JP2004244758A - ナノファイバーを含む繊維構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた吸湿・吸着性能を持ちながら、近年の洋風化された住宅にも自然に溶け込め、また耐久性にも優れた材料としてナノファイバーを含む繊維構造体を提供するものである。また、これを用いて、住宅環境の改善にとどまらず、快適衣料や産業資材やメディカル材料の性能向上等、現代社会の様々なニーズに応えられる材料を提供するものである。
【解決手段】有機ポリマーからなる下記特性のナノファイバーを少なくとも10重量%含有し、繊維の目付が20〜2000g/mである繊維構造体およびそれを用いた繊維製品。
数平均による単繊維繊度=1×10−7〜1×10−4dtex
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気や有害物質の吸着能力に優れたナノファイバーを含む繊維構造体とその繊維構造体を含む繊維(利用)製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅の高気密化や高断熱化が進み、一見住環境の快適性が高くなったように見えるが、実は室内の通気性が悪化したり、家屋自身が自律的な調湿機能を失ったため種々の問題が発生している。具体的には、床や天井、室壁面等に湿気が溜まりやすく、ダニやカビが発生しやすく、さらには室壁と外壁の間等に結露が発生しやすく、建物そのものの腐食が進み、大きな社会問題になっている。
【0003】
一方、伝統的な日本家屋では、木材や畳あるいは土壁等の自律的な調湿機能を有する材料がふんだんに使用されており、いわば家屋が呼吸し湿度を整えていた。しかしながら、最近は調湿機能を有しない合成樹脂等の化学製品からなる建築材料や壁紙が、木材や土壁に取って代わっている。また、洋風化の進んだ近年の住宅では、床材として木材を使用していても表面に透湿性の無い塗料が塗られていたり、化学加工されていたりして十分な調湿機能を発揮できなくなっていた。さらに、室内のインテリアに目を向けても、伝統的な日本家屋では障子やふすま、木製家具のような木材の加工品がふんだんに使用されていたが、これらも同様に調湿機能を有しない合成樹脂等の化学製品からなるものに取って代わられている。 このため、一般的にはエアコンを用い温度や湿度を整えようとしているが、実際にはエアコン風が当たるところとそうでないところで、温度と湿度に大きな違いが生じやすく、十分な効果が得られないばかりか、過度の冷房や暖房を誘発しさらに住環境を悪化させてしまう問題があった。加えて、過度の乾燥により、風邪等のウイルスが増加したり、静電気が発生し易くなり住人の健康に障害をもたらすこともあった。
【0004】
このため、自律的な調湿機能を有するメソポーラスシリカを含有した調湿層を基材の上に有する調湿性シートが提案されている。これによれば、自律的に湿度を50〜65%の間に調整できることが示されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、メソポーラスシリカを含有する調湿層と基材の剥離が発生しやすく、耐久性が悪いという問題があった。さらに、メソポーラスシリカを含有する調湿層を80μmもの厚さでコーティングするため、例えば、衣料やカーテン、カーペット、寝具あるいは詰め綿のようなソフト性や風合いが要求される繊維製品分野には展開不可能であり、適用用途に大きな制限があった。また、カーシートと人体の間のムレ感低減を狙い、メソポーラスシリカを高分子ラテックスを用いて布地に塗布したシート表皮材が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献1と同様に、メソポーラスシリカを含有する高分子ラテックス層と布地の間の剥離による耐久性不良や、風合い硬化による用途展開に大きな制限があるという問題があった。
【0005】
ところで、近年の住宅環境は上記した調湿の問題以外にもシックハウス症候群という大きな問題が発生している。これは、建材や塗料等に含まれるホルムアルデヒド等の揮発性有害物質(VOC)が徐々に揮発するのであるが、高気密住宅ではこのVOCが戸外に排出されず、住宅内に高濃度に充満してしまい、それを吸入した人間が化学物質過敏症やめまい等の体調不良を訴えるものである。これについては、壁に珪藻土等を塗り込むという工夫もされているが、このような塗り壁は、近年の洋風化した住宅にはなじまないため、一戸あたりに占める塗り壁の割合は十分ではなく、シックハウス症候群の解決には至っていないのが現状である。
【0006】
このため、優れた吸湿・吸着性能を持ちながら、近年の洋風化された住宅にも自然に溶け込め、また耐久性にも優れた材料が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−43179号公報(1〜5ページ)
【0008】
【特許文献2】
特開平9−310282号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、優れた吸湿・吸着性能を持ちながら、近年の洋風化された住宅にも自然に溶け込むことができ、また耐久性にも優れた材料としてのナノファイバーを含む繊維構造体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、これを用いて、住宅環境の改善にとどまらず、快適衣料や産業資材やメディカル材料の性能向上等、現代社会の様々なニーズに応えられる材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、下記繊維構造体により達成される。すなわち、本発明の繊維構造体は、有機ポリマーからなる下記特性のナノファイバーを少なくとも10重量%含有し、繊維の目付が20〜2000g/mであるナノファイバーを含む繊維構造体である。
【0011】
数平均による単繊維繊度=1×10−7〜1×10−4dtex
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維構造体は、有機ポリマーからなるナノファイバーを含有している。 本発明でいう有機ポリマーとは、ポリエステルやポリアミド、またポリオレフィンに代表される熱可塑性ポリマーや、フェノール樹脂等のような熱硬化性ポリマー、あるいはDNAのような生体ポリマーのことを言うが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましく用いられる。中でも、ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、ポリマーの融点は165℃以上であるとナノファイバーの耐熱性が良好であり好ましい。例えば、ポリ乳酸(PLA)の融点は170℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)は255℃、ナイロン6(N6)は220℃である。また、ポリマーには、粒子、難燃剤あるいは帯電防止剤等の添加物を含有させていても良い。また、ポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。
【0013】
本発明で言うナノファイバーとは、単繊維直径が1〜250nmの繊維を言うものであり、それが集合したものをナノファイバー集合体と言う。そして、本発明では、このナノファイバー集合体中の単繊維繊度の平均値が重要である。これは、ナノファイバー集合体の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単繊維直径を測定するが、これを少なくとも5カ所以上で行い、合計1500本以上の単繊維直径を測定することで求めることができる。これらの測定においては、ナノファイバー集合体から得られる繊維構造体あるいは繊維製品の均一性を保証する観点から、別々の場所をサンプリングすることが好ましい。
【0014】
ここで、単繊維繊度の平均値(数平均)は以下のようにして求める。すなわち、測定した単繊維直径から繊度を計算し、それの単純な平均値を求める。本発明では、これを「数平均による単繊維繊度」と呼ぶ。本発明では、数平均による単繊維繊度は1×10−7〜1×10−4dtex(単繊維直径で1〜100nm相当)であることが重要である。これは、通常の繊維に比べて繊度で1/1000000程度、従来の海島複合紡糸による超極細糸に比べても1/1000〜1/10000という細さであり、従来の繊維はおろか、従来の超極細糸とも全く異なる質感を持った衣料用布帛やインテリア用布帛とすることができる。数平均による単繊維繊度は、好ましくは1×10−5〜6×10−5dtex(単繊維直径で40〜80nm相当)である。
【0015】
また、ナノファイバーの単繊維繊度ばらつきは、以下のようにして評価する。すなわち、ナノファイバーそれぞれの単繊維繊度をdtとしその総和を総繊度(dt+dt+…+dt)とする。また、同じ単繊維繊度を持つナノファイバーの頻度(個数)を数え、その積を総繊度で割ったものをその単繊維繊度の繊度比率とする。これは全体(ナノファイバー集合体)に対する各単繊維繊度成分の重量分率(体積分率)に相当し、これが大きい単繊維繊度成分がナノファイバー集合体の性質に対する寄与が大きいことになる。本発明では、繊度比率の60%以上が1×10−7〜1×10−4dtex(単繊維直径で1〜100nm相当)の範囲にあることが好ましい。すなわち、1×10−4dtex(単繊維直径で100nm相当)より大きいナノファイバーの存在がゼロに近いことを意味するものである。これにより、ナノファイバーの機能を十分発揮することができ、また製品の品質安定性も良好とすることができ、例えば、産業資材の一種であるハードディスク用の表面研磨布に用いた場合、繊度ばらつきが小さいため、ナノファイバーでも砥粒を均一坦持することが可能となり、結果的にハードディスク表面の平滑性を飛躍的に向上することができるのである。さらに、従来よりも圧倒的に細いナノファイバーにより繊維構造体表面が覆われると気体や液体のバリア性が高くなる場合もある。より好ましくは、繊度比率の60%以上が1×10−7〜6×10−5dtex(単繊維直径で1〜80nm相当)の範囲である。さらに好ましくは、繊度比率の75%以上が1×10−7〜6×10−5dtex(単繊維直径で1〜80nm相当)の範囲である。
【0016】
また、繊度ばらつきのもう一つの指標は、単繊維直径差が30nmの幅に入る単繊維の繊度比率であるが、これは、中心繊度付近へのばらつきの集中度を意味しており、この繊度比率が高いほどばらつきが小さいことを意味している。本発明では、単繊維直径差が30nmの幅に入る繊維糸の繊度比率が50%以上であることが好ましい。より好ましくは70%以上である。
【0017】
また、本発明ではナノファイバー集合体は、長繊維および/または紡績糸形状となっていることが好ましい。ここで、長繊維および/または紡績糸形状とは、以下の状態を言うものである。すなわち、ナノファイバー同士が1次元で配向した集合体が有限の長さで連続している状態を言うものである。本発明の長繊維および/または紡績糸形状のナノファイバー集合体の長さは、通常の長繊維や紡績糸同様に数m以上であると好ましい。これにより、織物や編物はもとより短繊維や不織布、あるいは熱圧縮成形体等の様々な繊維製品とすることができる。
【0018】
また、本発明のナノファイバーは、単繊維直径が従来繊維よりも圧倒的に細いため、比表面積が飛躍的に大きくなるという特徴がある。このため、次のように通常の繊維では見られなかったナノファイバー特有の性質を示す。
【0019】
例えば、吸着特性の大幅な向上が挙げられる。実際に、水蒸気の吸着、すなわち吸湿性能を本発明の単繊維繊度10−5detxレベルのポリアミドナノファイバー集合体と単繊維繊度10−2dtexレベルの通常のポリアミド超極細糸で比較してみると、通常のポリアミド超極細糸では吸湿率が2%程度なのに比べ本発明のポリアミドナノファイバー集合体では吸湿率が6%に達する場合もあった。この吸湿性能は、住宅環境の調湿という意味合いだけでなく快適・高級衣料でも非常に重要な特性であり、本発明では4%以上とすることが好ましい。なお、繊維学会誌、vol.57、69(2001).には、ナイロン繊維の吸湿の寄与は、繊維全体としての吸湿量の1/1000程度であることが記載されており、本発明のナノファイバーのように比表面積を従来よりも飛躍的に大きくすることで、従来考えられなかった吸着性能を引き出すことができるのである。
【0020】
また、吸着した物質の脱着性能も重要であるが、本発明のナノファイバーでは、吸着された分子はナノファイバー表面に緩く束縛されているだけであり、乾燥機や天日干しで簡単に脱着し、吸着材料として再使用可能である。
【0021】
さらに、本発明のナノファイバー集合体では、ナノファイバー同士に多数の数nm〜100nm程度の隙間が生まれるため、吸着される分子が自由に出入りでき、吸脱着が容易となることを助けている。
【0022】
なお、本発明のナノファイバーを含む繊維構造物には、必要に応じて吸着剤を含有させることも可能である。これは、有害物質を選択的に吸着させるときに有効である。吸着剤としては、例えば、金属ハロゲン化物のような酸性物質を用いると、トリメチルアミンのような塩基性物質の吸着効率が向上する。逆に、ポリアミン系のような塩基性物質を用いると、イソ吉草酸のような酸性物質やアルデヒドガス類の吸着効率が向上する。
【0023】
なお、本発明のナノファイバー集合体を衣料用途に用いると、絹のようなきしみ感やレーヨンのようなドライ感のある優れた風合いの繊維製品を得ることができる。さらに、バフィング処理やシリコーン等の薬剤処理等により、ナノファイバー集合体からナノファイバーを開繊させることにより、従来では考えられなかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたタッチの優れた風合いの繊維製品を得ることもできる。
