JP2014097024A - 米粉パン用ミックス粉、米粉パン用キット、パン生地、及びパン - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の目的は、本発明は、米粉を原料としてなる米粉パンにおいて、グルテン、グルタチオンを添加する事なく、食味良く、乾燥に強く、かつ焼成後極めて寸法変化の小さい米粉パンを提供する事にある。
【解決手段】
本発明の米粉パン用ミックス粉は、米粉と、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部の粉末セルロースと、2.5〜5重量部の水溶性セルロースエーテルとを含有することを特徴とする。また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記米粉の平均粒度が、30〜80μmであること特徴とする。また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記粉末セルロースが、繊維状であることを特徴とする。
【選択図】なし
本発明の目的は、本発明は、米粉を原料としてなる米粉パンにおいて、グルテン、グルタチオンを添加する事なく、食味良く、乾燥に強く、かつ焼成後極めて寸法変化の小さい米粉パンを提供する事にある。
【解決手段】
本発明の米粉パン用ミックス粉は、米粉と、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部の粉末セルロースと、2.5〜5重量部の水溶性セルロースエーテルとを含有することを特徴とする。また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記米粉の平均粒度が、30〜80μmであること特徴とする。また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記粉末セルロースが、繊維状であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、米粉パン用ミックス粉、米粉パン用キット、パン生地、及びパンに関し、特に、米粉を用いた米粉パン用ミックス粉、米粉パン用キット、パン生地、及びパンに関する。
通常、発酵パンの主原料として利用されているのは、小麦粉またはライ麦粉であり、小麦パンはふっくら膨らんだ食感が好まれている。これら小麦粉に含まれるタンパク質のグリアジンとグルテニンを、加水、混練を行う事によりガム状の粘弾性を有するグルテンとし、これが発酵で生じる炭酸ガスを生地中に包蔵する機能を発揮し、発酵パンの容積拡大に繋がることが知られている。
一方、日本の食糧自給率を向上するために、米粉を小麦粉の替わりに利用した米粉パンの普及が進んでいる。しかし米のタンパク質にはグリアジン、グルテニンが含まれておらず、グルテンを形成させる事ができず、発酵中に生じる炭酸ガスを包蔵させる為、従来、別途グルテンを添加する必要があった。例えば、グルタチオンを添加する方法、プラスチック発泡成形の原理を応用した製パン方法のほか、米粉にグルテン及びマルトースを含有させる方法(特許文献1)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1を含め、これら方法を使用した米粉パン製品は、いずれも風味に劣り、かつ焼き上がり後、急速に乾燥し生地が固くなり、時間を経ると、その寸法が縮むという問題があり、またグルテン添加の場合、小麦アレルギーの消費者がそれを食べる事ができないという問題点があった。
したがって、本発明の目的は、本発明は、米粉を原料としてなる米粉パンにおいて、グルテン、グルタチオンを添加する事なく、食味良く、乾燥に強く、かつ焼成後極めて寸法変化の小さい米粉パンを提供する事にある。
上記目的を達成するために、本発明者は、米粉に加えて種々の成分について鋭意検討を行った結果、本発明を見出すに至った。
すなわち、本発明の米粉パン用ミックス粉は、米粉と、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部の粉末セルロースと、2.5〜5重量部の水溶性セルロースエーテルとを含有することを特徴とする。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記米粉の平均粒度が、30〜80μmであること特徴とする。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記粉末セルロースが、繊維状であることを特徴とする。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記粉末セルロースの平均粒子径が、20〜90μmであることを特徴とする。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記水溶性セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記水溶性セルロースエーテルのエーテル化度が、0.55〜1.0mmol/C6であることを特徴とする。
