JP2014100983A - 船外機の吸気構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた吸気性能を実現する船外機の吸気構造を提供する。
【解決手段】第1の空気取入口42又は第2の空気取入口43から取り入れた空気をスロットルボディへと送給して吸気させる船外機の吸気構造において、第1の空気取入口42は、船外機の上部を覆うエンジンカバー4Aの前方側において、エンジンカバー4Aに回転可能に連結された蓋部材41を内側に回転することにより、前方に開口する開状態となり、第2の空気取入口43は、エンジンカバー4Aの後方側において、エンジンカバー4Aの内部に回転可能に連結された開閉部材44を内側に回転することにより、後方に開口する開状態となり、第1の空気取入口42及び第2の空気取入口43とスロットルボディとを連通する空間は、エンジンルームから隔離されて設けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、船外機に搭載されるエンジンに燃焼用空気を供給する吸気構造に関する。
エンジンカバーにより形成されるエンジンルーム内に収容される内燃機関を備える船外機において、燃焼用空気を取り入れるための開口部をエンジンカバーの後方に設ける構成が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このような船外機において、エンジンカバー内に取り入れられた空気は、エンジンルームに送り込まれる。そして、エンジンルームに収容されたエンジン近傍の空間を流れた後に燃焼室に送られる。
特開2007−8416号公報 特開2008−88881号公報
しかしながら、上記構成によれば、エンジンカバーの後方、すなわち船外機の前進方向とは反対の方向に向かって開口部を設けるため、吸気に関して、船外機外部を流れる空気の流れに逆らって空気を取り入れることとなる。このような吸気の取り入れ方では、吸気抵抗が発生して吸気効率が悪化することとなり、エンジン出力が低下するという問題がある。
また、上記構成によれば、エンジンカバー内に取り入れられた空気は、エンジン近傍を流れて、暖められた後にスロットルボディに吸い込まれて燃焼室に送られることとなる。このため、充填効率が悪化することとなり、燃焼効率や燃費が悪化するという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、吸気効率及び充填効率を向上することにより、優れた燃焼効率を実現する船外機の吸気構造を提供することを目的とする。
本発明の船外機の吸気構造は、第1の空気取入口又は第2の空気取入口から取り入れた空気をスロットルボディへと送給して吸気させる船外機の吸気構造であって、前記第1の空気取入口は、船外機の上部を覆うエンジンカバーの前方側において、前記エンジンカバーに回転可能に連結された蓋部材を内側に回転することにより、前方に開口する開状態となり、前記第2の空気取入口は、前記エンジンカバーの後方側において、前記エンジンカバーの内部に回転可能に連結された開閉部材を内側に回転することにより、後方に開口する開状態となり、前記第1の空気取入口及び前記第2の空気取入口と前記スロットルボディとを連通する空間は、エンジンルームから隔離されて設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、船外機は、前方に開口する第1の空気取入口と、後方に開口する第2の空気取入口の、2系統の空気取入口を備えることから、例えば、船体が高速で走行している場合には第1の空気取入口を開状態、第2の空気取入口を閉状態としてラム圧を最大限利用し、船体が低速で走行している場合には第1の空気取入口を閉状態、第2の空気取入口を開状態として水分等の浸入を防ぐように、手動又は自動で制御することができる。第1の空気取入口は、前方に開口することから、船体が走行することで、第1の空気取入口に走行風を直接的に流入させることができるため、エンジンカバーの後方にのみ空気取入口を設けた構成と比較して、吸気効率が大幅に向上する。また、第1の空気取入口の開閉状態を制御することにより、前方に開口する第1の空気取入口から多量の水が浸入する事態を防ぐことができることから、高い水浸入防止効果を得ることが可能となる。さらに、第1の空気取入口及び第2の空気取入口とスロットルボディとを連通する空間は、エンジンルームから隔離されて設けられていることから、燃焼用空気は、エンジンルームから隔絶された空間内の空気流通経路を経て、スロットルボディからエンジンに供給される。つまり、燃焼用空気が、エンジンに至る途中で高温のエンジンに曝されて暖められることがないので、吸気の充填効率が向上する。したがって、水浸入等を防止しながら、吸気効率及び充填効率を向上することにより、優れた燃焼効率を有する船外機の吸気構造を実現できる。
