JP2014077459A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動性を良好として信頼性の高い電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【解決手段】鋼材からなるナット15に、強化繊維を含まない高分子材料からなる転動体循環部材33が嵌まり込む凹形状の循環部材装着部31A(31B)を形成した。また、転動体循環部材を、強化繊維を含まない高分子材料で形成した。さらに、循環部材装着部内に装着した転動体循環部材の所定位置に、循環部材装着部との間にクリアランスC1〜C3を設けた。
【選択図】図11

Description

本発明は、ボールねじ機構を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
車両のラックピニオン式ステアリング装置では、ステアリングホイールを操舵したときの操舵回転力がピニオン軸に伝達され、このピニオン軸に噛合するラックアンドピニオンギヤによりラック軸の直線運動に変換されて、この直線運動がラック軸の両端に連結されたタイロッドを介して転舵輪に伝達され、この転舵輪が転舵される。
このラック軸を電動モータで駆動されるボールねじ機構に連結することにより、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)を構成することができる。なお、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置を、ラックアシスト式EPSと称する。
ボールねじ機構は、外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、このねじ溝に対応するねじ溝を内周面に有するとともに、軸方向に貫通する転動体戻し通路を有してねじ軸に転動体を介して螺合されるナットと、転動体循環路を設けた転動体循環部材と、ナットの軸方向端部に凹形状として形成され、転動体循環部材を内部に装着することで両ねじ溝間と転動体戻し通路とを転動体循環路で連通させる転動体循環部材装着部とを備えた装置である。
ボールねじ機構のナットは鋼材であり、転動体循環部材は、耐久性及び耐衝撃性を高めるために高分子材料で形成される場合がある。
このようなボールねじ機構において、室温で転動体循環部材をナットの軸方向端部に形成した転動体循環部材装着部にスキマを設けずに装着すると、温度上昇により高分子材料からなる転動体循環部材と鋼材からなるナットの間に熱膨張差が生じ、転動体循環部材が転動体循環部材装着部に収まらず、ナットの軸方向やナットの内径側に変位する場合がある。また、転動体循環部材が吸水性を有する高分子材料で成形される場合には、吸水により転動体循環部材が膨張し、転動体循環部材装着部に収まりきらず、ナットの軸方向やナットの内径側に変位する場合がある。
このように、転動体循環部材がナットに対して変位すると、転動体の掬い上げ点のずれ、転動体循環部材装着部への転動体循環部材の装着不良、ボールねじ軸と転動体循環部材との干渉といった不具合が発生し、ボールねじ機構の作動性が悪化するおそれがある。
転動体循環部材の変位を防止する方法として、例えば特許文献1,2に示すものが知られている。しかし、これら特許文献1,2は、転動体循環部材がナットの軸方向に変位するのを抑制することができるが、転動体循環部材がナットの内径側に変位するのを抑制することができない。
実用新案登録3034052号 特開2003−329098号公報
本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、作動性を良好として信頼性の高い電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、一の実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、外周面にねじ溝を形成したねじ軸と、このねじ軸の前記ねじ溝に対応するねじ溝を内周面に形成するとともに、軸方向に貫通する転動体戻し通路を形成したナットと、前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とで形成される螺旋軌道及び前記転動体戻し通路に介装された多数の転動体と、前記螺旋軌道の一端から前記転動体を前記螺旋軌道の接線方向に掬い上げて前記転動体戻し通路へ導くとともに前記転動体戻し通路から前記螺旋軌道の他端へ案内する転動体循環軌道を形成する転動体循環部材とを有するボールねじ機構を備え、当該ボールねじ機構の前記ねじ軸を、ステアリング機構を構成するピニオン軸に螺合するラック軸に連結し、前記ナットを電動モータで回転駆動する電動パワーステアリング装置において、鋼材からなる前記ナットに、前記転動体循環部材が嵌まり込む凹形状の循環部材装着部を形成し、前記転動体循環部材を、強化繊維を含まない高分子材料で形成するとともに、前記循環部材装着部内に装着した前記転動体循環部材の所定位置に、前記循環部材装着部との間にクリアランスを設けた。
また、一の実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、前記クリアランスが、前記転動体の直径の3%以上10%以下であることが好ましい。
また、一の実施形態に係るボールねじ機構は、BCD(Ball Circle Diameter)をφ25mm以上φ32mm以下とし、前記転動体の直径をφ3.968mm以上φ5.000mm以下とし、リードを6.0mm以上8.0mm以下とすることが好ましい。
