JP2007107117A - 吸着性不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】 活性炭粒子を凝集させずに繊維樹脂内に存在させることで、樹脂内に高濃度の活性炭を包含させることを可能にし、さらには振動や摩擦が加わっても繊維から活性炭粒子が脱落することのない吸着性不織布を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性繊維形成性樹脂からなる第1成分100質量部に対し、重量平均分子量が5000以下のポリエチレンからなる第2成分を0.1〜20質量部、平均粒径が10μm以下である活性炭粒子を2.0〜120質量部含有する樹脂からなり、平均繊維径が1〜50μmであることを特徴とする吸着性不織布。
【選択図】 なし

Description

本発明は、吸着性不織布に関する。より詳細には、特定の活性炭粒子を所定の樹脂構成を有する熱可塑性樹脂に練りこむことで、該活性炭を繊維内に概ね均一に分散させるとともに、良好な形態安定性、不織布からの活性炭の脱落防止、そして必要かつ十分な活性の保持力を兼ね備えた吸着性不織布に関する。
従来より活性炭は、微量成分の吸着材として広く使用されているが、一般に粉体または粒状の形態を有しているため、その取扱いが難しくなるケースが多々あった。すなわち、その形状や色のため、所定のケースの中に入れた状態で使用しないと、周囲に散乱し、室内で使用する場合など周囲をいたずらに汚してしまうことになる。
また、活性炭は積極的に周囲の成分を引き寄せて吸着するものではなく、活性炭のところへ近づき接触した成分を吸着するものであるから、被吸着成分を活性炭のところまで運んでやらないと吸着除去は起こらない。
これらのことを考慮し、効率よく被吸着成分を吸着する方法として、活性炭粉末を焼結させたり、布や板状のシート材の表面に分散固定して使用する方法が用いられている。特に後者については、既に多くの事例があり、最も一般的に用いられているものは、活性炭微粉末を分散したエマルジョンをネット材、織物、不織布等に含浸させた吸着材や、活性炭粒子をネット材、フォーム材、不織布等の多孔性物質上に固定させた吸着材が挙げられる。
これらの吸着材は、確かに静的条件で使用する場合には、目的どおり吸着材からの活性炭粉末の脱落は僅かであるものの、動的条件で使用するなどして、僅かでも擦れるような使い方をした場合には、固定された活性炭が脱落し、周囲に飛散するという問題が生じる。
また、ポリウレタンフォームを生成させる際、プレポリマーに吸着体粒子を混合して調製する方法も知られているが、この場合はかなり多量の活性炭粒子を混合するとポリウレタンフォームの発泡性が抑制されるとともに、活性炭粒子の表面のかなり多くの部分がポリウレタン樹脂で被覆されたり、あるいは細孔が目詰まりするため吸着能力が大幅に低下するという問題がある。
これらの問題点を解決するため、発泡ポリウレタン成型体の表面および内部組織の外気との接触面にバインダー層を形成させた後、吸着材粒子を付着する方法が開示されている。
例えば、発泡ポリウレタン成型体の表面および内部組織の上にウレタン系ポリマーを塗布した後、吸着材粒子を吹き付けて付着させる方法(特許文献1参照)が開示されているが、使用方法によっては固定された活性炭が脱落し、周囲に飛散するという問題が生じるのは同じである。
一方、一般的な繊維シートに新たな機能を付与するための添加物質を付与する場合には、上記の塗布、表面接着の他に、樹脂に練りこむという方法が採用されている。例えば、活性炭粒子および/または非活性炭粒子0.1〜30重量%を樹脂の重合時や溶融押出時に添加した繊維からなる不織布が提案されている。(特許文献2参照)
しかしながら活性炭を樹脂に練り込んで使用する場合、この樹脂が繊維を形成できなければならず、このためには当然ながら微小径の活性炭を用い、それらを分散させる必要がある。活性炭の微粉末は粉砕後、径の小さい粒子を選別回収すれば準備できるが、微粉末を添加しても熱可塑性物質ではないため、そのまま単純に練りこんだのでは練り込み押出時に溶融樹脂内で凝集してしまい粒径の大きな活性炭粒子を添加したときと同じ状態となる。
さらにこの状態で押出した場合には、ノズルから吐出された樹脂流が寸断され、繊維を形成することが困難であるばかりか、ノズルフィルターやノズル孔の目詰まりを生じ、工業的使用は困難である。生産性を確保するために練り込み量を下げたとしても、分散性を向上する手段を講じなければ、活性炭が表面付近に存在する量が低下し、結果的に性能が確保できないという問題が生ずる。すなわち、活性炭の性能を効率よく発現させるためには、繊維表面付近における活性炭の存在頻度を上げる必要があり、このためには、練り込み量を上げる、繊維を極細化する、あるいは繊維の表面積を広くする等の改良が必要であるが、これら改良は極めて困難であり、従来から練り込みという方法はあまり用いられていないのが実状である。
特開昭60−14909号公報 特開2001−146626号公報
本発明は、上述した問題を解決するものであり、その目的は、活性炭粒子を凝集させずに繊維樹脂内に存在させることで、樹脂内に高濃度の活性炭を包含させることを可能にし、さらには振動や摩擦が加わっても繊維から活性炭粒子が脱落することのない吸着性不織布を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、不織布の繊維を構成する樹脂へ活性炭粒子を練りこむ際に、特定の低分子量ポリエチレンを同時に添加し、さらにこの樹脂を直接法により不織布化することで、樹脂に包含された状態でも充分に活性を保持可能な吸着性不織布を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、熱可塑性繊維形成性樹脂からなる第1成分100質量部に対し、重量平均分子量が5000以下のポリエチレンからなる第2成分を0.1〜20質量部、平均粒径が10μm以下である活性炭粒子を2.0〜120質量部含有する樹脂からなり、平均繊維径が1〜50μmであることを特徴とする吸着性不織布である。
