JP2014087865A - 旋盤およびワークの加工方法 - Google Patents
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【解決手段】ワークWが載置される回転テーブル12と、回転テーブル12の上方でその径方向に延在するクロスレール14と、クロスレール14に案内されてX軸方向に沿って移動可能なサドル15と、サドル15をX軸方向に移動させるX軸直線駆動機構18と、サドル15にZ軸方向に沿って移動可能に取り付けられたラム16と、ラム16をZ軸方向に移動させるZ軸直線駆動機構19と、ラム16の下端部に設けられ正面フライス1を保持する工具ホルダ2と、工具ホルダ2をZ軸周りに旋回する旋回機構3とを備え、工具ホルダ2を、ラム16の下方に配置されるホルダ本体と、ホルダ本体に設けられZ軸と直交する軸を回転周りとして正面フライス1に伝達する回転駆動機構とを有し、正面フライス1の加工部1AをワークWの鉛直面W11に対向させた。
【選択図】図1
Description
このような立旋盤では、回転テーブル上に被工作物が固定され、回転テーブルの回転(C軸方向)の下に、サドルのZ軸方向への移動によって切込みを行い、サドルのX軸方向への移動によって工具のX軸方向の位置を変更して回転テーブルの回転中心周りの旋削加工を行っている。
所定の長さに渡ってワークの鉛直部がX軸方向に沿って加工されたなら、Z軸直線駆動機構を作動してサドルをZ軸方向に移動させて工具の加工部のワークの鉛直面に対する鉛直方向の位置を変える。そして、前述の加工を繰り返す。これにより、ワークの鉛直面がX軸方向に沿ってムラ無く加工されることになる。
また、ワークの鉛直面のうち平面円弧状の曲線部を加工するには、ワークの鉛直面に工具の加工部を当接させて回転駆動機構を作動させる。すると、工具が回転することでワークの鉛直面が加工される。さらに、X軸直線駆動機構および旋回機構を作動せず、回転テーブルのみを作動させると、回転テーブルに載置されたワークが回転することで、ワークの鉛直面が平面円弧状に加工されることになる。
したがって、本発明では、X軸方向、Z軸方向、C1軸およびC2軸を制御する機能の立旋盤または横旋盤を用い、多機能複合旋盤と同様の複雑な加工を実施することができる。
すなわち、本発明では、Z軸と直交する軸が工具の回転周りの軸となるので、工具の少なくとも端部がラムより水平方向に突出する構成となる。そのため、工具の加工部のZ軸方向の寸法がワークの鉛直面の鉛直方向に沿った長さより小さくても、ラムにワークが干渉することなく、ワークの鉛直面を加工することができる。
しかも、回転テーブルおよび旋回機構によって回転テーブルの回転と工具ホルダの旋回とを同期させた状態でX軸直線駆動機構によってサドルをX軸方向に移動することにより、ワークの鉛直面を直線状に加工することができる。また、工具ホルダの位置を固定し、回転テーブルのみを回転させることで、ワークの鉛直面を曲線状に加工することができる。そのため、直線状の加工と曲線状の加工とを1つの旋盤で行うことができるので、作業性が向上する。
この構成の本発明では、正面フライスの正面からなる加工部がワークの鉛直面を切削などの加工をするので、正面フライスの直径寸法がワークに加工される鉛直寸法となる。
本発明では、正面フライスという切削などで多用されている工具を用いることで、特殊な形状の工具を用いることがないので、加工コストを低いものにできる。しかも、加工工程において、正面フライスの正面にワークの鉛直面から大きな反力がかかっても、その反力は回転軸の軸方向であるため、回転軸が破損等することがない。
この構成の本発明では、旋盤の機構として予め回動される構造となっているラムの主軸を旋回機構として用いるので、新たに、旋回機構を設けることを要せず、部品点数の減少を図ることができる。
この構成の本発明では、電気モータは、その出力軸の回転制御を容易に行えるので、ワークの加工を適正に行うことができる。
この構成の本発明では、前述の効果を奏することができるワークの加工方法を提供することができる。
[第1実施形態]
図1から図5に基づいて、本発明の第1実施形態を説明する。
図1には第1実施形態に係る立旋盤の概略が示されている。
図1において、立旋盤は、旋盤本体10と、この旋盤本体10を加工プログラムにしたがって駆動制御する制御装置30と、旋盤本体10に取り付けられワークWを加工する工具としての正面フライス1とを備える。
