JP2014172783A - 酸化亜鉛粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Maki Tanaka
真樹 田中
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Taizo Matsunaga
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Abstract

【課題】体積抵抗値の低い薄膜を成膜することが可能なターゲット材の原料として好適に使用できる酸化亜鉛粉末及びその製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒径が50〜300nmの酸化亜鉛粉末であって、加速電圧が20kVの電子を照射して得られるカソードルミネッセンスの発光スペクトルのうち、波長380nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI380と規定し、波長550nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI550と規定し、波長550nm付近に位置する発光ピークのピーク波長をλ550と規定したときに、I550/I380≦1かつλ550≧550nmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化亜鉛粉末及びその製造方法に関し、特に、ターゲット材の材料として好適に使用できる酸化亜鉛粉末及びその製造方法に関する。
フラットパネルディスプレイや太陽電池、タッチパネルなどの分野では、基板上に透明導電膜を形成した透明電極が広く用いられている。一般に、透明導電膜は、その原料となる金属あるいは金属酸化物を焼結等により所定形状に成形したターゲット材を使用し、スパッタリング等の成膜技術を用いてターゲット材の金属あるいは金属酸化物を基板上に成膜することで形成される。
従来、透明導電膜としては、スズをドープした酸化インジウム(ITO)などの材料が用いられてきたが、インジウムは希少金属で高価であることから、近年、インジウムよりも安価な代替材料の研究開発が進んでいる。このような代替材料として、材料資源が比較的豊富な酸化亜鉛(ZnO)を用いたターゲット材が注目されている。
特許文献1には、アルミニウムを含有し、低抵抗の薄膜を安定して形成することが可能な酸化亜鉛系ターゲットが記載されている。また、特許文献2には、良好な結晶性を有する膜を高い成膜速度で大面積に成膜した酸化亜鉛薄膜が記載されている。さらに、特許文献3には、粒度分布の幅が狭く、可視光領域と紫外領域の各々最大発光強度の比が0.2以下のZnO薄膜を形成可能な酸化亜鉛超微粒子分散溶液が記載されている。
特開2010−84177号公報(要約、請求項1など) 特開2009−197333号公報(要約、請求項1など) WO2009/107674号公報(要約、請求項1など)
従来の酸化亜鉛粉末は、酸素欠陥が多く、かつ欠陥のエネルギー準位(欠陥準位)のエネルギーが高いため、得られるターゲット材は、酸素欠陥が多く、結晶性が悪いものが多い。さらに、このようなターゲット材を使用して成膜した透明導電膜(薄膜)は、アルゴンなどの不活性ガスのみをスパッタリングガスとして成膜を行った場合は、キャリア濃度が低く、体積抵抗値が高くなりすぎる傾向がある。このため、体積抵抗値を低くする目的で不活性ガスに水素ガスを加える必要があり、成膜コストが上昇したり、水素ガスが原因による膜の欠陥を生じやすくなったりする。
本発明の目的は、体積抵抗値の低い薄膜を成膜することが可能なターゲット材の原料として好適に使用できる酸化亜鉛粉末を提供することにある。
本発明は、平均粒径が50〜300nmの酸化亜鉛粉末であって、加速電圧が20kVの電子を照射して得られるカソードルミネッセンスの発光スペクトルのうち、波長380nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI380と規定し、波長550nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI550と規定し、波長550nm付近に位置する発光ピークのピーク波長をλ550と規定したときに、I550/I380≦1かつλ550≧550nmであることを特徴とする酸化亜鉛粉末である。