【0024】
本発明で言う繊維構造体とは、主として繊維からなる1次元、2次元、3次元の構造体一般のことを言うが、1次元の例としては長繊維、短繊維、紡績糸、ロッド等、2次元の例としては織編物や不織布等の布帛、シート等、3次元の例としては布帛から成るモジュールや組み紐、熱成形体、綿等が挙げられる。また、本発明では、この繊維構造体からなる衣料品、カーテン、カーシートおよびカーペット等を繊維製品と呼ぶ。また、本発明では、この繊維構造体とフィルムや筒等の他の材料を組み合わせたものは繊維構造体を用いた繊維利用製品と呼ぶ。この例としては空気清浄機、浄水器、建材、細胞吸着カラムおよび自動車部品等が挙げられる。
【0025】
本発明の繊維構造体は、上記したようなナノファイバーによって、従来考えられなかった種々の機能や風合いを発現させることができるが、ナノファイバーの特徴を十分発揮させるためには、繊維構造体全体に対してナノファイバーを10重量%以上含むことが重要である。ナノファイバーの含有量の最適値は繊維製品の種類によって異なってくるが、吸湿・吸着機能を十分発現させるためには50重量%以上とすることが好ましい。
【0026】
また、本発明の繊維構造体の繊維目付は、20〜2000g/mとすることが重要である。ここで、繊維目付とは繊維重量を繊維部分の面積で割った値であり、目付が小さいほど軽くできるが構造がルーズとなり寸法安定性や耐久性に劣り、目付が大きいほど重くなるが構造がしっかりし寸法安定性や耐久性が向上する。特に本発明では、ナノファイバーを用いているために寸法安定性や耐久性が悪化しがちであるため、目付を20g/m以上として寸法安定性や耐久性を確保することが特に重要である。また、目付を2000g/m以下とすることによってある程度の軽さも確保することができる。目付の最適値は繊維製品の種類によって異なってくるが、包装用の不織布等では25〜40g/m程度と軽く、衣料用では50〜200g/m程度、カーテン等では100〜250g/m程度、カーシート等では100〜350g/m程度、カーペット等の重量品では1000〜1500g/m程度とすることが好ましい。特に、洗濯を要する製品では洗濯時の形くずれを防止するために50g/m以上であることが好ましい。
【0027】
また、本発明のナノファイバーは寸法安定性を向上させるために、有機カプセルに閉じこめられていたり、他の繊維と混用されていても良い。有機カプセルとして中空繊維を用いるとナノファイバーを中空部に含むために、吸着性能を保持したまま寸法安定性や製品の取り扱い性が格段に向上する。また、ナノファイバーを他の繊維と混用する場合は、混繊や交織・交編のような衣料用の手法以外に、布帛の貼り合わせのような不織布の手法や、他の基質(膜・フィルムや板・棒等)で固定する手法等も用いることができる。
【0028】
本発明のナノファイバー集合体の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法を採用することができる。
【0029】
すなわち、溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上のポリマーをアロイ化したポリマーアロイ溶融体となし、これを紡糸した後、冷却固化して繊維化する。そして必要に応じて延伸・熱処理を施しポリマーアロイ繊維を得る。そして、易溶解性ポリマーの方をその溶剤で溶解除去することにより、本発明のナノファイバー集合体を得ることができる。
【0030】
ここで、ナノファイバー集合体の前駆体であるポリマーアロイ繊維中で易溶解性ポリマーを海(マトリックス)、難溶解性ポリマーを島(ドメイン)となし、その島サイズを制御することが重要である。ここで、島サイズは、ポリマーアロイ繊維の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察し、直径換算で評価したものである。前駆体中での島サイズによりナノファイバーの直径がほぼ決定されるため、島サイズの分布は本発明のナノファイバーの直径分布に準じて設計される。このため、アロイ化するポリマーの混練が非常に重要であり、本発明では混練押出機や静止混練器等によって高混練することが好ましい。なお、単純なチップブレンドでは混練が不足するため、本発明のような数十nmサイズで島を分散させることは困難である。
【0031】
具体的に混練を行う際の目安としては、組み合わされるポリマーにもよるが、混練押出機を用いる場合は、2軸押出混練機を用いることが好ましく、また静止混練器を用いる場合は、その分割数は100万以上とすることが好ましい。
【0032】
また、島を数十nmサイズで超微分散させるには、ポリマーの組み合わせも重要である。
【0033】
島ドメイン(ナノファイバー断面)を円形に近づけるためには、島ポリマーと海ポリマーは非相溶であることが好ましい。しかしながら、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島ポリマーが十分超微分散化し難い。このため、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメータ(SP値)である。SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近い物同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は、種々のポリマーで知られているが、例えば、「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m1/2であると、非相溶化による島ドメインの円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えば、N6とPETはSP値の差が6(MJ/m1/2程度であり好ましい組合せの例であるが、N6とポリエチレン(PE)はSP値の差が11(MJ/m1/2程度であり好ましくない例として挙げられる。
【0034】
ポリマー同士の融点差が20℃以下であると、特に押出混練機を用いた混練の際、押出混練機中での融解状況に差を生じにくいため高効率混練しやすく、好ましい態様である。また、熱分解や熱劣化し易いポリマーを1成分に用いる際は、混練や紡糸温度を低く抑える必要があるが、これにも有利となるのである。ここで、ポリマーが非晶性ポリマーの場合は、融点が存在しないためガラス転移温度や熱変形温度あるいはビカット軟化温度でこれに代える。
【0035】
さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成するポリマーの方の溶融粘度を低く設定すると剪断力による島ポリマーの変形が起こりやすいため、島ポリマーの微分散化が進みやすくナノファイバー化の観点からは好ましい態様である。ただし、島ポリマーを過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島ポリマー粘度は海ポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。
【0036】
また、島ポリマーのブレンド比は繊維構造体の目付を高くする観点から重要である。例えば、島ポリマーのブレンド比が10重量%であると、残りの90重量%の海ポリマーを全て除去すると、繊維構造体の目付は最初の1/10程度となるため、繊維構造体がルーズな構造となり寸法安定性が大きく低下してしまう。繊維構造体の寸法安定性を向上させるためには、島ポリマーのブレンド比はポリマーアロイ繊維全体に対し20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上である。ただし、島ポリマーのブレンド比を大きくすると島化しにくくなるため、海ポリマーとの溶融粘度バランスにもよるが島ポリマーのブレンド比を60重量%以下とすることが好ましい。
【0037】
ポリマーアロイ中では、島ポリマーと海ポリマーが非相溶であるため、島ポリマー同士は凝集した方が熱力学的に安定である。しかしながら、島ポリマーを無理に超微分散化するために、このポリマーアロイでは通常の分散径の大きいポリマーブレンドに比べ、非常に不安定なポリマー界面が多くなっている。このため、このポリマーアロイを単純に紡糸すると、不安定なポリマー界面が多いため、口金からポリマーを吐出した直後に大きくポリマー流が膨らむ「バラス現象」が発生したり、ポリマーアロイ表面の不安定化による曳糸性不良が発生し、糸の太細斑が過大となるばかりか、紡糸そのものが不能となる場合がある(超微分散ポリマーアロイの負の効果)。このような問題を回避するため、口金から吐出する際の、口金孔壁とポリマーとの間の剪断応力を低くすることが好ましい。ここで、口金孔壁とポリマーとの間の剪断応力はハーゲンポワズユの式(剪断応力(dyne/cm)=R×P/2L)から計算する。ここでR:口金吐出孔の半径(cm)、P:口金吐出孔での圧力損失(dyne/cm)、L:口金吐出孔長(cm)である。またP=(8LηQ/πR)であり、η:ポリマー粘度(poise)、Q:吐出量(cm/sec)、π:円周率である。CGS単位系の1dyne/cmはSI単位系では0.1Paとなる。
【0038】
例えば、通常のポリエステルの溶融紡糸では、口金孔壁とポリマーとの間の剪断応力は1MPa以上であるが、本発明のようなポリマーアロイを溶融紡糸する際は0.3MPa以下とすることが好ましい。このためには、口金孔径は大きく、口金孔長は短くする傾向であるが、過度にこれを行うと口金孔でのポリマーの計量性が低下し、繊度斑や紡糸性悪化が発生してしまうため、吐出孔より上部にポリマー計量部を有する口金を用いることが好ましい。ポリマー計量部は、具体的には孔径を吐出孔より絞った部位とすることが好ましい。
【0039】
また、溶融紡糸での曳糸性や紡糸安定性を十分確保する観点から、口金面温度は海ポリマーの融点から25℃以上とすることが好ましい。
【0040】
上記したように、本発明で用いる超微分散化したポリマーアロイを紡糸する際は、紡糸口金設計が重要であるが、糸の冷却条件も重要である。上記したようにポリマーアロイは非常に不安定な溶融流体であるため、口金から吐出した後に速やかに冷却固化させることが好ましい。このため、口金から冷却開始までの距離は1〜15cmとすることが好ましい。ここで、冷却開始とは糸の積極的な冷却が開始される位置のことを意味するが、実際の溶融紡糸装置ではチムニー上端部でこれに代える。
【0041】
紡糸速度は特に限定されないが、紡糸過程でのドラフトを高くする観点から高速紡糸ほど好ましい。紡糸ドラフトとしては100以上とすることが、得られるナノファイバー直径を小さくする観点から好ましい態様である。
【0042】
また、紡糸されたポリマーアロイ繊維には、延伸と熱処理を施すことが好ましいが、延伸の際の予熱温度は島ポリマーのガラス転移温度(T)以上の温度することで、糸斑を小さくすることができる。
【0043】
このナノファイバー集合体の製造方法は、以上のようなポリマーの組み合わせ、紡糸と延伸条件の最適化を行うことで、島ポリマーが数十nmに超微分散化し、しかも糸斑の小さなポリマーアロイ繊維を得ることを可能にするものである。このようにして糸長手方向に糸斑の小さなポリマーアロイ繊維を前駆体とすることで、ある断面だけでなく長手方向のどの断面をとっても単繊維繊度ばらつきの小さなナノファイバー集合体とすることができるのである。前駆体であるポリマーアロイ繊維のウースター斑は15%以下とすることが好ましく、より好ましくは5%以下である。
【0044】
このようにして得られたポリマーアロイ繊維から海ポリマーである易溶解ポリマーを溶剤で溶出することで、ナノファイバー集合体を得るのであるが、その際、溶剤としては水溶液系の溶剤を用いることが環境負荷を低減する観点から好ましい。具体的には、アルカリ水溶液や熱水を用いることが好ましい。このため、易溶解ポリマーとしては、ポリエステル等のアルカリ加水分解されるポリマーやポリアルキレングリコールやポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体等の熱水可溶性ポリマーが好ましく用いられる。
【0045】
このような製造方法により、繊維長が数十μmから場合によってはcmオーダー以上のナノファイバーがところどころ接着したり絡み合った紡績糸形状のナノファイバー集合体が得られるのである。また、上記製造方法において、特に口金直上に静止混練器を位置させた場合には、ナノファイバーが理論上無限に伸びた長繊維形状のナノファイバー集合体が得られる場合もある。
【0046】
本発明では、従来のナノファイバーとは全く異なり、前駆体であるポリマーアロイ繊維を延伸・熱処理することにより、ナノファイバーも延伸・熱処理することが初めて可能となったため、引っ張り強度や収縮率を自由にコントロールできるようになった。ここで、本発明のナノファイバー集合体の強度は、1cN/dtex以上であれば繊維製品の力学物性を向上できるため好ましい。ナノファイバー集合体の強度は、より好ましくは2cN/dtex以上である。また、前駆体であるポリマーアロイ繊維を捲縮加工することも可能である。
【0047】
