JP2012087027A - 金属酸化物超微粉末、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、平均粒径がサブミクロン以下の金属酸化物超微粉末をエポキシ樹脂に充填した際、極めて流動性の高いスラリー組成物を提供する。
【解決手段】 体積平均粒径(A)が0.04〜0.40μm、粒径分布標準偏差(B)が下記式(1)で表され、粉末の孤立シラノール(孤立OH)基の濃度が1.5〜4.0個/nm2である金属酸化物超微粉末である。
B≦A×1/2 ・・・・・式(1)
[測定方法]
水分気化装置/VA‐122型に金属酸化物超微粉末を0.3g入れ、加熱昇温し、発生した水分をカールフィッシャー電量滴定法にて測定したときに、温度200℃までに発生した水分を「物理吸着水分」、200℃をこえ550℃までに発生した水分を「水素結合OH基由来の水分」、550℃をこえ900℃にまでに発生した水分を「孤立OH基由来の水分」、と定義し、測定された水分量とBET比表面積値から、単位面積当たりの孤立OH基量を算出した。
【選択図】 なし
【解決手段】 体積平均粒径(A)が0.04〜0.40μm、粒径分布標準偏差(B)が下記式(1)で表され、粉末の孤立シラノール(孤立OH)基の濃度が1.5〜4.0個/nm2である金属酸化物超微粉末である。
B≦A×1/2 ・・・・・式(1)
[測定方法]
水分気化装置/VA‐122型に金属酸化物超微粉末を0.3g入れ、加熱昇温し、発生した水分をカールフィッシャー電量滴定法にて測定したときに、温度200℃までに発生した水分を「物理吸着水分」、200℃をこえ550℃までに発生した水分を「水素結合OH基由来の水分」、550℃をこえ900℃にまでに発生した水分を「孤立OH基由来の水分」、と定義し、測定された水分量とBET比表面積値から、単位面積当たりの孤立OH基量を算出した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、金属酸化物超微粉末、その製造方法およびそれを用いた樹脂組成物に関する。
近年の電子機器の高速化、小型軽量化、高機能化に伴い、高密度実装・配線微細化に対応した電子部品が提案されている。この電子部品に求められる性能は、熱膨張率の低減、高温下での機械的特性の維持などの熱的性質等であり、球状シリカ微粉末などの無機超微粉末が採用されている。例えば、多層プリント配線板のパッケージ基板においては、その線熱膨張係数を低減させるために、エポキシ樹脂等のマトリックス樹脂に球状シリカ粉末が充填されている。熱膨張係数を低減させ、その他電気的特性を維持するためには、樹脂中に球状シリカ粉末を高充填させた場合において、流動性を確保すべく、樹脂との密着性を高める事が重要である。そのため、平均粒径がサブミクロン以下の超微粉シリカが提案されている。
含酸素雰囲気下にて対応する金属粉末を酸化させて得られる方法(VMC法)が開発されている。このVMC法は、酸素を含む雰囲気内において、バーナーにより化学炎を形成し、この化学炎中に目的とする酸化物を構成する金属粉末を粉塵雲が形成しうる程度の量投入し、爆燃をおこさせて微粉シリカを得る乾式方法である。(特許文献1、2)
火炎により生じた熱は、さらに金属粉末の気化を促進し、生じた金属蒸気と反応ガスが混合され、連鎖的に発火伝播する。このとき、金属粉末自体も破壊して飛散し、火炎伝播を促す。そして、火炎燃焼後に生成ガスが自然冷却されることにより、酸化物粒子が生成される。しかし、当製法においては、連鎖的な発火伝播を生じうる金属蒸気濃度の確保が必要であり、濃度を調整し、ナノサイズの粒子を得ようとした場合、粒度分布が広くなる問題があった。
また、平均粒径0.5〜3.0μmの無機質原料粉末に0.1μm以下の超微粒子又は表面処理剤を混合後、溶射バーナーの火炎に噴霧することにより、溶射バーナーや配管への粉末付着および原料粉末の凝集による溶射時の粒子の増大化を防止する製造方法が開示されている。(特許文献3)しかし、当製法においては、粒径が揃った球状シリカは得られていなかった。
