JP2014103422A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁抵抗の劣化やデラミネーションの発生を防止できる積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】積層セラミックコンデンサ10は、複数の内部電極層13-1〜13-nと複数の誘電体層14-1〜14-mの交互積層物から成る容量部11aと、複数の誘電体層の積層物から成り容量部11aの最下位の内部電極層13-1と接する第1保護部11b1と、複数の誘電体層の積層物から成り容量部11aの最上位の内部電極13-nと接する第2保護部11b2とを有するコンデンサ本体11を備えており、第1保護部11b1と接する最下位の内部電極層13-1が該内部電極層13-1を形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の内部電極層と複数の誘電体層の交互積層物から成る容量部を有する積層セラミックコンデンサに関する。
この種の積層セラミックコンデンサは、一般に、
・工程1:誘電体層用の複数のスラリー層と内部電極層用の複数のペースト層が所定順序
で積み重ねられた未焼成積層物を作製する工程
・工程2:未焼成積層物を切断してコンデンサ本体に対応する未焼成チップを作製する工

・工程3:未焼成チップを焼成(脱バインダ処理を含む)して焼成済みチップを作製する
工程
・工程4:焼成済みチップに外部電極を作製する工程
を順に実施して製造されている(特許文献1を参照)。
前記工程1(未焼成積層物作製工程)には種々の方法が提案されているものの、現実的には、
・ステップ1:ベースフィルムの上面に誘電体層用のスラリー層が形成された第1の積層
用シートを作製すると共に、該第1の積層用シートのスラリー層の上面に
内部電極層用のペースト層が所定配列で形成された第2の積層用シートを
作製するステップ
・ステップ2:第1の積層用シートのスラリー層を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いたス
ラリー層を積層テーブルの上面に置き、同様に打ち抜いたスラリー層を積
層テーブル上のスラリー層の上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り
返すステップ
・ステップ3:第2の積層用シートのスラリー層を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いたス
ラリー層(上面側に多数のペースト層を包含)を熱圧着済みのスラリー層
の上面に重ねて熱圧着し、同様に打ち抜いたスラリー層(上面側に多数の
ペースト層を包含)を熱圧着済みのペースト層の上面に重ねて熱圧着する
作業を所定回数繰り返すステップ
・ステップ4:第1の積層用シートのスラリー層を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いたス
ラリー層を熱圧着済みのペースト層の上面に重ねて熱圧着し、同様に打ち
抜いたスラリー層を熱圧着済みのスラリー層の上面に重ねて熱圧着する作
業を所定回数繰り返すステップ
・ステップ5:前記熱圧着物に対し最終的な熱圧着を行って未焼成積層物を作製するステ
ップ
を順に実施する方法が最も多用されている。
ところで、積層セラミックコンデンサに対する小型化及び大容量化のニーズは依然として高く、該ニーズを満足するには内部電極層と誘電体層を更に薄層化する必要がある。しかしながら、内部電極層と誘電体層の薄層化が進むと、例えば、各々の平均厚さが1.0μm以下になると、前記工程1(未焼成積層物作製工程)として前記ステップ1〜5を順に実施したときに以下の不具合が積層セラミックコンデンサに現れる恐れがある。
前記工程1(未焼成積層物作製工程)のステップ2〜4は、1番目の層上に2番目の層を重ねて熱圧着し、……n−1番目の層上にn番目の層を重ねて熱圧着する順次積み重ね方式であるため、前記未焼成積層物の下層側は上層側に比べて圧力累積付与回数に準じた
変形等のダメージを受け易い。このダメージに起因して積層セラミックコンデンサに生じる顕著な現象としては最下位の内部電極層と下から2番目の内部電極層との短絡が挙げられ、このような現象を生じると積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗が劣化してしまう。
この不具合を防止するために前記工程1(未焼成積層物作製工程)のステップ2〜4における熱圧着の圧力を低減すると、下層側が受ける変形等のダメージを防止できる反面、上層側の層間密着力が減少し易い。この層間密着力の減少に起因して積層セラミックコンデンサに生じる顕著な現象としては最上位の内部電極層と該内部電極層の上面に接する誘電体層との結合力低下が挙げられ、このような現象を生じると積層セラミックコンデンサにデラミネーションが発生してしまう。
特開2011−139028号公報
本発明の目的は、絶縁抵抗の劣化やデラミネーションの発生を防止できる積層セラミックコンデンサを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、複数の内部電極層と複数の誘電体層の交互積層物から成る容量部と、複数の誘電体層の積層物から成り前記容量部の積層方向一側の内部電極層と接する第1保護部と、複数の誘電体層の積層物から成り前記容量部の積層方向他側の内部電極と接する第2保護部とを有するコンデンサ本体を備えた積層セラミックコンデンサであって、前記第1保護部と接する前記容量部の積層方向一側の内部電極層と前記第2保護部と接する前記容量部の積層方向他側の内部電極層の一方が、少なくとも該内部電極層を形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されている、ことをその特徴とする。