本発明により、高濃度の活性炭を構成繊維内に練り込むことが可能となり、なおかつ極細繊維とすることにより大きな表面積を確保することで、その活性を非常に効率よく発現できる吸着性不織布が得られる。さらには、振動や摩擦が加わっても活性炭粒子が脱落することのない吸着性不織布を工業的に安定して提供することができる。
本発明の吸着性不織布は、熱可塑性繊維形成性樹脂からなる第1成分100質量部に対し、2.0〜120質量部の活性炭粒子を練り込んだ樹脂から構成し、平均繊維径1〜50μmの極細繊維とすることで、構成する繊維内部に活性炭粒子が凝集することなく均一に分散するため、繊維に練り込んだ活性炭がその活性を保持し、優れた吸着性能を有する。以下、本発明を詳しく説明する。
まず本発明において、その目的を果たすために最も重要な成分の一つである活性炭粒子は、必要としている活性炭としての性能を保持していればよく、その種類、製法等特に限定されない。具体的には、活性炭はその原料から分類されることがあるが、例えば、木炭、竹、ヤシガラ、石炭チャー、植物性繊維質、木材、褐炭、泥炭、モミガラ、亜炭、ヤシ殻灰、低温乾留灰などの含炭素物質を原料とする活性炭などが具体例として挙げられる。
これら活性炭を練り込んだ不織布とする場合、不織布製造時の紡糸安定性を確保した上で、練り込み後の不織布が充分な活性を示すことができるよう、繊維樹脂中に充分に分散させることが必要であり、良好な分散性を確保する点から平均粒子径が10μm以下、好ましくは0.05〜10μmの範囲にある粒状の粒子が使用され、特に0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。
活性炭の平均粒子径が0.05μm未満の場合には、その粒子径を確保した活性炭粒子の製造が困難であり、さらにはその取扱い性も困難となる場合がある。また、平均粒子径が10μmを超える場合には、通常の紡糸装置を使用して製造する場合に、粒子径が大きすぎて不織布製造時の紡糸性に悪影響を及ぼし、不織布製造そのものが困難となる。また、不織布製造時の樹脂押出性や計量性、工程中のフィルターやノズルへの目詰まりも懸念されるため、好ましくない。
一方、活性炭粒子は、微量ながら水分を保持する性質があるが、この水分量は、0.2質量%(以下、単に「%」という)以下が望ましい。さらに好ましくは、0.05〜0.1%の範囲である。活性炭は吸湿性があるため、水分率を0.05%未満に保って加工工程に投入することが難しい上、この程度の水分であれば、通常の溶融押出に影響を及ぼす可能性が非常に少ないからである。また、0.1%を超える水分率の場合には、溶融押出時に水分が気体となり発泡することで押出が困難になったり、ポリエステルのように水分の存在下で高温に加熱した場合に加水分解するような樹脂に練り込んだ場合にはその樹脂の分解を伴うことになるため、好ましくない。
上記した活性炭粒子を、繊維を構成する樹脂に含有させる量は、該繊維の主成分となる熱可塑性繊維形成性樹脂(第1成分)100質量部に対して、2〜120質量部の範囲であり、特に10〜100質量部の範囲が好ましい。活性炭粒子の含有量が第1成分に対して1質量部未満であると、ニオイ等の吸着除去性能を発揮することができず、また、120質量部を超えて含有させると、樹脂が繊維形状を保持できないばかりか、不織布形状を維持することが困難となり、生産性が低下する。
次に、上記活性炭粒子を含有する本発明の吸着性不織布について説明する。
まず、本発明の吸着性不織布を構成する熱可塑性繊維形成性樹脂は、活性炭を分散、練り込んだ状態においても、繊維を形成し不織布形状にできるものであれば、特に限定はなく、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、あるいはそれらの変性ポリエステル、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、変性ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられ、さらにはこれらの混合樹脂を用いてもよい。
ただし、本発明においては、これらの樹脂に活性炭を練りこむに際して、樹脂に活性炭を充分に分散させるために、熱可塑性繊維形成性樹脂からなる第1成分100質量部に対し、ポリエチレンワックスとよばれる重量平均分子量5000以下のポリエチレン樹脂からなる第2成分を、0.1〜20質量部の比率で混合して用いることが肝要である。このポリエチレン樹脂がどのように活性炭と樹脂との界面に作用しているかは明確ではないが、これを練りこむことにより、結果的に活性炭粒子が繊維樹脂内で凝集せずに均一に分散するのである。
この量が少ないと活性炭を樹脂に練り込み、ノズルから押出して繊維化する過程の溶融状態下において、活性炭が樹脂内で凝集して見かけの粒径が大きくなってしまい、紡糸が困難となる。さらに、この場合、仮に不織布が得られたとしても、活性炭が凝集してしまっていることにより、その活性は非常に低くなってしまい、本願の目的を果たせなくなってしまう。
