JP2014095120A - ZnO蒸着材及びそれを用いた透明導電膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ZnOとZn以外の金属元素とを含む焼結体からなる蒸着材であって、前記金属元素がGa2O3換算で5.0wt%以下のGaであり、前記焼結体の密度が4.8g/cm3を超えて5.0g/cm3以下であることを特徴とするZnO蒸着材、並びに前記金属元素がGa2O3換算で8.0wt%以下のGa及びB2O3換算で0.08wt%以下のBであり、前記焼結体の密度が4.75g/cm3以上5.0g/cm3以下であることを特徴とするZnO蒸着材である。また、上記ZnO蒸着材を用いて成膜されることを特徴とする透明導電膜である。
【選択図】なし
Description
原料混合工程は、上記の原料を混合する工程である。原料の混合方法としては、公知の方法を採用することができるが、例えば湿式ボールミルを用いることが好ましい。原料の混合の際に用いる溶媒としては、アルコール等の有機溶媒や水を用いることができる。原料の混合時間は特に限定されないが、原料が均一に混合されるのに十分な時間行うことが望ましい。原料が均一に混合されていない場合、ZnO蒸着材に組成ムラや密度ムラが生じやすくなり、材料強度が低下しやすくなる。
原料スラリーの乾燥造粒工程は、上記の原料混合工程で混合したスラリー状の原料を湿式ボールミルから取り出して乾燥し、成形に適する形状に造粒する工程である。スラリーの乾燥造粒には、スプレードライヤーを用いることが好適である。この際、成形用助剤を加えても良い。助剤の種類は、特に限定されないが、一般的にはポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、セロゾール、パラフィン等が用いられる。
成形工程は、上記の乾燥造粒工程により得られた乾燥造粒粉を所定の形状に成形する工程である。成形には、金型を用いた一軸成形、CIP(冷間等方加圧)成形など公知の成形方法を単独、あるいは2種類以上組み合わせて行うことができる。成形圧力は、特に限定されないが、一般的に1000kg/cm2以上の圧力をかけた場合、良好な成形体が得られやすくなるため好ましい。
焼成工程は、上記の成形工程で得られた成形体を高温で焼結する工程である。焼成工程は、公知の焼結方法で行うことができるが、製造コストを低減でき、大型化も容易であることから、大気中常圧焼結で行うことが好ましい。また、本発明では、原料を粒成長させるための予備焼成は特に必要ないため、製造コストを低減できる。焼成工程の焼成温度は、所望の密度の焼結体が得られれば特に限定されない。本発明においては、原料粒径を選択することにより、1000℃以下で所望の密度を得ることができる。一般的に低温の方がコストが低減されるため好ましく、1000℃以下であれば、発熱体も安価なカンタル線等を使用できることから、よりコストが低減されるため、特に好ましい。焼成時の昇温速度は、特に限定されないが、50〜200℃/hが好ましい。本発明で用いられる材料は、昇温速度により、焼結性が異なることが知られているが、上記昇温速度であれば、所望の密度を安定して制御することができ、かつ大型の焼結体においても焼成時に割れの発生を抑制できる。焼結時間は、特に限定されないが、一般的には1時間以上が望ましい。成形体が大型であれば均熱を得るために時間が必要だからである。
上記の焼成工程で得られた焼結体は、目的に応じて所望の形状に加工して蒸着材として用いることができる。外形加工の方法としては、表面研磨など公知の方法を行うことができる。また成型体の形状を制御することで、外形加工なしで所望の形状を得ることもできる。
混合工程の直後に造粒工程が行われるとは、両工程の間に、原料粉末を粒成長させるための予備焼成を行わないということを意味する。通常、蒸着材は、焼結密度を60〜70%程度に抑えることで熱応力を緩和すると共に、ある程度粗大な粒子で構成することにより、低密度でもある程度の強度を保っている。そのため、このような粗大粒子を得るために、予備焼成が必要とされている。しかしながら、本発明の蒸着材は、密度を通常よりも高い範囲に設定することで、より高い強度を得るとともに、粗大な粒子を用いなくても大きな熱応力に対抗することができる。
焼結体の形状と重量から焼結密度を測定した。
4mm×3mm×40mmの試験片を上記の工程に基づいて作製し、JIS R1601に則り、室温にて4点曲げ試験をおこなった。試験本数は6本とし、最も高い値と低い値を除いた平均値を測定した。
EB蒸着後の蒸着材の外観より以下の通り判別した。
○:破損なし、△:割れが入るものの破損に至っていない、×:破損
成膜面の体積抵抗率は、低抵抗率計(ロレスタ 三菱化学製)を用い、4端針法にて測定した。
(実施例1)
(a)原料混合
樹脂製ボールミル容器中にΦ11mmのナイロンボールと、ZnO(宇部マテリアルズ(株)製、純度99.99%品):99.5wt%、Ga2O3(三津和化学薬品(株)製、酸化ガリウム(III)):0.5wt%に調製した原料粉末を投入した。ここで、原料粉末の平均粒径は、0.15μmであった。次に、原料に対して、水を100wt%、分散剤を1wt%加えた。このボールミル容器をボールミルで40時間混合し、原料スラリーを得た。