この場合において、550nm≦λ550≦580nmであることが好ましい。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の酸化亜鉛粉末の製造方法であって、金属亜鉛を加熱して蒸発させて亜鉛蒸気を発生させる工程と、前記亜鉛蒸気に酸化性ガスを接触させて酸化亜鉛を生成させる工程と、を備え、前記酸化性ガス中に含まれる酸素の量(O)と前記亜鉛蒸気(Zn)とのモル比率(O/Zn)が10〜50の範囲内であり、前記酸化亜鉛を加熱する際の加熱温度が900〜1100℃の範囲内であることを特徴とする酸化亜鉛粉末の製造方法である。
本発明によれば、酸素欠陥が少なく、かつ欠陥準位のエネルギーが低い酸化亜鉛粉末を提供することができるため、これをターゲット材に用いることで、体積抵抗値の低い薄膜を成膜することが可能となる。また、本発明によれば、このような特性を備えた酸化亜鉛粉末を製造することが可能となる。
酸化亜鉛粉末のカソードルミネッセンス法によるスペクトルを模式的に示した図である。 酸化亜鉛粉末の製造装置の一例である。 実施例に係る酸化亜鉛粉末のカソードルミネッセンス法によるスペクトルである。 実施例に係るターゲット材のカソードルミネッセンス法によるスペクトルである。 実施例に係るターゲット材を用いて製膜した薄膜の特性を示したグラフである。
<酸化亜鉛粉末>
本発明の酸化亜鉛(ZnO)粉末(以下、単に「酸化亜鉛粉末」という)は、平均粒径が50〜300nmであり、加速電圧が20kVの電子を照射して得られるカソードルミネッセンスの発光スペクトルのうち、波長380nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI380と規定し、波長550nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI550と規定し、波長550nm付近に位置する発光ピークのピーク波長をλ550と規定したときに、
550/I380≦1 ・・・条件(1)
かつ
λ550≧550nm ・・・条件(2)
である。
この酸化亜鉛粉末は、平均粒径が50〜300nmの範囲内であり、より好ましくは80〜250nmの範囲内であり、特に好ましくは100〜200nmの範囲内である。平均粒径が50nmを下回ると、嵩高く造粒時等のハンドリングが難しい。反対に、平均粒径が300nmを上回ると、ターゲット材がち密になりにくくなる。なお、本明細書において平均粒径は、後述する実施例にも記載しているようにBET換算径を採用するものとする。
また、酸化亜鉛粉末は、上記の条件(1)と条件(2)を兼ね備えた特性を有しているため、酸素欠陥の量が少なく、かつ欠陥準位が低いという優れた性質を有する。以下、この点について図1を参照して説明する。
図1は、本発明の酸化亜鉛粉末をカソードルミネッセンス(CL)法で測定したスペクトルを模式的に示したものである。カソードルミネッセンス法とは、試料に電子銃から電子線を照射し、励起された発光(カソードルミネッセンス)を測定する方法である。波長380nm付近に位置する発光ピークは、ZnO固有の発光であり、バンドギャップ、励起子再結合等に基づく発光を示している。また、550nm付近に位置する発光ピークは、ZnOの酸素欠陥等の欠陥準位に起因する発光であり、酸素欠陥の量や欠損準位などを示している。
酸化亜鉛粉末は、上記の条件(1)の性質、すなわち、波長550nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度I550が、I550/I380≦1と相対的に低いことから、酸素欠陥の相対量が少ない。また、酸化亜鉛粉末は、上記の条件(2)の性質、すなわち、波長550nm付近に位置する発光ピークのピーク波長が550nm以上の長波長側にシフトしているため、欠陥準位のエネルギーが低い。
条件(1)において、I550/I380の値は1以下であるが、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。I550/I380の値が大きすぎると、酸素欠陥が多くなりすぎる。
条件(2)において、λ550は550nm以上であるが、より好ましくは550〜580nmの範囲内であり、さらに好ましくは555〜575nmの範囲内である。λ550が短波長側にシフトしすぎると、欠陥準位のエネルギーが高くなりすぎる。
なお、本明細書において「加速電圧が20kVの電子を照射して得られるカソードルミネッセンスの発光スペクトル」とは、具体的には、後述する実施例に記載の条件下で、加速電圧が20kVにて行うことで得られる発光スペクトルを意味する。また、「波長380nm付近」とは、波長380nmを中心としてその近傍を意味し、具体的には350〜410nmの範囲を示している。また、「波長550nm付近」とは、波長550nmを中心としてその近傍を意味し、具体的には520〜580nmの範囲を示している。
<酸化亜鉛粉末の製造方法>
