JP2014084548A - 不織布およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】捕集性、絶縁性(耐短絡性)、吸液浸透性、保液性、吸着性、吸音性、払拭性、断熱性、遮熱性、防炎性などに優れ、電池やキャパシタのセパレータや燃料電池用の膜材、吸音材、断熱材、防炎材、遮熱材、防護衣料、吸着材、透湿防水シート、壁紙、障子、クリーナー、液体または気体フィルターなどの幅広い用途に好適に用いることができる不織布およびその製造方法を提供する。
【解決手段】複数本の連続する繊維を含む不織布であって、該複数本の連続する繊維は、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上の繊維はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有し、該不織布は、平均見掛け密度が0.05〜2.0g/cm3、平均空隙径が0.1〜10μm、最大空隙径が50μm以下であることを特徴とする不織布とする。
また、不織布を製造する方法であって、(1)ポリマー溶液を、細径を有する複数の吐出孔より吐出し、(2)吐出孔の外側から噴出した気流を作用させて、該吐出したポリマー溶液を伸張または細径化させた後、(3)圧縮空気により、水/アミド系極性溶媒(重量比)が100/0〜85/5からなり、温度が10℃以上の凝固液を噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化して、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有する、複数本の連続する繊維とし、(4)該繊維を捕集して不織布とする。
【選択図】なし
【解決手段】複数本の連続する繊維を含む不織布であって、該複数本の連続する繊維は、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上の繊維はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有し、該不織布は、平均見掛け密度が0.05〜2.0g/cm3、平均空隙径が0.1〜10μm、最大空隙径が50μm以下であることを特徴とする不織布とする。
また、不織布を製造する方法であって、(1)ポリマー溶液を、細径を有する複数の吐出孔より吐出し、(2)吐出孔の外側から噴出した気流を作用させて、該吐出したポリマー溶液を伸張または細径化させた後、(3)圧縮空気により、水/アミド系極性溶媒(重量比)が100/0〜85/5からなり、温度が10℃以上の凝固液を噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化して、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有する、複数本の連続する繊維とし、(4)該繊維を捕集して不織布とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、複数本の連続する繊維を含む不織布およびその製造方法に関し、さらに詳細には、該繊維に比較的繊維径が大きくかつ複数の孔を有する繊維が含まれ、捕集性、吸液浸透性、保液性、吸着性、吸音性、断熱性、遮熱性、防炎性などの性能に優れた不織布およびその製造方法に関するものである。
繊維の製造方法としては、一般にメルトブロー法、海島型混合紡糸法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピニング法、爆裂紡糸法などが知られている。
メルトブロー法、海島型混合紡糸法は、溶融紡糸が可能なポリマーに対して適応される方法である。
メルトブロー法、海島型混合紡糸法は、溶融紡糸が可能なポリマーに対して適応される方法である。
また、フラッシュ紡糸法は、ポリマー溶液に対して適応される方法であり、高密度ポリエチレンやポリプロピレンと低沸点の溶剤(塩化フッ化炭化水素など)の混合溶液を紡糸孔から吐出する前に相分離させてから吐出するもので、低沸点の溶剤は急激にガス化膨張し、ポリマーは延伸されながら固化し、フィブリル化した極細の繊維からなる網状の連続繊維となり、これを拡げて集積しウェブを形成する方法である。ただし、この紡糸法が適用されるポリマーの種類は限られている。
エレクトロスピニング法は、ポリマー溶液の紡糸が可能であり、アラミドポリマー等にも適用されている(特許文献1〜2)が、一般にその生産性はメルトブロー法等に比べて低い。
これらの方法以外に、爆裂紡糸技術によるポリマー溶液からの糸の製造方法が知られている(特許文献3)。これは、ラバル管によって高速に加速された気流によって促進されるポリマー溶液の爆裂によって紡糸を行う方法であり、その生産性はエレクトロスピニング法に比べて一般に高い。
これらの方法以外に、爆裂紡糸技術によるポリマー溶液からの糸の製造方法が知られている(特許文献3)。これは、ラバル管によって高速に加速された気流によって促進されるポリマー溶液の爆裂によって紡糸を行う方法であり、その生産性はエレクトロスピニング法に比べて一般に高い。
また、熱可塑性ポリマーをポリマー吐出孔から吐出させ、その吐出孔の外周から溶融したポリマーと並行に空気を随伴させ、さらに、ノズル端面から離れたエアスロットから噴射した高速の冷空気を吐出後のポリマーに作用させることによって、ポリマーを細径化させる装置が示されている(特許文献4)。
しかし、こうして得られた不織布は、一部繊維径の大きい繊維を含むため、繊維径のバラツキが小さく均質なものに比べると、断熱性や保温性、吸音性を活かした用途では性能が劣るという問題がある。
しかし、こうして得られた不織布は、一部繊維径の大きい繊維を含むため、繊維径のバラツキが小さく均質なものに比べると、断熱性や保温性、吸音性を活かした用途では性能が劣るという問題がある。
その他、不織布として持つ繊維の表面積が小さくなってしまうので、フィルターや吸着材として使用した場合は、接触面積や吸着面積が小さいために、フィルター性能や吸着能力が低かったり、こうした不織布を蓄電デバイスのセパレーターや膜材として使用する際は、構成する繊維間を電解液や電解質ポリマーの保持空間として利用するので、電解液保持能力を向上させようとして不織布の空隙率を上げると不織布中の孔径が大きくなってしまい、電極絶縁性が低下する問題がある。
本発明の目的は、上記問題点に鑑みなされたもので、捕集性、絶縁性(耐短絡性)、吸液浸透性、保液性、吸着性、吸音性、払拭性、断熱性、遮熱性、防炎性などに優れ、電池やキャパシタのセパレータや燃料電池用の膜材、吸音材、断熱材、防炎材、遮熱材、防護衣料、吸着材、透湿防水シート、壁紙、障子、クリーナー、液体または気体フィルターなどの幅広い用途に好適に用いることができる不織布およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、ポリマー溶液を、細径を有する吐出孔より吐出し、伸張または細径化させ、固化させて、繊維からなる不織布とする際、該固化を行う工程で特定の方法を採用したとき、多孔を有する繊維からなる不織布が得られ、さらに該不織布を、フィルターや、電池、キャパシタ用のセパレータなどに用いたとき、優れた性能を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、複数本の連続する繊維を含む不織布であって、該複数本の連続する繊維は、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上の繊維はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有し、該不織布は、平均見掛け密度が0.05〜2.0g/cm3、平均空隙径が0.1〜10μm、最大空隙径が50μm以下であることを特徴とする不織布が提供される。
また、不織布を製造する方法であって、
(1)ポリマー溶液を、細径を有する複数の吐出孔より吐出し、