また、本発明の米粉パン用キットは、本発明の米粉パン用ミックス粉と、ドライイースト及び/又はパン酵母と、添加物と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の米粉パン用キットの好ましい実施態様において、前記添加物が、糖類、塩、又はバターの少なくとも1種であることを特徴とする。
また、本発明のパン生地は、本発明の米粉パン用ミックス粉と、ドライイースト及び/又はパン酵母と、糖類と、塩と、バターとを混合して加水し、混捏することにより得られることを特徴とする。
また、本発明のパンは、本発明のパン生地を、発酵させた後に焼成することを特徴とする。
本発明の米粉パン用ミックス粉によれば、粉末セルロースを配合する事により寸法安定性を持たせ、縮みの改良を行うとともに、水溶性セルロースエーテルを配合する事により、炭酸ガスを米粉パン内に包蔵させ、容積拡大を行うことが可能な米粉パンを提供することできるという有利な効果を奏する。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉によれば、種々のパンをキャンプや屋外等でも簡単に作ることができるというこれまでにないパンの簡単製法を提供可能であるという有利な効果を奏する。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉、前記米粉パン用ミックス粉を使用したパン生地及びパンによれば、グルテン、グルタチオンを添加しない米粉パンを提供することができるという有利な効果を奏する。また、他に小麦由来、乳、卵由来の原料を添加しない場合、小麦、乳、卵アレルギー対応のパンを消費者に提供することができるという有利な効果を奏する。
本発明の米粉パン用ミックス粉は、米粉と、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部の粉末セルロースと、2.5〜5重量部の水溶性セルロースエーテルとを含有することを特徴とする。本発明で用いられる米粉は、特に限定さえるものではない。一般に、米粉は、粳米の生米を精米し粉砕、粉末化したもので、粉砕する前の生米としては、精白米、玄米、屑米、古米などを挙げることができるが、特に制限されることなく、本発明において、米粉として用いることができる。
前記米粉の製粉方法は、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉、ピンミル製粉のいずれの方法も用いられるが、本発明において、米粉は、損傷澱粉の割合及び平均粒度の観点から湿式気流粉砕機により製粉された米粉が望ましい。
本発明においては、粉末セルロースのみならず、水溶性セルロースエーテルをも含有するが、これは、2つの成分の以下の相乗効果をねらったものである。すなわち、粉末セルロース、好ましくは微小繊維状セルロースを配合する事により寸法安定性を持たせ、縮みの改良を行うことが可能である。そして、水溶性セルロースエーテルを配合する事により、炭酸ガスを米粉パン内に包蔵させ、容積拡大を行うことが可能である。本発明においては、このような相乗効果を期待して、2成分を含有する。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記米粉の平均粒度が、30〜80μmであること特徴とする。すなわち、米粉としては、損傷澱粉が5%以下と少なく、製パン性の観点から、平均粒度が30〜80μmと細かいものが好ましく、損傷澱粉が4%以下で、平均粒度30〜50μmが特に好ましい。平均粒度の測定方法については、米粉業界通例で行う「メッシュパス」でおおよその粒子径を測定する方法によるものである。具体的には、ザル状の篩を使用し刷毛でこすり、何メッシュの金網を通ったものが、結果的に何μmであるかによって定めることができる。したがって、より正確には、平均粒度としては、最低150メッシュパス、最高330メッシュパスの平均粒度が30〜80μmである事を特徴とするということができる。また該米粉の水分率は、製パン性の観点から、10〜15%が好ましい。
また、本発明に用いる粉末セルロースについても特に限定されない。本発明の米粉パン用ミックス粉の好ましい実施態様において、前記粉末セルロースが、繊維状であることを特徴とする。例えば、粉末セルロースとしては、微小繊維状であり、粉末セルロースは、精製されたパルプを原料に、加水分解もしくは機械粉砕を行われたものが用いられる。
また、好ましい実施態様において、前記粉末セルロースの平均粒子径が、20〜90μmである。平均粒子径の測定方法については、レーザー回折・散乱法を用いて行うことができる。この方法は、レーザ―回折・散乱式の粒度分析法であり、通常サブミクロン領域からmm程度の粒子径サイズの測定に用いられている。
