JP2014087099A - 把持工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作棒を回転させることなく可動把持部を固定把持部に遠近させて、被把持物の確実且つ強固な把持とその把持の解除とを可能とすると共に、作業員の手元の操作で、可動把持部の動きを規制したり、その規制を解除したりできる把持工具を提供する。
【解決手段】把持工具1は、絶縁操作棒3と、固定把持部42が形成されたヘッド部41及び可動把持部45を有する把持機構4とを備え、操作棒3とヘッド部41とを一体化し、操作棒3とヘッド部41の基端側部位43とにヘッド部41の基端側部位43に開口した収容空間5を設け、収容空間5に移動体6を操作棒3の軸方向に沿って移動可能に収容して、移動体6の一方端側の部位をヘッド部41の開口5aから出没可能にし、移動体6の一方端に可動把持部45を取り付け、絶縁操作棒3の連結部34側に移動体6を操作棒3の軸方向に沿って移動させるための操作部9を有するものとする。
【選択図】図4

Description

この発明は、活線状態の高圧架線等を対象にした間接活線作業等にて用いられる工具に関し、特に高圧架線等の被把持物を確実且つ強固に把持することができると共に被把持物に対する把持状態のロックとその解除も簡易な把持工具に関する。
活線状態の高圧架線等の被把持物を電柱等の柱状立設体の柱上で把持するための工具として、例えば、特許文献1等に示される間接活線把持工具(ストレーリングトング等とも称される。)が用いられる。
特許文献1に示される公知の間接活線把持工具を概説すると、絶縁素材から成る操作棒と、この操作棒の長手方向の一方端に取り付けられた電線把持部とを有し、電線把持部は、固定部と可動部とを備えている。固定部は、先端側に鉤爪状の鉤爪部を有する爪部と、この爪部の基端側が接続され、中央に貫通孔が形成された接続部とを備えている。接続部の貫通孔には、内周面にネジ溝を切った貫通口を有する回転体が挿通されている。一方、可動部は、回転体の貫通口の内周面のネジ溝に噛み合わさるようにネジ山を切った棒状のネジ軸体と、固定部と協働して電線を把持可能な可動体とを備えている。可動体は、固定部と対向する面に凹部を有し、固定部の鉤爪部から基端側に延びる直線部分に該凹部が嵌まり込んだ状態でネジ軸体の先端に取り付けられている。また、固定部は、電線を締め付けると容易に緩まないように保持するロック機構の一部であるつまみ部を接続部に備えている。そして、操作棒は、先端部が固定部の回転体の基端部に固定され、また、可動部のネジ軸体が固定部から離れる方向に移動したときに電線を格納可能な空間が可動部と固定部との間に形成される。
特開2010−68582号公報
もっとも、特許文献1に示されるような間接活線把持工具の構成では、操作棒を回転させることにより、可動部が取り付けられたネジ軸棒を操作棒の回転に同期して回転させて、ネジ軸棒を可動部側に進出させ、もってネジ軸棒の先端で可動部を押して、可動部を固定部に近接させる構成となっているので、可動部を固定部に近接させて可動部と固定部とで高圧架線等を挟んで把持するためには、固定部を有するヘッドを高圧架線等に引き掛ける等の固定をする必要がある。
そして、操作棒を回転させるときに間接活線把持工具のヘッドが左右方向に揺動してしまい、ヘッドの固定部の先端部への延出方向が高圧架線の架設方向と直交する方向にならず、高圧架線等の架設方向に対して斜めになるかたちで固定部と可動部とで高圧架線等を挟んで把持してしまうおそれがあった。このため、間接活線把持工具が確実且つ強固に高圧架線等を把持することができない場合があった。
この場合に、間接活線把持工具による高圧架線等の把持をやり直すためには、バインド打ち器等の間接活線工具でヘッド部に設けられたつまみ部を操作して可動部のロックを解除し、操作棒を逆方向に回転させて、ネジ軸棒を固定部から後退させることで、可動部を固定部から離した後、改めて操作棒を回転させて可動部を固定部に近接させる作業が必要となるので、バインド打ち器等の他の間接活線工具の用意や操作棒の回転に作業時間を要し、間接活線作業全体の長時間化、作業の煩雑化を生ずるおそれもあった。
また、高圧架線と引下線との2つの電線を1つの間接活線把持工具で保持しようとする場合があり、この場合に高圧架線と引下線とを略鉛直向に並ぶかたちで保持したくても、操作棒を回転させるので、高圧架線と引下線とが略水平方向に並ぶかたちで保持してしまうこともあった。
そこで、本発明は、操作棒を回転させなくても、可動把持部を固定把持部に遠近させて、可動把持部と固定把持部とで高圧架線等の被把持物を挟んで把持したり、その把持の解除をしたりすることを可能とすると共に、作業員の手元の操作で、可動把持部が固定把持部から離れるのを防止するための規制及びその規制の解除をすることができる把持工具を提供することを目的とする。
この発明に係る把持工具は、棒状の操作棒と、固定把持部が先端側に形成されたヘッド部及び前記固定把持部に遠近して被把持物を前記固定把持部とで把持する可動把持部を有する把持機構とを備える把持工具において、前記操作棒と前記把持機構のヘッド部とが一体化され、前記操作棒と前記ヘッド部の基端側の部位とは前記操作棒の軸方向に沿って延びる一連の収容空間を有し、前記収容空間は前記ヘッド部の基端側の部位に開口し、前記収容空間には棒状の移動体が前記操作棒の軸方向に沿って移動可能に収容され、前記移動体の長手方向の一方端側の部位は前記ヘッド部の基端側部位の開口から前記固定把持部に向けて出没可能になっており、前記移動体の長手方向の一方端に前記可動把持部が取り付けられ、前記操作棒の長手方向のうち前記把持機構とは反対側に前記移動体を前記操作棒の軸方向に沿って移動させるための操作部を有することを特徴としている(請求項1)。ここで、操作棒は、例えば絶縁素材で形成されている。また、被把持物は、間接活線把持工具として用いられる場合には、例えば高圧架線、その他の活線状態の電線等が該当する。更に、移動体は、少なくとも操作部を有する側にあっては絶縁素材で形成されている。