本発明のナノファイバーを含む繊維構造体は、織編物や不織布のような布帛にとどまらず、熱成形体等様々な繊維製品形態を採ることができるため、布帛として使用すること以外にモジュール化したり、他の材料に張り合わせる等広汎な応用展開が可能である。そして、住宅環境を改善するためにカーテン、壁紙、カーペット、マットおよび家具等のインテリア用品に利用したり、クリーンルーム用のケミカル汚染物質除去のためのケミカルフィルターに利用することも可能である。また、トイレや室内の消臭シートや、車両内環境を改善するための車両内装材、より具体的には座席のイス張りや天井用表皮材等として利用することも可能である。さらに、快適で消臭性能のある衣料、より具体的にはインナー、シャツやブルゾン、パンツ、コート、人工皮革や、カップやパッド等の衣料資材用途にも利用可能である。さらにワイピングクロス、研磨布およびフィルター等の産業資材用途、細胞吸着材のようなメディカル用途にも好適に用いることができる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明のナノファイバーを含む繊維構造体について、実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の特性等の測定方法は以下の方法を用いた。
【0049】
A.ポリマーの溶融粘度
東洋精機製キャピログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
【0050】
B.融点
Perkin Elmaer DSC−7を用いて、2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
【0051】
C.口金吐出孔での剪断応力
口金孔壁とポリマーとの間の剪断応力は、ハーゲンポワズユの式(剪断応力(dyne/cm)=R×P/2L)から計算する。ここで、R:口金吐出孔の半径(cm)、P:口金吐出孔での圧力損失(dyne/cm)、L:口金吐出孔長(cm)である。また、P=(8LηQ/πR)であり、η:ポリマー粘度(poise)、Q:吐出量(cm/sec)、π:円周率である。ここで、ポリマー粘度は、口金吐出孔の温度と剪断速度での値を用いた。また、混練部分を紡糸工程に組み込んだ場合は、口金下5cmで吐出ポリマーアロイを急冷してガットをサンプリングし、これをカッティング後、あらためて乾燥してポリマーアロイの粘度をキャピログラフで測定した。
【0052】
D.ポリマーアロイ繊維のウースター斑(U%)
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
【0053】
E.TEMによる繊維横断面観察
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
TEM装置 : 日立社製H−7100FA型。
【0054】
F.ナノファイバーの数平均による単繊維繊度と直径
単繊維繊度の平均値は以下のようにして求める。すなわち、TEMによる繊維横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維直径および繊度を計算し、それの単純な平均値を求めた。これを「数平均による単繊維繊度」とした。このとき、平均に用いるナノファイバー数は同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単繊維直径を測定したが、サンプリングは5カ所で行い、合計1500本以上の単繊維直径を用いて計算した。
【0055】
G.ナノファイバーの単繊維繊度ばらつき
ナノファイバーの単繊維繊度ばらつきは、以下のようにして評価する。すなわち、上記数平均による単繊維繊度を求める際に使用したデータを用い、ナノファイバーそれぞれの単繊維繊度をdtとしその総和を総繊度(dt+dt+…+dt)とする。また、同じ単繊維繊度を持つナノファイバーの頻度(個数)を数え、その積を総繊度で割ったものをその単繊維繊度の繊度比率とする。
【0056】
H.ナノファイバーの直径ばらつき幅
ナノファイバーの直径ばらつき幅は以下のようにして評価する。すなわち、ナノファイバーの単糸直径の中心値付近で単繊維直径差が30nmの幅に入る単繊維の繊度比率で評価する。これは、中心繊度付近へのばらつきの集中度を意味しており、この繊度比率が高いほどばらつきが小さいことを意味している。これも上記数平均による単繊維繊度を求める際に使用したデータを用いた。
【0057】
I.SEM観察
繊維に白金−パラジウム合金を蒸着し、走査型電子顕微鏡で繊維側面を観察した。
SEM装置 : 日立社製S−4000型。
【0058】
J.力学特性
ナノファイバー集合体10mの重量をn=5回測定し、これの平均値からナノファイバー集合体の繊度(dtex)を求めた。そして、室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に、破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
【0059】
K.吸湿性(ΔMR)
サンプルを秤量瓶に1〜2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させ重量を測定し(W0)、次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後重量を測定する(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後重量を測定する(W90)。そして、以下の式にしたがい計算を行う。
MR65=[(W65−W0)/W0]×100% ・・・・・ (1)
MR90=[(W90−W0)/W0]×100% ・・・・・ (2)
ΔMR=MR90−MR65 ・・・・・・・・・・・・ (3)。
【0060】
L.有害・悪臭物質ガスの除去試験
サンプル3.0gを500mlのポリエチレン製容器内に固定した後、悪臭物質を容器内に導入した。そして、密栓後、容器を50℃で1分間保持し、悪臭物質を十分気化させた。そして、30℃で所定時間放置後、容器内の空気をサンプリングし、株式会社ガステック社製のガス検知管で悪臭物質濃度を測定した。
【0061】
(実施例1)
溶融粘度530poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度3100poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を、2軸押し出し混練機で260℃で混練してポリマーアロイチップを得た。このポリマーアロイチップをホッパー1から275℃の溶融部2で溶融し、紡糸温度280℃のスピンブロック3に導いた。そして、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体を濾過した後、口金面温度262℃とした紡糸パック4の口金5から溶融紡糸した(図11参照。)。このとき、口金としては図12に示すように吐出孔上部に直径0.3mmの計量部12を備えた、吐出孔径14が0.7mm、吐出孔長13が1.75mmの口金を用いた。そして、このときの単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。このときの口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は、0.058MPa(ポリマーアロイの粘度は1400poise、262℃、剪断速度416sec−1)と十分低いものであった。さらに、図11において、口金下面から冷却開始点(チムニー6の上端部)までの距離は9cmであった。吐出された糸条7は20℃の冷却風で1mにわたって冷却固化され、口金5から1.8m下方に設置した集束給油ガイド8で給油された後、非加熱の第1引き取りローラー9および第2引き取りローラー10を介して900m/分で巻き取り糸として11巻き取られた。このときの紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、得られた未延伸し15をフィードローラ16で給糸し、第1ホットローラー17の温度を90℃、第2ホットローラー18の温度を130℃、第3ローラー19(室温)として延伸熱処理し、延伸糸20を得た(図13参照。)。このとき、第1ホットローラー17と第2ホットローラー18間の延伸倍率を3.2倍とした。得られたポリマーアロイ繊維は、120dtex、36フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%、U%=1.7%の優れた特性を示した。また、得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、共重合PETが海(薄い部分)、N6(濃い部分)が島の海島構造を示し(図2参照。)、島N6の数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0062】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を3本合糸し丸編みにより編地を作製し、これを3%の水酸化ナトリウム水溶液(90℃、浴比1:100)で2時間浸漬することで、ポリマーアロイ繊維中の共重合PETの99%以上を加水分解除去した。この結果、得られた、N6単独糸からなる丸編み地の目付は60g/mであった。この丸編み地では、海ポリマーである共重合PETが除去されたにもかかわらず、マクロに見るとあたかも長繊維や紡績糸のように連続しており、丸編み地形状を保っていた。そして、この丸編み地は通常のN6繊維からなる丸編み地とは全く異なり、ナイロン特有の「ヌメリ感」が無く、逆に絹のような「きしみ感」やレーヨンのような「ドライ感」を有する編地であった。
【0063】
このN6ナノファイバーからなる丸編み地から糸を引きだし、まず光学顕微鏡で繊維側面観察を行ったところ、アルカリ処理前の繊維に比べ繊維径が約2/3程度になっており、海ポリマーを除去することによって繊維半径方向に収縮が起こっていることが分かった(図4参照。)。次に、これの繊維側面をSEMにより観察したところ、この糸は1本の糸ではなく無数のナノファイバーがところどころ接合しながら繋がったナノファイバー集合体であることが分かった(図3参照。)。また、このN6ナノファイバー集合体のナノファイバー同士の間隔は1〜数百nm程度であり、極めて微小な空隙が存在していた。さらにこれの繊維横断面をTEMによって観察した結果を図1に示すが、このN6ナノファイバーは単繊維直径が数十nm程度であることがわかった。そして、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は56nm(3×10−5dtex)と従来にない細さであった。また、単繊維繊度が1×10−7〜9×10−5dtex(単繊維直径で1〜100nm)の繊度比率は99%であり、特に単繊維直径で55〜84nmの間に入る単繊維繊度比率は71%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。TEM写真から解析したナノファイバーの単繊維直径および単繊維繊度のヒストグラムを図5と図6に示すが、このとき、単繊維直径で10nm刻みで本数(頻度)および繊度比率を数えた。単繊維直径で10nm刻みとは、例えば、単繊維直径55〜64nmのものは単繊維直径60nm、また、糸直径75〜84nmのものは単繊維直径80nmとして数えたことを意味している。
【0064】
また、このN6ナノファイバーからなる丸編み地の吸湿率(ΔMR)を測定したところ、6%と綿を凌駕する優れた吸湿性を示した。また、このN6ナノファイバー集合体からなる糸の力学特性を測定したところ、強度2.0cN/dtex、伸度50%であった。
【0065】
さらに、この丸編み地にバフィングを施したところ、従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。また、バフィングを施していない丸編み地をシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるよう処理液を丸編み地に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行ったところ、バフィングとはまた異なる繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、これらの丸編み地を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0066】
(実施例2)
溶融粘度5000poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6をポリマーアロイ全体に対し50重量%のブレンド比、36ホールの口金を用いて、実施例1と同様に溶融紡糸を行った。このときの口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.15MPaであった。このときの紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これを実施例1と同様に延伸・熱処理して128dtex、36フィラメント、強度4.3cN/dtex、伸度37%、U%=2.5%の優れた特性を有するポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は80nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0067】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を2本合糸して実施例1同様に、アルカリ処理により紡績糸形状のN6ナノファイバー集合体からなる目付150g/mの丸編み地を得た。さらにこれらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は84nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであった。また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。また、このN6ナノファイバー集合体からなる糸は、強度2.6cN/dtex、伸度50%であった。
