JP2014107294A - リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リアクトル1Aは、巻線を巻回してなるコイル2と、コイル2内に配置される内側コア部31とコイル2から露出される外側コア部32とを有する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4と、組合体10を封止する封止樹脂部6とを具える。封止樹脂部6は、組合体10におけるケース4の底板部40側の領域を封止する下側封止樹脂部61と、組合体10における残部領域を封止する上側封止樹脂部62とを有する。そして、底板部40の載置面40mと外側コア部32の外コア底面32bとの間に下側封止樹脂部61が介在されており、下側封止樹脂部61の弾性率が上側封止樹脂部62の弾性率よりも低い。
【選択図】図2
Description
図1〜図4を参照して、実施形態1のリアクトルを説明する。
リアクトル1Aは、図1に示すように、巻線2wを巻回してなるコイル2と、コイル2が配置される磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4と、ケース4内に充填され、組合体10を封止する封止樹脂部6とを具える。磁性コア3は、図4に示すように、コイル2(後述するコイル素子2a,2b)内に配置される内側コア部31と、コイル2が配置されず、コイル2から露出される外側コア部32とを有し、内側コア部31と外側コア部32とが連結されて閉磁路を形成する。ケース4は、組合体10が載置される底板部40と、この底板部40に立設され、組合体10の周囲を囲む側壁部41とを有する。そして、このリアクトル1Aの特徴の一つは、封止樹脂部6が、図2に示すように、組合体10における底板部40側の領域を封止する下側封止樹脂部61と、組合体10における残部領域を封止する上側封止樹脂部62とを有する点にある。また、底板部40における組合体10が載置される載置面40mとこの載置面40mに対向する外側コア部32の外コア底面32bとの間に、下側封止樹脂部61が介在されている。さらに、下側封止樹脂部61は、上側封止樹脂部62よりも弾性率が低い。以下、リアクトル1Aの主要な構成部材であるコイル2及び磁性コア3の概略、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4の概略、特徴点である封止樹脂部6、リアクトル1Aの製造方法、及び特徴点に基づく主要な効果をまず説明し、次に各構成部材について詳細に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、ケース4の底板部40側を「下」、その反対側を「上」、側壁部41の立設方向(即ち、上下方向)を高さ方向として説明する。
コイル2及び磁性コア3はいずれも、公知の形状、材質のものを利用することができる。ここでは、コイル2は、図3、図4に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを連結する連結部2rとを有する。両コイル素子2a,2bは、互いに同一巻数で中空筒状であり、各軸方向が平行になるように並列(横並び)に配置されている。各コイル素子2a,2bのコイル軸方向における端面は、略矩形環状である。巻線2wは、平角線からなる導体の表面に絶縁被覆を具える被覆平角線である。そして、コイル2(コイル素子2a,2b)は、被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルである。
ケース4は、図1〜3に示すように、ケース4の底部を構成する底板部40と、ケース4の壁部を構成する側壁部41とを有し、底板部40の反対側(即ち、上方)が開口した箱状に構成されている。また、ケース4内には、図1、2に示すように、収納された組合体10を封止する封止樹脂部6が充填されている。
封止樹脂部6は、図1、図2に示すように、ケース4に収納された組合体10を封止する。封止樹脂部6によって組合体10が封止されることで、ケース4に収納された組合体10の固定、外部応力からの機械的保護、外部環境からの保護(耐食性の向上)などを図ることができる。また、組合体10と外部の部品(図示せず)との接触を防止したり、コイル2と外部の部品との間の電気的絶縁を確保したりすることができる。ここでは、コイル2の両巻線端部2eを除く組合体10全体が封止樹脂部6に埋没するように、ケース4内に封止樹脂部6が充填されている。
リアクトル1Aは、例えば、以下の(1)〜(3)の各工程を経て、製造することができる。
この工程では、例えば、図4に示すように、複数のコア片31mとギャップ材31gとを積層して一対の内側コア部31を形成し、各内側コア部31をそれぞれコイル素子2a,2b内に配置した後、両内側コア部31の端面と外側コア部32の内端面とが接するように組み付けることで組み立てる。
