JP2014080082A - 船舶用推進システムの運転方法、船舶用推進システムおよびそれを備えた船舶 - Google Patents

船舶用推進システムの運転方法、船舶用推進システムおよびそれを備えた船舶 Download PDF

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    • B63H2020/003Arrangements of two, or more outboard propulsion units

Abstract

【課題】一部の船外機の転舵角制御に故障が生じたときに、簡単な制御で船舶の旋回性を確保することができる船舶用推進システムの運転方法を提供する。
【解決手段】複数の船外機にそれぞれ対応する複数の転舵機構が設けられている。転舵機構は、油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動するための電動モータと、ピストンによって区画された2つのシリンダ室を有する油圧シリンダと、油圧シリンダの2つのシリンダ室を連通させるための通常時閉のバイパスバルブとを含む。メインECU10は、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定した場合には、故障船外機に対応する転舵機構のバイパスバルブの開放を操船者に促すための操作案内画面を表示器9に表示する。また、メインECU10は、故障船外機におけるエンジンとプロペラとの間の動力伝達を遮断状態に保持する。
【選択図】図4

Description

この発明は、船外機を備えた船舶用推進システムの運転方法に関する。また、この発明は、船外機を有する船舶用推進システムおよびそれを備えた船舶に関する。
船外機は、船舶のための推進機の一例であり、原動機と、原動機によって駆動されるプロペラとを備えている。船外機は、左右方向への転舵が可能な状態で船尾に取り付けられる。船外機の転舵角を制御するために、操舵装置が船舶に装備される。操舵装置は、操船者によるステアリングハンドルの操作に応じて、船外機を転舵させる。船尾に複数の船外機を装備した多数掛けの構成とする場合には、操舵装置は、複数の船外機を同期して転舵させる。
下記特許文献1には、ステアリングハンドルの操舵角を操舵角センサで検出し、その検出結果に応じて複数の船外機を転舵させる構成が開示されている。特許文献1の構成では、いずれかの船外機の転舵角制御に故障が生じると、当該船外機の転舵角制御が停止される。そして、転舵角制御に故障が生じた船外機の転舵角に応じて、正常な他の船外機の転舵角範囲が制限される。この制限された転舵角範囲内で正常な船外機の転舵角制御が行われる。これにより、正常な船外機が転舵角制御に故障が生じた船外機に干渉するのを避けながら、船舶の旋回性を確保できる。
特開2010-143321号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、転舵角制御に故障が生じた船外機の転舵角に応じて、正常な他の船外機の転舵角範囲を制限する必要があるため、制御が複雑となる。また、転舵角制御に故障が生じた船外機の転舵角によっては、正常な他の船外機の転舵角範囲が極めて狭くなり、その後の操舵角可能範囲が大幅に制限される場合がある。
この発明の目的は、一部の船外機の転舵角制御に故障が生じたときに、簡単な制御で船舶の旋回性を確保することができる船舶用推進システムの運転方法、船舶用推進システムおよびそれを備えた船舶を提供することである。
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、原動機および前記原動機によって回転されるプロペラを含む複数の船外機と、前記複数の船外機の転舵角を制御する操舵装置とを含む船舶用推進システムの運転方法であって、前記操舵装置は、操舵部材と、前記操舵部材の操作に応じて、前記複数の船外機を個別に転舵させるための複数の転舵機構とを含み、前記各転舵機構は、ピストンによって区画された2つのシリンダ室を有する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの前記2つのシリンダ室を連通させるための通常時閉のバイパスバルブとを含み、前記方法は、前記複数の船外機のうちのいずれかの船外機の転舵角制御に故障が発生したか否かを判定するステップと、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブを開状態にするステップと、前記バイパスバルブを開状態に保持したままで、前記転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を遮断状態に保持する一方で、他の船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を許容する動力制御ステップとを含む、船舶用推進システムの運転方法である。「原動機」には、内燃機関、電動機などの他、船舶の推進力を発生するいかなる装置もが含まれる。
この方法によれば、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生すると、転舵角制御に故障が発生した船外機(以下、「故障船外機という」)に対応する転舵機構のバイパスバルブが開状態にされる。これにより、故障船外機は、その転舵角制御は行えないが、左右方向に自由に転舵できる状態となる。また、故障船外機の原動機とプロペラとの間の動力伝達が遮断状態に保持される。これにより、故障船外機による推進力の発生が停止される。
一方、他の船外機(転舵角制御に故障が発生していない正常な船外機)における原動機とプロペラとの間の動力伝達は許容される。これにより、正常な船外機によって推進力を発生させることができる。また、正常な船外機の転舵角制御は通常通り行われるので、正常な船外機の転舵角制御によって船舶の旋回性を確保できる。このため、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生した場合であっても、操船者は、操舵部材を操作することによって、船舶を操舵することができる。
また、この方法では、特許文献1記載の先行技術とは異なり、故障船外機の転舵角に応じて正常な船外機の転舵角範囲を制限するための制御が不用である。そのため、特許文献1記載の構成に比べて制御が簡単である。また、この方法では、故障船外機の転舵角に応じて、正常な船外機の転舵角範囲が制限されないため、どのような転舵角で故障した場合でも、正常な船外機は故障前と同様の転舵角範囲での転舵が可能となり、十分な船舶の旋回性を確保できる。
前述したように、故障船外機は、推進力の発生が停止されかつ左右方向に自由に転舵できる状態とされる。このため、船舶が停泊しているときには、正常な船外機が転舵すると、故障船外機は正常な船外機に押されて転舵する。また、正常な船外機の推進力によって船舶が航走するときには、故障船外機の周囲に生じる水流に倣って、故障船外機は他の正常な船外機と同じ方向に転舵する。したがって、正常な船外機の転舵角制御が行われているときに、正常な船外機が故障船外機に接触する可能性は低く、たとえ正常な船外機が故障船外機に接触したとしても、その接触時の負荷は小さい。
請求項2記載の発明は、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブの開放を操船者に促すステップをさらに含む、請求項1に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
この方法によれば、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したときに、故障船外機に対応する転舵機構のバイパスバルブを、操船者によって確実に開放させることができる。
請求項3記載の発明は、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生しているか、それとも一部の船外機の転舵角制御に故障が発生しているかを判定するステップと、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブの開放を操船者に促すステップとをさらに含む、請求項1に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
この方法によれば、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したときに、故障船外機に対応する転舵機構のバイパスバルブを、操船者によって確実に開放させることができる。
請求項4記載の発明は、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していることを操船者に報知するステップをさらに含む、請求項3に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
この方法によれば、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したときに、そのことを操船者に認識させることができる。
請求項5記載の発明は、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機をそれぞれの転舵角中点に移動し、全ての船外機をそれぞれの転舵角中点に固定した状態で、前記複数の船外機のうちの1つ以上に推進力を発生させるステップをさらに含む、請求項3または4に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
この方法によれば、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したときには、全ての船外機がそれぞれの転舵角中点に固定された状態で、複数の船外機の出力差を利用して、船舶を旋回させることができる。したがって、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生した場合であっても、船舶の旋回性を確保することができる。
