脂10と炭素繊維29とが強固に接着することが期待できる。また、サイジング剤とマトリクス樹脂10、とりわけエポキシ樹脂との相互作用、およびサイジング剤とマトリクス樹脂10とが反応することにより、プリプレグ1を硬化させて得られる成型体の物性が向上する。
サイジング剤として用いられるエポキシ化合物の具体例としては、ポリオールから誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ化合物、複数活性水素を有するアミンから誘導されるグリシジルアミン型エポキシ化合物、ポリカルボン酸から誘導されるグリシジルエステル型エポキシ化合物、および分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ化合物などが挙げられる。
プリプレグ1においては、炭素繊維層20を構成する複数の炭素繊維29の隙間20aに、上述のマトリクス樹脂10が含浸している。
炭素繊維層20の厚さは、10~1000μmが好ましく、100~500μmがより好ましい。また、シート状の強化繊維基材の目付は、5~3000g/mが好ましい。
プリプレグの厚さは50~500μmであることが好ましく、60~300μmであることが更に好ましい。
マトリクス樹脂10を炭素繊維29の隙間20aに含浸させる際、マトリクス樹脂10が十分に含浸できず隙間が形成されることがある。本明細書においては、このような隙間について、下記定義による「未含浸率(%)」によって定量する。
(未含浸率)
プリプレグに含まれる炭素繊維の繊維方向と直交するプリプレグの断面において、露出する樹脂部分の面積をSp、隙間部分の面積をSvとしたとき、下記式(1)で求められる値の5視野分の平均値を未含浸率とする。
隙間の割合(%)=(Sv/(Sv+Sp))×100 …(1)
未含浸率の測定方法について、詳細を説明する。
まず、プリプレグ1について、プリプレグ1に含まれる炭素繊維29の繊維方向と直交する面における断面を形成する。形成する断面には、マトリクス樹脂10と炭素繊維29との両方が存在している。また、このような断面においては、炭素繊維29の断面が略円形に現れる。
得られた断面について、100μm×100μmの範囲について、電子顕微鏡(キーエンス社デジタルマイクロスコープVHX)を用いて、倍率20倍に拡大し、撮像する。
得られた電子顕微鏡写真について、略円形に見える炭素繊維29の部分を画像処理で除く。残部は、マトリクス樹脂10の部分、およびマトリクス樹脂10が十分に含浸できずに形成された隙間部分である。
上記残部について、画像処理を用いて画面上の一番明るい部分を100、一番暗い部分を0とした処理を行ったうえで、任意の点から0.5μm相当の移動をした際に、明度が当該任意の点から3倍以上暗くなっている点の集合を検出する。このような点の集合体が描く図形の部分を隙間部分とする。残部から隙間部分を除いた部分が樹脂部分である。
求められる隙間部分と樹脂部分とにおいて、上記式(1)に基づいて隙間の割合を求める。
プリプレグの断面について、5つの視野で同様に隙間の割合を求め、求めた隙間の割合の算術平均値を未含浸率(%)とする。
本実施形態のプリプレグ1は、上記定義による未含浸率が5%以下である。未含浸率は、3%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。未含浸率が5%以下である本実施形態のプリプレグ1は、成型体を製造したときに機械的強度および外観が良好な成型体を製造可能となる。
(プリプレグの製造方法)
図2、3は、プリプレグの製造工程を説明する説明図である。
まず、図2に示すように、炭素繊維シート21を一対の樹脂フィルム11で挟持し、加圧して貼り合わせる。
(樹脂フィルム)
樹脂フィルム11は、上述のマトリクス樹脂10と同じ材料を形成材料とする。一対の樹脂フィルムとは、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。ここで、樹脂フィルム11が「同じ」とは、樹脂フィルムの組成及び膜厚が同じであることを指す。樹脂フィルム11が「異なる」とは、樹脂フィルムの組成及び膜厚の少なくとも一方が異なることを指す。ここでは、一対の樹脂フィルム11が同じであることとして説明する。
樹脂フィルム11を形成する方法としては、主剤と架橋剤を含む塗工液を製造し、基材フィルム上に塗工液を塗布、乾燥する方法が挙げられる。
樹脂フィルム11の乾燥後の膜厚は、10μm以上200μm以下であることが好ましい。樹脂フィルム11の膜厚は、20μm以上150μm以下が好ましく、30μm以上100μm以下がより好ましく、40μm以上80μm以下がさらに好ましい。
塗工液としては、主剤と架橋剤を溶媒に溶解した塗工液が好ましい。溶媒としては、主剤及び架橋剤の溶解性に加えて、塗布後の乾燥性に優れる有機溶媒が好ましい。溶媒の沸点は、例えば150℃以下が好ましい。
溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、シメン、メシチレン等の芳香族溶媒;
n-ヘキサン等の脂肪族溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン系溶剤;
乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル系溶剤;
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどのアルコール系溶剤等の1種又は2種以上が挙げられる。
塗工液に用いられる溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせた混合溶剤でもよい。混合溶媒の場合は、主剤を良好に溶解する有機溶剤と、架橋剤を良好に溶解する有機溶剤とを組み合わせて用いることも好ましい。このような組み合わせとしては、主剤を良好に溶解するトルエンと、架橋剤を良好に溶解するメチルエチルケトンとの組み合わせが好ましい。混合溶剤を用いた塗工液の製造方法は、混合溶媒に主剤及び架橋剤を溶解させてもよく、主剤の溶液と架橋剤の溶液とを混合させてもよい。
混合溶媒における混合割合は特に限定されないが、例えばトルエンとメチルエチルケトンとを組み合わせる場合、質量比で60~95:5~40が好ましく、70~90:10~30がより好ましい。
また、樹脂フィルム11は、公知のシートダイやTダイを用いた溶融押出によって製造することとしてもよい。このような方法では、上述した塗工液を塗布乾燥させて製造する方法と比べて、製造する樹脂フィルム11を厚くしやすい。
測定温度150℃における樹脂フィルム11の粘弾性率の測定値E(150℃)は、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることが好ましい。樹脂フィルム11の貯蔵弾性率E’のチャートは、低温領域のガラス状態から、温度上昇に伴って、測定値E’が徐々に低下する転移領域を経て、凡そ平衡な値となる平衡領域に至るチャートを示すものが好ましい。
E(150℃)の値は、樹脂フィルム11を構成する変性ポリオレフィン樹脂の変性量や、架橋剤の添加量により調整することができる。
樹脂フィルム11の粘弾性率の測定値E(150℃)は、例えば、公知の動的粘弾性測定装置を用いて150℃で貯蔵弾性率を測定することにより評価することができる。動的粘弾性測定装置としては、TA Instrument社の動的粘弾性測定装置「RSA-3」(商品名)等を用いることができる。貯蔵弾性率を測定する際の振動周波数は、例えば1Hzである。
樹脂フィルム11は、例えば、形成材料である樹脂組成物において、変性ポリオレフィン樹脂を樹脂組成物の全量に対して10質量%以上99.5質量%以下含み、エポキシ系化合物を樹脂組成物の全量に対して0.5質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。この場合、樹脂フィルム11に含まれる変性ポリオレフィン樹脂の融点が70℃以上120℃以下であることが好ましい。また、樹脂フィルム11の膜厚が、10μm以上200μm以下であることが好ましい。
(炭素繊維シート)
炭素繊維シート21は、上述した炭素繊維がシート状に成型された成型体である。炭素繊維シート21としては、例えば、上述の炭素繊維層20と同じ形状の織物を挙げることができる。
樹脂フィルム11は、炭素繊維シート21に圧着され、樹脂フィルム11、炭素繊維シート21、樹脂フィルム11からなる積層体1Bが得られる。
次いで、図3に示すように、樹脂フィルム11の軟化点以上、樹脂フィルム11が含有する架橋剤の反応開始温度未満の温度範囲に樹脂フィルム11を加熱して溶融させる。さらに、溶融した樹脂フィルム11を炭素繊維シート21に向けて加圧する。
これにより、積層体1Bでは、溶融した樹脂フィルム11が、炭素繊維シート21を構成する複数の炭素繊維29の隙間20aに浸入する。これにより、プリプレグ1が生成する。
得られたプリプレグ1は、加圧後に冷却してもよい。溶融するまで加熱された樹脂フィルム11では、加熱により樹脂フィルム11に含まれる架橋剤が意図せず架橋反応し、硬化が進行することがある。プリプレグ1を冷却することにより、上述のような意図しない架橋反応を抑制または停止させることができる。
(成型体の製造方法)
得られたプリプレグ1は、スタンパブルシートとして用いられる。プリプレグ1は、加熱して成型することで、成型体を製造することができる。詳しくは、プリプレグ1を1枚のみ、または複数枚を積層させた積層体を、加熱して軟化させ、軟化したプリプレグ1を金型で押さえて成形する、いわゆるスタンパブル成形を行うことで成型体を製造することができる。
