JP2015226488A - 米粉パンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小麦由来成分を含まなくても食味の良い米粉パンであって、かつ、発酵工程の成功確率が高い米粉パンの製造方法を提供する。
【解決手段】麦及び小麦由来成分を含まない米粉パンの製造方法であって、粳米を粉砕する粉砕工程により得られる米粉、ベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが配合されてなる混合紛体を形成し、前記混合紛体、糖、イースト、油脂、塩、及び水が混練されてなる米粉生地を形成し、前記米粉生地が発酵されてなる一次発酵生地を形成し、前記一次発酵生地が発酵されてなる二次発酵生地を形成し、前記二次発酵生地を焼成する。
【選択図】なし
【解決手段】麦及び小麦由来成分を含まない米粉パンの製造方法であって、粳米を粉砕する粉砕工程により得られる米粉、ベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが配合されてなる混合紛体を形成し、前記混合紛体、糖、イースト、油脂、塩、及び水が混練されてなる米粉生地を形成し、前記米粉生地が発酵されてなる一次発酵生地を形成し、前記一次発酵生地が発酵されてなる二次発酵生地を形成し、前記二次発酵生地を焼成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、小麦成分を含まない米粉パンの製造方法に関する。
現在、一般的に市場において米粉を用いたパンとよばれるものは、主要原料として米粉の他にグルテンを添加しているものが多く存在する。
小麦粉は大きく蛋白質とでんぷんで構成されており、小麦に含まれるたんぱく質の一種がグルテンである。パンのおいしさ、食感の元となるふくらみは、生地を発酵させるタイミングでグルテンが大きく作用する。
一方、米粉にはグルテンが含まれていないため、グルテンを添加せずに米粉を用いたパンでは十分に膨らませることが困難であった。その結果、米粉を用いたパンとよばれるものであっても小麦由来成分ゼロとはいえないものが多い(特許文献1)。しかし少量であっても小麦由来成分を含むパンでは、小麦アレルギーを有する人は結局食べることができないことが問題となっている。
また、米粉とヒドロキシプロピルメチルセルロースとを原材料とした小麦由来成分を含まない米粉パンの製造方法について公開されている(特許文献2)。しかし、発明者が検討したところ、特許文献2に係る米粉パンの製造方法では発酵工程を失敗する確率が高く、技術力の高い職人によっても半数程度しか成功させることができなかった。
また従来の米粉パンは食感が重くべたつき、また味についても好ましいものではなかった。
本発明の課題は、小麦由来成分を含まなくても食味の良い米粉パンであって、かつ、発酵工程の成功確率が高い米粉パンの製造方法を提供することで、小麦アレルギーを有する人でも食べることができる米粉パンを実現すること。
上記課題を解決する手段として本発明に係る米粉パンの製造方法は、小麦及び小麦由来成分を含まない米粉パンの製造方法であって、粳米を粉砕する粉砕工程により得られる米粉、ベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが配合されてなる混合紛体を形成し、前記混合紛体、糖、イースト、油脂、塩、及び水が混練されてなる米粉生地を形成し、前記米粉生地が発酵されてなる一次発酵生地を形成し、前記一次発酵生地が発酵されてなる二次発酵生地を形成し、前記二次発酵生地が焼成されることを特徴とする。
本発明に用いられる米粉は、粳米を粉砕処理して形成された米粉である。粳米には小麦由来成分を含まないものが用いられ、さらに小麦由来のグルテンも含まないものを用いる。粳米の種類は特に限定しないが、例えば奈良県産ひのひかりを用いることができる。
ここで、本発明で用いられるベータでんぷんは、由来作物の細胞、特に由来作物の種子、茎、果実、若しくは根などを構成する細胞から油脂分及びたんぱく質を除去して得られたでんぷん成分を抽出したものである。
本発明で用いられるアルファ化でんぷんは、任意に選択されたベータでんぷんを水に溶き、糊化させた後にこれを乾燥させ、粉状に粉砕して得られたものをいう。
ベータでんぷん及びアルファ化でんぷんの前記由来作物は、それぞれ、例としてはトウモロコシ、イネ、タピオカ、くず、ジャガイモ、豆、甘藷、ジャガイモ、キャッサバ、カタクリ(片栗)、緑豆、サゴヤシ、ワラビ(蕨)、オオウバユリが挙げられ、これらのうち一種を選択したもの、若しくは二種以上の作物を由来とするものを混合したものであっても良い。なお、ベータでんぷん及びアルファ化でんぷんは、互いに異なる由来作物のものを本発明に使用することができる。
