JP7177046B2 - ドウ組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)澱粉含有穀物粉末100重量%に対し、水成分を60~150重量%、且つグルコース単位当たりのカルボキシメチルエーテル基置換度が0.01~0.4の範囲にあるカルボキシメチルセルロースを0.1~5重量%、含むドウ組成物。
(2)前記カルボキシメチルエーテル基置換度が0.2~0.4の範囲にある(1)に記載のドウ組成物。
(3)前記澱粉含有穀物粉末100重量%に対し、発酵成分を0.1~10重量%、さらに含む(1)又は(2)に記載のドウ組成物。
(4)前記カルボキシメチルセルロースが、平均粒径1.0~70.0μmである(1)~(3)のいずれかに記載のドウ組成物。
(5)澱粉含有穀物粉末として、小麦粉、スターチ類、米粉、そば粉のうちの一種または数種を混合して使用する(1)~(4)のいずれかに記載のドウ組成物。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載のドウ組成物からなるベーカリー食品組成物。
本発明では、澱粉含有穀物粉末(主原料)として、通常、製パン等に用いる小麦粉のいずれもが使用できる。このような小麦粉として、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉を挙げることができる。中でも、強力粉、準強力粉、デュラム小麦粉が好ましい。さらに小麦粉以外の穀粉として、ライ麦粉、ライ小麦粉、コーンフラワー、スターチ類、米粉、そば粉、各種澱粉類、それらの混合粉など目的とするパン等のドウ組成物の種類などに応じて適宜選択して使用することができる。
発酵成分とは、通常ドウ組成物に用いられるものであれば特に制限されない。発酵成分としては、例えば、サワー種、ルバン種等の各種発酵種やイースト(生イースト、ドライイースト等)などを挙げることができる。
水成分とは、水及び卵などに含まれる水成分の総量をいう。その様な水成分は、澱粉含有穀物粉末100重量%に対し、60~150重量%の範囲で含むことが重要であり、好ましくは60~120重量%、より好ましくは70~120重量%、更に好ましくは75~120重量%である。水成分が60重量%以上であると、ドウ組成物の発酵や加熱による膨張性を確保し得る。また、水成分が150重量%以下であると、過度のベタツキを抑制し、作業性を確保し得るとともに食感も確保し得る。
カルボキシメチルセルロース又はその塩は、セルロース原料にカルボキシメチル化反応を行うことで製造することができる。セルロース原料としては、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。
CM-DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:酸型カルボキシメチル化セルロース1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター
なお、本発明でいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいい、例えばメタノールを分散媒としてレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定される体積累計50%粒子径の値から得る。
本発明のドウ組成物は、上記原料成分以外の副原料を必要に応じて含有してもよい。その様な副原料としては、例えばイーストフード;砂糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、麦芽糖、乳糖等の糖類;卵または卵粉;脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ粉末、ヨーグルト粉末、ホエー粉末などの乳製品;ショートニングやバター、マーガリンやその他の動植物油等の油脂類;乳化剤;膨張剤;増粘剤;甘味料;香料;着色料;アスコルビン酸;食塩等の無機塩類;グルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素類;食物繊維などを挙げることができる。
本発明のドウ組成物は、パン、スポンジケーキ、クッキー、ドーナッツ等のベーカリー食品組成物;そば、うどん、パスタ、素麺、ラーメン等の麺類;春巻きの皮、餃子の皮、小龍包の皮等の中華料理の材料;おかき等に利用し得る。これらの中でも、多加水においても作業性に優れ(ベタツキが少なく)、発酵や加熱による膨張性に優れる、及び/又は、食感や成型性、さらに耐熱保形性に優れるという効果に鑑み、ベーカリー食品組成物として利用することが好ましい。
(CMC1の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダ―にイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム31部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプを絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調整した。更に撹拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸20部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CMC-DS0.21のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC1)を得た。
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダ―にイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム33部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプを絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調整した。更に撹拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CMC-DS0.38のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC2)を得た。
500ml容積のステンレスボウルに、表1に示す処方Aの配合となるようにはかりとり、均一になるまでよく混合した。その後、よくかき混ぜた処方Bを、ステンレスボウルに注ぎ、処方Aと処方Bが均一になじむまでかき混ぜ、生地を得た。
表3の配合処方とした以外は、実施例1~4と同様にしてドウ組成物5を得た。
<作業性>
実施例1~4及び比較例1で生地を得たのち、用いたステンレスボウルを30cm以上上方から目視で観察し、ステンレスボウルに付着している生地残留物の有無からベタツキ性(作業性)を下記の基準で評価した。
○:ステンレスボウルに生地残留物がほとんど付着していなく、作業性良好である。
×:ステンレスボウルに生地残留物が全体的に付着しており、作業性に劣る。
実施例1~4及び比較例1で得られた直径10cmの球状のドウ組成物を、それぞれ縦25cm×横20cmのステンレスパンに載せ、温度30℃/湿度50%で60分間静置した後、発酵膨張後のドウ組成物1~4の直径Aとドウ組成物5の直径Bを計測した。
表5記載の処方A、Bの材料をすべて計量し、計量した処方Aの材料を全量ミキサーに入れ、水に溶解したイーストも投入した。24℃条件下で適度に捏ね上げた後、発酵室(温度27~28℃、湿度75%前後)で適度な時間発酵させ生地Aを得た。
なお、各実施例で用いたカルボキシメチルセルロースの種類等を表6に記す。
実施例5~7、及び比較例2で得られた円形バンズを、常温又は冷蔵庫にて、それぞれラップに包み、24時間もしくは48時間保管した。
○:くちゃつきやパサつきがほとんどない、
△:くちゃつきやパサつきがややあり
×:くちゃつきやパサつきが強い
○:レンジアップ後に円形バンズ表面にシワがほとんどみられず耐熱保形性に優れる。
△:レンジアップ後に円形バンズ表面にシワが若干発生した。
×:レンジアップ後に円形バンズ表面にシワの発生量が大きかった。
市販のホットケーキミックスに牛乳、卵、カルボキシメチルセルロースを混ぜ合わせた。5分間静置した後、ホットプレートで焼成(160℃、5分)し、ホットケーキを得た。得られたホットケーキについて、冷蔵庫にて48時間保管した。レンジアップした際の食感、及び表面のしわ発生を上記と同様に評価した。評価結果を表10に記す。また、各実施例で用いたカルボキシメチルセルロースの種類を表9に記す。
Claims (5)
- 澱粉含有穀物粉末、カルボキシメチルエーテル基置換度が0.01~0.4の範囲にあり、平均粒径50.0~60.0μmであるカルボキシメチルセルロース、及び発酵成分を含む副原料の混合物Aに対し、水成分及び卵を含む副成分を含む混合物Bを加えて混合することを含み、
水成分の添加量が、澱粉含有穀物粉末100重量%に対し60~150重量%、
カルボキシメチルセルロースの添加量が、澱粉含有穀物粉末100重量%に対し1~2重量%である、
ドウ組成物の製造方法。 - 前記カルボキシメチルエーテル基置換度が0.2~0.4の範囲にある請求項1に記載の製造方法。
- 前記発酵成分の添加量が、澱粉含有穀物粉末100重量%に対し0.1~10重量%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 澱粉含有穀物粉末として、小麦粉、スターチ類、米粉、そば粉のうちの一種または数種を混合して使用する請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
- ドウ組成物がベーカリー食品用である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
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