以下、本発明にかかる電子部品検査装置を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。図1は、電子部品検査装置10についてその平面構造の概略を示した図である。図2(a)〜(c)は、電子部品検査装置10にて検査される電子部品の外形形状を模式的に示す図である。図3は、電子部品検査装置10が電子部品を検査用ソケットに搬送する機構について模式的に示す図である。
電子部品検査装置10は、ベース11、安全カバー12、高温チャンバ13、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16、第2シャトル17、複数のコンベヤーC1〜C6を備えている。
ベース11は、その上面に前記各要素を搭載している。安全カバー12は、ベース11の大きな領域を囲っていて、この内部には、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16及び第2シャトル17が収容されている。
複数のコンベヤーC1〜C6は、その一端部側が、安全カバー12の外側に位置し、他端部が安全カバー12の内側に位置するように、ベース11に設けられている。各コンベヤーC1〜C6は、電子部品などの電子部品Tを複数収容した搬送用トレイとしてのトレイ18を、安全カバー12の外側から安全カバー12の内側へ搬送したり、反対に、トレイ18を、安全カバー12の内側から安全カバー12の外側へ搬送したりする。
なお、本実施形態では、電子部品Tは、図2に示すように、その下面Taに導電性を備える下面電極Baを複数有するとともに、その上面Tbに同じく導電性を備える上面電極Bbを複数有している。また、電子部品Tは、その上面Tbの中央に半導体チップTcが設けられていることから、同上面Tbの上面電極Bbは半導体チップTcの周囲に設けられている。例えば、電子部品Tは、近年の小型化、高集積化の促進された電子部品であって、上面に他の電子部品が積層されるとともに、その積層された他の電子部品が上面電極Bbに接続される構造(POP:パッケージオンパッケージ)を有している。なお、半導体チップTcとしては、その種類に特別の制限はなく、シリコンチップや樹脂モジュールされたものなどでもよい。また、半導体チップTcのサイズにも特別な制限はなく、近年の小型化に伴う、例えば一辺が2mmのチップや、厚みが0.3(mm)のチップでも、それより大きい又は厚い形状のチップでも、反対にそれより小さいまたは薄い形状のチップでもよい。小型、薄型のICチップの一例としてはWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)などがあげられる。またこのように小型化された半導体チップTcを有する電子部品Tとしても、その外形の小型化、下面電極Baや上面電極Bbなどの端子間隔の微細化が促進されるものとなっている。
供給ロボット14は、X軸フレームFX、第1のY軸フレームFY1及び供給側ロボットハンドユニット20により構成されている。回収ロボット15は、前記X軸フレームFX、第2のY軸フレームFY2及び回収側ロボットハンドユニット21により構成されている。X軸フレームFXは、X方向(図1において横方向であってX方向矢印の向きに平行な方向:複数のコンベヤーC1〜C6の長さ方向に直交する方向)に配置されている。第1のY軸フレームFY1及び第2のY軸フレームFY2は、Y方向(図1において縦方向であってY方向矢印の向きに平行な方向:複数のコンベヤーC1〜C6の長さ方向に平行な方向)に沿って互いに平行となるように配置され、前記X軸フレームFXに対して、X方向に移動可能に支持されている。そして、第1のY軸フレームFY1はX軸フレームFXに設けられたモーター(図示略)によって該X軸フレームFXに沿ってX方向に往復移動するとともに、第2のY軸フレームFY2はX軸フレームFXに設けられたモーター(図示略)によって該X軸フレームFXに沿ってX方向に往復移動する。
第1のY軸フレームFY1の下側には、供給側ロボットハンドユニット20がY方向に移動可能に支持されているとともに、該供給側ロボットハンドユニット20は、第1のY軸フレームFY1に設けられたモーター(図示略)によって該第1のY軸フレームFY1に沿ってY方向に往復移動される。
これにより、供給側ロボットハンドユニット20は、例えば、コンベヤーC1のトレイ18上の電子部品Tの上方に移動されてから同トレイ18に収容されている検査前の電子部品Tを吸着把持させる。また、電子部品Tを吸着把持しつつ第1シャトル16上のチェンジキットの上方に移動されてから同把持されていた電子部品Tを離脱させて第1シャトル16に供給させる。
第2のY軸フレームFY2の下側には、回収側ロボットハンドユニット21がY方向に移動可能に支持されているとともに、該回収側ロボットハンドユニット21は、第2のY軸フレームFY2に設けられたモーター(図示略)によって該第2のY軸フレームFY2に沿ってY方向に往復移動される。
これにより、回収側ロボットハンドユニット21は、例えば、第1シャトル16上の検査済みの電子部品Tの上方に移動されてから同第1シャトル16に収容されている同電子部品Tを吸着把持させる。また、電子部品Tを吸着把持しつつコンベヤーC6のトレイ18上のポケット上方に移動されてから把持させていた電子部品Tを離脱させてコンベヤーC6のトレイ18に載置させる。
ベース11の上面であって、供給ロボット14と回収ロボット15との間には、第1のレール30A及び第2のレール30BがそれぞれX方向に平行して配設されている。第1のレール30Aには、第1シャトル16がX方向に往復動可能に備えられている。また、第2のレール30Bには、第2シャトル17がX方向に往復動可能に備えられている。
第1シャトル16は、X方向に長い略板状のベース部材16Aを備えていて、その底面の図示しないレール受けによって第1のレール30Aに摺接されている。そして、第1シャトル16に設けた第1シャトルモーターMS1(図10参照)によって、第1のレール30Aに沿って往復動される。ベース部材16Aの上面の供給ロボット14側には供給チェンジキット31が、回収ロボット15側には回収チェンジキット34がそれぞれネジなどで交換可能に固着されている。また、第2シャトル17は、X方向に長い略板状のベース部材17Aを備えていて、その底面の図示しないレール受けによって第2のレール30Bに摺接されている。そして、第2シャトル17に設けた第2シャトルモーターMS2(図10参照)によって、第2のレール30Bに沿って往復動される。ベース部材17Aの上面の供給ロボット14側には供給チェンジキット31が、回収ロボット15側には回収チェンジキット34がそれぞれネジなどで交換可能に固着されている。すなわち、第1シャトル16及び第2シャトル17の各往復動に伴って、各供給チェンジキット31は、供給ロボット14から電子部品Tが供給される部品供給位置SP1と高温チャンバ13内の部品把持位置SP2との間を往復移動する。また、回収チェンジキット34は、部品把持位置SP2と回収ロボット15により電子部品Tが回収される部品回収位置SP3との間を往復移動する。
供給チェンジキット31には、図3に示すように、予め定められた複数の部品載置位置31Aにそれぞれ未検査の電子部品Tが載置されるようになっている。また、回収チェンジキット34には検査済みの電子部品Tが収容されるポケット32が複数設けられていて、それらポケット32に電子部品Tが保持されるようになっている。これにより、供給チェンジキット31の各部品載置位置31Aには供給ロボット14の供給側ロボットハンドユニット20から電子部品Tが搬入される一方、回収チェンジキット34のポケット32からは電子部品Tが回収ロボット15の回収側ロボットハンドユニット21により搬出される。
また本実施形態では、供給チェンジキット31の上面の供給ロボット14側には所定のマーク径を有する円筒形状のシャトル基準マークSM11〜SM18がY方向に2列に並ぶように突設されている。各シャトル基準マークSM11〜SM18は2つで対をなし、すなわち2つのシャトル基準マークSM11,SM12と、同じく2つのシャトル基準マークSM13,SM14と、また同じく2つのシャトル基準マークSM15,SM16と、さらに同じく2つのシャトル基準マークSM17,SM18とがそれぞれ一対をなしている。また、各対のシャトル基準マークを構成する2つのシャトル基準マークSM11,SM12(又はSM13,SM14又はSM15,SM16又はSM17,SM18)の間隔は、Y方向に所定の距離であるマーク間距離に設定されている。そして、これらシャトル基準マークSM11〜SM18の各対はそれぞれ近傍の部品載置位置31Aに対応付けられている。
同様に、第2シャトル17の供給チェンジキット31の上面にも先と同様のマーク径を有する円筒形状のシャトル基準マークSM21〜SM28が突設されている。各シャトル基準マークSM21〜SM28は2つで対をなし、すなわち2つのシャトル基準マークSM21,SM22と、同じく2つのシャトル基準マークSM23,SM24と、また同じく2つのシャトル基準マークSM25,SM26と、さらに同じく2つのシャトル基準マークSM27,SM28とがそれぞれ一対をなしている。また、各対のシャトル基準マークを構成する2つのシャトル基準マークの間隔も、Y方向に、先のマーク間距離と同じ距離である、マーク間距離に設定されている。そして、これらシャトル基準マークSM21〜SM28の各対はそれぞれ近傍の部品載置位置31Aに対応付けられている。