さらに、アルキルシリケートを加水分解させると共に、この加水分解によって生じた珪酸の重合を進行させて3〜100nmの粒子径を有するコロイダルシリカを生成させることが開示されている。(特許文献4)当製法においては、比較的粒径が揃った球状シリカ粒子を得ることができる。しかし、シラノールは親水性であるため、シリカ粒子を樹脂に配合した場合、シリカ粒子と樹脂とは馴染みがたい。
平均粒径が0.1〜2μm、BET比表面積が2〜20m2/gであり、測定された粒子表面の孤立OH基の濃度が3〜8個/nm2である金属酸化物粉末が提案されている。しかし、火炎溶融法において、粒径が揃った球状シリカ粒子が得るまでに至っていない。
火炎により生じた熱は、さらに金属粉末の気化を促進し、生じた金属蒸気と反応ガスが混合され、連鎖的に発火伝播する。このとき、金属粉末自体も破壊して飛散し、火炎伝播を促す。そして、火炎燃焼後に生成ガスが自然冷却されることにより、酸化物粒子が生成される。しかし、当製法においては、連鎖的な発火伝播を生じうる金属蒸気濃度の確保が必要であり、濃度を調整し、ナノサイズの粒子を得ようとした場合、粒度分布が広くなる問題があった。
また、平均粒径0.5〜3.0μmの無機質原料粉末に0.1μm以下の超微粒子又は表面処理剤を混合後、溶射バーナーの火炎に噴霧することにより、溶射バーナーや配管への粉末付着および原料粉末の凝集による溶射時の粒子の増大化を防止する製造方法が開示されている。(特許文献3)しかし、当製法においては、粒径が揃った球状シリカは得られていなかった。
さらに、アルキルシリケートを加水分解させると共に、この加水分解によって生じた珪酸の重合を進行させて3〜100nmの粒子径を有するコロイダルシリカを生成させることが開示されている。(特許文献4)当製法においては、比較的粒径が揃った球状シリカ粒子を得ることができる。しかし、シラノールは親水性であるため、シリカ粒子を樹脂に配合した場合、シリカ粒子と樹脂とは馴染みがたい。
平均粒径が0.1〜2μm、BET比表面積が2〜20m2/gであり、測定された粒子表面の孤立OH基の濃度が3〜8個/nm2である金属酸化物粉末が提案されている。しかし、火炎溶融法において、粒径が揃った球状シリカ粒子が得るまでに至っていない。
本発明の目的は、平均粒径がサブミクロン以下の金属酸化物超微粉末をエポキシ樹脂に充填した際、極めて流動性の高いスラリー組成物を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)体積平均粒径(A)が0.04〜0.40μm、粒径分布標準偏差(B)が下記式(1)で表され、粉末の孤立シラノール(孤立OH)基の濃度が1.5〜4.0個/nm2であることを特徴とする金属酸化物超微粉末である。
B≦A×1/2 ・・・・・式(1)
[測定方法]
水分気化装置/VA‐122型に金属酸化物超微粉末を0.3g入れ、加熱昇温し、発生した水分をカールフィッシャー電量滴定法にて測定したときに、温度200℃までに発生した水分を「物理吸着水分」、200℃をこえ550℃までに発生した水分を「水素結合OH基由来の水分」、550℃をこえ900℃にまでに発生した水分を「孤立OH基由来の水分」、と定義し、測定された水分量とBET比表面積値から、単位面積当たりの孤立OH基量を算出した。
(2)BET比表面積が10〜85m2/gであることを特徴とする前記(1)に記載の金属酸化物超微粉末。
(3)最大粒径が1μm未満であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の金属酸化物超微粉末。
(4)金属酸化物は球状シリカであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末。
(5)有機溶媒に前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末を含有してなることを特徴とするスラリー。