これにより、移動体を操作棒の軸方向に沿って移動させることで、移動体の長手方向の一方端に取り付けられた可動把持部がヘッド部の固定把持部に対して遠近する方向に移動するので、操作棒を回転させなくても、固定把持部と可動把持部とで被把持物を挟んで把持し、また、その把持を解除することができる。また、移動体を操作棒の軸方向に沿って移動させるための操作部は、操作棒の長手方向の把持機構とは反対側となる他方端側に有しているので、操作部の操作も作業員の手元で簡易に行うことが可能である。
そして、この発明に係る把持工具において、前記操作部は、少なくとも前記操作棒の側面を当該操作棒の軸方向に沿って延びると共に前記収容空間と連通した通孔と、前記移動体の側面より突出させて、前記操作棒の通孔から前記操作棒の側面に頭部を現出させた突出部とを有することを特徴としている(請求項2)。突出部の頭部は、操作棒の通孔を通過する部位よりも径方向寸法が大きくても良い。また、突出部は、移動体と別体をなし、移動体に取り付けられるものであっても良い。
これにより、操作棒の通孔より操作棒の側面に現出した突出部の頭部を、把持機構側に押したり、把持機構とは反対側に引いたりすることによって、移動体ひいてはこの移動体に取り付けられた可動把持部を固定把持部に遠近させることができるので、作業員が、手で突出部を持って動かす動作を行うことが可能となる。
更に、この発明に係る把持工具は、前記移動体と前記可動把持部とを前記移動体が自身の軸線を中心に回転可能に取り付け、前記通孔に、前記操作棒の周方向に延びる1又は2以上の延長部分を形成し、前記移動体を回転させて、前記突出部を前記通孔の延長部分に移動させることにより、前記移動体の前記操作棒の軸方向に沿った移動を規制することを特徴としている(請求項3)。通孔の延長部分は、通孔の操作棒の軸方向に沿って延びる部分に対し操作棒の周方向の両方に延びる場合には、操作棒の周方向の一方に延びる延長部分と操作棒の周方向の他方に延びる延長部分とが互い違いになるように配置されていても良い。更に、通孔の延長部分の延長方向の先端には少なくとも操作棒の長手方向の把持機構側に拡張した拡張部分を有していても良い。
これにより、通孔の操作棒の軸方向に沿った部分に沿って突出部を移動させ、移動体の先端の可動把持部を固定把持部に近接させて行き、固定把持部と可動把持部とで被把持物を把持した状態で突出部を通孔の延長部分に移動させることにより、突出部は通孔の延長部分の操作棒の軸方向側に位置する縁部に接するので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体が操作棒の軸方向に移動するのを規制(ロック)することができる。そして、突出部を通孔の延長部分からの操作棒の軸方向に沿った部分に移動させることにより、突出部は操作棒の軸方向側における縁部との当接による規制(ロック)が解除されるので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体を操作棒の軸方向に移動させることが可能となる。
更にまた、この発明に係る把持工具では、前記移動体は、前記可動把持部が取り付けられる第1の部材と、前記突出部が設けられる第2の部材とで構成されると共に、前記第1の部材と前記第2の部材とは弾性体により連結されていることを特徴としている(請求項4)。弾性体は、例えば相対的に硬いコイルバネ等である。また、少なくとも移動体の第2の部材は絶縁素材で形成されている。また、第1の部材は、更に可動把持部側の部分と押しバネが連結された部分とで構成され、可動把持部側の部分とバネが連結された部分とは連結球部と連結球部受け入れ凹部とで連結されたものとしても良い。そして、第1の部材の弾性体が連結された部分も絶縁素材で形成されていても良い。
これにより、移動体の長手方向寸法は弾性体の伸縮により可変することができるため、可動把持部と固定把持部とで被把持物を把持した状態において、突起部を操作棒の軸方向に移動して弾性体を伸縮させて移動体の長手方向寸法を調整することで、突起部を操作部の通孔のうちの操作棒の軸方向に沿った部分と延長部分との分岐点に持って行くことができる。また、弾性体が圧縮コイルバネ等の押しバネにすると、移動体の第2の部材が固定された状態にある場合には、弾性体の押圧により移動体の第1の部材の端側に取り付けられた可動把持部が固定把持部側に付勢された状態とすることができる。これらにより、通孔の拡張部分を細かく分岐させなくても、拡張部分と突出部との多少の位置的なずれは弾性体の伸縮で吸収することができ、可動把持部が弾性体の押圧力により被把持物を固定把持部側に押すので、可動把持部と固定把持部とで被把持物を確実且つ強固に挟んで把持することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、移動体を操作棒の軸方向に沿って移動させることで、移動体の長手方向の一方端に取り付けられた可動把持部がヘッド部の固定把持部に対して遠近する方向に移動するので、操作棒を回転させなくても、固定把持部と可動把持部とで被把持物を挟んで把持し、且つ、その把持を解除することができる。よって、可動把持部を固定把持部に近接させる際にヘッド部が左右に揺動することがなくなり、高圧架線等の架設方向に対して斜めになるかたちで固定部と可動部とで高圧架線等を挟んで把持してしまうという不具合を防止することが可能となる。更に、移動体を操作棒の軸方向に沿って移動させるための操作部は、操作棒の長手方向の把持機構側とは反対側となる他方端側に有しているので、操作部の操作も作業員の手元で簡易に行うことが可能である。よって、間接活線作業全体の効率化、作業時間の短縮化を図ることができる。