上記船外機の吸気構造においては、前記エンジンカバーの内部に膨張室を設け、前記膨張室において、前記第1の空気取入口から取り入れた空気の動圧を静圧に変換することが好ましい。この場合には、膨張室において、第1の空気取入口から取り入れた空気の動圧を静圧に変換した状態でスロットルボディに供給できるので、走行に伴って生じるラム圧を活用しながら燃焼用空気を燃焼室に供給することが可能となる。
また、上記船外機の吸気構造においては、前記空間内の空気流通経路の途中に気液分離用のセパレータを備え、前記セパレータは、前記スロットルボディの吸気口の上方を覆う平板状部分及び前記平板状部分の前端部を下方へ延出させてなるスカート部を備えることが好ましい。この場合には、第1の空気取入口及び第2の空気取入口とスロットルボディとを連通する空間の空気流通経路の途中に気液分離用のセパレータを備えることから、第1の空気取入口及び第2の空気取入口から侵入した水分等は、セパレータに衝突することで気液分離され、膨張室の底部に落下するため、水分等がスロットルボディの吸気口に入ることを防止することができる。
さらに、上記船外機の吸気構造においては、前記スロットルボディは、前記第1の空気取入口よりも後方に離間して配置されることが好ましい。この場合には、スロットルボディは、第1の空気取入口よりも後方に離間して配置されることから、第1の空気取入口とスロットルボディとの距離を長く確保することにより、その離間距離に応じて吸気の流通経路が長くなるので、吸気中に含まれる水分等を分離しやすくし、スロットルボディ側への水の浸入を有効に防止することができる。
さらに、上記船外機の吸気構造においては、前記空間の内部と外部とを連通し、前記空間の内部の水を外部に排出する排水通路が設けられており、前記排水通路には前記空間の外部から内部へ水が流入することを防止する逆流防止機構が設けられており、前記逆流防止機構は、S字管と一方向弁の両方、またはどちらか一方であることが好ましい。この場合には、排水通路には逆流防止機構が設けられているから、いったん排水通路を通じて排水された水が、逆流して膨張室の内部に戻ってくることを防止できる。
本発明によれば、吸気効率及び充填効率を向上することにより、優れた燃焼効率を実現する船外機の吸気構造を提供することが可能となる。
本実施の形態に係る船外機の外観を示す左側面図である。 上記船外機の概略構成図を示す左側面図である。 上記船外機のエンジンカバーまわりを示す断面模式図である。 上記船外機のエンジンカバーまわりを示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る吸気構造を有する船外機1の外観を示す左側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る吸気構造を有する船外機1の概略構成図を示す左側面図である。なお、以下においては、説明の便宜上、船外機1の前方を矢印Frにより示し、船外機1の後方を矢印Rrにより示すものとする。
船外機1は、搭載されたエンジン21(図2参照)による駆動力がプロペラ22に伝達されて推進力を発生する船外機本体2と、この船外機本体2を船体の船尾部(トランサム)100に取り付けるための取り付けブラケット装置3と、を含んで構成される。
図2に示すように、船外機本体2は、上部にエンジン21を搭載し、下部のプロペラ22を駆動可能としている。エンジン21としては、例えばV型6気筒エンジン等の多気筒エンジンを採用可能である。なお、エンジン21の内部構造について、ここではその詳細な説明を省略するものとする。
船外機本体2全体は、外装カバーによって覆われている。特に、エンジン21は、外装であるエンジンカバー4によって覆われている。エンジンカバー4は、その上部まわりを覆う上部カバー又はトップカバーを構成するエンジンカバー4Aと、下部カバー又はロアカバーを構成するエンジンカバー4Bと、が一体的に結合して構成される。このようなエンジンカバー4によって、エンジン21が収容されるエンジンルーム内は密閉構造となり、外気から遮断される。
エンジンカバー4Aと、エンジンカバー4Bとの間には、後述するアンダプレート5が配置されている。エンジン21は、このアンダプレート5とエンジンカバー4Bとにより形成されるエンジンルーム内に配置されている。エンジンカバー4Aにより形成される空間は、アンダプレート5によりエンジンルームから実質的に隔絶された状態となっている。