本発明によれば、前記第1保護部と接する前記容量部の積層方向一側の内部電極層と前記第2保護部と接する前記容量部の積層方向他側の内部電極層の一方が、少なくとも該内部電極層を形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されているため、製造時の未焼成積層物作製工程で順次積み重ね方式を採用した結果として、前記容量部の積層方向一側の内部電極層と該内部電極層と向き合う内部電極層とが短絡する現象を生じるような場合でも、前記容量部の積層方向一側の内部電極層は電極としての機能を失っていることから積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗が劣化することは無い。また、製造時の未焼成積層物作製工程で順次積み重ね方式を採用した結果として、前記容量部の積層方向他側の内部電極層と該内部電極層と接する第2保護部の誘電体層との結合力が低下する現象を生じるような場合でも、前記容量部の積層方向他側の内部電極層が保有している酸化物によって該結合力低下を補うことができることから積層セラミックコンデンサにデラミネーションが発生することは無い。
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図;図1(B)は、図1(A)に示した積層セラミックコンデンサのS1−S1線に沿う縦断面図である。 図2(A)〜図2(D)は、図1(A)及び図1(B)に示した積層セラミックコンデンサの製造方法における未焼成積層物作製工程の説明図である。 図3(A)〜図3(H)は、図1(A)及び図1(B)に示した積層セラミックコンデンサの製造方法における未焼成積層物作製工程の説明図である。 図4は、図1(A)及び図1(B)に示した積層セラミックコンデンサの変形例を示す図1(B)対応の縦断面図である。 図5(A)は、本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図;図5(B)は、図5(A)に示した積層セラミックコンデンサのS2−S2線に沿う縦断面図である。 図6(A)〜図6(F)は、図5(A)及び図5(B)に示した積層セラミックコンデンサの製造方法における未焼成積層物作製工程の説明図である。 図7は、図5(A)及び図5(B)に示した積層セラミックコンデンサの変形例を示す図5(B)対応の縦断面図である。
《第1実施形態》
〈積層セラミックコンデンサ10の構造〉
先ず、図1(A)及び図1(B)を引用して、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の構造について説明する。
この積層セラミックコンデンサ10は、長さL、幅W及び高さHの基準寸法が長さL>幅W=高さHの関係、或いは、長さL>幅W>高さHの関係を有する略直方体形状のコンデンサ本体11と、該コンデンサ本体11の長さ方向両端部に設けられた1対の外部電極12を備えている。
コンデンサ本体11は、静電容量形成に寄与する容量部11aと、静電容量形成に寄与せず容量部11aの下面と接する第1保護部11b1と、静電容量形成に寄与せず容量部11aの上面と接する第2保護部11b2を有している。
容量部11aは、複数の内部電極層13-1〜13-nと複数の誘電体層14-1〜14-m(m=n−1)の交互積層物から成り、積層方向下側には最下位の内部電極層13-1が位置し積層方向上側には最上位の内部電極層13-nが位置している。第1保護部11b1は、複数の誘電体層(符号無し)の積層物から成り、その上面を容量部11aの最下位の内部電極層13-1と接している。第2保護部11b2は、複数の誘電体層(符号無し)の積層物から成り、その下面を容量部11aの最上位の内部電極層13-nと接している。
容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nは、ニッケル、銅、ニッケル−銅合金のグループから選択された金属から形成されており、その平均厚さは1.0μm以下である。また、容量部11aを構成する複数の誘電体層14-1〜14-mと第1保護部11b1を構成する複数の誘電体層と第2保護部11b2を構成する複数の誘電体層は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウムのグループから選択された1つの誘電体から形成されており、その平均厚さは1.0μm以下である。因みに、図1(A)及び図1(B)には、図示の便宜上、nを22としmを21としてあるが、小型化及び大容量化に対応した積層セラミックコンデンサ10における内部電極層13-1〜13-nの層数は100以上に及ぶ。
また、容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nは、コンデンサ本体11の長さ及び幅よりも小さな長さ及び幅を有する略矩形状であり、図1(A)において下
から奇数番目の内部電極層13-1……13-(n-1)の左端縁は左側の外部電極12に電気的に接続され、且つ、下から偶数番目の内部電極層13-2……13-nの右端縁は右側の外部電極12に電気的に接続されている。つまり、各内部電極層13-1〜13-nの積層方向で対向しない部分は引出部分13aとして用いられているため、該引出部分13aは静電容量形成に実質的に寄与していない。因みに、各外部電極12は、図示を省略したが、ニッケル、銅、銀又はこれらの合金等から成る下地層と、該下地層の表面にスズ、スズ−銀合金等から成る表面層を形成した2層構造、或いは、これら下地層と表面層の間にニッケル、銅、パラジウム等から成る中間層を介装した3層構造を有している。
さらに、容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nのうちの第1保護部11b1と接する最下位の内部電極層13-1は、少なくとも該内部電極層13-1を形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されている。つまり、容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nのうちの最下位の内部電極層13-1は絶縁体化されていて電極として機能していない。以下に、最下位の内部電極層13-1に保有されている酸化物について説明する。
先に述べたように最下位の内部電極層13-1はニッケル、銅、ニッケル−銅合金のグループから選択された金属から形成されているため、例えば、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素」がニッケルの場合、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素を含む酸化物」はニッケルを含む酸化物となる。