特に請求項2に記載の発明によれば、作棒の通孔より操作棒の側面に現出した突出部の頭部を、把持機構側に押したり、把持機構とは反対側に引いたりすることによって、移動体ひいてはこの移動体に取り付けられた可動把持部を固定把持部に遠近させることができ、突出部は作業員が手で持って動かすことが可能となるので、可動把持部の動きを規制したり、その規制を解除したりするのに、他の間接活線工具を必要とせず、把持機構の操作がより簡易となるので、間接活線作業全体の効率化、作業時間の短縮化を更に図ることが可能となる。
特に請求項3に記載の発明によれば、通孔の操作棒の軸方向に沿った部分に沿って突出部を移動させ、移動体の先端の可動把持部を固定把持部に近接させて行き、固定把持部と可動把持部とで被把持物を把持した状態で突出部を通孔の延長部分に移動させることにより、突出部は通孔の延長部分の操作棒の軸方向側に位置する縁部に接するので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体が操作棒の軸方向に移動するのを規制することができる。そして、突出部を通孔の延長部分からの操作棒の軸方向に沿った部分に移動させることにより、突出部は操作棒の軸方向側における縁部との当接による規制が解除されるので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体を操作棒の軸方向に移動させることが可能となる。よって、作業員の手元における突出部を移動させる操作で、移動体の操作棒の軸方向に沿った移動を規制したり、その規制を解除したりすることができるので、間接活線作業全体の効率化、作業時間の短縮化をより一層図ることが可能となる。
特に請求項4に記載の発明によれば、移動体の長手方向寸法を弾性体の伸縮により可変させることができるため、可動把持部と固定把持部とで被把持物を把持した状態において、突起部を操作棒の軸方向に移動して弾性体を伸縮させて移動体の長手方向寸法を調整することで、突起部を操作部の通孔のうちの操作棒の軸方向に沿った部分と延長部分との分岐点に持って行くことが可能となる。また、弾性体を圧縮コイルバネ等の押しバネにすると、移動体の第2の部材が固定された状態にある場合には、弾性体の押圧により移動体の第1の部材の端側に取り付けられた可動把持部が固定把持部側に付勢された状態とすることが可能となる。よって、通孔の拡張部分を細かく分岐させなくても、拡張部分と突出部との多少の位置的なずれを弾性体の収縮で吸収することができ、弾性体の押圧力により可動把持部が被把持物を固定把持部側に押すようにすることができるので、可動把持部と固定把持部とで被把持物を確実且つ強固に挟んで把持することが可能となる。
図1は、この発明に係る把持工具の一例の全体構成を示す説明図である。 図2は、把持工具の移動体及びこの移動体の先端に取り付けられた可動把持部を説明しており、図2(a)は、移動体及び可動把持部の全体構成図、図2(b)は、移動体が回転可能となるように、可動把持部に移動体の頭部が遊嵌された状態を示す拡大断面図、図2(c)は、移動体の第1の部材の第1構成部材と第2構成部材とが連結球部と連結球部受入凹部とにより回転可能に連結された状態を示す拡大断面図である。 図3は、把持工具の操作棒に形成された通孔を説明しており、図3(a)は、円柱状の操作棒の側面に通孔が形成された状態を示す拡大図、図3(b)は図3(a)に示される通孔を平面状に展開した状態及び突出部の軌道を示す操作棒の一部の平面展開図である。 図4は、把持工具の可動把持部を固定把持部に近接させた後、可動把持部の移動を規制する態様を示すために、把持機構と操作棒の第2の部材とを90度ずらして示しており、図4(a)は、突出部が通孔の操作棒の軸方向に沿った部分のうち固定把持部とは反対側に位置する状態を示す第1の工程図であり、図4(b)は、図4(a)の位置の突出部を通孔の操作棒の軸方向に沿った部分において固定把持側に移動させた状態を示す第2の工程図であり、図4(c)は、図4(b)の位置の突出部を通孔の延長部分側に移動させて移動体の操作棒の軸方向に沿った移動を規制した状態を示す第3の工程図である。
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、この発明に係る把持工具の一例として、間接活線把持工具1の全体構成が示されている。この間接活線把持工具1は、間接活線作業で用いるのに好適なもので、円柱状の線状体たる被把持物2(図4では後述するように被把持物2の一例として高圧架線2aが示されている。)を把持することが可能となっている。
間接活線把持工具1の構成について図1を用いて説明すると、相対的に長尺の絶縁操作棒3と、この絶縁操作棒3の長手方向の一方端側(先端側)に設けられた把持機構4とで基本的に構成されている。
