JP2014091658A - 球状粒子及び球状粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導率の高い球状粒子を提供する。
【解決手段】無機酸化物粒子と、前記無機酸化物粒子の表面を被覆する酸化亜鉛で形成された被覆層とを備える。
【選択図】なし
【解決手段】無機酸化物粒子と、前記無機酸化物粒子の表面を被覆する酸化亜鉛で形成された被覆層とを備える。
【選択図】なし
Description
本発明は、球状粒子及び球状粒子の製造方法に関し、特に無機酸化物粒子を火炎中に投入して溶射することにより形成する球状粒子に関する。
樹脂の機能を高めるために、当該樹脂に充填する微粒子として、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの粒子また、シリカ、アルミナなどの球状粒子が用いられている。このうちアルミナ球状粒子は、半導体パッケージに使用する放熱シートに用いられている。当該放熱シートは、アルミナ球状粒子が樹脂に充填されており、アルミナ球状粒子の熱伝導率が高いことから半導体パッケージが放出する熱を効率よくヒートパイプへ伝導する放熱材料として用いられる。
アルミナ球状粒子は水酸化アルミニウムなどのアルミナ原料粉末を高温火炎中に投入することで球状化する方法(溶射球状化法)が一般的に知られている(例えば特許文献1及び2)。
例えば特許文献1には、アルミナ原料粉末を、高温火炎中で溶射し、球状アルミナを製造する方法において、アルミナ原料粉末中に平均粒径0.1〜2.0mmのシリカ質粉末をSiO2換算で1〜50%存在させることによって、耐湿信頼性に優れた球状アルミナ粉末を製造する製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、無機酸化物粉体(粉体A)とそれより粒径の小さい微粉の無機酸化物粉体(粉体B)を火炎中で溶射して粉体Aの表面を改質する方法が開示されている。
しかしながら上記特許文献1及び2に開示された球状粒子では、近年の半導体装置の高集積化による技術の発展に伴い、放熱材料に対するより高い要求に十分こたえることができない、という問題があった。
そこで本発明は、より熱伝導率の高い球状粒子を提供することを目的とする。
本発明に係る球状粒子は、無機酸化物粒子と、前記無機酸化物粒子の表面を被覆する酸化亜鉛で形成された被覆層とを備えることを特徴とする。
本発明に係る球状粒子の製造方法は、無機酸化物粉末と、酸化亜鉛粉末とを火炎中に投入して溶射することにより、無機酸化物粒子の表面に酸化亜鉛で形成された被覆層を形成することを特徴とする。
本発明の球状粒子によれば、無機酸化物粒子より熱伝導率の高い酸化亜鉛で形成された被覆層を無機酸化物粒子の表面に設けたことにより、より熱伝導率を向上することができる。
本発明の球状粒子の製造方法によれば、無機酸化物粉末と酸化亜鉛粉末を火炎中に投入して溶射することにより球状粒子を製造するので、より熱伝導率の高い球状粒子を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る球状粒子は、無機酸化物粒子と、当該無機酸化物粒子の表面に形成された被覆層とを備える。無機酸化物粒子は、アルミナ又はシリカを用いることができる。球状粒子は、バーナーに供給可能で球状化できる無機酸化物粒子であれば粒径を問わず形成可能である。例えば球状粒子は平均粒径が0.5μm〜100μmの無機酸化物粒子を用いて形成することができる。
無機酸化物粒子としてアルミナを用いる場合、平均粒径は例えば2.5μm〜37μmとすることができる。無機酸化物粒子としてシリカを用いる場合、平均粒径は例えば20μm〜35μmとすることができる。被覆層は、酸化亜鉛(ZnO)で形成される。用いられる酸化亜鉛は、特に粒径が限定されない。
このように構成された球状粒子は、無機酸化物粒子の表面に当該無機酸化物粒子より熱伝導率の高いZnOで形成された被覆層を設けたことにより、無機酸化物粒子の単体に比べ、より熱伝導率を向上することができる。
次に球状粒子を製造する製造装置について図1を参照して説明する。製造装置1は、溶射炉2、バーナー3、可燃ガス供給管4、支燃ガス供給管5、原料供給管6、サイクロン7、バグフィルター8、ブロワー9を備える。
溶射炉2は、上部中央にバーナー3が設置されている。バーナー3には、可燃ガス供給管4、支燃ガス供給管5、及び原料供給管6が連通されている。可燃ガス供給管4には、例えばLPGなどの可燃性ガスが供給される。支燃ガス供給管5には、酸素や空気などが供給される。原料供給管6には、アルミナ又はシリカの原料となる無機酸化物粉末、及び酸化亜鉛粉末を混合した原料が供給される。