また、最下位の内部電極層13-1に保有される酸化物は、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素を含む酸化物」に加えて、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素と該金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素を含む酸化物」を含んでいても良い。例えば、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素」がニッケルの場合、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素」には、低い方から順に、リチウム、セシウム、ルビジウム、カリウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルトが挙げられるが、毒性や実用性等を考慮すれば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルトのグループから選択された少なくとも1つが好ましいと言える。つまり、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素」がニッケルで、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素」がマグネシウムの場合、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素と該金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素を含む酸化物」はニッケルとマグネシウムを含む酸化物となる。
さらに、最下位の内部電極層13-1に保有されている酸化物の保有量は、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素を含む酸化物」を保有する場合、並びに、「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素を含む酸化物」と「最下位の内部電極層13-1を形成する金属元素と該金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素を含む酸化物」を保有する場合に拘わらず、最下位の内部電極層13-1の体積に対して100vol%であることが望ましいが、70〜100vol%の範囲内に収まっていれば最下位の内部電極層13-1を絶縁体化できる。
〈積層セラミックコンデンサ10の製造方法〉
次に、図2(A)〜図2(D)、並びに、図3(A)〜図3(H)を引用して、前記積層セラミックコンデンサ10、具体的には、容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nがニッケルから形成され、容量部11aを構成する複数の誘電体層14-1〜14-mと第1保護部11b1を構成する複数の誘電体層と第2保護部11b2を構成する複数の誘電体層がチタン酸バリウムから形成され、最下位の内部電極層13-1が「ニッケ
ルを含む酸化物」と「ニッケルとマグネシウムを含む酸化物」を保有していて絶縁体化されている積層セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。
製造に際しては、先ず、第1のセラミックスラリーと、第2のセラミックスラリーと、電極ペーストを用意する。第1のセラミックスラリーは、所定粒子径分布を有するチタン酸バリウム粒子と溶剤とバインダと酸化促進剤を少なくとも含み、必要に応じて各種添加剤を含む。また、第2のセラミックスラリーは、前記同等の粒子径分布を有するチタン酸バリウム粒子と溶剤とバインダを少なくとも含み、必要に応じて各種添加剤を含む。さらに、電極ペーストは、所定粒子径分布を有するニッケル粒子と溶剤とバインダを少なくとも含み、必要に応じて各種添加剤を含む。
第1及び第2のセラミックスラリーの溶剤はエタノール等から成り、バインダはポリビニルブチラール、アクリル系樹脂等から成る。また、第1及び第2のセラミックスラリーの各種添加剤には分散剤が使用可能であり、分散剤はカルボン酸系の分散剤等から成る。
また、第1のセラミックスラリーの酸化促進剤には、酸化マグネシウムや炭酸マグネシウム等の酸素元素を含むマグネシウム化合物を単独使用できる他、これと酸化ニッケルや炭酸ニッケル等の酸素元素を含むニッケル化合物の併用も可能であるが、マグネシウム化合物のみでも後記の酸化作用が十分に得られるため、ここではニッケル化合物は併用していない。因みに、第1のセラミックスラリーにおける酸化促進剤(マグネシウム化合物)の含有量は11〜15wt%の範囲が好ましい。
電極ペーストの溶剤はターピネオール等から成り、バインダはポリビニルブチラール、エチルセルロース等から成る。
[未焼成積層物作製工程のステップ1]
続いて、図2(A)に示したように、ポリエチレンテレフタレート等から成るベースフィルムBFの上面にドクターブレードやスリットダイ等を用いた塗工機によって前記第1のセラミックスラリーを塗布し、該塗布物を乾燥させて、ベースフィルムBF上に所定厚さの第1のスラリー層SL1が形成された第1の積層用シートを作製する。
また、図2(B)に示したように、前記同等のベースフィルムBFの上面に前記同等の塗工機によって前記第2のセラミックスラリーを塗布し、該塗布物を乾燥させて、ベースフィルムBF上に所定厚さの第2のスラリー層SL2が形成された第2の積層用シートを作製する。
さらに、図2(C)に示したように、第1の積層用シートの第1のスラリー層SL1の上面に、スクリーンや凹版を用いた印刷機よって前記電極ペーストを印刷し、該印刷物を乾燥させて、第1のスラリー層SL1上に所定厚さで所定形状のペースト層PLが所定配列で形成された第3の積層用シートを作製する。
さらにまた、図2(D)に示したように、第2の積層用シートの第2のスラリー層SL1の上面に、前記同等の印刷機よって前記電極ペーストを印刷し、該印刷物を乾燥させて、第2のスラリー層SL2上に所定厚さで所定形状のペースト層PLが所定配列で形成された第4の積層用シートを作製する。
[未焼成積層物作製工程のステップ2]