上記で調製した原料スラリーに、成形助剤としてPVA(和光純薬(株)製 ポリビニルアルコール、平均重合度500)を原料含有量に対して1wt%加え、攪拌した後、原料スラリーをSD(大川原化工機製 FL−12)にて乾燥した。乾燥は入り口温度250℃、出口温度105℃の設定で実施し、乾燥造粒粉を得た。
(c)成形
上記で作製した乾燥造粒粉をゴム型に投入し、CIP成形機を用い圧力1000kg/cm2にて成形し、CIP成形体を得た。得られたCIP成型体から、旋盤加工によりφ25mm×15mmの円盤状成型体を作製した。
(d)脱脂処理
上記で得られた円盤状成型体をアルミナセッターに投入し電気炉中に設置し、最高温度500℃の条件にて脱脂処理を行い、脱脂体を得た。
(e)焼成
上記で得られた脱脂体をアルミナセッターに投入して電気炉中に設置し、最高温度900℃、昇温速度100℃/h、保持時間2時間の条件にて焼成し、焼結体を作製した。
以上の工程で得られた焼結体の形状と重量から焼結体密度を測定したところ、4.82g/cm3の値を得た。また、焼結体強度の平均値は、88MPaであった。結果を表1に示す。
上記の工程で得られた焼結体を、φ20mm×10mmの形状に研削加工し、蒸着材を得た。蒸着材は洗浄後、成膜に供した。
上記で得られた蒸着材を、EB蒸着装置(ULVAC製 EX−550)にセットし、ガラス基板上に、8kV、30mAの条件で成膜をおこない、厚み100nmのGZO膜を得た。成膜後、蒸着材の外観を観察したところ、破損は認められず、○と判定された。結果を表1に示す。
実施例1において、ZnOを98.5wt%、Ga2O3を1.5wt%とし、焼成温度を最高温度950℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。また、成膜面の体積抵抗率を測定したところ、4.3×10−4Ω・cmと良好な値であった。
実施例1において、ZnOを96.0wt%、Ga2O3を4.0wt%とし、焼成温度を最高温度990℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ZnOを95.1wt%、Ga2O3を4.9wt%とし、焼成温度を最高温度1000℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ZnOを98.5wt%、Ga2O3を1.5wt%とし、焼成温度を最高温度825℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ZnOを98.5wt%、Ga2O3を1.5wt%とし、焼成温度を最高温度1075℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ZnOを95.1wt%、Ga2O3を4.9wt%とし、焼成温度を最高温度850℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ZnOを95.1wt%、Ga2O3を4.9wt%とし、焼成温度を最高温度1225℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ZnOを93.0wt%、Ga2O3を7.0wt%とし、焼成温度を最高温度1200℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例5)
(a)原料混合
樹脂製ボールミル容器中にΦ11mmのナイロンボールと、ZnO(宇部マテリアルズ(株)製、純度99.99%品):96.995wt%、Ga2O3(三津和化学薬品(株)製、酸化ガリウム(III)):3wt%に調製した原料粉末を投入した。ここで、原料粉末の平均粒径は、0.15μmであった。次に、H3BO3(シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製 Boric acid、99.99%)を水に溶かしたH3BO3水溶液をB2O3換算で0.005wt%となるように容器に加えた。さらに原料に対して、水を100wt%、分散剤を1wt%加えた。このボールミル容器をボールミルで40時間混合し、原料スラリーを得た。
上記で調製した原料スラリーに、成形助剤としてPVA(和光純薬(株)製 ポリビニルアルコール、平均重合度500)を原料含有量に対して1wt%加え、攪拌した後、原料スラリーをSD(大川原化工機製 FL−12)にて乾燥した。乾燥は入り口温度250℃、出口温度105℃の設定で実施し、乾燥造粒粉を得た。
(c)成形
上記で作製した乾燥造粒粉をゴム型に投入し、CIP成形機を用い圧力1000kg/cm2にて成形し、CIP成形体を得た。得られたCIP成型体から、旋盤加工によりφ25mm×15mmの円盤状成型体を作製した。
(d)脱脂処理
上記で得られた円盤状成型体をアルミナセッターに投入し電気炉中に設置し、最高温度500℃の条件にて脱脂処理を行い、脱脂体を得た。
(e)焼成
上記で得られた脱脂体をアルミナセッターに投入して電気炉中に設置し、最高温度950℃、昇温速度100℃/h、保持時間2時間の条件にて焼成し、焼結体を作製した。
以上の工程で得られた焼結体の形状と重量から焼結体密度を測定したところ、4.85g/cm3の値を得た。また、焼結体強度の平均値は、87MPaであった。結果を表1に示す。
上記の工程で得られた焼結体を、φ20mm×10mmの形状に研削加工し、蒸着材を得た。蒸着材は洗浄後、成膜に供した。