【0068】
また、この丸編み地をシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるよう処理液を丸編み地に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行ったところ、バフィングとはまた異なる繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、この丸編み地を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0069】
(実施例3)
実施例2で作製したポリマーアロイ繊維に、図18の装置を用いて仮撚り加工を施した。すなわち、ポリマーアロイ繊維の原糸29をフィードローラー30で供給し、ヒーター31で加熱し、冷却板32で冷却し、回転子33で撚糸し仮撚り加工糸35とする。このとき、回転子33としてスピンドルを用い、ヒーター31の温度は180℃、フィードローラー30とデリバリーローラー34の周速差である延伸倍率は1.01倍とした。ここで、得られた仮撚り加工糸35を用い、実施例1同様に、アルカリ処理により紡績糸形状のナノファイバー集合体からなる目付100g/mの丸編み地を得た。さらにこれらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は84nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。また、このN6ナノファイバー仮撚り加工糸は、強度2.0cN/dtex、伸度45%であった。
【0070】
また、この丸編み地に実施例2同様にシリコーン処理を施したところ繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。この丸編み地を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0071】
(実施例4)
実施例3で作製したポリマーアロイ仮撚り加工糸に300ターン/mの甘撚りを施し、S撚り/Z撚り双糸で経緯使いで2/2ツイル織物を作製した。そして、実施例1同様に、アルカリ処理により紡績糸形状のナノファイバー集合体からなる目付150g/mのツイルを得た。さらにこれらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は84nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。また、このN6ナノファイバー仮撚り加工糸は、強度2.0cN/dtex、伸度45%であった。
【0072】
また、この2/2ツイル織物に実施例2同様にシリコーン処理を施したところ、繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、この2/2ツイル織物を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0073】
(比較例1)
溶融粘度1800poise(290℃、剪断速度121.6sec−1)、融点255℃のPETを島成分に、溶融粘度1000poise(290℃、剪断速度121.6sec−1)、ビカット軟化温度107℃のポリスチレン(PS)を海成分に用いて、特開昭53−106872号公報の実施例1記載に従い海島複合糸を得た。そして、これを特開昭53−106872号公報の実施例記載のようにトリクロロエチレン処理によりPSを99%以上除去して超極細糸を得た。得られた超極細糸の繊維横断面をTEM観察したところ、超極細糸の単繊維直径は2.0μm(0.04dtex)と大きいものであった。この超極細糸を用いた丸編み地の吸湿性は0.1%と低いものであった。また、有害・悪臭物質ガスの除去試験としてアンモニアの消臭試験を行ったが、初期濃度200ppmに対し、10分間で180ppmまでしか消臭せず、消臭能力がほとんど無いものであった。
【0074】
(比較例2)
溶融粘度500ポイズ(280℃、121.6sec−1)、融点220℃のN6と溶融粘度2100ポイズ(280℃、121.6sec−1)、融点255℃のPETをN6ブレンド比を20重量%となるようにチップブレンドした後、290℃で溶融し、紡糸温度を296℃、口金面温度280℃、口金孔数36、吐出孔径0.30mm、吐出孔長.50mmのずん胴口金として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、紡糸速度1000m/分で未延伸糸を巻き取った。ただし、単純なチップブレンドであり、ポリマー同士の融点差も大きいためN6とPETのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、第1ホットローラー17の温度を85℃、延伸倍率3倍として実施例1と同様に延伸を行い、100dtex、36フィラメントの延伸糸を得た。
【0075】
この延伸糸を用いて実施例1と同様に丸編み地となし、アルカリ処理によりPET成分を99%以上除去した。得られた丸編み地からN6単独糸を引き出し、TEMにより繊維横断面観察を行ったところ、単繊維直径が400nm〜4μm(単繊維繊度1×10−3〜1×10−1dtex)の超極細糸が生成していることを確認した。しかしながら、これの数平均による単繊維繊度は9×10−3dtex(単繊維直径1.0μm)と大きいものであった。さらにN6超極細糸の単繊維繊度ばらつきも大きいものであった。この超極細糸を用いた丸編み地の吸湿性は2%と低いものであった。また、有害・悪臭物質ガスの除去試験としてアンモニアの消臭試験を行ったが、初期濃度200ppmに対し、10分間で100ppmまでしか消臭せず、消臭能力は不満足なものであった。
【0076】
(比較例3)
溶融粘度3950ポイズ(262℃、121.6sec−1)、融点220℃のN6と溶融粘度560ポイズ(262℃、121.6sec−1)、融点105℃のPEとをN6ブレンド比を65重量%となるようにチップブレンドした後、図14の装置を用い、1軸押出混練機21の温度を260℃として溶融した後、口金孔数12、吐出孔径0.30mm、吐出孔長.50mmのずん胴口金として実施例1と同様に溶融紡糸を行った。ただし、N6とPEのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、実施例1と同様に延伸・熱処理を行い、82dtex、12フィラメントの延伸糸を得た。このときの延伸倍率は2.0倍とした。
【0077】
この延伸糸を用いて実施例1と同様に丸編み地となし、85℃のトルエンにより1時間以上PEを溶出処理しPEの99%以上を除去した。得られた丸編み地からN6単独糸を引き出し、TEMにより繊維横断面観察を行ったところ、単繊維直径が500nm〜3μm(単繊維繊度2×10−3〜8×10−2dtex)の超極細糸が生成していることを確認した。これの数平均による単繊維繊度は9×10−3dtex(単糸直径1.0μm)と大きいものであった。さらにN6超極細糸の単繊維繊度ばらつきも大きいものであった。この超極細糸を用いた丸編み地の吸湿性は2%と低いものであった。また、有害・悪臭物質ガスの除去試験としてアンモニアの消臭試験を行ったが、初期濃度200ppmに対し、10分間で100ppmまでしか消臭せず、消臭能力は不満足なものであった。
【0078】
(比較例4)
溶融粘度1500ポイズ(262℃、121.6sec−1)、融点220℃のN6と溶融粘度1450ポイズ(262℃、121.6sec−1)、融点105℃のPEとをN6ブレンド比を20重量%となるようそれぞれのポリマーをチップ計量装置24をもちいて計量しながら2軸押出混練機23に導く図16の装置を用い、比較例3と同様に溶融紡糸を行った。ただし、N6とPEのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、実施例1と同様に延伸・熱処理を行い、82dtex、12フィラメントの延伸糸を得た。このときの延伸倍率は2.0倍とした。
【0079】
この延伸糸を用いて実施例1と同様に丸編み地となし、85℃のトルエンにより1時間以上PEを溶出処理しPEの99%以上を除去した。得られた丸編み地からN6単独糸を引き出し、TEMにより繊維横断面観察を行ったところ、単繊維直径が100nm〜1μm(単繊維繊度9×10−5〜9×10−3dtex)の超極細糸が生成していることを確認した。しかしながら、これの数平均による単繊維繊度は1×10−3dtex(単繊維直径384nm)と大きいものであった。さらに、これは超極細糸の単繊維繊度ばらつきも大きいものであった(図7と図8参照。)。この超極細糸を用いた丸編み地の吸湿性は2%と低いものであった。また、有害・悪臭物質ガスの除去試験としてアンモニアの消臭試験を行ったが、初期濃度200ppmに対し、10分間で105ppmまでしか消臭せず、消臭能力は不満足なものであった。
【0080】
(比較例5)
特公昭60−28922号公報第11図記載の紡糸パックおよび口金を用いて、比較例1記載のPSおよびPETを用い、比較例1と同様にして海島複合糸を得た。このとき、海島複合糸の島成分はPSとPETの2:1(重量比)のブレンドポリマー、海成分としてPSを用いた(海島複合比は重量比で1:1)。具体的には、該公報第11図においてA成分をPET、BおよびC成分をPSとした。そして、これを比較例1と同様にトリクロロエチレン処理してPSを99%以上除去して超極細糸を得た。この繊維横断面を観察したところ、最小で単繊維直径100nm程度の単繊維もごく微量存在したが、PS中へのPETの分散が悪いため、これの数平均による単繊維繊度は9×10−4dtex(単繊維直径326nm)と大きいものであり、超極細糸の単繊維繊度ばらつきも大きなものであった(図9と図10参照。)。この超極細糸を用いた丸編み地の吸湿性は0.1%と低いものであった。また、有害・悪臭物質ガスの除去試験としてアンモニアの消臭試験を行ったが、初期濃度200ppmに対し、10分間で180ppmまでしか消臭せず、消臭能力がほとんど無いものであった。
【0081】
(比較例6)
編み密度を甘くして実施例1で得られたポリマーアロイ繊維を丸編み地にした後、実施例1と同様にアルカリ処理によりN6ナノファイバーからなる目付15g/mの丸編み地を得た。これを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、顕著な形くずれが発生し寸法安定性に劣るものであった。
【0082】
【表1】
Figure 2004244758
【0083】
【表2】
Figure 2004244758
【0084】
(実施例5)
実施例1で用いたN6と共重合PETを、図15の装置を用いて別々に270℃で溶融した後、1軸混練器21を通してポリマー融液を紡糸温度280℃のスピンブロック3に導いた。そして、紡糸パック4内に装着した静止混練器22(東レエンジニアリング社製商品名“ハイミキサー”)を用いて2種のポリマーを104万分割して十分混合した後、実施例と1同様に溶融紡糸を行った。このときのポリマーのブレンド比は、N6が20重量%、共重合PETが80重量%であった。この未延伸糸に実施例1と同様に延伸・熱処理を施した。得られたポリマーアロイ繊維は、120dtex、36フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.7%の優れた特性を示した。このポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は52nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0085】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて実施例と1同様に、アルカリ処理により紡績糸形状のナノファイバー集合体からなる目付60g/mの丸編み地を得た。さらにこれらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は54nm(3×10−5dtex)と従来にない細さであり、単繊維繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表4参照。)。
【0086】
また、このナノファイバー集合体からなる丸編み地の吸湿率(ΔMR)は6%であった。また、このN6ナノファイバー集合体からなる糸は、強度2.0cN/dtex、伸度50%であった。さらに140℃乾熱での収縮率は3%であった。さらに、この丸編み地にバフィングを施したところ、従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。また、バフィングを施していない丸編み地をシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるよう処理液を丸編み地に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行ったところ、バフィングとはまた異なる繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、これらの丸編み地を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが形くずれは発生せず、良好な寸法安定性を示した。
【0087】
(実施例6)
