JP2016151332A - ボールねじおよびこれを備えた電動リニアアクチュエータ - Google Patents

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隼人 川口
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Abstract

【課題】電動モータ側からの入力トルクをボールねじに効率よく伝達する一方、ボールねじ側からの逆入力トルクをボールねじ内部でセルフロックさせて電動モータ側に還流させない機能を有するボールねじおよびこれを備えた電動リニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】ナット18の通常作動時のねじ溝18aと逆側のねじ溝18aの溝底近傍から肩部に亙ってボールポケット31が形成され、このボールポケット31がボール19の曲率半径よりも大きい曲率半径からなる凹球面に機械加工によって形成されているので、ボールねじに負荷される荷重方向が通常作動時と逆方向になった異常時に、ボールポケット31にボール19を入り込ませることにより、ボールねじ側からの逆入力トルクを当該ボールねじ内部でセルフロックさせることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、自動車等の車両の駆動部に使用されるボールねじ、特に電動モータの回転を、駆動軸の直線運動に変換するボールねじおよびこれを備えた電動リニアアクチュエータに関するものである。
自動車等の車両の各種駆動部に使用される電動リニアアクチュエータにおいて、電動モータの回転運動を軸方向の直線運動に変換する機構として、台形ねじあるいはラックアンドピニオン等の歯車機構が一般的に使用されている。これらの変換機構は、滑り接触部を伴うため動力損失が大きく、電動モータの大型化や消費電力の増大を余儀なくされている。そのため、より効率的なアクチュエータとしてボールねじ機構が採用されるようになってきた。
この代表的なものとして、図7に示すような電動リニアアクチュエータが知られている。この電動リニアアクチュエータ51は、円筒状のハウジング52に取り付けられた電動モータ53と、電動モータ53の回転運動を直線運動に変換するボールねじ機構54と、電動モータ53とボールねじ機構54の間に配設された減速機構55と、を備えた構成となっている。電動モータ53、減速機構55およびボールねじ機構54は、直線上に直列に配置されている。
減速機構55は、ハイポサイクロイド機構を構成する第1遊星歯車機構56と第2遊星歯車機構57とを備えた複合遊星歯車機構によって構成されている。第1遊星歯車機構56と第2遊星歯車機構57は軸方向の直列に配置され、電動モータ53側に第1遊星歯車機構56が、ボールねじ機構54側に第2遊星歯車機構57が配置されている。
そして、ボールねじ機構54側からの逆入力トルクが作用しても、第1遊星歯車機構56と第2遊星歯車機構57の内歯歯車56a、57aが一体的に構成され、第1遊星外歯歯車56bがハウジング52に固定されているので、逆入力トルクは完全にロックすることができる。すなわち、逆入力トルクは、出力側部材58から第2遊星歯車機構57の内歯歯車57bに伝達され、この内歯歯車57bに噛合する外歯歯車57aを回転させようとするが、この外歯歯車57aと一体構造の第1遊星歯車機構56の外歯歯車56aはハウジング52に回転不能に固定されている内歯歯車56bに噛合しているので、外歯歯車56aの回転が阻止され、電動モータ53側への逆入力トルクの環流を防止することができる。したがって、逆入力トルクによる電動モータ53への衝撃を緩和することができる。さらに、電動モータ53側からは両方向回転可能であり、ボールねじ機構54の高効率、低摩擦を損なうことはない(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009−156415号公報
