JPH11114772A - 自由曲面の加工法 - Google Patents

自由曲面の加工法

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JPH11114772A
JPH11114772A JP27474397A JP27474397A JPH11114772A JP H11114772 A JPH11114772 A JP H11114772A JP 27474397 A JP27474397 A JP 27474397A JP 27474397 A JP27474397 A JP 27474397A JP H11114772 A JPH11114772 A JP H11114772A
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JP
Japan
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feed
scanning
processing
circular
machining
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JP27474397A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Morishita
敏昭 森下
Itaru Kokusho
格 国生
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Shin Nippon Koki KK
Original Assignee
Shin Nippon Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転形工具による自由曲面の加工において、
送り動作の躍動(加速度の変化率)を低減する。 【解決手段】 走査送りを円形または略円形とし、この
走査送りを行いながら切込み深さを所望の曲面形状に応
じたものとなるように切込み送りによって変動させると
ともに、この走査送りの行われる位置を加工送りによっ
てずらすことによって所望の曲面形状を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールエンドミル
等の回転形工具を備えたNC工作機械による金型等の自
由曲面の加工法に関する。
【0002】
【従来の技術】金型等の自由曲面の加工法のうち、高い
加工精度が求められる仕上げ加工などには、一般に、矩
形走査送り加工法が用いられている。
【0003】この矩形走査送り加工法とは、加工の行わ
れる走査送りを含む送り動作が、加工面に対して垂直な
面内で略矩形をなすもので、この略矩形の送り動作の行
われる面をずらしながら繰り返すことによって所望する
曲面形状を切削するものである。具体的には、図13に
示すようなXY平面におよそ平行な曲面Sを加工する場
合を例とすると、例えば、Y軸方向に直線状の走査送り
を行いながら、Z軸方向に工具刃先の切込み深さを変
動させる切込み送りを行うことにより所望の曲面形状S
の一部となる曲線を形成する加工を行い、この後、リト
ラクト動作により工具刃先を被加工物から離間させ、
加工送り動作であるピックフィード動作により工具刃
先を次の走査送りを行う位置までX軸方向にずらし、
リターン動作により工具刃先を走査送りの開始位置
まで戻して、アプローチ動作により再び工具刃先を被
加工物に切り込み、こうして次の走査送りにつなげる
ことで一連の送り動作をなし、この一連の送り動作を繰
り返すことによって所望の曲面形状Sを形成するもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように矩形走査送
り加工法では、各動作〜がそれぞれ互いに方向の異
なる略直線経路の動作として構成されているため、各送
り動作の始点および終点位置でその動作方向の速度が零
となる。このため、送り動作の平均速度を高速化して加
工能率を高めるには、各送り動作の始点および終点近傍
で急激に大きな加速度を与えてすばやい加減速をさせる
必要がある。
【0005】しかし、急激に大きな加速度を与えた場
合、加速・減速時における送り駆動系に働く躍動が大き
くなる。躍動とは加速度の変化率であり、一般に、躍動
が大きいと振動発生の原因となるとともに、送り動作に