実施例1で用いたN6と共重合PETを、図16の装置を用いて270℃の2軸押出混練機23で溶融混練した後、ポリマー融液を紡糸温度280℃のスピンブロック3に導いた。そして、実施例1同様に溶融紡糸を行った。このときのポリマーのブレンド比はN6が20重量%、共重合PETが80重量%であった。この未延伸糸に実施例1同様に延伸・熱処理を施した。得られたポリマーアロイ繊維は、120dtex、36フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.7%の優れた特性を示した。このポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、実施例1と同様、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は54nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0088】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて実施例と1同様に、アルカリ処理により紡績糸形状のナノファイバー集合体からなる目付60g/mの丸編みを得た。さらにこれらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は56nm(3×10−5dtex)と従来にない細さであり、単繊維繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表4参照。)。
【0089】
また、このナノファイバー集合体からなる丸編み地の吸湿率(ΔMR)は6%であった。また、このN6ナノファイバー集合体からなる糸は、強度2.0cN/dtex、伸度50%であった。さらに140℃乾熱での収縮率は3%であった。さらに、この丸編み地にバフィングを施したところ、従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。また、バフィングを施していない丸編み地をシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるよう処理液を丸編に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行ったところ、バフィングとはまた異なる繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。
【0090】
また、これらの丸編みを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが形くずれは発生せず、良好な寸法安定性を示した。
【0091】
【表3】
Figure 2004244758
【0092】
【表4】
Figure 2004244758
【0093】
(実施例7)
共重合PETをポリアルキレングリコール誘導体の熱水可溶性ポリマーである第一工業製薬株式会社製登録商標“パオゲンPP−15”(溶融粘度3500poise、262℃、121.6sec−1、融点55℃)に代え、口金孔壁とポリマーの間の剪断応力を0.075MPa、紡糸速度を5000m/分として、実施例1と同様に混練し、溶融紡糸を行った。得られたポリマーアロイ繊維は、70dtex、36フィラメント、強度3.8cN/dtex、伸度50%、U%=1.7%の優れた特性を示した。このポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、N6が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0094】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて実施例1同様に、アルカリ処理により目付60g/mのN6ナノファイバー集合体からなる丸編み地を得た。さらにこれらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は56nm(3×10−5dtex)と従来にない細さであり、単繊維繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表6参照。)。また、このナノファイバー集合体からなる丸編み地の吸湿率(ΔMR)は6%であった。また、このN6ナノファイバー集合体からなる糸は、強度2.0cN/dtex、伸度60%であった。
【0095】
さらに、この丸編み地にバフィングを施したところ、従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。また、バフィングを施していない丸編み地をシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるよう処理液を丸編み地に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行ったところ、バフィングとはまた異なる繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、これらの丸編み地を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0096】
(実施例8)
N6の代わりに、溶融粘度1000poise(280℃、121.6sec−1)、融点250℃のN66を用い、図15の装置を用いてN66を270℃、実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを80℃で溶融した後、ポリマー融液を紡糸温度を280℃のスピンブロック3に導いた。そして、実施例と5同様に溶融紡糸を行った。このときのポリマーのブレンド比はN66が20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。このときの紡糸速度は5000m/分、口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.062MPaと充分低いものであった。そして、70dtex、36フィラメント、強度4.5cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、N66が島の海島構造を示し、島N66の数平均による直径は58nmであり、N66が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0097】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて実施例と1同様に、アルカリ処理により目付60g/mのN6ナノファイバー集合体からなる丸編み地を得た。さらにこれらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は62nm(3×10−5dtex)と従来にない細さであり、単繊維繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表6参照。)。
【0098】
また、このナノファイバー集合体からなる丸編み地の吸湿率(ΔMR)は6%であった。また、このN6ナノファイバー集合体からなる糸は、強度2.5cN/dtex、伸度60%であった。さらに、この丸編み地にバフィングを施したところ、従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。また、バフィングを施していない丸編み地をシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるよう処理液を丸編み地に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行ったところ、バフィングとはまた異なる繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、これらの丸編み地を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0099】
(実施例9)
溶融粘度3000poise(262℃、121.6sec−1)、融点225℃の共重合PET(PEG1000を8重量%、イソフタル酸を7mol%共重合)と実施例8で用いた熱水可溶性ポリマーを、実施例6と同様に混練、溶融紡糸した。このときのポリマーのブレンド比は共重合PETが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、単孔あたりの吐出量は1.0g/分、紡糸速度は6000m/分とした。このときの口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.078MPaと十分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度55%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、共重合PETが島の海島構造を示し、島共重合PETの数平均による直径は52nmであり、共重合PETが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0100】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて実施例1同様に丸編み地作製後、100℃の熱水で熱水可溶性ポリマーを溶出することにより、絹のような「きしみ感」やレーヨンのような「ドライ感」を有するナノファイバー集合体からなる目付60g/mの丸編み地を得た。そして、ナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は54nm(3×10−5dtex)と従来にない細さであり、単繊維繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表6参照。)。この共重合PETナノファイバー集合体からなる丸編み地をジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、ナノファイバーにジエチレントリアミンを担持させた。これの硫化水素除去を評価したところ、10分間で30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた除去能力を示した。また、この丸編み地を用いてA4サイズの消臭シートを作製し、家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0101】
(実施例10)
溶融粘度1900poise(280℃、121.6sec−1)、融点255℃のPETと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを、実施例9同様に混練、溶融紡糸した。このときのポリマーのブレンド比はPETが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、PETの溶融温度は285℃、熱水可溶性ポリマーの溶融温度は80℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。このときの口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.080MPaと十分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PETが島の海島構造を示し、島PETの数平均による直径は62nmであり、PETが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0102】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて、実施例9と同様の操作により、ナノファイバー集合体からなる目付60g/mの丸編み地を得た。このナノファイバーの数平均による単糸直径は65nm(3×10−5dtex)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表6参照。)。このPETナノファイバー集合体からなる丸編み地をジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、ナノファイバーにジエチレントリアミンを担持させた。これの硫化水素除去を評価したところ、10分間で30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた除去能力を示した。また、この丸編み地を用いてA4サイズの消臭シートを作製し、家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0103】
(実施例11)