絶縁操作棒3は、絶縁素材から成る直線状の棒状体のもので、間接活線作業を行う作業者の感電防止を図るために、その長手方向の略中間部位において、傘状の安全限界つば31が設けられている。この安全限界つば31は、作業員が手で把持して良い部分とそれ以外の部分との境界を明確にするためのものである。また、絶縁操作棒3は、降雨時に絶縁操作棒を伝わってくる雨水対策として把持機構4に対し安全限界つば31よりも離れた位置(絶縁操作棒3の基端側)に傘状の水切りつば32が設けられている。そして、絶縁操作棒3の水切りつば32よりも基端側の部位は、作業者が手で握ることができるグリップ部33となっている。更に、絶縁操作棒3の基端には、他の間接活線工具と連結するための連結部34が設けられている。
把持機構4は、略C字形状を成すと共にその先端側部分が固定把持部42を構成しているヘッド部41と、固定把持部42とこの固定把持部42に対峙した位置にある基端側部位43との間に配置されて、固定把持部42に遠近する方向に移動可能な可動把持部45とを備えている。
固定把持部42は、ヘッド部41の一部を成すもので、図4にも示されるように、可動把持部45側に延びる先端部42aを有する略逆U字形状を成している。また、可動把持部45は、図2に示されるように、溝部45aが絶縁操作棒3の軸方向に沿って形成されており、この溝部45aは、ヘッド部41のうちの固定把持部42と基端側部位43とを結ぶ直線状部位44と係合可能な凹形状となっている。このように、可動把持部45は、溝部45aがヘッド部41の直線状部位44と係合した状態にあるので、後述する移動体6を軸心とした回転が規制されている。
ところで、把持機構4のヘッド部41と絶縁操作棒3の一方端側部位とは、一体化されているもので、絶縁操作棒3の軸方向に沿って直線状に延びる移動体収容空間5を有している。移動体収容空間5の長手方向の一方端は、絶縁操作棒3のグリップ部33の連結部34近傍まで達していると共に、移動体収容空間5の長手方向の他方端は、ヘッド部41の基端側部位43内を貫通して、基端側部位43の固定把持部42側の面に開口している。この移動体収容空間5の開口5aの形状は、この実施形態では後述する移動体6の断面形状に対応して円状となっている。
移動体収容空間5には、図2(a)に示される移動体6が収納されている。この移動体6は、絶縁操作棒3の軸方向に沿って直線状に延びる棒状体であり、この実施形態では、断面形状が円形の円柱状となっている。そして、移動体6の外径寸法は、移動体収容空間5の内径寸法より若干小さくなっており、移動体6は移動体収容空間5内を絶縁操作棒3の軸方向に沿って円滑に移動可能となっている。
移動体6の長手方向の一方端側部位は、図4に示されるように、ヘッド部41の基端側部位43の開口5aから固定把持部42側に向かって出没可能となっていると共にその端部には特に図2(a)に示されるように、前述した可動把持部45が取り付けられている。これにより、移動体6が絶縁操作棒3の軸方向に沿って移動することで、可動把持部45も固定把持部42に対して遠近する方向に移動することが可能となっている。
移動体6は、図2(a)に示されるように、可動把持部45が取り付けられた第1の部材61と、後述する操作部9の突出部91を有する第2の部材62と、これらの第1の部材61の長手方向側の端部と第2の部材62の長手方向側の端部とを連結し、且つ移動体6の軸方向に伸縮可能であるが相対的に硬い弾性体であるコイルバネ63とを有して構成されている。但し、弾性体は、コイルバネ63に必ずしも限定されず、移動体6の軸方向に伸縮可能であるが相対的に硬ければ良い。移動体6の第2の部材62は作業員の感電を防止するために絶縁性の素材で形成されている。
そして、移動体6の全部又は移動体6の少なくとも第2の部材62を、可動把持部45が不動の状態で回転可能とするための機構として、間接活線把持工具1は、この実施形態では、図2(b)に示される回転機構か、図2(c)に示される回転機構を有している。尚、図2(c)に示される回転機構は、図2(a)に示される移動体6には表れていない。
図2(b)に示される移動体6の回転機構は、可動把持部45に形成された孔部7と、移動体6の第1の部材61の端部(把持機構4側の端部)に設けられた頭部6aとで構成されている。移動体6の頭部6aは、第1の部材61の外径寸法よりも大きな外径寸法で若干の厚みを有する円板形状をなしている。可動把持部45の孔部7は、移動体6の第1の部材61の外径寸法より若干大きく頭部6aの外径寸法より小さな内径寸法を有し、外部に連通した小径孔部71と、この小径孔部71よりも奥側に位置しており、移動体6の頭部6aの外径寸法より若干大きな大径孔部72とで成っている。これにより、移動体6の頭部6aが、可動把持部45の孔部7の大径孔部72内に収まったときに、移動体6は双方向に自身の軸線を中心として回転可能となっている。
図2(c)に示される移動体6の回転機構は、第1の部材61が更に可動把持部45側に位置する第1構成部材611と、第2の部材62側に位置する第2構成部材612とで成り、第1構成部材611は、可動把持部45とは反対側端に連結球部81が設けられ、第2構成部材612は、コイルバネ63とは反対側端に連結球部81が相対的に緩く嵌合される連結球部受入凹部82が形成されたものとなっている。これにより、第1構成部材611の連結球部81が第2構成部材612の連結球部受入凹部82内に収まったときに、移動体6の第2構成部材612及び第2の部材62は、自身の軸線を中心として双方向に回転することができる。尚、図2(c)に示される移動体6の回転機構を用いる場合には、移動体6と可動把持部45とを一体化して、移動体6の第1構成部材611の方が回転してしまわないようになっている。
更に、間接活線把持工具1は、移動体6を絶縁操作棒3の軸方向に沿って移動可能とするために、絶縁操作棒3のグリップ部33において、特に図3及び図4に示されるように、操作部9を有している。