ベータでんぷん及びアルファ化でんぷんは、それぞれ、でんぷん成分が由来作物から抽出後に化学処理が行われていない無加工でんぷん、由来作物から抽出後に漂白のみされた漂白でんぷん、もしくは由来作物から抽出後に化学処理された加工澱粉でんぷんであるもののうちから一種を選択したもの、又は、二種以上を選択して混合したものを用いることができる。なお、ベータでんぷん及びアルファ化でんぷんは、無加工でんぷん、漂白でんぷん、及び加工でんぷんのうち互いに異なるものを本発明に使用することができる。
前記加工澱粉の例としては、酢酸でんぷん、リン酸化でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、リン酸架橋でんぷん、アセチル化リン酸架橋でんぷん、アセチル化アジピン酸架橋でんぷん、リン酸モノエステル化リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、オクテニルコハク酸でんぷんナトリウム、酸化でんぷん、アセチル化酸化でんぷんが挙げられ、これらのうち一種を選択したもの、若しくは二種以上の加工澱粉を混合したものであっても良い。またいずれの加工澱粉も、前記いずれの由来作物に由来するでんぷん成分を加工したものであっても良い。好ましい加工澱粉としてはヒドロキシプロピルでんぷん、若しくはヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷんである。特にベータでんぷんとしてのヒドロキシプロピルでんぷん、及びヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷんは、ベータでんぷんとしての他の加工澱粉と比較して保水効果が高いことにより、米粉パンの老化を防止する効果が高いので好ましい。なお、加工澱粉の由来作物としてはタピオカが好ましく、特にベータでんぷんとしてのタピオカ由来のヒドロキシプロピルでんぷん、若しくはベータでんぷんとしてのタピオカ由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、又は、アルファ化でんぷんとしてのタピオカ由来のヒドロキシプロピルでんぷん、若しくはアルファ化でんぷんとしてのタピオカ由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷんが好ましい。なお、ベータでんぷん及びアルファ化でんぷんは、互いに異なる種類の加工澱粉のものを本発明に使用することができる。
また、本発明に用いられるベータでんぷん及びアルファ化でんぷんの由来作物には小麦は含まない。小麦アレルギーを有する人でも食べることができる米粉パンの実現が本発明の目的だからである。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メチルセルロースに2−ヒドロキシプロピル基を導入したセルロースであり、増粘剤として用いることができるものである。
糖の種類は制限されないが、用いることができる糖の例として上白糖、グラニュー糖、白双糖、三温糖、中双糖、若しくは黒砂糖が挙げられる。塩としては例えば食塩を用いることができる。イーストとしては、例えばドライイーストを用いることができる。
本発明に用いられる油脂としては常温で液体の油脂及び常温で個体の油脂を用いることができるが、若しくは米粉が配合された前記混合紛体とより早く均一に混ざり合わせるために常温で個体の油脂が好ましい、好ましい常温で液体の油脂の例として、サラダ油、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油、ヤシ油、ひまわり油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、及びグレープシードオイルが挙げられ、これらのうち一種、若しくは二種以上を選択して用いることができる。特に米粉、若しくは米粉が配合された前記混合紛体との混ぜ合わせが素早くできるサラダ油が好ましい。
混合紛体は、米粉、ベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが配合されてなる紛体であり、当該混合紛体を形成することによって各成分を均等に混合した状態で米粉生地を形成させることができる。なお、米粉、ベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合する際に、同時に糖、イースト、及び塩のうちの全て、若しくはこのうちのいずれかを混合しても米粉生地を形成することはできる。
一次発酵は、形成した米粉生地を常温(25℃〜30℃程度が好ましい。)において数十分静置させることで行う。米粉生地にもりあがりが見られることが、一次発酵が成功したことの目安とすることができる。