次に、本発明の酸化亜鉛粉末の製造方法について説明する。酸化亜鉛粉末は、例えば気相酸化法で製造することができる。酸化亜鉛粉末の製造方法は、金属亜鉛を加熱して蒸発させて亜鉛蒸気を発生させる工程と、この亜鉛蒸気に酸化性ガスを接触させて酸化することで酸化亜鉛を生成させる工程と、を備える。
以下、酸化亜鉛粉末の製造方法の一例について説明する。図2は、酸化亜鉛粉末の製造装置10を示した模式図である。まず、原料である金属亜鉛を亜鉛蒸気発生容器12内に供給する。金属亜鉛の供給量、供給条件は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、フランス法で採用される公知の範囲であればよい。次に、亜鉛蒸気発生容器12内の金属亜鉛を熱源24によって亜鉛の沸点以上、例えば950℃以上、好ましくは1000〜1150℃に加熱し、亜鉛融液22を介して亜鉛蒸気を発生させる。発生した亜鉛蒸気は、貫通孔20から酸化反応容器18に流入する。
亜鉛蒸気14が酸化反応容器18に流入される際、貫通孔20の閉塞防止等のため、アルゴン、ヘリウム、又は窒素等の不活性ガスをキャリアガスとして用いることが好ましい。このようなキャリアガスは、例えば、亜鉛融液22と蓋体25との間から供給される。キャリアガスの供給量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、フランス法で採用される公知の範囲であればよい。また、酸化反応容器へ流入する亜鉛蒸気の量及び濃度は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、フランス法で採用される公知の範囲であればよい。
酸化反応容器18に流入された亜鉛蒸気14は、酸化性ガス供給ノズル28から供給された酸化性ガス16に接し、これによって直ちに酸化されて酸化亜鉛のクラスタを形成する。このクラスタは、粒成長して酸化亜鉛微粒子となる。酸化性ガスの供給量、酸化性ガスと亜鉛蒸気の接触方法等の、酸化反応の条件は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、フランス法で採用される公知の範囲で酸化反応を実施することができる。生成した酸化亜鉛微粒子は、酸化亜鉛排出口30からバグフィルタ等の製品捕集器(図示せず)へと導かれて捕集される。
酸化亜鉛粉末は、上記製造方法における諸条件(亜鉛蒸気発生容器の加熱温度、酸化性ガス供給量等)を調整することにより得ることができる。
例えば、酸化性ガス中O量と亜鉛蒸気量のモル比率(以後O/Zn)を高くすることにより、CLスペクトルにおける550nm付近の発光ピークのピーク波長λ550を550nm以上の長波長に制御することができる。ただし、O/Znが高くなりすぎると、λ550は550nmより短波長となり、好ましくない。一例として亜鉛蒸気発生容器(内径150mm、高さ200mm)、酸化反応容器(内径200mm、高さ400mm)を用いた場合、O/Znが10〜50でλ550≧550nmを得ることができる。
また、例えば、亜鉛蒸気発生容器の加熱温度を低くすることにより、CLスペクトルにおける380nm付近の発光ピークの最大発光強度I380と550nm付近の発光ピークの最大発光強度I550の比、I550/I380を1以下に制御することができる。加熱温度を低くし過ぎると亜鉛蒸気の蒸発量が少なくなりすぎるため、加熱温度は900℃〜1100℃の範囲内が好ましく、1000℃程度がより好ましいが、上記範囲に限定されるものではない。
<ターゲット材>
次に、本発明の酸化亜鉛粉末を用いたターゲット材(以下、単に「ターゲット材」という)について説明する。上記の酸化亜鉛粉末は、スパッタリング用のターゲット材の原料として好適に用いることができる。特に、アルミニウムを含有するAZOターゲット材に好ましく使用することができる。以下、ターゲット材について説明する。
ターゲット材は、酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)とを含む焼結体からなり、カソードルミネッセンス法における波長380nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI380と規定し、波長550nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI550と規定したときに、
550/I380≦7 ・・・条件(3)
である。
ターゲット材は、Alが固溶したZnO相(ZnO:Al)と、ZnとAlを含むスピネル相とから構成される。ターゲット材の組成はZnOとAlに換算した重量比(ZnO:Al)において、99:1〜95:5の範囲内が好ましく、99:1〜99:3の範囲内がより好ましい。Alが少ないと生成するキャリアが少なく、多いと得られる透明導電膜の透過率が低下しやすくなる。