然しながら、この従来の電動リニアアクチュエータ51では、逆入力トルクを防止するための複合遊星歯車機構からなる減速機構55が必要となり、質量、サイズ、コストアップの要因となる。また、トルクの入力が駆動用の電動モータ53側からでも、荷重の方向が変わった場合はロックすることができないといった問題がある。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、電動モータ側からの入力トルクをボールねじに効率よく伝達する一方、ボールねじ側からの逆入力トルクをボールねじ内部でセルフロックさせて電動モータ側に還流させない機能を有するボールねじおよびこれを備えた電動リニアアクチュエータを提供することを目的とする。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、外周に前記ナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸とで構成されたボールねじにおいて、前記ナットまたはねじ軸のねじ溝における循環列の一部にボールポケットが形成され、このボールポケットに前記ボールを入り込ませることにより、前記ボールねじに負荷される荷重方向が通常作動時と逆方向になった異常時に、前記ボールねじ側の逆入力トルクを当該ボールねじ内部でセルフロックさせる。
このように、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、外周にナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸とで構成されたボールねじにおいて、ナットまたはねじ軸のねじ溝における循環列の一部にボールポケットが形成され、このボールポケットにボールを入り込ませることにより、ボールねじに負荷される荷重方向が通常作動時と逆方向になった異常時に、ボールねじ側の逆入力トルクを当該ボールねじ内部でセルフロックさせるようにしたので、ボールポケットに入り込んだボールと後続のボールとの干渉によってボールの転動が停止してナットに対してねじ軸がロックし、ボールねじ側からの逆入力トルクを遮断することができるボールねじを提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記ボールポケットが、通常作動時の前記ねじ溝と逆側のねじ溝の溝底近傍から肩部に亙って形成されていれば、通常作動時のボールの転動を妨げることなくスムーズに転動させることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記ボールポケットが前記ボールの曲率半径よりも大きい曲率半径からなる凹球面に形成されていれば、ボールエンドミル等の機械加工によって容易に形成することができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記ボールポケットの角部が滑らかに丸められていれば、ボールポケットのエッジ部において、入り込んだボールの肩乗り上げによるエッジロードで過大応力が発生するのを防止することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記ボールポケットが前記ナット側に形成されていれば、ロック後、入力荷重が通常作動時の方向に戻ると、ボールポケットに入っていたボールが、ねじ軸におけるねじ溝の肩部の押し出し力によってポケット外に押し出され、その結果、ボールの転動が始まって自動的にロックが容易に解除される。
本発明のうち請求項6に記載の発明は、ハウジングと、このハウジングに取り付けられた電動モータと、この電動モータの回転力を、モータ軸を介して伝達する減速機構と、この減速機構を介して前記電動モータの回転運動を駆動軸の軸方向の直線運動に変換するボールねじと、を備え、このボールねじが、前記ハウジングに対して回転可能に、かつ軸方向移動不可に支持され、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、前記駆動軸と同軸状に一体化され、外周に前記ナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されて前記ハウジングに対して回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されたねじ軸とで構成された電動リニアアクチュエータにおいて、前記ボールねじが、前記請求項1乃至5いずれかに記載のボールねじで構成されている。
このように、ハウジングに取り付けられた電動モータと、この電動モータの回転力を、モータ軸を介して伝達する減速機構と、この減速機構を介して電動モータの回転運動を駆動軸の軸方向の直線運動に変換するボールねじと、を備え、このボールねじが、ハウジングに対して回転可能に、かつ軸方向移動不可に支持され、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、駆動軸と同軸状に一体化され、外周にナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されてハウジングに対して回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されたねじ軸とで構成された電動リニアアクチュエータにおいて、ボールねじが、前記請求項1乃至5いずれかに記載のボールねじで構成されているので、ボールポケットに入り込んだボールと後続のボールとの干渉によってボールの転動が停止してナットに対してねじ軸がロックし、ボールねじ側からの逆入力トルクを遮断して電動モータ側に還流させない電動リニアアクチュエータを提供することができる。