以上説明したように、本発明に係る電動パワーステアリング装置は、鋼材からなるナットに、転動体循環部材が嵌まり込む凹形状の循環部材装着部を形成し、転動体循環部材を、強化繊維を含まない高分子材料で形成するとともに、循環部材装着部内に装着した転動体循環部材の所定位置に、循環部材装着部との間に部分的にクリアランスを設けたボールねじ機構を備えている。このボールねじ機構は、耐久性及び耐衝撃性を確保するとともに、温度上昇や吸水により膨張した転動体循環部材がナットの軸方向やナットの内径側に変位するのが抑制されるので、このボールねじ機構を備えた電動パワーステアリング装置は、作動性を良好として信頼性を高くすることができる。
本発明に係る操舵ギヤ機構を示す正面図である。 図1の操舵ギヤ機構に適用するラック軸を示す正面図である。 図1の電動パワーステアリング装置の要部断面図である。 ボールねじ機構を示す要部断面図である。 転動体循環部材を示す斜視図である。 電動パワーステアリング装置を構成するボールねじ機構のボールねじナットの内部を示す図である。 ボールねじナットに形成した転動体循環部材装着部を示す図である。 ボールねじナットの循環経路を概略的に示した図である。 転動体循環部材のタング部の背面形状を説明する図である。 ボールねじナットに嵌合した転動体循環部材の様子を示す図である。 転動体循環部材装着部に転動体循環部材を装着した状態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(電動パワーステアリング装置)
図1は、本発明に係る操舵ギヤ機構1を示すものであり、図2は、ラック軸を示す正面図である。
図1の操舵ギヤ機構1は、ピニオン機構2とラック機構3とを備えている。
ピニオン機構2はピニオンハウジング4に回転自在に支持されたピニオン軸5を備えている。このピニオン軸5は、図示しないステアリングシャフト等を介してステアリングホイールに連結されている。ラック機構3はラックハウジング6に摺動可能に支持されたラック軸7を備えている。ピニオン軸5とラック軸7は噛合しており、ピニオン軸5に伝達される回転力がラック軸7の直動力に変換される。
ラック軸7は、図2に示すように、ピニオン軸5が噛合するラック部8と、このラック部8の右方に形成された螺旋状のゴシックアーク断面形状のボールねじ溝9aを有するボールねじ軸9とを備えている。
そして、ラック軸7の右端側にラックアシスト式EPS10が配置されている。このラックアシスト式EPS10は、ボールねじ機構11と、操舵補助用の電動モータ12と、ボールねじ機構11と電動モータ12との間を連結する減速機構13とで構成されている。このラックアシスト式EPSは、後述するボールねじ機構11のボールねじ軸9及び電動モータ12の軸線を平行に配置したオフセット式のラックアシスト式EPS10である。
電動モータ12は、図3に示すように、ラックハウジング6の軸受収容部16の半径方向外方に一体に形成されたモータ支持部18のピニオン機構2側に固定支持され、その回転軸12aがモータ支持部18に形成された貫通孔18aを通じて反対側に突出されている。この操舵補助用の電動モータ12は、図1に示すように、モータ制御装置30によって回転駆動される。このモータ制御装置30は、ステアリングホイール(図示せず)に入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ30aと、車速を検出する車速センサ30bとを有し、トルクセンサ30aで検出した操舵トルク及び車速センサ30bで検出した車速に基づいて操舵補助トルク指令値を算出し、算出した操舵補助トルク指令値に基づいて操舵補助用の電動モータ12で必要な操舵補助トルクを発生させるモータ駆動電流を求め、このモータ駆動電流を操舵補助用の電動モータ12に出力する。
さらに、減速機構13は、図3に示すように、操舵補助用の電動モータ12の回転軸12aの先端に取付けられた小径プーリ19と、前述したボールねじナット15の半径方向外方に一体に形成された大径プーリ20と、小径プーリ19及び大径プーリ20との間に巻装されたタイミングベルト21とで構成されている。
そして、小径プーリ19と、大径プーリ20、及びボールねじ溝9aを覆うようにカバー22が軸受収容部16及びモータ支持部18に例えばボルト締め等により固定されている。
ボールねじ機構11は、図3に示すように、ラック軸7のボールねじ軸9のボールねじ溝9aに転動体14を介して螺合するボールねじナット15を備えている。このボールねじナット15は、ラックハウジング6の右端部に形成された軸受収容部16に収容された転がり軸受17によって回転自在に支持されている。この転がり軸受17は、内輪17aがボールねじナット15と一体に形成された内輪17aと、この内輪17aにボール17bを介して連結され軸受収容部16に固定支持された外輪17cとで構成されている。
そして、ラックアシスト式EPS10は、操舵補助用の電動モータ12の回転軸12aを回転駆動することにより、小径プーリ19及び大径プーリ20がタイミングベルト21によってそれぞれ回転駆動され、これに応じてボールねじナット15が回転駆動されるため、ボールねじ軸9すなわちラック軸7が直線駆動される。そして、ラック軸7のラック部8の左端部及びボールねじ軸9の右端部がそれぞれタイロッド23を介して図示しない転舵輪に連結されている。
(ボールねじナット及び転動体循環部材)
図4に示すように、ボールねじ機構11のボールねじナット15の内周面には、転動体14が転動するゴシックアーク断面形状のボールねじ溝15aが螺旋状に形成されている。また、ボールねじナット15の軸方向の左右両端部には、一対の転動体循環部材33を装着するための一対の転動体循環部31A,31Bが形成されている。さらに、ボールねじナット15の軸方向の左右両端部には、ボールねじナット15の内周面のボールねじ溝15aと外周面との間を軸方向に通って左右両端部の一対の転動体循環部材装着部31A,31Bの間を連通する転動体戻し通路32が形成されている。
右端側の転動体循環部材装着部31Aは、図6及び図7(b)に示すように、ボールねじナット15の軸方向の一方の端面に開口した切欠凹部であり、平坦面31aと、湾曲面31b,31cと、半円筒面31dと、上面31eとを備えた部材である。