(2)吐出孔の外側から噴出した気流を作用させて、該吐出したポリマー溶液を伸張または細径化させた後、
(3)圧縮空気により、水/アミド系極性溶媒(重量比)が100/0〜85/5からなり、温度が10℃以上の凝固液を噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化して、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有する、複数本の連続する繊維とし、
(4)該繊維を捕集して不織布とすることを特徴とする不織布の製造方法が提供される。
(1)ポリマー溶液を、細径を有する複数の吐出孔より吐出し、
(2)吐出孔の外側から噴出した気流を作用させて、該吐出したポリマー溶液を伸張または細径化させた後、
(3)圧縮空気により、水/アミド系極性溶媒(重量比)が100/0〜85/5からなり、温度が10℃以上の凝固液を噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化して、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有する、複数本の連続する繊維とし、
(4)該繊維を捕集して不織布とすることを特徴とする不織布の製造方法が提供される。
本発明の不織布は、平均繊維径と同程度かそれより太い繊維を含むことで、不織布内に適度な空間を形成し、さらに該繊維が表面に多孔を有することによって、フィルターの場合は圧力損失を低く抑えながら捕集効率をより高めたり、蓄電デバイスのセパレータの場合は、短絡を抑制しながら電解液の浸透性、保液性をより高めたりすることができる。また、吸音材、断熱材、防炎材、遮熱材、防護衣料、吸着材、透湿防水シート、壁紙、障子、クリーナー等の場合においても、適度が空間を維持しつつ、繊維を極細化することと、さらに空間を形成する太い繊維を多孔化することの両方の効果によって高い総表面積を実現することにより、従来の不織布よりも、吸音性、断熱性、防炎性、遮熱性、吸着性、透湿防水性などを向上させることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の不織布は、複数本の連続する繊維を含む不織布であって、該複数本の連続する繊維は、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上の繊維はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有し、該不織布は、平均見掛け密度が0.05〜2.0g/cm3、平均空隙径が0.1〜10μm、最大空隙径が50μm以下であることを特徴とし、これにより、均質な構造となり、フィルターや吸着材、電池、キャパシタ用のセパレータなどとして、優れた性能を発揮することができる。次に、各要件について詳述する。
本発明に用いる繊維の平均繊維直径は0.1〜5μmである。平均繊維直径が5μmより大きいと、不織布中の繊維構成本数が減少して、不織布の密度が減少するばかりでなく、不織布中に含まれる空間が大きくなり、フィルターとした場合は微細なダストを捕集できず捕集効率が低くなり、セパレータとした場合は薄くしかつ短絡防止性も向上させることが難しくなる。一方、平均繊維直径が0.1μmより小さいと、得られる強力が著しく低下し物理的な衝撃で破損し易くなる。平均繊維直径は、好ましくは0.3〜4μm、より好ましくは0.4〜3μmである。
なお、本発明の不織布を構成する連続繊維の平均繊維直径は、不織布表面の電子顕微鏡写真で確認することのできる繊維の直径を意味し、任意に100本の繊維を選びその巾を計測して平均することにより平均繊維直径を求めることができる。
なお、本発明の不織布を構成する連続繊維の平均繊維直径は、不織布表面の電子顕微鏡写真で確認することのできる繊維の直径を意味し、任意に100本の繊維を選びその巾を計測して平均することにより平均繊維直径を求めることができる。
本発明の不織布の平均見掛け密度は0.05〜2.0g/cm3である。不織布の見掛け密度が0.05g/cm3未満であると、フィルターの場合、ダストの捕集効率が低下し、セパレータの場合、引張強度が小さく、製造工程でセパレータの破断が起きるため好ましくない。また、外圧がかかった時に、厚みの低下し易い傾向にあり、取扱い性が悪い。一方、不織布の見掛け密度が2.0g/cm3を越えると、フィルターの場合、圧力損失が大きくなるため、目詰まりが早くなり、フィルターの寿命性能が短くなり、セパレータの場合、短絡が起こり易く、好ましくない。また、所望の厚みを得るのに、繊維集積量を多くする必要があり、不経済である。不織布の平均見かけ密度は、好ましくは、0.075〜1.5g/cm3、より好ましくは、0.1〜1.0g/cm3である。
本発明の不織布の平均空隙径は0.1〜10μm、最大空隙径は50μm以下である。平均空隙径が10μmより大きいか、または、最大空隙径が50μmより大きいと、フィルターの場合、微細なダストに対する捕集性能が劣り、セパレータの場合、短絡が起こり易く、好ましくない。一方、平均空隙径が0.1μm未満になると、フィルターの場合、圧力損失が大きくなるため、目詰まりが早く、フィルターの寿命性能が短くなり、セパレータの場合、電解液の吸液速度や保液性が低下し、好ましくない。不織布の平均空隙径は、好ましくは0.75〜7.5μm、より好ましくは1〜5μmであり、不織布の最大空隙径は、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
本発明の不織布においては、該複数本の連続する繊維が、繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上の繊維はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有していることが肝要である。これにより、捕集効率、絶縁性(耐短絡性)、吸液浸透性、保液性、吸着性、吸音性、払拭性、断熱性、遮熱性、防炎性などに優れ、電池やキャパシタのセパレータや燃料電池用の膜材、吸音材、断熱材、防炎材、遮熱材、防護衣料、吸着材、透湿防水シート、壁紙、障子、クリーナー、液体または気体フィルターなどの幅広い用途に用い、優れた性能を発揮する。
すなわち、本発明の不織布は、これを構成する複数本の連続する繊維の中に、該繊維の平均繊維径と同程度かそれより太い繊維直径が5μm以上の繊維を含むことで、不織布内に適度な空間を形成し、前記の見掛け密度、平均空隙径、最大空隙径を容易に実現できるが、一方で太い繊維を含むことで細い繊維のみからなる不織布対比、繊維表面積が低下することになる。これに対し、本発明は、上記の繊維直径が5μm以上の繊維の表面を多孔化することによって、フィルターの場合は圧力損失を低く抑えながら捕集効率をより高めたり、レパレータの場合は、短絡を抑制しながら電解液の浸透性、保液性をより高めたりすることができることを見出したものである。また、吸音材、断熱材、防炎材、遮熱材、防護衣料、吸着材、透湿防水シート、壁紙、障子、クリーナー等の場合においても、適度が空間を維持しつつ、繊維を極細化することと、さらに空間を形成する太い繊維を多孔化することの両方により高い総表面積を実現することにより、従来の繊維からなる不織布よりも、吸音性、断熱性、防炎性、遮熱性、吸着性、透湿防水性などを向上させる効果があることがわかった。
本発明においては、不織布に含まれる比較的太い繊維の繊維直径は、5μm以上、好ましくは5〜50μm、より好ましくは7〜40μm、さらに好ましくは10〜30μmが好ましい。繊維直径が5μm未満では、繊維のみからなる不織布と同様になり十分な空隙が得にくくなり、繊維表面に前記効果が得られる十分な大きさの孔を形成できない。一方、繊維直径があまり大きすぎても、前記の見掛け密度、平均空隙径、最大空隙径を達成することや、多孔化によっても繊維表面積を向上させるのが難しくなる傾向にあり、上記範囲とするのが好ましい。