請求項6記載の発明は、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブを開いて、全ての船外機をそれぞれの転舵角中点に移動し、その後に全ての船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブを閉じるステップを含む、請求項5に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
この方法によれば、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したときに、全ての船外機がそれぞれの転舵角中点に位置していなくても、全ての船外機をそれぞれの転舵角中点に移動させて固定することが可能となる。
請求項7記載の発明は、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機の前記原動機の回転速度を所定値以下に制限するステップをさらに含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
全ての船外機の転舵角制御に故障が発生した場合には、船外機を転舵角制御することなく、船外機の推進力を利用して船舶を旋回させることができる。しかし、この場合に船外機の推進力が大きくなりすぎると、操船者が意図する旋回挙動を得ることが難しくなるおそれがある。そこで、この方法では、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したときに、全ての船外機の原動機の回転速度が所定値以下に制限される。これにより、船外機の推進力が大きくなりすぎるのを抑制できるので、操船が容易になる。
請求項8記載の発明は、前記動力制御ステップは、前記他の船外機における前記原動機の回転速度を所定値以下に制限するステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
一部の船外機の転舵角制御に故障が生じているときに正常な他の船外機の転舵角制御が行われる場合には、正常な船外機が故障船外機に接触する可能性がある。そこで、この方法では、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生した場合には、正常な他の船外機における原動機の回転速度が所定値以下に制限される。これにより、正常な船外機が故障船外機に接触した場合の負荷を小さくできる。
請求項9記載の発明は、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機によって発生可能な最大推進力による船速よりも低い船速で船舶を航走させるステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶用推進システムの運転方法である。
この方法によれば、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生した場合には、全ての船外機によって発生可能な最大推進力による船速よりも低い船速で船舶が航走するので、正常な船外機が故障船外機に接触したとしても、その接触による負荷を小さくできる。
請求項10記載の発明は、原動機および前記原動機によって回転されるプロペラを含む複数の船外機と、前記複数の船外機の転舵角を制御する操舵装置とを含む船舶用推進システムであって、前記操舵装置は、操舵部材と、前記操舵部材の操作に応じて、前記複数の船外機を個別に転舵させるための複数の転舵機構とを含み、前記各転舵機構は、ピストンによって区画された2つのシリンダ室を有する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの前記2つのシリンダ室を連通させるための通常時閉のバイパスバルブとを含み、前記船舶用推進システムは、さらに、前記複数の船外機のうちのいずれかの船外機の転舵角制御に故障が発生したか否かを判定する故障判定ユニットと、前記故障判定ユニットによって、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブの開放を操船者に促すための報知ユニットと、前記転舵角制御に故障が発生した船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を遮断状態に保持する一方で、他の船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を許容する動力制御ユニットとを含む、船舶用推進システムである。
この構成では、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生すると、転舵角制御に故障が発生した船外機(以下、「故障船外機という」)に対応する転舵機構のバイパスバルブの開放が操船者に促される。これに応じて、故障船外機に対応する転舵機構のバイパスバルブを操船者が開放すると、故障船外機は、その転舵角制御は行えないが、左右方向に自由に転舵する状態となる。また、故障船外機の原動機とプロペラとの間の動力伝達が遮断状態に保持される。これにより、故障船外機による推進力の発生が停止される。
一方、他の船外機(転舵角制御に故障が発生していない正常な船外機)における原動機とプロペラとの間の動力伝達は許容される。これにより、正常な船外機によって推進力を発生させることができる。また、正常な船外機の転舵角制御は通常通り行われるので、正常な船外機の転舵角制御によって船舶の旋回性を確保できる。このため、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生した場合であっても、操船者は、操舵部材を操作することによって、船舶を操舵することができる。
また、この構成では、特許文献1記載の先行技術とは異なり、転舵角制御に故障が生じた船外機の転舵角に応じて、正常な船外機の転舵角範囲を制限するための制御が不用である。そのため、特許文献1記載の構成に比べて制御が簡単である。
また、故障船外機は、推進力の発生が停止されかつ左右方向に自由に転舵できる状態とされる。このため、正常な船外機の推進力により船舶が航走するときに、船舶の周囲に発生する水流に倣うように、故障船外機は他の正常な船外機と同じ方向に転舵する。したがって、正常な船外機の転舵角制御が行われているときに、正常な船外機が故障船外機に接触する可能性は低い。また、たとえ正常な船外機が故障船外機に接触したとしても、その接触による負荷は小さい。
請求項11記載の発明は、前記故障判定ユニットによって、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機における前記原動機の回転速度を所定値以下に制限する制限ユニットをさらに含む、請求項10に記載の船舶用推進システムである。
前述したように、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したときには、故障船外機の原動機とプロペラとの間の動力伝達が遮断状態に保持されるため、故障船外機の原動機の回転力はプロペラに伝達されない。そこで、故障船外機の回転速度を所定値以下に制限することにより、無駄なエネルギーの消費を抑制できる。
請求項12記載の発明は、前記バイパスバルブが手動開閉式バイパスバルブである、請求項10または11に記載の船舶用推進システムである。
請求項13記載の発明は、前記バイパスバルブが自動開閉式バイパスバルブである、請求項10または11に記載の船舶用推進システムである。
請求項14記載の発明は、前記故障判定ユニットによって、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、全ての船外機に対する転舵角制御を停止させる転舵角制御停止ユニットをさらに含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載の船舶用推進システムである。この構成によれば、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したときに、全ての船外機に対する転舵角制御を停止させることができる。
請求項15記載の発明は、前記故障判定ユニットは、前記全ての転舵機構に共通するインプット系に起因した故障を検出したときに、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定し、前記各転舵機構のアウトプット系に起因した故障を検出したときに、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定するように構成されている、請求項10〜14のいずれか一項に記載の船舶用推進システムである。
この構成では、全ての転舵機構に共通するインプット系に起因した故障が検出されると、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定される。一方、各転舵機構のアウトプット系に起因した故障が検出されると、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定される。
請求項16記載の発明は、前記インプット系に起因した故障は、前記操舵部材の操作量を検出するための操作量検出センサの故障を含み、前記アウトプット系に起因した故障は、前記船外機の転舵角を検出するための転舵角センサの故障および前記各転舵機構の故障を含む、請求項15に記載の船舶用推進システムである。
請求項17記載の発明は、船体と、前記船体に装着された、請求項10〜16のいずれか一項に記載の船舶用推進システムとを含む、船舶である。
この構成によれば、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したときに、故障船外機に対応する転舵機構のバイパスバルブを操船者に開放させることができる。また、故障船外機の原動機とプロペラとの間の動力伝達が遮断状態に保持される。一方、他の正常な船外機における原動機とプロペラとの間の動力伝達が許容される。また、正常な船外機の転舵角制御は通常通り行われるので、正常な船外機の転舵角制御によって船舶の旋回性を確保できる。このため、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生した場合であっても、操船者は、操舵部材を操作することによって、船舶を操舵することができる。