操作部9は、移動体6の第2の部材62の側面から突出した突出部91と、絶縁操作棒3のグリップ部33の側面に形成された通孔92とを備えている。
突出部91は、この実施例では、図2(a)に示されるように、通孔92の後述する絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921の横幅よりも大きな外径寸法を有する円板状の頭部911と、この頭部911から延び、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921の横幅よりも若干小さな外径寸法を有する軸部912とで構成されている。更に、この実施形態では、図2(a)に示されるように、移動体6の第2の部材62の側面に螺子孔621が形成されていると共に、突出部91の軸部912の先端側に螺子部分が形成されており、これにより、突出部91の軸部912を移動体6の第2の部材62の螺子孔621に螺合することができるようになっている。よって、例えば、突出部91を有しない移動体6をヘッド部41の基端側部位43の開口5aから挿入した後、通孔92側から突出部91を差し込んで移動体6に取り付けることが可能となる。尚、突出部91の頭部911は、移動体6に取り付けられた場合に、図1に示されるように、絶縁操作棒3の通孔92の開口よりも外側に突出した位置にあって、手の指等で摘まみやすくなっている。
通孔92は、絶縁操作棒3のグリップ部33の側面において、例えば固定把持部42の先端部42aとは反対側に設けられているもので、絶縁操作棒3の移動体収容空間5と連通している。そして、通孔92は、図3に示されるように、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921と、この絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921から絶縁操作棒3の周方向に延びた複数の延長部分922aから922gとを有している。
通孔92の絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921は、連結部34側(可動把持部45側とは反対側)の端の位置A1について、この絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921の連結部34側の端の位置A1に突出部91の軸部912があるときに、可動把持部45が固定把持部42から最も離れるように設定され、水切りつば32側(可動把持部45側)の端の位置A8について、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921の水切りつば32側の端の位置A8に突出部91の軸部912があるときに、可動把持部45が固定把持部42に最も近接するように設定されている。
通孔92の延長部分922aから922gは、この実施形態では、図3(a)及び(b)に示されるように、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921から互い違いになるように延びている。すなわち、延長部分922aは、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA2の位置から図上の右側に延び、延長部分922bは、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA3の位置から図上の左側に延び、延長部分922cは、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA4の位置から図上の右側に延び、延長部分922dは、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA5の位置から図上の左側に延び、延長部分922eは、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA6の位置から図上の右側に延び、延長部分922fは、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA7の位置から図上の左側に延びると共に、延長部分922gは、絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA8の位置から図上の右側に延びている。
そして、通孔92の縁操作棒の軸方向に沿った部分921から延長部分922bへの分岐点であるA2からA8の配置は、固定把持部42と可動把持部45とで把持される被把持物2として考えられる複数の対象称物の直径寸法等を考慮して定められている。すなわち、突出部91の軸部912が絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA2の位置にある場合には、被把持物2のうちのある対象物を固定把持部42と可動把持部45とで把持することができ、突出部91の軸部912が絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA3の位置にある場合には、被把持物2のうち前記したのと異なる対象物を固定把持部42と可動把持部45とで把持することができ、突出部91の軸部912が絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA4の位置にある場合には、被把持物2のうちの前記した2つと異なる対象物を固定把持部42と可動把持部45とで把持することができるようになっている。これらは、突出部91の軸部912が絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA5乃至A8の位置にある場合も同様である。