また、ターゲット材は、上記の条件(3)の特性を有しているため、酸素欠陥の量が少なく、かつ欠陥準位が低いという優れた性質を有する。このため、このターゲット材を用いて製膜した場合、不活性ガス雰囲気中で成膜を行っても、得られる薄膜はキャリア濃度が高く、体積抵抗値が低くなり、従来のように成膜の際に水素ガスを導入する必要がなくなる。
以下、条件(3)について説明する。カソードルミネッセンス法の説明は、上述したとおりなので詳細は割愛する。380nm付近の発光は、上述したようにZnOに固有の発光であるほか、ZnO:Alのバンド間遷移や励起子再結合に起因する発光であり、ZnO:Alの結晶性の良好さ、Al固容量(AlZnあるいは、Al格子間)を示している。また、550nm付近の発光は、ZnO:Alの酸素欠陥等の欠陥準位に起因する発光であり、酸素欠陥等の量を示す。
ターゲット材は、波長550nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度I550が、I550/I380≦7と相対的に低いことから、ZnO:Alの結晶性が良く、Alの固溶が多く、酸素欠陥等の欠陥が少ない。このため、スパッタリングにより成膜した場合に、得られる薄膜は、Alの固溶によるキャリア濃度が高く、体積抵抗値の低い膜を得ることができる。
<ターゲット材の製造方法>
次に、ターゲット材の製造方法について説明する。ターゲット材の製造方法は、原料混合工程と、原料スラリーの乾燥造粒工程と、成形工程と、焼成工程と、外形加工工程と、を備えている。
(1)原料混合工程
ターゲット材の原料として、ZnO、Al粉末を用いる。各粉末の純度は高い方が好適であり、純度は少なくとも99%、より好ましくは99.9%、さらには好ましくは99.99%以上である。純度が99%を下回ると、不純物元素が多くなるため、透明導電膜とした場合の特性が悪化するからである。ZnO、Al粉末の粒子径は、特に限定されないが、ターゲット材を得るためには、粒径が小さい方が好ましい。ZnOとAlの焼結時の反応を促進し、ZnO:Alの高い結晶性を得やすいためである。また焼結性も良く、好ましい。さらに、酸化亜鉛粉末は、上述した特性を有する酸化亜鉛粉末のように酸素欠陥等の欠陥が少ない方が好ましい。なお、アルミニウムの原料としては、上記材料に特定されるものではなく、硝酸塩等の工程中に酸化物となるものについても使用することができる。
原料の混合には、湿式ボールミルを用いると好適である。溶媒は、水やアルコール等の有機溶媒を用いることができる。混合時間は、特に限定されないが、原料が均一に混合されるのに十分な時間行うことが望ましい。均一に混合されていない場合、ターゲット材に組成、密度ムラが生じ、材料強度が低下しやすくなる。原料混合の際、必要に応じ分散剤を添加することができる。分散剤の種類は特に限定されないが、焼結で分解し、残留しない成分であることが好ましい。混合の際の原料濃度は、特に限定されないが、一般的には15〜75%が用いられる場合が多い。
(2)原料スラリーの乾燥造粒工程
次に、湿式ボールミルから原料が混合されたスラリーを取り出し、これを乾燥して成形に適する形状に造粒する。乾燥は、スプレードライヤーを用いることが好適である。この際、必要に応じて成形用助剤を加えても良い。助剤の種類は、特に限定されないが、一般的にはポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、セロゾール、パラフィン等が用いられる。
(3)成形工程
続いて、乾燥造粒粉を所定の形状に成形する。成形は、金型を用いた一軸成形、CIP(冷間等方加圧)成形などを単独、あるいは組み合わせて行うことができる。成形圧力は、特に限定されないが、一般的に1000kg/cm以上の圧力をかけた場合、良好な成形体を得ることが可能であり、好ましい。
(4)焼成工程
次に、成形体を焼成する。この場合、常圧焼結で行うことが、製造コストが低減でき、大型化も容易であるため好ましい。焼成雰囲気は、大気雰囲気で行うことが好ましい。焼結温度は、特に限定されないが、一般的に低温の方が、製造コストが低減されるため、より低い温度で所望の密度が得ることが望ましい。焼成温度は、1400℃以下であれば、ZnOの揮発への対策を取る必要がなく、製造コストがより低減されるため好ましい。焼結時間は、特に限定されないが、一般的には1h以上が望ましい。成形体が大型であれば均熱を得るために時間が必要であるためである。
また、焼成を行う前に、分散剤、成形助剤を除去するため、脱脂を行うことが好ましい。脱脂温度条件は、特に限定されないが、分散剤、成形助剤が完全に分解する温度及び昇温速度であることが望ましい。