平坦面31aは、ボールねじナット15の軸方向の一方の端面のボールねじ溝15aの溝底部にほぼ連続して接線方向に転動体戻し通路32の下面まで延長し、ボールねじナット15の中心軸に対して平行に延在している。また、湾曲面31b,31cは、平坦面31aの前端側(図6の手前側、図7(b)の左側)に連続してボールねじ溝15aの両側に湾曲延長している。また、半円筒面31dは、平坦面31aの後端側(図6の奥側、図7(b)の右側)で連続し、転動体戻し通路32の直径より大きい直径で形成されている。さらに、上面31eは、半円筒面31dの上端(図6の上側)からボールねじ溝15aの両側の内周面まで平坦面31aと平行に延長して形成されている。そして、半円筒面31dの上面31eに近い位置に半円筒面31dより深さの浅い抜け止め凹部31fがボールねじ溝15aに沿う方向に形成されている。
また、左端側の転動体循環部材装着部31Bは、図6に示すように、ボールねじナット15の軸方向の他方の端面に開口した切欠凹部であり、転動体循環部材装着部31Aと同様に平坦面31a、湾曲面31b,31c、半円筒面31d及び上面31eを備えている。そして、左端側から見た転動体循環部材装着部31Bの各部位(平坦面31a、湾曲面31b,31c、半円筒面31d及び上面31e)の配置位置は、右端側から見た転動体循環部材装着部31Aの各部位の配置位置と同一に形成されている。
そして、これらボールねじナット15の軸方向の左右両端部に設けた一対の転動体循環部材装着部31A,31Bに転動体循環部材33が装着され、図5で示した転動体循環部材33のこのタング部33eの先端位置が、転動体循環部材装着部31A,31Bの平坦面31aと湾曲面31b及び31cとの境界位置より半円筒面31d側となるように設定されている。このため、タング部33eで掬い取った転動体14はボールねじ溝15aから離脱してボールねじ溝15aの底面より外周側となる転動体案内側板部33a及び33b間の平坦面31aに接触することになり、タング部33eが転動体14を掬い上げることができる。
転動体循環部材33は、図5(a)、(b)に示すように、一対の転動体案内側板部33a,33bと、これら転動体案内側板部33a及び33bを連結する連結板部33cとを備えている。
一対の転動体案内側板部33a,33bの側面形状(図5(a)の上方から見た形状)は、ボールねじナット15の軸方向の両端面に切欠凹部として形成した一対の転動体循環部材装着部31A,31Bの形状と略同一に形成されている。ここで、転動体案内側板部33aには、一対の転動体循環部材装着部31A,31Bの抜け止め凹部31fと同一形状の抜け止め凸部33dが形成されている。
連結板部33cは、図5(a)の右側から見て、一対の転動体案内側板部33a,33bの中間部から左側を連結し、転動体循環部材33を門形に形成している。
また、連結板部33cには、ボールねじ軸9のボールねじ溝9a内に非接触状態で挿入されて転動体14を接線方向に掬い取るタング部33eが形成されている。
そして、タング部33eと転動体案内側板部33a及び33bとで囲まれて転動体戻し通路32に転動体14を案内する平面から見て略逆L字状に湾曲し、転動体戻し通路32と対向する位置で開口する転動体循環路33fが形成されている。
次に、転動体循環部材33のより具体的な形状の決定、及び材料の決定のために必要な条件について説明する。
(ラックアシスト式EPSのボールねじ機構の諸元)
ラックアシスト式EPS10のボールねじ機構11の諸元(ボールねじの耐久寿命、ラック軸外径、アシストモータからラック軸までの減速比といった設計要件)について説明する。
標準的な乗用車では、ラック軸7の曲げ強度及びラック&ピニオンギヤの噛合い強度の確保の観点から、ラック軸7の外径はφ25mm以上φ32mm以下であり、ボールねじ機構の転動体14のBCD(Ball Circle Diameter)もラック軸7の外径と略同様のφ25mm以上φ32mm以下となる。
転動体14は、φ3.968mm以上φ5.000mm以下のものを使用する。転動体14の直径をφ3.968mmよりも小さくし過ぎると、定格荷重が低下する。またこれと同時に、循環経路内の球数が増え、転動体14同士の競り合いが生じる。この結果、耐久性が低下するとともに、作動不良などが生じ易くなる。反対に転動体14の直径がφ5.000mmよりも大きくなると、ボールねじ機構11の外寸が大きくことに加え、リードも大きくする必要があるため、後述する減速比の確保が困難になる。
リードは6.0mm以上8.0mm以下が一般的である。現在市場に流通する一般的な電動パワーステアリングのアシストモータからラック軸までの減速比は、概ね2.3mm/rev(モータ1回転当りのラックの移動量)以上3.0mm/rev以下である。これに対し、本実施形態のベルト減速機を用いたラックアシスト式EPSで同等の減速比を確保するためには、リードを6.0mm以上8.0mm以下とする。
なお、リードを6.0mm以上8.0mm以下とする理由は、ベルト減速機の減速比が概ね3.0以下の設計となるためであるが、その背景にはベルト減速機の従動プーリ外径、駆動プーリ外径の制約がある。従動プーリを大きくすると、ラックアシスト式EPSの外寸も大きくなり、車両搭載性が低下する。反対に、駆動プーリを小さくすると、噛合い歯数が減少して耐久性が低下するといった弊害が存在するため、ラックアシスト式EPS10のベルト減速比としては、3.0以上の設計とするのが困難となる。
次に、転動体循環部材33の形状、材料を決定するための条件について説明する。
(転動体と転動体循環部材との衝突が起こる条件)
先ず、ドライバーが操舵をした際に、上述した諸元のボールねじ機構11において、転動体14と転動体循環部材33との衝突が起こる条件について説明する。
説明に当り、具体的なボールねじ機構11の諸元を以下の通り例示する。