エンジン21は、クランクシャフト23が鉛直方向を向くように縦置きに搭載される。クランクシャフト23には、ドライブシャフト24が連結される。また、プロペラ22は、プロペラシャフト25の一端部に取り付けられている。この構成により、エンジン21の回転力は、ドライブシャフト24を介してプロペラシャフト25へ伝達され、プロペラ22が正転又は逆転する。これにより、船体は前進(フォワード)側又は後進(リバース)側の推進力を得る。
エンジン21には、エンジン21への吸入空気量を制御する図示しないスロットルボディが接続されている。このスロットルボディの上端面、すなわち吸気通路の上端部は、エンジンカバー4Aの下側にて上方へ開口するスロットルボディ連結管7に接続されている。スロットルボディ連結管7は、エンジンルームの後端寄りに配置される。
取り付けブラケット装置3は、クランプブラケット31及びスイベルブラケット32を備えて構成される。クランプブラケット31は、船体の船尾部100に着脱可能に設けられている。スイベルブラケット32は、船外機本体2を水平方向に回転可能に支持すると共に、スイベルシャフト33を介して、船外機本体2をクランプブラケット31に対して鉛直方向に回転可能に支持する。この構成により、船外機本体2は、船体に対して水平方向(操舵方向)及び鉛直方向(チルト方向に)にそれぞれ旋回可能な状態で取り付けられる。
図3及び図4は、エンジンカバー4Aまわりを示す断面模式図である。図3Aは、図3BにおけるB−B線矢視断面模式図である。図4Aは、図4BにおけるC−C線矢視断面模式図である。エンジンカバー4Aは、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)等を成形して構成される。エンジンカバー4Aは、概して下方側に開口した形状を有する。また、エンジンカバー4Aは、上面視にて概して前後方向に長い楕円形状を有し、全体として上方へ凸となるように湾曲して設けられている。
また、エンジンカバー4Aは、その前方側において、カバーの一部を構成する蓋部材41がヒンジ41aによってエンジンカバー4Aの内側に回転可能(開閉可能)に連結されている。図3Bに示す開位置において、ヒンジ41aまわりに内側に回転した蓋部材41は、エンジンカバー4Aの前方を開放して固定される。このとき、エンジンカバー4Aに設けられた第1の空気取入口42が開状態となる。また、図4Bに示す閉位置において、ヒンジ41aまわりに内側に回転した蓋部材41は、エンジンカバー4Aの前方を閉塞して固定される。このとき、エンジンカバー4Aに設けられた第1の空気取入口42が閉状態となる。
また、エンジンカバー4Aは、その後端部に、船外機1の上下方向に互いに略平行な複数のスリット状の第2の空気取入口43を備えている。エンジンカバー4Aの内部には、第2の空気取入口43に開閉機能を付加する開閉部材44が設けられている。開閉部材44は、第2の空気取入口43に装着されており、第2の空気取入口43の開閉状態を切り換えるためのものである。図3Aに示す閉位置において、開閉部材44は、第2の空気取入口43を閉塞して固定される。このとき、エンジンカバー4Aに設けられた第2の空気取入口43が閉状態となる。また、図4Aに示す開位置において、開閉部材44は、ヒンジ44aまわりに内側に回転移動し、第2の空気取入口43を開放して固定される。このとき、エンジンカバー4Aに設けられた第2の空気取入口43が開状態となる。
エンジンカバー4Aは、概して上方へ凸状の曲面あるいは曲線で形成され、全体として丸みを帯びた形態となっている。エンジンカバー4Aの内側は、かかる外形形状に略対応する中空構造を有し、第1の空気取入口42及び第2の空気取入口43を介してエンジンカバー4Aの内外が連通する。
次に、エンジンカバー4Aの内部の構成について説明する。
エンジンカバー4Aとエンジンカバー4Bとの間には、アンダプレート5が配置されている。アンダプレート5は、エンジンカバー4Aの下方側の開口を塞ぐようにエンジンカバー4Aに重ねて配置されている。この構成により、エンジンカバー4Aとアンダプレート5との間には、膨張室6が形成される。アンダプレート5を設けることによって、膨張室6は、エンジンカバー4B内に形成されているエンジンルームと実質的に隔絶される。膨張室6は、第1の空気取入口42から取り入れた空気の動圧を静圧に変換する作用を有する。膨張室6において、第1の空気取入口42から取り入れた空気の動圧を静圧に変換した状態でスロットルボディに供給できるので、走行に伴って生じるラム圧を活用しながら燃焼用空気を燃焼室に供給することが可能となる。
アンダプレート5は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等を成形して構成される。また、アンダプレート5は、エンジンカバー4Aと同様に、上面視にて概して前後方向に長い楕円形状を有し、下方へ凸となるように屈曲して底部51が設けられている。底部51は、後方から前方へ向かって徐々に深くなるように形成されている。底部51には、排水孔52及び空気流ガイド用のガイド台座53が設けられており、ガイド台座53の上方にはセパレータ54が配置されている。