(6)金属粉末スラリーを製造炉で可燃性ガスと助燃性ガスとからなる高温火炎中に供給し、該火炎中で該金属粉末を酸化させることにより、金属酸化物超微粉末を製造する金属酸化物超微粉末の製造方法において、原料金属粉末の最大粒子径が12〜23μm、粒度分布標準偏差が4.0以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末の製造方法。
(1)体積平均粒径(A)が0.04〜0.40μm、粒径分布標準偏差(B)が下記式(1)で表され、粉末の孤立シラノール(孤立OH)基の濃度が1.5〜4.0個/nm2であることを特徴とする金属酸化物超微粉末である。
B≦A×1/2 ・・・・・式(1)
[測定方法]
水分気化装置/VA‐122型に金属酸化物超微粉末を0.3g入れ、加熱昇温し、発生した水分をカールフィッシャー電量滴定法にて測定したときに、温度200℃までに発生した水分を「物理吸着水分」、200℃をこえ550℃までに発生した水分を「水素結合OH基由来の水分」、550℃をこえ900℃にまでに発生した水分を「孤立OH基由来の水分」、と定義し、測定された水分量とBET比表面積値から、単位面積当たりの孤立OH基量を算出した。
(2)BET比表面積が10〜85m2/gであることを特徴とする前記(1)に記載の金属酸化物超微粉末。
(3)最大粒径が1μm未満であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の金属酸化物超微粉末。
(4)金属酸化物は球状シリカであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末。
(5)有機溶媒に前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末を含有してなることを特徴とするスラリー。
(6)金属粉末スラリーを製造炉で可燃性ガスと助燃性ガスとからなる高温火炎中に供給し、該火炎中で該金属粉末を酸化させることにより、金属酸化物超微粉末を製造する金属酸化物超微粉末の製造方法において、原料金属粉末の最大粒子径が12〜23μm、粒度分布標準偏差が4.0以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末の製造方法。
本発明の金属酸化物超微粉末は、樹脂に充填した際、極めて流動性の高いスラリー組成物を提供することができる。
本発明の金属酸化物超微粉末は、全体を基準とした体積平均粒径(A)が0.04〜0.40μm、粒度分布標準偏差(B)が下記式(1)で表され、粒子表面の孤立OH基量が1.5〜4.0個/nm2である金属酸化物超微粉末である。
B≦A×1/2 ・・・・・式(1)
平均粒径が0.40μmを超えると、肥大化した金属酸化物超微粉末により、樹脂と充填した際、流動性が損なわれる可能性がある。0.04μm未満であると、SiOガスを経由する反応メカニズムのため、酸素供給不足により、SiOガスからのSiO2生成反応が阻害される可能性がある。好ましい平均粒径は0.06〜0.30μmである。
また、粒度分布標準偏差が上記式を満たさない場合、スラリー組成物の流動性が損なわれる問題がある。好ましい粒度分布標準偏差は全体を基準とした体積平均粒径の2/5以下である。
さらに、孤立OH基量が1.5個/nm2未満では、樹脂と金属酸化物粉末との密着性を向上させるシランカップリング剤の反応サイトが少なくなり、4.0個/nm2より多いと親水性であるOH基を被覆するために、過剰のシランカップリング剤を使用する必要があり、シランカップリング剤同士の縮合に伴うポリマー層が形成され、このポリマー層は溶剤に不溶であるため、流動性が損なわれる可能性がある。好ましい孤立OH基の濃度は2.0〜3.5個/nm2である。本発明の金属酸化物超微粉末は、表面改質に必要な孤立シラノール基を有し、粒度が揃っていることを特徴としている。
B≦A×1/2 ・・・・・式(1)
平均粒径が0.40μmを超えると、肥大化した金属酸化物超微粉末により、樹脂と充填した際、流動性が損なわれる可能性がある。0.04μm未満であると、SiOガスを経由する反応メカニズムのため、酸素供給不足により、SiOガスからのSiO2生成反応が阻害される可能性がある。好ましい平均粒径は0.06〜0.30μmである。