<ボールねじ機構の諸元>
転動体14のBCD : 30.0mm
転動体14の直径 : φ4.7625mm
リード : 7.0
接触角 : 45deg
すきま : 無し
<その他の条件>
ラック&ピニオン比ストローク 50.0mm/rev(ハンドル1回転当りのラック移動量)
ラックストローク 75.0mm(中立からストロークエンドまで)
耐久サイクル数 100,000cycle
今、ハンドル回転速度360deg/secで操舵した場合について考える。ラック&ピニオン比ストロークが50.0mm/revであり、ハンドルを360deg/secで操舵すると、ラック軸7は50.0mm/secで直動し、ボールねじ機構11のボールねじナット15は7.14rev/sec(約430rpm)で回転する(ラック直動速度50mm/sec÷ボールねじのリード7.0mm/rev)。
上記諸元で、ボールねじナット15が430rpmで回転すると、転動体14の公転速度は、おおよそ240rpmとなる。この時、ボールねじナット15の回転方向と転動体14の公転方向は同一方向であり、ボールねじナット15と転動体14の相対速度は約190rpmである。これを転動体14のBCDにおける周速に換算すると約300mm/secであり、転動体14はこの速度で転動体循環部材33に導かれることとなる。なお、電動パワーステアリングの耐久試験条件としては、転舵速度360deg/sec程度が一般的であり、転動体循環部材33の疲労強度を考える際には、この条件で計算するのが適当である。
また、疲労強度を考える際の繰返し数については、ラックストロークと耐久サイクル数から求まる。耐久サイクル当りのラック移動量300mm(75mm×4)、10万サイクルでの総移動量30kmから、ボールねじナット15の総回転数は4.3×10revとなる。なお、ボールねじナット15の1回転当りの衝突回数は、転動体14公転とボールねじナット15の相対回転から、約8.4回と求まる。
転動体循環部材33が転動体14を掬い上げるのは一方の回転方向のみであり、逆転時は転動体循環部材33からボールねじ溝15aに転動体14を導くことになる。そのため、転動体14と転動体循環部材33の衝突が発生するのは、前述のボールねじナット15の総回転数は4.3×10revの内の半分であり、衝突回数は約1.8×10回であることが求まる。
なお、乗用車の最も早い操舵条件は、危険回避などの際の急ハンドル操作で、800deg/sec程度が一般的であり、この条件で転動体循環部材33が破損しないことも求められる。
以上、代表的なボールねじ機構11の諸元での計算概要を例示したが、転動体14のBCDが大きくなると、転動体14の公転周速が速くなり、衝突荷重が増加する。また、転動体14の直径が大きくなると重量が増え、衝突荷重が増加する。リードが小さくなると、ボールねじナット15の回転速度が速くなり総回転数も増えるため、衝突荷重、衝突回数が増加する。加えて、接触角、ラジアルすきまの変化によっても転動体14の公転速度が変化する。
そのため、本実施形態のラックアシスト式EPS10のボールねじ機構11で使用される転動体循環部材33の材料の決定に際しては、衝突エネルギーが最も大きくなる条件を前記範囲の中から選定した。
(転動体循環部材の具体的な形状)
次に、本実施形態のボールねじ機構11で使用される転動体循環部材33の具体的な形状について説明する。
転動体循環部材33の循環軌道形状は、図8(a)、(b)に示すように、ボールねじ機構11の螺旋軌道P上の掬い上げ点をQとすると、循環軌道は、掬い上げ点Qから螺旋軌道Pの接線方向に伸ばした直線Sと、ボールねじナット15に設けた転動体戻し通路32の中心を通過する直線Tと、これら直線S,Tを繋ぐ曲線Rとで構成される。この循環軌道に沿って転動体14を滑らかに循環させるため、転動体循環部材33には、転動体14の直径よりも溝幅が広い溝Uが設けられている。
溝Uの溝幅は、転動体14の直径の115%以下が好ましい。より好ましくは110%以下である。これは、溝Uの溝幅が115%を超えると、転動体14同士が競り合い、滑らかに循環しないためである。
また、直線Tの位置は、ボールねじナット15のボールねじ溝15aとの位置関係および曲線Rの寸法によって設定される。
また、転動体循環部材33が装着される転動体循環部材装着部31A(31B)の形状は、掬い上げ点Qと、ボールねじナット15に設けた転動体戻し通路32の開口部の中心との間の距離L(図7(b)参照)は、ボールねじ溝15aの溝底と干渉しない範囲とする必要がある。
また、図7(a)に示している、転動体循環部材33の転動体案内側板部33bが当接する転動体循環部材装着部31Aの当接面Yは、隣接するボールねじ溝15aと所定のクリアランスCLを必要とする。転動体循環部材33の前述した、掬い上げ点Qから螺旋接線方向に伸ばした直線Sと、ボールねじナット15に設けた転動体戻し通路32の中心を通過する直線Tとを繋ぐ曲線Rの終端Reは、当接面Yよりも下側に位置させる。
このような制約の範囲内で曲線Rの寸法を大きくすると、ボールねじナット15に設けた転動体戻し通路32の開口部の位置は、必然的にボールねじナット15の外周側に位置するため(図7(b)で破線の円で記載した位置)、ボールねじナット15の外径が大きくなってボールねじナット15のイナーシャが増大する。
また、図7(b)に示している、転動体循環部材装着部31Aの径方向の装着幅Vは、転動体循環部材33の強度によって変化する。そして、前述したクリアランスCLを確保するためには、装着幅Vは小さいほうが有利であるが、装着幅Vを小さくすると転動体循環部材33のタング背面が薄肉になって強度が低下するため、装着幅Vは、転動体14の直径の150%以上200%以下とする。
次に、ボールねじ軸9との干渉を回避する転動体循環部材33の外形状について、図9を参照して説明する。
転動体循環部材33の外形状は、基本的にはボールねじ軸9のボールねじ溝9aの溝直角断面形状に略倣った形状となる。