排水孔52は、底部51の前端部に設けられており、排水管8の上端が接続されている。膨張室6に溜まった水は、排水孔52及び排水管8で構成される排水通路を通って、外部に排出される。排水孔52は、底部51の前端部、すなわち、底部51において最も低い位置に設けられているため、船外機1がチルト動作した場合を含めて排水孔52から排水可能となる。
排水管8により構成される排水通路の途中には、排水の逆流を防止する逆流防止機構が設けられている。逆流防止機構として、排水管8をS字状に湾曲又は屈曲した屈曲部8aを有するS字管とする構成が適用できる。排水管8の屈曲部8aは、水の流通の妨げとなるから、水が排水管8を逆流することを防止又は抑制できる。また、逆流した水は、屈曲部8aにおいて勢いが減衰されるから、水が膨張室6に逆流することを防止できる。さらに、水を含んだ空気が逆流した場合には、空気に含まれる水が屈曲部8aの内壁面に衝突して空気と水とが分離される。このため、水が膨張室6に逆流することを防止できる。
また、逆流防止機構として、例えば図3Bに示すように矢印Wで示す排水方向にのみ排水が流通可能となる一方向弁9を配置してもよい。なお、逆流防止機構としては、屈曲部8aと一方向弁9の一方のみを備える構成であってもよく、両方を備える構成であってもよい。
ガイド台座53は、アンダプレート5の後端寄りに配置されたスロットルボディ連結管7の上端開口部7aを取り囲むように、底部51から上方に突出して設けられている。ガイド台座53は、例えば略円錐台形状を有し、その上部には開口部53aが設けられている。開口部53aは、スロットルボディ連結管7の上端開口部7aに対応するように設けられている。また、ガイド台座53の外周面は、開口部53aに向けて傾斜する傾斜面53bを構成する。
セパレータ54は、上方に開口するスロットルボディ連結管7への水分等の浸入を防止するために設けられる。セパレータ54は、スロットルボディ連結管7の開口部7a上を覆う平板状部分54aと、平板状部分54aの前端縁に沿って折り曲げ加工を施して形成された下方側へ延出するスカート部54bと、を備えて構成される。平板状部分54aの側面縁及び後端縁は、アンダプレート5の内壁面に連結される。
スカート部54bは、その下端部が、ガイド台座53の開口部53aより下方であって、アンダプレート5の底部51より上方に位置するように構成される。また、スカート部54bは、その下端部が、第1の空気取入口42の下端部よりも下方に位置するように構成される。
次に、上記のように構成された船外機1において、エンジン21に供給される燃焼用吸気の流れについて説明する。
第1の空気取入口42を開状態とした場合、船外機1を搭載した船体が走行することにより、エンジンカバー4Aの前方に開口する第1の空気取入口42から外気が流入する。第1の空気取入口42から取り込まれた空気は、図3Bにおいて破線矢印Aで示すように、膨張室6内へ入り、セパレータ54のスカート部54bの下側を通過して、ガイド台座53の開口部53aからスロットルボディ連結管7の上端開口部7aよりスロットルボディへと供給される。
このとき、水しぶきや吸気中に含まれる水分等は、図3Bにおいて矢印Wで示すように、セパレータ54に衝突することで気液分離され、アンダプレート5の底部51に落下する。アンダプレート5の底部51は前下がりの傾斜面であるため、水は前方に向かって(すなわち、スロットルボディとは反対側に向かって)流下する。そして、流下した水は、底部51の前部に溜まり、排水孔52から排水管8へ流下する。その後、水は船外機1の外部へ排水される。
第2の空気取入口43を開状態とした場合、エンジンカバー4Aの後方に開口する第2の空気取入口43から外気が流入する。第2の空気取入口43から取り込まれた空気は、図4Bにおいて破線矢印Aで示すように、膨張室6内へ入り、セパレータ54のスカート部54bの下側を通過して、ガイド台座53の開口部53aからスロットルボディ連結管7の上端開口部7aよりスロットルボディへと供給される。
このとき、水しぶきや吸気中に含まれる水分等は、図4Bにおいて矢印Wで示すように、セパレータ54に衝突することで気液分離され、アンダプレート5の底部51に落下する。アンダプレート5の底部51は前下がりの傾斜面であるため、水は前方に向かって(すなわち、スロットルボディとは反対側に向かって)流下する。そして、流下した水は、底部51の前部に溜まり、排水孔52から排水管8へ流下する。その後、水は船外機1の外部へ排水される。
