JP2014092330A - フィン付きヒートパイプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パイプ本体3の外周面にフィン5をロウ付けにより接合する際に、パイプ本体3に対して複数のフィンを機械的に拘束する拘束治具10を取り付けてロウ付け熱処理を行う。拘束治具10は、軸線方向に沿って複数取り付けられるが、各々の拘束治具10は、第1治具11と第2治具15からなり、第1治具11は、内周面に第1テーパ面12が形成されたリング状をなし、第2治具15は、外周面に第1テーパ面12に適合される第2テーパ面16が形成されたリング状をなし、周方向の一部が切り欠かれている。拘束治具10がフィン5を拘束する際には、第1テーパ面12と第2テーパ面16が接するように、第2治具を第1治具に嵌合させる。
【選択図】図3
Description
このヒートパイプは、熱伝導性が優れることが求められるため、例えば特許文献2に開示されるフィン付のヒートパイプを用いることが好ましい。このフィン付ヒートパイプは、フィンの幅(パイプ表面からの突出高さ)が大きい場合には、押出し法によって作製することができないため、ヒートパイプの外周面に軸線方向に沿って延びる帯状(または平板状)のフィンを複数枚接合して作製される。接合されたフィンは、ヒートパイプの軸心を基準にして放射状に配置される。また、フィンは、パイプおよびフィンの材質に応じて、ロウ付け、溶接などの方法によって接合される。
一方で、より多くのフィン付ヒートパイプを効率よく作製するためには、フィンが拘束されたパイプ(以下、パイプ中間体)をできるだけ多く加熱炉に投入する必要がある。この場合、加熱炉内にパイプ中間体を寝かせて置くことは、膨大な面積を占有するために、現実的ではない。寝かせたパイプ中間体を積み重ねれば、専有面積を小さくきるが、下の方に置かれたパイプ中間体は、それよりも上に置かれるパイプ中間体から荷重を受けるため、接合を適切に行えなくなるおそれがある。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、パイプ中間体を立たせたままでロウ付けの熱処理を行うことのできるヒートパイプの製造方法を提供することを目的とする。
本発明において、拘束治具は、軸線方向に沿って複数取り付けられる。
各々の前記拘束治具は、第1治具と第2治具からなり、第1治具は、内周面に第1テーパ面が形成されたリング状をなし、第2治具は、外周面に第1テーパ面に適合される第2テーパ面が形成されたリング状をなし、周方向の一部が切り欠かれている。
拘束治具が複数の前記フィンを拘束する際には、第1テーパ面と第2テーパ面が接するように、第2治具を第1治具に嵌合させる。
本発明のヒートパイプの製造方法によると、複数の拘束治具でパイプ本体に対してフィンを拘束するので、パイプ本体とフィンとからなるパイプ中間体を、加熱炉の中に立たせた状態でロウ付けのための熱処理を行うことができる。また、複数の拘束治具で拘束するので、ロウ付け熱処理時にロウ材がパイプ本体とフィンの間から漏洩するのを防止できる。
また、本発明のヒートパイプの製造方法によると、拘束治具が第1テーパ面と第2テーパ面が接するように第2治具を第1治具に嵌合させるものであって、第2治具を軸線方向に移動させるだけで、拘束治具によりフィンを拘束できるので、拘束の作業が容易である。
詳しくは後述する第2実施形態において説明するが、第1治具と第2治具を一体的に取り扱うことができるとともに、拘束を解く作業が容易である。
〔第1実施形態〕
はじめに、本実施形態が適用されるヒートパイプ1の構成について説明する。
ヒートパイプ1は、パイプ本体3とフィン5から構成され、例えば、揮発性の液体(作動液)を、吸熱側に液相、放熱側に蒸気相が溜まる姿勢にして封入されて使用される。ただし、本実施形態は、作動液が封入される前のフィン付のヒートパイプ1を、ロウ付けにより接合して製造する方法を提供する。
フィン5は、パイプ本体3の長さと同等の長さを有する帯状の部材からなり、熱伝導性に優れる例えば銅又は銅合金から構成される。この実施形態では、8枚のフィン5がパイプ本体3の周囲に放射状に接合されている。フィン5は、パイプ本体3との間に介在されるロウ材により接合される。そのために、パイプ本体3とフィン5の間にロウ材を介在させ、かつフィン5をパイプ本体3に対して拘束したままで、加熱炉に投入して、ロウ材を加熱溶融した後に、冷却凝固させる。
拘束治具10は、図3に示すように、第1治具11と第2治具15を組み合わせることで構成される。
図4(a)に示すように、第1治具11はリング状の部材からなるが、内周は第1テーパ面12とされている。図4(b)に示すように、第2治具15もリング状の部材からなり、外周が第2テーパ面16とされている。第2治具15は、また、周方向の一部に切欠き18が形成されている、径方向の中心沿う力を受けると、縮径することができる。詳しくは後述するが。第2治具15が縮径することにより、拘束治具10はパイプ本体3に対してフィン5を拘束することができる。
第1治具11、第2治具15に関して下記した合金はあくまで一例であり、第1治具11については、ロウ付け熱処理温度域における線膨張係数αが低いNi基耐熱合金((a),(b)はマトリックス強化型,(c)はγ'析出強化型Ni基耐熱合金)、あるいは例示していないが、Fe基耐熱合金から適宜選択できる。なお、また、第2治具15については、一例のみを記載したが、パイプ本体3と同様のオーステナイト系ステンレス鋼から適宜選択すればよい。もちろん、パイプ本体3と同じオーステナイト系ステンレス鋼から第2治具15を形成してもよい。