溶融粘度1200poise(262℃、121.6sec−1)、融点225℃のPBTと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを、実施例9同様に混練、溶融紡糸した。このときのポリマーのブレンド比はPETが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、PBTの溶融温度は255℃、熱水可溶性ポリマーの溶融温度は80℃、紡糸温度は265℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。このときの口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.075MPaと十分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PBTが島の海島構造を示し、島PBTの数平均による直径は62nmであり、PBTが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0104】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて、実施例9と同様の操作により、ナノファイバー集合体からなる目付60g/mの丸編み地を得た。このナノファイバーの数平均による単繊維直径は65nm(4×10−5dtex)と従来にない細さであり、単繊維繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表6参照。)。このPBTナノファイバー集合体からなる丸編み地をジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、ナノファイバーにジエチレントリアミンを担持させた。これの硫化水素除去を評価したところ、10分間で30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた除去能力を示した。また、この丸編み地を用いてA4サイズの消臭シートを作製し、家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0105】
(実施例12)
溶融粘度2200poise(262℃、121.6sec−1)、融点225℃のPTTと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを、実施例9同様に混練、溶融紡糸した。このときの口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.073MPaと十分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度45%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PTTが島の海島構造を示し、島PTTの数平均による直径は62nmであり、PTTが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0106】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて、実施例9と同様の操作により、ナノファイバー集合体からなる目付60g/mの丸編み地を得た。このナノファイバーの数平均による単繊維直径は65nm(4×10−5dtex)と従来にない細さであり、単繊維繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表6参照。)。このPTTナノファイバー集合体からなる丸編み地をジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、ナノファイバーにジエチレントリアミンを担持させた。これの硫化水素除去を評価したところ、10分間で30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた除去能力を示した。また、この丸編み地を用いてA4サイズの消臭シートを作製し、家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0107】
(実施例13)
溶融粘度3500poise(220℃、121.6sec−1)、融点170℃のPLAと実施例7で用いた熱水可溶性ポリマーを、実施例9同様に混練し、溶融紡糸した。このときのポリマーのブレンド比はPLAが20重量%、熱水可溶性ポリマーが80重量%、紡糸温度235℃、口金面温度220℃、単孔あたりの吐出量は1.0g/分とした。このときの口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.080MPaと十分低いものであった。そして、60dtex、36フィラメント、強度2.5cN/dtex、伸度35%のポリマーアロイ繊維を得た。得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、熱水可溶性ポリマーが海、PLAが島の海島構造を示し、島PLAの数平均による直径は48nmであり、PLAが超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0108】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を用いて、実施例9と同様の操作により、ナノファイバー集合体からなる目付60g/mの丸編み地を得た。このナノファイバーの数平均による単糸直径は50nm(2×10−5dtex)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった(表6参照。)。このPLAナノファイバー集合体からなる丸編み地をジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、ナノファイバーにジエチレントリアミンを担持させた。これの硫化水素除去を評価したところ、10分間で30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた除去能力を示した。また、この丸編み地を用いてA4サイズの消臭シートを作製し、家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが形くずれは発生せず、良好な寸法安定性を示した。
【0109】
【表5】
Figure 2004244758
【0110】
【表6】
Figure 2004244758
【0111】
(比較例7)
比較例1で作製したPS/PET海島複合糸を用いて丸編み地を作製し、比較例1と同様にPSを除去し、単繊維繊度0.04dtexのPET超極細糸からなる丸編み地(目付150g/m)を得た。このPET超極細糸からなる丸編み地をジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、PET超極細糸にジエチレントリアミンを担持させたが、ほとんど坦持できなかった。これの硫化水素除去を評価したところ、10分間で30ppmから15ppmまでしか濃度が低下せず硫化水素除去能力が不十分であった。
【0112】
(実施例14)
実施例2で作製したシリコーン処理された目付150g/mのN6ナノファイバーからなる丸編み地を用いてTシャツを作製したが、人肌のようなタッチのため非常に快適で、しかもヒーリング効果もあるものであった。また、これを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0113】
(実施例15)
実施例3で作製したシリコーン処理された目付100g/mのN6ナノファイバーからなる丸編み地を用いて女性用のショーツを作製したが、人肌のようなタッチのため非常に快適で、しかもヒーリング効果もあるものであった。また、これを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0114】
(実施例16)
実施例4で作製したシリコーン処理された目付150g/mのN6ナノファイバーからなる織物を用いて女性用のシャツを作製したが、人肌のようなタッチのため非常に快適で、しかもヒーリング効果もあるものであった。また、これを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
した。
【0115】
(実施例17)
実施例1および実施例2で作製したN6ナノファイバーからなる丸編み地および実施例4で作製した織物を用いて、A4サイズの消臭シートを作製し、有害・悪臭物質ガスの除去試験としてアンモニア、酢酸および硫化水素の消臭試験を行ったところ、通常繊度のナイロン糸(44dtex、12フィラメント)に比べ、優れた消臭能力(有害物質吸着能力)を示した(表7〜表9参照。)。
【0116】
【表7】
Figure 2004244758
【0117】
【表8】
Figure 2004244758
【0118】
【表9】
Figure 2004244758
【0119】
(実施例18)
実施例3で作製したN6/共重合PETアロイ仮撚り加工糸を鞘糸として用いて、東レ(株)製ポリウレタン繊維糸である“ライクラ”(登録商標)をカバリングした。そして、このカバリング糸を用いてタイツ用の編み地を作製した後、実施例3と同様にアルカリ処理を行いナノファイバーからなるタイツ用編み地を作製した。このタイツ用編み地の目付は100g/mでああり、N6ナノファイバーとポリウレタン繊維糸の重量比率はそれぞれ90%と10%であった。これをシルコートPP(特殊変性シリコーン/松本油脂(株)製商品名)の10wt%水溶液に浸漬し、水溶液のピックアップ率が150%となるように処理液を編み地に付与した。処理液を付与後、110℃で3分間、リラックス状態でオーブン中で乾燥した。乾燥後、揉布処理を行った。そして、このタイツ用編み地を縫製し、タイツを作製した。このタイツは繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示し、非常に着用快適性の高いものであった。
【0120】
(実施例19)
第1引き取りローラー9の速度(紡糸速度)を3500m/分として実施例2と同様に溶融紡糸を行い、400dtex、96フィラメントのN6/共重合PETポリマーアロイ繊維を得た。このポリマーアロイ繊維の強度は2.5cN/dtex、伸度は100%、U%は1.9%であった。そして、これに図18の装置を用いて延伸仮撚りを施し、333dtex、96フィラメントの仮撚り加工糸を得た。このとき回転子33としてウレタンディスクを使用し、ヒーター31の温度を180℃、延伸倍率を1.2倍とした。得られた仮撚り加工糸は、強度3.0cN/dtex、伸度32%であった。
【0121】
この仮撚り加工糸に300ターン/mの甘撚りを施し、S撚り/Z撚り双糸で経糸および緯糸に用いて、2/2のツイル織物を作製した。そして、得られたツイル織物に実施例1と同様にアルカリ処理を施し、N6ナノファイバーからなる目付150g/mのカーテン用生地を得た。さらに、これらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。また、このN6ナノファイバー仮撚り加工糸は、強度2.0cN/dtex、伸度40%であった。
【0122】
また、このカーテン生地に実施例2同様にシリコーン処理を施したところ、繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、これの吸湿率(ΔMR)は6%と十分な吸湿性を示し、酢酸の消臭試験を行ったところ10分間で濃度が100ppmから1ppmまで低下し、優れた消臭性を示した。そして、この生地を用いてカーテンを作製し6畳間に吊したところ、爽やかな室内環境とすることができ、さらに結露も抑制できるものであった。このカーテンを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが形くずれは発生せず、良好な寸法安定性を示した。
【0123】
(実施例20)
実施例2で用いたN6/共重合PETアロイポリマーと同じく実施例2で用いた溶融粘度5000poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6を別々に溶融し、吐出孔をY型とした口金を用いて芯鞘複合紡糸を実施例2と同様に行った。このとき、芯成分をアロイポリマー、鞘成分をN6とし、芯成分複合比を50重量%とした。紡出糸は800m/分で引き取り、次いで、1段目の延伸倍率を1.3倍、トータル倍率を3.5倍の条件で2段延伸を行い、さらにジェットノズルを用いて捲縮を付与してから500dtex、90フィラメントの嵩高加工糸を巻き取った。この嵩高加工糸の強度は5.2cN/dtex、伸度は25%であった。
【0124】
得られた嵩高加工糸を2本引き揃えて合糸し、下撚り(200T/m)し、それを2本用いて上撚り(200T/m)で撚り合わせ、乾熱170℃で撚り止め処理を施した後、カットパイルカーペットとして公知の方法にてタフトした。このときには、通常のレベルカットにて、1/10ゲージ、目付が1500g/mとなるようにステッチを調節してタフトした。その後、バッキングを実施した。タフトに際し、基布にはアクリル繊維とポリエステル繊維の混紡糸を用いた織り基布を使用した。さらにカットパイル部分のみをアルカリ処理し、カットパイル部分がN6ナノファイバーがN6に包まれた構造を発現させた。また、得られたN6ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−4dtex)であり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。これにより、カットパイル部分の目付は1200g/mとなり、N6ナノファイバーの重量分率はカットパイル部分に対しては33重量%、カーペット全体に対しては15重量%であった。このカーペットは、カットパイル部分が鞘成分N6によりN6ナノファイバーを保持してるため毛倒れ性に問題はないものであった。また、カーペット全体に対してN6ナノファイバーが15重量%含有されているため、十分な調湿性・消臭性を示し、爽やかな室内環境とすることができ、さらに結露も抑制できるものであった。
【0125】
(実施例21)
実施例19で得られたN6/共重合PETアロイ仮撚加工糸を4本合糸した後、これを経糸と緯糸に用い、2/2ツイル織物を製織し、その後、実施例21と同様にアルカリ処理することにより、N6ナノファイバー仮撚り加工糸からなる目付200g/mのインテリア用シート表皮を作製した。さらに、NN6ナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。これを椅子の表皮に用いたところ、風合いがソフトで快適であるだけでなく、十分な調湿性・消臭性を示し、爽やかな室内環境とすることができるものであった。