第1シャトル16のベース部材16Aには、第1シャトル撮像装置37が設けられている。第1シャトル撮像装置37には、第1の上方撮像装置39Aと第2の上方撮像装置39Bとがベース部材16Aの底面にY方向に並列に並んで設けられている。第1の上方撮像装置39Aは、第1シャトル16の移動方向(X方向)に視線を向けるカメラ40Aと、カメラ40Aの視線を上方に屈折させるミラー41Aとから構成される。また第2の上方撮像装置39Bも、図4に示すように、第1シャトル16の移動方向(X方向)に視線を向けるカメラ40Bと、カメラ40Bの視線を上方に屈折させるミラー41Bとから構成されている。
ミラー41Aとミラー41Bはそれぞれ、ベース部材16AのX方向の略中央部分に設けられるとともに、ベース部材16Aの同略中央部には各ミラー41A,41Bに屈折された各カメラ40A,40Bの各視線を遮らないための透過孔がそれぞれ形成されている。また、その各透過孔の周囲には各視線の先にある撮像対象を照らすための矩形枠状の照明装置42A,42Bがそれぞれ配置されている。
第2シャトル17のベース部材17Aには、前記の第1シャトル撮像装置37と同様の構成を有する、第2シャトル撮像装置38が設けられている。第2シャトル撮像装置38には、第1の上方撮像装置44Aと第2の上方撮像装置44Bとがベース部材17Aの底面にY方向に並列に並ぶようにして設けられている。すなわち、第1の上方撮像装置44Aは、第2シャトル17の移動方向(X方向)に視線を向けるカメラ45Aと、カメラ45Aの視線を上方に屈折させるミラー46Aとから構成される。また第2の上方撮像装置44Bも、図4に示すように、第2シャトル17の移動方向(X方向)に視線を向けるカメラ45Bと、カメラ45Bの視線を上方に屈折させるミラー46Bとから構成されている。
ミラー46Aとミラー46Bはそれぞれ、ベース部材17AのX方向の略中央部分に設けられるとともに、ベース部材17Aの同略中央部には各ミラー46A,46Bに屈折された各カメラ45A,45Bの各視線を遮らないための透過孔がそれぞれ形成されている。また、その各透過孔の周囲には各視線の先にある撮像対象を照らすための矩形枠状の照明装置47A,47Bがそれぞれ配置されている。
図3に示すように、ベース11の上面であって、第1及び第2シャトル16,17との間には、検査部23が設けられている。検査部23には、検査対象の電子部品Tが配置される検査用ソケット24が4つ設けられている。検査用ソケット24は、検査対象の電子部品Tを配置させるためのソケットであり、各検査用ソケット24には、上記各シャトル16,17の各部品載置位置31Aに載置された各電子部品Tがそれぞれ配置される。
また、検査部23の上面には、先のシャトル基準マークSM11〜SM18と同様の、所定のマーク径を有する円筒形状のソケット基準マークKM11〜KM18が突設されている。各ソケット基準マークKM11〜KM18は2つで対をなし、すなわち2つのソケット基準マークKM11,KM12と、同じく2つのソケット基準マークKM13,KM14と、また同じく2つのソケット基準マークKM15,KM16と、さらに同じく2つのソケット基準マークKM17,KM18とがそれぞれ一対をなしている。また、各対のソケット基準マークを構成する2つのソケット基準マークKM11,KM12(又はKM13,KM14又はKM15,KM16又はKM17,KM18)の間隔は、Y方向に、これも先のマーク間距離と同様の距離である、マーク間距離に設定されている。そしてこれらソケット基準マークの各対はそれぞれ近傍の検査用ソケット24に対応付けられている。
検査用ソケット24には、図7に示すように、上面部24Bと、電子部品Tを収容するために上面部24Bに対して凹設された収容部24Aとが設けられている。収容部24Aの底面には、導電性を有する複数の接触端子P1が電子部品Tの下面電極Baの配置に対応する配置にて設けられている。接触端子P1は、電子部品Tの対応する下面電極Baに当接することで同下面電極Baを検査部23の回路を介して同検査部23に接続されるテスター25に接続させる。接触端子P1は、収容部24Aの底面に対して上下動が可能であるとともに上方にスプリングなどにより所定の圧力で付勢されていることからその先端が所定の圧力以上で押されると長さが収縮し、その先端の圧力が所定の圧力以下になると長さが戻る、公知の伸縮構造を有している。これにより接触端子P1は、電子部品Tの下面電極Baとの間の距離の調整を可能とするとともに、下面電極Baに所定の圧力で当接することができるようになっている。
検査用ソケット24の上面部24Bには接続電極P5が設けられている。接続電極P5は、その基端が検査部23の回路に電気的に接続されるとともに、その先端が上面部24Bの上面に露出されている。
図1に示すように、高温チャンバ13内側には、第1及び第2シャトル16,17及び検査部23の上方を跨ぐように、Y方向に配設された図示しないレールが備えられている。
レールの下部には、Y方向に往復移動可能に検査用ヘッド22が支持されているとともに、同検査用ヘッド22はレールに備えられたY軸モーターMY(図10参照)によって、各シャトル16,17の間をY方向に往復動される。これにより、検査用ヘッド22は、レールに沿って移動して各シャトル16,17と検査部23との間で電子部品Tを相互に搬送するようになっている。
検査用ヘッド22は、図5に示すように、レールに移動可能に連結されたフレーム26と、そのフレーム26の下部にヘッドユニット27が設けられている。ヘッドユニット27には、X方向に2列、Y方向に2列の合計4つ(図5ではX方向に並ぶ2つのみ図示)の押圧装置60が設けられている。これにより、ヘッドユニット27は第1シャトル16と検査部23との間で電子部品Tを搬送したり第2シャトル17と検査部23との間で電子部品Tを搬送したりする。なお、検査用ヘッド22には、ヘッドユニット27が複数設けられてもよい。
押圧装置60には、フレーム26の下部に連結された基部61と、該基部61の下部に設けられた位置調整部62と、該位置調整部62の下部に連結された把持部63とを有している。位置調整部62は、その下部に連結される把持部63を基部61に対して水平回転(Z方向を中心軸とする回転)及び水平移動(XY方向への移動)させる位置調整機構を内部に有していることから、把持部63は位置調整部62によって基部61に対して水平回転及び水平移動されるようになっている。把持部63には、その下部から下方に突出されるノズル64が設けられている。ノズル64は、その先端(吸着面)に負圧または大気圧が供給されるとともに、その先端(吸着面)に当接した電子部品Tが負圧(真空吸引)により吸着保持されるようになっている。これにより、ノズル64は、吸着面に供給された負圧により電子部品Tが吸着把持されるとともに、吸着面に供給された大気圧により吸着面に把持した電子部品Tが離脱されるようになっている。
これにより各押圧装置60は、図6に示すように、部品把持位置SP2に配置された各シャトル16,17の供給チェンジキット31の上方に配置されると、各ノズル64が対応する部品載置位置31A(電子部品T)に対向される。そして、各押圧装置60は、供給チェンジキット31に向けて移動(下降)されることにより、各部品載置位置31Aに配置されている検査前の電子部品Tの半導体チップTcに各ノズル64がそれぞれ当接するとともにそれらノズル64を介して電子部品Tを吸着把持するようになっている。
また、本実施形態では、ノズル64は、図7(a)〜(d)に示すように、把持部63との間に設けられた弾性体66によって把持部63に対して下方に付勢されている。これにより、図7(c)に示すように、ノズル64はその先端に受けた下方からの弾性体66の付勢力よりも大きな押圧力にしたがって把持部63内に収納されるように移動するようになっている。
また、図7に示すように、把持部63はその下部に把持側回路装置65を備えている。把持側回路装置65は、電子部品Tが検査用ソケット24に押圧されたとき、同検査用ソケット24の接続電極P5に電子部品Tの上面電極Bbを電気的に接続させるためのものである。把持側回路装置65には、中央部にはノズル64が挿通される一方、その挿通されたノズル64の周囲に、導電性を有する複数の接触端子P2及び複数の接続端子P3がそれぞれ下方へ突設されている。複数の接触端子P2は、その先端を電子部品Tの上面Tbの上面電極Bbに当接させて同電子部品Tの上面電極Bbに電気的に接続されるものであることから、電子部品Tの上面電極Bbに対応する配置で把持部63の下部に設けられている。各接触端子P2は、その先端が所定の圧力以上で押されると長さが収縮し、その先端の圧力が所定の圧力以下になると長さが伸びる、公知の伸縮構造を有している。これにより接触端子P2は、電子部品Tの上面電極Bbとの間の距離を自在に調整するとともに、所定の圧力で電子部品Tの上面電極Bbに当接するようになっている。各接触端子P2は、把持側回路装置65内の回路配線P4を介して対応する接続端子P3にそれぞれ電気的に接続されている。各接続端子P3は、上述の接触端子P2と同様の構造を有するものであり、検査用ソケット24の接続電極P5にその先端を当接されることを通じて検査用ソケット24の接続電極P5に電気的に接続されるものであることから、検査用ソケット24の接続電極P5に対応する配置で把持側回路装置65の下部に設けられている。なお、接続端子P3が把持側回路装置65の下方へ突出される長さは、接触端子P2が突出される長さよりも短い長さとなっている。