行き過ぎ量を生じて加工精度の低下を招きやすい。ま
た、大きな躍動により衝撃力が生じれば、工具寿命や機
械寿命も縮めることになる。
【0006】すなわち、矩形走査送り加工法では、送り
動作が不連続であることにより経路中に速度が零となる
点が存在するため、加工能率を上げるため高速・高加速
度送りにすると、機械にとって過大な負荷となる大きな
躍動が生じやすい欠点がある。
【0007】本発明は、上記のような課題に鑑みてなさ
れたものであり、高い加工効率を確保しながら、躍動を
小さく抑えることのできる工作機械にやさしい自由曲面
の加工法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、請求項1の発明は、回転形工具による自
由曲面の加工法において、円形または略円形の走査送り
を行いながら、この走査送り面に略垂直な方向の切込み
送りにより所望の曲面形状に応じて切込み深さを変動さ
せるとともに、前記走査送り面に略平行な方向の加工送
りにより前記走査送りの位置をずらしていくことによっ
て、自由曲面の加工を行うものである。
【0009】この発明によれば、走査送りを行いながら
所望の曲面形状に応じた切込み深さを変動させることに
より、走査送りの行われる円周上に所望の曲面形状の一
部となる曲線が加工されるとともに、この走査送りの行
われる位置が加工送りによりずらされていくため、所望
の曲面形状が形成される。また、この走査送りは円形ま
たは略円形とされているため、送り動作は連続的に滑ら
かな曲線を画き、その方向を連続的に変化させることが
できる。したがって、送り動作の最大加速度に対して、
加速度の変化率である躍動が小さくなる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記加工送りが連続的に行われるものである。
【0011】加工送りを断続的に行うものとすれば、こ
の加工送りの開始・終了時に送り動作が非連続となるた
め、躍動が大きくなることがあるが、この請求項2の発
明によれば、加工送りを連続的に常時行うため、送り動
作はさらに滑らかなものとなり、躍動もさらに小さくな
る。
【0012】請求項3の発明は、請求項1または2の発
明において、円形または略円形の走査送りの周方向の速
度を略等速とするものである。
【0013】円形または略円形の走査送りを行えば、送
り動作は連続的に滑らかな曲線を画き、その方向を連続
的に変化させることができるが、さらに、この請求項3
の発明により走査送りの周方向の速度を略等速とすれ
ば、時間経過に対しても送り動作の方向をさらに連続的
に変化させることができる。
【0014】請求項4の発明は、請求項1〜3のうちい
ずれかの発明において、加工面に略平行な面上で、円形
または略円形の走査送りを行うものである。
【0015】なお、加工面に対して、斜めに傾いた面上
で円形または略円形の走査送りを行ったとしても、切込
み送りにより工具刃先を加工面上に送ることはできる。
しかし、このとき、工具刃先の動作は走査送り動作と切
込み送り動作を合成した動作となるため、例えば加工面
上で大きな楕円形の軌跡を画くなど、意図しない動作と
なってしまうことがある。このような問題に対して、こ
の請求項4の発明により、走査送りを加工面に略平行な
面上で行うこととすれば、加工面上において意図した通
りの円形または略円形の走査送りを行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1〜図8
に基づいて説明する。
【0017】図1は、この発明にかかる円形または略円
形の走査送りを行う自由曲面の加工法(以下、「円形走
査送り加工法」という。)を実施するためのNC工作機
械の一例であり、図2は、この工作機械の部分拡大図で
ある。
【0018】この工作機械は、高速回転する主軸3を備
えた子マシン2が親マシン1上に配置された親子構造の
工作機械として構成されており、親マシン1に備えられ
た互いに直交するX,Y,Zの3方向の親送り駆動手段
からなる親送り駆動系により、子マシン2が主軸3とと
もに送り駆動されるとともに、図2に示すように子マシ
ン2もまた子送り駆動系としてX’,Y’,Z’の3方
向の子送り駆動手段を備えており、この子送り駆動系に
より主軸3が送り駆動され、定盤4上に載置される被加
工物の加工を行うものである。
【0019】まず、親マシン1の具体的構成から説明す