本発明に係るボールねじは、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、外周に前記ナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸とで構成されたボールねじにおいて、前記ナットまたはねじ軸のねじ溝における循環列の一部にボールポケットが形成され、このボールポケットに前記ボールを入り込ませることにより、前記ボールねじに負荷される荷重方向が通常作動時と逆方向になった異常時に、前記ボールねじ側の逆入力トルクを当該ボールねじ内部でセルフロックさせるようにしたので、ボールポケットに入り込んだボールと後続のボールとの干渉によってボールの転動が停止してナットに対してねじ軸がロックし、ボールねじ側からの逆入力トルクを遮断することができるボールねじを提供することができる。
本発明に係る電動リニアアクチュエータは、ハウジングと、このハウジングに取り付けられた電動モータと、この電動モータの回転力を、モータ軸を介して伝達する減速機構と、この減速機構を介して前記電動モータの回転運動を駆動軸の軸方向の直線運動に変換するボールねじと、を備え、このボールねじが、前記ハウジングに対して回転可能に、かつ軸方向移動不可に支持され、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、前記駆動軸と同軸状に一体化され、外周に前記ナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されて前記ハウジングに対して回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されたねじ軸とで構成された電動リニアアクチュエータにおいて、前記ナットまたはねじ軸のねじ溝における循環列の一部にボールポケットが形成され、このボールポケットに前記ボールを入り込ませることにより、前記ボールねじに負荷される荷重方向が通常作動時と逆方向になった異常時に、前記ボールねじ側の逆入力トルクを当該ボールねじ内部でセルフロックさせるので、ボールポケットに入り込んだボールと後続のボールとの干渉によってボールの転動が停止してナットに対してねじ軸がロックし、ボールねじ側からの逆入力トルクを遮断して電動モータ側に還流させない電動リニアアクチュエータを提供することができる。
本発明に係る電動リニアアクチュエータの一実施形態を示す縦断面図である。 図1のボールねじ機構を拡大して示す縦断面図である。 本発明に係るボールねじの作動を示す説明図である。 (a)は、図2のナット単体を示す断面斜視図、(b)は、(a)のボールねじの通常作動時におけるナットを示す説明図、(c)は、(a)のナットの異常作動時を示す説明図である。 (a)は、ボールねじにおける通常作動時の状態を示す説明図、(b)は、同上、異常時の状態を示す説明図である。 (a)は、図2のねじ軸単体を示す斜視図、(b)は、(a)のボールねじの通常作動時におけるねじ軸を示す説明図、(c)は、(a)のねじ軸の異常作動時を示す説明図である。 従来の電動リニアアクチュエータを示す縦断面図である。
ハウジングと、このハウジングに取り付けられた電動モータと、この電動モータの回転力を、モータ軸を介して伝達する減速機構と、この減速機構を介して前記電動モータの回転運動を駆動軸の軸方向の直線運動に変換するボールねじと、を備え、このボールねじが、前記ハウジングに装着された一対の支持軸受を介して回転可能に、かつ軸方向移動不可に支持され、外周に前記減速機構を構成する出力歯車が固定され、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、前記駆動軸と同軸状に一体化され、外周に前記ナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されて前記ハウジングに対して回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されたねじ軸とで構成された電動リニアアクチュエータにおいて、前記ナットの通常作動時のねじ溝と逆側のねじ溝の溝底近傍