旋盤本体10は、ベース11と、このベース11の上面に鉛直なC1軸を中心に回転可能に設けられ上面にワークWを載置する回転テーブル12と、ベース11の両側に立設された一対のコラム13A,13Bと、この両コラム13A,13Bの上部間に掛け渡されたクロスレール14と、このクロスレール14に沿って左右方向(X軸方向)へ移動可能に設けられたサドル15と、このサドル15に上下方向(Z軸方向)へ昇降可能に設けられたラム16と、このラム16内にC2軸を中心として回転可能に収納された主軸17と、を備えている。主軸17の先端には自動工具交換装置あるいは手動によって、工具ホルダ2が取り付けられており、この工具ホルダ2に正面フライス1が装着されている。
図2および図3において、ワークWは、外周部W1と内周部W2とを有する金属製のポンプ用ケーシングである。
外周部W1は、水平方向に延びる平面直線状の鉛直面W11と、平面円弧状(曲線状)の鉛直面W12とを有する。内周部W2は曲線状の鉛直面W12の円中心と同じ円中心を有する。
ワークWは、切削などの加工前においては、鉛直面W11と鉛直面W12との表面に凹凸があるが、切削などの加工によって、鉛直面W11がX軸方向に沿った直線状に正確に加工され、鉛直面W12がC1軸を中心とする円弧状に正確に加工されることになる。
回転テーブル12を回転駆動させるテーブル回転機構と、X軸直線駆動機構18と、Z軸直線駆動機構19と主軸回転駆動機構20とは制御装置30からの指令を受けて作動するものであり、この制御装置30は、回転テーブル12の回転と工具ホルダ2の旋回とを同期させながらサドル15をX軸方向に移動させるように制御する。つまり、図2の想像線で示される通り、制御装置30によって、ワークWの鉛直面W12に正面フライス1の加工部1Aが当接された状態で、ワークWがC1軸を中心に角度αだけ回転することと、工具ホルダ2がX軸方向に寸法Xαだけ移動することと、工具ホルダ2がC2軸を中心に角度αだけ旋回することが同期する。
図4において、工具ホルダ2は、ラム16の主軸17の下端部に連結されたホルダ本体21と、ホルダ本体21に設けられZ軸と直交する軸を回転周りとして正面フライス1に伝達する回転駆動機構22とを有する。
ホルダ本体21は、主軸17の下端が接合された上面部211と、側面部212と、下面部213とを備えたボックス状に形成されており、側面部212の途中高さにはホルダ本体内を上下に仕切る仕切面部214が設けられている。
歯車機構24は、Z軸を回転周りとして回転する電気モータ23の出力軸231の下端部に連結された傘歯車241と、この傘歯車241に噛合し回転軸25が途中に結合された傘歯車242とを備えている。
加工部1AのZ軸に沿った寸法はワークWの鉛直面W11の鉛直方向に沿った寸法より短く設定されており、かつ、加工部1Aの鉛直面の上方位置とラム16の鉛直面とは寸法tだけ離れている。
まず、ワークWの外周部W1の水平方向に延びる鉛直面W11を加工する方法について説明する。
図5(A)に示される通り、回転テーブル12の回転中心に円弧状の鉛直面W12の円弧中心が一致するようにワークWを配置する。その後、直線状に加工する鉛直面W11を工具ホルダ2に装着された正面フライス1に向けるように、制御装置30からテーブル回転機構に指令を出す。そして、制御装置30からX軸直線駆動機構18に指令を出して正面フライス1を移動させ加工部1Aを鉛直面W11の中心位置に当接させる。さらに、電気モータ23を作動させて回転軸25および正面フライス1を回転させる。正面フライス1が回転することで、加工部1AによりワークWの鉛直面W11が加工される。
以上の工程によって、鉛直面W11の同じ高さにおける加工が終了する。その後、制御装置30からZ軸直線駆動機構19に指令を出して、正面フライス1の鉛直面W11に対する高さ位置を変更する。そして、前述の加工を繰り返す。
まず、制御装置30からX軸直線駆動機構18に指令を出して工具ホルダ2を回転テーブル12の回転中心から離れる方向に移動させ正面フライス1をワークWから後退させる。そして、工具として正面フライス1をそのまま用い、あるいは、必要に応じて交換された新しい工具を回転軸25に装着する。
その後、回転テーブル12を回転させてワークWの鉛直面W12を工具に対向させる。そして、ワークWの鉛直面W12に工具の加工部を当接させて回転駆動機構を作動させる。工具として正面フライス1を用いる場合には、その正面にある加工部1Aを鉛直面W12に当接させる。さらに、制御装置30からテーブル回転機構に指令を出して回転テーブル12のみを回転させる。回転テーブル12のみを作動させると、回転テーブル12に載置されたワークWが回転することで、ワークWの鉛直面W12が平面円弧状に加工される。なお、ワークWの内周部W2を鉛直面W12と同じように加工する。