る。
【0020】この親マシン1は、基礎5上に設置されて
いる。この基礎5の左右両側部には複数本のコラム11
が立設され、これらコラム11によってその並び方向に
延びるサイドレール12が水平に支持されている。左右
のサイドレール12には、その長手方向に沿ってモータ
により送り駆動されるサドル13が装架され、両サドル
13に、サイドレール12と直交するクロスレール14
の両端が固着されている。このサイドレール12、サド
ル13およびモータがX軸方向の送り駆動を行う第1の
親送り駆動手段を構成しており、そのストロークは、こ
のX 軸方向について定盤4の全域に亘っている。
【0021】クロスレール14には、その長手方向に沿
ってモータにより送り駆動されるラムサドル15が装架
されている。このクロスレール14、ラムサドル15お
よびモータがY軸方向の送り駆動を行う第2の親送り駆
動手段を構成しており、そのストロークは、このY 軸方
向について定盤4の全域に亘っている。
【0022】このラムサドル15には上下方向に貫通す
る案内穴16が設けられており、ここにラム17が貫挿
され、このラム17がモータによる送り駆動により昇降
可能に案内されている。このラムサドル15、ラム17
およびモータがZ軸方向の送り駆動を行う第3の親送り
駆動手段を構成しており、そのストロークは、このZ軸
方向、すなわち、上下方向について定盤4上に載置され
る被加工物の大きさをカバーしている。
【0023】このように大きなストロークを有する親送
り駆動手段では、従来公知の工作機械と同様に、被駆動
部重量は大きいものとなっているため、これら親送り駆
動手段の送り駆動を行うモータは、高加速送りができな
い、駆動に多大なエネルギーを要することのない低出力
のモータが用いられている。
【0024】以上のように構成された親マシン1によれ
ば、3つの親送り駆動手段によるX,Y,Zの3方向の
送り動作が合成されるラム17の下側の先端は、定盤4
上に載置される被加工物の加工領域全体に亘って移動で
きる。この工作機械においては、このラム17の先端に
着脱可能な状態で主軸3を備えた子マシン2が取り付け
られている。
【0025】次に、この子マシン2について図2により
説明する。
【0026】ラム17の先端に、着脱可能な状態でベー
ス21が水平に取り付けられている。このベース21の
下面には、2本のレール211が平行に設けられてい
る。このレール211は、中間プレート23の上面に設
けられたガイドブラケット231によって挟み込まれる
ことで案内面を構成し、ベース21に取付けられたモー
タ22により中間プレート23をレール211の長手方
向に送り駆動されるようになっている。このベース2
1、中間プレート23およびモータ22が、X’軸方向
の送り駆動を行う第1の子送り駆動手段を構成してい
る。
【0027】中間プレート23の下面には、その上面と
同様のガイドブラケット232が上面側のガイドブラケ
ット231と直交する方向に設けられており、このガイ
ドブラケット232は、トップテーブル24の上面に設
けられた2本のレール241を挟み込んで案内面を構成
し、トップテーブル24に取付けられたモータ25によ
りトップテーブル24をレール241の長手方向に送り
駆動されるようになっている。この中間プレート23、
トップテーブル24およびモータ25が、Y’軸方向の
送り駆動を行う第2の子送り駆動手段を構成している。
【0028】トップテーブル24の下面には、上下方向
に貫通する案内穴が設けられたラムサポート26が取り
付けられている。このラムサポート26の案内穴には、
主軸頭支持ラム28が貫挿され、この主軸頭支持ラム2
8がモータ27による送り駆動により昇降可能に案内さ
れている。このラムサポート26、主軸頭支持ラム28
およびモータ27が、Z’軸方向の送り駆動を行う第3
の子送り駆動手段を構成している。
【0029】これら3つの子送り駆動手段の送り駆動方
向であるX’,Y’,Z’軸方向は、3つの親送り駆動
手段の送り方向であるX,Y,Z軸方向にそれぞれ平行
に配置されている。
【0030】主軸頭支持ラム28の下面には、モータ3
6により鉛直方向の旋回軸Cを中心として水平に旋回可
能な状態で主軸頭サドル31が装着されている。この主
軸頭支持ラム28、主軸頭サドル31および主軸頭支持
ラム28に内蔵されたモータ36が、旋回軸Cまわりの