また、プリプレグ1は、マトリクス樹脂10が含有する架橋剤の反応開始温度以上の温度に加熱されることにより、架橋反応が進行して硬化する。これにより、目的とする成型体が得られる。
以上のような構成のプリプレグによれば、炭素繊維強化樹脂を形成材料とし、機械的強度および外観が良好な成型体を製造可能となる。
また、以上のような成型体の製造方法によれば、高品質な成型体を容易に製造可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(溶融粘度の測定方法)
溶融粘度は、JIS K7199に準拠した方法で測定した値を指す。具体的には、レオメーター(AntonPaar社製、装置名:physicaMCR301)を用い、測定温度180℃、ひずみ振幅3%、1Hzの周波数で測定を行った際の値を指す。
(酸変性率の測定方法)
無水マレイン酸のペレット状のサンプルを熱プレスにより厚さ約100μmのフィルムを作成し、赤外線吸収スペクトルにおいて1780cm-1に現れる吸収ピークと、別途求めた検量線とからマレイン酸の含有率(質量%)を検量し、得られた値を全無水マレイン酸の含有率(質量%)とした。得られた値をAとした。
沸騰させたキシレンにペレット状の測定試料を溶解させた後、得られた溶液から測定試料をメタノールに再沈殿させた。その後、沈殿物を80℃で6時間真空乾燥させ、粉末状のサンプルを得た。
得られたサンプルに含まれる無水マレイン酸の含有率を、上記と同様の方法で検量し、得られた値をサンプル中のポリオレフィンにグラフトした無水マレイン酸の含有率(質量%)とした。得られた値をBとした。
グラフト変性した無水マレイン酸の含有率(B)を、全無水マレイン酸の含有率(A)で除し、得られた値を百分率で表した値((B/A)×100)を、測定試料における無水マレイン酸のグラフト変性率とした。得られたマレイン酸のグラフト変性率を、酸置換基による変性率とした。
表1に示す構成により、樹脂フィルムを製造した。具体的には、主剤である無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂と架橋剤とのトルエン溶液を、離型処理の施してあるPET基材フィルム上にバーコートにより塗布し、乾燥させて樹脂フィルムを得た。樹脂フィルムの膜厚はいずれも48μmとした。
得られた樹脂フィルム2枚で、表1に示す炭素繊維シートを挟持し、180℃、30cm角あたり0.5t(500kg)の荷重をかける条件で1分間加熱加圧することで、プリプレグを製造した。
得られた各プリプレグについて、次の方法で含浸率を測定した。
(未含浸率の測定)
まず、プリプレグについて、プリプレグに含まれる炭素繊維の繊維方向と直交する面における断面を形成した。形成する断面には、マトリクス樹脂と炭素繊維との両方が存在していた。また、このような断面においては、炭素繊維の断面が略円形に現れた。
得られた断面について、100μm×100μmの範囲について、電子顕微鏡(キーエンス社デジタルマイクロスコープVHX)を用いて、倍率20倍に拡大し、撮像した。
得られた電子顕微鏡写真について、略円形に見える炭素繊維の部分を画像処理で除いた。残部は、マトリクス樹脂の部分、およびマトリクス樹脂が十分に含浸できずに形成された隙間部分である。
上記残部について、画像処理を用いて画面上の一番明るい部分を100、一番暗い部分を0とした処理を行ったうえで、任意の点から0.5μm相当の移動をした際に、明度が当該任意の点から3倍以上暗くなっている点の集合を検出した。このような点の集合体が描く図形の部分を隙間部分とした。残部から隙間部分を除いた部分が樹脂部分である。
求められる隙間部分と樹脂部分とにおいて、樹脂部分の面積をSp、隙間部分の面積をSvとしたとき、下記式(1)に基づいて隙間の割合を求めた。
隙間の割合(%)=(Sv/(Sv+Sp))×100 …(1)
プリプレグの断面について、5つの視野で同様に隙間の割合を求め、求めた隙間の割合の算術平均値を未含浸率(%)とした。
Figure 0007270437000001
表1に示す各材料は、それぞれ以下の通りである。
架橋剤1:「jER157S70」(商品名、三菱化学社製)(ビスフェノールA構造を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂;粘度=80;エポキシ当量=210)
架橋剤2:「jER154」(商品名、三菱化学社製)(フェノールノボラック型エポキシ樹脂;粘度=80;エポキシ当量=180)
CF1:炭素繊維の平織物(商品名:トレカクロスCO-6363、東レ株式会社製)