一方で、活性炭の分散性が充分発現する含有量以上にポリエチレン樹脂を大量に練り込んでも、無駄であるばかりか、この余剰のワックスがノズル汚れの原因になる等、紡糸性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。このため、先に述べたポリエチレン樹脂(第2成分)の混率は、第1成分100質量部に対し、0.01〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部の範囲であることが紡糸性・生産性の観点から最も好ましい。
いずれにしても活性炭粒子を大量に練り込み、かつポリエチレン樹脂のような分散性を確保するための樹脂を練りこむことからも推定できるが、このような樹脂構成では、通常の溶融紡糸法を用いてフィラメントを製造し、これを原料として一般的な不織布を製造する場合、紡糸時の樹脂の安定性があまり高くない。従って、このような樹脂を用いて繊維を工業的に効率良く不織布化するためには、種々の製造法の中でも直接法と呼ばれるメルトブロー法あるいはスパンボンド法を採用することが望ましい。特に、メルトブロー法は、その紡糸性において、樹脂の安定性に依存する部分が最も少なく、本発明のような紡糸性の低い状態の樹脂を不織布化するための製法としては最も優れており、好ましい製法である。
本発明の吸着性不織布をスパンボンド法にて製造するには、既に公知の方法、装置が適用可能である。すなわち、前述のブレンド樹脂を加熱溶融して紡糸口金から吐出させ、得られた紡出糸条を従来公知の横型吹き付けや環状吹きつけなどの冷却装置を用いて冷却した後、引き取り手段(例えば、エアサッカー等の吸引装置やローラー等)を用いて牽引細化し、引き続き、吸引装置から排出された糸条群を開繊させた後、スクリーンからなるコンベアの如き移動堆積装置上に開繊堆積させてウェブとする。次いで、この移動堆積装置上に形成されたウェブに、加熱されたエンボス装置または超音波融着装置などの部分熱圧着装置を用いて部分的に熱圧着を施すことにより長繊維ウェブを得ることができる。
通常、スパンボンド法を適用する場合、一般的に牽引速度は1000〜7000m/分と速い方が繊維の配向結晶化が進み、得られる長繊維ウェブの機械的強度、寸法安定性が向上する。また、細い径の繊維の不織布となるので、地合や柔軟性が向上し好まれるのであるが、本発明の場合、練込んだ活性炭の活性を如何にして確保するかが焦点となる。すなわち、活性炭を高濃度に練り込んだ溶融樹脂をできるかぎり細く、表面積の大きな繊維からなる不織布とするのが最大の目的である。この場合、安定して紡糸から不織布化までの工程を通過させるために、一般の紡糸条件より低速で紡糸することが望ましく、その紡出速度は使用する樹脂や練りこむ活性炭粒子の濃度や粒径等の状況により異なるものの、例えば、ポリプロピレンやポリエステルに練りこむ場合では、500〜4000m/分程度が好ましい。不織布を構成する繊維に練り込む活性炭濃度と不織布の地合や柔軟性とのバランスにより、効率のよい牽引速度を選択することが重要である。
部分圧着のためのエンボス装置は、公知のスパンボンド不織布製造設備に組み込まれている装置と基本的に同様のものが使用でき、加熱された凹凸ロールと平滑ロール、または一対の凹凸ロールもしくは一対の平滑ロールからなるものである。このロール間に長繊維ウェブを通布して、加熱された凹凸ロールの凸部がウェブを押圧し、凸部に該当する部分の長繊維が溶融または軟化して繊維同士を熱圧着により固定させ、所望の機械的強力を有する長繊維ウェブとすることができる。しかしながら本発明において、この装置は必要最小限のウェブ強度を確保できるのであればよく、特に限定されるものではない。
一方、メルトブロー法で得られる極細繊維からなる不織布は、フィルター用途をはじめ多くの用途開発がなされてきており、メルトブロー法による紡糸方法については、インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー(Industrial and Engineering Chemistry)48巻、第8号(p1342〜1346)、1956年に基本的な装置および方法が開示されている。本発明においても、同じ手法で不織布製造が可能であり、例えば常法のメルトブロー用装置を用いて、熱可塑性繊維形成性樹脂にポリエチレン樹脂および活性炭粒子を練り込んでノズルから押出すと同時に、ノズルに隣接して設置されたスリット状気体吹出口から紡糸温度とほぼ同じ温度の高温高速気体を噴出して細化繊維化した極細繊維流を移動するコンベアネット上に捕集して目的の不織布を得ることが可能である。
メルトブロー不織布は、一般的に、平均繊維径が数μmの極細繊維からなる不織布であることが最も特徴的であるが、本発明においては、既に述べたように、高濃度の活性炭を練り込んだ樹脂からなる不織布を工業的に安定に製造できるための手法の一つとして用いるものであり、練りこまれた活性炭ができるだけ外界と接触しやすいように、できるだけ細い繊維からなるような条件を選択する必要があるものの、その製造条件として、一般的なメルトブロー不織布の製法と比べると、その一次エア量が低く、またダイ−コンベア間距離(以下、DCDと表現することがある)が大きいというところに大きな違いが現れる。
以下、本発明の吸着性不織布を製造するためにより適していると思われるメルトブロー法で一般的に用いられるポリオレフィン系樹脂を第1成分として用いるケースにおける具体的方法について説明する。
本発明において、該ポリオレフィン系樹脂は特に限定はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン等、さらにはこれらの改質ポリマーあるいは混合物であってもよいが、中でもポリプロピレンを用いることが好ましい。ポリプロピレン樹脂は、ポリオレフィン樹脂のなかで最も曳糸性に優れ、かつ第2成分である低分子量ポリエチレン樹脂との親和性も高く、安価で入手し易いというメリットがある。また、他の製品と組み合わせて使用する場合に、相手のシート(不織布、フィルム等)を構成する樹脂としてもポリプロピレン樹脂が一般的に用いられている場合が多いので製品化のための種々の加工においても比較的有用である。