この工程では、例えば、図3に示すように、ケース4の上方開口から組合体10を収納する。ここでは、組合体10を収納する前に、ケース4の底板部40の載置面40mに放熱層42を予め形成している。更に、各外側コア部32の上面に当接するようにステー45を配置し、このステー45をケース4に設けられたステー取付部450にネジ止めすることで、ステー45によって各外側コア部32を底板部40側(即ち、下方)に押圧して、組合体10をケース4に固定している。このステー45は省略してもよい。
この工程では、例えば、次の工程を有する。
この工程では、例えば、図2に示すように、下側封止樹脂部61の樹脂材料を充填して、底板部40の載置面40mと外側コア部32の外コア底面32bとの間の隙間に樹脂材料を流し込み、底板部40の載置面40mと外側コア部32の外コア底面32bとの間に下側封止樹脂部61を介在させる。ここでは、更に、下側封止樹脂部61の樹脂材料を内側コア部31の内コア底面31bの位置まで充填して、コイル2の内周面と内側コア部31の内コア底面31bとの間にも樹脂材料を流し込み、下側封止樹脂部61を介在させている。
この工程では、例えば、図2に示すように、上側封止樹脂部62を構成する樹脂材料を充填して、最終的に封止樹脂部6(下側封止樹脂部61及び上側封止樹脂部62)によって組合体10を封止する。ここでは、組合体10全体(コイル2の両巻線端部2eを除く)が封止樹脂部6(上側封止樹脂部62)に埋没するように充填している。
以上説明したリアクトル1Aは、次の効果を奏する。
(1)底板部40の載置面40mと外側コア部32の外コア底面32bとの間に下側封止樹脂部61が介在され、この下側封止樹脂部61の弾性率が上側封止樹脂部62よりも低いことで、外側コア部32の振動が下側封止樹脂部61により緩衝される。そのため、外側コア部32の振動がケース4の底板部40に伝達されることを抑制でき、外側コア部32からケース4(底板部40)へと伝達する伝達音を低減することができる。
(2)上側封止樹脂部62の弾性率が下側封止樹脂部61よりも高いことで、封止樹脂部6によって磁性コア3が強固に封止され、磁性コア3自体の振動を抑制することができ、放射音を低減することができる。この例では、組合体10の高さ方向の半分超の領域が上側封止樹脂部62によって封止されていることから、磁性コア3を十分に強固に封止することができる。したがって、騒音(伝達音及び放射音)を低減することができる。
(4)さらに、下側封止樹脂部61が、内側コア部31の内コア底面31bの位置まで充填され、コイル2の内周面と内側コア部31の内コア底面31bとの間に、下側封止樹脂部61が介在されている。これにより、内側コア部31の振動が下側封止樹脂部61により緩衝され、コイル2(更には放熱層42)を介してケース4の底板部40に伝達されることを抑制でき、内側コア部31からケース4(底板部40)へと伝達する伝達音を低減することができる。したがって、騒音をより低減することができる。
(5)その他、底板部40の載置面40mとコイル2のコイル底面20bとの間に、熱伝導率が2W/m・K超の絶縁性材料により構成された放熱層42が介在されている。これにより、放熱層42によってコイル2とケース4(底板部40)との間の電気的絶縁を図りながら、放熱層42を介してコイル2に発生した熱をケース4(底板部40)に伝達させ易く、放熱性を確保することができる。この例では、コイル2のコイル底面20bを放熱層42に接触させ、更にステー45によって各外側コア部32(組合体10)を底板部40側に押圧してコイル2と放熱層42を密着させていることから、放熱性をより高めることができる。
コイル2は、図3、図4に示すように、連続する1本の巻線2wによって形成されている。具体的には、一方のコイル素子2aを一端側から他端側に向かって形成した後、他端側から引き出した巻線2wをU字状に屈曲させて連結部2rを形成し、引き続き、他方のコイル素子2bを他端側から一端側に向かって形成している。これにより、両コイル素子2a,2bの巻回方向は同一である。両コイル素子2a,2bは電気的には直列に接続されている。この例では、コイル素子2a,2bの軸方向端面が略矩形環状であるが、略円環状など、適宜変更することが可能である。
磁性コア3のうち内側コア部31は、図4に示すように、軟磁性材料からなる複数のコア片31mと、コア片31mよりも比透磁率の小さい材料からなるギャップ材31gとを交互に積層した積層部材である。コア片31mとギャップ材31gとは、接着剤によって一体化すると、取り扱いが容易な上、コア片31mとギャップ材31gとを強固に固定することで騒音を低減できると期待される。その他、コア片31mとギャップ材31gとを接着テープなどによって一体化してもよい。外側コア部32は、軟磁性材料からなるコア片である。