これにより押圧装置60が電子部品Tを把持したノズル64を検査部23の検査用ソケット24の上方に配置すると、図7(a)に示すように、ノズル64に把持された電子部品Tが対応する検査用ソケット24に対向する。なおこのときには、把持側回路装置65から突出されている接触端子P2と電子部品Tの上面電極Bbとは非接触に保たれている。そして、押圧装置60が検査部23に向けて移動(下降)すると、図7(b)に示すように、ノズル64に把持された電子部品Tが対応する検査用ソケット24に配置されるとともに同電子部品Tの下面電極Baが検査用ソケット24の接触端子P1に接続する。さらに押圧装置60が下降すると、図7(c)に示すように、弾性体66からの付勢力よりも大きい上方への力が印加されることによりノズル64が把持部63に対して上方に移動して、そこに把持されている電子部品Tの上面電極Bbが把持側回路装置65に近づくようになる。これにより、電子部品Tの上面電極Bbが把持側回路装置65から突出されている接触端子P2に当接する一方、把持側回路装置65から突出されている接続端子P3が検査用ソケット24の上面部24B上に露出されている接続電極P5の先端に当接するようになる。そしてさらに各押圧装置60が下降すると、図7(d)に示すように、電子部品Tが検査用ソケット24の各接触端子P1を押し下げることにより、各下面電極Baが対応する各接触端子P1に所定の押圧力で当接される態様で同電子部品Tが検査用ソケット24に装着される。
これにより、電子部品Tの下面電極Baが検査用ソケット24の接触端子P1及び検査部23の回路(図示略)を介してテスター25に接続されるとともに、電子部品Tの上面電極Bbが接触端子P2、回路配線P4、接続端子P3、接続電極P5及び検査部23の回路(図示略)を介してテスター25に接続される。このように、電子部品Tの下面電極Ba及び上面電極Bbがテスター25に接続されることで、電子部品Tは下面電極Ba及び上面電極Bbを介しての電気的検査がテスター25により実施できるようになる。
このようなことから、検査用ヘッド22としては、各シャトル16,17の供給チェンジキット31により供給された電子部品Tをヘッドユニット27により複数取得するとともに、複数の電子部品Tを検査部23の各検査用ソケット24の直上位置に配置させる。そして、検査用ヘッド22は、取得した複数の電子部品Tを下方に移動させ、各電子部品Tの各下面電極Baを上方から対応する検査用ソケット24の各接触端子P1と当接させる。これにより検査用ソケット24に下面Taを支持される各電子部品Tがその各上面電極Bbを対応する把持側回路装置65の各接触端子P2に当接させて同各接触端子P2を上方に押し上げることによって各把持側回路装置65に正しく配置される。それとともに、各電子部品Tの各下面電極Baが上方に付勢されている接触端子P1を下方に押し下げることによって各電子部品Tが検査用ソケット24に装着される。さらに、検査用ソケット24に装着された電子部品Tの電気的検査が終了すると、検査用ヘッド22は、各検査用ソケット24に装着された電子部品Tを抜き取って、対応する回収チェンジキット34の直上位置に配置する。そして検査用ヘッド22は、対応する回収チェンジキット34の直上位置にて電子部品Tを下方に移動させ、同対応する回収チェンジキット34の所定のポケット32に収容させるようになっている。
図5に示すように、各押圧装置60には、そのX方向側面にあって他の押圧装置60に隣接しない側面に沿って、2つの棒状の支持体68がY方向に所定の間隔を有するようにY方向に並んで基部61から下方に延出されるとともに、それらの支持体68の先端が把持部63近傍に配置される。2つの支持体68の先端には、1つのマーク体69がY方向に沿って水平に支持されている。マーク体69は、把持部63との間の水平方向(XY方向)距離が比較されることによって基部61に対する把持部63の相対位置を検出させるためのものであるため、同マーク体69及びそれを支持する各支持体68は把持部63に非接触が維持されるように設けられている。このようにして、ヘッドユニット27には各押圧装置60に対応して計4つのマーク体69が設けられる。各マーク体69にはそれぞれ、2つのヘッド基準マークが設けられている。なお、各マーク体69は、すべて同様の構造を有するので、ここでは図5において右側の位置、すなわち検査用ヘッド22の回収ロボット15側かつ第2シャトル17側に配置された押圧装置60に対応するマーク体69について説明するとともに、説明の便宜上、その他のマーク体69の説明は割愛する。
図8(b)に示すように、マーク体69には、それぞれY方向に、シャトル基準マーク及びソケット基準マークのマーク径よりも大きい内径を有する円筒形状の2つのヘッド基準マークHM7,HM8が、シャトル基準マーク及びソケット基準マークのマーク間距離と同様の距離である、マーク間距離だけ離間して設けられている。これにより、押圧装置60が検査用ソケット24上にあるとき、押圧装置60のマーク体69のヘッド基準マークHM7,HM8は、検査部23の一対のソケット基準マークKM17,KM18に対応するようになっている。また、押圧装置60が第1シャトル16の部品載置位置31A上にあるとき、マーク体69のヘッド基準マークHM7,HM8は、供給チェンジキット31の一対のシャトル基準マークSM17,SM18に対応するようになっている。さらに押圧装置60が第2シャトル17の部品載置位置31A上にあるとき、マーク体69のヘッド基準マークHM7,HM8は、供給チェンジキット31の一対のシャトル基準マークSM27,SM28に対応するようになっている。
このように、各マーク体69は、検査部23の各対のソケット基準マークにそれぞれ対応するとともに、第1シャトル16の各対のシャトル基準マークまたは第2シャトル17の各対のシャトル基準マークにそれぞれ対応するようになっている。
このようなことから、図8(a)に示すように、検査部23の上部に配置されたヘッドユニット27が検査用ソケット24に向けて移動(下降)されると、各押圧装置60のマーク体69のヘッド基準マーク(HM4やHM8)が検査部23のソケット基準マーク(KM14やKM18)に挿通されるようになる。このとき例えば、図8(b)に示すように、マーク体69のヘッド基準マークHM7には検査部23のソケット基準マークKM17が挿通されるとともに、マーク体69のヘッド基準マークHM8には検査部23のソケット基準マークKM18が挿通される。
図1に示すように、検査用ヘッド22は、その供給ロボット14側に第1の下方撮像装置50が設けられるとともに、回収ロボット15側に第2の下方撮像装置55が設けられている。第1及び第2の下方撮像装置50,55はそれぞれ、検査用ヘッド22に対してX方向及びY方向に移動可能なように検査用ヘッド22に図示しない撮像装置フレームを介して支持されている。これにより、第1及び第2の下方撮像装置50,55はそれぞれ、図3に示すように、当該撮像装置フレームに設けられた第1もしくは第2水平駆動装置(図10参照)によりX方向及びY方向に移動制御される。
第1の下方撮像装置50は、図8に示すように、X方向に水平な視線を押圧装置60の方向に向けるように設けられたカメラ51と、そのカメラ51の視線をベース11上面である下方に屈折させるミラー52とから構成される。また同様に、第2の下方撮像装置55も、X方向に水平な視線を押圧装置60の方向に向けるように設けられたカメラ56と、そのカメラ56の視線をベース11上面である下方に屈折させるミラー57とから構成されている。ミラー52とミラー57はそれぞれ、各カメラ51,56に対して相対位置が固定されていることから、常に各カメラ51,56の視線をベース11上面に向けるようにしている。
これにより、各下方撮像装置50,55は、撮像装置フレームに対するX方向及びY方向への移動に及びその撮像装置フレームに設けられている検査用ヘッド22のY方向への移動により、検査部23の上方や、各シャトル16,17の供給チェンジキット31の上方に移動する。これにより各下方撮像装置50,55は、検査部23の検査用ソケット24や供給チェンジキット31の電子部品T(部品載置位置31A)などを撮像することができるようになっている。なお、検査部23の4つの検査用ソケット24のうち供給ロボット14側の2つの検査用ソケット24のそれぞれに第1の下方撮像装置50の撮像範囲が各別に設定される一方、回収ロボット15側の2つの検査用ソケット24のそれぞれに第2の下方撮像装置55の撮像範囲が各別に設定される。また、各シャトル16,17の供給チェンジキット31の4つの電子部品T(部品載置位置31A)については、各シャトル16,17の移動により第1及び第2の下方撮像装置50,55の少なくともいずれかの撮像範囲が電子部品T(部品載置位置31A)の別に設定されるようになっている。さらに、本実施形態では、各下方撮像装置50,55の撮像範囲には、一つの検査用ソケット24とその検査用ソケット24に対応する2つのソケット基準マークとが同時に写るようになっているとともに、一つの電子部品T(部品載置位置31A)とその部品載置位置31Aに対応する2つのシャトル基準マークとが同時に写るようになっている。すなわち、ソケット基準マークは、対応する検査用ソケット24に対して各下方撮像装置50,55の撮像範囲に同時に含まれる位置に配置されており、シャトル基準マークは、対応する電子部品T(部品載置位置31A)に対して各下方撮像装置50,55の撮像範囲に同時に含まれる位置に配置されている。