第1成分としてポリプロピレンを用いる場合は、MFRが1〜2000の樹脂を用いることが好ましく、より好ましくは10〜1500であり、さらに好ましくは100〜1200である。MFRが1未満であると、溶融粘度が高くなりすぎてしまい、ノズルから吐出された樹脂流が繊維として均一に分散することが難しく、特にメルトブロー不織布に加工したい場合には、一部の繊維がコイル状になってウェブに混入してしまうため、非常に不均一な不織布になってしまう場合がある。一方、2000を超えると樹脂粘度があまりにも低く、ノズルから吐出された樹脂流が安定的に繊維形状を発現できず、寸断され粒子状になってしまい不織布を形成できなくなる場合がある。
本発明において第2成分として使用されるポリエチレン樹脂は、重量平均分子量が5000以下であり、かかる樹脂は主体となる樹脂に活性炭粒子や他の混合樹脂、薬剤を均一に混合させ、紡糸時の曳糸性を発現させるための、いわゆる分散剤として作用しているものと推定している。
該ポリエチレン樹脂は平均分子量が5000を超えると分子量が大きすぎるために、分散剤としての機能を発現しにくくなってしまう。分散性等の点から、重量平均分子量3000以下が好ましく、さらに好ましくは重量平均分子量1000〜2000である。
本発明に用いられる樹脂を原料としてメルトブロー不織布を製造するためには、ブレンドした樹脂を220℃以上の温度で溶融押出し、温度200℃以上、圧力0.01〜0.3MPaの噴射気流で加速することで細化紡糸し、さらには紡糸ノズルとコンベアネット間の距離(DCD)を20〜100cmに設定するのがよい。DCDが100cmを大きく超えると不織布形態を保つことが困難になる。また、20cmより短くなると、繊維同士の膠着が激しく、脆い不織布になってしまい、活性炭そのものの脱落がなくとも、不織布を折り曲げたとき等に繊維が折れ、その折れた繊維がウェブから脱落してしまう場合が生ずる。
とりわけ、活性炭粒子の混率が高い場合においては曳糸性が低くなるため、紡糸したウェブを確実に不織布化する方法として、既製の編織物、不織布あるいはフィルム等他のシートの上に直接繊維流を吹付けてウェブを形成、保持することで良好な不織布形態、取扱性を確保することも一つの手段として用いられる。
一方、本発明の吸着性不織布は、必要に応じて、一部あるいは全ての繊維を熱圧着することにより構成繊維間の接着力を向上し、不織布強度の向上を図ってもよい。本発明の吸着性不織布を構成する繊維は、そのウェブ形成時の繊維同士の接着度合が低いため、ウェブの繊維が引き抜かれる形で破断する場合がある。そこで、例えば熱エンボス加工や熱カレンダー等によって繊維同士を部分的にあるいは全面に亘って熱圧着し固定することで、ウェブ強度を向上させ、実用性を向上させることができる。熱圧着処理における加熱ロールの温度、圧力、処理速度、エンボスロール模様等は目的に応じて適宜選択することができる。
このようにして得られる本発明の吸着性不織布は、平均繊維径1〜50μmという細い繊維からなり、良好な通気性を有するとともに、可能な限り密な構造を有する不織布とすることがより好ましい。平均繊維径が1μm未満の場合には、不織布としての強度が低下し、通常の取扱いのできる程度の不織布強度を確保することができず、極めて取扱い難い不織布となってしまう可能性が大きい。逆に平均繊維径が50μmを超えると、練り込んだ活性炭粒子が繊維内部に埋没してしまう可能性が高く、これら埋没してしまった活性炭粒子が外界と接触できないために、得られた不織布の活性が低いものとなってしまう。
さらには、繊維径の太いメルトブロー不織布の場合、硬く脆く、折り曲げることの困難なシートになる可能性が高く、使用時の加工性に劣る不織布となってしまうばかりか、例えば、本発明の目的用途の一つである活性炭フィルターとして使用した場合、フィルターとしての機能を全く担う能力のない活性炭練り込み不織布となってしまうケースも出てくる。また、該不織布の目付としては10〜100g/m程度がコスト的にも好ましい範囲である。
また、本発明の吸着性不織布は、フラジール法で測定した際、1〜600cc/cm・秒の通気度を有していることが好ましい。適度な通気度を有するということは、被吸着物を含む空気が、不織布のより内部まで到達可能ということであり、本発明の不織布の性能を発現するために重要なファクターの一つである。この通気度は、1cc/cm・秒未満では、不織布の周囲に被吸着物を含む雰囲気が到達したとしても、充分に不織布内に到達することが難しく、一方で600cc/cm・秒を超えるような通気度では、不織布に該雰囲気が到達しても、容易に通過してしまうため、充分な接触時間を確保しにくくなる場合がある。
本発明の吸着性不織布を用いる場合、用途によっては、さらに高い活性を必要とする場合が考えられる。あるいは活性そのものよりも、速い吸着速度が必要な場合も考えられる。
このような場合には、原料樹脂に対し、紡糸後に抽出可能な特定成分を混合することにより、その目的が達成可能である。特に本発明においては、不織布繊維内への残存が懸念されたり、その取扱いに特別の配慮が必要な溶剤を用いることのない抽出除去法、すなわち水浴、熱水浴、あるいは蒸気による抽出除去が安全、環境保全性の点から好ましい。このような観点から、その成分として界面活性剤や水溶性樹脂等が挙げられる。本発明では、その目的が達成されるのであれば、かかる成分についても限定はないが、抽出後の活性炭への経路の確保や生産性等を考慮すると水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールを用いることが最も好ましい。
