以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、ロードセル48と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。筐体11は、電子部品実装装置10を構成する各部を収納する箱である。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rは、同様の構成であり、複数の電子部品供給装置を備える。電子部品供給装置は、それぞれヘッド15が電子部品を保持する保持位置に電子部品を供給する。以下、部品供給ユニット14の構成として説明する。
部品供給ユニット14は、図2に示すように、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)100を有する。図2に示す複数の部品供給装置100は、支持台(バンク)102に保持される。また、支持台102は、部品供給装置100、100の他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14は、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置100を備えている。
電子部品供給装置100は、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置100は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置100は、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。なお、チップ電子部品(搭載型電子部品)とは、基板の形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、SOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板に実装される。
部品供給ユニット14は、支持台102に保持されている複数の部品供給装置100が、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構または供給機構が異なる複数種類の部品供給装置100で構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の部品供給装置100を複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。部品供給ユニット14は、電子部品を供給する種々の電子部品供給装置を用いることができる。例えば、部品供給ユニット14は、電子部品供給装置100としてスティックフィーダやトレイフィーダを設置してもよい。また、部品供給ユニット14は、電子部品供給装置としてボウルフィーダを設けてもよい。
ヘッド15は、部品供給ユニット14に保持された電子部品(電子部品供給装置100に保持された搭載型電子部品)をノズルで保持(吸着または把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。
XY移動機構16は、ヘッド15を図1中、X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。X軸駆動部22は、ボールねじを有しており、ボールねじを回転させることで、ヘッド15を支持している支持部をX方向に移動させる。また、X軸駆動部22は、ボールねじが回転してもヘッド15が回転しないようにX軸方向に移動可能な状態で支持するリニアガイドも備えている。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、ボールねじを有しており、ボールねじを回転させることで、ヘッド15を支持している支持部をY方向に移動させる。また、Y軸駆動部24は、ボールねじが回転してもX軸駆動部22が回転しないようにY軸方向に移動可能な状態で支持するリニアガイドも備えている。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置にある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構(X軸駆動部22、Y軸駆動部24)としては、ボールねじとリニアガイドとを用いた搬送機構以外の機構も用いることができる。X軸駆動部22、Y軸駆動部24の機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルの形状、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引または把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を開放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
ロードセル48は、VCSユニット17と部品貯留部19との間に配置されている。ロードセル48は、鉛直方向上側の面、つまり、ヘッド15側の面が測定面となり、測定面に付与される荷重を検出する。例えば、ロードセル48は、測定面にヘッド15のノズルが押し付けられることで生じる荷重を検出する。ロードセル48は、検出した荷重を制御装置20に送信する。ロードセル48を用いて荷重を検出することで、後述するノズルの荷重を高い精度で計測することができる。なお、本実施形態では、測定面にノズルが押し付けられて生じる荷重をひずみゲージ等で検出するロードセル48を用いたが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、ロードセル48に換えて、荷重検出部としてノズルに負荷される荷重を計測できる各種の荷重の検出機構を用いてもよい。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。また制御装置20は、各種データを記憶する記憶領域を備えている。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスである。入力デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパネル等が例示される。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面であり、タッチパネル、ビジョンモニタ等を有する。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッドを1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッドを設けてもよい。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッドをそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッドを独立して移動させることができる。電子部品実装装置10は、2つのヘッドを備えることで、1つの基板8に対して、交互に電子部品を搭載することができる。このように、2つのヘッドで交互に電子部品を搭載することで、一方のヘッドが電子部品を基板8に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品を保持することができる。これにより、基板8に電子部品が搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品を搭載することができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板を交互に電子部品搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板に電子部品を搭載することができる。
次に、図3から図5を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図3は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図4は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図5は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図3には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14の1つの部品供給装置100もあわせて示す。ヘッド15は、図4及び図5に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(レーザセンサ、部品状態検出部、状態検出部)38と特殊用途ヘッド70と撮影装置(基板状態検出部)76と高さセンサ(基板状態検出部)77とを有する。