二次発酵は、一次発酵が成功した一次発酵生地をケースに投入し、適度な温度環境(35℃〜40℃程度が好ましい。)において数十分間生地を発酵させることでおこなう。二次発酵は、ケースの高さの3分の1程度の高さまで投入した一次発酵生地が、ケースの上端部まで膨らんでいることを成功の目安とすることができる。
本発明において発酵工程が成功したとは、一次発酵及び二次発酵のいずれも成功したことをいう。
本発明は、米粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び前記アルファ化でんぷんを合わせ具備することにより発酵工程が確実に成功できるようになったことに加え、さらに前記ベータでんぷんを含むことによって製品として十分に食味の良い米粉パンを量産できる製造方法である。
本発明によれば、小麦由来成分を含まなくても、発酵工程を確実に成功させて米粉パンを製造することができる。
さらに本発明によれば、小麦由来の成分を含まなくても、口溶け良さ、もちもち感、しっとり感、弾力感、ソフト感、色調良さ、味の良さ、及び風味良さといった食味が、従来の米粉パンと比較して良好な食味を有する米粉パンを製造することができる。
その結果、小麦由来成分を含まなくても製品として十分に食味の良い米粉パンを量産できる製造方法を実現することができる。
以下、本発明に係る実施の形態を、詳しく説明する。
まず、原料となる粳米を粉砕して米粉を作成するが、その前処理工程として、粳米を水に浸漬させ、その後ざるで水切りし、粳米をざるの中に入れた状態で常温中に静置させることが好ましい。ここで、粳米の水への浸漬時間は15分〜45分であり長くとも60分以内であることが好ましい。60分を超えて長時間浸漬させすぎると粳米が水分を吸収しすぎることによって、粳米が均一に粉砕されず、米粉の粒子の大きさがばらつくこととなる。また、水に浸漬させた粳米をざるの中で静置させることで、粳米の表面に付着した余分な水分をあらかじめ除去し、米粉粉砕機中での米粉に対する乾燥処理を均一に行うことができる。なお、ざるの中での粳米の静置時間は30分〜80分であり、長くとも90分以内であることが好ましい。作業の効率化と、水に浸漬させた米粉を乾燥させすぎないためである。
当該前処理工程において粳米に水を含ませることによって、粉砕処理によって粒径の均一な米粉を形成させることができる。粒径の均一な米粉を用いることで、焼成時において膨らんだ米粉パンの網目構造を均一することができ、口当たりの良い米粉パンを製造することができる。
[米粉粉砕機による米粉の製造工程]
粳米を図1に示す米粉粉砕機1(製品名:米粉粉砕機EM−2、番号10032 株式会社セイシン企業)に投入し、粉砕を行う。
粳米を図1に示す米粉粉砕機1(製品名:米粉粉砕機EM−2、番号10032 株式会社セイシン企業)に投入し、粉砕を行う。
図1によれば、投入口2から投入された粳米は粉砕室3内に設けられた回転軸4を軸中心として高速回転する回転式粉砕羽5に衝突することで細かく粉砕される。この粉砕室3には温風機6から送風管7を介して温風が送り込まれており、粳米は粉砕室3内で温風によって乾燥されながら粉砕されて米粉が形成される。形成された米粉は回収管8を通って貯留タンク9に貯留される。
回転式粉砕羽5の回転速度は毎分3000回転〜毎分15000回転が好ましく、より好ましくは毎分11000回転である。米粉の粒子を微細かつ均一に形成することができるからである。粉砕室内での温風による乾燥温度は100℃〜160℃であることが好ましく、特に米粉への乾燥処理をむらなく行うことができる130℃が好ましい。乾燥温度は、粉砕室3に備え付けられた温度計10によって監視される。
この粉砕工程によって得られる米粉の水分含有量は次に説明する測定方法によって8%〜15%の範囲内であることがこのましい。乾燥させすぎないことによって、他の原材料との混練作業の効率を向上させることができるからである。
なお、本発明の米粉には、粳米を水に浸漬させない以外は前記米粉の製造工程と同一条件で作成した乾燥米粉を用いることもできる。
[米粉の水分含有量測定の方法]
<必要器具>
薬さじ、薬包紙、ピンセット、秤量皿、上皿天秤(製品名:No.135 株式会社飯島製作所)、電子測り(製品名:GR−60 株式会社エー・アンド・デイ)、電気乾燥機(製品名:TYPE M103ツカサ式No.6143 ロータリー乾燥機株式会社ツカサ商会)、デシケーター。
<分析手順>
1.秤量皿の重量を電子測りで測る。この時、容器の蓋も同時に測定(A)。
2.検体を上皿天秤で約3gずつ測り、容器に入れて電子測りで測定する(B)。
3.135℃の電気乾燥機に1時間入れる。容器の蓋は閉めずに一緒に入れる。
4.1時間後、乾燥機より取り出しデシケーターに入れて30分放冷する。この時、容器の蓋は閉める。
5.30分後測定(C)、計算により水分を求める。
<算出方法>
次式より粉砕米粉1g中の水分量Mを百分率によって求める。
M=100*(B−C)/(B−A)。
<必要器具>