熱可塑性ポリビニルアルコールを本発明の原料樹脂(第1成分)に練り込み、さらに活性炭粒子と同時に第2成分であるポリエチレン樹脂にて樹脂内に分散させた状態で不織布とし、得られた不織布を水浴、熱水浴あるいは高圧スチーム流に曝露することによりポリビニルアルコール成分を溶解除去し、繊維表面に多数の窪みおよび/または繊維内部に向かう微小孔を発現させる。そしてこの窪みおよび/または繊維内部に向かう微小孔により、繊維表面から活性炭粒子表面までの経路を確保するのである。この経路を設けることにより、練り込んだ活性炭のうち、活性を充分に発揮できていなかった部分と繊維樹脂外部との直接的な接触が確保できるのである。このことにより、練り込んだ活性炭のうち、その活性を発現できないでいた樹脂内部側部分も活性に寄与可能となり、さらに外気成分がこの経路を経て活性炭に届くようになるため吸着速度が向上するのである。
そして、これらの窪みおよび/または繊維内部に向かう微小孔は、種々の形状を有するが、繊維表面において、それが概ね連続するストライプ状であるならばその幅は0.1μm以上が好ましい。またその深さは、0.1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。この深さが0.1μm未満では、不織布構成繊維の表面積向上による活性炭と雰囲気との接触確率が低くなってしまい、期待する効果が得られない場合がある。逆に10μmを超えると繊維の強度を著しく低下させてしまう可能性が高くなり、好ましくない。
一方、この形状が不連続の窪みおよび/または微小孔である場合は、その繊維表面における開口部が概ね長方形の場合、長辺と短辺の和の1/2がおよそ0.1〜10μm、また、概ね楕円形の場合は長径と短径の和の1/2が、およそ0.1〜10μmの大きさを有していることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。また、これらの深さについては0.1〜25μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。特に微小孔の場合は、任意の繊維断面を観察することで表面から繊維内部まで連続していることが確認できる。これらの窪みや微小孔により得られる効果は、繊維表面積を上げ、活性炭と外気との接触面積をより大きく保つことであるため、この大きさが小さすぎると活性炭と雰囲気との接触確率が低くなってしまい効果が期待できなくなり、また、大きすぎると繊維の強度を著しく低下させてしまう可能性が高くなり、好ましくない。
さらに、その個数は、本発明の吸着性不織布を構成する繊維の長さ方向において、50μm当たり少なくとも1個以上、好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上の窪みおよび/または微小孔を有することで目的の効果を発現するのである。
本発明において第3成分として用いられる熱可塑性ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する場合がある)としては、ポリビニルアルコールのホモポリマーおよび、共重合、末端変性、および後反応により官能基を導入した変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本発明に用いられるPVAの粘度平均重合度(以下、重合度と略記する場合がある)は200〜500が好ましく、230〜470がより好ましく、250〜450が特に好ましい。重合度が500を超えると安定に吐出することができない。また、重合度が200未満の場合には、紡糸時に十分な曳糸性が得られないため、繊維形成そのものが困難である。
またPVAの鹸化度は90〜99.99モル%が好ましく、92〜99.98モル%がより好ましく、93〜99.97モル%がさらに好ましく、94〜99.96モル%が特に好ましい。鹸化度が90モル%未満の場合にはPVAの熱安定性が悪く、熱分解やゲル化によって満足なメルトブロー紡糸を行うことが困難となる場合がある。
一方、鹸化度が99.99モル%よりも大きいPVAは安定に製造することができない。
本発明に使用されるPVAは、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位以外の単量体単位を含有していることが好ましい。この単量体の含有量は、5〜25モル%の範囲にあることが好ましい。これは、本発明のように樹脂を熱溶融させるシステムで用いる場合に、5モル%未満では、溶融時の樹脂の安定性が悪く溶融押出時に樹脂の分解が同時に進行してしまう危険性が高いため好ましくない。また25モル%を超えると、樹脂の水溶性が低下するため、最終段階での熱水による抽出ができなくなる可能性が高い。
本発明に適するビニルアルコール単位およびビニルエステル単位以外の単量体単位の具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類に由来する単量体が好ましい。
中でも共重合性、曳糸性、繊維の水溶解性を示す観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類がより好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に0.1〜25モル%存在していることが好ましく、4〜15モル%がさらに好ましく、6〜13モル%が特に好ましい。
さらに、α−オレフィンがエチレンである場合は、紡糸時の曳糸性が良好となり、平均繊維径50μm以下の繊維が安定して形成されることから、特にエチレン単位が3〜20モル%、より好ましくは6〜13モル%導入された変性PVAを使用することが好ましい。