【0126】
(実施例22)
実施例2で用いたN6/共重合PETアロイポリマーと同じく、実施例2で用いた溶融粘度5000poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6を別々に溶融し、丸孔口金を用いて芯鞘複合紡糸を実施例2と同様に行った。このとき、芯成分をアロイポリマー、鞘成分をN6とし、芯成分複合比を30重量%とした。これを1600m/分で引き取り一旦巻き取った後、第1ホットローラー17の温度を90℃、第2ホットローラー18の温度を130℃、延伸倍率を2.7倍として延伸した。得られたポリマーアロイ繊維は220dtex、144フィラメント、強度=4.8cN/dtex、伸度=35%、U%=1.9%であった。そして、これに300ターン/mの甘撚りを施し、経緯使いで平織物を作製した。そして、実施例2と同様にアルカリ処理を施し、N6ナノファイバーが鞘成分N6で覆われた繊維から成る目付220g/mの織物を得た。また、得られたN6ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−4dtex)であり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。さらに、これに実施例2と同様にシリコーン処理を施したところ繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。そして、これを用いて布団カバーとシーツを作製したが、優れた風合いと吸湿性のため非常に快適なものであった。さらに、優れた消臭性のため失禁等があっても臭いを抑えることができた。また、これらの寝装具を家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが形くずれは発生せず、良好な寸法安定性を示した。
【0127】
(実施例23)
第1引き取りローラー9の速度を3500m/分として、実施例22と同様に芯鞘複合紡糸を行い、264dtex、144フィラメントのN6/共重合PETポリマーアロイ繊維を得た。このポリマーアロイ繊維の強度は3.5cN/dtex、伸度は110%、U%は1.9%であった。そして、これに図18図11の装置を用いて延伸仮撚りを施し、220dtex、144フィラメントの仮撚り加工糸を得た。このとき、回転子33としてウレタンディスクを使用し、ヒーター31の温度を180℃、延伸倍率を1.2倍とした。得られた仮撚り加工糸は強度4.1cN/dtex、伸度32%であった。
【0128】
この仮撚り加工糸に300ターン/mの甘撚りを施し、これを経糸および緯糸に用いて平織物を作製した。そしてこれに実施例1と同様にアルカリ処理を施し、N6ナノファイバーからなる目付100g/mのN6ナノファイバーが鞘成分N6で覆われた繊維からなる織物を得た。さらに、これらのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。この織物はN6中空糸中によりN6ナノファイバーがカプセル化された構造となり、マシュマロのような柔らかで弾力性のある優れた風合いを示した。また、このN6ナノファイバーを含む仮撚り加工糸は、強度2.9cN/dtex、伸度41%であった。
【0129】
また、この織物に実施例2同様にシリコーン処理を施したところ、繊細なタッチと人肌のようなしっとりとしたみずみずしい風合いを示した。さらに接触冷感もあるものであった。また、これの吸湿率(ΔMR)は6%と十分な吸湿性を示した。そして、この織物を用いて女性用のシャツを作製したが、非常に快適であり、ヒーリング効果もあるものであった。このシャツを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れずに洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず、N6ナノファイバーをN6中空糸でカプセル化することでさらに良好な寸法安定性を示した。
【0130】
(実施例24)
実施例2で作製したポリマーアロイ繊維を経糸および緯糸に用いて平織物を作製した。そして、実施例2と同様にアルカリ処理を行い、ナノファイバー集合体からなる目付250g/mの平織物を得た。さらにこれのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。この織物は水に浸漬すると特異な粘着性を示すものであった。そして、これにバフィングを施した。これは、従来の極細糸を用いたワイピングクロスよりも拭き取り性が良く、ワイピングクロスとして好適なものであった。また、これを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れて洗濯・脱水したが形くずれは発生せず、良好な寸法安定性を示した。
【0131】
(実施例25)
実施例2で作製したポリマーアロイ繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次に、ニードルパンチを用い、目付750g/mの繊維絡合不織布とした。さらに、ポリエーテル系ポリウレタン(PU)を主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を繊維絡合不織布に含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布に3%の水酸化ナトリウム水溶液(60℃、浴比1:100)でアルカリ処理を2時間施し、共重合PETの99%以上を除去し、PU含有率が40重量%のN6ナノファイバー集合体とPUからなるナノファイバー構造体からなる研磨基材を得た。さらに、これのナノファイバーの単繊維繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。研磨基材中のN6ナノファイバーの含量は70重量%、N6ナノファイバー不織布の目付は325g/mであった。これを2分割するように切断した後、表面をJIS#240、#350、#500番のサンドペーパーでバフイングした。さらに、これを隙間が1.0mmの表面温度150℃の上下2本のフッ素加工した加熱ローラーでニップし、0.7kg/cmの圧力でプレスした後、表面温度15℃の冷却ローラーで急冷し表面を平滑化した研磨布を得た。そして、この研磨布を以下の方法で評価した結果を表10に示すが、従来超極細糸を用いたものに比べ被研磨物の平滑性が高くまた欠点であるスクラッチ数も少なく、優れた研磨特性を示した。さらに、目付が十分大きいため研磨時の研磨布の破れも無く、加工性も良好であった。
【0132】
<研磨評価:ハードディスクのテキスチャリング>
Figure 2004244758
<被研磨物の平均表面粗さRa>
温度20℃、相対湿度50%のクリーン室に設置された防音装置付きのVeeco社製原糸間力顕微鏡(AFM)を用いて、基板30枚/水準の表面粗さを測定し、その平均表面粗さRaを求める。測定範囲は、各基板のディスク中心を基準とし半径の中央点2カ所を対称に選定し、各点5μm×5μmの広さで測定を行う。
【0133】
<スクラッチ数>
ZYGO社製干渉型顕微鏡で表面観察し、各サンプルの表面スクラッチ数(X)を測定する。スクラッチは、0.1μm×100μm以上の大きさのものをカウントする。これを基板30枚/水準測定し、傷の数による点数yからスクラッチ数βを定義する。
X≦4のとき y=X
X≧5のとき y=5
β=Σy (i=1〜30)
ここでΣyは、サンプル30枚分のスクラッチ総数である。
【0134】
(比較例8)
不織布作成時のウエッブの密度を甘くすることによりN6ナノファイバーの目付を15g/m(繊維絡合不織布の目付を30g/m)として、実施例25と同様に研磨布を作製し研磨試験を行ったが、目付が小さすぎるため研磨時に破れが発生するトラブルがあった。
【0135】
(比較例9)
比較例3で作製したN6/PEブレンド繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで開繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次に、ニードルパンチを用い、目付500g/mの繊維絡合不織布とした。さらにポリエーテル系ポリウレタン(PU)を主体とする13重量%のポリウレタン組成物と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布にパークレン処理を行い、N6超極細糸とPUからなるナノファイバー構造体からなる研磨基材を得た。これを用い、実施例25と同様の操作により研磨布を得た。そして、この研磨布の評価を行ったが、Ra=1.6nm、β=32とナノファイバー集合体を用いたものに比べ被研磨物の平滑性が低くまた欠点であるスクラッチ数も多くなり、劣った研磨特性を示した。結果を表10に示す。
【0136】
【表10】
Figure 2004244758
【0137】
(実施例26)
実施例1および実施例2、5、6で作製したポリマーアロイ繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、目付750g/mの繊維絡合不織布とした。さらに、ポリエーテル系ポリウレタン(PU)を主体とする13重量%のポリウレタン組成物と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布に3%の水酸化ナトリウム水溶液(60℃、浴比1:100)でアルカリ処理を2時間施し、共重合PETの99%以上を除去し、N6ナノファイバー集合体とPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。N6ナノファイバーの数平均直径は、それぞれ60、86、61および61nmであった。この構造体中のN6ナノファイバーの含量は、それぞれ50、70、50および50重量%、N6ナノファイバー不織布の目付は、それぞれ150、325、150および150g/mであった。この不織布の1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー集合体立毛面を形成し、さらに染色した後、仕上げを行いスエード調人工皮革を得た。得られた製品は、外観が極めて良好で染色斑もなく、力学特性にも問題はなかった。また、従来の超極細糸を用いた人工皮革に比べ、さらに柔らかできめの細かいタッチであった。また、吸湿性にも優れるため、従来の人工皮革では持ち得なかった人肌のようなみずみずしさも併せ持つ優れた風合いであった。
【0138】
(比較例10)
比較例3で作製したN6/PEブレンド繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次に、ニードルパンチを用い、目付500g/mの繊維絡合不織布とした。さらに、ポリエーテル系ポリウレタン(PU)を主体とする13重量%のポリウレタン組成物と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布にパークレン処理を行い、N6超極細糸とPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。このナノファイバー構造体の1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー集合体立毛面を形成し、さらに染色した後、仕上げを行いスエード調人工皮革を得た。これの風合いは、単なるスエードの模造品であり従来の超極細繊維を用いた人工皮革を超えるものではなかった。
【0139】
(実施例27)
実施例2で作製したポリマーアロイ繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、目付400g/mの繊維絡合不織布とした後、3%の水酸化ナトリウム水溶液(60℃、浴比1:100)でアルカリ処理を2時間施し、共重合PETの99%以上を除去し、目付200g/mのN6ナノファイバー不織布を得た。得られたN6ナノファイバーの数平均による単繊維直径は86nm(6×10−4dtex)であり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。これを直径4.7cmの円形に切断したもの5枚を重ねて円形のフィルターカラムを作製し、白血球(5700個/μリットル)を含む牛血を2mリットル/分の流速で通液したところ、圧力損失が100mmHgに達するまでの時間は100分間であり、そのときの顆粒球除去率は99%以上、リンパ球除去率は60%と炎症性の白血球である顆粒球を選択できるものであった。これは、ナノファイバー同士の隙間による効果であると考えられる。また、目付が十分大きいため試験中のフィルター破れ等のトラブルは発生しなかった。
【0140】
(実施例28)
実施例27で作製したナノファイバー不織布0.5gをオートクレーブで減菌し、15mリットルのエンドトキシンを含む牛血清で吸着能力の評価(37℃、2時間)をしたところ、エンドトキシン濃度LPSが10.0ng/mリットルから1.5ng/mリットルまで減少しており、優れた吸着能力を示した。これは、N6ナノファイバーは活性表面が通常のナイロン繊維に比べはるかに多いため、アミノ末端が通常よりもはるかに多く存在しているためと考えられる。
【0141】
(実施例29)