旋回動作を行う第1の主軸傾斜角形成手段を構成してい
る。
【0031】この主軸頭サドル31は、縦断面が下方に
開く略コの字型に形成され、その下端部において、モー
タ32により水平方向の旋回軸Aを中心として旋回可能
な状態で主軸ヘッド33が取り付けられている。この主
軸頭サドル31、主軸ヘッド33およびモータ32が、
旋回軸Aまわりの旋回動作を行う第2の主軸傾斜角形成
手段を構成している。
【0032】これらの旋回軸Aおよび旋回軸Cまわりの
旋回動作を行う2つの主軸傾斜角形成手段によれば、主
軸ヘッド33を旋回軸Aまわり旋回することによって、
主軸ヘッド33を水平面に対して任意の角度に傾斜させ
ることができるとともに、さらにこの状態で旋回軸Cま
わりに主軸頭サドル31とともに主軸ヘッド33を旋回
させることによって、主軸ヘッド33の傾斜角を任意の
方向に向けることができる。
【0033】主軸ヘッド33はモータを内蔵しており、
このモータにより主軸3を高速で回転駆動する。この主
軸3の先端部には工具を保持するチャック34が設けら
れ、ここに回転形工具35が取り付けられる。回転形工
具としては、ボールエンドミルや研削砥石などを用いる
ことができる。
【0034】このような子マシン2に備えられた3つの
子送り駆動手段のストロークは、子マシン2は親マシン
1のラム17の先端に取り付けられたものであることか
らも当然に、親マシン1に備えられた親送り駆動手段の
ストロークに比べて小さい。したがって、親送り駆動手
段における被駆動部が、例えば、X軸方向の第1の親送
り駆動手段では、大きなストロークを有しながら所定の
剛性を備えるため、クロスレール14のような重量の大
きなものを含んでしまうことに対し、子送り駆動手段
は、そのストロークが小さく、3つの子送り駆動手段は
いずれもその被駆動部が軽量なものとなっている。した
がって、子送り駆動手段では、親送り駆動手段と比べ大
きな加速度をもって高速送り駆動を行っても慣性力は小
さく、このため、加工効率を向上することができる。3
つの子送り駆動手段のモータは小容量でも、被駆動部の
重量が小さいため高速送りが可能であり、消費エネルギ
ーも小さいものとなる。
【0035】このような親子構造の工作機械によって金
型などの自由曲面の加工を行う場合、切削加工の能率に
直接的な影響を与える走査送りを高速の送り駆動ができ
る子マシン2の子送り駆動系により行うことが望まし
い。そこで、この親子構造の工作機械は、図3に示すよ
うに、親送り駆動系91、子送り駆動系92、主軸傾斜
角形成手段93、主軸の回転駆動94のすべてを制御す
るCNC装置である全体制御手段90により制御され
る。
【0036】次に、この工作機械によって行う円形走査
送り加工法について説明する。
【0037】図4は、この円形走査送り加工法の概念図
である。この図において、下側の曲線60は工具刃先の
動作軌跡を示しており、上側の曲線61はこの工具刃先
の動作軌跡からZ軸成分である切込み送りを除いた軌
跡、すなわち、走査送りと加工送りを合成したXY平面
上の軌跡を概念的に示している。
【0038】まず、同図上側に示した走査送りおよび加
工送りについて、図5を用いて説明する。この図5に示
すように、走査送りの軌跡はXY平面上で円形をなして
いる。この走査送りはX’軸方向の第1の子送り駆動手
段およびY’軸方向の第2の子送り駆動手段により行わ
れ、走査送りの周方向の速度は一定となるように設定さ
れる。また、加工送りは、この走査送りと同時に連続的
に行われる。この加工送りはX軸方向の第1の親送り駆
動手段により、連続的に子マシン2をX軸方向へ駆動す
ることにより行われるもので、その速度は走査送りの1
サイクルに対して一定のピックフィード量pだけ駆動す
るように設定される。このピックフィード量pは、回転
形工具の種類、大きさおよび形状、加工の種類、被加工
物の性質等に応じて設定される。このような走査送りお
よび加工送りを合成した軌跡は、走査送りによる円が1
サイクルにつきピックフィード量pずつX軸方向に連続
的にずれた形状となる。
【0039】図4に戻って、同図下側に示す工具刃先の
動作は、上述の走査送りおよび加工送りに、Z軸方向の
切込み送りを合成した動きである。
【0040】この切込み送りは、Z’軸方向の第3の子
送り駆動手段により行われるもので、走査送りおよび加
工送りを行いながら、工具刃先が所望の曲面形状Sを画