から肩部に亙ってボールポケットが形成され、このボールポケットが前記ボールの曲率半径よりも大きい曲率半径からなる凹球面に機械加工によって形成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電動リニアアクチュエータの一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1のボールねじ機構を拡大して示す縦断面図、図3は、本発明に係るボールねじの作動を示す説明図、図4(a)は、図2のナット単体を示す断面斜視図、(b)は、(a)のボールねじの通常作動時におけるナットを示す説明図、(c)は、(a)のナットの異常作動時を示す説明図、図5(a)は、ボールねじにおける通常作動時の状態を示す説明図、(b)は、同上、異常時の状態を示す説明図、図6(a)は、図2のねじ軸単体を示す斜視図、(b)は、(a)のボールねじの通常作動時におけるねじ軸を示す説明図、(c)は、(a)のねじ軸の異常作動時を示す説明図である。
本発明に係る電動リニアアクチュエータ1は、図1に示すように、円筒状のハウジング2と、このハウジング2に取り付けられた電動モータMと、この電動モータMのモータ軸3aに固定された平歯車からなる入力歯車3と、この入力歯車3に噛合する中間歯車4と、この中間歯車4に噛合し、後述するナット18の外径に固定された出力歯車5とからなる減速機構6と、この減速機構6を介して電動モータMの回転運動を駆動軸7の軸方向の直線運動に変換するボールねじ機構8とを備えている。
ハウジング2はA6063TEやADC12等のアルミ合金からダイキャストによって形成され、電動モータMが取り付けられた第1のハウジング2aと、その端面に衝合された第2のハウジング2bとからなる。これら第1のハウジング2aと第2のハウジング2bは固定ボルト(図示せず)によって一体に固定されている。第1のハウジング2aと第2のハウジング2bには各々、後述するねじ軸10を収容するための貫通孔11と袋孔12が形成されている。
電動モータMのモータ軸3aは、その端部に入力歯車3が圧入により相対回転不能に取り付けられ、第2のハウジング2bに装着された深溝玉軸受からなる転がり軸受13によって回転自在に支持されている。また、平歯車からなる中間歯車4に噛合する出力歯車5は、ボールねじ機構8を構成するナット18にキー14を介して一体に固定されている。
駆動軸8は、ボールねじ機構8を構成するねじ軸10と一体に構成され、この駆動軸7の一端部(図中右端部)に係止ピン15、15が植設されている。また、第2のハウジング2bの袋孔12にはスリーブ17が嵌合され、このスリーブ17の内周に軸方向に延びる凹溝17a、17aが研削加工によって形成されている。そして、凹溝17a、17aは周方向に対向して配設されると共に、この凹溝17a、17aにねじ軸10の係止ピン15、15がそれぞれ係合され、ねじ軸10が、回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されている。スリーブ17は、第2のハウジング2bの袋孔12の開口部に装着された穴用の止め輪9によっての軸方向の抜け止めがなされている。
スリーブ17は、金属粉末を可塑状に調整し、射出成形機で成形される焼結合金からなる。この射出成形に際しては、まず、金属粉と、プラスチックおよびワックスからなるバインダとを混練機で混練し、その混練物をペレット状に造粒する。造粒したペレットは、射出成形機のホッパに供給し、金型内に加熱溶融状態で押し込む、所謂MIM(Metal Injection Molding)により成形されている。こうしたMIMによって成形される焼結合金であれば、加工度が高く複雑な形状であっても容易に、かつ精度良く所望の形状・寸法に成形することができる。
一方、凹溝17aに係合する係止ピン15は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼あるいはSCr435等の浸炭軸受鋼で形成され、その表面には、炭素含有量0.80wt%以上、58HRC以上の浸炭窒化層が形成されている。なお、係止ピン15に針状ころ軸受に使用される針状ころを適用することにより、58HRC以上の表面硬さが得られ、耐摩耗性が優れていると共に、入手性が良く、低コスト化を図ることができる。