転動体循環部材33の外周部Rn(転動体案内側板部33a,33bのボールねじ軸9と対向する部分)は、ボールねじナット15の内径寸法に一致させて、ボールねじ軸9のランド部に対して所定のクリアランスを確保して対向するように形成されている。
また、転動体循環部材33のタング部33eの輪郭のうち、ボールねじ溝9aに沿った方向の断面視形状をRs、ボールねじ溝9aに直角な断面視形状をRtとすると、Rs,Rtは、転動体14のBCDに沿って形成されており、タング部33eの背面とボールねじ軸9のボールねじ溝9aの底部とのクリアランスが転動体14の直径の2%以上10%以下にすることが好ましい。
これは、タング部33eの背面とボールねじ溝9aの底部とのクリアランスが2%を下回ると、タング部33eの先端の肉厚が薄くなり、転動体循環部材33が破損しやすくなるためである。また、タング部33eの背面とボールねじ溝9aの底部とのクリアランスが10%を上回ると、掬い上げ点がずれて転動体14の循環が滑らかに行われないためである。
なお、Rn及びRtは連結部Rfで滑らかに接続されており、連結部Rfはボールねじ軸9と干渉しない範囲で大きく設定するのが好ましい。また、図9では、背面部Rtの形状を単一円弧としているが、ボールねじ溝9aに倣ったゴシックなどとしてもよい。
転動体14が転動体循環部材33に衝突すると、図5及び図8で示すように、転動体循環部材33のタング部33eの先端(図5(a)の符号Aで示す丸印の領域)と、転動体循環部材33のタング部33eの付け根(図5(a),(b)の符号Bで示す丸印の領域)で衝突による応力が高くなり、転動体14の循環方向が変わる転動体循環路33fを臨む部位(図5(b)の符号Cで示す丸印の領域)にも負荷がかかる。
(転動体循環部材の材料)
次に、本実施形態のボールねじ機構11で使用される転動体循環部材33の具体的な材料について説明する。
本実施形態の転動体循環部材33は、高温(125℃)の雰囲気温度において30MPa以上の引張強度を有する高分子材料で形成されている。この30MPa以上の引張強度という値は、前述した条件の下、転動体14と転動体循環部材33の衝突エネルギーが最も大きくなる場合について、FEM構造解析を行った結果、得られた値である。
また、本実施形態の転動体循環部材33は、3.3kJ/m以上のシャルピー衝撃強さを有する高分子材料で形成されている。この3.3kJ/m以上のシャルピー衝撃強さという値も、前述した条件の下、転動体14と転動体循環部材33の衝突エネルギーが最も大きくなる場合について、FEM構造解析を行った結果、得られた値である。
また、本実施形態の転動体循環部材33は、ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維を含まない高分子材料で形成されている。転動体循環部材を繊維強化の高分子材料とすると、転動体14との連続的な衝突により内部に充填されている繊維が露出して転動体14の損傷、或いは脱落した繊維がボールねじ機構11を循環して異音を発生するおそれがあるが、ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維を含まない本実施形態の転動体循環部材33は、ボールねじ機構11の異音及び作動不良の防止を図ることができる。
また、強化繊維を含まず、高温(125℃)の雰囲気において30MPa以上の引張強さであり、シャルピー衝撃強さが3.3kJ/m以上の特性を有する高分子材料は、熱安定剤を加えると耐熱性を向上させることができる。
熱安定剤としては、例えば、銅系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤、又はアミン系熱安定剤のいずれかの単独物、またはこれらの混合物が挙げられる。銅系熱安定剤としては、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、硫酸銅、燐酸銅等の無機物、又は酢酸銅、ステアリン酸銅、ミリスチン酸銅、ナフテン酸銅、パルミチン酸銅等の有機酸塩、並びにこれらの2種以上の混合物があり、フェノール系熱安定剤としては、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−ジメチルベンジル)イソシアネレート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、又は2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールがあり、リン系熱安定剤としては、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリヂシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル系化合物があり、硫黄系熱安定剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3、3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3、3−チオジプロピオネート、又はジラウリルチオジプロピオネートがあり、アミン系熱安定剤としては、4,4−ジオクチルジフェニルアミン等のアルキル置換されたジフェニルアミン、又はN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等の置換基を有するp−フェニレンジアミンを例示することができる。
さらに、本発明の目的を損なわない範囲内で、各種添加剤を配合しても良い。例えば、黒鉛、六方晶窒化ホウ素、フッ素雲母、四フッ化エチレン樹脂粉末、二硫化タングステン、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、無機粉末、有機粉末、潤滑油、可塑剤、ゴム、樹脂、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料を例示することができる。