(5)外形加工工程
上記の焼成工程で得られた焼結体は、目的に応じて所望の形状に加工して用いることができる。外形加工の方法としては、表面研磨など公知の方法を行うことができる。また、外形加工後は、必要に応じてバッキングプレートへのボンディングなどを行うことで、スパッタリング用ターゲットとすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
1.特性測定法
酸化亜鉛粉末とターゲット材の特性測定法は以下のとおりである。
(a)CL(カソードルミネッセンス)
粉末又は焼結体を走査型電子顕微鏡内(SEM:S−4800)にセットし、SEMに付属したCL装置(MP−MICRO 堀場製作所製)にて評価した。測定は、測定条件は、粉末の場合SEMの加速電圧を20kV,走査範囲を1000倍に設定し、焼結体の場合SEMの加速電圧を5kV,走査範囲を2000倍に設定し、CLの測定条件を中心波長500nm,露光時間1000msec,積算回数10回とし測定を実施した。
(b)体積抵抗率、キャリア濃度、移動度
ホール効果測定システム(Ecopia製HMS−3000SP)を用い、スパッタ膜の体積抵抗率、キャリア濃度、移動度を測定した。
2.実施例1
(1)酸化亜鉛粉末の製造
亜鉛蒸気発生容器(内径150mm、高さ200mm)内に収容された金属亜鉛(和光純薬製試薬1級;純度99.9質量%)を1000℃に加熱し、亜鉛を蒸発させた。発生した亜鉛蒸気は、貫通孔(内径25mm)より酸化反応容器(内径200mm、高さ400mm)に流入された。この際、キャリアガスとして、アルゴン1Nl/minを供給した。酸化反応容器内においては、酸化性ガス供給ノズルより空気を300Nl/minで供給して亜鉛蒸気に接触させて酸化させた。生成した酸化亜鉛は、吸引ファンにより吸引してバグフィルタにて捕集した。この時のO/Znは32であった。得られた酸化亜鉛粉末のBET換算径は126nm、また、CLスペクトルを測定したところ、I550/I380=0.17、λ550=570nmであった。その結果を表1に示す。また、得られたスペクトルを図3に示す。
Figure 2014172783
(2)ターゲット材の製造
樹脂製ボールミル容器中にΦ11mmのナイロンボールと、上記ZnO:98wt%、Al:2wt%に調製した原料粉末を投入した。次に、原料に対して、水を100wt%、分散剤を1wt%加えた。該ボールミル容器をボールミルで16時間混合し、原料スラリーを得た。調製した原料スラリーに、成形助剤(PVA)を原料含有量に対して1wt%加え、攪拌した後、該スラリーをSD(大河原化工機製 FL−12)にて乾燥した。乾燥は入り口温度250℃、出口温度105℃の設定で実施し、乾燥造粒粉を得た。
作製した乾燥造粒粉を76mmΦの金型に投入し、油圧式一軸成形機を用い面圧500kg/cmにて所定の形状にプレス成形した。次に、該プレス成形体をCIP(冷間等方加圧)成形機を用い圧力1000kg/cmにて成形し、CIP成形体を得た。CIP成形体をアルミナセッターに投入し電気炉中に設置し、最高温度500℃の条件にて脱脂処理を行い、脱脂体を得た。得られた脱脂体をアルミナセッターに投入し電気炉中に設置し、最高温度1450℃−1時間保持の条件にて焼成し、ターゲット材を作製した。得られたターゲット材のCLスペクトルを測定したところ、I550/I380=5.96であった。その結果を表2に示す。また、得られたスペクトルを図4に示す。
Figure 2014172783
(3)ターゲット材を用いたスパッタ成膜
ZnOターゲット材をΦ50mm×厚み3mmに研削加工し、洗浄・乾燥後、バッキングプレートにボンディングした。ターゲット材をスパッタ装置(Biemtron製UNS0042)に設置し、スパッタ成膜を行い、スパッタ膜を得た。スパッタ条件は、基板加熱なしにて、チャンバー内の真空度が3×10−3Pa以下になったところで、Arガスを0.5Pa導入し、RF電源を用いて50Wの出力でガラス基板に60分成膜した。またH導入条件ではArガス0.5Paに加えAr+Hガスを0.02Paもしくは0.09Paで導入し成膜した。
得られた膜の体積抵抗率、キャリア濃度、キャリア移動度の評価を、ホール効果測定システム(Ecopia製HMS−3000SP)を用いておこない、Arガス0.5Pa成膜(Ar+Hガスなし)における特性値を1とした相対値で表3に示すとともに、グラフを図5に示した。その結果、Ar+Hガスの有無にかかわらず、キャリア濃度が高く、低抵抗の膜が得られたことがわかった。
Figure 2014172783
3.比較例1