くように、切込み深さを制御するものである。すなわ
ち、上記走査送りおよび加工送りにより、工具刃先のX
座標位置およびY座標位置は刻々変化するが、切込み送
りは、その時々のX座標位置およびY座標位置に応じた
Z座標位置まで工具刃先を切り込ませるように連続的に
駆動する。走査送りおよび加工送りにこのような切込み
送りを加えると、被加工物表面には、走査送りの行われ
る円周上に切込み送りの方向であるZ軸方向、すなわち
深さ方向に起伏を有する円形の溝が、円形を画く走査送
りの1サイクルごとに加工される。そして、この起伏を
有する円形の溝が加工送りによってX軸方向にずれてい
くことにより所望の曲面形状Sが形成される。
【0041】なお、円形の走査送りを行いながら加工送
りを行うため、主として加工が行われるのは走査送りの
円のうち、加工送りの進行方向前側の半円部分であり、
後側の半円部分は前側の半円部分で既に加工した領域を
通過するため、空転域となっている。
【0042】このように、加工が行われるのは、加工送
りの進行方向前側の半円部分だけであるから、この前側
半円部分での切削性能を考えて、回転形工具35は加工
送りの方向に傾斜する状態に設定されている。この傾斜
角は、旋回軸Aおよび旋回軸Cまわりの主軸傾斜角形成
手段により形成される。なお、このように回転形工具3
5に傾斜角を与えるのは、回転形工具(ボールエンドミ
ル)35の回転中心の周速度が無い部分では切削能力を
有しないため、周速度の有る工具の円周面で切削するた
めである。
【0043】このような円形走査送り加工法により大面
積の曲面を加工する場合には、図6に示すように、複数
列の加工送りを行えばよい。この場合、加工する曲面形
状Sのおおよその傾斜に応じて走査送り面を傾けて、走
査送り面が加工面に略平行になるようにすることが望ま
しい。すなわち、上述の説明においては、説明の便宜の
ため、走査送り面がXY平面に平行なものとしたが、加
工面がこの座標系に対して傾いている場合には、この加
工面に応じて走査送り面をこの座標軸に対して傾いたも
のとなるように、走査送りをX’,Y’,Z’軸方向の
3つの子送り駆動手段を連動させることにより行うもの
としてもよい。これに伴い、切込み送りおよび加工送り
についても、2以上の子送り駆動手段、親送り駆動手段
で制御するものとしてもよい。
【0044】以上のように、円形走査送り加工法によれ
ば、工具刃先は常に曲線を画きながら連続的に動作する
ため、急激な速度変動、加速度変動がなく、したがっ
て、加速度の変化率である躍動も小さくなる。そこで、
次に、円形走査送り加工法における送り動作の速度、加
速度および躍動について、従来の矩形送りによる切削加
工法におけるこれらとの比較により具体的に考察する。
【0045】なお、この考察においては、図7(b)に
示すように、矩形送りによる切削加工法の走査方向をY
軸方向として、このY軸方向の送り動作の速度、加速度
および躍動を比較に用いる。このため、円形走査送り加
工法もこれに対応して、図7(a)に示すように、走査
送りをXY平面に平行な円形を画くものとし、Y軸方向
の送り動作の速度、加速度および躍動を比較に用いる。
加工を行う曲面形状は円形走査送り加工法および矩形走
査送り加工法とも同一のものとし、矩形走査加工法の走
査送りは一般的なベル形加減速とする。また、走査送り
を行う切削幅、走査送りの最大速度および最大加速度
は、円形走査送り加工法、矩形走査加工法とも、それぞ
れ100mm,42m/min,1Gと同一の値とす
る。
【0046】以上の条件のもとにおける、円形走査送り
加工法、矩形走査加工法における切削加工を行う1パス
分の速度、加速度および躍動を図8に示す。同図左列に
示した円形走査送り加工法においては、走査送りが等速
円運動であるため、Y軸方向の速度はsinカーブ形状
を画き変化している。したがって、これを順次微分した
加速度および躍動の変化も同様にsinカーブ形状とな
っており、加速度および躍動は滑らかに推移している。
この場合の躍動の最大値は±1.37×105 mm/s
ec3 となっている。
【0047】一方、同図右列に示した矩形走査送り加工
法においては、走査送りの始点と終点の近傍において、
急激に加速・減速がなされるため、加速および減速のそ
れぞれ始めと終わりにおいて加速度の変化率である躍動
が大きくなっている。この場合の躍動の最大値は±4.