また、粒度分布標準偏差が上記式を満たさない場合、スラリー組成物の流動性が損なわれる問題がある。好ましい粒度分布標準偏差は全体を基準とした体積平均粒径の2/5以下である。
さらに、孤立OH基量が1.5個/nm2未満では、樹脂と金属酸化物粉末との密着性を向上させるシランカップリング剤の反応サイトが少なくなり、4.0個/nm2より多いと親水性であるOH基を被覆するために、過剰のシランカップリング剤を使用する必要があり、シランカップリング剤同士の縮合に伴うポリマー層が形成され、このポリマー層は溶剤に不溶であるため、流動性が損なわれる可能性がある。好ましい孤立OH基の濃度は2.0〜3.5個/nm2である。本発明の金属酸化物超微粉末は、表面改質に必要な孤立シラノール基を有し、粒度が揃っていることを特徴としている。
金属酸化物超微粉末はBET比表面積が10〜85m2/gであることが好ましい。BET比表面積が85m2/gを超えるか、又は10m2/g未満であると、金属酸化物超微粉末スラリーを樹脂に充填した際、流動性が損なわれる場合がある。
本発明の金属酸化物超微粉末の体積平均粒径、標準偏差、最大粒子径は、レーザー回折光散乱法による粒度測定に基づく値であり、粒度分布測定機としては、例えば「モデルLS−230」( ベックマン・コールター社製) にて測定することができる。測定に際しては、溶媒には使用する有機溶剤を用い、前処理として、20秒間、超音波ホモジナイザーを用いて200Wの出力をかけて分散処理させる。また、PIDS(Polarization Intensity Differential Scattering)濃度を45〜55質量%になるように調製した。なお、屈折率には、用いる溶剤の屈折率を用い、粉末の屈折率については粉末の材質の屈折率を考慮した。たとえば、非晶質シリカについては屈折率を1.50として測定した。なお、測定した粒度分布は、粒子径チャンネルがlog(μm)=0.04の幅になるよう変換した。
本発明における水分は、金属酸化物超微粉末が有するOH基濃度の指標であり、カールフィッシャー電量滴定法で測定される。カールフィッシャー微量水分測定装置、例えば三菱化学社製商品名「CA−100」、「鉱物用水分気化装置VA−122」にて測定することができる。具体的には、金属酸化物超微粉末を水分気化装置/VA‐122型に入れ、電気ヒーターで加熱昇温しながら、脱水処理されたアルゴンガスをキャリアガスとして供給し、試料の表面吸着水や、表面OH基が縮合して揮発した水蒸気を測定装置に導き、その水分を測定することによって行われる。本発明においては、水分気化装置の電気ヒーターの加熱温度が200℃となるまでに発生した水分を物理吸着水とみなし、200℃をこえ550℃になるまでに発生した水分を水素結合OH基由来する水分とみなし、550℃をこえ900℃になるまでに発生した水分を孤立OH基の脱水縮合による水分とみなしている。
本発明の金属酸化物超微粉末の比表面積は、BET法に基づく値であり、比表面積測定機としては、例えば「Macsorb HM model−1208」(MACSORB社製)を用いて測定することができる。
本発明における金属酸化物超微粉末としては、シリカ、アルミナ等が挙げられる。絶縁基板の熱膨張率の低減、電気特性の維持という観点において、シリカが好ましく、粉末は単独で用いるほうがよい。中でも金属シリコン粉末をスラリー化したものを高温で火炎溶融する方法で製造された非晶質・非多孔質シリカが最適である。
金属酸化物超微粉末は、有機溶媒、樹脂との密着性を向上させるため、表面処理が施されていることが望ましい。表面処理は、シラン系、チタネート系、アルミネート系の各種カップリング剤、エポキシ樹脂、シリコーンオイル等を用いて行うことができる。例えば、シランカップリング剤による表面処理は、金属酸化物超微粉末を処理容器内で浮遊層等を形成させた状態で気化させたシランカップリング剤と反応させればよい。