粉末セルロースの平均粒子径としては、パンの寸法保持の観点から、中でも平均粒子径20〜90μmが好ましく、食感を重視する場合は平均粒子径20〜50μm程度のものが特に好ましい。具体的には日本製紙ケミカル(株)製の、商品名KCフロックW-400G、KCフロックW-50S、NPファイバーW-100F等を好適に用いることができる。前記粉末セルロースの添加量は、パンの寸法保持の観点から、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部が好ましく、5〜13重量部が特に好ましい。
また、本発明に用いられる水溶性セルロースエーテルとしても特に限定されない。例えば、好ましい実施態様において、カルボキシメチルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを例示することができる。パンの雑味排除の観点から、前記の水溶性セルロースエーテルは、セルロースに親水性のカルボキシメチル基を導入し、水溶性にしたもの、カルボキシメチルセルロースを用いることができる。中でも、作業特性、化学的安定性の観点から、エーテル化度0.55〜1.0mol/C6のものが好ましく、具体的にはダイセルファインケム(株)製のCMCダイセル1190、日本製紙ケミカル(株)サンローズF等を好適に用いる事ができる。
前記水溶性セルロースエーテルの添加量は、前記米粉100重量部に対して、パンにおける“すだち”形成の観点から、2.5〜5部が好ましく、3〜4重量部が特に好ましい。なお、すだちとはパン内の気泡分散を示す言葉である。
また、本発明の米粉パン用キットは、本発明の米粉パン用ミックス粉と、ドライイースト及び/又はパン酵母と、添加物と、を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の米粉パン用キットには、前記米粉、粉末セルロース、より好ましくは微小繊維状粉末セルロース、水溶性セルロースエーテルを含む上述の本発明の米粉パン用ミックスの他に、ドライイースト及び/又はパン酵母、及び水または炭酸水を含むことができ、更に通常の小麦粉パンと同様に、食塩、砂糖、脱脂粉乳、油脂、卵、大豆レシチンなどを含むことができる。ここで、微小繊維状粉末セルロースとは、繊維長、50μm以下のものを微小繊維状粉末セルロースという。
本発明の米粉パン用キットの好ましい実施態様において、前記添加物が、糖類、塩、又はバターの少なくとも1種又はそれ以上であることを特徴とする。これら添加物については、特に制限されるものではなく、パンの用途に応じて、適宜設定することができ、市販品のものを任意に使用することができる。なおアレルギー対応の観点から、必要に応じて脱脂粉乳、ベーキングパウダー、卵を使用しなくても良い。また、前記パン酵母はドライイーストなど市販品を使用することも可能であるが、小麦アレルギー対応の観点からバインダー、培養時に小麦を原料として使用しない、生酵母を使用することが望ましい。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉を使用したパン生地の製造方法は、米粉と、水と、パン酵母と、糖類とを混捏する工程からなるパン生地の製造方法であって、前記米粉に加えて、粉末セルロースと、水溶性セルロースエーテルとを配合する工程を有することを特徴とする。米粉と、水と、パン酵母と、糖類とを混捏する工程については、常法により特に限定されない。また、米粉、粉末セルロース、水溶性セルロースエーテルについては、上述した本発明の米粉パン用ミックス粉における説明をそのまま適用することができる。
すなわち、本発明に用いる粉末セルロースについても特に限定されない。例えば、粉末セルロースとしては、微小繊維状であり、粉末セルロースは、精製されたパルプを原料に、加水分解もしくは機械粉砕を行われたものを用いることができる。
また、前記粉末セルロースの平均粒子径が、20〜90μmであることが好ましい。すなわち、パンの寸法保持の観点から、中でも平均粒子径20〜90μmが好ましく、食感を重視する場合は平均粒子径20〜50μm程度のものが特に好ましい。具体的には日本製紙ケミカル(株)製の、商品名KCフロックW-400G、KCフロックW-50S 、NPファイバーW-100F等を好適に用いることができる。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉を使用したパン生地の製造方法の好ましい実施態様において、前記粉末セルロースの配合量が、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部であることを特徴とする。すなわち、前記粉末セルロースの添加量は、パンの寸法保持の観点から、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部が好ましく、5〜13重量部が特に好ましい。