この発明の一実施形態に係る船舶の構成を説明するための斜視図である。 船外機の構成例を示す図解的な側面図である。 転舵機構の構成を説明するための構成図である。 船舶の要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。 船舶の推進力を調整するための各レバー位置と船体の動きとの関係を説明するための模式図である。 メインECUによる基本目標転舵角演算処理の手順および転舵用ECUによるモータ制御処理の手順を示すフローチャートである。 メインECUによって実行される故障時運転制御処理の手順の一部を示すフローチャートである。 メインECUによって実行される故障時運転制御処理の手順の一部を示すフローチャートである。 メインECUによって実行される故障時運転制御処理の手順の一部を示すフローチャートである。 図7AのステップS24で表示器に表示される操作案内画面の一例を示す模式図である。 図7BのステップS29において表示器に表示される操作案内画面の一例を示す模式図である。 図7CのステップS35で表示器に表示される操作案内画面の一例を示す模式図である。 図7AのステップS21〜S25の処理を、具体的に説明するための模式図である。
以下、添付図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る船舶の構成を説明するための斜視図である。船舶1は、船体2と、推進機としての複数の船外機3と、各船外機3の転舵角を制御する操舵装置4とを備えている。この実施形態では、船外機3は3機設けられている。これらの船外機3は、船体2の船尾に並べて取り付けられており、左右方向の揺動(転舵)が可能な状態とされている。3機の船外機を区別するときには、右舷に配置されたものを「右舷船外機3S」、中央に配置されたものを「中央船外機3C」、左舷に配置されたものを「左舷船外機3P」ということにする。これらの船外機3は、それぞれエンジン(内燃機関。原動機の一例)およびプロペラ(スクリュー)を備えており、エンジンの駆動力によってプロペラが回転されることで推進力を発生する。
船体2の前方部(船首側)には、操船席5が設けられている。操船席5には、操舵部材としてのステアリングハンドル6と、リモコン7と、操作パネル8と、表示器9と、メインECU(電子制御ユニット)10とが備えられている。
ステアリングハンドル6の操舵角は、操舵角センサ11(図4参照)によって検出される。また、船尾には、3つの船外機3のそれぞれに対応する3つの転舵機構12(図2、図3参照)が設けられている。各転舵機構12は、操舵角センサ11によって検出される操舵角に応じて駆動される転舵用アクチュエータとしての電動モータ102(図3参照)を含んでいる。3つの転舵機構12の電動モータ102は、転舵用ECU20(図4参照)によって制御される。
操舵装置4は、ステアリングハンドル6、操舵角センサ11、メインECU10、転舵用ECU20、3つの転舵機構12、後述する3つの転舵角センサ112(図3、図4参照)等を含んでいる。操舵装置4によって、各船外機3の転舵角が制御されることにより、推進力の方向が変化し、それに応じて船舶1の進行方向が変更される。
リモコン7は、左右2本のレバー7P,7Sを備えている。これらのレバー7P,7Sは、それぞれ前後に傾倒可能である。2つのレバー7P,7Sを区別するときには、船首方向に向かって左側にあるものを「左レバー7P」といい、船首方向に向かって右側にあるものを「右レバー7S」という。
各レバー7P,7Sの傾倒位置は、ポテンショメータなどのレバー位置センサ13P,13S(図4参照)によってそれぞれ検出される。レバー位置センサ13Pが左レバー7Pに対応し、レバー位置センサ13Sが右レバー7Sに対応する。
表示器9は、船外機3の状態、操作案内画面等を表示する。操作パネル8は、3機の船外機3P,3C,3Sにそれぞれ対応した3個のキースイッチ81P,81C,81S(以下、総称するときには「キースイッチ81」という)を備えている。
これらのキースイッチ81P,81C,81Sは、船外機3P,3C,3Sの電源をそれぞれオン/オフしたり、各船外機3P,3C,3Sのエンジンを始動したりするために操作されるスイッチである。具体的には、キースイッチ81をオフ位置からオン位置に操作することによって、対応する船外機3の電源をオンすることができる。さらに、キースイッチ81をオン位置からスタート位置まで操作すると、対応する船外機3のエンジンを始動させることができる。また、キースイッチ81をオン位置からオフ位置に操作することによって、対応する船外機3の電源をオフ状態にすることができる。
図2は、3つの船外機3の共通の構成例を説明するための図解的な側面図である。
船外機3は、推進ユニット60と、この推進ユニット60を船体2に取り付ける取り付け機構61とを有している。取り付け機構61は、船体2の後尾板に着脱自在に固定されるクランプブラケット62と、このクランプブラケット62に水平回動軸としてのチルト軸63を中心に回動自在に結合されたスイベルブラケット64とを備えている。推進ユニット60は、スイベルブラケット64に、操舵軸65まわりに回動自在に取り付けられている。推進ユニット60を操舵軸65まわりに回動させることによって、転舵角(船体2の中心線に対して推進力の方向がなす方位角)を変化させることができる。また、スイベルブラケット64をチルト軸63まわりに回動させることによって、推進ユニット60のトリム角を変化させることができる。トリム角は、船体2に対する船外機3の取り付け角に対応する。
推進ユニット60のハウジングは、トップカウリング66とアッパケース67とロアケース68とで構成されている。トップカウリング66内には、駆動源となるエンジン69がそのクランク軸の軸線が上下方向となるように設置されている。エンジン69のクランク軸下端に連結される動力伝達用のドライブシャフト91は、上下方向にアッパケース67内を通ってロアケース68内にまで延びている。
ロアケース68の下部後側には、推進力発生部材であるプロペラ90が回転自在に装着されている。ロアケース68内には、プロペラ90の回転軸であるプロペラシャフト92が水平方向に通されている。このプロペラシャフト92には、ドライブシャフト91の回転が、クラッチ機構としてのシフト機構93を介して伝達されるようになっている。
シフト機構93は、ドライブシャフト91の下端に固定されたベベルギヤからなる駆動ギヤ93aと、プロペラシャフト92上に回動自在に配置されたベベルギヤからなる前進ギヤ93bと、同じくプロペラシャフト92上に回動自在に配置されたベベルギヤからなる後退ギヤ93cと、前進ギヤ93bおよび後退ギヤ93cの間に配置されたドッグクラッチ93dとを有している。
前進ギヤ93bは前方側から駆動ギヤ93aに噛合しており、後退ギヤ93cは後方側から駆動ギヤ93aに噛合している。そのため、前進ギヤ93bおよび後退ギヤ93cは互いに反対方向に回転されることになる。
一方、ドッグクラッチ93dは、プロペラシャフト92にスプライン結合されている。すなわち、ドッグクラッチ93dは、プロペラシャフト92に対してその軸方向に摺動自在であるけれども、プロペラシャフト92に対する相対回動はできず、このプロペラシャフト92とともに回転する。
ドッグクラッチ93dは、ドライブシャフト91と平行に上下方向に延びるシフトロッド94の軸周りの回動によって、プロペラシャフト92上で摺動される。これにより、ドッグクラッチ93dは、前進ギヤ93bと結合した前進位置と、後退ギヤ93cと結合した後退位置と、前進ギヤ93bおよび後退ギヤ93cのいずれとも結合されないニュートラル位置とのいずれかのシフト位置に制御される。
ドッグクラッチ93dが前進位置にあるとき、前進ギヤ93bの回転がドッグクラッチ93dを介してプロペラシャフト92に伝達される。これにより、プロペラ90は、一方向(前進方向)に回転し、船体2を前進させる方向の推進力を発生する。一方、ドッグクラッチ93dが後退位置にあるとき、後退ギヤ93cの回転がドッグクラッチ93dを介してプロペラシャフト92に伝達される。後退ギヤ93cは、前進ギヤ93bとは反対方向に回転するため、プロペラ90は、反対方向(後退方向)に回転し、船体2を後退させる方向の推進力を発生する。ドッグクラッチ93dがニュートラル位置にあるとき、ドライブシャフト91の回転はプロペラシャフト92に伝達されない。すなわち、エンジン69とプロペラ90との間の駆動力伝達経路が遮断されるので、いずれの方向の推進力も生じない。
エンジン69に関連して、このエンジン69を始動させるためのスタータモータ45が配置されている。スタータモータ45は、船外機ECU30によって制御される。また、エンジン69のスロットルバルブ52を作動させてスロットル開度を変化させ、エンジン69の吸入空気量を変化させるためのスロットルアクチュエータ48が備えられている。このスロットルアクチュエータ48は、電動モータからなっていてもよい。このスロットルアクチュエータ48の動作は、船外機ECU30によって制御される。エンジン69には、さらに、クランク軸の回転を検出することによってエンジン69の回転速度を検出するためのエンジン回転速度センサ43が備えられている。
また、シフトロッド94に関連して、ドッグクラッチ93dのシフト位置を変化させるためのシフトアクチュエータ49が設けられている。このシフトアクチュエータ49は、たとえば、電動モータからなり、船外機ECU30によって動作制御される。シフトアクチュエータ49に関連して、シフト機構93のシフト位置を検出するシフト位置センサ44が設けられている。
推進ユニット60に固定されたステアリングアーム97に、転舵機構12が結合されている。この転舵機構12によって、推進ユニット60が操舵軸65まわりに左右に回動され、それによって船舶1の舵取りを行うことができる。
図3は、転舵機構の構成を示す構成図である。
転舵機構12は、油圧式の転舵機構である。転舵機構12は、油圧ポンプ101と、油圧ポンプ101を駆動するための電動モータ102と、油圧シリンダ103とを備えている。
油圧シリンダ103は、両ロッド型の複動シリンダである。油圧シリンダ103は、シリンダチューブ104と、シリンダチューブ104内に設けられたピストン105と、ピストン105に連結されたピストンロッド106とを含む。シリンダチューブ104およびピストンロッド106は、左右方向に延びている。シリンダチューブ104内の空間は、ピストン105によって左側の第1シリンダ室107と右側の第2シリンダ室108とに区画されている。ピストン105は、シリンダチューブ104内を左右に相対移動可能である。実際には、ピストン105の左右位置が船体2に対して固定されており、シリンダチューブ104がピストン105に対して左右に移動する。