通孔92の延長部分922aから922gは、この実施形態では、図3(b)に示されるように、突出部91の軸部912の外径寸法より大きく、突出部91の頭部911の外径寸法よりも小さな円状部位を当該延長部分922aから922gの延長方向側端に有している。これにより、突出部91の軸部912が延長部分922の円状部位のB1からB7のいずれかの位置に移動した場合には、可動把持部45に絶縁操作棒3の軸方向の力が加わっても、突出部91の軸部912は、延長部分922aから922gの円状部位の周縁に当接して、それ以上の絶縁操作棒3の軸方向への移動が規制(ロック)されるので、被把持物2が外れるほどに、可動把持部45が固定把持部42から離れないようになっている。
上記構成の間接活線把持工具1を用いて、被把持物2のうちの高圧架線2aを把持するための工程について、図4を用いて以下に説明する。
まず、図4(a)に示されるように、突出部91の軸部912を通孔92の絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA1の位置(図3(b)に示す。)に移動させて、可動把持部45を固定把持部42から最も離れた位置にして、固定把持部42の先端部42aと可動把持部45との間を拡げた後、ヘッド部41を動かして固定把持部42を高圧架線2aに引き掛け、固定把持部42の可動把持部45側の逆U字状の曲面が上側から高圧架線2aの側面に当接した状態とする。
つぎに、突出部91の頭部911を持つ等して、図3(b)のA1の位置から把持機構4側に向けて、突出部91を絶縁操作棒3の軸方向に沿って移動させる。これにより、突出部91と連結された移動体6も、把持機構4側に向けて回転することなくスライド移動するので、移動体6の長手方向側の端に取り付けられた可動把持部45も固定把持部42に近接していくかたちで移動し、可動把持部45は、図4(b)に示されるように、高圧架線2aに当接する。このとき、移動体6の第1の部材61と第2の部材62とを連結するコイルバネ63は相対的に硬いものとなっているため、コイルバネ63は殆ど収縮しないので、突出部91の移動量とほぼ同じ移動量にて、可動把持部45を固定把持部42に近接させることができることから、可動把持部45の移動量ひいては可動把持部45の固定把持部42への近接状態を正確に認識しやすくなっている。
そして、可動把持部45が高圧架線2aに当接したときに、突出部91の軸部912が通孔92の絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA4の位置に丁度ある場合には、突出部91の頭部911を持つ等して、図4(c)に示されるように、突出部91の軸部912を、延長部分922cのB3として示される円状部分の位置まで移動させる。
一方で、可動把持部45が高圧架線2aに当接したときに、突出部91の軸部912が通孔92の絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA4の位置よりずれている場合には、突出部91の頭部911を持つ等して、突出部91を最も近接した位置まで押し下げ、或いは押し上げる動作を行う。これにより、移動体6は移動しないが、移動体6を構成するコイルバネ63が伸長し、或いは収縮して、突出部91は、通孔92の絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA4の位置に成るので、突出部91の軸部912を、図4(c)に示されるように、延長部分922cのB3として示される円状部分の位置まで移動させることができるようになる。
図4(c)に示されるように、突出部91の軸部912が、延長部分922cのB3として示される円状部分の位置にある場合には、可動把持部45に対し絶縁操作棒3の軸方向への力が加わり、その力が移動体6に伝達されても、移動体6と連結された突出部91の軸部912は、通孔92の延長部分922の円状部位内にあるため、突出部91の軸部912は、延長部分922cの円状部位の周縁に当接して、それ以上の絶縁操作棒3の軸方向への移動が規制(ロック)されるので、高圧架線2aから外れるほどに、可動把持部45が固定把持部42から離れてしなうことが防止される。
しかも、移動体6を構成するコイルバネ63が圧縮コイルバネである場合には、突出部91の軸部912が、延長部分922cのB3として示される円状部分の位置にある状態でも、移動体6の第2の部材62は固定されていることから、コイルバネ63は第1の部材61ひいては可動把持部45を固定把持部42に押し続けるので、固定把持部42と可動把持部45とで高圧架線2aを確実且つ強固に挟んで把持することができる。
そして、突出部91の頭部911等を手で持つ等して、突出部91の軸部912を通孔92の延長部分922から絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921に移動させることにより、突出部91の軸部912に対する絶縁操作棒3の軸方向への移動の規制(ロック)が解除される。よって、移動体6ひいては可動把持部45の絶縁操作棒3の軸方向への移動の規制とかかる規制の解除との双方を操作部9の突出部91の頭部911等を持って行うことができる。