また、本発明に用いられる水溶性セルロースエーテルとしても特に限定されない。例えば、好ましい実施態様において、カルボキシメチルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを例示することができる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロピル基を有し、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチル基を有する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用した系は、焼成後、特有の臭気(臭い)が発生するので、臭いを抑えるという観点から、前記の水溶性セルロースエーテルは、セルロースに親水性のカルボキシメチル基を導入し、水溶性にしたもの、カルボキシメチルセルロースを用いることができる。カルボキシメチルセルロースは、無味無臭である。中でも、作業特性、化学的安定性の観点から、エーテル化度0.55〜1.0mol/C6のものが好ましく、具体的にはダイセルファインケム(株)製のCMCダイセル1190、日本製紙ケミカル(株)サンローズF等を好適に用いる事ができる。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉を使用したパン生地の製造方法の好ましい実施態様において、前記水溶性セルロースエーテルの配合量が、前記米粉100重量部に対して、2.5〜5重量部であることを特徴とする。前記水溶性セルロースエーテルの添加量は、前記米粉100重量部に対して、パンにおける「すだち」形成の観点から、2.5〜5重量部が好ましく、3〜4重量部が特に好ましい。
また、本発明の米粉パン用ミックス粉を使用したパン生地は、上述した本発明の米粉パン用ミックス粉と、ドライイースト及び/又はパン酵母と、糖類と、塩と、バターとを混合して加水し、混捏することにより得られることを特徴とする。加水時に水の替わりに市販の炭酸水を使用することで、より膨らみのある米粉パンを作ることが可能である。前記加水量は、水分率が11〜12%の米粉を用いた場合、水、炭酸水ともに米粉100重量部に対して、製パン性の観点から、110〜300重量部、より好ましくは、150〜275重量部、さらに好ましくは、250〜275重量部である。なお生地に牛乳や卵等の液体成分を混合する場合は、前記加水量にこれらの液体成分中の水分も加えることができる。該混捏はミキサー、ハンドミキサーその他の任意の装置を用いて行うことができる。該混捏は、製パン性の観点から、高速で2分程度混合、生地がなめらかな状態になるまで行うことが好ましい。
また、本発明のパンは、本発明のパン生地を、発酵させた後に焼成したことを特徴とする。発酵、焼成については特に限定されない。例えば、前記混捏した生地を50℃の湯で10〜20分間発酵させ、所定形状に成型した後に、ベーカリーオーブン、オーブン機能つき電子レンジなど任意の装置を用い、230〜250℃の温度条件で30〜50分程度焼成して、パンとすることができる。このようにして得られた米粉パンは、食パン、コッペパン、フランスパン等の発酵により得られるパンなど多種多様に及ぶが、本発明の米粉組成物、及び製造方法により得られるものであればこれらに限定されるものではない。
また、得られた米粉パンは、水分量低下など劣化などが少なく、冷蔵または冷凍保存することも容易である。
ここで、本発明の米粉パン用ミックス粉の使用例の一つを説明すると以下の通りである。本発明の米粉パン用ミックスを使用すれば、混捏して、フライパン等で焼くだけで手軽にパンを作ることができる。すなわち、フライパン以外に道具が不要であるという利点を有する。本発明の米粉用ミックス粉は、適当な梱包容器、梱包材、梱包用袋等に保存可能である。例えば、袋の中に米粉パン用ミックス粉が入っており、当該袋を用いて混捏を行う例は以下の通りである。尚、保存する袋は特に限定されず、既存の袋を使用することができる。
本発明の米粉パン用ミックス粉が入った袋に切り口を作り、前記ミックス粉へ、ドライイースト、糖類、塩などの添加物を混ぜることができる。その後、軽くもんで材料をなじませることができる。そして前記ミックス粉と前記添加物との混合物へ加水して、必要に応じて30秒から数分間混捏する。さらに、バターを混ぜて混捏する。ぬるま湯、例えば、38〜40℃程のぬるま湯が入ったボールを用意し、前記袋をボールに入れて、発酵させることができる。気泡ができてくれば発酵している証拠である。このようにして、非常に簡単にパン生地を製造することができる。
パン生地を焼成すれば、本発明のパンを得ることができる。焼成は、手軽なフライパンを使用することできる。また、本発明においては、電子レンジを使用して焼成することもできる。