そして、本実施形態の転動体循環部材33を形成する際に用いられる樹脂組成物を得るための方法は特に限定されないが、母材である樹脂と添加剤を予めタンブラー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー等の予備混合機を用いて混ぜ合わせてから、短軸または二軸押出し機、ロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ等の従来からの公知の樹脂用混練り装置を用いて均一に混練りする、または、母材である原料樹脂と添加剤をそれぞれ別々に樹脂用混練り装置により混練りすることが可能である。
その混練り条件は、通常は母材である原料樹脂の軟化点または融点以上の温度で且つ、原料樹脂や各種添加剤が劣化を起こさない温度以下である。また、上記樹脂組成物を循環部品とするための製造方法は、樹脂組成物を金型の中で加圧しながら加熱すれば良く、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の公知の樹脂成形方法により製造することができる。
(転動体循環部材と転動体循環部材装着部のクリアランス)
次に、転動体循環部材33と、ボールねじナット15に形成した転動体循環部材装着部31Aのクリアランスについて説明する。なお、転動体循環部材装着部31Bも、転動体循環部材装着部31Aと同一構造である。
図10は、転動体循環部材装着部31Aに装着した転動体循環部材33と、螺旋軌道Pとの関係を表す図であり、図11は、転動体循環部材装着部31Aに転動体循環部材33を装着した状態を示す図である。
図10の寸法X1は、転動体循環部材装着部31Aの平坦面31aに対向する転動体循環部材33の第1対向面33gから掬い上げ点QまでのOQ方向の寸法であり、この寸法X1は、図8で示した転動体循環部材33の溝Uの溝幅の決定と同様の思想で、溝Uの深さは転動体14の直径の110%以下に設定されている。
また、転動体循環部材装着部31Aの上面31eに対向する転動体循環部材33の第2対向面33hと第1対向面33gとの間の寸法X2は、転動体循環部材33のタング部33eの強度を確保できる範囲とし、転動体14の直径の150〜200%に設定されている。また、寸法X2を、転動体循環部材装着部31Aの加工に用いる刃物の外寸法と略同等の値とすることで、加工工数を減らすことができる。
また、図11の符号31gで示す転動体循環部材装着部31Aの円弧面は、寸法X2を直径とした円弧で形成されており、湾曲面31b(31c)も、その中心を、ボールねじナット15の中心Oと掬い上げ点Qとを結んだ直線上に位置して寸法X2を直径とした円弧で形成されている。
転動体循環部材装着部31Aの抜け止め凹部31fは、転動体循環部材33がボールねじナット15の内径側に倒れ込むことを防止する形状である。詳細な形状寸法は規定しないが、ボールねじナット15の内径や外径、隣接するボールねじ溝15aに干渉しない形状であるとともに、ボールねじナット15の加工時の刃物剛性を考慮し、極力幅を広くすることが望ましい。
前述したボールねじ機構11の諸元(転動体14のBCD:30.0mm、転動体14の直径:φ4.7625mm、リード:7.0mm)で、転動体循環部材33の概要を設計すると、寸法X1=2.5mm、寸法X2=8.0mm、転動体循環部材33の抜け止め凸部33dを除いた部分の掬い上げ点Qにおける螺旋軌道Pの接線と平行な方向の寸法Z=21.5mmの転動体循環部材33となる。
強化繊維を含まない高分子材料であるPA46やPA66の線膨張係数は8〜10×10−5であり、室温20℃から120℃まで温度が変化すると、転動体循環部材33に寸法変化が生じる。例えば上記寸法を有する転動体循環部材33の場合、寸法Zは0.17mmほど大きくなる。
この様な寸法変化が発生すると、転動体循環部材33は、寸法X2が膨張した分、ボールねじナット15の内径側に変位するとともに、寸法Zが膨張することで湾曲面31b(31c)から転動体循環部材33の転動体案内側板部33a,33bが競り出すような形でボールねじナット15の内径側に変位する。転動体循環部材33が変位すると、タング部33eの位置がボールねじナット15の内径側にズレ、転動体14の掬い上げが円滑に行われなくなる可能性がある。また、変位量が大きくなると、転動体循環部材33とボールねじ軸9が干渉するおそれがある。
これに対し、本発明に係る転動体循環部材33は、図11に示すように、転動体循環部材装着部31Aとの間にクリアランスを設けて装着される。なお、図11では、実際の大きさとは関係なく、判別しやすいようにクリアランスを大きく図示している。
転動体循環部材33の熱膨張の対策としては、高分子材料からなる転動体循環部材33の線膨張係数と、鋼材からなるボールねじナット15の線膨張係数の差から,室温から高温まで環境が変化した際の寸法変化量の相互差を求め、この相互差以上のクリアランスを設けることが好ましい。
また、吸水膨張の対策としては,高分子材料の吸水膨張率から吸水による寸法変化量を求め、この寸法変化量以上のクリアランスを設けるのが好ましい。
また、熱膨張及び吸水膨張の両方が想定される場合には、これらを複合した条件下での寸法変化量を見越したクリアランスを設けるのが好ましい。
本実施形態では、転動体循環部材装着部31Aの湾曲面31b(31c)と、転動体循環部材33の転動体案内側板部33a、33bとの間に、転動体循環部材33の寸法変化量を見越したクリアランスC1を設けている。
このクリアランスC1は、掬い上げ点Qにおける螺旋軌道Pの接線方向に設けられ、螺旋軌道Pから転動体戻し通路32へ転動体14を案内する転動体案内側板部33a,33bのせり出しを防止できるように設けられた隙間である。