上記のように不織布に十分な空隙と十分な繊維表面積を同時に確保するため、本発明においては、繊維直径が5μm以上の繊維について、以下の構成を満たすことが好ましい。
すなわち、不織布の表面において、一辺が300μmの正方形中に上記の繊維直径が5μm以上の繊維が10本以上存在することが好ましい。
すなわち、不織布の表面において、一辺が300μmの正方形中に上記の繊維直径が5μm以上の繊維が10本以上存在することが好ましい。
また、本発明においては、上記の繊維直径が5μm以上の繊維はその表面に繊維直径の1万分の1以上の複数の孔を有するが、その孔数は、電子顕微鏡で繊維表面を拡大し繊維の幅と長さが1:1となる範囲を観察したとき、好ましくは10個上、より好ましくは20個以上、さらに好ましくは30個以上である。または、好ましくは繊維直径の8000分の1以上の孔を10個以上、より好ましくは繊維直径の6000分の1以上の孔を10個以上有することが望ましい。ここで、孔の大きさとは、孔の最も長い部分、例えば孔が楕円形のような場合はその長径をいう。
さらに、上記の繊維直径が5μm以上の繊維の表面に存在する孔の平均孔径は、好ましくは繊維直径の1万分の1〜10分の1、より好ましくは繊維直径の8000分の1〜50分の1、さらに好ましくは6000分の1〜100分の1である。
本発明の不織布においては、繊維直径が50μm以上の繊維太径部および内接円直径が50μm以上の塊部(以下、繊維太径部・塊部と称することがある)の合計面積が不織布総面積に対し10%以下であることが好ましい(以下、かかる面積比率を繊維太径部・塊部の割合を繊維太径部・塊部量と称することがある)。繊維太径部・塊部量が10%を超えると、目的とする緻密な構造とできないばかりか、上記の平均見掛け密度や、平均空隙径、最大空隙径が得られ難くなる。繊維太径部・塊部量は、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下である。
本発明の不織布の目付ならびに厚みは、特に限定されるものではないが、目付は1g/m2以上、厚みは2μm以上であることが好ましい。目付が1g/m2より小さく、厚みが2μmより小さいと、不織布に含まれる空間が小さく、前述した所望の平均見掛け密度や平均空隙径が得られにくくなる傾向にある。なお、セパレータの場合は、目付が1g/m2以上、厚みは2μm以上であることが好ましい。フィルターの場合は、捕集性能の面から、目付は5g/m2以上、厚みは10μm以上であることがより好ましい。
本発明においては、上記不織布をセパレータに用いることによって、従来リチウムイオン二次電池用セパレータとして利用されているポリオレフィン微多孔膜に比べて通気性が高く、したがってイオン伝導度が高くなり、低抵抗性のセパレータとなる。すなわち、出力密度、エネルギー密度の高い、ハイレート放電に適するリチウムイオン二次電池、あるいは従来よりも低抵抗あるいは低背化した電気二重層キャパシタ等を作製することができる。また、電解液保液性が高くなり、電解液含浸時間短縮による工程時間が短縮できる。さらに、電解液のドライアップ速度低減によるデバイスのサイクル特性向上、耐久性向上、安全性向上が期待できる。
また、上記不織布を吸着材や断熱材、防護衣料や壁紙、障子紙に用いた場合、多孔を有する繊維を含むことにより、類似の方法で製造した不織布に比べ、繊維表面積の増大による吸着性能向上や多孔に含まれる空気の存在で断熱性能を向上させることができる。
本発明においては、繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、脂肪族ポリエステル繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、塩化ビニル繊維、ポリケトン繊維、セルロース繊維、パルプ繊維等の有機繊維等を挙げることができ、これらの一種を、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、繊維の融点または熱分解温度は、好ましくは300℃以上、の融点または熱分解温度は、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは400℃以上である。該融点または熱分解温度は、JIS K 7121に準じて、示差熱分析により得られる示差熱分析曲線から求めることができる。上記繊維としては、具体的には、前記繊維からこれらを満たすものを選べばよいが、なかでも、アラミド繊維は、強力、耐性、難燃性、耐薬品性、絶縁性に優れており、フィルターやセパレータ、断熱材、吸音材、吸着材、防炎材などとしても高い性能を発揮し、特に好ましい。
上記アラミド繊維を構成するアラミドポリマーは、1種又は2種以上の2価の芳香族基が直接アミド結合により連結されているポリマーであって、該芳香族基は2個の芳香環が酸素、硫黄又はアルキレン基で結合されたものであってもよい。また、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、クロル基などのハロゲン基等が含まれていてもよい。さらには、これらアミド結合は限定されず、パラ型、メタ型のどちらでもよい。
かかるアラミドポリマーとしては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン−3,4’オキシジフェニレン−テレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが好ましく選択される。
本発明おいては、前記の融点または熱分解温度を有する繊維や、アラミドポリマーからなる繊維を用いることにより、フィルターや吸着材では、ゴミ焼却炉、石炭ボイラー、あるいは金属溶鉱炉などから排出される排ガスは、150〜200℃にもなり、これに耐えうる高い耐熱性を発揮できる。また、蓄電デバイス用のセパレータや膜材では、例えばリチウムイオン電池用セパレータとして用いた場合、電解液の保液性が高く、異常発熱によって電池内部温度が200℃以上の高温になっても、セパレータが収縮することなく、セパレータ収縮による電極間ショートを防止することができる。さらに電気二重層キャパシタ用等、活性炭中の水分乾燥が重要な用途に用いた場合、素子乾燥温度を上げることができるため、効率良く乾燥することができる。
本発明においては、不織布の200℃での乾熱収縮率は2%以下であることが好ましい。これにより、フィルターの場合、高温で使用される環境下において、フィルターが収縮し捕集したダストを拘束し払い落とし性が低下したり、圧力損失が大きくなったりすることがなく、フィルター寿命を長くできる。また、セパレータの場合は、セパレータの収縮による電極間ショートを防止することができる。その他、吸着材、吸音材、耐熱材、防炎材、防護衣料などで使用した場合、高温環境に晒されても、形体が著しく変形することがなく、例えば、基材に張り付ける場合などは、収縮による接着部分の剥離などが生じ難く、長期間継続して使用することができる。不織布の200℃での乾熱収縮率は好ましくは、1.75%以下、より好ましくは1.5%以下である。
本発明においては、上記繊維が、例えば、後で詳述する方法によって得られる、ポリマー溶液を、細径を有する吐出孔より吐出し、伸張または細径化させた後、これを固化してなる繊維であることが好ましい。また、ポリマー溶液を、吐出孔よりバーストさせずに吐出するものであることが、均質な不織布となり好ましい。
以上に説明した不織布の製造方法としては、ポリマー溶液をバーストさせ細繊化する爆裂紡糸技術(WO02/052070記載)や、一般に溶融性ポリマーで行われているメルトブロー技術を改良し、効果的に細繊化する技術(US6013223)や、特開2005−200779号公報のエレクトロスピニング法などが挙げられる。その中でも、溶融性ポリマーで行われているメルトブロー技術を改良した、効果的に細繊化する技術(US6013223)が、本発明の不織布を製造するのに好ましい。
よって、本発明においては以下の不織布の製造方法を好ましく採用することができる。すなわち、不織布を製造する方法であって、