ここで、本発明の実施例を説明するが、本発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
本実施例の米粉パン用ミックス粉を用いたパン生地には、表1に示す組成、配合割合を用いた。
表1において、米粉は、商品名:こしひかりKS(たかい食品(株)製)を用いた。当該米は新潟県産の粳米を精米し、湿式気流粉砕を行ったもので、損傷澱粉4%、平均粒度30μmである。微小繊維状セルロースは、商品名KCフロックW-400G(日本製紙ケミカル(株)製)を用いた。該当微小繊維状セルロースは平均粒子径24μmである。水溶性セルロースエーテルとしては、カルボキシメチルセルロースを用い、具体的には、商品名CMCダイセル1190(ダイセルファインケム(株)製)を用いた。該当水溶性セルロースエーテルはエーテル化度0.7mol/C6である。
次に、前記米粉パン用ミックス粉に表1に記載の添加物等を加えた組成物を用い、ミキシングは商品名K5SS(関東混合機工業(株)社製)を使用し、高速で2分撹拌後、50℃で20分発酵させ、生地を製造した。
該生地を型に流し込み、商品名MRO-JV300(日立ホームアプライアンス社製)のオーブン機能を使用し、230℃で40分焼成し、パンを製造した。
また効果確認の為、表2に示す微小繊維状セルロースと水溶性セルロースを省いた組成、配合割合を用い、比較試験を行った。
表1処方、表2処方のパンにおいて、焼成後のパンを、培養器2-2195((株)いすず製作所製)に温度35℃、湿度35%の条件で24時間、48時間、72時間放置後の幅の寸法測定、及びFD-600((株)ケット科学研究所製)を用い、パン外皮部の内部の水分保持率の測定を行った。結果を表3に示す。
上記表3の示すとおり、表1の処方を用い焼成されたパンには寸法変化が少なく、水分保持率も表2処方に対し優位性が大いに認められた。
次に、本発明の米粉パン用ミックス粉を使用して、手軽にパンが製造できるかを試みた。なお、粉末セルロース繊維としては、日本製紙ケミカル社製「NPファイバー W-100F」平均粒子径37μmのものを用いた。包装材料仕様としては、サイズとして、W350×H250mmの大きさの袋を使用して、当該袋へ本発明の米粉パン用ミックス粉を梱包した。袋の使用材質としては、静電防止PET12/PE20/静電防止LL50であった。なお、サイズ、材質は特に限定されるものではなく、内容量(今回は300g入れ目)に応じて適宜変更可能である。
パンの焼成には、フライパンを使用した。前記袋の中に入った米粉パン用ミックス粉を用いて、まず、袋に切り口を作り、ドライイースト、糖類、塩などの添加物を米粉用ミックス粉と混ぜる。その後、軽くもんで材料をなじませ、そして前記ミックス粉と前記添加物との混合物へ加水して1分間混捏する。さらに、バターを入れ、袋を閉じて、3〜5分間混捏する。38〜40℃程のぬるま湯が入ったボールを用意し、前記袋をボールに入れて、15分くらい発酵させる。気泡を観察し、パン生地を得る。
パン生地をフライパンに絞りだす。フライパンのふたをして、弱火で5分、ひっ繰り返して5分焼き、焼き目がついたところで火を落とす。このようにして非常に手軽にパンを作ることが可能となった。
近年、米粉の有効利用が重要な課題となっており、米粉は、米、パン等の主食成分にとって代わることが可能であることから、本技術は、広範な分野において応用可能である。
Claims (10)
- 米粉と、前記米粉100重量部に対して、1〜15重量部の粉末セルロースと、2.5〜5重量部の水溶性セルロースエーテルとを含有する米粉パン用ミックス粉。
- 前記米粉の平均粒度が、30〜80μmであること特徴とする請求項1記載の米粉パン用ミックス粉。
- 前記粉末セルロースが、繊維状である請求項1記載の米粉パン用ミックス粉。
- 前記粉末セルロースの平均粒子径が、20〜90μmであることを特徴とする請求項1又は3のいずれか1項に記載の米粉パン用ミックス粉。
- 前記水溶性セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項1記載の米粉パン用ミックス粉。
- 前記水溶性セルロースエーテルのエーテル化度が、0.55〜1.0mmol/C6であることを特徴とする請求項1〜5項のいずれか1項に記載の米粉パン用ミックス粉。
- 前記請求項1〜6項のいずれか1項に記載の米粉パン用ミックス粉と、ドライイースト及び/又はパン酵母と、添加物と、を含む米粉パン用キット。
- 前記添加物が、糖類、塩、又はバターの少なくとも1種である請求項7記載の米粉パン用キット。
- 請求項1〜6項のいずれか1項に記載の米粉パン用ミックス粉と、ドライイースト及び/又はパン酵母と、糖類と、塩と、バターとを混合して加水し、混捏することにより得られるパン生地。
- 請求項7に記載のパン生地を、発酵させた後に焼成したパン。
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