アルミナの原料としては、アルミナまたは水酸化アルミニウムの粉末を用いることができる。シリカの原料としては溶融シリカまたは珪石を粉砕した粉末を用いることができる。これらアルミナ又はシリカの原料となる無機酸化物粉末は、原料粉末を使用してもよいし、予め原料粉末を火炎中に投入して溶射することにより球状化した粉末を用いてもよい。
ブロワー9は、溶射炉2に投入された粉末を吸引し、当該粉末をサイクロン7及びバグフィルター8へ送り出す。サイクロン7及びバグフィルター8において、本実施形態に係る球状粒子、すなわち無機酸化物粒子の表面に酸化亜鉛で形成された被覆層が設けられた所定の大きさの球状粒子が回収される。
次に球状粒子の製造方法について説明する。まずバーナー3に可燃ガス及び支燃ガスを供給し、バーナー3の先端に火炎を形成する。当該火炎の温度は、2500℃程度に保持される。このように形成された火炎中に無機酸化物粉末と、酸化亜鉛粉末を同時に投入する。
無機酸化物粉末に対する酸化亜鉛粉末の添加量は、1〜50重量%であることが好ましい。酸化亜鉛粉末の添加量が1重量%でも無機酸化物粒子の表面に被覆層を形成することができる。一方、50重量%を超える量の酸化亜鉛粉末を添加しても、被覆層を形成することができる。被覆層を形成せずにそのまま回収される酸化亜鉛粉末が増えるだけである。
さらに無機酸化物粉末に対する酸化亜鉛粉末の添加量は、5〜30重量%であることがより好ましい。酸化亜鉛粉末の添加量が5重量%以上のとき、形成された球状粒子の熱伝導率をより安定的に向上することができる。一方、30重量%を超える量の酸化亜鉛粉末を添加しても、球状粒子の熱伝導率に影響を与えない。
火炎中に投入された無機酸化物粉末は溶解して表面張力により球状化し、無機酸化物粒子となる。一方、酸化亜鉛の粉末は火炎中で昇華し、気体となる。
溶射炉2は、バーナー3の火炎上部は2500℃程度の高温であるが、下部へ行くにしたがって徐々に温度が低下し、1900℃程度まで低下する。そうすると、上部において気体となった酸化亜鉛は、上部に比べ温度が低い火炎下部或いは火炎外において固化し、無機酸化物粒子の表面に析出する。このようにして酸化亜鉛が無機酸化物粒子の表面に析出することにより被覆層が形成される。
なお、溶射炉2の下部には、球状粒子の他、無機酸化物粒子の表面に析出せず気体からそのまま固化した酸化亜鉛粒子も混在している。そこで製造装置1は、これら球状粒子と酸化亜鉛粒子が混在した粒子群をブロワー9で吸引しサイクロン7及びバグフィルター8へ送り出すことにより、無機酸化物粒子の表面に被覆層が形成された所定の大きさの球状粒子のみをサイクロン7で取り出す。バグフィルター8には無機酸化物粒子の表面に被覆層が形成されたサイクロン7で回収されない球状粒子及び酸化亜鉛粒子を得ることができる。また、無機酸化物粉末に加える酸化亜鉛粉末比率を制御することでバグフィルター8で回収した粒子中の酸化亜鉛粒子比率を下げることは可能である。
上記のように製造された球状粒子は、無機酸化物粒子より熱伝導率の高いZnOで形成された被覆層を無機酸化物粒子の表面に設けたことにより、より熱伝導率を向上することができる。本実施形態の場合、球状粒子は、被覆層を有していない無機酸化物粒子に比べ熱伝導率を50%向上することができる。
また本実施形態の場合、無機酸化物粉末と酸化亜鉛粉末を火炎中に投入して溶射することにより球状粒子を製造するので、製造工程を簡略化することができる。
(実施例)
次に本発明に係る実施例について説明する。本実施例においては上記図1に示す製造装置1を用いて球状粒子を製造した。
次に本発明に係る実施例について説明する。本実施例においては上記図1に示す製造装置1を用いて球状粒子を製造した。
まず無機酸化物粒子としてアルミナを用いた場合について説明する。無機酸化物粉末と酸化亜鉛粉末は、火炎中に投入する前にミキサーを用いて混合した。可燃ガスはLPGを用い、33Nm3/hrの流量で供給した。支燃ガスは酸素を用い115Nm3/hrの流量で供給した。これによりバーナー3において2500℃以上の火炎を形成した。
無機酸化物粉末及び酸化亜鉛粉末を混合した粉末を搬送する搬送ガスは酸素を用い、50Nm3/hrの流量で供給した。これにより無機酸化物粉末及び酸化亜鉛粉末を混合した粉末を150Kg/hrの速度で火炎中に投入した。