(1)ポリマー溶液を、細径を有する複数の吐出孔より吐出し、
(2)吐出孔の外側から噴出した気流を作用させて、該吐出したポリマー溶液を伸張または細径化させた後、
(3)圧縮空気により、水/アミド系極性溶媒(重量比)が100/0〜85/5からなり、温度が10℃以上の凝固液を噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化して、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有する、複数本の連続する繊維とし、
(4)該繊維を捕集して不織布とすることを特徴とする不織布の製造方法、である。
(1)ポリマー溶液を、細径を有する複数の吐出孔より吐出し、
(2)吐出孔の外側から噴出した気流を作用させて、該吐出したポリマー溶液を伸張または細径化させた後、
(3)圧縮空気により、水/アミド系極性溶媒(重量比)が100/0〜85/5からなり、温度が10℃以上の凝固液を噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化して、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有する、複数本の連続する繊維とし、
(4)該繊維を捕集して不織布とすることを特徴とする不織布の製造方法、である。
ここで、上記(3)において、圧縮空気の圧力を0.1〜1.0MPaとし、吐出孔から紡糸線上の下方15〜300mmの位置で噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化することが好ましい。
また、(3)において、圧縮空気による凝固液の噴射または噴霧を、吐出孔から繊維として捕集される間の吐出ポリマー溶液の直線軸に対し、相対して、同じ位置、同じ噴射角度となるように配置された少なくとも一対のスプレーノズルにより行うことが好ましい。
また、(3)において、圧縮空気による凝固液の噴射または噴霧を、吐出孔から繊維として捕集される間の吐出ポリマー溶液の直線軸に対し、相対して、同じ位置、同じ噴射角度となるように配置された少なくとも一対のスプレーノズルにより行うことが好ましい。
以下、さらに詳細に説明する。紡糸に用いるポリマー溶液、ポリマーを、それを溶解可能な公知の溶媒により溶解して作成すればよい。例えば、アラミドポリマーを例に取ると、これを溶解する溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、およびジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン、アルコキシ−N−イソプロピル−プロピオンアミドなどのアミド系極性溶媒を挙げることができる。ジメチルスルホキシド(DMSO)もまた、溶媒として使用される。ポリマーの溶解性を大きく損なわない程度に、上記溶媒以外のトルエン、アセトン等の溶媒を添加しても良い。中でもNMP、DMAcが、アラミドポリマー溶液の安定性の観点から好ましい。
また、曳糸性向上のために無機塩を添加しても良い。本方法で使用できる無機塩としては、カルシウム、リチウム、マグネシウムおよびアルミニウムよりなる群から選択されるカチオンを有する塩化物または臭化物等のハロゲン化物が挙げられ、特に塩化カルシウムまたは塩化リチウムが好ましい。これらの塩の混合物を使用することも可能である。
このような無機塩は必要に応じて添加することもあるが、溶液調製プロセス(例えば重合体製造プロセス)で必然的に生成するものであってもかまわない。無機塩の含有量は、アラミドポリマーを基準として45重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
なお、上記の紡糸用ポリマー溶液には、本発明の目的を阻害しない範囲で水を含んでいても良い。ここで、水の含有量は、アラミドポリマーの重量を基準として70重量%以下であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
なお、上記の紡糸用ポリマー溶液には、本発明の目的を阻害しない範囲で水を含んでいても良い。ここで、水の含有量は、アラミドポリマーの重量を基準として70重量%以下であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
具体的には、図1に示すように、ダイ1によって適切な温度に温調されたキャビティー2に付属した紡糸ノズル3にポリマー溶液を供給する。こうしてノズル内管9を通ったポリマー溶液10は、ポリマー吐出孔の外側に設置されたガス吐出口7から噴出したガスによって、効果的に加速され、細化される。
さらに、ポリマー溶液10は、ポリマー吐出孔から吐出後、凝固液と接触させることによって固化し、極細の繊維となる。
さらに、ポリマー溶液10は、ポリマー吐出孔から吐出後、凝固液と接触させることによって固化し、極細の繊維となる。
ここで、ポリマー溶液の吐出量、ポリマー溶液を伸張し細化させる圧空吐出量は、得ようとする不織布の繊維径、空隙径など不織布形体により適宜選択できる。即ち、不織布を構成する繊維の繊維径を小さくしたり、不織布の空隙径を小さくする場合は、ポリマー溶液の吐出量を少なくし、または圧空吐出量を多くし、一方、不織布を構成する繊維の繊維径を大きくしたり、不織布の空隙径を大きくする場合は、ポリマー溶液の吐出量を多くし、または圧空吐出量を少なくする必要がある。このように、所望の特性を得るために適度にバランスさせた製造条件の設定が必要である。
本発明では、ポリマー溶液は、周囲の気体との接触もしくは凝固液との接触により固化される。凝固液としては、アラミドポリマーに対する貧溶媒が用いられ、水、水/アミド系極性溶媒の混合液、水/アルコール類の混合液、アルコール類等が挙げられる。水/アミド系極性溶媒の混合液に含まれるアミド系極性溶媒としては、アラミドポリマーを溶解し、水と良好に混和するものであれば任意のものを使用することができるが、特にNMP、DMAc、DMFを好適に用いることができる。なかでも、溶媒の回収等を考慮すると、紡糸用ポリマー溶液中のアミド系極性溶媒と同種のものが好ましい。上記凝固液の中でも、水、水/NMP混合溶媒もしくは水/DMAc混合溶媒が好ましい。さらに、繊維径が5μm以上で多孔を有する繊維を作製しようとした場合、凝固能力の高い凝固液を用いた方が溶剤置換の点で多孔となり易く、かかる多孔を生成し易くするための凝固促進の観点から、凝固液としては、特に水のみ、または、これにアミド系極性溶媒を含む場合でも5重量%以下とすること(すなわち、水/アミド系極性溶媒(重量比)=100/0〜85/5)が好ましく、凝固液温度は好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上であることが望ましい。
ポリマー溶液吐出孔から捕集面までの距離(以下紡糸距離という)は、100〜800mmの範囲が好ましい。紡糸距離が100mm未満では、凝固水供給装置の取付けが困難である。一方、紡糸距離が800mmを越えると、紡糸線上での各繊維相互間の結着が顕著になり、不織布中にロープ状の繊維束が増加するとともに、捕集面に達する際の糸条と糸条に随伴する圧空の速度が低下し、得られる不織布の強度が弱いものとなってしまう。より好ましくは、紡糸距離は、200〜700mm、さらに好ましくは、300〜600mmである。
本発明で用いられる凝固液供給装置の設置場所は、ウェブの搬送方向の反対側(上流側)と、ウェブの搬送方向側(下流側)の両方に、同じ設置位置高さ、同じ凝固液噴射角度で、対となるように設置することが好ましい。これは、凝固液供給装置がウェブの搬送方向の上流側または下流側のいずれか一箇所のみに設置されたり、もしくは、ウェブの搬送方向の上流側と下流側の両方に設置されたとしても、設置位置高さや凝固液噴射角度が異なったりすると、凝固液を供給する際に、ノズルから吐出された糸条の流れ方向が乱され、糸切れが発生したり、得られる不織布の目付プロファイルを悪化させる原因となるため好ましくない。