本発明の金属酸化物超微粉末は、有機溶媒を用いた金属酸化物超微粉末スラリーとして、好適に使用することができる。金属酸化物超微粉末を分散させる有機溶媒としては、その種類が特に限定されるものではない。樹脂に応じて選択すればよい。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等の極性溶媒が用いられる。
その中でも特に、メチルエチルケトンが好ましい。
その中でも特に、メチルエチルケトンが好ましい。
金属酸化物超微粉末スラリーは、金属酸化物超微粉末を有機溶媒に分散させて、製造する。分散については、ボールミル、超音波分散機、各種ミキサー、高圧ホモジナイザー等の機器を使用して行えばよい。尚、スラリーの変性を防ぐため、窒素雰囲気下等の非酸化性雰囲気下で製造を行うことが望ましい。
本発明の金属酸化物超微粉末スラリーを用いて、半導体パッケージ基板や層間絶縁フィルム等の樹脂基板を製造する場合には、樹脂としてエポキシ樹脂を採用することが好ましい。
本発明の金属酸化物超微粉末の製造方法について説明する。
本発明は、金属粉末スラリーを製造炉で可燃性ガスと助燃性ガスとからなる高温火炎中に供給し、該火炎中で該金属粉末を酸化させることにより金属酸化物超微粉末を製造する金属酸化物超微粉末の製造方法において、金属粉末原料の最大粒径が12〜23μm、粒度分布標準偏差が4.0以下であることを特徴とする金属酸化物超微粉末の製造方法である。
本発明は、金属粉末スラリーを製造炉で可燃性ガスと助燃性ガスとからなる高温火炎中に供給し、該火炎中で該金属粉末を酸化させることにより金属酸化物超微粉末を製造する金属酸化物超微粉末の製造方法において、金属粉末原料の最大粒径が12〜23μm、粒度分布標準偏差が4.0以下であることを特徴とする金属酸化物超微粉末の製造方法である。
本発明の金属酸化物超微粉末の製造方法の特徴は、金属粉末原料粒子におけるガス化から粒子成長過程において、その個々の反応速度を均一化させることによって、微粉子同士の融着、微粉子の肥大化を防ぎ、金属酸化物超微粉末の平均粒径・標準偏差・孤立OH基量を制御することにある。
金属粉末原料の最大粒径が12 μm未満又は23 μmを超えると、金属粉末の粒子成長過程を制御することが困難となる。好ましい金属粉末原料の最大粒径は14 μm以上、20 μm以下である。
また、原料の粒度分布標準偏差が4.0を超えると、原料粉末に対して、火炎の熱量が均一に伝播されにくくなり、金属酸化物超微粉末の標準偏差を制御することが困難となる。好ましい金属酸化物超微粉末の標準偏差は3.0以下である。
金属粉末原料の最大粒径が12 μm未満又は23 μmを超えると、金属粉末の粒子成長過程を制御することが困難となる。好ましい金属粉末原料の最大粒径は14 μm以上、20 μm以下である。
また、原料の粒度分布標準偏差が4.0を超えると、原料粉末に対して、火炎の熱量が均一に伝播されにくくなり、金属酸化物超微粉末の標準偏差を制御することが困難となる。好ましい金属酸化物超微粉末の標準偏差は3.0以下である。
本発明における金属粉末原料の調整方法としては、分級操作を利用する。分級操作はその種類が特に限定されるものではない。例えば、重力、遠心力、慣性力、コリオリの力等を利用して、乾式、湿式分級にて調整すればよい。その中でも特に、分級精度が高く、分級点の調整が容易なサイクロン式分級装置が好適に用いられる。
本発明における金属酸化物超粉末の粒径は、可燃性ガスの流量による製造炉内の温度制御や金属粉末の供給量の調整によって、制御が可能である。具体的には、可燃性ガスの流量を少なくする又は金属粉末の供給量を少なくすると、反応容器内の温度が低くなり、小さい粒径の金属酸化物超微粉末が得られる。逆に可燃性ガスの流量を多くする又は金属粉末の供給量を多くすると、反応容器内の温度が高くなり、大きい粒径の金属酸化物粉末が得られる。
金属粉末スラリーを製造炉内に導入する方法としては、水、有機溶媒などに分散させたスラリーによって行うことができる。