リアクトル1Aは、図4に示すように、コイル2と磁性コア3との間にインシュレータ5も具える。インシュレータ5は、コイル2と磁性コア3との間の電気的絶縁を確保するための部材である。この例では、インシュレータ5は、一対の分割部材50を組み合わせて構成されている。両分割部材50は、各コイル素子2a,2bの内周面と内側コア部31の外周面との間に介在される一対の筒部51と、各コイル素子2a,2bの端面と外側コア部32の内端面との間に介在される一対の枠板部52とを有する。そして、枠板部52は筒部51の一端側に設けられ、筒部51の他端側同士を突き合わせることで、インシュレータ5が構成される。図4に示すインシュレータ5の形状は例示であり、適宜変更することが可能である。
ケース4は、図1〜図3に示すように、組合体10が載置される板状の底板部40と、組合体10の周囲を囲む略矩形枠状の側壁部41とを有し、底板部40とは反対側(上方)が開口した略矩形箱状である。底板部40は、代表的には、リアクトル1Aが設置対象に設置されるときに設置対象に固定される板状部材である。この例では、上述したように、コンバータケース400に一体に設けられ、底板部40がコンバータケース400の底板部の一部である。そして、底板部40に側壁部41が一体に金属材料で形成されている。一般に金属材料は熱伝導率が高いので、ケース4全体を放熱経路として利用することができ、組合体10に発生した熱を外部(例、コンバータケース400)に効率良く放熱することができる。つまり、リアクトルの放熱性を高めることができる。具体的な金属材料としては、例えば、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼などが挙げられる。アルミニウムやマグネシウム、これらの合金で形成した場合、ケースを軽量にできる。ケース4(底板部40及び側壁部41)の厚さは、強度、シールド性、放熱性、防音性などを考慮して、例えば2mm〜5mm程度である。
放熱層42は、図2に示すように、底板部40の載置面40mのうち、コイル2(コイル素子2a,2b)が載置される箇所にのみ形成されており、底板部40の載置面40mとコイル2のコイル底面20bとの間に介在されている。具体的には、コイル2のコイル底面2bが放熱層42に接触している。この放熱層42は、熱伝導率が2W/m・K超の絶縁性材料により構成されている。放熱層42の熱伝導率は、高いほど好ましく、好ましくは3W/m・K以上、より好ましくは10W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上、特に好ましくは30W/m・K以上である。放熱層42の熱伝導率は、封止樹脂部6(下側封止樹脂部61)の熱伝導率よりも高いことが好ましい。また、放熱層42は、コイル2と底板部40との間の電気的絶縁を図るため、所定の電気絶縁性(耐電圧特性)を有する。車載用コンバータ(電力変換装置)の構成部品に利用されるリアクトルの場合、10kV/mm以上の耐電圧特性を有することが好ましい。放熱層42の厚さは、例えば2mm未満、更に1mm以下、特に0.5mm以下とすることが挙げられる。
リアクトル1Aにおいて、ケース4の開口に蓋(図示せず)を取り付けてもよい。蓋は、例えばケース4と同種の材料で形成することが挙げられる。蓋を取り付けることで、組合体10の外部応力からの機械的保護、外部環境からの保護(耐食性の向上)、騒音の低減、並びに、組合体10(コイル2)と外部の部品との接触防止及び電気的絶縁の確保などを図ることができる。
上述した実施形態1のリアクトル1Aは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用コンバータ(電力変換装置)の構成部品に好適に利用することができる。
上述した実施形態1では、ケース4において、底板部40と側壁部41とが金属材料で一体に形成された形態を説明した。実施形態2では、図5〜図7を参照して、ケース4において、底板部40及び側壁部41における底板部40側の一部が金属材料で一体に形成され、側壁部41における残部が絶縁性樹脂で形成された形態を説明する。なお、図5〜図7に示す実施形態2のリアクトル1Bは、ケース4の構成が異なる点を除いて基本的な構成は図1〜図4に示す実施形態1のリアクトル1Aと同様であるので、以下では、相違点を中心に説明する。
上述した実施形態1、2では、ケース4の底板部40がコンバータケース400の底板部の一部である形態を説明した。これに変えて、例えば略矩形板状の底板部と略矩形枠状の側壁部とを有するケースを別途用意し、これをコンバータケースといったリアクトルの設置対象に固定してもよい。また、別途用意したケースに組合体を収納し、上述した実施形態1、2と同じように封止樹脂部(下側封止樹脂部及び上側封止樹脂部)によって組合体を封止することでリアクトルを製造した後、完成したリアクトルのケースを設置対象に固定してもよい。