(1)ラム16の下端部に設けられ正面フライス1を保持する工具ホルダ2を、ラム16の下方に配置されるホルダ本体21と、ホルダ本体21に設けられZ軸と直交する軸を回転周りとして正面フライス1に伝達する回転駆動機構22とを有し、正面フライス1の加工部1AをワークWの鉛直面W11に対向させた構成としたので、正面フライス1の加工部1Aがラム16より水平方向に突出する構成とすることができる。そのため、ワークWの鉛直面W11のZ軸方向の寸法がワークWの鉛直面W11の鉛直方向に沿った長さより小さくても、ラム16にワークWが干渉することなく、ワークWの鉛直面W11を加工することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、工具としてドリルを用いる点で第1実施形態とは異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
図6には第2実施形態に係る立旋盤の概略が示されている。
図6において、立旋盤は、第1実施形態と同様に、旋盤本体10および制御装置30を備え、旋盤本体10にはワークVを加工する工具としてのドリル4が取り付けられる。
旋盤本体10は、ベース11、回転テーブル12、一対のコラム13A,13B、クロスレール14、サドル15、ラム16および主軸17を備えている。主軸17の先端には自動工具交換装置あるいは手動によって、工具ホルダとしてのドリリングユニット5が取り付けられており、このドリリングユニット5にはドリル4が装着されている。ドリル4の先端部および周面部が加工部4Aとされる。
図7および図8において、ワークVは、板状の突出部V1が本体V2の端部から上方に形成された形状であり、突出部V1が形成された側において水平方向に延びる平面直線状の鉛直面V11と、本体V2において平面円弧状(曲線状)に形成された鉛直面V12とを有する。本実施形態の加工は、突出部V1にドリル4で孔を開ける孔開け(ドリリング)である。
回転テーブル12を回転駆動させるテーブル回転機構と、X軸直線駆動機構18と、Z軸直線駆動機構19と、主軸回転駆動機構20とは制御装置30からの指令を受けて作動するものであり、この制御装置30は、回転テーブル12の回転とドリリングユニット5の旋回とを同期させながらサドル15をX軸方向に移動させるように制御する。つまり、図7の想像線で示される通り、制御装置30によって、ワークVの鉛直面V11にドリル4の加工部4Aの先端が当接された状態で、ワークVがC1軸を中心に角度αだけ回転することと、ドリリングユニット5がX軸方向に寸法Xαだけ移動することと、ドリリングユニット5がC2軸を中心に角度αだけ旋回することが同期する。
回転駆動機構52は、ホルダ本体51の内部でドリル4の長手方向に沿って進退自在に設けられた電気モータ54を備えて構成され、この電気モータ54の出力軸54Aの先端部にはドリル4の基端部が同軸で取り付けられている。なお、第2実施形態では、出力軸54Aが回転駆動機構52の回転軸である。
電気モータ54および進退用モータ55は、制御装置30とは異なる制御装置から出力される信号で駆動される。なお、本実施形態では、ドリリングユニット5をY軸方向の回転軸(B軸)を中心として回転自在としてもよく、この場合、B軸角度位置決めのために図示しない駆動機構を設け、極座標変換する構成としてもよい。
加工部4AのZ軸に沿った寸法はワークVの鉛直面V11の鉛直方向に沿った寸法より短く設定されており、かつ、ドリル4が後退された状態では加工部4Aの先端の鉛直面の上方位置とラム16の鉛直面とは寸法tだけ離れている。
まず、図9(A)に示される通り、回転テーブル12にワークVを配置し、直線状に加工する鉛直面V11をドリリングユニット5に装着されたドリル4の先端に向けるように、制御装置30からテーブル回転機構に指令を出す。そして、制御装置30からX軸直線駆動機構18に指令を出してドリリングユニット5を移動させドリル4の加工部4Aの先端を鉛直面V11の中心位置に当接させる。さらに、制御装置30とは別に設けられた図示しない制御装置から指令を出して電気モータ54と進退用モータ55とを作動させ、ドリル4を回転させながら前進させる。これにより、ドリル4の加工部1AがワークVのうち突出部V1を貫通し、孔開け加工がされる。
孔開け加工がされたなら、進退用モータ55を逆に作動させ、ドリル4を突出部V1とは干渉しない位置まで後退させ、電気モータ54を停止させる。