実施例13と同様のポリマーの組み合わせで、図17の装置を用いてスパンボンド不織布を得た。すなわち、糸条7をイジェクター25を通して開繊板26に衝突させて開繊糸条27とし、捕集装置28で引き取り捕集した。このとき、2軸押出混練機23での溶融温度は225℃、紡糸温度は230℃、口金面温度は217℃とした。また、口金は実施例1で用いたものと同スペックとし、単孔吐出量は0.8g/分、口金下面から冷却開始までの距離は12cmとした。得られたポリマーアロイ不織布を60℃の温水で2時間処理することにより、熱水可溶性ポリマーを99%以上溶解除去し、PLAナノファイバーからなる目付20g/mの不織布を得た。この不織布のナノファイバー単繊維直径の数平均は50nm(2×10−5dtex)、繊度比率の98%以上が単繊維繊度1×10−7〜1×10−4dtexの範囲に在り、ナノファイバーの単繊維直径が45〜74nmの範囲にあるものの繊度比率が70%であった。このPLA不織布は軽く、しかも使用に際して不織布の破れ等は発生せずラッピング用として好適であった。
【0142】
(実施例30)
実施例1および実施例2で作製したナノファイバー集合体からなる丸編み地を、ヘキサメチレンジイソシアネートと分子量1000のヘキサメチレンポリカーボネートからなるポリウレタンプレポリマー(分子量3000〜4000)の15重量%水溶液に30分間浸漬した。その後、丸編み地を引き上げ120℃、20分間ポリウレタンプレポリマーを架橋させた。この操作により、ナノファイバー同士の空隙に侵入したポリウレタンプレポリマーが架橋反応により不溶化し、架橋ポリウレタンとN6ナノファイバーからなる複合体が生成した。得られた丸編み地形状の複合体は、大きなストレッチ性を有すると共に粘着質の得意な表面タッチを有するものであった。また、この複合体中のN6ナノファイバーの比率は、それぞれ50重量%と60重量%であった。
【0143】
(実施例31)
実施例1および実施例2で作製したナノファイバー集合体からなる丸編み地をイオン交換水に浸漬し、その後1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンを加え、3時間攪拌した。室温で14時間静置後、さらに13時間攪拌し、さらに室温で14時間静置後、さらに7時間攪拌し、シリカを重合した。その後、丸編み地をイオン交換水で洗浄後、風乾した。この操作により、N6ナノファイバーを鋳型とした、布帛形状のN6/シリカ複合体が得られた。これは、十分な剛性としなやかさを併せ持つ優れた材料であった。また、優れた難燃性を持つハイブリッド材料でもあった。また、この複合体中のN6ナノファイバーの比率はそれぞれ40、50重量%であった
(実施例32)
実施例9〜実施例13で作製したポリエステルナノファイバー集合体からなる編地に、吸湿剤である高松油脂(株)製商品名“SR1000”(10%水分散品)を吸尽させた。このときの、加工条件は吸湿剤は固形分として20%owf、浴比1:20、処理温度130℃、処理時間1時間とした。この吸湿剤の通常のポリエステル繊維への吸尽率はほぼ0%であるが、このポリエステルナノファイバー集合体への吸尽率は10%以上であり、ΔMR=4%以上と綿同等以上の優れた吸湿性を有するポリエステル編地を得ることができた。
【0144】
(実施例33)
実施例26で作製した目付750g/mのポリマーアロイ短繊維不織布を、3%の水酸化ナトリウム水溶液(90℃、浴比1:50)で2時間浸漬することにより、共重合PETの99%以上を除去し、N6ナノファイバー集合体からなる目付150および375g/mの不織布を得た。N6ナノファイバーの数平均直径は、それぞれ60、86、61および61nmであった。そして、メチルトリメトキシシランオリゴマー(n=3〜4)をイソプロピルアルコール/エチレングリコール=1/1混合溶液に溶解し、シロキサン結合を有するシリコーンポリマーの重合触媒としてジブチルスズジアセテートをシランオリゴマーに対して4重量%加え、シリコーンポリマーのコート液を調整した。これに、N6ナノファイバー集合体からなる不織布を30℃で20分間で浸漬し、十分コート液を含浸させた。そして、この不織布をコート液から引き上げ、60℃で2分間、80℃で2分間、100℃で2分間乾燥させるとともに、シリコーンの重合を進め、N6ナノファイバーがシリコーンポリマーでコーティングされた不織布を得た。これは優れた撥水性と難燃性を示す不織布であった。このコーティング不織布中のN6ナノファイバーの含有率は、85重量%であった。
【0145】
(実施例34)
実施例33で作製したN6ナノファイバー集合体からなる目付150および375g/mの不織布は、自重160%以上の含水率と自重の80%以上の保水率を示し、吸水性と保水性に優れたものであった。ここで、含水率と保水率はサンプルを60分間水槽に十分浸漬した後、これを引き上げ表面付着水を除去したサンプルの重量(Ag)を測定し、その後これを遠心脱水機(3000rpmで7分間)で脱水したサンプルの重量(Bg)を測定し、さらにこれを105℃で2時間乾燥させたサンプルの重量(Cg)を測定し、以下の式で計算した。
含水率(%)=(A−C)/C×100(%)
保水率(%)=(B−C)/C×100(%)
さらに、このN6ナノファイバー集合体からなる不織布は、特に水を15%以上含んだ状態では特異的な粘着性が発現した。
【0146】
(実施例35)
実施例33で作製したN6ナノファイバー集合体からなる不織布を用いてパップ材基布を作製した。これに薬剤を塗布したところ、薬剤の吸尽性は良好であり、しかも優れた粘着性を示し、優れたパップ材とすることができた。このパップ材中のN6ナノファイバーの含有率は75重量%であった。
【0147】
(実施例36)
実施例3で作製したN6/共重合PETアロイ仮撚加工糸を地組織に用い、100dtex、36フィラメントのポリブチレンテレフタレート(PBT)糸を立毛パイル部とするトリコット編物を、28ゲージの編機を用いて64コースの編密度で製編し、次いで、これを3%の水酸化ナトリウム水溶液(70℃、浴比1:100)に1時間浸漬して、ポリマーアロイ繊維中の共重合PETの99%以上を加水分解除去し、自動車内装用布帛を得た。この結果、得られた自動車内装用布帛の目付は130g/mであり、N6ナノファイバーの含有率は40重量%であった。また、N6ナノファイバー部分の目付は120g/mであった。また、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は84nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。そして、これをジエチレントリアミン3%水溶液に50℃で1分間浸漬することにより、N6ナノファイバーにジエチレントリアミンを担持させた。これのアセトアルデヒド除去能力を評価したところ、10分間で30ppmから1ppmまで濃度が低下し、優れた除去能力を示した。
【0148】
(実施例37)
実施例2で用いたN6/共重合PETアロイポリマーと溶融粘度2400poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のPBTを別々に溶融し、海島複合紡糸をホール数24、吐出孔径1.0mm、吐出孔長1.0mmの口金を用いて実施例2と同様に行った。このとき、海成分をアロイポリマー、島成分をPBT、島成分複合比を35重量%、1ホールあたりの島数を36島とした。紡出糸は900m/分で引き取り、次いで、第1ホットローラー17の温度を85℃、第2ホットローラー18の温度を130℃、延伸倍率を3.0倍として延伸・熱処理を行い240dtex、24フィラメント、強度3.0cN/dtex、伸度40%、U%2.0%のポリマーアロイが海、PBTが島の海島複合糸を得た。そして、これに300ターン/mの甘撚りを施した後、これを経糸および緯糸に用いて2/2のツイル織物を製織した。次いで、この織物を3%の水酸化ナトリウム水溶液(70℃、浴比1:100)に浸漬して、ポリマーアロイ繊維中の共重合PETの99%以上を加水分解除去した。これにより、N6ナノファイバーとPBTの重量比が55重量%:45重量%であるN6ナノファイバーとPBT超極細糸(0.08dtex)の混繊糸からなる目付200g/mの織物を得た。また、N6ナノファイバーの数平均による単繊維直径は84nm(6×10−5dtex)と従来にない細さであり、また、単繊維繊度が1×10−7〜1×10−4dtexの繊度比率は78%であり、特に単繊維直径で75〜104nmの間に入る単繊維繊度比率は64%であり、単繊維繊度ばらつきはごく小さいものであった。
【0149】
この織物は、N6とPBTの帯電性の違いに起因した静電反発により、N6ナノファイバーが開繊し、バフィング処理やシリコーン処理無しでも超ソフトでしかも超ピーチ感があり、人肌のようなみずみずしさを持った優れた風合いを示した。さらに、PBTが織物骨格を支えるため、寸法安定性が向上するだけでなく反発感にも優れるものであった。この織物を用いてウィンドブレーカーを作製したが、N6ナノファイバーが開繊する事により優れた防風性が発現しただけでなく、超ソフトな風合いのためスポーツで激しく動いても“ガサガサ”音が無く、さらにN6ナノファイバーにより優れた吸湿性が発現するため着用快適性に非常に優れるものであった。また、これを家庭用洗濯機で洗濯ネットに入れずに洗濯・脱水したが、形くずれは発生せず良好な寸法安定性を示した。
【0150】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた吸湿・吸着性能を持ちながら、耐久性にも優れた材料としてのナノファイバーを含む繊維構造体を得ることができる。
【0151】
また、本発明のナノファイバーを含む繊維構造体によって、住宅環境の改善ができるのみならず、優れた特性の産業資材や快適衣料分野等、現代社会の様々なニーズに応えることができる繊維製品や繊維利用製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のナイロンナノファイバーの集合体繊維横断面を示すTEM写真である。
【図2】実施例1のポリマーアロイ繊維の横断面を示すTEM写真である。
【図3】実施例1のナノファイバー集合体の繊維側面の状態を示すSEM写真である。
【図4】実施例1のナノファイバー集合体の繊維側面の状態を示す光学顕微鏡写真である。
【図5】実施例1のナノファイバーの単糸繊度ばらつきをあらわす図である。
【図6】実施例1のナノファイバーの単糸繊度ばらつきをあらわす図である。
【図7】比較例4の超極細糸の単繊維繊度ばらつきをあらわす図である。
【図8】比較例4の超極細糸の単繊維繊度ばらつきをあらわす図である。
【図9】比較例5の超極細糸の単繊維繊度ばらつきをあらわす図である。
【図10】比較例5の超極細糸の繊維糸繊度ばらつきをあらわす図である。
【図11】紡糸機の一例を示す概略模式図である。
【図12】口金を示す側断面図である。
【図13】他の延伸機の一例を示す概略模式図である。
【図14】他の紡糸機の一例を示す概略模式図である。
【図15】他の紡糸機の一例を示す概略模式図である。
【図16】他の紡糸機の一例を示す概略模式図である。
【図17】スパンボンド紡糸装置の一例を示す概略模式図である。
【図18】仮撚り装置の一例を示す概略模式図である。
【符号の説明】
1:ホッパー
2:溶融部
3:スピンブロック
4:紡糸パック
5:口金
6:チムニー
7:糸条
8:集束給油ガイド
9:第1引き取りローラー
10:第2引き取りローラー
11:巻き取り糸
12:計量部
13:吐出孔長
14:吐出孔径
15:未延伸糸
16:フィードローラー
17:第1ホットローラー
18:第2ホットローラー
19:第3ローラー(室温)
20:延伸糸
21:1軸押出混練機
22:静止混練器
23:2軸押出混練機
24:チップ計量装置
25:イジェクター
26:開繊板
27:開繊糸条
28:捕集装置
29:原糸
30:フィードローラー
31:ヒーター
32:冷却板
33:回転子
34:デリバリーローラー
35:仮撚り加工糸

Claims (9)

  1. 有機ポリマーからなる下記特性のナノファイバーを少なくとも10重量%含有し、繊維の目付が20〜2000g/mであるナノファイバーを含む繊維構造体。
    数平均による単繊維繊度=1×10−7〜1×10−4dtex
  2. ナノファイバーの繊度比率の60%以上が単繊維繊度1×10−7〜1×10−4dtexの範囲である請求項1記載のナノファイバーを含む繊維構造体。
  3. 繊度比率で50%以上のナノファイバーが単繊維直径差で30nmの幅に入る請求項1または2記載のナノファイバーを含む繊維構造体。
  4. ナノファイバーの融点が165℃以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のナノファイバーを含む繊維構造体。
  5. 有機ポリマーがポリエステルあるいはポリアミドおよびポリオレフィンからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである請求項1〜4のいずれか1項記載のナノファイバーを含む繊維構造体。
  6. ナノファイバーの強度が1cN/dtex以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のナノファイバーを含む繊維構造体。
  7. ナノファイバーの吸湿率が4%以上である請求項1〜6のいずれか1項記載のナノファイバーを含む繊維構造体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載のナノファイバーを含む繊維構造体からなる繊維製品。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載のナノファイバーを含む繊維構造体を含む繊維利用製品。
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