このようにして得られたPVA樹脂を、上述したポリプロピレン系樹脂等の第1成分、および第2成分(ポリエチレン樹脂)、既に述べた活性炭粒子とともに所定の比率で混合して溶融押出し、メルトブロー法等により不織布化する。そして得られた不織布を水浴に通すことによりPVA成分を溶出除去することで外界から繊維内部の活性炭粒子までの経路を造ることにより、より高度な活性を確保するのである。
このようにして得られた活性炭練り込み不織布は、さらに優れた吸着能力と吸着速度を確保することができるのである。
そして、このPVAからなる第三成分は、本発明の目的とする性能を高度に達成するため、熱可塑性繊維形成性樹脂からなる第一成分100質量部に対し、好ましくは5〜20質量部の割合、より好ましくは5〜15質量部、さらに好ましくは10〜15質量部の割合で既に述べた第二成分および活性炭粒子と共に添加することが好ましい。
第三成分の割合が5質量部未満の場合、繊維化すなわち不織布化した後に該成分を抽出しても、構成繊維表面に所望の窪みを形成することが難しく、得られた不織布の吸着能力あるいは吸着速度を確保することができない場合がある。また、20質量部を超えると、これらの混合樹脂の繊維形成性を維持することが難しく、目的とする不織布の生産性が確保できなくなる場合がある。
溶解処理温度は目的に応じて適宜調整すればよいが、熱水を用いて抽出する場合には、40〜120℃で処理するのが好ましく、60〜110℃で処理するのがより好ましく、80〜100℃で抽出処理を行うのが特に好ましい。処理温度が40℃より低い場合、PVAの抽出性が十分でなく、生産性が低下する場合がある。
抽出処理時間についても、目的や使用する装置、処理温度に応じて適宜調整が可能であるが、生産効率、安定性等を考慮すると、バッチ処理を行う場合には合計で0.3〜200分であることが好ましく、連続処理の場合は0.4〜20分であることが好ましい。
この他にも必要に応じて、数種の活性炭の混合物、あるいは活性炭の活性を阻害するものでなければ活性炭以外のものを混合しても構わない。
本発明の吸着性不織布を構成する繊維は、活性炭含有樹脂部と他の粒子あるいは薬剤を含んだ樹脂あるいは何も含まない樹脂との複合繊維であっても良い。芯鞘型の場合は、活性炭を含有する樹脂を鞘側に配することが望ましい。
このようにして得られた本発明の吸着性不織布は、練り込まれている活性炭粒子が複雑な多孔性構造を有し、膨大な細孔容積を有するため、着色物質、臭気成分などに対する吸着力を有し、必要とする用途に優れた効果を発揮する。さらに、その成分の大半を占める主体樹脂の性質をも併せもっており、補強その他の目的に応じて他の不織布(例えば、スパンボンド不織布、乾式不織布、湿式不織布など)や織物、編物、網状物、フィルム等と積層して各種製品に用いることができる。具体的には、食品(例えば、糖類・酒醸・油脂用の脱色)、医薬品、工業薬品などの脱色、脱臭、精製、浄水用、水処理用、触媒担体などに用いることができる。
また、冷蔵庫の脱臭、エアコンやファンフィルター、空気清浄器のフィルター、水道水中のカルキ臭やカビ臭を除去する浄水器としての使用が可能であり、さらに、タバコのフィルターや靴の中敷、生理用ナプキン等にも使用可能である。
そのほかにも冷蔵庫、下駄箱やトイレの脱臭等の嫌なニオイの除去、水道水中の塩素臭の除去、空気の清浄、野菜の鮮度保持、ゴミ臭の除去、アレルゲン物質の除去などの各種用途に応じて優れた機能を発揮するシート材としても使用可能である。
また、本発明の吸着性不織布は、製品の製造段階でその一部に用い、第3成分を溶解除去することによって最終製品に至るような中間資材的な使用も可能であり、また、本発明の不織布を積層製品の一層に用いることも可能と考えられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性値は、以下の方法にて測定した。また、実施例中の%は断りのない限り質量に関するものである。
1.MFR
JIS K7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠し、各樹脂について、下記条件にて測定した。
ポリプロピレン:230℃、2.16kg荷重
エチレン−1−オクテン共重合体:190℃、2.16kg荷重
2.ポリアミドの相対粘度
98%硫酸を溶媒として用い、試料であるポリアミド樹脂を1g/100cmの濃度となるよう溶解した溶液について、粘度計を用いて温度25℃で測定した溶媒および溶液の流下時間より次式により求めた。
相対粘度=t/t0
ただし、tは溶液の流下時間(秒)
0は溶媒の流下時間(秒)
3.ポリエステルの固有粘度
フェノールとテトラクロロエタンの等量混合溶媒を用い、試料であるポリエステル樹脂を1g/100cmの濃度となるよう溶解した溶液について、粘度計を用いて30℃での溶媒および溶液の流下時間を測定し、下記式から算出した。
[η]=lim ηsp/C
ηsp=(t−t0)/t0=(t/t0)−1
ただし、
t:溶液の流下時間(秒)
t0:溶媒の流下時間(秒)
C:重合体の濃度(g/L)
4.目付・厚さ
JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」に準拠して測定した。
5.強度・伸度
JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」に準拠して測定した。
6.通気度
JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」のフラジール法に準拠して測定した。
7.平均繊維径の測定