第1治具11と第2治具15の線膨張係数が上記の関係を有していれば、ロウ付け熱処理が終了した後に、第1治具11から第2治具15を取り外す作業が容易になる、という効果をも発揮する。
フィン5(銅) α=22.4(測定温度範囲 室温−1000K)
JIS SUS3304;オーステナイト系ステンレス鋼
第1治具11
(a)Nimonic 90 α=15.6(測定温度範囲 室温−800℃)
(b)Hastelloy C α=15.4(測定温度範囲 室温−800℃)
(c)JIS NCF 600 α=16.1(測定温度範囲 室温−800℃)
Nimonic;Special Metals Corporationの登録商標
Hastelloy;Haynes International,Incの登録商標
(d)JIS SUS316 α=19.4(測定温度範囲 室温−1000K)
JIS SUS316;オーステナイト系ステンレス鋼
次に、パイプ中間体に取り付け及び取り外す際の作業性を向上させた拘束治具20を、図5〜図8を参照しながら、第2実施形態として説明する。なお、拘束治具20の基本構成は拘束治具10と同様であり、拘束治具10(第1治具11、第2治具15)と同じ構成要素については、拘束治具10と同じ符号を図5〜図8に付けるとともに、以下では、相違点を中心にして説明する。
第1治具21は、第1実施形態の第1治具11と同じ部材であり、内周側に第1テーパ面22が形成されている。
図5に示すように、第2治具25は、拘束部251と、拘束部251に一体的に連なる退避部252と、を備えている。退避部252は、内周、外周ともに軸方向の径が等しく形成されている。拘束部251は、第2治具15(第1実施形態)と構成が同じく形成されており、外周に第2テーパ面26が形成されている。退避部252は、拘束部251の最も径が小さい部分から軸方向(図中上方)に延長されており、拘束部251と内径が一致する。
拘束治具20を、パイプ中間体の拘束予定位置に位置決めしたならば、第1治具21を移動することで、図7(b)に示すように、第1治具21を第2治具25の拘束部251に嵌合させる。こうして拘束治具20で拘束されたパイプ中間体を加熱炉に投入して、ロウ付け熱処理を行う。
ロウ付けが終了し、拘束治具20で拘束されたパイプ中間体を加熱炉から取り出した後に、拘束治具20をヒートパイプ1から取り外す。このとき、操作片27が機能する。つまり、図7(c)に示すように、矢印で示すように操作片27に下向きに力を加える(叩く、押すなど)ことで、第1治具21を第2治具25の退避部252に向けて位置をずらすことで、第1治具21と第2治具25の嵌合が解かれるので、拘束治具20をヒートパイプ1から容易に取り外すことができる。なお、この作業を行なう際には、第1治具21の位置を固定しておくと、第1治具21と第2治具25の嵌合を解く上で好ましい。また、嵌合を解いた後でも、第1治具21は、第2治具25の操作片27があるため、第2治具25から分離することがないので、この後も両者を一体で取り扱うことができるし、一方を誤って紛失することもない。
例えば、図8に示すように、拘束治具10の第2治具15の内周側に保持溝17を形成しておき、この保持溝17にフィン5を挿入、保持しておいて、これをパイプ本体3に組み付けることができる。そうすれば、拘束治具10によりパイプ中間体を拘束する作業が簡便になる。これは、拘束治具20についても同様である。
3 パイプ本体
5 フィン
10,20 拘束治具
11,21 第1治具
12,22 第1テーパ面
15,25 第2治具
16,26 第2テーパ面
251 拘束部
252 退避部
17 保持溝
18 切欠き
27 操作片
28 支持梁
Claims (5)
- パイプ本体の外周面に、前記パイプ本体の軸線方向に沿って延びるフィンをロウ付けにより接合する際に、前記パイプ本体に対して複数の前記フィンを機械的に拘束する拘束治具を取り付けるヒートパイプの製造方法であって、
前記拘束治具は、前記軸線方向に沿って複数取り付けられ、
各々の前記拘束治具は、
内周面に第1テーパ面が形成されたリング状の第1治具と、
外周面に前記第1テーパ面に適合される第2テーパ面が形成されたリング状をなし、周方向の一部が切り欠かれた第2治具とからなり、
前記第1テーパ面と前記テーパ面が接するように、第2治具を第1治具に嵌合させることで複数の前記フィンを拘束する、
ことを特徴とするヒートパイプの製造方法。 - 前記第2治具は、
複数の前記フィンを拘束するときに、第1治具が嵌合される拘束部と、
前記拘束部と一体的に形成され、複数の前記フィンを拘束するときを除いて、第1治具が保持される退避部と、を備え、
前記拘束部は、その外周面に前記第2テーパ面が形成され、
前記退避部は、前記拘束部に嵌合されている前記第1治具を取り外すときに力が加えられる操作片を備える、
請求項1に記載のヒートパイプの製造方法。 - 前記第1治具は、前記パイプ本体及び前記フィンを構成する材料よりも線膨張係数の小さい材料から構成される、
請求項1または2に記載のヒートパイプの製造方法。 - 前記第2治具は、その内周側に前記フィンが挿入されることで前記フィンを保持する保持溝が形成されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒートパイプの製造方法。 - 複数の前記拘束治具が、前記パイプ本体の軸方向に沿って、支持梁で連結されている、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のヒートパイプの製造方法。
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2012
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