すなわち、第1の空気取入口42又は第2の空気取入口43から膨張室6に水分等が浸入したとしても、当該水分等がスロットルボディ連結管7の上端開口部7aからスロットルボディの吸気口10に流入することは妨げられる。特に、ガイド台座53の開口部53aは、膨張室6の後部寄りに設けられているから、膨張室6の内部に浸入した水は、スロットルボディの吸気口10から遠ざかる向きに流下する。このため、膨張室6の内部に浸入した水が、スロットルボディの吸気口10に向かって流れることや、スロットルボディの吸気口10の近傍に停留することを効果的に防止できる。
そして、排水管8には逆流防止機構が設けられているから、いったん排水通路を通じて排水された水が、逆流して膨張室6の内部に戻ってくることを防止できる。また、排水通路を通じて船外機1の外部から膨張室6の内部に水が浸入することもない。
排水孔52は、船外機1がチルトした場合であっても、常に底部51の最低部に位置するように設けられている。このため、船外機1の姿勢にかかわらず、膨張室6の内部に浸入した水を速やかに排出することができる。
船外機1には、第1の空気取入口42及び第2の空気取入口43の2系統の空気取入口が設けられている。これらの空気取入口は、例えば、船体が高速で走行している場合には第1の空気取入口42を開状態、第2の空気取入口43を閉状態としてラム圧を最大限利用し、船体が低速で走行している場合には第1の空気取入口42を閉状態、第2の空気取入口43を開状態として水分等の浸入を防ぐように、手動又は自動で制御することができる。
船外機1において、第1の空気取入口42は、蓋部材41をエンジンカバー4Aの内側に回転することにより開状態となる。そのため、エンジンカバー4Aの外側には突起物がなく、釣糸や漁網などがひっかかることがない。
本発明の実施の形態に係る船外機1においては、船外機1の上部を覆うエンジンカバー4Aに第1の空気取入口42を設けると共に、この第1の空気取入口42が前方に向けて開口している。この構成により、船体が走行することで、第1の空気取入口42に走行風を直接的に流入させることができるため、エンジンカバーの後方にのみ空気取入口を設けた構成と比較して、吸気効率が大幅に向上し、エンジン21の燃焼効率を向上させることが可能となる。
また、船外機1における吸気構造は、エンジンカバー4Aの内側の空間、すなわち膨張室6において、第1の空気取入口42又は第2の空気取入口43から取り入れた空気をスロットルボディの吸気口10へと送給して吸気させる。吸気構造において、第1の空気取入口42及び第2の空気取入口43とスロットルボディとを連通する空間である膨張室6は、アンダプレート5によってエンジンルームから隔離されている。したがって、吸気構造はエンジンルーム内のエンジン21から隔離された状態でその上方に配置されている。
第1の空気取入口42又は第2の空気取入口43から取り込まれた空気は、膨張室6へ入り、図3B、図4Bにおいて破線矢印Aで示すように、セパレータ54のスカート部54bの下側へ入り込んだ後、ガイド台座53の開口部53aからスロットルボディ連結管7の上端開口部7aからスロットルボディの吸気口10へと供給される。このように燃焼用空気は、エンジンルームから隔絶された空間内の空気流通経路を経て、スロットルボディからエンジン21に供給される。つまり、燃焼用空気が、エンジン21に至る途中で高温のエンジン21に曝されて暖められることがないので、吸気の充填効率が高くなり、エンジン21の燃焼効率を向上させることが可能となる。
また、第1の空気取入口42から多量の水が浸入した場合であっても、浸入した水はセパレータ54の平板状部分54aに落下し、さらにスカート部54bを伝ってアンダプレート5の底部51に落下する。そのため、膨張室6内部に浸入した水が、スロットルボディ連結管7の上端開口部7aを介してスロットルボディの吸気口10に直接入ることはない。すなわち、セパレータ54の平板状部分54aがスロットルボディ連結管7及びスロットルボディの吸気口10の天井壁となって、浸入した水に対して遮蔽板として機能するため、高い水浸入防止効果が得られる。なお、平板状部分54aの側面縁及び後端縁は、アンダプレート5の内壁面に連結されるため、平板状部分54aの側面縁及び後端縁を伝って水が浸入することもない。
このように、第1の空気取入口42を前方に開口させることで吸気し易くしつつも、吸気以外の水しぶき等は第1の空気取入口42に入らないようにすることで、高い吸気性能を実現することができる。
また、船外機1の上部を覆うエンジンカバー4Aの上面に第1の空気取入口42を設けるため、第1の空気取入口42は船外機1において最も高い位置に配置される。この構成により、第1の空気取入口42の前方には流入空気に対する障害物等ができるだけ少なくなり、第1の空気取入口42に対して円滑な流入空気流が得られる。また、第1の空気取入口42は水面からより高い位置に配置されるため、波しぶき等の浸入を有効に防止することができる。