第1シリンダ室107は、第1油路109を介して油圧ポンプ101の第1ポートに接続されている。第2シリンダ室108は、第2油路110を介して油圧ポンプ101の第2ポートに接続されている。
ピストンロッド106の一端部および他端部は、それぞれ、シリンダチューブ104の一端部および他端部から軸方向外方に突出している。ピストンロッド106の一端部および他端部は、それぞれ、2つの固定アーム111に連結されている。2つの固定アーム111は、スイベルブラケット64に固定されている。したがって、ピストンロッド106は、スイベルブラケット64およびクランプブラケット62(図2参照)を介して、船体2に取り付けられている。シリンダチューブ104は、船外機3に固定されたステアリングアーム97に連結されている。シリンダチューブ104は、ピストンロッド106に案内されることにより、船体2に対して左右方向に移動可能である。船外機3は、シリンダチューブ104の左右方向移動に伴って、操舵軸65まわりに左右に回動する。
以下の説明において、船外機3の転舵角中点とは、その船外機3のプロペラ90の回転軸線Apが平面視において船体2の前後方向に延びる直線と平行となる船外機3の位置である。また、船外機3が転舵角中点に位置しているときの船体2に対するシリンダチューブ104の位置を、シリンダチューブ104の転舵角中点位置という。
油圧シリンダ103の近傍には、船外機3の実転舵角を検出するための転舵角センサ112が設けられている。転舵角センサ112は、シリンダチューブ104の転舵角中点位置からのシリンダチューブ104の左右両方向の移動量を検出する。転舵角センサ112は、たとえば、シリンダチューブ104の転舵角中点位置からの左方向移動量を正の値として出力し、転舵角中点位置からの右方向移動量を負の値として出力する。転舵角センサ112によって検出されたシリンダチューブ104の転舵角中点位置からの移動量に基づいて、船外機3の転舵角を検出することができる。
各船外機3P,3C,3Sの転舵機構12に設けられている転舵角センサ112を区別する場合には、左舷船外機3Pに対応するものを「転舵角センサ112P」といい、中央船外機3Cに対応するものを「転舵角センサ112C」といい、右舷船外機3Sに対応するものを「転舵角センサ112S」ということにする。
第1油路109の途中には、第1パイロットチェックバルブ113が設けられている。第2油路110の途中には、第2パイロットチェックバルブ114が設けられている。第1パイロットチェックバルブ113のパイロットポートは、第2油路110における油圧ポンプ101と第2パイロットチェックバルブ114との間の部分に接続されている。第2パイロットチェックバルブ114のパイロットポートは、第1油路109における油圧ポンプ101と第1パイロットチェックバルブ113との間の部分に接続されている。
第1パイロットチェックバルブ113および第2パイロットチェックバルブ114は、油圧ポンプ101側から油圧シリンダ103側にオイルを流通させ、油圧シリンダ103側から油圧ポンプ101側へのオイルの流れをせき止める。ただし、各パイロットチェックバルブ113,114は、そのパイロット圧が所定以上になると、逆流(油圧シリンダ103側から油圧ポンプ101側へのオイルの流通)が可能な状態となる。
第1油路109と第2油路110とは、パイロットチェックバルブ113,114よりも油圧シリンダ103寄りの部分において、バイパスバルブ115を有するバイパス油路116によって接続されている。この実施形態では、バイパスバルブ115は、手動で開閉される手動開閉式バイパスバルブであり、通常時は閉状態とされる。
油圧ポンプ101の第1ポートは、さらに第1チェックバルブ117を介してオイルタンク121に接続されており、かつ、第1リリーフバルブ118を介してオイルタンク121に接続されている。同様に、油圧ポンプ101の第2ポートは、第2チェックバルブ119を介してオイルタンク121に接続されており、かつ、リリーフバルブ120を介してオイルタンク121に接続されている。
電動モータ102は、正転方向また逆転方向に回転駆動されて、油圧ポンプ101を駆動する。具体的には、電動モータ102は、その出力軸が油圧ポンプ101の入力軸に連結されており、電動モータ102の出力軸が回転することで、油圧ポンプ101の入力軸が回転して油圧ポンプ101の駆動が達成される。電動モータ102は、たとえば、直流モータである。各船外機3P,3C,3Sの転舵機構12に設けられている電動モータ102を区別する場合には、左舷船外機3Pに対応するものを「電動モータ102P」といい、中央船外機3Cに対応するものを「電動モータ102C」といい、右舷船外機3Sに対応するものを「電動モータ102S」ということにする。
電動モータ102が正転方向に回転されると、油圧ポンプ101が正転回転され、たとえば、オイルタンク121内のオイルが、第2チェックバルブ119を介して油圧ポンプ101に吸入され、油圧ポンプ101から第1油路109に吐出される。第1油路109に吐出されたオイルは、第1パイロットチェックバルブ113および第1油路109を介して、油圧シリンダ103の第1シリンダ室107に供給される。これにより、第1シリンダ室107の容積が大きくなるように、シリンダチューブ104が船体2に対して左方向に移動する。この際、第2パイロットチェックバルブ114に入力されるパイロット圧が所定圧以上となるため、第2パイロットチェックバルブ114は逆流が可能な状態となる。これにより、第2シリンダ室108内のオイルが第2油路110および第2パイロットチェックバルブ114を介して油圧ポンプ101に吸入される。
電動モータ102が逆転方向に回転されると、油圧ポンプ101が逆転回転され、オイルタンク121内のオイルが、第1チェックバルブ117を介して油圧ポンプ101に吸入され、油圧ポンプ101から第2油路110に吐出される。第2油路110に吐出されたオイルは、第2パイロットチェックバルブ114および第2油路110を介して、油圧シリンダ103の第2シリンダ室108に供給される。これにより、第2シリンダ室108の容積が大きくなるように、シリンダチューブ104が船体2に対して右方向に移動する。この際、第1パイロットチェックバルブ113に入力されるパイロット圧が所定圧以上となるため、第1パイロットチェックバルブ113は逆流が可能な状態となる。これにより、第1シリンダ室107内のオイルが第1油路109および第1パイロットチェックバルブ113を介して油圧ポンプ101に吸入される。
電動モータ102の回転が停止して、油圧ポンプ101が駆動されていないときには、パイロットチェックバルブ113,114によって、油圧シリンダ103のシリンダ室107,108内のオイルの流通が禁止される。これにより、シリンダチューブ104の移動が禁止されるから、船外機3は操舵軸65まわりに回動できない状態(転舵角が固定された状態)となる。この状態において、バイパスバルブ115が開放されると、油圧シリンダ103のシリンダ室107,108が油路109,115,110を介して連通するので、シリンダ室107,108の間でオイルが流通できるようになる。これにより、船外機3は操舵軸65まわりに自由に回動できる状態(自由転舵状態)となる。なお、バイパスバルブ115が開放されている場合には、電動モータ102が駆動されたとしても、それによって油圧シリンダ103が作動されることはない。
図4は、船舶1の要部の電気的構成を説明するための図である。
操作パネル8、表示器9、操舵角センサ11およびレバー位置センサ13P,13Sは、メインECU10に接続されている。メインECU10は、コンピュータ(マイクロコンピュータ)を含んでいる。メインECU10は、船内LAN(ローカルエリアネットワーク)を形成するバス15に接続されている。また、このバス15には、船舶1の速度を検出するための速度センサ14が接続されている。
船外機3S,3C,3Pは、それぞれ船外機ECU30S,30C,30Pを備えている。船外機ECU30Pは、左舷船外機3Pに対応し、船外機ECU30Cは、中央船外機3Cに対応し、船外機ECU30Sは右舷央船外機3Sに対応している。これらの船外機ECU30P,30C,30Sは、バス15に接続されている。船外機ECU30S,30C,30Pの内部構成は実質的に同じであり、以下、これらを総称するときには、「船外機ECU30」という。
各船外機ECU30は、コンピュータ(マイクロコンピュータ)を含んでいる。船外機ECU30には、温度センサ41、油圧センサ42、エンジン回転速度センサ43、シフト位置センサ44、スタータモータ45、イグニッションコイル46、インジェクタ47、スロットルアクチュエータ48、シフトアクチュエータ49、燃料ポンプ50、オイルポンプ51等が接続されている。
スタータモータ45は、エンジンのクランキングを行うための装置である。インジェクタ47は、エンジンの吸気経路に燃料を噴射する装置である。スロットルアクチュエータ48は、スロットルバルブ52を制御することにより、エンジンの吸気経路に供給される空気量を調整する装置である。イグニッションコイル46は、点火プラグ(図示せず)に印加される電圧を上げる装置である。点火プラグは、エンジンの燃焼室内で放電して、燃焼室内の混合気に点火をする装置である。シフトアクチュエータ49は、船外機のシフト機構93を駆動する装置である。燃料ポンプ50は、燃料を燃料タンク(図示せず)から汲み出してインジェクタ47に供給する装置である。オイルポンプ51は、エンジンオイルをエンジン内に循環させる装置である。
温度センサ41は、エンジンの冷却水の温度を検出する。油圧センサ42は、エンジンオイルの圧力を検出する。エンジン回転速度センサ43は、エンジンの回転速度を検出する。シフト位置センサ44は、シフト機構93のシフト位置(船外機のシフト位置)を検出する。
各船外機30P,30C,30Sに対応する転舵機構12の電動モータ102P,102C,102Sおよび転舵角センサ112P,112C,112Sは、転舵用ECU20に接続されている。転舵用ECU20は、バス15に接続されている。転舵用ECU20は、各電動モータ102P,102C,102Sを駆動するための駆動回路およびこれらの駆動回路を制御するためのコンピュータ(マイクロコンピュータ)を含んでいる。