サイジング剤1:脂肪族エポキシ化合物“デナコール(登録商標)”EX―411(ナガセケムテックス(株)製:ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル)
サイジング剤2:芳香族エポキシ化合物“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製:ビスフェノールA型グリシジルエーテル)
得られたプリプレグから得られた成型体について、次の基準で外観を評価した。
(外観評価)
得られたプリプレグから210mm角に切り出した。切り出した試験片を積層して300mm角の平板成形用金型の中央に置き、140℃、10MPaの条件で5分間加熱、加圧することで、300mm角厚さ約4mmの圧縮成形板を得た。
この圧縮成形板について、目視にて、成形板表面状態を確認し、以下の基準に基づいて評価を行った。
「◎」:成形板の全面にわたり表面が滑らかであった。
「〇」:成形板の表面がおおむね滑らかであった。
「△」:成形板の表面がわずかにざらざらとしていた。
「×」:成形板の表面がざらざらとしていた。
「××」:成形板の表面状態が非常にざらざらとしていた。
評価結果を表2に示す。
Figure 0007270437000002
評価の結果、実施例のプリプレグは、比較例のプリプレグに比べて外観に優れていることが分かった。また、実施例のプリプレグを使って製造した成形体は、いずれも比較例にあるプリプレグを使って製造した成形体よりも、引張強度、3点曲げ試験における強度が強く、良好であった。
1…プリプレグ、10…マトリクス樹脂、11…樹脂フィルム、20…炭素繊維層、20a…隙間、21…炭素繊維シート、29…炭素繊維

Claims (10)

  1. 複数の炭素繊維を含む炭素繊維層と
    前記複数の炭素繊維の隙間に含浸したマトリクス樹脂と、を含み、
    前記マトリクス樹脂は、変性ポリオレフィン樹脂とエポキシ系化合物とを有し、
    前記炭素繊維は、サイジング剤で処理された連続繊維であり、
    前記サイジング剤と前記エポキシ系化合物とは、互いに異なる物質であり、
    下記方法で求めた未含浸率が5%以下であるプリプレグ。
    (未含浸率)
    プリプレグに含まれる炭素繊維の繊維方向と直交するプリプレグの断面において、露出する樹脂部分の面積をSp、隙間部分の面積をSvとしたとき、下記式(1)で求められる値の5視野分の平均値を未含浸率とする。
    隙間の割合(%)=(Sv/(Sv+Sp))×100 …(1)
  2. 前記エポキシ系化合物は、前記マトリクス樹脂の全体に存在している請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記マトリクス樹脂は、前記変性ポリオレフィン樹脂を前記マトリクス樹脂の全量に対して10質量%以上99.5質量%以下含み、
    前記エポキシ系化合物を前記マトリクス樹脂の全量に対して0.5質量%以上10質量%以下含み、
    前記変性ポリオレフィン樹脂の融点が70℃以上120℃以下であり、
    膜厚が10μm以上200μm以下であるシート状を呈する請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  4. 測定温度180℃における前記変性ポリオレフィン樹脂の溶融粘度が、1000以上20000以下である請求項1から3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 前記変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂である請求項1からのいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 前記酸変性ポリオレフィン樹脂における酸置換基による変性率は、0.5質量%以上2.5質量%以下である請求項に記載のプリプレグ。
  7. 前記エポキシ系化合物の分子量が、300以上50000以下である請求項1からのいずれか1項に記載のプリプレグ。
  8. 前記エポキシ系化合物が、フェノール型エポキシ樹脂又はフェノールノボラック型エポキシ樹脂である請求項1からのいずれか1項に記載のプリプレグ。
  9. 前記エポキシ系化合物が、ビスフェノールA型骨格またはビスフェノールF型骨格を含む請求項1からのいずれか1項に記載のプリプレグ。
  10. 請求項1からのいずれか1項に記載のプリプレグを、スタンパブル成形する工程を有する成型体の製造方法。
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実用プラスチック成形加工事典,1997年,p.348

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