薬さじ、薬包紙、ピンセット、秤量皿、上皿天秤(製品名:No.135 株式会社飯島製作所)、電子測り(製品名:GR−60 株式会社エー・アンド・デイ)、電気乾燥機(製品名:TYPE M103ツカサ式No.6143 ロータリー乾燥機株式会社ツカサ商会)、デシケーター。
<分析手順>
1.秤量皿の重量を電子測りで測る。この時、容器の蓋も同時に測定(A)。
2.検体を上皿天秤で約3gずつ測り、容器に入れて電子測りで測定する(B)。
3.135℃の電気乾燥機に1時間入れる。容器の蓋は閉めずに一緒に入れる。
4.1時間後、乾燥機より取り出しデシケーターに入れて30分放冷する。この時、容器の蓋は閉める。
5.30分後測定(C)、計算により水分を求める。
<算出方法>
次式より粉砕米粉1g中の水分量Mを百分率によって求める。
M=100*(B−C)/(B−A)。
製造された米粉は、他の原材料と共に混ぜ合わせられながら混練されて米粉生地を形成し、前記米粉生地を一次発酵させることによって一次発酵生地を形成し、一次発酵生地を二次発酵させることによって二次発酵生地を形成し、当該二次発酵生地を焼成することによって米粉パンを製造する。
以下、本発明に係る実施例について詳しく説明する。なお、以下の実施例では、前記前処理において47kgの粳米を計量して水への浸漬を30分、ざるの中での静置を60分とした。米粉の製造工程において、回転式粉砕羽4の回転速度は毎分11000回転、温風による乾燥温度は130℃とし、前記米粉粉砕機1で一時間かけて粉砕処理を行ったものである。なお、製造された米粉の含有水分量は約11%であった。
また、以下の実施例で使用した米粉(粳米)、ベータでんぷん、及びアルファ化でんぷんの製品名および製造会社はそれぞれ、米粉(製品名:ひのひかり 奈良県産)、ベータでんぷん(製品名:あさがお 松谷化学工業株式会社)、アルファ化でんぷん(製品名:マツノリンTG600 松谷化学工業株式会社)である。さらに、以下の実施例にける原材料は、いずれにおいても米粉とベータでんぷんの合計重量を100重量部としたときの相対値である。なお、前記ベータでんぷん(製品名:あさがお 松谷化学工業株式会社)はタピオカ由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷんに属するものであり、前記アルファ化でんぷん(製品名:マツノリンTG600 松谷化学工業株式会社)は、タピオカ由来のヒドロキシプロピルでんぷんに属するものである。
(実施例1)
[米粉、アルファ化でんぷん、ベータでんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 80 重量部
ベータでんぷん 20 重量部
アルファ化でんぷん 0.5重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
[米粉、アルファ化でんぷん、ベータでんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 80 重量部
ベータでんぷん 20 重量部
アルファ化でんぷん 0.5重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
実施例1に係る原材料のうち、米粉、ベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合した混合紛体を形成した後、当該混合紛体を残りの原材料と共に全てミキサーボールに全量投入し、米粉ミキサー(製品名:カントウーミキサー自動昇降 HPI−60 関東混合機工業株式会社)にて、低速回転で30秒間混合した後で、サラダ油10重量部、水95重量部を混合した原料に加え、低速回転で1分間さらに中低速回転で2分間混合した。続いて中高速回転で3分間混合して米粉生地を形成した。形成した米粉生地はミキサーボール内で30分間常温において一次発酵させて一次発酵生地を形成した。ここで低速回転は50回転/分〜100回転/分の回転数であり、中低速回転は101回転/分〜150回転/分の回転数であり、中高速回転は151回転/分〜200回転/分の回転数である。
前記一次発酵生地を食パン型ケースに投入し、当該一次発酵生地を投入した食パン型ケースを温湿調整発酵機(製品名:パルテドゥコンデイショナー上下2室PDD1−S2K−QQRX54NS 戸倉商事株式会社)内で37℃、湿度75%で60分間二次発酵させて二次発酵生地を形成した。
前記二次発酵生地の入った食パン型ケースを米粉専用オーブン(製品名:トークオーブンUT4枚3段縦差TOU−431SUUUU−P3P−MSM−P−NDR−N−Z1 戸倉商事株式会社)内において焼成温度210℃で30分間焼成した。
焼き上がったパンを、食パン型ケースから取り出して常温で1時間冷やすことにより実施例1に係る米粉パンを完成させた。
(比較例1)