尚、被把持物2が高圧架線2aであって、高圧架線2aを固定把持部42と可動把持部45とで把持した際に、突出部91の軸部912が通孔92の絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA4の位置になった場合で説明してきたが、他の被把持物2を固定把持部42と可動把持部45とで把持した際に、突出部91の軸部912が通孔92の絶縁操作棒の軸方向に沿った部分921のA2、A3、A5からA8の位置になった場合も同様に機能する。
1 間接活線把持工具(把持工具)
2 被把持物
2a 高圧架線
3 絶縁操作棒(操作棒)
4 把持機構
41 ヘッド部
42 固定把持部
43 基端側部位
45 可動把持部
5 移動体収容空間(収容空間)
6 移動体
6a 頭部
61 第1の部材
62 第2の部材
63 コイルバネ(弾性体)
7 孔部
71 小径孔部
72 大径孔部
81 連結球部
82 連結球部受入凹部
9 操作部
91 突出部
911 頭部
912 軸部
92 通孔
921 通孔の絶縁操作棒の軸線に沿った部分
922a〜922g 通孔の延長部分
この発明に係る把持工具は、棒状の操作棒と、固定把持部が先端側に形成されたヘッド部及び前記固定把持部に遠近して被把持物を前記固定把持部とで把持する可動把持部を有する把持機構とを備える把持工具において、前記操作棒と前記把持機構のヘッド部とが一体化され、前記操作棒と前記ヘッド部の基端側の部位とは前記操作棒の軸方向に沿って延びる一連の収容空間を有し、前記収容空間は前記ヘッド部の基端側の部位に開口し、 前記収容空間には棒状の移動体が前記操作棒の軸方向に沿って移動可能に収容され、前記移動体の長手方向の一方端側の部位は前記ヘッド部の基端側部位の開口から前記固定把持部に向けて出没可能になっており、前記移動体の長手方向の一方端に前記可動把持部が取り付けられ、前記操作棒の長手方向のうち前記把持機構とは反対側に前記移動体を前記操作棒の軸方向に沿って移動させるための操作部を有し、前記操作部は、少なくとも前記操作棒の側面を当該操作棒の軸方向に沿って延びると共に前記収容空間と連通した通孔と、前記移動体の側面より突出させて、前記操作棒の通孔から前記操作棒の側面に頭部を現出させた突出部とを有し、更に、前記移動体と前記可動把持部とを前記移動体が自身の軸線を中心として回転可能に取り付け、前記通孔に、前記操作棒の周方向に延びる1又は2以上の延長部分を形成し、前記移動体を回転させて、前記突出部を前記通孔の延長部分に移動させることにより、前記移動体の前記操作棒の軸方向に沿った移動を規制することを特徴としている。ここで、操作棒は、例えば絶縁素材で形成されている。被把持物は、間接活線把持工具として用いられる場合には、例えば高圧架線、その他の活線状態の電線等が該当する。移動体は、少なくとも操作部を有する側にあっては絶縁素材で形成されている。突出部の頭部は、操作棒の通孔を通過する部位よりも径方向寸法が大きくても良い。突出部は、移動体と別体をなし、移動体に取り付けられるものであっても良い。通孔の延長部分は、通孔の操作棒の軸方向に沿って延びる部分に対し操作棒の周方向の両方に延びる場合には、操作棒の周方向の一方に延びる延長部分と操作棒の周方向の他方に延びる延長部分とが互い違いになるように配置されていても良い。通孔の延長部分の延長方向の先端には、少なくとも操作棒の長手方向の把持機構側に拡張した拡張部分を有していても良い。
更に、操作棒の通孔より操作棒の側面に現出した突出部の頭部を、把持機構側に押したり、把持機構とは反対側に引いたりすることによって、移動体ひいてはこの移動体に取り付けられた可動把持部を固定把持部に遠近させることができるので、作業員が、手で突出部を持って動かす動作を行うことが可能となる。
更にまた、通孔の操作棒の軸方向に沿った部分に沿って突出部を移動させ、移動体の先端の可動把持部を固定把持部に近接させて行き、固定把持部と可動把持部とで被把持物を把持した状態で突出部を通孔の延長部分に移動させることにより、突出部は通孔の延長部分の操作棒の軸方向側に位置する縁部に接するので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体が操作棒の軸方向に移動するのを規制(ロック)することができる。
そして、突出部を通孔の延長部分からの操作棒の軸方向に沿った部分に移動させることにより、突出部は操作棒の軸方向側における縁部との当接による規制(ロック)が解除されるので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体を操作棒の軸方向に移動させることが可能となる。
この発明に係る把持工具では、前記移動体は、前記可動把持部が取り付けられる第1の部材と、前記突出部が設けられる第2の部材とで構成されると共に、前記第1の部材と前記第2の部材とは弾性体により連結されていることを特徴としている(請求項2)。弾性体は、例えば相対的に硬いコイルバネ等である。また、少なくとも移動体の第2の部材は絶縁素材で形成されている。また、第1の部材は、更に可動把持部側の部分と押しバネが連結された部分とで構成され、可動把持部側の部分とバネが連結された部分とは連結球部と連結球部受け入れ凹部とで連結されたものとしても良い。そして、第1の部材の弾性体が連結された部分も絶縁素材で形成されていても良い。
これにより、移動体の長手方向寸法は弾性体の伸縮により可変することができるため、可動把持部と固定把持部とで被把持物を把持した状態において、突起部を操作棒の軸方向に移動して弾性体を伸縮させて移動体の長手方向寸法を調整することで、突起部を操作部の通孔のうちの操作棒の軸方向に沿った部分と延長部分との分岐点に持って行くことができる。