08×105 mm/sec3 となっている。
【0048】このように、円形走査送り加工法によれ
ば、矩形走査送り加工法と同じ最大送り速度および加速
度とした場合であっても、滑らかな速度、加速度、躍動
の変化が実現されるために躍動の最大値は小さく抑えら
れ、したがって、工作機械の振動発生を防止することが
でき、高い表面加工精度が期待できる。また、躍動によ
る衝撃力も低減されることから工作機械に過大な負担を
かけることもなく、工作機械の機械寿命、工具寿命を伸
ばすことができる。
【0049】この円形走査送り加工法および矩形走査送
り加工法における走査送りの1パス、すなわち、円形走
査送り加工法では切削加工の行われる加工送り前側の半
円部、矩形走査送り加工法では切削加工の行われる矩形
の下辺部を通過するのに要する時間は、それぞれ0.2
24秒、0.238秒であり、ほぼ同じである。しか
し、工作機械の剛性が矩形走査送り加工法において生じ
ている躍動値まで許容しうるのであれば、理論上走査送
りの加速度を約3倍まで上げることができ、これにより
走査送り速度は約1.7倍向上することから、さらに加
工能率の向上を図ることができる。
【0050】以上、実施形態に即してこの発明を説明し
たが、この発明は上記実施形態に限定されるものではな
く、以下のように構成してもよい。
【0051】(1)上記実施形態においては、走査送り
を円形すなわち真円形状としたが、図9に示すような楕
円形状や、図10に示すような陸上トラックのような一
部に直線部分を有する形状等の略円形としてもよい。す
なわち、全周にわたって、方向の変化が連続的である閉
曲線であればよい。
【0052】(2)上記実施形態では走査送りを行いな
がら連続的に加工送りを行ったが、走査送りの所定段階
で、例えば図11に示すように空転域を走査していると
きにのみ必要量の加工送りを行うものとしてもよい。な
お、このように加工送りを連続的に行わない場合であっ
ても、走査送りの速度・加速度の変化を滑らかなものと
するため、走査送りを停止させて加工送りを行うのでは
なく、走査送りは連続させることが望ましい。
【0053】(3)上記実施形態では、円形走査送り速
度を一定としたが、加工する曲面形状が複雑な場合など
は、加工精度を維持するため、加工形状に応じて走査送
り速度を変動させてもよい。ただし、この場合であって
も、急激な加減速を繰り返せば、躍動の増加を招き、振
動の発生等の原因となるため、できる限り等速に近い送
り動作をさせることが望ましい。
【0054】(4)上記実施形態では、走査送り面に対
して、切込み送りは垂直な方向に、加工送りは平行な方
向に行うものとしたが、厳密に垂直あるいは平行な方向
でなくともよい。ただし、切込み送りが走査送り面に対
して垂直な方向から大きく外れ、あるいは加工送りが走
査送り面に対して平行な方向から大きく外れると、走査
送りにこのような切込み送りや加工送りを合成した工具
刃先の動作は、走査送り面に垂直な方向から見て、走査
送りの円形または略円形が崩れ、滑らかな走査送り動作
が実現できなくなり、その結果として、送り動作の躍動
を低減することができなくなる。このため、できる限り
走査送り面に対して、切込み送りは垂直な方向に、加工
送りは平行な方向に行うことが望ましい。
【0055】(5)上記実施形態では、円形走査送りを
行っている間、工具傾斜角を一定に保つようにしたが、
刻々変化する切削方向に合わせて工具傾斜角を変化させ
ることとしてもよい。このようにすれば、常に能率的な
切削が可能になるとともに、加工精度の向上も図ること
ができる。
【0056】(6)上記実施形態では、子送り駆動系を
備えた子マシンとして、互いに直交する3方向の送り駆
動を行うために3つの子送り駆動手段を備えた工作機械
を用いたが、たとえば、子マシンを、図12に示すよう
に、ラム17にアーム85の一端をモータにより旋回可
能な状態で取り付けることによって旋回軸C’まわりに
円形走査送り動作を行うものとし、このアーム85に主
軸頭支持ブロック86を取り付けてZ’軸方向の切込み
送り動作を行うように構成し、この子マシンを取り付け
ることにより、円形走査送り加工を行ってもよい。な
お、この主軸頭ブロック86は、旋回軸C’との距離を
調整することができるようにアーム85に取り付けられ
ており、これにより、円形走査送りの旋回半径を調整す
ることができるものとなっている。
【0057】(7)上記実施形態では、親マシン1上に
子マシン2が配置されることにより親送り駆動系と子送
り駆動系とを有するCNC工作機械を用いたが、本発明
は、主軸と被加工物とを3次元の相対移動を行うことが