また、クリアランスC1は、転動体循環部材33の前記接線方向の伸びを吸収できる隙間であり、位置決めのために接線方向の一端側のみに設けられることが好ましい。そして、転動体循環部材33は、接線方向において、転動体案内側板部33a,33bに対して逆側の転動体循環部材装着部31Aの円弧面31gと接触する部分で位置決めされることが好ましい。
湾曲面31b(31c)及び転動体案内側板部33a、33bは、ボールねじ軸9のボールねじ溝9a及びボールねじ溝15aにより形成された螺旋軌道から転動体循環部材33の転動体循環路33fへ転動体14を導入する部分である。
前述したクリアランスC1を設けた範囲では、転動体14がボールねじ軸9のボールねじ溝9aから離間する過程にある。そのため、湾曲面31b(31c)及び転動体案内側板部33a、33bでは、転動体14はボールねじ軸9のボールねじ溝9aに位置が規制されており、前述したクリアランスC1によって転動体14の循環が妨げられることはない。
また、本実施形態では、転動体循環部材装着部31Aの平坦面31aと転動体循環部材33の第1対向面33gとの間の一部にクリアランスC2を設けている。
このクリアランスC2は、OQ方向に設けられ、転動体循環部材33の内径側への変位を防止し、転動体循環部材33のOQ方向の伸びを吸収する隙間である。
また、クリアランスC2は、位置決めのためにOQ方向の一端側のみに設けられ、タング部33eから遠いOQ方向の端面である第1対向面33g側に設けることが好ましく、特に、タング部33eから近い方向の端面である第2対向面33hで転動体循環部材33の位置決めを行うことが好ましい。
平坦面31aと第1対向面33gの全域が当接している場合、図10で示した寸法X2(第1対向面33gと第2対向面33hとの間の寸法)が膨張すると、転動体循環部材33がボールねじナット15の内径側に変位する。これに対し、平坦面31aと第1対向面33gとの間の一部にクリアランスを設けていると、転動体循環部材装着部31Aの上面31eによって転動体循環部材33のボールねじナット15の内径側への変位が規制され、このクリアランスが転動体循環部材33の寸法変化を許容する。なお、クリアランスC2を設ける位置は、転動体循環部材33の循環経路の隅部に設ける。その結果、クリアランスC2が転動体14の循環に影響を与えることはない。
さらに、本実施形態は、転動体循環部材装着部31Aの抜け止め凹部31fと転動体循環部材33の抜け止め凸部33dとの間にクリアランスC3を設けている。
このクリアランスC3は、転動体循環部材33が抜け止め凸部33dを備え、転動体循環部材装着部31Aが抜け止め凹部31fを備える場合に設けることが好ましく、抜け止め凸部33dの膨張による転動体循環部材33の変位を防止することができる。
そして、抜け止め凹部31fと抜け止め凸部33dとの間にクリアランスが無い場合、転動体循環部材33が膨張変形すると、抜け止め凸部33dの行き場がなくなり、抜け止め凹部31fから押し出される方向に移動する。この結果、転動体循環部材33がボールねじナット15の内径側に変位する。これに対し、本実施形態ではクリアランスC3により寸法変化を許容できる。
ここで、これらクラアランスC1〜C3の大きさ(転動体循環部材33と転動体循環部材装着部31A,31Bの対向する部分の間の距離)は、転動体14の直径の3%以上10%以下にするのがより好ましい。この理由は、前述の通り、ラックアシスト式EPS10のボールねじ機構11の諸元は大凡限られ、転動体14と転動体循環部材33との寸法の相関関係は、ほぼ一義的に決まる。そのため、クリアランスC1〜C3の範囲を前述のようにすることで、転動体循環部材33の寸法変化を許容するとともに、転動体循環部材33の強度を確保することが可能になるからである。
なお、上述のクリアランスC1〜C3を設ける位置は、転動体循環部材33の詳細な形状によって適宜変更可能である。例えば、クリアランスを限定された範囲に形成したり、一箇所に形成することも可能である。また、この様な高分子材料からなる成形品は射出成形によって成形されるのが一般的である。このような成形品の線膨張係数や吸水寸法変化率は材料の流れる方向によって異なる。そのため、ゲート位置などによって、各部の必要クリアランス量を適切に調整することが好ましい。また、転動体循環部材33の固定方法については、本実施形態では特に規定しないが、ボールねじナット15の軸方向の寸法変化を許容、または規制できる固定方法が好ましい。
また、クリアランスC1〜C3の全てを設けず、それらのうち一つ又は二つを設けても良い。また、転動体循環部材装着部31Aに対する転動体循環部材33の位置決めは、互いに平行でない転動体循環部材装着部31Aの円弧面31gと上面31eを使用して行うことが好ましい。
(作用効果)
次に、本実施形態のボールねじ機構11を備えたラックアシスト式EPS10の作用効果について、以下に述べる。
本実施形態の転動体循環部材33は、ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維を含まない高分子材料としているので、ボールねじ機構11の異音及び作動不良の防止を図ることができる。
ここで、ボールねじ機構11を構成する高分子材料からなる転動体循環部材33は、鋼材からなるボールねじナット15と比較して線膨張係数が大きく、高温時には、転動体循環部材装着部31A(31B)に装着した転動体循環部材33の寸法が大きくなる。特に、ラックアシスト式EPS10は、エンジンルーム内のエンジンの近傍に搭載されるので、温度環境の幅が広く、−40℃から125℃程度までの環境温度となる。そして、強化繊維を含まない高分子材料は、繊維強化品に比べ線膨張係数が大きい。さらに、本実施形態のようなPA46,PA66の高分子材料は、吸水による膨張率が高い。