上述した実施形態1では、底板部40と側壁部41とが上記した金属材料で一体に形成されたケース4について説明したが、ケースを絶縁性樹脂で形成することも可能である。絶縁性樹脂としては、例えば、PBT樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。また、底板部と側壁部とを別体として形成してもよく、この場合、底板部と側壁部とを同種又は異種の材料で形成することができる。例えば、底板部を上記した金属材料で形成し、側壁部を絶縁性樹脂で形成することが挙げられる。
実施形態1、2のリアクトル1A,1Bは、例えば、車両などに搭載されるコンバータの構成部品や、このコンバータを具える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
2 コイル
2a,2b コイル素子 2r 連結部
2w 巻線 2e 巻線端部
20b コイル底面
3 磁性コア
31 内側コア部 31m コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部
31b 内コア底面 32b 外コア底面
4 ケース 400 コンバータケース
40 底板部 40m 載置面
41 側壁部 411 下側側壁部 412 上側側壁部
410 半ケース
42 放熱層
45 ステー 450 ステー取付部
5 インシュレータ 50 分割部材
51 筒部 52 枠板部
51c 切欠き 52b 仕切り部 52p 庇部
6 封止樹脂部
61 下側封止樹脂部 62 上側封止樹脂部
1100 電力変換装置 1110 コンバータ 1111 スイッチング素子
1112 駆動回路 L リアクトル 1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両 1210 メインバッテリ 1220 モータ 1230 サブバッテリ
1240 補機類 1250 車輪
Claims (10)
- 巻線を巻回してなるコイルと、
前記コイルが配置される磁性コアと、
前記コイルと前記磁性コアとの組合体を収納するケースと、
前記ケース内に充填され、前記組合体を封止する封止樹脂部とを具えるリアクトルであって、
前記磁性コアは、前記コイル内に配置される内側コア部と、前記コイルから露出される外側コア部とを有し、前記内側コア部と前記外側コア部とが連結されて閉磁路を形成し、
前記ケースは、前記組合体が載置される底板部と、前記組合体の周囲を囲む側壁部とを有し、
前記封止樹脂部は、前記組合体における前記底板部側の領域を封止する下側封止樹脂部と、前記組合体における残部領域を封止する上側封止樹脂部とを有し、
前記底板部における組合体が載置される載置面とこの載置面に対向する前記外側コア部の外コア底面との間に、前記下側封止樹脂部が介在されており、
前記下側封止樹脂部は、前記上側封止樹脂部よりも弾性率が低いリアクトル。 - 前記下側封止樹脂部が、シリコーン樹脂を含む材料により構成されている請求項1に記載のリアクトル。
- 前記上側封止樹脂部が、エポキシ樹脂を含む材料により構成されている請求項1又は2に記載のリアクトル。
- 前記底板部の載置面と前記外側コア部の外コア底面との間に隙間が形成されるように、前記底板部の載置面に対向する前記コイルのコイル底面が前記外側コア部の外コア底面に対して突出している請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記下側封止樹脂部が、前記内側コア部における前記底板部の載置面に対向する内コア底面と前記コイルの内周面との間の位置まで充填され、
前記コイルの内周面と前記内側コア部の内コア底面との間に、前記下側封止樹脂部が介在されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記下側封止樹脂部が、前記内側コア部の内コア底面の位置まで充填されている請求項5に記載のリアクトル。
- 前記底板部の載置面と前記コイルのコイル底面との間に、熱伝導率が2W/m・K超の絶縁性材料により構成された放熱層が介在されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記ケースにおいて、
前記底板部及び前記側壁部における前記底板部側の一部が金属材料で一体に形成され、
前記側壁部における残部が絶縁性樹脂で形成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のリアクトルを具えるコンバータ。
- 請求項9に記載のコンバータを具える電力変換装置。
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