高温火炎を形成するための可燃性ガスとしては、メタン、エタン、アセチレン、プロパン、ブタン、プロピレンなどの炭化水素ガス、水素ガスなどの一種類または二種類以上の混合ガスを使用でき、助燃性ガスとしては空気、酸素などが用いられる。本発明で使用される製造炉は、高温火炎の形成ないしは高温火炎の形成と共に原料の金属粉末を高温火炎中に供給することができるものである。このような製造炉は多くの形式、構造の物が知られているが製造炉への金属酸化物粉末の付着、火炎の安定性、操業安定性の観点から、竪型、円筒であることが好ましい。製造炉で発生した金属酸化物超微粉末は製造炉の排気側に設けたブロワーなどで燃焼排ガスと共に捕集系に吸引輸送され、集塵機で捕集される。集塵機としては、サイクロン、電気集塵機、バッグフィルターなどを用いることができる。
以下の接線流入型サイクロンを用いて、金属粉末を調製した。表1にその結果を示す。
サイクロン寸法
内径 :620mm
円筒部高さ :1040mm
円錐部高さ :2100mm
入口幅 :72mm
入口高さ :143mm
出口口径 :400mm
入口形状 :長方形
サイクロン寸法
内径 :620mm
円筒部高さ :1040mm
円錐部高さ :2100mm
入口幅 :72mm
入口高さ :143mm
出口口径 :400mm
入口形状 :長方形
最外部より、可燃性ガス供給管、助燃性ガス供給管、金属粉末スラリー供給管の順に組まれた三重巻管構造のバーナーを製造炉の頂部に設置する一方、製造炉の下部を捕集系(生成粉末をブロワーで吸引しバッグフィルターにて捕集)に接続されてなる装置を用い、金属酸化物粉末を製造した。なお、バーナーの外周には外周火炎を形成させる外周バーナーが更に3本設置されている。
実施例1−5 比較例1−5
可燃性ガス供給管からLPGを5Nm3/hr、助燃性ガス供給管から酸素を10Nm3/hr供給して、製造炉内に高温火炎を形成した。金属シリコン粉末(SiO2:>99.5wt%)をメチルアルコールに分散させて調製した濃度50質量%のスラリーを、スラリーポンプを用いて、金属粉末スラリー供給管から表1に示す割合で供給した。
可燃性ガス供給管からLPGを5Nm3/hr、助燃性ガス供給管から酸素を10Nm3/hr供給して、製造炉内に高温火炎を形成した。金属シリコン粉末(SiO2:>99.5wt%)をメチルアルコールに分散させて調製した濃度50質量%のスラリーを、スラリーポンプを用いて、金属粉末スラリー供給管から表1に示す割合で供給した。
バッグフィルターで捕集されたシリカ超微粉末について、体積平均粒径、比表面積、水分量を段落(0010)〜(0012)に記載の測定方法で測定した。それらの結果を表1に示す。尚、シリカ超微粉末の平均球形度については、すべて0.90以上であった。
なお、平均球形度は、実体顕微鏡(例えばニコン社製商品名「モデルSMZ−10型」)等にて撮影した粒子像を画像解析装置(例えばマウンテック社製商品名「MacView」)に取り込み、写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)から測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の真円度はA/Bとなるので、試料の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、個々の粒子の真円度は、真円度=A/B=A×4π/(PM)2となる。このようにして得られた任意の粒子200個の真円度を求め、その平均値を二乗したものを平均球形度とした。
なお、平均球形度は、実体顕微鏡(例えばニコン社製商品名「モデルSMZ−10型」)等にて撮影した粒子像を画像解析装置(例えばマウンテック社製商品名「MacView」)に取り込み、写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)から測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の真円度はA/Bとなるので、試料の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、個々の粒子の真円度は、真円度=A/B=A×4π/(PM)2となる。このようにして得られた任意の粒子200個の真円度を求め、その平均値を二乗したものを平均球形度とした。