以上の工程によって、鉛直面V11の同じ高さにおける孔開け加工が終了する。鉛直面V11での孔開け加工位置の上下位置を変更する場合には、制御装置30からZ軸直線駆動機構19に指令を出して、ドリリングユニット5を上または下に移動し、ドリル4の鉛直面V11に対する高さ位置を変更する。そして、前述の加工を繰り返す。
(7)工具ホルダとしてドリリングユニット5を用い、このドリリングユニット5に予め装着された電気モータ54の出力軸54Aを回転軸とし、この出力軸54Aに工具としてドリル4を取り付けたから、特殊な工具を用意する必要がないので、加工コストを低いものにできる。
例えば、第1実施形態では、回転駆動機構22として電気モータ23を備えて構成したが、本発明では、電気モータ23に代えてエアーモータを用いてもよい。また、電気モータ23やエアーモータを用いる代わりに、主軸17の回転駆動に伴って工具ホルダを旋回させるクラッチ機構を主軸回転駆動機構に設ける構成としてもよい。
さらに、本発明では、立旋盤でなくても横旋盤に適用することができる。すなわち、本発明は、X軸方向、Z軸方向、C1軸およびC2軸の制御機構を有する立旋盤または横旋盤について、従来実施できなかった加工、例えば、前記実施形態のような切削、研削、ドリリング、その他の加工を、必要に応じて極座標変換をすることで、多機能複合旋盤と同様に実現することができる。つまり、本発明では、X軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行なU軸、V軸、W軸およびX軸、Y軸、Z軸まわりのA軸、B軸、C軸を必要に応じて付加し、極座標変換を有するソフトウェアを使用してNC加工プログラムをすることにより、多機能複合旋盤のような加工が可能となる。
Claims (6)
- ワークが載置される回転テーブルと、前記回転テーブルの上方で前記回転テーブルの径方向に延在するクロスレールと、前記クロスレールに案内されて当該クロスレールの延在方向であるX軸方向に沿って移動可能なサドルと、前記サドルをX軸方向に移動させるX軸直線駆動機構と、前記サドルに、鉛直方向となるZ軸方向に沿って移動可能に取り付けられたラムと、前記ラムをZ軸方向に移動させるZ軸直線駆動機構と、前記ラムの下端部に設けられ加工部を有する工具を保持する工具ホルダと、前記工具ホルダをZ軸周りに旋回する旋回機構と、を備え、
前記工具ホルダは、前記ラムの下方に配置されるホルダ本体と、前記ホルダ本体に設けられZ軸と直交する軸を回転周りとして前記工具に伝達する回転駆動機構と、を有し、
前記工具の加工部は前記ワークの鉛直面に対向可能であり、前記工具の加工部のZ軸に沿った寸法は前記ワークの鉛直面の鉛直方向に沿った寸法より短い、
ことを特徴とする旋盤。 - 請求項1に記載された旋盤において、
前記回転駆動機構は、Z軸と直交する軸を回転周りとして回転する回転軸を備え、前記回転軸の端部には前記工具が連結され、
前記工具は、前記加工部が正面にある正面フライスである、
ことを特徴とする旋盤。 - 請求項1または請求項2に記載された旋盤において、
前記旋回機構は、前記ラムの主軸を備え、前記主軸の下端部に前記ホルダ本体が連結されている、
ことを特徴とする旋盤。 - 請求項2または請求項3に記載された旋盤において、
前記回転駆動機構は、前記回転軸を回転駆動する電気モータを備えた、
ことを特徴とする旋盤。 - 回転テーブルの上方で前記回転テーブルの径方向にクロスレールを延在し、前記クロスレールの延在方向であるX軸方向に沿ってサドルを移動可能に取り付け、鉛直方向となるZ軸方向に沿ってラムを前記サドルに移動可能に取り付け、前記ラムの下端部に工具ホルダを設けた旋盤を用い、前記回転テーブルに載置されたワークを前記工具ホルダに保持され加工部を有する工具で切削する方法であって、
前記回転テーブルの回転中心に前記ワークを配置し、前記ワークの鉛直面に、前記工具の加工部を当接しながら前記工具をZ軸と直交する軸を回転周りとして回転させて前記ワークの鉛直面を加工し、前記回転テーブルの回転と前記工具ホルダの旋回とを同期させながら前記サドルをX軸方向に移動させて前記ワークの鉛直面を水平方向に沿って加工する、
ことを特徴とするワークの加工方法。 - 請求項5に記載されたワークの加工方法において、
前記工具は前記加工部が正面にある正面フライスであり、
前記正面フライスを回転させる工程と、前記回転テーブルを回転させる工程と、前記工具ホルダを旋回させる工程と、前記サドルをX軸方向に移動させる工程とが連続する、
ことを特徴とするワークの加工方法。
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