ボールねじ機構8は、図2に拡大して示すように、ねじ軸10と、このねじ軸10にボール19を介して外挿されたナット18とを備えている。ねじ軸10は、外周に螺旋状のねじ溝10aが形成されている。一方、ナット18は、内周にねじ軸10のねじ溝10aに対応する螺旋状のねじ溝18aが形成され、これらねじ溝10a、18aとの間に多数のボール19が転動自在に収容されている。そして、ナット18は、第1、第2のハウジング2a、2bに対して、2つの支持軸受20、20を介して回転自在に、かつ軸方向移動不可に支承されている。21は、ナット18のねじ溝18aを連結して循環部材を構成する駒部材で、この駒部材21によって多数のボール19が無限循環することができる。
各ねじ溝10a、18aの断面形状は、サーキュラアーク形状であってもゴシックアーク形状であっても良いが、ここではボール19との接触角が大きくとれ、アキシアルすきまを小さく設定することができるゴシックアーク形状に形成されている。これにより、軸方向荷重に対する剛性が高くなり、かつ振動の発生を抑制することができる。
ナット18はSCM415やSCM420等の肌焼き鋼からなり、真空浸炭焼入れによってその表面に55〜62HRCの範囲に硬化処理が施されている。これにより、熱処理後のスケール除去のためのバフ加工等を省略することができ、低コスト化を図ることができる。一方、ねじ軸10はS55C等の中炭素鋼あるいはSCM415やSCM420等の肌焼き鋼からなり、高周波焼入れ、あるいは浸炭焼入れによってその表面に55〜62HRCの範囲に硬化処理が施されている。
ナット18の外周面18bには減速機構6を構成する出力歯車5がキー14を介して固定されると共に、この出力歯車5の両側に2つの支持軸受20、20が所定のシメシロを介して圧入されている。具体的には、ナット18の外周面18bにキー溝14aが形成されると共に、出力歯車5の内周面にもキー溝5aが形成され、両キー溝14a、5aによって形成される矩形状空間にキー14が嵌挿され、出力歯車5が第1のハウジング2a側の支持軸受20の内輪23とナット18の鍔部18cとで挟持された状態でナット18に固定されている。一方、第2のハウジング2b側の支持軸受20は、ナット18の鍔部18cと第2のハウジング2bで挟持された状態でナット18に固定されている。これにより、駆動軸7からスラスト荷重が負荷されても支持軸受20、20と出力歯車5の軸方向の位置ズレを防止することができる。また、2つの支持軸受20、20は、両端部にシールド板20a、20aが装着された密封型の深溝玉軸受で構成され、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から摩耗粉等が軸受内部に侵入するのを防止している。
本実施形態では、ナット18を回転自在に支持する一対の支持軸受20、20が同じ仕様の深溝玉軸受で構成されているので、前述した駆動軸7からスラスト荷重および出力歯車5を介して負荷されるラジアル荷重の両方を負荷することができると共に、組立時に誤組み防止のための確認作業を簡便化することができ、組立作業性を向上させることができる。なお、ここで、同じ仕様の深溝玉軸受とは、軸受の内径、外径、幅寸法をはじめ、転動体サイズ、個数および軸受内部すきま等が同一なものを言う。
また、一対の支持軸受20、20は、それぞれ第1のハウジング2aと第2のハウジング2bに径方向すきまを介して嵌挿され、これら一対の支持軸受20、20のうち一方(図中左側)の支持軸受20がリング状の弾性部材からなるワッシャ22を介して第1のハウジング2aに装着されている。
ワッシャ22は、強度や耐摩耗性が高いオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されたウェーブワッシャからなる。そして、その内径Dが支持軸受20の内輪23の外径dよりも大径に形成され、隣接する出力歯車5側に支持軸受20を押圧している。これにより、一対の支持軸受20、20の軸方向ガタをなくすことができ、円滑な回転性能を得ることができると共に、ワッシャ22が、支持軸受20の外輪24のみに当接して回転輪となる内輪23とは干渉しないため、逆スラスト荷重が生じてナット18が第1のハウジング2a側に押し付けられても支持軸受20の内輪23がハウジング2aに当接して摩擦力が上昇するのを防止し、ロック状態になるのを防止することができる。
図1に戻って、減速機構6を構成する中間歯車4の歯車軸25は、第1、第2のハウジング2a、2bに植設され、中間歯車4は、転がり軸受26を介してこの歯車軸25に回転自在に支承されている。歯車軸25の端部のうち、例えば、第1のハウジング2a側の端部を圧入する場合、第2のハウジング2b側の端部をすきま嵌めに設定することにより、ミスアライメント(組立誤差)を許容して円滑な回転性能を確保することができる。転がり軸受26は、中間歯車4の内径に圧入される鋼板プレス製の外輪27と、保持器28を介して外輪27に転動自在に収容された複数の針状ころ29とを備えた、所謂シェル型の針状ころ軸受で構成されている。これにより、軸受の入手性が高く、低コスト化を図ることができる。