走査型電子顕微鏡を用いて、不織布の表面を1000倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そして、これら繊維の100本の平均値を平均繊維径として用いた。
ただし、該当する繊維が不鮮明であったり、複数本重なるなどして1本の繊維径を測定できない場合は、測定対象から除外した。
8.活性炭および活性炭練込み不織布の活性評価
JIS K1474「活性炭試験方法」に準じ、10倍希釈のベンゼン混合空気を用いて、ベンゼンの吸着量を測定し、未使用の活性炭粒子と、不織布内に練りこんだ状態の活性炭におけるこの値を基に下記式にて活性保持率を測定した。
なお、各吸着量は、ベンゼン雰囲気中に検体を曝露してから0.5時間後及び3時間後の検体について実施した。
活性保持率(%)=(不織布に練りこんだ活性炭におけるベンゼン吸着量)/(相当量の未加工活性炭への吸着量)×100
熱可塑性繊維形成性樹脂(第1成分)としてMFR=1200g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、これに分子量1700の低分子量ポリエチレン樹脂(第2成分)と、活性炭粒子(ベンゼンガス吸着率31%、平均粒径0.4μm)とを混合比が100:1:50(質量比)となるように二軸押出機にて300℃で溶融混練しながら押出し、該溶融ポリマー流をダイヘッドに導き、ギヤポンプで計量し、直径0.4mmφの孔を1.0mmピッチで一列に並べたメルトブローノズルから吐出させ、同時にこの樹脂に300℃の熱風を噴射して吐出した繊維を成形コンベア上に捕集し、目付100.5g/mのメルトブロー不織布を得た。この時の樹脂の単孔吐出量は0.5g/分/孔であり、熱風量は0.7Nm3/分/cm幅であり、ノズルと捕集コンベア間の距離は55cmであった。
上記不織布の製造条件を表1に、得られた不織布の物性を表2に示す。得られた吸着性不織布は、単独の活性炭粒子に比べ、吸着速度がやや劣るものの、ほぼ同等の吸着性能を示し、なおかつ不織布を手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
実施例1において、捕集コンベア上流側からコンベア上に目付20g/mのポリプロピレンスパンボンド不織布(出光ユニテック株式会社製、「ストラテックRN2020」)を巻出してメルトブローノズル下部の成形コンベア上を通過させ、メルトブローノズルより噴出する繊維流をこのスパンボンド不織布上に直接噴き付け、メルトブロー不織布を形成させた。このときにダイと捕集コンベアとの距離を15cmとし、積層体におけるメルトブロー不織布の目付が約50g/mとなるようにコンベア速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布合計で70.4g/mの目付を有する、本発明の吸着性不織布を得た。結果を表1および表2に示す。
得られた不織布積層体は、手で揉んだ程度では、両者が剥離することなく、また実施例1の不織布同様、単独の活性炭粒に比べ、吸着速度がやや劣るものの、ほぼ同じ吸着性能を示し、なおかつ手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は容易には脱落しなかった。
第1成分として、相対粘度2.1のナイロン6樹脂を用い、紡糸条件を表1に示した条件としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布も、実施例1と同様、単独の活性炭粒に比べ吸着速度がやや劣るものの、ほぼ同じ吸着性能を示し、なおかつ手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は容易には脱落しなかった。
第1成分として、固有粘度7.0のポリブチレンテレフタレート樹脂を用い、紡糸条件を表1に示した条件としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布も、実施例1と同様の吸着性能を示し、かつ手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
第1成分として、MFR=100g/10分のエチレン−1−オクテン共重合体を用い、紡糸条件を表1に示した条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布も、実施例1と同様の吸着性能を示し、かつ手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
活性炭粒子として平均粒径3.2μmのものを用い、単孔吐出量を0.4g/分・孔としたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布は活性保持率が少し低くなったものの、十分な値を示した。また、手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
活性炭粒子として平均粒径8.1μmのものを用い、単孔吐出量を0.2g/分・孔、熱風量を0.5Nm3/分/cm幅としたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布も活性保持率が少し低くなったものの、十分な値を示した。また、手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
第1成分、第2成分、および活性炭粒子の混率をそれぞれ質量比で100:1:10とし、紡糸条件を表1に示した条件としたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布は30分後の活性保持率が低くなったものの、180分後では充分な活性保持率を示していた。また、手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