本発明で用いられる凝固液供給装置を構成するスプレーノズルとして、フルコーンスプレー、ホロコーンスプレー、フラットスプレー等の一流体スプレーや二流体スプレーが挙げられるが、少量の凝固液を糸条に均一に噴射でき、凝固液と同時に噴射される圧縮空気によって紡糸線上の気流の流れを乱すことなく、糸条に凝固液を接触させることが可能な二流体スプレーを使用するのが好ましい。フルコーンスプレー、ホロコーンスプレー、フラットスプレー等の一流体スプレーでは、ウェブの搬送方向の上流側と下流側の両方から紡糸線上の糸条に向けて噴射された凝固液は、糸条に接触した後、そのまま直進していくため、糸条にはウェブの搬送方向の上流側と下流側の交差されるように凝固液が供給されるため、糸条は凝固液と接触するとその衝撃で糸切れを起こし、繊維径の大きい飛散糸が発生する。
凝固液供給装置のスプレーノズルは、ポリマー溶液吐出孔面より上方、もしくは、下方300mm以内の位置に設置するのが好ましい。この位置がノズル面より上方にある場合、その距離は特に限定されるものではないが、凝固液供給装置のスプレーノズルより噴霧された凝固液が、ポリマー溶液吐出孔にも付着することがあり、該吐出孔からポリマー溶液が吐出した時点で、凝固、固化してしまい、ポリマー溶液の吐出不良が起きてしまうことがある。一方、凝固液供給装置のスプレーノズルがポリマー溶液吐出孔面の下方に300mmを越える位置に設置されると、紡糸線上での各繊維相互間の結着が顕著になり、不織布中にロープ状の繊維束が増加し、得られる不織布は不均質なものとなってしまう。
以上の点や作業性等から、凝固液は、吐出孔からポリマー溶液の紡糸線上の下方15〜300mm、好ましくは30〜300mmの位置で噴射または噴霧させて、該ポリマー溶液を固化することが望ましい。なおこの距離は、前記の紡糸距離との関係でかかる範囲で適宜調整すればよい。
前記の凝固液供給装置のスプレーノズルは、ポリマー溶液吐出孔から吐出、紡糸され、周囲から吐出されるエアーで細化され、捕集用の支持体上に到達するまでの紡糸線の幅方向に平行に、紡糸線に対して直角から平行となる間の適当な噴射角度にて、均一に噴霧できるように1個、または複数個設置されるが、これはポリマー溶液吐出孔の配列数、即ち紡糸幅、スプレーノズルの種類、性能等により適宜決められる。
紡糸線からのスプレーノズルの設置距離は5〜500mmの範囲で設置されるのが望ましい。紡糸線からの距離が5mm未満では、スプレー噴霧装置のスプレーノズルから噴霧された圧縮空気が、紡糸線上を流れている糸条に強く接触して干渉し、糸切れが起きたり、得られる不織布の目付プロファイルを悪化させるため好ましくない。逆に、紡糸線からの距離が500mmを越えて遠くなると、噴霧された凝固液は紡糸線上の広範囲に噴霧されることとなり好ましくない。即ち、糸条の凝固を効率よく行うためには、糸条の細化が十分に行われた直後に液体と空気を送り込み糸条と接触させことが好ましいが、スプレーノズルの紡糸線からの距離が500mmを越えている場合、ノズルから噴霧された水溶液が紡糸線上の広範囲にわたって漫然と噴霧されるので、糸条を効率的に凝固させることが困難になるため、使用する凝固液量を多くする必要があり好ましくない。
凝固液供給装置を構成する二流体スプレーから噴射される圧縮空気の圧力は、0.1〜1.0MPaの範囲が好ましい。圧縮空気圧が0.1MPa未満では、凝固液を細かい粒子の霧状にするのが難しくなり、繊維表面に均一に凝固液を接触させられないので好ましくない。逆に、圧縮空気圧が1.0MPaを越えると、圧縮空気が紡糸線上の糸条に強く接触して干渉し、得られる不織布の目付プロファイルを悪化させるとともに、空気によって細化中の極細繊維の相互間が結着し、ロープ欠点を形成し易くなるため好ましくない。二流体スプレーノズルから噴霧される凝固液の量は、ポリマー溶液吐出孔から吐出されるポリマー溶液量、必要とする凝固の程度等により適宜調整することができる。
本発明で得られる繊維を走行するベルト上に捕捉することによって、均質な不織布構造体を得ることができる。その際、シート状基材の上に直接補足し、基材との積層体とすることもできる。このようにして得られた積層体をいったん巻き取り、再度この巻き取った積層体に該アラミドポリマー繊維を捕捉し、三層構造にすることもできる。
本発明において、不織布の目付は、ノズルからのポリマー溶液吐出量と捕集面の移動速度(ベルト速度)によって決定され、使用する目的によって適宜調整することができる。
紡糸が完了した後、得られた繊維およびそれらによって構成される不織布を洗浄しても良い。繊維もしくは不織布を洗浄する方法としては、繊維から溶媒および塩を除去するあらゆる手段または機器を使用しても良く、例えば、洗浄浴に浸漬する方法、洗浄液もしくはスチーム等を吹き付ける方法、乾燥機にて乾燥除去する方法等が挙げられる。中でも、洗浄浴に浸漬する方法は洗浄効率が高く好ましい。
紡糸が完了した後、得られた繊維およびそれらによって構成される不織布を洗浄しても良い。繊維もしくは不織布を洗浄する方法としては、繊維から溶媒および塩を除去するあらゆる手段または機器を使用しても良く、例えば、洗浄浴に浸漬する方法、洗浄液もしくはスチーム等を吹き付ける方法、乾燥機にて乾燥除去する方法等が挙げられる。中でも、洗浄浴に浸漬する方法は洗浄効率が高く好ましい。
次いで、必要に応じて乾燥し、水分並びに残留溶媒を除去する。乾燥された繊維もしく
は不織布は、引き続いて熱処理工程にて100〜500℃の温度で熱処理しても良い。こ
の際の熱処理は、熱板上、乾熱雰囲気下もしくは蒸気雰囲気下のいずれの条件で行っても
良い。蒸気雰囲気を使用する場合、該蒸気中には水以外にアミド系極性溶媒が含まれていてもよい。
は不織布は、引き続いて熱処理工程にて100〜500℃の温度で熱処理しても良い。こ
の際の熱処理は、熱板上、乾熱雰囲気下もしくは蒸気雰囲気下のいずれの条件で行っても
良い。蒸気雰囲気を使用する場合、該蒸気中には水以外にアミド系極性溶媒が含まれていてもよい。
ここで、熱処理温度は、100〜500℃で実施するのが好ましい。500℃を超える場合には、得られる繊維は激しく劣化・着色し、場合によっては断糸する場合がある。一方、100℃未満の場合には、繊維が十分に弛緩されない場合がある。なお、熱板にて熱処理する場合には、好ましくは200〜400℃、さらに好ましくは250〜350℃で実施するのが好ましい。また、乾熱雰囲気下の熱処理の場合には、250〜500℃で実施するのが好ましい。蒸気雰囲気下の熱処理の場合に、100〜400℃で実施するのが好ましい。
本発明の製造方法においては、アラミドポリマー等の糸切れが起こりにくく、得られる繊維は本質的に連続であり、毛羽立ちの少ない繊維の不織布を得ることができる。また、同時に前記の多孔繊維を含む平均繊維直径が0.1〜5μmの繊維からなる特定の不織布構造を有する不織布を容易に製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。なお、実施例中における各物性値は、下記の方法で測定した。
<繊維直径(μm)>
不織布の表面を走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて、倍率1000倍で観察し、繊維100本を任意に選出して測長した。
不織布の表面を走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて、倍率1000倍で観察し、繊維100本を任意に選出して測長した。
<繊維表面の状態>
不織布の表面を走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて、倍率350倍で観察して、繊維径が5μm以上の繊維が10本以上含まれているかどうか判定した。10本以上含まれている場合は、任意に繊維を選んで、繊維径を測長した。その後、さらに倍率1万〜3万倍で観察し、多孔を有しているかどうか判定した。多孔を有している場合は、その個数をカウントし、孔が真円の場合はその直径を、孔が楕円状等の特定方向に長い形状を有する場合は、その長径(最も長い部分の長さ)を測長した。