メインECU10のコンピュータは、そのプログラムを実行することによって、複数の機能処理ユニットとしての機能を達成する。この機能処理ユニットは、電源/始動制御ユニットと、シフト位置等演算ユニットと、基本目標転舵角演算ユニットと、故障時運転制御ユニットとを含む。
メインECU10の電源/始動制御ユニットとしての機能は、操作パネル8上のキースイッチ81からの操作信号に基づいて、対応する船外機3の電源のオン/オフ制御および対応する船外機3のエンジンの始動制御を行うことを含む。メインECU10のシフト位置等演算ユニットとしての機能は、レバー位置センサ13P,13Sの出力に基づいて、各船外機3の目標シフト位置および目標エンジン回転速度を演算するシフト位置等演算処理を行うことを含む。メインECU10の基本目標転舵角演算ユニットとしての機能は、操舵角センサ11の出力に基づいて、各船外機3の基本目標転舵角を演算するための基本目標転舵角演算処理を行うことを含む。メインECU10の故障時運転制御ユニットとしての機能は、いずれかの船外機3の転舵角制御に故障が発生したときに、故障時運転制御処理を行うことを含む。
以下、これらの機能について、詳しく説明する。
メインECU10の電源/始動制御ユニットとしての機能は、次のとおりである。すなわち、メインECU10は、キースイッチ81がオフ位置からオン位置に操作されると、対応する船外機ECU30の電源をオンさせる。また、メインECU10は、キースイッチ81がオン位置からオフ位置に操作されると、対応する船外機3の電源をオフさせる。また、メインECU10は、キースイッチ81がオン位置からスタート位置に操作されたときには、始動許可条件が満たされていることを条件に、対応する船外機ECU30に、エンジン始動指令を出力する。始動許可条件とは、メインECU10によって演算されている当該船外機3の目標シフト位置が中立位置であり、かつ当該船外機3のシフト機構93の実際のシフト位置が中立位置になっていることである。各船外機3のシフト機構93のシフト位置の情報は、各船外機ECU30からバス15を介して、メインECU10に送られる。
船外機ECU30は、エンジン始動指令を受信した場合には、エンジン始動処理を行う。エンジン始動処理では、船外機ECU30が、スタータモータ45、イグニションコイル46およびインジェクタ47を駆動し、燃料供給制御および点火制御を行って、エンジンを始動させる。
次に、メインECU10のシフト位置等演算ユニットとしての機能について説明する。メインECU10は、レバー位置センサ13S,13Pの出力信号に基づいて、各船外機3のための目標シフト位置および目標エンジン回転速度を演算し、対応する船外機ECU30に送る。船外機ECU30は、メインECU10から送られてくる、目標シフト位置および目標エンジン回転速度に基づいて、船外機3のシフト位置およびエンジン回転速度を制御する。具体的には、船外機ECU30は、船外機3のシフト位置が目標シフト位置となるようにシフトアクチュエータ49を制御するとともに、エンジン回転速度が目標エンジン回転速度となるように、スロットルアクチュエータ48を制御する。このような制御について、詳しく説明する。
各船外機3のシフト位置は、次のように制御される。この実施形態では、左レバー7Pが左舷船外機3Pに対応付けられ、右レバー7Sが右舷船外機3Sに対応付けられ、中央の船外機3Cには、両方のレバー7P,7Sが対応付けられている。
左レバー7Pを所定の中立位置から前方に所定量以上傾倒させると、左舷船外機3Pのシフト位置が前進位置となり、当該船外機3Pから前進方向の推進力が発生される。目標エンジン回転速度は、前記所定量の傾倒位置(前進シフトイン位置)まではアイドル回転速度とされる。前進シフトイン位置を超えて前方に左レバー7Pを傾倒させると、レバー傾倒量が大きいほど大きくなるように目標エンジン回転速度が定められる。左レバー7Pを前記中立位置から所定量以上後方に傾倒させると、左舷船外機3Pのシフト位置が後退位置となり、左舷船外機3Pから後退方向の推進力が発生される。目標エンジン回転速度は、前記所定量の傾倒位置(後退シフトイン位置)まではアイドル回転速度とされる。後退シフトイン位置を超えて後方に左レバー7Pを傾倒させると、レバー傾倒量が大きいほど大きくなるように目標エンジン回転速度が定められる。左レバー7Pが前記中立位置にあれば、左舷船外機3Pのシフト位置が中立位置となり、船外機3Pは推進力を発生しない。
右レバー7Sが操作された場合には、前記の左レバー7Pが操作された場合の左舷船外機3Pのシフト位置およびエンジン回転速度の制御と同様に、右舷船外機3Sのシフト位置およびエンジン回転速度の制御が行われる。
さらに、両レバー7P,7Sの操作に応じて、中央船外機3Cのシフト位置が、次のように制御される。つまり、両レバー7P,7Sがともに前記中立位置から前進シフトイン位置以上に前方に傾倒されると、中央船外機3Cのシフト位置が前進位置となり、中央船外機3Cから前進方向の推進力が発生される。両レバー7P,7Sがともに前記中立位置から後退シフトイン位置以上に後方に傾倒されると、中央船外機3Cのシフト位置が後退位置となり、中央船外機3Cから後退方向の推進力が発生される。
目標エンジン回転速度は、両レバー7P,7Sの傾倒位置が前進シフトイン位置と後退シフトイン位置との間であればアイドル回転速度とされる。そして、両シフトイン位置間の範囲外にレバー傾倒位置がある場合には、両レバー7P,7Sの傾倒量に応じた目標エンジン回転速度が設定される。
両レバー7P,7Sのうちの少なくとも一方が中立位置にある場合には、中央船外機3Cのシフト位置は中立位置にされる。また、一方のレバーが中立位置から前方(たとえば前進シフトイン位置よりも前方)に倒されており、かつ他方のレバーが中立位置から後方(たとえば後退シフトイン位置よりも後方)に傾倒されている場合にも、中央船外機3Cのシフト位置は中立位置にされる。
図5は、各レバー位置と船体の動きとの関係を説明するための模式図である。
図5(a)に示すように、左レバー7Pが中立位置よりも前方(F側)に傾倒され、右レバー7Sが中立位置にある場合には、左舷船外機3Pのシフト位置が前進位置となり、他の船外機3C,3Sのシフト位置が中立位置となる。したがって、船体2は、左舷船外機3Pの前進方向の推進力のみを受けるから、右方向に旋回する。
図5(b)に示すように、右レバー7Sが中立位置よりも前方(F側)に傾倒され、左レバー7Pが中立位置にある場合には、右舷船外機3Sのシフト位置が前進位置となり、他の船外機3P,3Cのシフト位置が中立位置となる。したがって、船体2は、右舷船外機3Sの前進方向の推進力のみを受けるから、左方向に旋回する。
図5(c)に示すように、両レバー7P,7Sが共に中立位置よりも前方(F側)に傾倒された場合には、3機の船外機3のシフト位置がいずれも前進位置となる。したがって、船体2は、3機すべての船外機3の前進方向の推進力によって前進する。
図5(d)に示すように、両レバー7P,7Sが共に中立位置よりも後方(R側)に傾倒された場合には、3機の船外機3のシフト位置がいずれも後退位置となる。したがって、船体2は、3機すべての船外機3の後退方向の推進力によって後退する。
図5(e)は、左レバー7Pが中立位置よりも後方(R側)に傾倒され、右レバー7Sが中立位置よりも前方(F側)に傾倒された状態を示す。この場合には、左舷船外機3Pのシフト位置が後退位置となり、右舷船外機3Sのシフト位置が前進位置となり、中央船外機3Cのシフト位置が中立位置となる。したがって、船体2は、左舷船外機3Pの後退方向の推進力と、右舷船外機3Sの前進方向の推進力とによって左旋回する。
図5(f)は、左レバー7Pが中立位置よりも前方(F側)に傾倒され、右レバー7Sが中立位置よりも後方(R側)に傾倒された状態を示す。この場合には、左舷船外機3Pのシフト位置が前進位置となり、右舷船外機3Sのシフト位置が後退位置となり、中央船外機3Cのシフト位置が中立位置となる。したがって、船体2は、左舷船外機3Pの前進方向の推進力と、右舷船外機3Sの後退方向の推進力とによって右旋回する。
メインECU10の基本目標転舵角演算ユニットとしての機能および故障時運転制御ユニットとしての機能については、後述する。
各船外機ECU30のコンピュータは、そのプログラムを実行することによって、複数の機能処理ユニットとしての機能を達成する。この複数の機能処理ユニットは、エンジン始動処理ユニット、シフト制御ユニット等を含む。船外機ECU30のエンジン始動処理ユニットとしての機能は、前述したエンジン始動処理を行うことである。船外機ECU30のシフト制御ユニットとしての機能は、メインECU10によって演算されたエンジン回転速度および目標シフト位置に基づいて、エンジン回転速度および目標シフト位置を制御することである。
転舵用ECU20のコンピュータは、そのプログラムを実行することによって、複数の機能処理ユニットとしての機能を達成する。この複数の機能処理ユニットは、モータ制御ユニット、故障監視ユニット等を含む。転舵用ECU20のモータ制御ユニットとしての機能は、メインECU10によって演算された基本目標転舵角に基づいて、各船外機3の転舵機構12の電動モータ102を制御するためのモータ制御処理を行うことである。転舵用ECU20の故障監視ユニットとしての機能は、各船外機3の転舵角制御に故障が発生したか否かを監視することである。
図6を参照して、メインECU10の基本目標転舵角演算ユニットとしての機能および転舵用ECU20のモータ制御ユニットとしての機能について説明する。
図6は、メインECU10による基準目標転舵角演算処理の手順および転舵用ECU20によるモータ制御処理の手順を示すフローチャートである。図6に示される基本目標転舵角演算処理およびモータ制御処理は、所定の演算周期毎に繰り返し行われる。
メインECU10は、操舵角センサ11の出力に基づいて、操舵角θを取得する(ステップS1)。そして、メインECU10は、取得した操舵角θに基づいて、全ての船外機3に共通の基本目標転舵角δoを演算して、転舵用ECU20に送信する(ステップS2)。メインECU10は、たとえば、操舵角θと基本目標転舵角δoとの関係を予め記憶したマップに基づいて、取得した操舵角θに対応する基本目標転舵角δoを演算する。