第1成分、第2成分、および活性炭粒子の混率をそれぞれ質量比で100:0.5:3とし、紡糸条件を表1に示した条件としたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布も実施例8と同様に30分後の活性保持率が低くなったものの、180分後では充分な活性保持率を示していた。また、手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
第1成分、第2成分、および活性炭粒子の混率をそれぞれ質量比で100:2:100とし、紡糸条件を表1に示した条件としたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の吸着性不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。この不織布は、他の例と比べ活性炭粒子の混率が高いため、30分後における活性保持率についても高い値を示した。また、手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂として、JIS K6726に準じて測定した粘度平均重合度が330、鹸化度98.4モル%、そして206℃の融点を有する、15モル%エチレン変性PVA樹脂を準備した。
このPVA樹脂を第3成分として用い、実施例1で用いた第1成分、第2成分、そして活性炭粒子と混合して、メルトブロー法により不織布を得た。この時の原料樹脂は、第1成分:第2成分:活性炭:第3成分の質量比100:1:50:10であった。
この不織布を、約90℃にした熱水浴に合計30秒間浸漬されるように不織布を通過させ、次いで約130℃の熱シリンダーを通過させて乾燥し、本発明の吸着性不織布を得た。
このとき、水浴の水は、浴比≧1000となるようにし、約1時間で全ての水が入れ替わるように注水および排水を行なった。この処理によりPVA樹脂はその殆どが水浴中に溶出し、処理後における不織布の重量は、処理前の95%となったことから、PVA樹脂は、その殆どが溶出したと判断した。結果を表1および表2に示す。この不織布は、高い繊維表面積を有しているため、30分後における活性保持率についても高い値を示した。また、手で触ったり、折り畳む等しても活性炭は脱落しなかった。
この不織布の繊維について、走査型電子顕微鏡写真を撮影し観察したところ、繊維表面に多数のクレーター状あるいは線状の窪みおよび繊維内部へ向かう微小孔を有しており、その大きさ(長径と短径の和の1/2)は、繊維表面の任意の100箇所における平均値で1.7μmであり、50μmの繊維長にわたる窪みや微小孔の数は、合計で約20程であった。
Figure 2007107117
Figure 2007107117
比較例1
平均粒子径が17μmの活性炭粒子を用い、紡糸条件を表1に示した条件としたこと以外は、実施例1と同様にして不織布を製造しようとしたが、運転開始直後にノズル孔およびノズルフィルターに詰まりが発生してしまい、不織布を製造できなかった。
比較例2
第1成分、第2成分、および活性炭粒子の混率をそれぞれ質量比で100:0:50、すなわち第2成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして不織布を製造しようとしたところ、ノズルから押出される繊維が切断され、安定に紡糸することができず、出てきた樹脂は粒状の固まりとなってコンベア上に押出されたため不織布の形態にすることができなかった。そこで、実施例2と同様にスパンボンド不織布上に直接樹脂流を吹き付けて、不織布を得たが、吹き付けられた樹脂流は、繊維形状を維持しておらず、スパンボンド不織布上に樹脂塊が付着しているような形態となった。
この不織布を手で揉むと、表面に付着している樹脂塊が容易に脱落してしまった。また、このシートの吸着性能は、吸着速度が非常に遅く、また吸着量も少なかった。
比較例3
第1成分、第2成分、および活性炭粒子の混率をそれぞれ質量比で100:1:1としたこと以外は、実施例1と同様にして不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。
この不織布は、ある程度の吸着性能を示したものの、その吸着率は非常に低く、また吸着速度も遅く、とても実用性のあるものではなかった。
比較例4
第1成分、第2成分、および活性炭粒子の混率をそれぞれ質量比で100:0.5:1としたこと以外は、実施例1と同様にして不織布を製造した。結果を表1および表2に示す。
この不織布は、ある程度の吸着性能を示したものの、その吸着率は非常に低く、また吸着速度も遅く、とても実用性のあるものではなかった。
比較例5
第1成分、第2成分、および活性炭粒子の混率をそれぞれ質量比で100:5:250としたこと以外は、実施例1と同様の方法で不織布を製造しようとしたところ、配管およびギヤポンプに樹脂および活性炭が目詰りしてしまい、押出ができなくなってしまった。

Claims (2)

  1. 熱可塑性繊維形成性樹脂からなる第1成分100質量部に対し、重量平均分子量が5000以下のポリエチレンからなる第2成分を0.1〜20質量部、平均粒径が10μm以下である活性炭粒子を2.0〜120質量部含有する樹脂からなり、平均繊維径が1〜50μmであることを特徴とする吸着性不織布。
  2. 繊維表面に多数の窪みおよび/または繊維内部へ向かう微小孔を有する請求項1に記載の吸着性不織布。
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