なおこのように、ヘッド基準マークとソケット基準マークとが組み合わされた状態(図8(b)参照)の画像を第1または第2の下方撮像装置50,55により撮像して、その画像を画像処理することによりヘッド基準マークとソケット基準マークとの相対位置関係が算出されるようになる。例えば、図8(b)に示すように、ヘッド基準マークHM7,HM8とソケット基準マークKM17,KM18とが組み合わされた状態を第2の下方撮像装置55に撮像させてその画像を取得する。そして、この撮像された画像が画像処理されることで2つのヘッド基準マークHM7,HM8のそれぞれの中心座標と、2つのソケット基準マークKM17,KM18のそれぞれの中心座標とが求められる。これにより、ヘッド基準マークHM7とソケット基準マークKM17との比較からそれらの間の水平方向のずれ量が算出され、また、ヘッド基準マークHM8とソケット基準マークKM18との比較からそれらの間の水平方向(XY方向)のずれ量が算出される。そして、この算出された2つのずれ量に基づいて、2つのヘッド基準マークHM7,HM8と2つのソケット基準マークKM17,KM18との間に生じている水平方向(XY方向)のずれ量や水平面(XY平面)に垂直な軸を回転中心とした回転方向へのずれ角度が求められるようになる(ソケット基準マーク位置算出)。こうして求められたずれ量やずれ角度に基づいて、位置調整部62等により電子部品Tや把持部63の位置決めされる位置が補正するようにする。これにより、ヘッド基準マークを有する押圧装置60の把持部63やそれに把持された電子部品Tとソケット基準マークを有する検査部23の検査用ソケット24との間で行なわれる位置決めの精度が良好に維持されるようになる。
また、図9(a)に示すように、第1シャトル16または第2シャトル17の上部に配置されたヘッドユニット27が供給チェンジキット31に向けて移動(下降)されると、各押圧装置60のマーク体69のヘッド基準マーク(HM4やHM8)が供給チェンジキット31のシャトル基準マーク(SM14やSM18など)に挿通されるようになる。このとき例えば、図9(b)に示すように、マーク体69のヘッド基準マークHM7には供給チェンジキット31のシャトル基準マークSM17(SM27)が挿通されるとともに、マーク体69のヘッド基準マークHM8には供給チェンジキット31のシャトル基準マークSM18(SM28)が挿通される。
なおこのように、ヘッド基準マークとシャトル基準マークとが組み合わされた状態(図9(b)参照)の画像を第1または第2の下方撮像装置50,55により撮像して、その画像を画像処理することによりヘッド基準マークとシャトル基準マークとの相対位置関係が算出されるようになる。例えば、図9(b)に示すように、ヘッド基準マークHM7,HM8とシャトル基準マークSM17,SM18とが組み合わされた状態を第2の下方撮像装置55に撮像させてその画像を取得する。そして、この撮像された画像が画像処理されることで2つのヘッド基準マークHM7,HM8のそれぞれの中心座標と、2つのシャトル基準マークSM17,SM18のそれぞれの中心座標とが求められる。これにより、ヘッド基準マークHM7とシャトル基準マークSM17との比較からそれらの間の水平方向(XY方向)のずれ量が算出され、また、ヘッド基準マークHM8とシャトル基準マークSM18との比較からそれらの間の水平方向(XY方向)のずれ量が算出される。そして、これら算出された2つのずれ量に基づいて、2つのヘッド基準マークHM7,HM8と2つのシャトル基準マークSM17,SM18との間に生じている水平方向(XY方向)のずれ量や水平面(XY平面)に対する垂直な軸を回転中心とした回転方向へのずれ角度が求められるようになる(シャトル基準マーク位置算出)。こうして求められたずれ量やずれ角度に基づいて、位置調整部62等により把持部63の位置決めされる位置が補正されることで、ヘッド基準マークを有する押圧装置60の把持部63とシャトル基準マークを有する供給チェンジキット31の各電子部品T(部品載置位置31A)との間で行なわれる位置決めの精度が良好に維持されるようになる。
次に、電子部品検査装置10が電子部品Tを検査用ソケット24に搬送するための電気的構成について図10を参照して説明する。
電子部品検査装置10には、制御装置70が備えられている。制御装置70は、中央演算処理装置(CPU)、記憶装置(不揮発性メモリーROM、揮発性メモリーRAMなど)を有するマイクロコンピュータを中心に構成されており、メモリーに格納されている各種データ及びプログラムに基づいて、電子部品Tなどのデバイスを搬送する処理などのため各種制御を実行する。本実施形態では、制御装置70にて、電子部品検査装置10を構成する各種要素間の相対位置を算出たり設定したりする処理や、それら各種要素と電子部品Tとの間の位置決め処理などが行なわれる。また、不揮発性メモリーROMには、相対位置情報の設定処理や押圧装置60の移動制御などに必要な各種のパラメータなどが予め保存されている。
制御装置70には、各カメラ40A,40B,45A,45B,51,56により撮像された画像を画像処理して、例えば電子部品Tの姿勢や、各確認マークの中心位置などを算出する画像処理部71が設けられている。画像処理部71は、上述した姿勢や中心位置などを算出するためのプログラムを記憶しているとともに、当該プログラム等の実行に基づいてカメラから入力される撮像画像を画像処理して認識される電子部品Tの姿勢や各基準マークの中心位置などを算出して制御装置70の所定のメモリーなどに記憶させる。また本実施形態では、画像処理部71では、後に詳細について述べる「把持部の姿勢認識処理」、「把持された電子部品の姿勢認識処理」、「把持前の電子部品の姿勢認識処理」及び「検査用ソケットの姿勢認識処理」がそれぞれ行なわれるようになっている。
このことにより、制御装置70では、「把持部の姿勢認識処理」により把握される把持部63(ノズル64)の姿勢と、「把持前の電子部品の姿勢認識処理」により把握される電子部品Tの姿勢とに基づいて同電子部品Tの取得処理(把持前の電子部品取得処理)が行なわれる。また、「把持された電子部品の姿勢認識処理」により把握されるノズル64に把持された電子部品Tの姿勢と、「検査用ソケットの姿勢認識処理」により把握される検査用ソケット24の姿勢に基づいて同電子部品Tの配置処理(検査用ソケットへの把持された電子部品の配置処理)とが実施される。
また、画像処理部71は、前記シャトル基準マーク位置算出において、図8(b)に示されるように、ヘッド基準マークと同ヘッド基準マークに挿通されたソケット基準マークの撮像画像を画像処理することを通じてヘッド基準マークに対するソケット基準マークの相対位置を算出する。また、ヘッド基準マークと同ヘッド基準マークに挿通されたシャトル基準マークの撮像画像を画像処理することを通じてヘッド基準マークに対するシャトル基準マークの相対位置を算出する。これら処理により求められた各相対位置は、制御装置70の記憶装置等に設定・記憶される(シャトル基準マーク位置設定、ソケット基準マーク位置設定)とともに、設定・記憶された記憶装置等から中央演算処理装置などにより読み出されるようになっている。
制御装置70は、入出力装置75と電気的に接続されている。入出力装置75は、各種スイッチと状態表示機を有しており、前記各処理の実行を開始する指令信号や、各処理を実行するための初期値データ等を制御装置70に出力する。また本実施形態では、入出力装置75には、電子部品検査装置10の各種要素、各種電子部品の寸法・形状に関する情報や、それら電子部品Tの種類に応じて設定されている検査用ヘッド22の移動に関する情報なども設定されており、それら情報が制御装置70に出力される。
制御装置70は、Y軸モーター駆動回路MYD、Z軸モーター駆動回路MZDにそれぞれ電気的に接続されている。
Y軸モーター駆動回路MYDは、制御装置70から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいてY軸モーターMYを駆動制御するようになっている。また制御装置70には、Y軸モーター駆動回路MYDを介してY軸モーターエンコーダーEMYによって検出されたY軸モーターMYの回転速度が入力される。これにより制御装置70は、検査用ヘッド22のY方向の位置(Y座標)を把握する。そして、その把握したY方向の位置(Y座標)と第1または第2シャトル16,17や検査用ソケット24の位置などの目標位置とのY方向のずれを求めて、Y軸モーターMYを駆動制御して検査用ヘッド22を目標位置に移動させるようになっている。
このように、検査用ヘッド22のY方向位置(Y座標)はY軸モーターエンコーダーEMYからの信号から算出される。
Z軸モーター駆動回路MZDは、制御装置70から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいてZ軸モーターMZを駆動制御するようになっている。また、制御装置70には、Z軸モーター駆動回路MZDを介してZ軸モーターエンコーダーEMZによって検出されたZ軸モーターMZの回転速度が入力される。これにより制御装置70は、検査用ヘッド22の各押圧装置60の上下方向(Z方向)の位置(高さ)を把握するとともに、その高さ位置と目標の高さ位置(上下方向の位置)とのずれを求めて、Z軸モーターMZを駆動制御して該各押圧装置60を目標の高さ位置に移動させるようになっている。これにより、例えば、ノズル64を電子部品Tを把持したり配置させたりする各所定の高さに移動させることができる。