ブロワー9は、1000Nm3/hr以上の燃焼ガスを含む気体をサイクロン7へ送り出すこととした。これによりサイクロン7に流入する気体の速度を10m/sec以上とした。したがってサブミクロンのような微粉は、サイクロン7では回収されずに、バグフィルター8で回収される。
無機酸化物粉末としてのアルミナ(住友化学製)は、平均粒径が37μm(A-26)、10μm(AM-29B)、2.5μm(AL-S43B)の3種類とした。酸化亜鉛粉末(ハクスイテック製、JIS規格1種)は、粒径0.5μmのものを用いた。
球状粒子の粒径は、レーザー式粒度測定器(CILAS製、Cilas−920)を用いて測定した。被覆層が無機酸化物粒子の表面に形成されていることについては、球状粒子を押し固めてX線回折でZnOピーク強度を測定することにより確認した。球状粒子の熱伝導率は、アルミナAES-12(住友化学製)を20%混合した球状粒子をエポキシ樹脂に対して85重量%充填して測定した。その結果を表1の実施例1〜8及び比較例1〜3に示す。
なお、以下の表において「Cy品」とはサイクロン7で回収された球状粒子を示す。また、「BF品」とは、バグフィルター8で回収されたサブミクロンのような微粉であり、サイクロン7で回収されない球状粒子及び酸化亜鉛粒子を示す。
アルミナ粉末に対する酸化亜鉛粉末の添加量が1重量%でも無機酸化物粒子の表面に酸化亜鉛が存在することが確認でき、さらに熱伝導率も比較例に比べ向上した。
アルミナ粉末の平均粒径が37μmの球状粒子で比較した場合、実施例5及び6では熱伝導率が2.7w/mkであるのに対し、比較例1では1.8w/mkである。したがってアルミナ粉末の平均粒径が37μmの場合、本実施例に係る球状粒子は、比較例に比べ熱伝導率を50%向上することができる。
酸化亜鉛粉末の添加量が5重量%以上のとき、熱伝導率が安定的に向上することが確認できた。酸化亜鉛粉末の添加量が30重量%を超えると、熱伝導率に差は見られず、バグフィルター8における回収量が増加した。したがって酸化亜鉛粉末は、30重量%より多く添加しても、被覆層の形成に寄与せずそのまま回収されることがわかった。
またアルミナ粉末の平均粒径が10μm(実施例7)及び2.5μm(実施例8)の場合も同様に被覆層が形成されていない無機酸化物粒子(比較例2,3)に比べ熱伝導率が向上することが確認できた。
次に無機酸化物粒子としてシリカを用いた場合について説明する。製造条件及び確認条件は、上記アルミナの場合と同様であるので、異なる点についてのみ説明する。無機酸化物粉末としてのシリカ粉末(珪石をボールミルで粉砕した市販品)は、平均粒径が35μmの珪石と、平均粒径が20μmの珪石の2種類とした。球状粒子の熱伝導率は、アルミナAES-12(住友化学製)を30%混合した球状粒子をエポキシ樹脂に対して85重量%充填して測定した。その結果を表2の実施例9〜15及び比較例4及び5に示す。
表2の結果から、無機酸化物粒子としてシリカを用いた場合も、シリカの表面に酸化亜鉛の被覆層を形成することにより、上記アルミナと同様の効果が得られることが確認できた。
シリカ粉末の平均粒径が35μmの球状粒子で比較した場合、実施例12〜14では熱伝導率が1.7w/mkであるのに対し、比較例4では1.0w/mkである。したがってシリカ粉末の平均粒径が35μmの場合、本実施例に係る球状粒子は、比較例に比べ熱伝導率を70%向上することができる。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
Claims (6)
- 無機酸化物粒子と、前記無機酸化物粒子の表面を被覆する酸化亜鉛で形成された被覆層とを備えることを特徴とする球状粒子。
- 前記無機酸化物粒子は、アルミナ又はシリカを用いて形成されることを特徴とする請求項1記載の球状粒子。
- 前記被覆層は、酸化亜鉛粉末を無機酸化物粉末に対し1〜50重量%添加して形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の球状粒子。
- 無機酸化物粉末と、酸化亜鉛粉末とを火炎中に投入して溶射することにより、無機酸化物粒子の表面に酸化亜鉛で形成された被覆層を形成することを特徴とする球状粒子の製造方法。
- 前記無機酸化物粒子は、アルミナ又はシリカを用いて形成されることを特徴とする請求項4記載の球状粒子の製造方法。
- 前記酸化亜鉛粉末を前記無機酸化物粉末に対し1〜50重量%添加することを特徴とする請求項4又は5記載の球状粒子の製造方法。
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