できる工作機械であれば従来から公知のものでも適用す
ることができる。
【0058】(8)上記実施形態においては、被加工物
を固定し、すべての送り動作を回転形工具35を備えた
主軸3の移動動作によって行ったが、工作機械の大きさ
によっては、送り動作の全部または一部を被加工物の移
動動作によるものとしてもよい。例えば、被加工物を載
置する定盤4を送り駆動することにより工具と被加工物
との相対移動を行うことで、円形走査送り加工を行うこ
とができる。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、走査送
りを円形または略円形としたことにより、送り動作は連
続的に滑らかな曲線を画き、その方向を連続的に変化さ
せることができるため、送り速度の最大加速度に対し
て、加速度の変化率である躍動を小さくすることができ
る。したがって、振動の発生を防止することができ、高
い表面加工精度を実現しうる。さらに、機械構造体に働
く躍動による衝撃力も小さいものとなるため、工作機械
にやさしい加工が実現でき、工具寿命や機械寿命も延ば
すことができる。
【0060】また、逆に、工作機械の機械剛性等が従来
の加工法において生じていた躍動値まで許容すれば、送
り速度および加速度を大幅に上げることができるため、
加工能率の大幅な向上を図ることができる。
【0061】さらに、請求項2のように、加工送りを連
続的に行われるものとすれば、送り動作はいっそう滑ら
かなものとなり、躍動も小さくできるため、上記効果が
さらに高まる。
【0062】さらにまた、請求項3のように、円形また
は略円形の走査送りの周方向の速度を略等速とすれば、
時間経過に対しても送り動作の方向を滑らかに変化させ
ることができ、上記効果がさらに高まる。
【0063】また、請求項4のように、走査送り面を加
工面に対して略平行に配置すれば、加工面上において意
図した通りの円形または略円形の走査送りを行うことが
でき、上述の円形走査送りによる加工法の効果を十分に
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる円形走査送り加工法を実施する
NC工作機械の一例を示す斜視図である。
【図2】同NC工作機械の子マシン2部分の拡大斜視図
である。
【図3】同NC工作機械の制御系の概念図である。
【図4】本発明にかかる円形走査加工法の概念図であ
る。
【図5】走査送りおよび加工送りを合成した軌跡を示す
概念図である。
【図6】円形走査加工法による自由曲面加工の説明図で
ある。
【図7】円形走査送り加工法と矩形走査送り加工法とに
おける、送り動作の速度、加速度および躍動の大きさを
比較するための説明図である。
【図8】同比較を行った結果を示すグラフである。
【図9】楕円形の走査送りを行った場合の走査送りおよ
び加工送りを合成した軌跡を示す概念図である。
【図10】陸上トラックのような一部に直線部分を有す
る形状の走査送りを行った場合の走査送りおよび加工送
りを合成した軌跡を示す概念図である。
【図11】加工送りを非連続的に行った場合の走査送り
および加工送りを合成した軌跡を示す概念図である。
【図12】円形走査送りを行うための子送り駆動系を備
えた子マシンの斜視図である。
【図13】従来の矩形走査送り加工法の概念図である。
【符号の説明】
1 親マシン 2 子マシン 3 主軸 35 回転形工具 4 定盤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転形工具による自由曲面の加工法にお
    いて、円形または略円形の走査送りを行いながら、この
    走査送り面に略垂直な方向の切込み送りにより所望の曲
    面形状に応じて切込み深さを変動させるとともに、前記
    走査送り面に略平行な方向の加工送りにより前記走査送
    りの位置をずらしていくことによって、自由曲面の加工
    を行うことを特徴とする自由曲面の加工法。
  2. 【請求項2】 前記加工送りが連続的に行われることを
    特徴とする請求項1記載の自由曲面の加工法。
  3. 【請求項3】 円形または略円形の走査送りの周方向の
    速度を略等速とすることを特徴とする請求項1または2
    に記載の自由曲面の加工法。
  4. 【請求項4】 加工面に略平行な面上で、円形または略
    円形の走査送りを行うことを特徴とする請求項1〜3の
    うちいずれかに記載の自由曲面の加工法。
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