不織布の表面を走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて、倍率350倍で観察して、繊維径が5μm以上の繊維が10本以上含まれているかどうか判定した。10本以上含まれている場合は、任意に繊維を選んで、繊維径を測長した。その後、さらに倍率1万〜3万倍で観察し、多孔を有しているかどうか判定した。多孔を有している場合は、その個数をカウントし、孔が真円の場合はその直径を、孔が楕円状等の特定方向に長い形状を有する場合は、その長径(最も長い部分の長さ)を測長した。
<目付(g/m2)>
JIS L 1906の単位面積当りの重量試験方法に準じて測定を行った。
JIS L 1906の単位面積当りの重量試験方法に準じて測定を行った。
<厚さ(mm)>
小野測器 デジタルリニアゲージDG−925(測定端子部の直径1cm)を用い、任意に選択した20箇所において厚さを測定し、平均値を求めた。
小野測器 デジタルリニアゲージDG−925(測定端子部の直径1cm)を用い、任意に選択した20箇所において厚さを測定し、平均値を求めた。
<見掛け密度(g/cm3)>
(目付)/(厚み)から算出し、単位容積あたりの重量を求めた。
(目付)/(厚み)から算出し、単位容積あたりの重量を求めた。
<空隙径(μm)>
不織布の空隙径は、STM−F−316記載のバブルポイント法およびミーンフロー法により、平均空隙径、最大空隙径を求めた。単位はそれぞれμmである。
不織布の空隙径は、STM−F−316記載のバブルポイント法およびミーンフロー法により、平均空隙径、最大空隙径を求めた。単位はそれぞれμmである。
<融点もしくは熱分解温度(℃)>
JIS K 7121、または、JIS K 7120に準じ、示差走査熱量測定により得られるDSC曲線の融解ピークの頂点の温度、もしくは、熱重量測定より得られるTG曲線にて、試料の重量減少が始まる温度から求めた。
JIS K 7121、または、JIS K 7120に準じ、示差走査熱量測定により得られるDSC曲線の融解ピークの頂点の温度、もしくは、熱重量測定より得られるTG曲線にて、試料の重量減少が始まる温度から求めた。
<熱収縮率(%)>
JIS L 1906に準じて、無緊張の状態で、200℃×15分熱処理後の不織布の乾熱収縮率を求めた。
JIS L 1906に準じて、無緊張の状態で、200℃×15分熱処理後の不織布の乾熱収縮率を求めた。
<不織布中の繊維太径部・塊部量(%)>
特開2001−50902号公報に記載されている方法を参考にして、次のようにして不織布中の繊維太径部・塊部量を求めた。
(1)光学顕微鏡(キーエンス製、VHX−900)にて、光源から被測定物(不織布試料)に対して光を照射し、被測定物(不織布試料)を50倍の倍率で撮影する。
(2)上記方法で撮影した画像において、照射された光のうち、被測定物の繊維径および塊の大きさが50μm以上の繊維太径部・塊部において反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情報を取得する。
(3)こうして得られた輝度情報から、繊維太径部・塊部の面積を求め、不織布中の繊維太径部・塊部量を次の式により算出する。
不織布中の繊維太径部・塊部量(%)=(繊維太径部・塊部の面積/撮影した画像の全面積)×100
(4)任意に選択した10箇所において不織布中の繊維太径部・塊部量を測定し、それらの平均値を求めた。
特開2001−50902号公報に記載されている方法を参考にして、次のようにして不織布中の繊維太径部・塊部量を求めた。
(1)光学顕微鏡(キーエンス製、VHX−900)にて、光源から被測定物(不織布試料)に対して光を照射し、被測定物(不織布試料)を50倍の倍率で撮影する。
(2)上記方法で撮影した画像において、照射された光のうち、被測定物の繊維径および塊の大きさが50μm以上の繊維太径部・塊部において反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情報を取得する。
(3)こうして得られた輝度情報から、繊維太径部・塊部の面積を求め、不織布中の繊維太径部・塊部量を次の式により算出する。
不織布中の繊維太径部・塊部量(%)=(繊維太径部・塊部の面積/撮影した画像の全面積)×100
(4)任意に選択した10箇所において不織布中の繊維太径部・塊部量を測定し、それらの平均値を求めた。
<捕集効率>
不織布を30枚積層させて、ダスト捕集効率を測定した。捕集効率は、大気塵計数法に基づいて実施し、試料長が20cm、試料幅が20cmの試料片を作製し、平均粒子系0.5μmの粉塵を15mg/m3の濃度で含む200℃の空気を、風速6.0m/分の速度で、内径110mmの筒中を通過させ、この筒中に空気流を遮るように張設された各試料片毎に、その前後において、空気中の粉塵濃度を光学レーザーダイオードを光源とする前方散乱受光式のデジタル表示粉塵計により測定する。そして、試料片通過前の粉塵濃度および試料片通過後の粉塵濃度を測定して、下式により捕集効率を求めた。
捕集効率=[(試料片通過前の粉塵濃度−試料片通過後の粉塵濃度)/試料片通過前の粉塵濃度]×100(%)
不織布を30枚積層させて、ダスト捕集効率を測定した。捕集効率は、大気塵計数法に基づいて実施し、試料長が20cm、試料幅が20cmの試料片を作製し、平均粒子系0.5μmの粉塵を15mg/m3の濃度で含む200℃の空気を、風速6.0m/分の速度で、内径110mmの筒中を通過させ、この筒中に空気流を遮るように張設された各試料片毎に、その前後において、空気中の粉塵濃度を光学レーザーダイオードを光源とする前方散乱受光式のデジタル表示粉塵計により測定する。そして、試料片通過前の粉塵濃度および試料片通過後の粉塵濃度を測定して、下式により捕集効率を求めた。
捕集効率=[(試料片通過前の粉塵濃度−試料片通過後の粉塵濃度)/試料片通過前の粉塵濃度]×100(%)
<マクミラン数(%)>
不織布を20mmΦに切り出し、2枚のSUS電極に挟み、10kHzでの交流インピーダンスから算出した電導度で、電解液のイオン電導度を除して、マクミラン数を算出した。電解液は1M LiBF4EC/PCを重量比で1/1に調整したものを用い、測定温度は25℃とした。
不織布を20mmΦに切り出し、2枚のSUS電極に挟み、10kHzでの交流インピーダンスから算出した電導度で、電解液のイオン電導度を除して、マクミラン数を算出した。電解液は1M LiBF4EC/PCを重量比で1/1に調整したものを用い、測定温度は25℃とした。
<吸音率(%)>
不織布を15枚積層させて、JIS A 1405に準じて、垂直入射法の測定器で、500〜6300Hzの周波数における吸音率を測定した。吸音率は、6300Hzでの吸音率で評価した。
不織布を15枚積層させて、JIS A 1405に準じて、垂直入射法の測定器で、500〜6300Hzの周波数における吸音率を測定した。吸音率は、6300Hzでの吸音率で評価した。
<吸着性能>
不織布の重量が0.2gとなるように切り出し、0.001wt%メチレンブルー水溶液200mlに混入させ、室温で10分間攪拌させて、透明度を目視で確認した。メチレンブルー水溶液がほとんど透明に変化したものを○、メチレンブルー水溶液の色が青色のままのものを×とした。
不織布の重量が0.2gとなるように切り出し、0.001wt%メチレンブルー水溶液200mlに混入させ、室温で10分間攪拌させて、透明度を目視で確認した。メチレンブルー水溶液がほとんど透明に変化したものを○、メチレンブルー水溶液の色が青色のままのものを×とした。
<払拭性能>