制御装置70は、各押圧装置60にそれぞれ設けられた位置調整部62と電気的に接続されている。位置調整部62は、制御装置70から受けた制御信号に応答して押圧装置60に設けられている把持部63(ノズル64)を、押圧装置60の基部61に対してX方向(左右方向)及びY方向(前後方向)に移動させるとともに、XY平面(水平面)に対して把持部63(ノズル64)を回動させる。これにより、ノズル64や同ノズル64に把持された電子部品Tの把持部63に対する位置を補正するようになっている。なお、図10には位置調整部62を一つのみ描き、説明の便宜上、その他の位置調整部62についてはその描画を割愛する。
制御装置70は、バルブ駆動回路64Dと電気的に接続されている。バルブ駆動回路64Dは、制御装置70から受けた制御信号に応答して吸着用バルブ64Bを駆動制御するようになっている。また制御装置70により駆動制御される吸着用バルブ64Bは、ノズル64に供給する気体を負圧の気体、又は、大気圧の気体のいずれか一方に切換える。ノズル64は、負圧の気体が供給されたとき電子部品Tを吸着するとともに、大気圧の気体が供給されて真空が破壊されたとき電子部品Tが離脱されるようになる。
制御装置70は、第1シャトル駆動回路16D及び第2シャトル駆動回路17Dとそれぞれ電気的に接続されている。
第1シャトル駆動回路16Dは、制御装置70から受けた制御信号に応答して第1シャトルモーターMS1を駆動制御するようになっている。そして、制御装置70は、第1シャトルモーターMS1を駆動することで第1シャトル16をレール30Aに沿って移動させるようになっている。また、制御装置70は、第1シャトル駆動回路16Dを介して第1シャトルエンコーダEMS1によって検出された第1シャトルモーターMS1の回転速度が入力されるとともに、その回転速度に基づいて第1シャトル16の位置を把握するようになっている。
第2シャトル駆動回路17Dは、制御装置70から受けた制御信号に応答して第2シャトルモーターMS2を駆動制御するようになっている。そして、制御装置70は、第2シャトルモーターMS2を駆動することで第2シャトル17をレール30Bに沿って移動させるようになっている。また、制御装置70は、第2シャトル駆動回路17Dを介して第2シャトルエンコーダEMS2によって検出された第2シャトルモーターMS2の回転速度が入力されるとともに、その回転速度に基づいて第2シャトル17の位置を把握するようになっている。
制御装置70は、第1シャトル撮像回路37Dと第2シャトル撮像回路38Dとにそれぞれ電気的に接続されている。
第1シャトル撮像回路37Dは、制御装置70から受けた制御信号に応答して各カメラ40A,40Bを駆動制御する。同様に、第2シャトル撮像回路38Dは、制御装置70から受けた制御信号に応答して各カメラ45A,45Bを駆動制御する。そして、制御装置70は、各カメラ40A,40B,45A,45Bに撮影された上方の画像、例えば、マーク体69(ヘッド基準マーク)及び把持部63が撮像された画像G3(図18参照)やマーク体69(ヘッド基準マーク)及び把持部63に把持された電子部品Tが撮像された画像G4(図20参照)などの画像データを取得する。画像G3には、把持部63のノズル64と、把持部63の把持側回路装置65の接触端子P2及び接続端子P3と、マーク体69とマーク体69のヘッド基準マークとが撮像されている。これにより画像G3が認識処理されることで、ノズル64の中心位置DC、接触端子P2及び接続端子P3のそれぞれの配置位置、ヘッド基準マークの位置、及びそれら相互間の相対位置関係などが取得されるようになる。また画像G4には、電子部品Tと、同電子部品Tの下面電極Baと、把持部63の把持側回路装置65の接続端子P3と、マーク体69とマーク体69のヘッド基準マークとが撮像されている。これにより画像G4が認識処理されることで、電子部品Tの位置、同電子部品Tの下面電極Baの配置位置、接続端子P3の配置位置、ヘッド基準マークの位置、及びそれら相互間の相対位置関係などが取得されるようになる。
すなわち、マーク体69及び把持部63の画像G3を画像処理部71が認識処理することによって、マーク体69(ヘッド基準マーク)に対する把持部63の姿勢が把持側回路装置65の接触端子P2の配置に基づいて認識される(「把持部の姿勢認識処理」)。また、マーク体69及び把持部63に吸着された電子部品Tの画像G4を画像処理部71が認識処理することによって、マーク体69(ヘッド基準マーク)に対する把持部63に吸着された電子部品Tの姿勢が電子部品Tの下面電極Baの配置に基づいて認識される(「把持された電子部品の姿勢認識処理」)。
制御装置70は、下方撮像回路51Dに電気的に接続されている。下方撮像回路51Dは、制御装置70から受けた制御信号に応答して各カメラ51,56を駆動制御する。そして、制御装置70は、各カメラ51,56に撮影された下方の画像の画像データを取得する。画像データは、例えば、シャトル基準マーク(SM13,SM14等)及び部品載置位置31Aに載置されている電子部品Tの上面Tbが撮像された画像G2(図16参照)やソケット基準マーク(KM13,KM14等)及び検査用ソケット24(ヘッド基準マーク)が撮像された画像G1(図13参照)などである。画像G2には、部品載置位置31Aに載置された電子部品Tと、同電子部品Tの上面電極Bbと、部品載置位置31Aに対応するシャトル基準マークとが撮像されている。これにより画像G2が認識処理されることで、部品載置位置31Aに載置された電子部品Tの位置、電子部品Tの上面電極Bbの配置位置、シャトル基準マークの位置、及びそれら相互間の相対位置関係などが取得されるようになる。画像G1には、検査用ソケット24の接触端子P1と、同検査用ソケット24に対応するソケット基準マークとが撮像されている。これにより画像G2が認識処理されることで、検査用ソケット24の接触端子P1の配置位置、シャトル基準マークの位置、及びそれら相互間の相対位置関係などが取得されるようになる。
すなわち、シャトル基準マーク及び電子部品Tの画像G2を画像処理部71が認識処理することによって、シャトル基準マークに対する電子部品Tの姿勢が同電子部品Tの上面電極Bbに基づいて認識される(「把持前の電子部品の姿勢認識処理」)。また、ソケット基準マーク及び検査用ソケット24の画像G1を画像処理部71が認識処理することによって、ソケット基準マークに対する検査用ソケット24の姿勢が同検査用ソケット24の接触端子P1に基づいて認識される(「検査用ソケットの姿勢認識処理」)。
また制御装置70は、各カメラ51,56を介して、例えば、ヘッド基準マーク(HM7,HM8)及びソケット基準マーク(KM17,KM18)が撮像された画像(図8(b)相当)や、ヘッド基準マーク(HM7,HM8)及びシャトル基準マーク(SM17,SM18)が撮像された画像(図9(b)相当)などの画像データを取得する。すなわち、各基準マーク位置設定処理において、ヘッド基準マーク及びソケット基準マークの画像(図8(b)に相当)を画像処理部71に認識処理させることによって、ヘッド基準マークに対するソケット基準マークの相対位置関係が所定の値として算出される。また、ヘッド基準マーク及びシャトル基準マークの画像(図9(b)に相当)を画像処理部71に認識処理させることによって、ヘッド基準マークに対するシャトル基準マークの相対位置関係が所定の値として算出される。
制御装置70は、下方撮像装置駆動回路50Dと電気的に接続されている。下方撮像装置駆動回路50Dは、制御装置70から受けた制御信号に応答して第1もしくは第2水平駆動装置50A,55Aを駆動制御するようになっている。そして、制御装置70は、第1水平駆動装置50Aを駆動することで第1の下方撮像装置50を検査用ヘッド22に対してXY方向へ移動(水平移動)させる一方、第2水平駆動装置55Aを駆動することで第2の下方撮像装置55を検査用ヘッド22に対してXY方向へ移動(水平移動)させるようになっている。
次に、この電子部品検査装置10による電子部品Tの搬送の際に実施される各姿勢認識処理についてそれぞれ説明する。
[検査用ソケットの姿勢の認識処理]
検査用ソケットの姿勢の認識処理について図にしたがって説明する。図11は、各検査用ソケット24とそれら検査用ソケット24に対応する各ソケット基準マークKM11〜KM18とを撮像する平面の態様を示す平面図である。図12は、各検査用ソケット24とそれら検査用ソケット24に対応する各ソケット基準マークKM11〜KM18とを撮像する正面の態様を示す正面図である。図13は、下方撮像装置により撮像された検査用ソケット24及びソケット基準マークの画像の一例を示す図である。
図11に示すように、検査用ソケット24の姿勢の認識処理では、第1及び第2の下方撮像装置50,55がそれら自身のXY方向移動(水平移動)及び検査用ヘッド22のY方向移動及びZ方向移動により各検査用ソケット24の上方に順次配置される。すなわち、図12に示すように、第1の下方撮像装置50が供給ロボット14側(左側)の2つの検査用ソケット24の上方に順次配置されるとともに、配置されたそれぞれの位置において対向する検査用ソケット24をその検査用ソケット24に対応する一対のソケット基準マーク(例えばKM13,KM14)とともに撮像する。また同様に、図12に示すように、第2の下方撮像装置55が回収ロボット15側(右側)の2つの検査用ソケット24の上方に順次配置されるとともに、配置されたそれぞれの位置において対向する検査用ソケット24をその検査用ソケット24に対応する一対のソケット基準マーク(例えばKM17,KM18)とともに撮像する。これにより、図13に示すように、各検査用ソケット24に対するそれぞれの撮像画像(例えばG1)が取得される。そして、撮像画像(G1)に基づいて、制御装置70では、「検査用ソケットの姿勢認識処理」が行なわれてソケット基準マークを基準とした検査用ソケット24の姿勢が同検査用ソケット24の接触端子P1の配置に基づいて算出される。この算出された検査用ソケット24の姿勢、すなわち接触端子P1の配置が同検査用ソケット24に配置される電子部品Tの姿勢の調整に用いられる。