上記で得られた蒸着材を、EB蒸着装置(ULVAC製 EX−550)にセットし、ガラス基板上に、8kV、30mAの条件で成膜をおこない、厚み100nmのBGZO膜を得た。成膜後、蒸着材の外観を観察したところ、破損は認められず、○と判定された。結果を表1に示す。
実施例5において、ZnOを96.993wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.007wt%とし、焼成温度を最高温度910℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを96.991wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.009wt%とし、焼成温度を最高温度975℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。また、成膜面の体積抵抗率を測定したところ、4.1×10−4Ω・cmと良好な値であった。
実施例5において、ZnOを96.94wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.06wt%とし、焼成温度を最高温度970℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを96.92wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.08wt%とし、焼成温度を最高温度910℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを98.991wt%、Ga2O3を1wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.009wt%とし、焼成温度を最高温度925℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを94.991wt%、Ga2O3を5wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.009wt%とし、焼成温度を最高温度950℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを92.991wt%、Ga2O3を7wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.009wt%とし、焼成温度を最高温度975℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを96.991wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.009wt%とし、焼成温度を最高温度825℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを96.991wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.009wt%とし、焼成温度を最高温度1050℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5において、ZnOを96.8wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.2wt%としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。また、成膜面の体積抵抗率を測定したところ、8.9×10−4Ω・cmとやや高く悪い値であった。
実施例5において、ZnOを89.991wt%、Ga2O3を10wt%、H3BO3水溶液をB2O3換算で0.009wt%とし、焼成温度を最高温度1100℃としたこと以外は実施例5と同様の方法でZnO蒸着材の作製と評価を行った。その結果を表2に示す。
Claims (6)
- ZnOとZn以外の金属元素とを含む焼結体からなる蒸着材であって、
前記金属元素がGa2O3換算で5.0wt%以下のGaであり、前記焼結体の密度が4.8g/cm3を超えて5.0g/cm3以下であることを特徴とするZnO蒸着材。 - ZnOとZn以外の金属元素とを含む焼結体からなる蒸着材であって、
前記金属元素がGa2O3換算で8.0wt%以下のGa及びB2O3換算で0.08wt%以下のBであり、前記焼結体の密度が4.75g/cm3以上5.0g/cm3以下であることを特徴とするZnO蒸着材。 - 前記Bが、B2O3換算で0.005wt%以上0.08wt%以下であることを特徴とする請求項2記載のZnO蒸着材。
- 前記Gaが、Ga2O3換算で5.0wt%以下であることを特徴とする請求項2又は3記載のZnO蒸着材。
- 前記焼結体の曲げ強度が80N/mm2以上であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のZnO蒸着材。
- 請求項1乃至5いずれか記載のZnO蒸着材を用いて成膜されることを特徴とする透明導電膜。
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