また、弾性体が圧縮コイルバネ等の押しバネにすると、移動体の第2の部材が固定された状態にある場合には、弾性体の押圧により移動体の第1の部材の端側に取り付けられた可動把持部が固定把持部側に付勢された状態とすることができる。これらにより、通孔の拡張部分を細かく分岐させなくても、拡張部分と突出部との多少の位置的なずれは弾性体の伸縮で吸収することができ、可動把持部が弾性体の押圧力により被把持物を固定把持部側に押すので、可動把持部と固定把持部とで被把持物を確実且つ強固に挟んで把持することが可能となる。
またこの発明によれば、操作棒の通孔より操作棒の側面に現出した突出部の頭部を、把持機構側に押したり、把持機構とは反対側に引いたりすることによって、移動体ひいてはこの移動体に取り付けられた可動把持部を固定把持部に遠近させることができ、突出部は作業員が手で持って動かすことが可能となるので、可動把持部の動きを規制したり、その規制を解除したりするのに、他の間接活線工具を必要とせず、把持機構の操作がより簡易となるので、間接活線作業全体の効率化、作業時間の短縮化を更に図ることが可能となる。
更にこの発明によれば、通孔の操作棒の軸方向に沿った部分に沿って突出部を移動させ、移動体の先端の可動把持部を固定把持部に近接させて行き、固定把持部と可動把持部とで被把持物を把持した状態で突出部を通孔の延長部分に移動させることにより、突出部は通孔の延長部分の操作棒の軸方向側に位置する縁部に接するので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体が操作棒の軸方向に移動するのを規制することができる。そして、突出部を通孔の延長部分からの操作棒の軸方向に沿った部分に移動させることにより、突出部は操作棒の軸方向側における縁部との当接による規制が解除されるので、突出部ひいては可動把持部を有する移動体を操作棒の軸方向に移動させることが可能となる。よって、作業員の手元における突出部を移動させる操作で、移動体の操作棒の軸方向に沿った移動を規制したり、その規制を解除したりすることができるので、間接活線作業全体の効率化、作業時間の短縮化をより一層図ることが可能となる。
特に請求項2に記載の発明によれば、移動体の長手方向寸法を弾性体の伸縮により可変させることができるため、可動把持部と固定把持部とで被把持物を把持した状態において、突起部を操作棒の軸方向に移動して弾性体を伸縮させて移動体の長手方向寸法を調整することで、突起部を操作部の通孔のうちの操作棒の軸方向に沿った部分と延長部分との分岐点に持って行くことが可能となる。また、弾性体を圧縮コイルバネ等の押しバネにすると、移動体の第2の部材が固定された状態にある場合には、弾性体の押圧により移動体の第1の部材の端側に取り付けられた可動把持部が固定把持部側に付勢された状態とすることが可能となる。よって、通孔の拡張部分を細かく分岐させなくても、拡張部分と突出部との多少の位置的なずれを弾性体の収縮で吸収することができ、弾性体の押圧力により可動把持部が被把持物を固定把持部側に押すようにすることができるので、可動把持部と固定把持部とで被把持物を確実且つ強固に挟んで把持することが可能となる。

Claims (4)

  1. 棒状の操作棒と、
    固定把持部が先端側に形成されたヘッド部及び前記固定把持部に遠近して被把持物を前記固定把持部とで把持する可動把持部を有する把持機構と
    を備える把持工具において、
    前記操作棒と前記把持機構のヘッド部とが一体化され、
    前記操作棒と前記ヘッド部の基端側の部位とは前記操作棒の軸方向に沿って延びる一連の収容空間を有し、前記収容空間は前記ヘッド部の基端側の部位に開口し、
    前記収容空間には棒状の移動体が前記操作棒の軸方向に沿って移動可能に収容され、前記移動体の長手方向の一方端側の部位は前記ヘッド部の基端側部位の開口から前記固定把持部に向けて出没可能になっており、
    前記移動体の長手方向の一方端に前記可動把持部が取り付けられ、
    前記操作棒の長手方向のうち前記把持機構とは反対側に前記移動体を前記操作棒の軸方向に沿って移動させるための操作部を有する
    ことを特徴とする把持工具。
  2. 前記操作部は、
    少なくとも前記操作棒の側面を当該操作棒の軸方向に沿って延びると共に前記収容空間と連通した通孔と、
    前記移動体の側面より突出させて、前記操作棒の通孔から前記操作棒の側面に頭部を現出させた突出部と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の把持工具。
  3. 前記移動体と前記可動把持部とを前記移動体が自身の軸線を中心として回転可能に取り付け、
    前記通孔に、前記操作棒の周方向に延びる1又は2以上の延長部分を形成し、
    前記移動体を回転させて、前記突出部を前記通孔の延長部分に移動させることにより、前記移動体の前記操作棒の軸方向に沿った移動を規制することを特徴とする請求項2に記載の把持工具。
  4. 前記移動体は、前記可動把持部が取り付けられる第1の部材と、前記突出部が設けられる第2の部材とで構成されると共に、前記第1の部材と前記第2の部材とは弾性体により連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の把持工具。
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