転舵用ECU20は、メインECU10から送信された基本目標転舵角δoを受信すると(ステップS11:YES)、受信した基本目標転舵角δoに基づいて、各船外機3の目標転舵角δを演算する(ステップS12)。転舵用ECU20は、たとえば、基本目標転舵角δoと各船外機3の目標転舵角δとの関係を予め記憶したマップに基づいて、受信した基本目標転舵角δoに対応する各船外機3の目標転舵角δを演算する。なお、転舵用ECU20は、受信した基本目標転舵角δoを、各船外機3の目標転舵角δとしてそのまま用いてもよい。
この後、転舵用ECU20は、各船外機3の目標転舵角δを用いて、対応する船外機3の転舵機構12の電動モータ102をフィードバック制御する(ステップS13)。具体的には、転舵用ECU20は、転舵角センサ112によって検出された各船外機3の実転舵角δが、対応する船外機3の目標転舵角δに近づくように、対応する船外機3の転舵機構12の電動モータ102を駆動する。これにより、各船外機3の転舵角が、ステアリングハンドル6の操舵角に応じて制御される。
転舵用ECU20の故障監視ユニットとしての機能の詳細は、次の通りである。ある船外機3において、転舵機構12または転舵角センサ112に故障が発生すると、その船外機3に対応する実転舵角δはその船外機3に対応する目標転舵角δに収束しなくなる。そこで、転舵用ECU20は、船外機3毎に、実転舵角δと目標転舵角δとの差が所定値より大きい状態が、所定時間以上継続したか否かを監視する。そして、転舵用ECU20は、ある船外機3において、実転舵角δと目標転舵角δとの差が所定値より大きい状態が所定時間以上継続したときには、その船外機3の転舵角制御に故障が発生したと判定し、その旨をメインECU10に通知する。
次に、メインECU10の故障時運転制御ユニットとしての機能について説明する。
図7A、図7Bおよび図7Cは、メインECU10によって実行される故障時運転制御処理の手順を示すフローチャートである。
メインECU10は、各船外機3の転舵角制御に故障が発生したかを監視している(ステップS21)。船外機3の転舵角制御の故障には、操舵角センサ11の故障、転舵機構12の故障、転舵角センサ112の故障等がある。操舵角センサ11の故障は、全ての転舵機構12に共通するインプット系に起因した故障に含まれる。転舵機構12の故障または転舵角センサ112の故障は、各転舵機構12のアウトプット系に起因した故障に含まれる。
操舵角センサ11に故障が発生した場合には、操舵角センサ11の出力信号が所定値に固定される。したがって、メインECU10は、操舵角センサ11の出力信号を監視することによって、操舵角センサ11に故障(操舵角センサ11の信号線の断線を含む)を検出することができる。メインECU10は、操舵角センサ11に故障が発生したことを検出した場合には、いずれの船外機3の転舵角制御も行えないので、全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生したと判定する。
転舵機構12または転舵角センサ112の故障等により、いずれかの船外機3の転舵角制御に故障が発生した場合には、前述したように、転舵用ECU20からメインECU10にその旨が通知される。そこで、メインECU10は、いずれかの船外機3の転舵角制御に故障が発生したことを検出でき、かつ転舵角制御に故障が発生した船外機3を認識することができる。
メインECU10は、3つの船外機3のうちのいずれかの船外機3の転舵角制御に故障が発生したことを検出すると(ステップS21:YES)、ステップS22に移行する。ステップS22では、メインECU10は、全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生しているか、一部の船外機3の転舵角制御に故障が発生しているかを判定し、その判定結果を記憶する(ステップS22)。具体的には、メインECU10は、全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生していると判定した場合には、全機故障フラグFをセット(F=1)し、一部の船外機3の転舵角制御に故障が発生していると判定した場合には全機故障フラグFをリセット(F=0)する。
この後、メインECU10は、船舶1の走行速度を強制的に減速させるための処理(以下、「強制減速処理」という場合がある。)を行う(ステップS23)。具体的には、メインECU10は、全ての船外機3に対する目標エンジン回転速度を、レバー7P,7Sの位置に関係なく、所定速度に固定するとともに、全ての船外機3に対する目標シフト位置を、レバー7P,7Sの位置に関係なく、中立位置に固定する。前記所定速度は、たとえば、アイドリング回転速度に設定される。目標エンジン回転速度の所定速度への固定は、スロットルバルブ52を強制的に全閉することによって行ってもよい。
これにより、各船外機ECU30では、対応する船外機3のエンジン回転速度を所定速度に設定する制御が行われるとともに、対応する船外機3のシフト位置を中立位置に設定する制御が行われる。これにより、全ての船外機3のエンジン69とプロペラ90との間の動力伝達が遮断されるから、全ての船外機3による推進力の発生が停止され、船舶1の走行速度が減速する。
また、メインECU10は、レバー7P,7Sを中立位置に操作することを操船者に促すための操作案内画面を表示器9に表示する(ステップS24)。ステップS24で表示器9に表示される操作案内画面の一例を図8に示す。この操作案内画面は、「転舵角制御の故障発生」という緊急メッセージと、「レバーを中立位置に操作して下さい。」という操作案内を含んでいる。メインECU10は、レバー7P,7Sが中立位置に操作されるのを待つ(ステップS25)。レバー7P,7Sが中立位置に操作されたか否かは、レバー位置センサ13P,13Sの出力信号に基づいて判別される。
図11は、前記ステップS21〜S25の処理を、具体的に説明するための模式図である。
図11(a)に示すように、3機の船外機3がいずれも前進方向の推進力を発生し、これによって船体2が前進している場合に、右舷船外機3Sの操舵角制御に故障が発生した場合を想定する。この場合、メインECU10は、右舷船外機3Sの操舵角制御に故障が発生したことを検出し、全機故障フラグFをリセット(F=0)する。また、メインECU10は、「強制減速処理」を行う。これにより、図11(b)に示すように、全ての船外機3のエンジンン回転速度がレバー7P,7Sの位置に関係なく所定速度に設定されるとともに、全ての船外機3のシフト位置が中立位置に設定される。また、メインECU10は、図8に示すような操作案内画面を表示器9に表示する。操船者は、この操作案内画面にしたがって、図11(c)に示すように、レバー7P,7Sを中立位置に操作する。
前記ステップS24で操作案内画面(図8参照)が表示された後、操船者によってレバー7P,7Sが中立位置に操作されると(図7AのステップS25:YES)、メインECU10は、現在行っている「強制減速処理」を終了し、通常のシフト位置等演算処理を再開する(ステップS26)。これにより、レバー7P,7Sの位置に応じて演算された目標エンジン回転速度および目標シフト位置が、各船外機ECU30に送信されるようになる。
ステップS26の処理が終了すると、メインECU10は、全機故障フラグFがセット(F=1)されているか否かを判別する(ステップS27)。全機故障フラグFがセット(F=1)されている場合には(ステップS27:YES)、すなわち、全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生している場合には、メインECU10は、全ての船外機3の転舵角制御を停止させる(ステップS28)。具体的には、メインECU10は、全ての船外機3の転舵角制御を停止させるための転舵角制御停止指令を転舵用ECU20に送信する。転舵用ECU20は、この転舵角制御停止指令を受信すると、全ての船外機3の転舵機構12に対するモータ制御処理を停止する。これにより、全ての船外機3は、それぞれその時点での転舵角位置に固定され、転舵が行えない状態となる。
また、メインECU10は、全ての船外機3のエンジン回転速度を所定の第1制限速度以下に制限する(ステップS29)。具体的には、メインECU10は、全ての船外機ECU30に送信する目標エンジン回転速度を、所定の第1制限速度以下に制限する。より具体的には、レバー7P,7Sの位置に基づいて演算された目標エンジン回転速度が、第1制限速度より速い場合には、メインECU10は、当該目標エンジン回転速度を第1制限速度に制限する。これにより、全ての船外機3の推進力が制限される。
この後、メインECU10は、全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生したこと、およびレバー7P,7Sを操作することによって操舵を行うべきことを、操船者に報知するための操作案内画面を表示器9に表示する(ステップS30)。ステップS29において表示器9に表示される操作案内画面の一例を図9に示す。この操作案内画面は、「転舵角制御の故障発生」という緊急メッセージと、全ての船外機に転舵角制御の故障が発生していることを表す「全ての船外機」という文字列と、「レバー操作によって操舵を行って下さい。」という操作案内を含んでいる。
この操作案内画面によって、全ての船外機に転舵角制御の故障が発生していること、およびレバー7P,7Sの操作によって操舵を行うべきことを、操船者は認識する。そこで、操船者は、全ての船外機3の転舵角がそれぞれの転舵角中点近傍であるか否かを判断する(ステップS31)。操船者は、全ての船外機3の転舵角が転舵角中点近傍でないと判断した場合には(ステップS31:NO)、次のような操作を行う。すなわち、操船者は、全ての船外機3に対応する転舵機構12のバイパスバルブ115を開いて、全ての船外機3をそれぞれの転舵角中点に移動し、その後に全ての船外機3に対応する転舵機構12のバイパスバルブ115を閉じる(ステップS32)。これにより、全ての船外機3の転舵角が転舵角中点近傍に固定される。この後、操船者は、レバー7P,7Sを操作することによって船舶1を操舵する(ステップS33)。
前記ステップS31において、全ての船外機3の転舵角が転舵角中点近傍であると操船者が判断した場合には(ステップS31:YES)、操船者は、ステップS32の操作を行うことなく、レバー操作による操舵によって船舶1を操舵する(ステップS33)。