電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置100は、電子部品保持テープに電子部品80の本体が上方に露出している。電子部品供給装置100は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、電子部品供給装置100のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図4及び図5に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図4及び図5に示すノズル32は、いずれも電子部品を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置38と特殊用途ヘッド70も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口33を有し、この開口33から空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。なお、ノズル32は、シャフト32aに連結されている。シャフト32aは、ノズル32を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト32aは、内部に開口33とノズル駆動部34の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板8の表面に対して直交する方向となる。また、ノズル駆動部34は、電子部品の実装時等にノズル32をθ方向に回転させる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、ノズル32の回動方向となる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、直動リニアモータでノズル32のシャフト32aをZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口33をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト32aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト32aに伝達し、シャフト32aをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口33と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口33から空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口33から空気を吸引することで開口33に電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口33から空気を吸引しないことで開口33に吸着していた電子部品80を開放する、つまり開口33で電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、各ノズル32またはシャフト32aに圧力を検出する圧力検出部を備えている。ヘッド15は、圧力検出部で対応するノズル32に負荷されている圧力、つまりノズル32にかかる荷重を検出する。
また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズル32を換えることができる。例えば、本実施形態のヘッド15は、吸着(保持)する電子部品の種類に基づいて、装着するノズル32の種類を変更する。また、本実施形態のヘッド15は、電子部品80の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引開放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品80の本体を上方から把持開放することができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板8の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品80の高さを検出する。なお、電子部品との距離の測定結果に基づいて電子部品80の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置(レーザセンサ・ノズル形状検出部)38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図3に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置100側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態やノズル32の形状を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。ノズル32の形状とは、ノズルの外形形状である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。
特殊用途ヘッド70は、ヘッド本体30に連結している。特殊用途ヘッド70は、ノズルの本数が1本である以外は、ヘッド本体30と同様の構成である。特殊用途ヘッド70は、各部を支持するヘッド支持体71と、1本のノズル72と、ノズル駆動部74と、を有する。本実施形態の特殊用途ヘッド70には、図4に示すように、ヘッド本体30の6本のノズル32が配置されている列の延長線上にノズル72が配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。ノズル72は、電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体71は、ヘッド支持体31と連結している支持部材であり、ノズル72及びノズル駆動部74を支持する。なお、ヘッド支持体71は、ノズル72をヘッド支持体31とは一定距離離れた位置で支持する。
ノズル72は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル72は、先端に開口を有し、この開口から空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。なお、ノズル72は、開口が形成され電子部品80を吸着する先端部に連結されたシャフト72aを有する。シャフト72aは、先端部を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト72aは、内部に開口とノズル駆動部74の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
ノズル駆動部74は、ノズル72をZ軸方向に移動させ、ノズル72の開口で電子部品80を吸着させる。また、ノズル駆動部74は、電子部品80の実装時等にノズル72をθ方向に回転させる。ノズル駆動部74は、ノズル72をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部74は、直動リニアモータでノズル72のシャフト72aをZ軸方向に移動させることで、ノズル72の先端部の開口をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部74は、ノズル72をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト72aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部74は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト72aに伝達し、シャフト72aをθ方向に回転させることで、ノズル72の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部74は、ノズル72の開口で電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル72の開口と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部74は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口から空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部74は、電磁弁を開き開口から空気を吸引することで開口に電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口から空気を吸引しないことで開口に吸着していた電子部品80を開放する、つまり開口で電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