カラー製複写機(リコー製、imagio Neo 352)を用意し、このカラー複写機のクリーニング装置を取り外した状態で、全面黒色画像の複写を連続して30枚行った。続いて、不織布の一端からシャフトに巻回された不織布供給体を備えたクリーニング装置(発泡シリコーンゴムからなる円柱状の棒状体と定着ロールとの挟み幅:3mm)を前記のカラー複写機に設置した。その後、全面白色画像の複写を連続して3枚行い、3枚目の複写紙表面におけるトナーによる汚れを目視で観察し、汚れのないものを○、汚れが少し残ったものを△、汚れが目立つものを×とした。
カラー製複写機(リコー製、imagio Neo 352)を用意し、このカラー複写機のクリーニング装置を取り外した状態で、全面黒色画像の複写を連続して30枚行った。続いて、不織布の一端からシャフトに巻回された不織布供給体を備えたクリーニング装置(発泡シリコーンゴムからなる円柱状の棒状体と定着ロールとの挟み幅:3mm)を前記のカラー複写機に設置した。その後、全面白色画像の複写を連続して3枚行い、3枚目の複写紙表面におけるトナーによる汚れを目視で観察し、汚れのないものを○、汚れが少し残ったものを△、汚れが目立つものを×とした。
<ガス吸着率(%)>
不織布の仕込み量を0.5gとし、ガスパック内に混入して、105℃×2時間で乾燥し、その後、20℃、湿度65%で1日放置した。その後、ガスパック中のアンモニア濃度が100ppmとなるように、ガスを3L混入して密封し、3時間放置した。吸着開始3時間後のガスパック内の濃度をガス検知管を用いて測定し、下式を用いてガス吸着率を算出した。
ガス吸着率=[(吸着開始前のガスパック内のアンモニア濃度−吸着後のガスパック内のアンモニア濃度)/吸着開始前のガスパック内のアンモニア濃度]×100(%)
不織布の仕込み量を0.5gとし、ガスパック内に混入して、105℃×2時間で乾燥し、その後、20℃、湿度65%で1日放置した。その後、ガスパック中のアンモニア濃度が100ppmとなるように、ガスを3L混入して密封し、3時間放置した。吸着開始3時間後のガスパック内の濃度をガス検知管を用いて測定し、下式を用いてガス吸着率を算出した。
ガス吸着率=[(吸着開始前のガスパック内のアンモニア濃度−吸着後のガスパック内のアンモニア濃度)/吸着開始前のガスパック内のアンモニア濃度]×100(%)
[実施例1]
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した固有粘度(IV)=1.35のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末(帝人テクノプロダクツ製、1.38g/cm3)20重量部を、0℃に冷却したジメチルアセトアミド(DMAc)80重量部中に投入し、スラリー状にした後、40℃まで昇温して溶解させ、ポリマー溶液を得た。
上記のポリマー溶液を、ギアポンプを使ってUS6013223の紡糸装置に120g/minで供給し、紡糸温度40℃とし、10m3/minで圧空を供給して紡糸を行った。ここで、US6013223の紡糸装置は、ポリマー溶液吐出孔の孔径が0.3mmで、ポリマー溶液吐出ノズルが、100×5列の配列で500本が、5mmピッチで等間隔となるように配置されたものを使用した。
凝固液供給装置は、ウェブの搬送方向の反対側(上流側)と、ウェブの搬送方向側(下流側)の両方に、ポリマー溶液吐出孔から下方向に50mm、紡糸線から50mmの位置に対となるように設置し、凝固液供給スプレーは二流体スプレーノズル(株式会社いけうち製、DDAシリーズ)を用い、吐出後のポリマー溶液に、ポリマー溶液吐出孔から紡糸線上の下方200mmの地点で、細化された糸条と凝固液が接触するようにスプレーノズルの噴射角度を調整した。
凝固液として温度を30℃に温調された水を使用し、一対の二流体スプレーノズルに供給した水は5L/minで、供給した圧縮空気圧は0.5MPaとした。
ギアポンプによりポリマー溶液吐出孔から吐出された糸条は、直ちに周囲の圧空と凝固液と共に、紡糸線上の下方向に捕集面に向かって流下させながら細化と凝固を行い、紡糸装置の下方500mmに設置された捕集ベルト上に、連続繊維を積層しながらベルトの搬送速度を3.5m/minとし、不織布を得た。
得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度250℃、設定線圧50kg/cmで熱処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、線圧を調整し、目付が10g/m2、厚みが25μmの不織布を得た。得られた不織布の200℃での乾熱収縮率は1%であり、これを構成する繊維の熱分解温度は415℃であった。その他の評価結果を表2にまとめた。
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した固有粘度(IV)=1.35のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末(帝人テクノプロダクツ製、1.38g/cm3)20重量部を、0℃に冷却したジメチルアセトアミド(DMAc)80重量部中に投入し、スラリー状にした後、40℃まで昇温して溶解させ、ポリマー溶液を得た。
上記のポリマー溶液を、ギアポンプを使ってUS6013223の紡糸装置に120g/minで供給し、紡糸温度40℃とし、10m3/minで圧空を供給して紡糸を行った。ここで、US6013223の紡糸装置は、ポリマー溶液吐出孔の孔径が0.3mmで、ポリマー溶液吐出ノズルが、100×5列の配列で500本が、5mmピッチで等間隔となるように配置されたものを使用した。
凝固液供給装置は、ウェブの搬送方向の反対側(上流側)と、ウェブの搬送方向側(下流側)の両方に、ポリマー溶液吐出孔から下方向に50mm、紡糸線から50mmの位置に対となるように設置し、凝固液供給スプレーは二流体スプレーノズル(株式会社いけうち製、DDAシリーズ)を用い、吐出後のポリマー溶液に、ポリマー溶液吐出孔から紡糸線上の下方200mmの地点で、細化された糸条と凝固液が接触するようにスプレーノズルの噴射角度を調整した。
凝固液として温度を30℃に温調された水を使用し、一対の二流体スプレーノズルに供給した水は5L/minで、供給した圧縮空気圧は0.5MPaとした。
ギアポンプによりポリマー溶液吐出孔から吐出された糸条は、直ちに周囲の圧空と凝固液と共に、紡糸線上の下方向に捕集面に向かって流下させながら細化と凝固を行い、紡糸装置の下方500mmに設置された捕集ベルト上に、連続繊維を積層しながらベルトの搬送速度を3.5m/minとし、不織布を得た。
得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度250℃、設定線圧50kg/cmで熱処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、線圧を調整し、目付が10g/m2、厚みが25μmの不織布を得た。得られた不織布の200℃での乾熱収縮率は1%であり、これを構成する繊維の熱分解温度は415℃であった。その他の評価結果を表2にまとめた。
[実施例2〜4、比較例1〜6]
凝固液供給スプレーノズルへの供給圧縮空気圧、糸条−凝固液接触位置、凝固液温度、凝固液組成を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の方法で紡糸を行い、表2記載の構成の不織布を得た。得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度250℃、設定線圧50kg/cmで熱処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、線圧を調整し、目付が10g/m2、厚みが25μmの不織布を得た。得られたいずれの不織布においても、不織布の200℃での乾熱収縮率は1%であり、これを構成する繊維の熱分解温度は415℃であった。その他の評価結果を表2にまとめた。