亜鉛蒸気発生容器(内径150mm、高さ200mm)内に収容された金属亜鉛(和光純薬製試薬1級;純度99.9質量%)を1100℃に加熱し、亜鉛を蒸発させた。発生した亜鉛蒸気は、貫通孔(内径25mm)より酸化反応容器(内径200mm、高さ400mm)に流入された。この際、キャリアガスとして、アルゴン1Nl/minを供給した。酸化反応容器内においては、酸化性ガス供給ノズルより空気を140Nl/minで供給して亜鉛蒸気に接触させて酸化させた。生成した酸化亜鉛は、吸引ファンにより吸引してバグフィルタにて捕集した。この時のO/Znは7であった。得られた酸化亜鉛粉末のBET換算径は313nm、また、CLスペクトルを測定したところ、I550/I380=1.32、λ550=542nmであった。その結果を表1と図3に示す。さらに、実施例1と同様の条件でターゲット材を作成し、得られたターゲット材のCLスペクトルを測定したところ、I550/I380=7.26であった。その結果を表2と図4に示す。さらに、得られたターゲット材を用いて実施例1と同じ条件でスパッタを行い、薄膜を成膜してその特性を調べた。その結果を表3及び図5に示す。
4.比較例2
亜鉛蒸気発生容器(内径150mm、高さ200mm)内に収容された金属亜鉛(和光純薬製試薬1級;純度99.9質量%)を1000℃に加熱し、亜鉛を蒸発させた。発生した亜鉛蒸気は、貫通孔(内径25mm)より酸化反応容器(内径200mm、高さ400mm)に流入された。この際、キャリアガスとして、アルゴン1Nl/minを供給した。酸化反応容器内においては、酸化性ガス供給ノズルより空気を480Nl/minで供給して亜鉛蒸気に接触させて酸化させた。生成した酸化亜鉛は、吸引ファンにより吸引してバグフィルタにて捕集した。この時のO/Znは52であった。
得られた酸化亜鉛粉末のBET換算径は295nm、またCLスペクトルを測定したところ、I550/I380=0.18、λ550=543nmであった。その結果を表1と図3に示す。さらに、実施例1と同様の条件でターゲット材を作成し、得られたターゲット材のCLスペクトルを測定したところ、I550/I380=8.25であった。その結果を表2と図4に示す。さらに、得られたターゲット材を用いて実施例1と同じ条件でスパッタを行い、薄膜を成膜してその特性を調べた。その結果を表3及び図5に示す。
5.実施例2〜5、比較例3
実施例1における酸化亜鉛粉末の製造装置において、製造条件を表4に変更して実施例1と同様に酸化亜鉛粉末を製造した。各製造条件で得られた酸化亜鉛粉末の物性値を測定した。その結果を表5に示す。これらの結果から、レトルト温度が1150、O/Znが10.5の比較例3では、得られる酸化亜鉛粉末の550nmピークλ550が537.9nmと550nmを下回って短波長側にシフトしていることがわかる。それ以外の実施例2〜5は、I550/I380が1以下であり、λ550が550nm以上であるため、酸素欠損の量が少なく欠損準位が低いことがわかる。
Figure 2014172783
Figure 2014172783
10 製造装置、12 亜鉛蒸気発生容器、14 亜鉛蒸気、18 酸化反応容器、20 貫通孔、22 亜鉛融液、24 熱源、25 蓋体、28 酸化性ガス供給ノズル、30 酸化亜鉛排出口

Claims (3)

  1. 平均粒径が50〜300nmの酸化亜鉛粉末であって、
    加速電圧が20kVの電子を照射して得られるカソードルミネッセンスの発光スペクトルのうち、波長380nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI380と規定し、
    波長550nm付近に位置する発光ピークの最大発光強度をI550と規定し、
    波長550nm付近に位置する発光ピークのピーク波長をλ550と規定したときに、
    550/I380≦1
    かつ
    λ550≧550nm
    であることを特徴とする酸化亜鉛粉末。
  2. 550nm≦λ550≦580nmであることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛粉末。
  3. 請求項1又は2に記載の酸化亜鉛粉末の製造方法であって、
    金属亜鉛を加熱して蒸発させて亜鉛蒸気を発生させる工程と、
    前記亜鉛蒸気に酸化性ガスを接触させて酸化亜鉛を生成させる工程と、を備え、
    前記酸化性ガス中に含まれる酸素の量(O)と前記亜鉛蒸気(Zn)とのモル比率(O/Zn)が10〜50の範囲内であり、
    前記酸化亜鉛を加熱する際の加熱温度が900〜1100℃の範囲内であることを特徴とする酸化亜鉛粉末の製造方法。
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