[米粉、ベータでんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 80 重量部
ベータでんぷん 20 重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
[米粉、ベータでんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 80 重量部
ベータでんぷん 20 重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
比較例1に係る原材料を全てミキサーボールに全量投入した後の米粉パンの完成までの製造工程は実施例1の場合と同一とした。
(比較例2)
[米粉、アルファ化でんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 100重量部
アルファ化でんぷん 0.5重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
[米粉、アルファ化でんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 100重量部
アルファ化でんぷん 0.5重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
比較例2に係る原材料を全てミキサーボールに全量投入した後の米粉パンの完成までの製造工程は実施例1の場合と同一とした。
(比較例3)
[米粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 100重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
[米粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 100重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.0重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
比較例3に係る原材料を全てミキサーボールに全量投入した後の米粉パンの完成までの製造工程は実施例1の場合と同一とした。
(比較例4)
[米粉を含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 100重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
[米粉を含んだ米粉パン]
<原材料>
米粉 100重量部
グラニュー糖 20 重量部
食塩 2.0重量部
ドライイースト 4.0重量部
比較例4に係る原材料を全てミキサーボールに全量投入した後の米粉パンの完成までの製造工程は実施例1の場合と同一とした。
(評価)
[発酵工程の成功確率]
次に、製造したそれぞれの米粉パンについて発酵工程が成功した確率を示す。ここで発酵工程の成功とは一次発酵及び二次発酵のいずれも成功したことをいう。また一次発酵は米粉生地にもりあがりが見られることによって一次発酵が成功したことを判断した。さらに二次発酵は、一次発酵が成功した一次発酵生地を食パン用ケースの全高の3分の1の高さまで投入し、ケースの上端部まで膨らんでいることで成功を判断した。
[発酵工程の成功確率]
次に、製造したそれぞれの米粉パンについて発酵工程が成功した確率を示す。ここで発酵工程の成功とは一次発酵及び二次発酵のいずれも成功したことをいう。また一次発酵は米粉生地にもりあがりが見られることによって一次発酵が成功したことを判断した。さらに二次発酵は、一次発酵が成功した一次発酵生地を食パン用ケースの全高の3分の1の高さまで投入し、ケースの上端部まで膨らんでいることで成功を判断した。
これにより、アルファ化でんぷんとヒドロキシプロピルメチルセルロースとを組み合わせることにより、その相乗効果によって発酵工程の成功率を全数成功に向上させ、ほぼ確実に成功させることができた。発酵工程の成功の確率を職人の技量によって左右させることなく米粉パンを工業的に量産可能であることがわかった。なお表1に記載される確率は、発明者が本発明を完成させるために実施例1に係る米粉パンの製造を50回実施し、各比較例に係る米粉パンの製造は30〜50回ずつ実施した結果によるものである。一方、比較例4に係るベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのいずれも含まない米粉パンは一次発酵もしくは二次発酵において膨らまず、発酵工程を成功させることができなかった。
[食味の評価]
次に、製造したそれぞれの米粉パンについての食味の評価を表2に示す。
次に、製造したそれぞれの米粉パンについての食味の評価を表2に示す。