続いて、図3(A)及び図3(B)に示したように、図2(A)に示した第1の積層用シートの第1のスラリー層SL1を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第1のスラリー層SL1を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第1のスラリー層SL1を
積層テーブルLTの平坦な上面に置く。そして、同様に打ち抜いた第1のスラリー層SL1を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第1のスラリー層SL1を積層テーブルLT上の第1のスラリー層SL1の上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。
[未焼成積層物作製工程のステップ3]
続いて、図3(C)及び図3(D)に示したように、図2(C)に示した第3の積層用シートの第1のスラリー層SL1を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第1のスラリー層SL1(多数のペースト層PLを包含)のペースト層PL側を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第1のスラリー層SL1を熱圧着済みの第1のスラリー層SL1の上面に重ねて熱圧着する作業を1回行う。そして、図3(E)及び図3(F)に示したように、図2(D)に示した第4の積層用シートの第2のスラリー層SL2を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第2のスラリー層SL2(多数のペースト層PLを包含)のペースト層PL側を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を熱圧着済みのペースト層PLの上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。
[未焼成積層物作製工程のステップ4]
続いて、図3(G)及び図3(H)に示したように、図2(B)に示した第2の積層用シートの第2のスラリー層SL2を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第2のスラリー層SL2を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を熱圧着済みのペースト層PLの上面に重ねて熱圧着する。そして、同様に打ち抜いた第2のスラリー層SL2を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を熱圧着済みの第2のスラリー層SL2の上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。
前記未焼成積層物作製工程のステップ2〜4は順次積み重ね方式を採用したものであって、各ステップ2〜4における熱圧着の条件は例えば温度150℃で圧力10MPaである。
[未焼成積層物作製工程のステップ5]
続いて、前記熱圧着物に対し、熱間静水圧プレス機等のプレス機よって最終的な熱圧着を行って、未焼成積層物を作製する。因みに、この最終的な熱圧着の条件は例えば水温70℃で圧力2000kg/cm2である。
[未焼成チップ作製工程]
続いて、未焼成積層物を、ダイシング装置等の切断機によって格子状に切断し、図1(A)及び図1(B)に示したコンデンサ本体11に対応する未焼成チップを作製する。
[未焼成チップ焼成工程]
続いて、多数の未焼成チップを焼成炉に投入し、Ni−NiOの平衡酸素分圧以下の酸素分圧の雰囲気において、ピーク温度が約1200℃の焼成温度プロファイルに従って焼成(脱バインダ処理を含む)を行う。
この焼成工程では、各未焼成チップを構成する各第1のスラリー層SL1と各第2のスラリー層SL2と各ペースト層PLがそれぞれ焼結されるが、各第1のスラリー層SL1が酸化促進剤(マグネシウム化合物)を含むため、該各第1のスラリー層SL1の焼結が促進されると共に、最上位の第1のスラリー層SL1から最下位のペースト層PLにマグネシウムが移動して該最下位のペースト層PLの酸化が促進される。つまり、最下位のペースト層PLの焼結物は「ニッケルを含む酸化物」と「ニッケルとマグネシウムを含む酸
化物」を保有したものとなり、これにより該最下位のペースト層PLの焼結物は絶縁体化されて電極としての機能を失う。
[外部電極作製工程]
続いて、焼成済みチップの長さ方向両端部に、ディップ塗布機やローラ塗布機等の塗布機によって前記電極ペーストと同等の電極ペーストを塗布し、該塗布物に焼付け処理を施して、図1(A)及び図1(B)に示した外部電極12の下地層を形成する。そして、下地層の表面に、電解メッキ等のメッキ法によって表面層を形成して、2層構造の外部電極12を作製する。或いは、下地層の表面に、電解メッキ等のメッキ法によって中間層と表面層を順に形成して、3層構造の外部電極12を作製する。
〈積層セラミックコンデンサ10によって得られる効果〉
次に、図1(A)及び図1(B)を引用して、前記積層セラミックコンデンサ10によって得られる効果、並びに、該効果の検証結果について説明する。
前記積層セラミックコンデンサ10は、容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nのうちの第1保護部11b1と接する最下位の内部電極層13-1が、少なくとも該内部電極層13-1を形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されているため、製造時の未焼成積層物作製工程で順次積み重ね方式を採用した結果として、積層セラミックコンデンサ10の最下位の内部電極層13-1と下から2番目の内部電極層13-2とが短絡する現象を生じるような場合でも、最下位の内部電極層13-1は電極としての機能を失っていることから積層セラミックコンデンサ10の絶縁抵抗が劣化することは無い。
また、前記積層セラミックコンデンサ10は、容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nのうちの第1保護部11a1と接する最下位の内部電極層13-1のみが絶縁化されているだけであるので、容量部11aを構成する複数の内部電極層13-1〜13-nのうちで静電容量形成に寄与しない内部電極層の数を最小限に抑えて、積層セラミックコンデンサ10の静電容量の損失を極力抑制できる。