得られたシリカ超微粉末に表面処理を施して、表面改質されたシリカ超微粉末とした。表面処理は、シランカップリング剤の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−403」)を用いた。使用したシランカップリング剤量は、シリカ粉体の孤立OH基量から、シリカ粉体の100質量%あたりに必要な量を算出し、必要量の1.1倍とした。次いで、得られたシリカ粉体をメチルエチルケトン(MEK)に分散させて、シリカ粉体の濃度が35質量%のスラリーを調製した。
次に、スラリー組成物100質量%に、液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「YD−122」)18.5質量%をプラネタリーミキサーで混合し、樹脂組成物を得た。得られた材料の流動性を以下に示す方法に従って評価した。それらの評価結果を表2に示す。
流動性
得られた樹脂組成物をB型粘度計(東機産業株式会社製:TVB−10)にて2rpm時(測定温度25 ℃)の粘度を測定した。この際、4.0Pa・s以上を不良とした。
流動性
得られた樹脂組成物をB型粘度計(東機産業株式会社製:TVB−10)にて2rpm時(測定温度25 ℃)の粘度を測定した。この際、4.0Pa・s以上を不良とした。
実施例および比較例の対比から明らかなように、本発明の金属酸化物超微粉末を使用すれば、極めて流動性が優れた樹脂組成物を得ることができる。
本発明の金属酸化物超微粉末は、例えば、半導体パッケージ基板や層間絶縁フィルム等の電子機器分野において、封止材に使用する樹脂の無機フィラーとして用いることができる。
Claims (6)
- 体積平均粒径(A)が0.04〜0.40μm、粒径分布標準偏差(B)が下記式(1)で表され、粉末の孤立シラノール(孤立OH)基の濃度が1.5〜4.0個/nm2であることを特徴とする金属酸化物超微粉末である。
B≦A×1/2 ・・・・・式(1)
[測定方法]
水分気化装置/VA‐122型に金属酸化物超微粉末を0.3g入れ、加熱昇温し、発生した水分をカールフィッシャー電量滴定法にて測定したときに、温度200℃までに発生した水分を「物理吸着水分」、200℃をこえ550℃までに発生した水分を「水素結合OH基由来の水分」、550℃をこえ900℃にまでに発生した水分を「孤立OH基由来の水分」、と定義し、測定された水分量とBET比表面積値から、単位面積当たりの孤立OH基量を算出した。 - BET比表面積が10〜85m2/gであることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物超微粉末。
- 最大粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属酸化物超微粉末。
- 金属酸化物が球状シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属酸化物超粉末。
- 有機溶媒に請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末を含有してなることを特徴とするスラリー。
- 金属粉末スラリーを製造炉で可燃性ガスと助燃性ガスとからなる高温火炎中に供給し、該火炎中で該金属粉末を酸化させることにより金属酸化物超微粉末を製造する金属酸化物超微粉末の製造方法において、原料金属シリコン粉末の最大粒子径が12〜23 μm、粒度分布標準偏差が4.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属酸化物超微粉末の製造方法。
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