[シャトルのチェンジキットに配置された電子部品の姿勢の認識処理]
シャトルのチェンジキットに配置された電子部品の姿勢の認識処理について図にしたがって説明する。図14は、部品載置位置31Aに載置された電子部品Tの上面電極Bbとそれら部品載置位置31Aに対応するシャトル基準マークSM11〜SM18とを撮像する平面の態様を示す平面図である。図15は、部品載置位置31Aに載置された電子部品Tの上面電極Bbとそれら部品載置位置31Aに対応するシャトル基準マークSM11〜SM18とを撮像する正面の態様を示す正面図である。図16は、下方撮像装置により撮像された部品載置位置31Aに載置された電子部品Tの上面電極Bb及びシャトル基準マークの画像の一例を示す図である。
図14に示すように、部品載置位置31Aに配置された電子部品Tの姿勢の認識処理では、第1及び第2の下方撮像装置50,55がそれら自身のXY方向移動(水平移動)、検査用ヘッド22のY方向移動及びZ方向移動、及び、第1または第2シャトル16,17の移動により各シャトル16,17の供給チェンジキット31の上方に配置される。例えば、図15(a)に示すように、第1の下方撮像装置50が第1シャトル16の供給チェンジキット31の各部品載置位置31Aの上方に順次配置される。そして、配置されたそれぞれの位置において対向する部品載置位置31Aに配置された電子部品Tをその部品載置位置31Aに対応する一対のシャトル基準マーク(例えばSM13,SM14)とともに撮像する。また、図15(b)に示すように、第2の下方撮像装置55が第2シャトル17の供給チェンジキット31の上方に順次配置されるとともに、配置されたそれぞれの位置において対向する部品載置位置31Aに配置された電子部品Tをその部品載置位置31Aに対応する一対のシャトル基準マーク(例えばSM23,SM24)とともに撮像する。これにより、図16に示すように、各部品載置位置31Aに対するそれぞれの撮像画像(例えばG2)が取得される。そして、撮像画像(G2)に基づいて、制御装置70では、「把持前の電子部品の姿勢認識処理」が行なわれて、シャトル基準マークを基準とした部品載置位置31Aに載置されている電子部品Tの姿勢が同電子部品Tの上面電極Bbの配置に基づいて算出される。この算出された電子部品Tの姿勢、すなわち電子部品Tの上面電極Bbの配置が把持部63の姿勢の調整に用いられる。
なおこのように、本実施形態では、第1及び第2の下方撮像装置50,55は「検査用ソケットの姿勢の認識処理」と「シャトルのチェンジキットに配置された電子部品の姿勢の認識処理」とで共用される。
[把持部の姿勢の認識処理]
把持部の姿勢の認識処理について図にしたがって説明する。図17は、マーク体69(ヘッド基準マーク)と対応する把持部63を撮像する態様を示す正面図であるとともに、図18は、第2の上方撮像装置39B(44B)により撮像されたマーク体69(ヘッド基準マーク)及び把持部63(把持側回路装置65)の画像の一例を示す図である。
図17に示すように、把持部63の姿勢の認識処理では、検査用ヘッド22のY方向移動、及び、第1または第2シャトル16,17の移動により各把持部63が第1又は第2シャトル撮像装置37,38の上方に配置される。例えば、検査用ヘッド22のハンドユニットに設けられた4つの押圧装置60のうちY方向に並ぶ2つの把持部63が第1シャトル撮像装置37の第1及び第2の上方撮像装置39A,39Bの上方にそれぞれ配置される。これにより第1及び第2の上方撮像装置39A,39Bは、把持部63の把持側回路装置65の接触端子P2と接続端子P3を、同把持部63に対応する一対のヘッド基準マーク(例えばHM7,HM8)とともに撮像する。これをX方向に並ぶ押圧装置60の数だけ、すなわち2回行なう。これにより、図18に示すように、各把持部63(把持側回路装置65)に対するそれぞれの撮像画像(例えばG3)が取得される。そして、撮像画像(G3)に基づいて、制御装置70では、「把持部の姿勢認識処理」が行なわれて、ヘッド基準マークを基準とした把持側回路装置65の姿勢が同把持側回路装置65の接触端子P2の配置に基づいて算出される。この算出された把持側回路装置65の姿勢、すなわち接触端子P2の配置に基づいて把持部63の姿勢が調整される。
[把持部に把持された電子部品の姿勢の認識処理]
把持部に把持された電子部品の姿勢の認識処理について図にしたがって説明する。図19は、マーク体69(ヘッド基準マーク)と対応する把持部63に把持された電子部品Tを撮像する態様を示す正面図であるとともに、図20は、第2の上方撮像装置39B(44B)により撮像されたマーク体69(ヘッド基準マーク)及び把持部63に取得された電子部品Tの画像の一例を示す図である。すなわち、マーク体69(ヘッド基準マーク)は、「把持部の姿勢の認識処理」と「把持部に把持された電子部品の姿勢の認識処理」とで共用される。
図19に示すように、把持部63に把持された電子部品Tの姿勢の認識処理では、検査用ヘッド22のY方向移動、及び、第1または第2シャトル16,17の移動により各把持部63が同把持部63に電子部品Tが把持された状態で第1又は第2シャトル撮像装置37,38の上方に配置される。例えば、検査用ヘッド22のハンドユニットに設けられた4つの押圧装置60のうちY方向に並ぶ2つの把持部63が第1シャトル撮像装置37の第1及び第2の上方撮像装置39A,39Bの上方に配置されることで、把持部63に把持された電子部品Tを同把持部63に対応する一対のヘッド基準マーク(例えばHM7,HM8)とともに撮像する。これをX方向に並ぶ押圧装置60の数だけ、すなわち2回行なう。これにより、図20に示すように、各把持部63に把持された電子部品Tに対応するそれぞれの撮像画像(例えばG4)が取得される。そして、撮像画像(G4)に基づいて、制御装置70では、「把持された電子部品の姿勢認識処理」が行なわれて、ヘッド基準マークを基準とした把持部63に把持された電子部品Tの姿勢が同電子部品Tの下面電極Baの配置に基づいて算出される。この算出された電子部品Tの姿勢、すなわち下面電極Baの配置に基づいて把持部63の姿勢が調整される。
なおこのように、本実施形態では、第1又は第2シャトル撮像装置37,38は「把持部の姿勢の認識処理」と「把持部に把持された電子部品の姿勢の認識処理」とで共用される。
[電子部品の検査用ソケットへの搬送手順]
次に、この電子部品検査装置10が電子部品Tを検査用ヘッド22により検査用ソケット24へ搬送する手順について図にしたがって説明する。図21は、検査用ソケット24へ電子部品Tを搬送する手順の概略を示すフローチャートである。
図21に示すように、制御装置70は、第1の工程としての把持前の電子部品Tの姿勢を認識する工程(図21のステップS10)と、第2の工程としての把持部63の姿勢を認識する工程(図21のステップS11)とを実行する。また、制御装置70は、第3の工程としての電子部品Tの姿勢に把持部63の姿勢を適合させて同電子部品Tを取得する工程(図21のステップS12)を実行する。さらに、制御装置70は、第4の工程としての検査用ソケット24の姿勢を認識する工程(図21のステップS13)と、第5の工程としての把持部63に把持された電子部品Tの姿勢を認識する工程(図21のステップS14)とを実行する。また、制御装置70は、第6の工程としての検査用ソケット24の姿勢に把持部63に把持された電子部品Tの姿勢を適合させて同電子部品Tを検査用ソケット24に配置させる工程(図21のステップS15)を実行する。
電子部品Tの姿勢を認識する工程(図21のステップS10)では、制御装置70は、上述した「シャトルのチェンジキットの配置された電子部品の姿勢認識処理」を通じて電子部品Tの上面電極Bbの配置に基づいて同電子部品Tの姿勢を認識する。
把持部63の姿勢を認識する工程(図21のステップS11)では、制御装置70は、上述した「把持部の姿勢認識処理」を通じて把持部63(把持側回路装置65)に設けられている接触端子P2の配置に基づいて同把持部63の姿勢を認識する。
電子部品Tの姿勢に把持部63の姿勢を適合させるとともに同把持部63により電子部品Tを取得する工程(図21のステップS12)では、制御装置70は、把持部63を電子部品Tの直上に移動させる。そして「シャトル基準マーク位置設定」により相対位置関係が所定の値に設定されているマーク体69のヘッド基準マークとシャトル16(17)のシャトル基準マークとの相対位置関係と、ステップS10にて求められた電子部品Tの姿勢と、ステップS12にて求められた把持部63の姿勢とに基づいて把持部63を電子部品Tに位置決めする。これにより、把持部63の姿勢と電子部品Tの姿勢は、電子部品Tの上面電極Bbと把持側回路装置65の接触端子P2とが相対向する(適合する)ような位置関係とされるため、電子部品Tが把持側回路装置65側に押圧されると上面電極Bbが対向する接触端子P2に当接するようになっている。すなわち把持部63(把持側回路装置65)の姿勢は接触端子P2によって認識されるとともに、電子部品Tの姿勢は上面電極Bbによって認識されることから、接触端子P2と上面電極Bbとを位置合わせすることが可能となる。