また、船外機1において、スロットルボディは、第1の空気取入口42よりも後方に離間して配置される。すなわち、第1の空気取入口42はエンジンカバー4Aにおける前端寄りに配置され、スロットルボディ連結管7はエンジンカバー4Aにおける後端寄りに配置される。このように、第1の空気取入口42とスロットルボディとの距離を長く確保することにより、その離間距離に応じて吸気の流通経路が長くなるので、吸気中に含まれる水分等を分離しやすくし、スロットルボディ側への水の浸入を有効に防止することができる。また、第1の空気取入口42とスロットルボディとの離間距離を長くすることにより、膨張室6の容積を大きくし、吸気の充填効率を高めることができる。
さらに、船外機1において、第1の空気取入口42の下端部を、セパレータ54のスカート部54bの下端部よりも上方に配置している。この構成により、第1の空気取入口42から多量の水が浸入した場合でも、浸入した水をセパレータ54の平板状部分54aの上面に確実に落下させることができる。また、第1の空気取入口42から侵入した水は、セパレータ54の平板状部分54a、あるいはスカート部54bのどちらかに接触してからアンダプレート5の底部51に落下する。したがって、第1の空気取入口42から侵入した多量の水がアンダプレート5の底部51に直接落下し、その水しぶきがスロットルボディ連結管7の上端開口部7aに入り込む事態を避けることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
本発明の吸気構造は、船外機のほか、例えば水上バイクに適用することも可能である。
1 船外機
2 船外機本体
21 エンジン
22 プロペラ
23 クランクシャフト
24 ドライブシャフト
25 プロペラシャフト
3 取り付けブラケット装置
31 クランプブラケット
32 スイベルブラケット
33 スイベルシャフト
4,4A,4B エンジンカバー
41 蓋部材
41a ヒンジ
42 第1の空気取入口
43 第2の空気取入口
44 開閉部材
44a ヒンジ
5 アンダプレート
51 底部
52 排水孔
53 ガイド台座
53a 開口部
53b 傾斜面
54 セパレータ
54a 平板状部分
54b スカート部
6 膨張室
7 スロットルボディ連結管
7a 上端開口部
8 排水管
8a 屈曲部
9 一方向弁
10 スロットルボディの吸気口
100 船尾部

Claims (5)

  1. 第1の空気取入口又は第2の空気取入口から取り入れた空気をスロットルボディへと送給して吸気させる船外機の吸気構造であって、
    前記第1の空気取入口は、船外機の上部を覆うエンジンカバーの前方側において、前記エンジンカバーに回転可能に連結された蓋部材を内側に回転することにより、前方に開口する開状態となり、
    前記第2の空気取入口は、前記エンジンカバーの後方側において、前記エンジンカバーの内部に回転可能に連結された開閉部材を内側に回転することにより、後方に開口する開状態となり、
    前記第1の空気取入口及び前記第2の空気取入口と前記スロットルボディとを連通する空間は、エンジンルームから隔離されて設けられていることを特徴とする船外機の吸気構造。
  2. 前記エンジンカバーの内部に膨張室を設け、前記膨張室において、前記第1の空気取入口から取り入れた空気の動圧を静圧に変換することを特徴とする請求項1記載の船外機の吸気構造。
  3. 前記空間内の空気流通経路の途中に気液分離用のセパレータを備え、前記セパレータは、前記スロットルボディの吸気口の上方を覆う平板状部分及び前記平板状部分の前端部を下方へ延出させてなるスカート部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の船外機の吸気構造。
  4. 前記スロットルボディは、前記第1の空気取入口よりも後方に離間して配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の船外機の吸気構造。
  5. 前記空間の内部と外部とを連通し、前記空間の内部の水を外部に排出する排水通路が設けられており、
    前記排水通路には前記空間の外部から内部へ水が流入することを防止する逆流防止機構が設けられており、
    前記逆流防止機構は、S字管と一方向弁の両方、またはどちらか一方であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の船外機の吸気構造。
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