そこで、本実施形態のボールねじ機構11は、転動体循環部材装着部31A(31B)の湾曲面31b(31c)と転動体循環部材33の転動体案内側板部33a、33bとの間にクリアランスC1を設け、転動体循環部材装着部31A(31B)の平坦面31aと転動体循環部材33との間の一部にクリアランスC2を設け、転動体循環部材装着部31A(31B)の抜け止め凹部31fと転動体循環部材33の抜け止め凸部33dとの間にクリアランスC3を設けている。この結果、温度上昇や吸水により膨張した転動体循環部材33が、ボールねじナット15の軸方向や、内径側に変位するのを抑制することができる。
これにより、転動体循環部材装着部31A(31B)に装着されている転動体循環部材33は、ボールねじ軸9のボールねじ溝9a及びボールねじナット15のボールねじ溝15aの間に形成された螺旋軌道を転動してきた転動体14を掬い上げて転動体戻し通路32にスムーズに案内することができる。
したがって、本実施形態のボールねじ機構11は、耐久性及び耐衝撃性を確保し、温度上昇や吸水により膨張した転動体循環部材33がボールねじナット15の軸方向や内径側に変位するのを抑制することができるので、このボールねじ機構11を備えたラックアシスト式EPS10は、信頼性が高い装置を提供することができる。
また、本実施形態では、ボールねじ機構11の転動体14のBCDをφ25mm以上φ32mm以下の範囲としたことで、ラック軸7の曲げ強度及びラック&ピニオンギヤの噛合い強度を確保することができる。また、ボールねじ機構11の転動体14をφ3.968mm以上φ5.000mm以下としたことで、転動体14の耐久性を向上させ、減速比を確保することができる。さらに、ボールねじ機構11のリードを6.0mm以上8.0mm以下の範囲としたことで、現在市場に流通する一般的な電動パワーステアリングのアシストモータからラック軸までの減速比を確保することができる。
なお、リードを6.0mm以上8.0mm以下の範囲とするのは、ベルト減速機の減速比が概ね3.0以下の設計となるためであるが、その背景にはベルト減速機の従動プーリ、駆動プーリの外径に制約がある。従動プーリを大きくすると、ラックアシスト式EPSの外寸も大きくなり、車両搭載性が低下する。反対に、駆動プーリを小さくすると、噛合い歯数が減少して耐久性が低下するといった弊害が存在するため、ラックアシスト式EPS10のベルト減速比としては、3.0以上の設計とするのが困難となる。
なお、本発明のねじ軸がボールねじ軸9に対応し、本発明のねじ軸の外周面に形成したねじ溝がボールねじ溝9aに対応し、本発明のナットがボールねじナット15に対応し、ナットの内周面に形成したねじ溝がボールねじ溝15aに対応し、本発明の転動体が転動体14に対応し、本発明の循環部材装着部が転動体循環部材装着部31A,31Bに対応し、本発明のクリアランスがクリアランスC1〜C3に対応している。
1…操舵ギヤ機構、2…ピニオン機構、3…ラック機構、4…ピニオンハウジング、5…ピニオン軸、6…ラックハウジング、7…ラック軸、8…ラック部、9…ボールねじ軸、9a…ボールねじ溝、10…電動パワーステアリング装置、11…ボールねじ機構、12…操舵補助用の電動モータ、12a…回転軸、13…減速機構、14…ボール、15…ボールねじナット、15a…ボールねじ溝、16…軸受収容部、17…軸受、17a…内輪、17b…ボール、17c…外輪、18…モータ支持部、18a…貫通孔、19…小径プーリ、20…大径プーリ、21…タイミングベルト、22…カバー、23…タイロッド、30…モータ制御装置、30a…トルクセンサ、30b…車速センサ、31A…転動体循環部材装着部、31B…転動体循環部材装着部、31a…平坦面、31b…湾曲面、31d…半円筒面、31e…上面、31f…抜け止め凹部、31g…転動体循環部材装着部の円弧面、32…転動体戻し通路、33…転動体循環部材、33a,33b…転動体案内側板部、33c…連結板部、33d…抜け止め凸部、33e…タング部、33f…転動体循環路、33g…第1対向面、33h…第2対向面、C1〜C3…クリアランス

Claims (3)

  1. 外周面にねじ溝を形成したねじ軸と、このねじ軸の前記ねじ溝に対応するねじ溝を内周面に形成するとともに、軸方向に貫通する転動体戻し通路を形成したナットと、前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とで形成される螺旋軌道及び前記転動体戻し通路に介装された多数の転動体と、前記螺旋軌道の一端から前記転動体を前記螺旋軌道の接線方向に掬い上げて前記転動体戻し通路へ導くとともに前記転動体戻し通路から前記螺旋軌道の他端へ案内する転動体循環軌道を形成する転動体循環部材とを有するボールねじ機構を備え、当該ボールねじ機構の前記ねじ軸を、ステアリング機構を構成するピニオン軸に螺合するラック軸に連結し、前記ナットを電動モータで回転駆動する電動パワーステアリング装置において、
    鋼材からなる前記ナットに、前記転動体循環部材が嵌まり込む凹形状の循環部材装着部を形成し、
    前記転動体循環部材を、強化繊維を含まない高分子材料で形成するとともに、
    前記循環部材装着部内に装着した前記転動体循環部材の所定位置に、前記循環部材装着部との間にクリアランスを設けたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記クリアランスは、前記転動体の直径の3%以上10%以下であることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. BCD(Ball Circle Diameter)をφ25mm以上φ32mm以下とし、前記転動体の直径をφ3.968mm以上φ5.000mm以下とし、リードを6.0mm以上8.0mm以下としたことを特徴とする請求項1又は2記載の電動パワーステアリング装置。
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