そして、電子部品Tの上方から押圧装置60を下降させることにより電子部品Tの姿勢に対して位置決めされた把持部63がそのノズル64を電子部品Tに当接させて同電子部品Tを把持する。これにより、把持部63にはその把持側回路装置65の接触端子P2に電子部品Tの上面電極Bbが対向するように電子部品Tが把持される。なお、一旦ノズル64に吸着把持された電子部品Tの姿勢は、同ノズル64から離脱されない限り同ノズル64に対して変化しないようになっている。
検査用ソケット24の姿勢を認識する工程(図21のステップS13)では、制御装置70は、上述した「検査用ソケットの姿勢の認識処理」を通じて検査用ソケット24の接触端子P1の配置に基づいて検査用ソケット24の姿勢を認識する。
把持部63に把持された電子部品Tの姿勢を認識する工程(図21のステップS14)では、制御装置70は、上述した「把持部に把持された電子部品の姿勢の認識処理」を通じて電子部品Tの下面電極Baの配置に基づいて把持部63に把持された電子部品Tの姿勢を認識する。
検査用ソケット24の姿勢に把持部63に把持された電子部品Tの姿勢を適合させるとともに同把持部63に把持された電子部品Tを検査用ソケット24に配置させる工程(図21のステップS15)では、制御装置70は、把持部63に把持した電子部品Tを検査用ソケット24の直上に移動させる。そして、制御装置70は、ステップS13で求められた検査用ソケット24の姿勢と、ステップS14で求められた把持された電子部品Tの姿勢とに基づいて把持部63の姿勢を変化させて電子部品Tの姿勢を検査用ソケット24に位置決めする。このとき、制御装置70は、位置決めする位置を「ソケット基準マーク位置設定」により相対位置関係が所定の値に設定されているマーク体69のヘッド基準マークと検査部23のソケット基準マークとの相対位置関係により補正するようにしている。これにより、検査用ソケット24の姿勢と電子部品Tの姿勢は、検査用ソケット24の接触端子P1と電子部品Tの下面電極Baとが相対向する(適合する)ような位置関係とされるため、電子部品Tが検査用ソケット24に下降押圧されると下面電極Baが対向する接触端子P1に当接するようになっている。把持部63の姿勢は電子部品Tの下面電極Baによって認識されるとともに、検査用ソケット24の姿勢は接触端子P1によって認識されることから下面電極Baと接触端子P1とを位置合わせすることが可能となる。
そして、押圧装置60全体を下降させることにより検査用ソケット24に対して位置決めされた把持された電子部品Tを検査用ソケット24に当接配置させる。これにより、把持部63に把持された電子部品Tはその下面電極Baが検査用ソケット24の接触端子P1に接続されるようになる。
またこのとき、電子部品Tが検査用ソケット24に押圧されるにともなって電子部品Tを介してノズル64に上方への反力が印加される。そしてノズル64に印加される上方への反力が同ノズル64を下方に付勢している弾性体66の付勢力に抗してノズル64を上方に移動させるとともに、電子部品Tも把持側回路装置65側に移動されてその上面電極Bbが対向する接触端子P2に当接するようになる。
さらにこのとき、検査用ソケット24上方の接触端子P1に対して所定の位置に設けられている接続電極P5の露出部と、把持側回路装置65の接触端子P2に対して所定の位置に設けられている接続端子P3の先端とが当接される。これにより、電子部品Tの上面電極Bbが接触端子P2、接続端子P3、接続電極P5及び検査部23の回路を介してテスター25に接続されるようになる。
以上説明したように、本実施形態の電子部品検査装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)電子部品Tの上面電極Bbに接触可能な接触端子P2を把持部63に設けたことにより、把持部63が電子部品Tを適正に把持することができるようにして、この把持された電子部品Tの上面電極Bbと接触端子P2との位置関係が自ずと対応される関係を維持するようにした。そして、検査用ヘッド22には、この把持部63の位置、すなわち検査用ソケット24に対して平行方向(水平方向、XY方向)の移動位置やZ方向を中心軸とした回転位置等を調整する位置調整部62を設けた。これにより、制御装置70による上述の姿勢制御を通じて把持部63が電子部品Tを把持する際の把持姿勢、及び、電子部品Tを把持した把持部63の上記検査用ソケット24に対する把持姿勢が適正に確保、維持されるようになる。
(2)把持部63が電子部品Tを把持する際の把持姿勢については下方撮像装置50,55により撮像された電子部品Tの上面電極Bbの画像データ及び第1又は第2シャトル撮像装置37,38により撮像された把持部63の接触端子P2の画像データが参照される。また、電子部品Tを把持した把持部63の検査用ソケット24に対する把持姿勢については第1又は第2シャトル撮像装置37,38により撮像された把持部63に把持された電子部品Tの下面電極Baの画像データ及び下方撮像装置50,55により撮像された検査用ソケット24の接触端子P1の画像データが参照される。このような構成により、電子部品Tの上面電極Bb及び下面電極Baと接触端子P1,P2及び検査用ソケット24との電気的な導通が確実に図られるようになる。
(3)通常のパッケージオンパッケージ構造を有する電子部品Tに対し、検査用ソケット24に対する電子部品Tの配置により電子部品Tの上面電極Bbに電気的に接続される把持部63の接続端子P3が電子部品Tの外周より外側に設けられた検査用ソケット24の接続電極P5に位置合わせされる。これにより、電子部品Tを上面電極Bb及び下面電極Baを通じて電気的な検査が可能となる。
(4)押圧装置60の移動に伴い移動する下方撮像装置50,55の視野が移動するので簡単な構成となり、利便性が向上する。
(5)把持前の電子部品Tの上面電極Bbの画像の撮像と検査用ソケット24の画像の撮像とに下方撮像装置50,55が共用されることから、撮像装置の数を少なくすることができ、部品点数が削減される。
(6)検査用ヘッド22(把持部63)に設けられている接触端子P2もしくは接続端子P3の画像の撮像と、把持部63により把持された電子部品Tの下面電極Ba(第2面電極)の画像の撮像に共に第1又は第2シャトル撮像装置37,38が共用されることから、撮像装置の数を少なくすることができ、部品点数が削減される。
(7)検査用ソケット24に把持部63の接触端子P2と電子部品Tの上面電極Bbとが非接触に保たれた状態で押圧されるので把持部63による電子部品Tの把持力の安定が保たれる。また押圧装置60による押圧力の印加によりこの非接触状態は解消される、すなわち電子部品Tの上面電極Bbと把持部63の接触端子P2とが接触して電気的に接続されるようになる。
(8)シャトル16(17)の部品載置位置31A(載置位置)を所定の位置に予め設けたシャトル基準マークと併せて画像認識し、このシャトル基準マークに対する電子部品Tの上面電極Bbの姿勢を認識するようにした。また、把持部63の接触端子P2を検査用ヘッド22に予め設けたヘッド基準マークと併せて画像認識し、ヘッド基準マークに対する接触端子P2の位置を認識するようにした。このようなヘッド基準マークや、シャトル基準マークを採用することで、電子部品Tの上面電極Bbの位置と検査用ヘッド22の位置とがそれぞれシャトル基準マークとヘッド基準マークとを介して位置合わせできるようになり、把持部63の姿勢調整がより容易に実現可能となる。
(9)検査用ソケット24を所定の位置に予め設けたソケット基準マークと併せて画像認識し、ソケット基準マークに対する検査用ソケット24の姿勢を認識した。また、把持部63に把持された電子部品Tを検査用ヘッドに予め設けたヘッド基準マークと併せて画像認識し、ヘッド基準マークに対する電子部品Tの下面電極Baの姿勢を認識するようにした。このようなシャトル基準マークや、ヘッド基準マークを採用することでも、検査用ソケット24の位置と検査用ヘッド22に把持された電子部品Tの下面電極Baの位置とがそれぞれシャトル基準マークとヘッド基準マークとを介して位置合わせできるようになり、把持部63の姿勢調整がより容易に実現可能となる。
(10)シャトル基準マークと、ヘッド基準マークと、シャトル基準マークとを併せ採用することで、把持部63の姿勢調整をより容易に実現可能にしている。また、把持部63の姿勢認識と、電子部品Tの下面電極Baの姿勢認識とにヘッド基準マークが共用されることにより、その利便性もさらに高められるようになる。
(11)供給チェンジキット31の部品載置位置31Aに載置された電子部品Tをシャトル基準マークと併せて画像認識し、このシャトル基準マークに対する電子部品Tの上面電極Bbの姿勢を認識するようにした。これにより、供給チェンジキット31に電子部品Tを保持させるポケットなどが設けられていない場合であれ、供給チェンジキット31に載置された電子部品Tの位置及び姿勢が認識されるので、検査用ヘッド22の把持部63の姿勢調整により当該把持部63に電子部品Tを好適に把持させることができるようになる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、画像処理部71が各姿勢認識処理を行なう場合について例示したが、これに限らず、制御装置が画像処理部の行なっている処理の一部もしくは全部を処理するようにしてもよいし、逆に、画像処理装置にて制御装置が行なっている処理の一部を処理するようにしてもよい。これにより、電子部品検査装置の構成の自由度の向上が図られる。
・上記実施形態では、把持部63の姿勢を接触端子P2の配置に基づいて認識するようにしたが、これに限らず、把持部の姿勢を接触端子の配列と接続端子の配列とから認識したり、又は、接続端子の配列のみから認識したりしてもよい。これにより、電子部品検査装置による姿勢認識処理の処理態様の自由度が向上される。