なお表2における食味の評価は、製造直後の各米粉パンを試食した6名のパネラーが各評価項目について1〜5点の5段階評価で行った評価結果の平均を算出して示し、さらに各米粉パンについての各個別食味評価の合計を評価項目数である8で割った値を食味総合評価として算出し、さらに、2.5未満を不可、2.5以上3.5未満を可、3.5以上4.5未満を良、4.5以上5以下を優良として評価した。
ここで、表2に示す各個別食味評価について、「口溶けよさ」とは、口に入れたパンが咀嚼によって流動体状になり、飲み込むことができるまでにかかる時間が主要因となる評価項目である。「もちもち感強さ」とは、パンを口に入れた直後の歯ごたえが主要因となる評価項目である。「しっとり感強さ」とは、パンを口に入れた直後の口腔内で感じるパンの潤いが主要因となる評価項目である。「弾力感強さ」とは、製作されたパンを切断しない状態で耳部(パンの外表皮部)の外側から押した時の弾力を評価した評価項目である。「ソフト感強さ」とは、切断したパンの耳部の内側のクラム部分(白い組織部分)を押した時の弾力を評価した評価項目である。「色調良さ」とは、前記クラム部分の色の時間経過による変化の度合いを評価した評価項目である。「味の良さ」とは、パンを口に含んだ際の味覚が主要因となる評価項目である。「風味良さ」とは、製作したパンを口に含んだ際に感じられる香りの種類と強さが主要因となる評価項目である。
ベータでんぷんを添加することで、ベータでんぷんもアルファ化でんぷんも添加されない比較例3に係る米粉パンよりもはるかに食味が良く、また、ベータでんぷんは添加せずにアルファ化でんぷんを添加した比較例2に係る米粉パンよりも全体的に食味を向上させることができた。特に「口溶け良さ」、「もちもち感強さ」、及び「しっとり感強さ」に関しては評価項目については、ベータでんぷんが添加された実施例1及び比較例1に係る米粉パンの評価が、ベータでんぷんが添加されない比較例2に係る米粉パンよりも高いことは、従来からパサつき感が強く口当たりが悪いといった米粉パンの欠点を補うことができる結果である。表2から得られるこれらの結果全てを合わせ考え、食味総合評価が良以上であった実施例1及び比較例1は、製品として適した食味を有する米粉パンであった。一方、ベータでんぷんを含まない比較例2及び比較例3に係る米粉パンは、実施例1及び比較例1に係る米粉パンよりも全体的にも食味総合評価が十分高いとは言えず、製品としては適さない食味を有するものであった。
ただし、前述したようにアルファ化でんぷんが添加されない比較例1に係る米粉パンは発酵工程の成功確率が50%以下であり、量産には不向きである。
また、ベータでんぷん及びアルファ化でんぷんのいずれも添加された実施例1に係る米粉パンの食味の評価が、アルファ化でんぷんを含まない比較例1に係る米粉パンの食味の評価よりも若干低くなっているが、食味は十分食するに適し得るものである。なお、比較例4に係るベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのいずれも含まない米粉パンは前述の通り全く膨らませることができなかったため、食味の評価はできなかった。
[製品としての米粉パンの総合評価]
以下に、製造したそれぞれの米粉パンの発酵工程の成功率が高いか否か、食味が良いか否か、及び総合的に製品として十分に食味が良く、かつ量産可能な米粉パンであるか否かという観点からの評価を一覧にしたものを表3に示す。
以下に、製造したそれぞれの米粉パンの発酵工程の成功率が高いか否か、食味が良いか否か、及び総合的に製品として十分に食味が良く、かつ量産可能な米粉パンであるか否かという観点からの評価を一覧にしたものを表3に示す。
この結果からもわかるとおり、本発明によって米粉パンを製造することにより、小麦アレルギーを持つ人々でもおいしく食べることができる米粉パンを、市場に広く提供することが実現可能となった。
1 米粉粉砕機
2 投入口
3 粉砕室
4 回転軸
5 回転式粉砕羽
6 温風機
7 送風管
8 回収管
9 貯留タンク
10 温度計
2 投入口
3 粉砕室
4 回転軸
5 回転式粉砕羽
6 温風機
7 送風管
8 回収管
9 貯留タンク
10 温度計
Claims (1)
- 小麦及び小麦由来成分を含まない米粉パンの製造方法であって、
粳米を粉砕する粉砕工程により得られる米粉、ベータでんぷん、アルファ化でんぷん、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが配合されてなる混合紛体を形成し、
前記混合紛体、糖、イースト、油脂、塩、及び水が混練されてなる米粉生地を形成し、
前記米粉生地が発酵されてなる一次発酵生地を形成し、
前記一次発酵生地が発酵されてなる二次発酵生地を形成し、
前記二次発酵生地が焼成されること
を特徴とする米粉パンの製造方法。
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