前記効果を検証するために、先に述べた製造方法に準じて所定仕様(サイズ1.0mm×0.5mm×0.5mm、内部電極層数300層、静電容量10μF、定格電圧6.3V、X7R特性)の実施品(積層セラミックコンデンサ)を1000個作製した。また、前記[未焼成積層物作製工程のステップ2]において図2(A)に示した第1の積層用シート(第1のスラリー層SL1)の代わりに図2(B)に示した第2の積層用シート(第2のスラリー層SL2)を用い、且つ、前記[未焼成積層物作製工程のステップ3]において図2(C)に示した第3の積層用シート(第1のスラリー層SL1(多数のペースト層PLを包含))の代わりに図2(D)に示した第4の積層用シート(第2のスラリー層SL2(多数のペースト層PLを包含))を用いて順次積み重ねを行った以外は、先に述べた製造方法に準じて略同一仕様の比較品(積層セラミックコンデンサ)を1000個作製した。
そして、実施品と比較品のそれぞれに対して耐湿負荷試験(温度85℃、湿度90%、定格電圧印加、試験時間500時間)を実施し、試験後の絶縁抵抗をそれぞれ測定したところ、実施品において不良判断基準値(10MΩ)以下のものは0/1000個で、比較品において該不良判断基準値以下のものは100/1000個であった。
また、実施品と比較品のそれぞれの静電容量をLCRメータ(アジレントテクノロジー製LCRメータ4284A)を用いて、測定電圧0.5V、測定周波数1kHzで測定し、実施品の静電容量平均値と比較品の静電容量平均値を比べたところ、実施品の静電容量
平均値は比較品の静電容量平均値の99.7%であった。
〈第1実施形態の変形例〉
図4は前記積層セラミックコンデンサ10の変形例を示すもので、同図に示した積層セラミックコンデンサ10’は、前記〈積層セラミックコンデンサ10の製造方法〉の[未焼成積層物作製工程のステップ2]を、「続いて、図2(B)に示した第2の積層用シートの第2のスラリー層SL2を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第2のスラリー層SL2を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を積層テーブルLTの平坦な上面に置く。そして、同様に打ち抜いた第2のスラリー層SL2を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を積層テーブルLT上の第2のスラリー層SL2の上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。」に変えて製造されたものである。
即ち、図4に示した積層セラミックコンデンサ10’は、第1保護部11b1を構成する複数の誘電体層のうちの最下位の内部電極層13-1と接する誘電体層DLのみが、酸化促進剤を含む第1のスラリー層SL1の焼結物から成る点において前記積層セラミックコンデンサ10と構造を異にするが、該積層セラミックコンデンサ10’であっても前記積層セラミックコンデンサ10と同等の効果が得られる。
《第2実施形態》
〈積層セラミックコンデンサ20の構造〉
先ず、図5(A)及び図5(B)を引用して、本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ20の構造について説明する。
この積層セラミックコンデンサ20は、長さL、幅W及び高さHの基準寸法が長さL>幅W=高さHの関係、或いは、長さL>幅W>高さHの関係を有する略直方体形状のコンデンサ本体21と、該コンデンサ本体21の長さ方向両端部に設けられた1対の外部電極22を備えている。
コンデンサ本体21は、静電容量形成に寄与する容量部21aと、静電容量形成に寄与せず容量部21aの下面と接する第1保護部21b1と、静電容量形成に寄与せず容量部21aの上面と接する第2保護部21b2を有している。
容量部21aは、複数の内部電極層23-1〜23-nと複数の誘電体層24-1〜24-m(m=n−1)の交互積層物から成り、積層方向下側には最下位の内部電極層23-1が位置し積層方向上側には最上位の内部電極層23-nが位置している。第1保護部21b1は、複数の誘電体層(符号無し)の積層物から成り、その上面を容量部21aの最下位の内部電極層23-1と接している。第2保護部21b2は、複数の誘電体層(符号無し)の積層物から成り、その下面を容量部21aの最上位の内部電極層23-nと接している。
容量部21aを構成する複数の内部電極層23-1〜23-nは、ニッケル、銅、ニッケル−銅合金のグループから選択された金属から形成されており、その平均厚さは1.0μm以下である。また、容量部21aを構成する複数の誘電体層24-1〜24-mと第1保護部21b1を構成する複数の誘電体層と第2保護部21b2を構成する複数の誘電体層は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウムのグループから選択された1つの誘電体から形成されており、その平均厚さは1.0μm以下である。因みに、図5(A)及び図5(B)には、図示の便宜上、nを22としmを21としてあるが、小型化及び大容量化に対応した積層セラミックコンデンサ20における内部電極層23-1〜23-nの層数は100以上に及ぶ。
また、容量部21aを構成する複数の内部電極層23-1〜23-nは、コンデンサ本体21の長さ及び幅よりも小さな長さ及び幅を有する略矩形状であり、図5(A)において下から奇数番目の内部電極層23-1……23-(n-1)の左端縁は左側の外部電極22に電気的に接続され、且つ、下から偶数番目の内部電極層23-2……23-nの右端縁は右側の外部電極22に電気的に接続されている。つまり、各内部電極層23-1〜23-nの積層方向で対向しない部分は引出部分23aとして用いられているため、該引出部分23aは静電容量形成に実質的に寄与していない。因みに、各外部電極22は、図示を省略したが、ニッケル、銅、銀又はこれらの合金等から成る下地層と、該下地層の表面にスズ、スズ−銀合金等から成る表面層を形成した2層構造、或いは、これら下地層と表面層の間にニッケル、銅、パラジウム等から成る中間層を介装した3層構造を有している。