・上記実施形態では、ソケット基準マークKM11〜18が検査部23に突設され、またシャトル基準マークSM11〜SM18(SM21〜SM28)が供給チェンジキット31に突設される場合について例示した。しかしこれに限らず、ソケット基準マークやシャトル基準マークは、カメラにより撮像された画像から認識することが可能であるならば、凹設されたものや、印刷されたものや、埋め込まれたものや、発光するようなものでもよい。これにより、各基準マークの認識性や耐環境性を設置環境に応じて設定することができるようになり、電子部品検査装置の適用環境を拡大させてその採用可能性を向上させる。
・上記実施形態では、ヘッド基準マークHM1〜HM8には対応するソケット基準マークKM11〜18やシャトル基準マークSM11〜SM18(SM21〜SM28)が挿通させることができる場合について例示した。しかしこれに限らず、各基準マーク間の相対位置関係を好適に取得することができるのであれば、ソケット基準マークやシャトル基準マークが、ヘッド基準マークに挿通せずに、例えばヘッド基準マークの横に並ぶなどしてもよい。また例えば、図22(a)(b)に示すように、検査用ヘッドには光透過性のあるガラスなどより形成されたマーク体80にヘッド基準マーク82を設け、チェンジキット31や検査部23に取り付けられる設置体81に平面的なマーク83としてソケット基準マークもしくはシャトル基準マークを設けてもよい。これにより、電子部品検査装置に設けられる基準マークの態様の自由度が高められる。
・上記実施形態では、供給ロボット14側に下方撮像装置50が一台、回収ロボット15側に下方撮像装置55が一台それぞれ設けられる場合について例示した。しかしこれに限らず、下方撮像装置は、供給ロボット側に複数台設けられても、また、回収ロボット側に複数台設けられてもよい。例えば、下方撮像装置がソケットと同数設けられた場合、複数のソケットの画像が下方撮像装置により一回で撮像されるようになる。これにより、下方撮像装置による画像の撮像に要する時間の短縮が図られることに伴って、姿勢認識処理に係る時間の短縮化も図られるようにもなる。
・上記実施形態では、検査用ヘッド22に各下方撮像装置50,55が取り付けられる場合について例示した。しかしこれに限らず、下方撮像装置は、検査用ヘッドとは各別に設けられるとともに、シャトルや検査部の上方に移動可能になっていてもよい。これにより、下方撮像装置の配置の自由度が高められる。
・上記実施形態では、各カメラ40A,40B,45A,45B,51,56はその視線が各ミラー41A,41B,46A,46B,52,57にて屈折される場合について例示した。しかしこれに限らず、各カメラの視線が直接撮像対象を捉えるようにしてもよい。これにより、各カメラの設置の自由度が高められ、それらカメラを有する各撮像装置の構成の自由度も向上する。
・上記実施形態では、各カメラ40A,40B,45A,45Bがシャトル16,17の下面に設けられる場合について例示したが、これに限らず、各カメラは把持部を撮像可能であれば、シャトルの上面や側面に設けられていてもよい。これより、電子部品検査装置としての構成の自由度が高められる。
・上記実施形態では、第1及び第2シャトル撮像装置37,38が各シャトル16,17に設けられる場合につて例示したがこれに限らず、各カメラは把持部を撮像可能であれば、ベース上や検査部などに設けられてもよい。これによっても、電子部品検査装置としての構成の自由度が高められる。
・上記実施形態では、供給チェンジキット31に部品載置位置31Aが設定されている場合につて例示した。しかし、これに限らず、供給チェンジキットに電子部品を載置させるためのポケットが設けられていてもよい。これにより、この電子部品検査装置の適用可能性が高められる。
・上記実施形態では、ヘッドユニット27には4つの押圧装置60が設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、ヘッドユニットには、押圧装置が3台以下であってもよいし、押圧装置が5台以上設けられていてもよい。これにより、電子部品検査装置としての構成の自由度が高められる。
・上記実施形態では、接続電極P5が検査用ソケット24に設けられる場合について例示した。しかしこれに限らず、接続電極は、把持側回路装置と対向することのできる範囲であれば、検査用ソケットに限らず、検査用ソケットの周囲、例えば検査部や検査用ソケットが取り付けられる基板などに設けられてもよい。この場合、接続電極の配置に合わせて把持側回路装置の接続端子を配置するようにすれば電子部品の上面電極とテスターとの電気的接続を維持することができる。これにより、把持側回路装置及び検査部(検査用ソケット)の構造にかかわらず、パッケージオンパッケージの電子部品の検査装置にこの電子部品検査装置を適用することのできる可能性が向上する。
・上記実施形態では、接触端子P2よりも接続端子P3の下方への突出長さが短い場合について例示したが、これに限らず、接続端子の長さは、当接させる電子部品の上面電極の高さや、接続電極の高さに対応するような長さにしてよい。また、把持側回路装置の形状についても、その形状を検査部や検査用ソケットに対応する適切な形状に変形するようにしてもよい。これらのことにより、多種多様の検査部や検査用ソケットに対応することができるようになる。
・上記実施形態では、把持前の電子部品Tの上面電極Bbの画像と検査用ソケット24の画像とを共に下方撮像装置50(55)により撮像する場合について例示した。しかしこれに限らず、把持前の電子部品の上面電極と、検査用ソケットの画像とをそれぞれ各別の撮像装置により撮像するようにしてもよい。これにより、撮像装置の配置の自由度が高められる。
・上記実施形態では、検査用ヘッド22(把持部63)に設けられている接触端子P2もしくは接続端子P3の画像と、把持部63により把持された電子部品Tの下面電極Ba(第2面電極)の画像とを共に第1シャトル撮像装置37もしくは第2シャトル撮像装置38により撮像する場合について例示した。しかしこれに限らず、検査用ヘッド(把持部)に設けられている接触端子もしくは接続端子の画像と、把持部により把持された電子部品の下面電極の画像とをそれぞれ各別の撮像装置により撮像するようにしてもよい。これにより、撮像装置の配置の自由度が高められる。
・上記実施形態では、把持前の電子部品の姿勢認識工程(ステップS10)の次に把持部の姿勢認識工程(ステップS11)を行なう場合について例示したが、これに限らず、把持前の電子部品の姿勢認識工程より先に把持部の姿勢認識工程が行なわれてもよい。このように各姿勢認識工程についての処理順番の自由度が向上することにより、電子部品の搬送手順の自由度も向上するようになる。
・上記実施形態では、把持部の姿勢認識工程(ステップS11)を毎回行なう場合について例示したが、これに限らず、把持部の姿勢認識工程は、把持部の姿勢精度が維持されているのであれば行なわなくてもよい。この場合、所定時間毎や所定条件毎など任意のタイミングで行なうことなども考えられる。このように姿勢認識工程の実施タイミングの自由度が向上することにより、電子部品の搬送手順の自由度も向上するようになる。
・上記実施形態では、検査用ソケットの姿勢認識工程(ステップS13)の次に把持された電子部品の姿勢認識工程(ステップS14)を行なう場合について例示したが、これに限らず、検査用ソケットの姿勢認識工程の前に把持された電子部品の姿勢認識工程が行なわれてもよい。このように各姿勢認識工程についての処理順番の自由度が向上することにより、電子部品の搬送手順の自由度も向上するようになる。
・上記実施形態では、検査用ソケットの姿勢認識工程(ステップS13)が毎回行なわれる場合について例示したが、これに限らず、検査用ソケットの姿勢認識工程は、検査用ソケットの姿勢精度が維持されているのであれば行なう必要はない。この場合、所定時間毎や所定条件毎など任意のタイミングで行なうことなども考えられる。このように姿勢認識工程の実施タイミングの自由度が向上することにより、電子部品の搬送手順の自由度も向上するようになる。
・上記実施形態では、把持前の電子部品取得工程(ステップS12)では、把持部63を電子部品Tの上方に移動させてから把持部63の姿勢を電子部品Tの姿勢に合わせる場合について例示した。しかしこれに限らず、把持部の姿勢は、電子部品の上方に移動させる前、もしくは移動させている途中で電子部品の姿勢に合わせるようにしてもよい。これにより把持部の姿勢の調整を行う態様が広がり、電子部品の搬送手順の自由度も向上するようになる。
・上記実施形態では、検査用ソケットへの電子部品配置工程(ステップS15)では、把持部63を検査用ソケット24の上方に移動させてから把持部63に把持されている電子部品Tの姿勢を検査用ソケット24の姿勢に合わせる場合について例示した。しかしこれに限らず、把持部に把持された電子部品の姿勢は、電子部品の上方に移動させる前、もしくは移動させている途中で検査用ソケットの姿勢に合わせるようにしてもよい。これにより把持部に把持された電子部品の姿勢の調整を行う態様が広がり、電子部品の搬送手順の自由度も向上するようになる。
・上記実施形態では、ソケット基準マーク位置設定やシャトル基準マーク位置設定は、予め行なわれている場合について例示した。しかしこれに限らず、電子部品の検査用ソケットへの搬送手順の中で適宜行なうようにしてもよい。これにより、電子部品の配置の精度を向上させたり精度を保証したりすることができるようになる。