ステップS33では、全ての船外機3の転舵角が転舵角中点近傍に固定された状態で、これらの船外機3のうちの1つ以上に推進力が発生されることによって船舶1の旋回動作が行われる。つまり、これらの船外機3の出力差によって船舶1の旋回動作が行われる。たとえば、図5(a),図5(b),図5(e),図5(f)において説明したレバー操作によって、船舶1の旋回動作が行われる。このように、全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生した場合でも、船舶1の旋回性を確保できる。
全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生した場合には、船外機3の転舵角制御を行うことなく、船外機3の推進力を利用して船舶1を旋回させるため、船外機3の推進力が大きくなりすぎると、操船者が意図する旋回挙動を得ることが難しくなるおそれがある。そこで、この実施形態では、前記ステップS29において、全ての船外機3のエンジン回転速度が所定の第1制限速度以下に制限される。それによって、船外機3の推進力が大きくなりすぎるのを抑制でき、操船者が意図する旋回挙動を得やすくなる。
前記ステップS30において、全ての船外機3を転舵角中点に移動させるように促す操作案内を、操作案内画面に表示してもよい。なお、全ての船外機3の故障を検知した場合には、全ての船外機3を自動でそれぞれ強制的に転舵角中点に移動するように制御するようにしてもよい。
前記ステップS27において、全機故障フラグFがリセット(F=0)されていると判別された場合には(ステップS27:NO)、つまり、一部の船外機3の転舵角制御に故障が発生している場合には、メインECU10はステップS34に移行する。ステップS34では、メインECU10は、メインECU10は、転舵角制御に故障が発生している船外機3(以下、「故障船外機」という)の転舵角制御を停止させる。具体的には、メインECU10は、故障船外機3の転舵角制御を停止させるための転舵角制御停止指令を転舵用ECU20に送信する。転舵用ECU20は、この転舵角制御停止指令を受信すると、故障船外機3の転舵機構12に対するモータ制御処理を停止する。これにより、故障船外機3は、転舵角制御が行なわれない状態となる。
この後、メインECU10は、転舵角制御に故障が発生している船外機3に対応する転舵機構12のバイパスバルブの開放を操船者に促すための操作案内画面を表示器9に表示する(ステップS35)。ステップS35で表示器9に表示される操作案内画面の一例を図10に示す。この操作案内画面は、「転舵角制御の故障発生」という緊急メッセージと、右舷船外機に転舵角制御の故障が発生していることを表す「右舷船外機」という文字列と、「故障船外機のバイパスバルブを開いて下さい。」という操作案内を含んでいる。
次に、メインECU10は、故障船外機3による推進力の発生を強制的に停止させるための処理(以下、「故障船外機の推進力停止処理」という場合がある。)を行う(ステップS36)。具体的には、メインECU10は、故障船外機3に対する目標エンジン回転速度をレバー7P,7Sの位置に関係なく所定のアイドル回転速度に固定するとともに、故障船外機3に対する目標シフト位置をレバー7P,7Sの位置に関係なく中立位置に固定する。
これにより、故障船外機3に対応する船外機ECU30では、故障船外機3のエンジン回転速度をアイドル回転速度に設定する制御が行われるとともに、故障船外機3のシフト位置を中立位置に設定する制御が行われる。これにより、故障船外機3のエンジン69とプロペラ90との間の動力伝達が遮断されるから、レバー7P,7Sの位置に関係なく、故障船外機3による推進力の発生が停止される。故障船外機3のエンジン回転速度をアイドル回転速度に設定しているのは、無駄な燃料消費を抑制するためである。その後、故障船外機3に対応する船外機ECU30は、レバー7P,7Sの位置に関係なく、故障船外機3のシフト位置を中立位置に維持する。これにより、故障船外機3のエンジン69とプロペラ90との間の動力伝達が遮断された状態が保持される。
正常な他の船外機3については、このような推進力停止処理は行われないので、通常のシフト位置等演算処理に基づく制御が行われる。すなわち、正常な他の船外機3については、レバー7P,7Sの位置に応じたシフト位置の変更が可能であり、エンジン69とプロペラ90との間の動力伝達が許容された状態を保持する。このため、正常な他の船外機3によって推進力を確保することができる。
次に、メインECU10は、正常な他の船外機3(転舵角制御に故障が発生していない船外機)のエンジン回転速度を所定の第2制限速度以下に制限する(ステップS37)。具体的には、メインECU10は、正常な他の船外機3に送信する目標エンジン回転速度を、所定の第2制限速度以下に制限する。より具体的には、レバー7P,7Sの位置に基づいて演算された正常な船外機3に対する目標エンジン回転速度が、第2制限速度より速い場合には、メインECU10は、当該目標エンジン回転速度を第2制限速度に制限する。
前記ステップS35で表示された操作案内画面(図10参照)により、一部の船外機3に転舵角制御に故障が発生していること、およびその故障船外機3に対応する転舵機構12のバイパスバルブ115を開くべきことを、操船者は認識する。そこで、操船者は、故障船外機3に対応する転舵機構12のバイパスバルブ115を開く(ステップS38)。これにより、故障船外機3は、その転舵角制御は行えないが、左右方向に自由に回動する自由転舵状態となる。このため、故障船外機3は隣接する他の船外機3や水流による外力の影響を受けて回動可能な状態となる。なお、ここでは、前記ステップS34によって故障船外機3の転舵角制御は停止された状態に保持されている。しかし、仮に故障船外機3の転舵角制御を継続した場合であっても、故障船外機3に対応する転舵機構12のバイパスバルブ115は開かれているため、当該転舵機構12の電動モータ102が駆動されることによって油圧シリンダ103が作動されることはない。
そして、操船者は、バイパスバルブ115が開いた状態を保持したままで、ステアリングハンドル6を操作することによって船舶1を操舵する(ステップS39)。正常な船外機3に対応する転舵機構12は、対応する船外機3を転舵可能な状態(正常な状態)を保持しているため、正常な船外機3の転舵角制御は通常通り行われる。このため、正常な船外機3の転舵角制御によって船舶1の旋回性を確保できる。
前述したように、一部の船外機3の転舵角制御に故障が発生した場合には、故障船外機3は、推進力の発生が停止されかつ自由転舵状態とされる。このため、故障船外機3は、正常な船外機3の推進力により船舶1が航走するときに、その周囲に生じる水流に従うように、他の正常な船外機3と同じ方向に転舵する。したがって、正常な船外機3の転舵角制御が行われているときに、正常な船外機3が故障船外機3に接触する可能性は低い。また、たとえ正常な船外機3が故障船外機3に接触したととても、その接触による負荷は小さい。
また、この場合には、故障船外機3による推進力は停止されているため、全ての船外機3から発生可能な最大推進力による船速よりも低い船速で船舶1が航走する。これにより、正常な船外機3が故障船外機3に接触した場合の負荷を小さくできる。特に、この実施形態では、ステップS37において正常な船外機3のエンジン回転速度が第2制限速度以下に制限されるため、正常な船外機3が故障船外機3に接触した場合の負荷をより小さくすることができる。
以上、この発明の実施形態について説明したけれども、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。例えば、前述の実施形態では、図7AのステップS24において、レバー7P,7Sを中立位置に操作すべきことを操船者に報知するための操作案内画面(図8参照)が表示されている。また、それとは別に、図7BのステップS30において、全ての船外機3の転舵角制御に故障が発生した場合に対応した操作案内画面(図9参照)が表示され、図7CのステップS35において、一部の船外機3の転舵角制御に故障が発生した場合に対応した操作案内画面(図10参照)が表示されている。しかし、図7AのステップS24において表示される図8の操作案内画面に、図7AのステップS22の判定結果に応じて、図9の操作案内画面の内容または図10の操作案内画面の内容を含ませるようにしてもよい。
前記実施形態では、図7BのステップS29において、全ての船外機3のエンジン回転速度を所定の第1制限速度以下に制限しているけれども、この処理を省略してもよい。
前記実施形態では、図7BのステップS36において、故障船外機3に対する目標エンジン回転速度を所定のアイドル回転速度に固定するとともに、故障船外機3に対する目標シフト位置を中立位置に固定している。しかし、このステップS36において、故障船外機3に対する目標エンジン回転速度を所定のアイドル回転速度に固定することなしに、故障船外機3に対する目標シフト位置のみを中立位置に固定するようにしてもよい。
前記実施形態では、図7BのステップS37において、正常な他の船外機3のエンジン回転速度を所定の第2制限速度以下に制限しているけれども、この処理を省略してもよい。
前記実施形態では、バイパスバルブ115は、手動開閉式バイパスバルブであるけれども、電動で開閉される自動開閉式バイパスバルブであってもよい。
また、前記実施形態では、3つの船外機3の転舵機構12は、それらに共通した1つの転舵用ECU20によって制御されているけれども、複数の船外機3にそれぞれ対応して設けられた複数の転舵用ECUによって転舵機構12を制御するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、船外機の原動機がエンジンである場合について説明したけれども、船外機の原動機は電動機であってもよい。
また、前述の実施形態では、転舵機構12は、油圧ポンプ101の回転方向によって、船外機の転舵方向を制御するように構成されているけれども、油圧ポンプ101と油圧シリンダ103との間に、電動モータによって駆動される方向切換弁を設けた構成であってもよい。このような方向切換弁を設けた構成では、油圧ポンプ101は常に一定方向に回転駆動され、方向切換弁を駆動するための電動モータが制御されることにより、船外機の転舵方向が制御される。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