さらに、容量部21aを構成する複数の内部電極層23-1〜23-nのうちの第2保護部21b2と接する最上位の内部電極層23-nは、少なくとも該内部電極層23-nを形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されている。つまり、容量部21aを構成する複数の内部電極層23-1〜23-nのうちの最上位の内部電極層23-nは絶縁体化されていて電極として機能していない。以下に、最上位の内部電極層23-nに保有されている酸化物について説明する。
先に述べたように最上位の内部電極層23-nはニッケル、銅、ニッケル−銅合金のグループから選択された金属から形成されているため、例えば、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素」がニッケルの場合、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素を含む酸化物」はニッケルを含む酸化物となる。
また、最上位の内部電極層23-nに保有される酸化物は、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素を含む酸化物」に加えて、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素と該金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素を含む酸化物」を含んでいても良い。例えば、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素」がニッケルの場合、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素」には、低い方から順に、リチウム、セシウム、ルビジウム、カリウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルトが挙げられるが、毒性や実用性等を考慮すれば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルトのグループから選択された少なくとも1つが好ましいと言える。つまり、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素」がニッケルで、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素」がマグネシウムの場合、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素と該金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素を含む酸化物」はニッケルとマグネシウムを含む酸化物となる。
さらに、最上位の内部電極層23-nに保有されている酸化物の保有量は、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素を含む酸化物」を保有する場合、並びに、「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素を含む酸化物」と「最上位の内部電極層23-nを形成する金属元素と該金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素を含む酸化物」を保有する場合に拘わらず、最上位の内部電極層23-nの体積に対して100vol%であることが望ましいが、70〜100vol%の範囲内に収まっていれば最上位の内部電極層23-nを絶縁体化できる。
〈積層セラミックコンデンサ20の製造方法〉
次に、図6(A)〜図6(F)を引用し、且つ、図2(A)、図2(B)及び図2(D)を適宜流用して、前記積層セラミックコンデンサ20、具体的には、容量部21aを構
成する複数の内部電極層23-1〜23-nがニッケルから形成され、容量部21aを構成する複数の誘電体層24-1〜24-mと第1保護部21b1を構成する複数の誘電体層と第2保護部21b2を構成する複数の誘電体層がチタン酸バリウムから形成され、最上位の内部電極層23-nが「ニッケルを含む酸化物」と「ニッケルとマグネシウムを含む酸化物」を保有していて絶縁体化されている積層セラミックコンデンサ20の製造方法について説明する。
製造に際しては、先ず、前記《第1実施形態》の〈積層セラミックコンデンサ10の製造方法〉と同様に、第1のセラミックスラリーと、第2のセラミックスラリーと、電極ペーストを用意する。
[未焼成積層物作製工程のステップ1]
続いて、ポリエチレンテレフタレート等から成るベースフィルムBFの上面にドクターブレードやスリットダイ等を用いた塗工機によって前記第1のセラミックスラリーを塗布し、該塗布物を乾燥させて、ベースフィルムBF上に所定厚さの第1のスラリー層SL1が形成された第1の積層用シートを作製する(図2(A)を参照)。
また、前記同等のベースフィルムBFの上面に前記同等の塗工機によって前記第2のセラミックスラリーを塗布し、該塗布物を乾燥させて、ベースフィルムBF上に所定厚さの第2のスラリー層SL2が形成された第2の積層用シートを作製する(図2(B)を参照)。
さらに、第2の積層用シートの第2のスラリー層SL2の上面に、スクリーンや凹版を用いた印刷機よって前記電極ペーストを印刷し、該印刷物を乾燥させて、第2のスラリー層SL2上に所定厚さで所定形状のペースト層PLが所定配列で形成された第4の積層用シートを作製する(図2(D)を参照)。
このステップ1では図2(A)、図2(B)及び図2(D)に示した3種類の積層用シートを作製するだけであるが、前記《第1実施形態》の〈積層セラミックコンデンサ10の製造方法〉との違いを明らかにするために、図2(D)に示した第4の積層用シートを「第3の積層用シート」と敢えて言い換えずに下記ステップ2〜4について説明する。
[未焼成積層物作製工程のステップ2]
続いて、図6(A)及び図6(B)に示したように、図2(B)に示した第2の積層用シートの第2のスラリー層SL2を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第2のスラリー層SL2を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を積層テーブルLTの平坦な上面に置く。そして、同様に打ち抜いた第2のスラリー層SL2を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を積層テーブルLT上の第2のスラリー層SL2の上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。