また、中間歯車4の両側にはリング状のワッシャ30、30が装着され、中間歯車4が直接第1、第2のハウジング2a、2bに接触するのを防止している。ここで、中間歯車4の歯部4aの幅が歯幅よりも小さく形成されている。これにより、中間歯車4とワッシャ30との接触面積を小さくすることができ、回転時の摩擦抵抗を抑えて円滑な回転性能を得ることができる。ここで、ワッシャ30は、強度や耐摩耗性が高いオーステナイト系ステンレス鋼板、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて形成された平ワッシャからなる。なお、これ以外にも、例えば、黄銅や焼結金属、または、GF(グラス繊維)等の繊維状強化材が所定量充填されたPA(ポリアミド)66等の熱可塑性の合成樹脂で形成されていても良い。
ここで、図3において、ボールねじ機構8を構成するねじ軸10(駆動軸7)に負荷される通常作動時の荷重方向を白矢印方向(図中左側から右側)、異常時の荷重方向を黒矢印方向(図中右側から左側)とした場合、図4(a)に示すナット18のねじ溝18における循環列の一部、具体的には、通常作動時のねじ溝18aと逆側のねじ溝18aにボールポケット31が形成されている。このボールポケット31のサイズはボール19の曲率半径よりも大きい曲率半径で、ボールエンドミル等の機械加工によってねじ溝18aの溝底近傍から肩部に亙って凹球面に形成されている。
通常作動時では、(b)に示すように、多数のボール19はナット18のねじ溝18aの図中右側面に沿って転動することになる。この場合、図5(a)に拡大して示すように、多数のボール19は、ナット18のねじ溝18aの反ボールポケット31側(図中右側)の側面とねじ軸10のねじ溝10aとの間に所定の接触角を持って接触しながら順次転動する。一方、図4(c)に示すように、荷重方向が通常作動時と逆方向(図3の黒矢印方向)となった異常時は、ボールポケット31が形成されているねじ溝18aの図中左側面に沿って転動することになる。その結果、図5(b)に示すように、ボールポケット31の位置に転動してきたボール19が入り込み、後続のボール19との干渉によってボール19の転動が停止してナット18に対してねじ軸10がロックし、ボールねじ機構側からの逆入力トルクを遮断して電動モータ側に還流させない。
また、ロック後、入力荷重が通常作動時の方向に戻ると、図示しないボールポケットに入っていたボールが、ねじ軸におけるねじ溝の肩部の押し出し力によってポケット外に押し出され、その結果、ボールの転動が始まって自動的にロックが解除される。本発明に係る電動リニアアクチュエータでは、このようなボールねじ機構の一連の作動により、電動モータ側からの入力トルクをボールねじ機構に効率よく伝達する一方、ボールねじ機構側からの逆入力トルクをボールねじ機構内部でロックさせて電動モータ側に還流させない機能を発揮することができる。
なお、ボールポケット31は、連続して転動してくる多数のボール19を、異常時に転動方向を一時的に変えて停滞させるものであれば良く、通常作動時のボール19の転動を妨げることなくスムーズに転動させるようなサイズと形状に設定されている。また、ボールポケット31のエッジ部において、入り込んだボール19の肩乗り上げによるエッジロードで過大応力が発生しないように、角部が滑らかに丸められているのが好ましい。ここで、「肩乗り上げ」とは、ボールの当接による接触楕円がねじ溝の肩部から外れる現象を言い、また、「エッジロード」とは、角部に発生する過大な応力集中のことで、早期剥離や異常音の発生の要因の一つとなる現象を言う。
次に、ナット18にボールポケット31を設けた実施形態の変形例を図5に示す。この実施形態は、前述したボールポケット31がねじ軸32側に形成されている。すなわち、(a)に示すように、ねじ軸32のねじ溝32aにおける循環列の一部、具体的には、通常作動時のねじ溝32aと逆側のねじ溝32aにボールポケット33が形成されている。このボールポケット33のサイズはボール19よりも大きく、ボールエンドミル等の機械加工によってねじ溝32aの溝底近傍から肩部に亙って凹球面に形成されている。