以下に、特許請求の範囲に記載された構成要素と前述の実施形態における構成要素との対応関係を示す。
原動機:エンジン69
操舵部材:ステアリングハンドル6
故障判別ユニット:メインECU10,転舵用ECU20,図7AのステップS21
報知ユニット:表示器9,メインECU10,図7CのステップS35
動力制御ユニット:メインECU10,船外機ECU30,図7CのステップS36
制限ユニット:メインECU10,船外機ECU30,図7CのステップS36
転舵角制御停止ユニット:メインECU10,転舵用ECU20,図7BのステップS28
1 船舶
2 船体
3 船外機
3S 右舷船外機
3C 中央船外機
3P 左舷船外機
4 操舵装置
5 操船席
6 ステアリングハンドル
7 リモコン
7S 右レバー
7P 左レバー
8 操作パネル
9 表示器
10 メインECU
11 操舵角センサ
12 転舵機構
13S,13P レバー位置センサ
15 バス
20 転舵用ECU
30S,30C,30P 船外機ECU
41 温度センサ
42 油圧センサ
43 エンジン回転速度センサ
44 シフト位置センサ
45 スタータモータ
46 イグニッションコイル
47 インジェクタ
48 スロットルアクチュエータ
49 シフトアクチュエータ
50 燃料ポンプ
51 オイルポンプ
52 スロットルバルブ
60 推進ユニット
61 取り付け機構
62 クランプブラケット
63 チルト軸
64 スイベルブラケット
65 操舵軸
66 トップカウリング
67 アッパケース
68 ロアケース
69 エンジン
90 プロペラ
91 ドライブシャフト
92 プロペラシャフト
93 シフト機構
93a 駆動ギヤ
93b 前進ギヤ
93c 後退ギヤ
93d ドッグクラッチ
94 シフトロッド
97 ステアリングアーム
101 油圧ポンプ
102S,102C,102P 電動モータ
103 油圧シリンダ
104 シリンダチューブ
105 ピストン
106 ピストンロッド
107,108 シリンダ室
109,110 油路
111 固定アーム
112S,112C,112P 転舵角センサ
113,114 パイロットチェックバルブ
115 パイパスバルブ
116 バイパス油路
117,119 チェックバルブ
118,120 リリーフバルブ
121 オイルタンク

Claims (17)

  1. 原動機および前記原動機によって回転されるプロペラを含む複数の船外機と、前記複数の船外機の転舵角を制御する操舵装置とを含む船舶用推進システムの運転方法であって、
    前記操舵装置は、操舵部材と、前記操舵部材の操作に応じて、前記複数の船外機を個別に転舵させるための複数の転舵機構とを含み、前記各転舵機構は、ピストンによって区画された2つのシリンダ室を有する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの前記2つのシリンダ室を連通させるための通常時閉のバイパスバルブとを含み、
    前記方法は、
    前記複数の船外機のうちのいずれかの船外機の転舵角制御に故障が発生したか否かを判定するステップと、
    一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブを開状態にするステップと、
    前記バイパスバルブを開状態に保持したままで、前記転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を遮断状態に保持する一方で、他の船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を許容する動力制御ステップとを含む、船舶用推進システムの運転方法。
  2. 一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブの開放を操船者に促すステップをさらに含む、請求項1に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  3. 全ての船外機の転舵角制御に故障が発生しているか、それとも一部の船外機の転舵角制御に故障が発生しているかを判定するステップと、
    一部の船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブの開放を操船者に促すステップとをさらに含む、請求項1に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  4. 全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していることを操船者に報知するステップをさらに含む、請求項3に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  5. 全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機をそれぞれの転舵角中点に移動し、全ての船外機をそれぞれの転舵角中点に固定した状態で、前記複数の船外機のうちの1つ以上に推進力を発生させるステップをさらに含む、請求項3または4に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  6. 全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブを開いて、全ての船外機をそれぞれの転舵角中点に移動し、その後に全ての船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブを閉じるステップを含む、請求項5に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  7. 全ての船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機の前記原動機の回転速度を所定値以下に制限するステップをさらに含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  8. 前記動力制御ステップは、前記他の船外機における前記原動機の回転速度を所定値以下に制限するステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  9. 一部の船外機の転舵角制御に故障が発生していると判定されたときに、全ての船外機によって発生可能な最大推進力による船速よりも低い船速で船舶を走行させるステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶用推進システムの運転方法。
  10. 原動機および前記原動機によって回転されるプロペラを含む複数の船外機と、前記複数の船外機の転舵角を制御する操舵装置とを含む船舶用推進システムであって、
    前記操舵装置は、操舵部材と、前記操舵部材の操作に応じて、前記複数の船外機を個別に転舵させるための複数の転舵機構とを含み、前記各転舵機構は、ピストンによって区画された2つのシリンダ室を有する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの前記2つのシリンダ室を連通させるための通常時閉のバイパスバルブとを含み、
    前記船舶用推進システムは、さらに、
    前記複数の船外機のうちのいずれかの船外機の転舵角制御に故障が発生したか否かを判定する故障判定ユニットと、
    前記故障判定ユニットによって、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機に対応する転舵機構の前記バイパスバルブの開放を操船者に促すための報知ユニットと、
    前記転舵角制御に故障が発生した船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を遮断状態に保持する一方で、他の船外機における前記原動機と前記プロペラとの間の動力伝達を許容する動力制御ユニットとを含む、船舶用推進システム。
  11. 前記故障判定ユニットによって、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、転舵角制御に故障が発生したと判定された船外機における前記原動機の回転速度を所定値以下に制限する制限ユニットをさらに含む、請求項10に記載の船舶用推進システム。
  12. 前記バイパスバルブが手動開閉式バイパスバルブである、請求項10または11に記載の船舶用推進システム。
  13. 前記バイパスバルブが自動開閉式バイパスバルブである、請求項10または11に記載の船舶用推進システム。
  14. 前記故障判定ユニットによって、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定されたときに、全ての船外機に対する転舵角制御を停止させる転舵角制御停止ユニットをさらに含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載の船舶用推進システム。
  15. 前記故障判定ユニットは、前記全ての転舵機構に共通するインプット系に起因した故障を検出したときに、全ての船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定し、前記各転舵機構のアウトプット系に起因した故障を検出したときに、一部の船外機の転舵角制御に故障が発生したと判定するように構成されている、請求項10〜14のいずれか一項に記載の船舶用推進システム。
  16. 前記インプット系に起因した故障は、前記操舵部材の操作量を検出するための操作量検出センサの故障を含み、前記アウトプット系に起因した故障は、前記船外機の転舵角を検出するための転舵角センサの故障および前記各転舵機構の故障を含む、請求項15に記載の船舶用推進システム。
  17. 船体と、
    前記船体に装着された、請求項10〜16のいずれか一項に記載の船舶用推進システムとを含む、船舶。
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