[未焼成積層物作製工程のステップ3]
続いて、図6(C)及び図6(D)に示したように、図2(D)に示した第4の積層用シートの第2のスラリー層SL2を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第2のスラリー層SL2(多数のペースト層PLを包含)のペースト層PL側を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を熱圧着済みの第2のスラリー層SL2の上面に重ねて熱圧着する。そして、同様に打ち抜いた第2のスラリー層SL2(多数のペースト層PLを包含)のペースト層PL側を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を熱圧着済みのペースト層PLの上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。
[未焼成積層物作製工程のステップ4]
続いて、図6(E)及び図6(F)に示したように、図2(A)に示した第1の積層用シートの第1のスラリー層SL1を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第1のスラリー層SL1を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第1のスラリー層SL1を熱圧着済みのペースト層PLの上面に重ねて熱圧着する。そして、同様に打ち抜いた第1のスラリー層SL1を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第1のスラリー層SL1を熱圧着済みの第1のスラリー層SL1の上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。
前記未焼成積層物作製工程のステップ2〜4は順次積み重ね方式を採用したものであって、各ステップ2〜4における熱圧着の条件は例えば温度60℃で圧力2MPaである。
[未焼成積層物作製工程のステップ5]
続いて、前記熱圧着物に対し、熱間静水圧プレス機等のプレス機よって最終的な熱圧着を行って、未焼成積層物を作製する。因みに、この最終的な熱圧着の条件は例えば水温70℃で圧力2000kg/cm2である。
[未焼成チップ作製工程]
続いて、未焼成積層物を、ダイシング装置等の切断機によって格子状に切断し、図5(A)及び図5(B)に示したコンデンサ本体21に対応する未焼成チップを作製する。
[未焼成チップ焼成工程]
続いて、多数の未焼成チップを焼成炉に投入し、Ni−NiOの平衡酸素分圧以下の酸素分圧の雰囲気において、ピーク温度が約1200℃の焼成温度プロファイルに従って焼成(脱バインダ処理を含む)を行う。
この焼成工程では、各未焼成チップを構成する各第1のスラリー層SL1と各第2のスラリー層SL2と各ペースト層PLがそれぞれ焼結されるが、各第1のスラリー層SL1が酸化促進剤(マグネシウム化合物)を含むため、該各第1のスラリー層SL1の焼結が促進されると共に、最下位の第1のスラリー層SL1から最上位のペースト層PLにマグネシウムが移動して該最上位のペースト層PLの酸化が促進される。つまり、最上位のペースト層PLの焼結物は「ニッケルを含む酸化物」と「ニッケルとマグネシウムを含む酸化物」を保有したものとなり、これにより該最上位のペースト層PLの焼結物は絶縁体化されて電極としての機能を失う。
[外部電極作製工程]
続いて、焼成済みチップの長さ方向両端部に、ディップ塗布機やローラ塗布機等の塗布機によって前記電極ペーストと同等の電極ペーストを塗布し、該塗布物に焼付け処理を施して、図5(A)及び図5(B)に示した外部電極22の下地層を形成する。そして、下地層の表面に、電解メッキ等のメッキ法によって表面層を形成して、2層構造の外部電極22を作製する。或いは、下地層の表面に、電解メッキ等のメッキ法によって中間層と表面層を順に形成して、3層構造の外部電極22を作製する。
〈積層セラミックコンデンサ20によって得られる効果〉
次に、図5(A)及び図5(B)を引用して、前記積層セラミックコンデンサ20によって得られる効果、並びに、該効果の検証結果について説明する。
前記積層セラミックコンデンサ20は、容量部21aを構成する複数の内部電極層23-1〜23-nのうちの第2保護部21b1と接する最上位の内部電極層23-nが、少なくと
も該内部電極層23-nを形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されているため、製造時の未焼成積層物作製工程で順次積み重ね方式を採用した結果として、積層セラミックコンデンサ20の最上位の内部電極層23-nと該内部電極層23-nの上面に接する誘電体層(第2保護部21b2を構成する複数の誘電体層のうちの最下位の誘電体層)との結合力が低下する現象を生じるような場合でも、最上位の内部電極層23-nが保有している酸化物によって該結合力低下を補うことができることから積層セラミックコンデンサ20にデラミネーションが発生することは無い。
また、前記積層セラミックコンデンサ20は、容量部21aを構成する複数の内部電極層23-1〜23-nのうちの第2保護部21a1と接する最上位の内部電極層23-nのみが絶縁化されているだけであるので、容量部21aを構成する複数の内部電極層23-1〜23-nのうちで静電容量形成に寄与しない内部電極層の数を最小限に抑えて、積層セラミックコンデンサ20の静電容量の損失を極力抑制できる。
前記効果を検証するために、先に述べた製造方法に準じて所定仕様(サイズ1.0mm×0.5mm×0.5mm、内部電極層数300層、静電容量10μF、定格電圧6.3V、X7R特性)の実施品(積層セラミックコンデンサ)を1000個作製した。また、前記[未焼成積層物作製工程のステップ4]において図2(A)に示した第1の積層用シート(第1のスラリー層SL1)の代わりに図2(B)に示した第2の積層用シート(第2のスラリー層SL2)を用いて順次積み重ねを行った以外は、先に述べた製造方法に準じて略同一仕様の比較品(積層セラミックコンデンサ)を1000個作製した。