凝固液供給スプレーノズルへの供給圧縮空気圧、糸条−凝固液接触位置、凝固液温度、凝固液組成を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の方法で紡糸を行い、表2記載の構成の不織布を得た。得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度250℃、設定線圧50kg/cmで熱処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、線圧を調整し、目付が10g/m2、厚みが25μmの不織布を得た。得られたいずれの不織布においても、不織布の200℃での乾熱収縮率は1%であり、これを構成する繊維の熱分解温度は415℃であった。その他の評価結果を表2にまとめた。
[比較例7]
凝固液供給装置のスプレーノズル種を表1のように、一流体スプレーノズル(株式会社いけうち製、VVPシリーズ)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で紡糸を行い、表1記載の構成の不織布を得た。得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度250℃、設定線圧50kg/cmで熱処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、線圧を調整し、目付が10g/m2、厚みが25μmの不織布を得た。得られた不織布の200℃での乾熱収縮率は1%であり、これを構成する繊維の熱分解温度は415℃であった。その他の評価結果を表2にまとめた。
凝固液供給装置のスプレーノズル種を表1のように、一流体スプレーノズル(株式会社いけうち製、VVPシリーズ)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で紡糸を行い、表1記載の構成の不織布を得た。得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度250℃、設定線圧50kg/cmで熱処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、線圧を調整し、目付が10g/m2、厚みが25μmの不織布を得た。得られた不織布の200℃での乾熱収縮率は1%であり、これを構成する繊維の熱分解温度は415℃であった。その他の評価結果を表2にまとめた。
本発明の不織布は、捕集性、絶縁性(耐短絡性)、吸液浸透性、保液性、吸着性、吸音性、払拭性、断熱性、遮熱性、防炎性などに優れ、例えばリチウムイオン電池用セパレータ並びにキャパシタ用セパレータ基材用素材、気体または液体フィルター用素材として極めて有用である。その他、吸音材や、吸着材、断熱材、防炎材、防護衣料、壁紙、障子紙などにも有用な材料として使用できる。
1:ダイ
2:キャビティー
3:紡糸ノズル
4:紡糸口金
5:ガスキャビティー
6:吸気口
7:ガス吐出口
8:ガスの流れ
9:ノズル内管(キャピラリ)
10:ポリマー溶液
11:凝固液供給ノズル
12:凝固液
14:大気
15:ポリマー
16:プレート
2:キャビティー
3:紡糸ノズル
4:紡糸口金
5:ガスキャビティー
6:吸気口
7:ガス吐出口
8:ガスの流れ
9:ノズル内管(キャピラリ)
10:ポリマー溶液
11:凝固液供給ノズル
12:凝固液
14:大気
15:ポリマー
16:プレート
Claims (20)
- 複数本の連続する繊維を含む不織布であって、該複数本の連続する繊維は、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上の繊維はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有し、該不織布は、平均見掛け密度が0.05〜2.0g/cm3、平均空隙径が0.1〜10μm、最大空隙径が50μm以下であることを特徴とする不織布。
- 不織布において、繊維直径が50μm以上の繊維太径部および内接円直径が50μm以上の塊部の合計面積が不織布総面積に対し10%以下である請求項1記載の不織布。
- 不織布の表面の一辺が300μmの正方形中に、繊維直径が5μm以上の繊維が10本以上存在する請求項1または2に記載の不織布。
- 繊維直径が5μm以上の繊維の表面に存在する孔の平均孔径が該繊維直径の1万分の1から10分の1である請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
- 繊維の融点もしくは熱分解温度が300℃以上である請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
- 繊維がポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
- 繊維がポリパラフェニレンテレフタラアミド繊維、またはコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタラアミド繊維である請求項1〜6のいずれかに記載の不織布。
- 不織布の200℃での乾熱収縮率が2%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の不織布。
- 繊維が、ポリマー溶液を、細径を有する吐出孔より吐出し、伸張または細径化させた後、これを固化してなる繊維である請求項1〜8のいずれかに記載の不織布。
- 不織布を製造する方法であって、
(1)ポリマー溶液を、細径を有する複数の吐出孔より吐出し、
(2)吐出孔の外側から噴出した気流を作用させて、該吐出したポリマー溶液を伸張または細径化させた後、
(3)圧縮空気により、水/アミド系極性溶媒(重量比)が100/0〜85/5からなり、温度が10℃以上の凝固液を噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化して、平均繊維直径が0.1〜5μmであり、かつ繊維直径が5μm以上の繊維を含み、該繊維直径が5μm以上はその繊維表面に繊維直径の1万分の1以上の大きさの複数の孔を有する、複数本の連続する繊維とし、
(4)該繊維を捕集して不織布とすることを特徴とする不織布の製造方法。 - (3)において、圧縮空気の圧力を0.1〜1.0MPaとし、吐出孔から紡糸線上の下方15〜300mmの位置で噴射または噴霧させて、該吐出したポリマー溶液を固化する請求項9に記載の不織布の製造方法。
- (3)において、圧縮空気による凝固液の噴射または噴霧を、吐出孔から繊維として捕集される間の吐出ポリマー溶液の直線軸に対し、相対して、同じ位置、同じ噴射角度となるように配置された少なくとも一対のスプレーノズルにより行う請求項8または9に記載の不織布の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布を用いた液体または気体フィルター。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布をセパレータ、または膜材に用いた蓄電デバイス。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布を用いた吸着材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布を用いた吸音材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布を用いた断熱材、保温材、防炎材、または遮熱材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布を用いたクリーナー。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布を用いた防護衣料。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布を用いた壁紙または障子紙。
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