通常作動時、すなわち、図6(a)に示すように、ねじ軸32の左側(図中白矢印)から荷重が負荷された場合、(b)に示すように、多数のボール19はねじ軸32のねじ溝32aの反ボールポケット33側の側面(図中左側)に沿って順次転動する。一方、(c)に示すように、荷重方向が通常作動時と逆方向(図6(a)の黒矢印方向)となった異常時は、ボールポケット33が形成されているねじ溝32aの図中右側面に沿って転動することになる。その結果、ボールポケット33の位置に転動してきたボール19が入り込み、後続のボール19との干渉によってボール19の転動が停止してねじ軸32がロックし、ボールねじ機構側からの逆入力トルクを遮断して電動モータ側に還流させない。
また、ロック後、入力荷重が通常作動時の方向に戻ると、図示しないボールポケットに入っていたボールが、ナットにおけるねじ溝の肩部の押し出し力によってポケット外に押し出され、その結果、前述した実施形態と同様、ボールの転動が始まって自動的にロックが解除される。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る電動リニアアクチュエータは、一般産業用の電動機、自動車等の駆動部に使用され、電動モータからの回転入力を、ボールねじ機構を介して駆動軸の直線運動に変換するボールねじ機構を備えた電動リニアアクチュエータに適用できる。
1 電動リニアアクチュエータ
2 ハウジング
2a 第1のハウジング
2b 第2のハウジング
3 入力歯車
3a モータ軸
4 中間歯車
5 出力歯車
6 減速機構
7 駆動軸
8 ボールねじ機構
9 止め輪
10、32 ねじ軸
10a、18a、32a ねじ溝
11 貫通孔
12 袋孔
13、26 転がり軸受
14 キー
5a、14a キー溝
15 係止ピン
17 スリーブ
17a 凹溝
18 ナット
18b ナットの外周面
18c ナットの鍔部
19 ボール
20 支持軸受
20a シールド板
21 駒部材
22、30 ワッシャ
23 内輪
24、27 外輪
25 歯車軸
28 保持器
29 針状ころ
31、33 ボールポケット
51 電動リニアアクチュエータ
52 ハウジング
53 電動モータ
54 ボールねじ機構
55 減速機構
56 第1遊星歯車機構
56a、57a 内歯歯車
56b、57b 外歯歯車
57 第2遊星歯車機構
58 出力側部材
M 電動モータ

Claims (6)

  1. 内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
    このナットに多数のボールを介して内挿され、外周に前記ナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸とで構成されたボールねじにおいて、
    前記ナットまたはねじ軸のねじ溝における循環列の一部にボールポケットが形成され、このボールポケットに前記ボールを入り込ませることにより、前記ボールねじに負荷される荷重方向が通常作動時と逆方向になった異常時に、前記ボールねじ側の逆入力トルクを当該ボールねじ内部でセルフロックさせることを特徴とするボールねじ。
  2. 前記ボールポケットが、通常作動時の前記ねじ溝と逆側のねじ溝の溝底近傍から肩部に亙って形成されている請求項1に記載のボールねじ。
  3. 前記ボールポケットが前記ボールの曲率半径よりも大きい曲率半径からなる凹球面に形成されている請求項1または2に記載のボールねじ。
  4. 前記ボールポケットの角部が滑らかに丸められている請求項1乃至3いずれかに記載のボールねじ。
  5. 前記ボールポケットが前記ナット側に形成されている請求項1乃至4いずれかに記載のボールねじ。
  6. ハウジングと、
    このハウジングに取り付けられた電動モータと、
    この電動モータの回転力を、モータ軸を介して伝達する減速機構と、
    この減速機構を介して前記電動モータの回転運動を駆動軸の軸方向の直線運動に変換するボールねじと、を備え、
    このボールねじが、前記ハウジングに対して回転可能に、かつ軸方向移動不可に支持され、内周に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
    このナットに多数のボールを介して内挿され、前記駆動軸と同軸状に一体化され、外周に前記ナットのねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝が形成されて前記ハウジングに対して回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されたねじ軸とで構成された電動リニアアクチュエータにおいて、
    前記ボールねじが、前記請求項1乃至5いずれかに記載のボールねじで構成されていることを特徴とする電動リニアアクチュエータ。
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