そして、実施品と比較品のそれぞれの図5(A)対応の縦断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)で観察したところ、実施品においてデラミネーションが発生していたものは0/1000個で、比較品において該デラミネーションが発生していたものでは50/1000個であった。
また、実施品と比較品のそれぞれの静電容量をLCRメータ(アジレントテクノロジー製LCRメータ4284A)を用いて、測定電圧0.5V、測定周波数1kHzで測定し、実施品の静電容量平均値と比較品の静電容量平均値を比べたところ、実施品の静電容量平均値は比較品の静電容量平均値の99.7%であった。
〈第2実施形態の変形例〉
図7は前記積層セラミックコンデンサ20の変形例を示すもので、同図に示した積層セラミックコンデンサ20’は、前記〈積層セラミックコンデンサ20の製造方法〉の[未焼成積層物作製工程のステップ4]を、「続いて、図2(A)に示した第1の積層用シートの第1のスラリー層SL1を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第1のスラリー層SL1を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第1のスラリー層SL1を熱圧着済みのペースト層PLの上面に重ねて熱圧着する作業を1回行う。そして、図2(B)に示した第2の積層用シートの第2のスラリー層SL2を所定サイズで打ち抜き、打ち抜いた第2のスラリー層SL2を吸着ヘッドAHの平坦な下面に吸い付けて搬送し、該第2のスラリー層SL2を熱圧着済みの第1のスラリー層SL1の上面に重ねて熱圧着する作業を所定回数繰り返す。」に変えて製造されたものである。
即ち、図7に示した積層セラミックコンデンサ20’は、第2保護部21b2を構成する複数の誘電体層のうちの最上位の内部電極層23-nと接する誘電体層DLのみが、酸化促進剤を含む第1のスラリー層SL1の焼結物から成る点において前記積層セラミックコンデンサ20と構造を異にするが、該積層セラミックコンデンサ20’であっても前記積層セラミックコンデンサ10と同等の効果が得られる。
10,10’…積層セラミックコンデンサ、11…コンデンサ本体、11a…容量部、11b1…第1保護部、11b2…第2保護部、12…外部電極、13-1〜13-n…内部電極層、14-1〜14-m…誘電体層、20,20’…積層セラミックコンデンサ、21…コンデンサ本体、21a…容量部、21b1…第1保護部、21b2…第2保護部、22…外部電極、23-1〜23-n…内部電極層、24-1〜24-m…誘電体層。
前記工程1(未焼成積層物作製工程)のステップ2〜4は、1番目の層上に2番目の層を重ねて熱圧着し、……n−1番目の層上にn番目の層を重ねて熱圧着する方式であるため、前記未焼成積層物の下層側は上層側に比べて圧力累積付与回数に準じた変形等のダメージを受け易い。このダメージに起因して積層セラミックコンデンサに生じる顕著な現象としては最下位の内部電極層と下から2番目の内部電極層との短絡が挙げられ、このような現象を生じると積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗が劣化してしまう。
本発明によれば、前記第1保護部と接する前記容量部の積層方向一側の内部電極層と前記第2保護部と接する前記容量部の積層方向他側の内部電極層の一方が、少なくとも該内部電極層を形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されているため、前記容量部の積層方向一側の内部電極層と該内部電極層と向き合う内部電極層とが短絡する現象を生じるような場合でも、前記容量部の積層方向一側の内部電極層は電極としての機能を失っていることから積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗が劣化することは無い。また、前記容量部の積層方向他側の内部電極層と該内部電極層と接する第2保護部の誘電体層との結合力が低下する現象を生じるような場合でも、前記容量部の積層方向他側の内部電極層が保有している酸化物によって該結合力低下を補うことができることから積層セラミックコンデンサにデラミネーションが発生することは無い。

Claims (4)

  1. 複数の内部電極層と複数の誘電体層の交互積層物から成る容量部と、複数の誘電体層の積層物から成り前記容量部の積層方向一側の内部電極層と接する第1保護部と、複数の誘電体層の積層物から成り前記容量部の積層方向他側の内部電極と接する第2保護部とを有するコンデンサ本体を備えた積層セラミックコンデンサであって、
    前記第1保護部と接する前記容量部の積層方向一側の内部電極層と前記第2保護部と接する前記容量部の積層方向他側の内部電極層の一方が、少なくとも該内部電極層を形成する金属元素を含む酸化物を保有していて絶縁体化されている、
    ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記酸化物は、前記内部電極層を形成する金属元素を含む酸化物に加えて、前記内部電極層を形成する金属元素と該金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素を含む酸化物を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記内部電極層を形成する金属元素は、ニッケルである、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記内部電極層を形成する金属元素は、ニッケルであり、
    前記内部電極層を形成する金属元素よりも標準酸化還元電位が低い金属元素は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルトのグループから選択された少なくとも1つである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
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