撮影装置76は、ヘッド本体30のヘッド支持体71に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置76は、撮影装置36と同様の機能を備える。高さセンサ77は、ヘッド本体30のヘッド支持体71に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ77は、高さセンサ37と同様の機能を備える。撮影装置76、高さセンサ77は、配置位置が異なるのみで、撮影装置36、高さセンサ37と同様の機能を備え、同様の用途に用いられる。
ヘッド15は、ヘッド本体30から離れた位置にノズル72が配置された特殊用途ヘッド70を備えることで、ヘッド15が部品供給ユニット14と基板8との間の一度の往復で実装する電子部品の選択肢をより広くすることができる。例えば、離れた位置のノズル72で大きな電子部品(ノズル32の配置間隔よりも大きい電子部品)を保持しつつ、隣接した6本のノズル32で小さい電子部品を保持することができる。つまり、ノズル32で吸着すると他のノズル32で電子部品を保持できなくなる大きい電子部品がある場合でも、ノズル72を用いることで、他のノズル32の保持に影響を与えることなく作業を行うことができる。
ヘッド15は、以上のような構成である。なお、上記実施形態のヘッド15は、ノズル32、72に吸着ノズルを装着している場合として説明したが、ノズル32、72に電子部品を把持して保持する把持ノズルを用いることができる。ヘッド15は、ノズル32、72に把持ノズルを用いる場合も、ノズル32、72に供給する空気圧を調整することで、把持ノズルの駆動部を稼動させて、電子部品を把持している状態と開放している状態を切り換える。また、ヘッド15は、撮影装置(基板状態検出部)36、76と高さセンサ(基板状態検出部)37、77とレーザ認識装置38と特殊用途ヘッド70を備えていることが好ましいが、必ずしも備えていなくてもよい。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御装置20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能(記憶領域)とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。また、各制御部は、記憶領域として、1つのROM、RAMに記憶させてもよいし、複数の記憶媒体を設けてもよい。各制御部は、記憶領域に演算処理に用いるプログラムや、各種設定データ、条件を記憶している。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、ヘッド制御部62や部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、74、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34、74を制御し、ノズル32、72の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32、72の電子部品80の吸着(保持)/開放動作、各ノズル32、72の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、部品供給装置100毎に設けても、1つですべての部品供給装置100を制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置100によるトレイの交換動作、移動動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給装置100による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの移動を制御する。
また、制御装置20は、記憶領域にノズルの特性のデータを記憶している。なお、制御装置20は、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とのいずれの制御部の記憶領域にノズルの特性のデータを記憶していてもよい。また制御装置20は、制御部60、ヘッド制御部62及び部品供給制御部64とは別体の記憶領域(ROM等)を設け、この別体の記憶領域にノズルの特性のデータを記憶させてもよい。制御装置20は、制御部60によって、ヘッド制御部62や部品供給制御部64の動作を制御することで、ノズルの特性を検出する動作を実行する。さらに、制御装置20は、検出したノズルの特性に基づいて、ヘッド制御部62によるヘッドの動作、具体的には、ノズル32、72のZ軸方向の移動動作を制御する。この点については、後述する。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図6は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図6を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図6に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品80の種類、準備されているノズル32、72の種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板8を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS60の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図7は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図7に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板8を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で部品を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズルを所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS112として、ノズル32で吸着している電子部品80の形状を検出する。制御部60は、ステップS112で電子部品の形状を検出したら、ステップS114としてノズル32を上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS112で電子部品の形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を開放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズル32を上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板8に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図7に示す処理動作を実行することで、基板に電子部品を搭載することができ、電子部品が実装された基板を生産することができる。
次に、図8から図18を用いて電子部品実装装置10によるノズル32の制御動作、具体的にはノズルによる電子部品の吸着時の動作、基板への搭載時の動作について説明する。
まず、図8を用いてノズルの一例について説明する。図8は、ノズルの概略構成を示す説明図である。本実施形態の電子部品実装装置10は、電子部品を吸着して保持する吸着型のノズルとして、標準型のノズルと荷重制御型のノズルを備えている。図8に示すノズル120は、荷重制御型のノズルであり、基部130と先端支持部132と先端部134とバネ136とストッパ138とを有する。基部130は、シャフト32aと連結する部分である。ノズル120は、基部130がシャフト32aの先端に支持されることで、シャフト32aと一体で移動可能な状態となる。先端支持部132は、Z軸方向に伸びた棒状の部材であり、摺動可能な状態で基部130に接続されている。先端部134は、先端支持部132の先端に連結されている。先端部134は、基部130から最も離れた面が、電子部品と接触する面となる。バネ136は、一方の端部が基部130と接続され、他方の端部がストッパ138とに接続されている。バネ136は、ストッパ138が基部130側に移動した場合、ストッパ138を元の位置に移動する方向の力をストッパ138に付与する。ストッパ138は、先端支持部132から一定距離離れた位置に固定されている。
ノズル120は、以上のような構成であり、無荷重の状態で基部130とストッパ138とが離れている。この状態から、先端部134に荷重を付与すると、先端支持部132、先端部134及びストッパ138が基部130に近づく方向に移動し、バネ136が縮む。さらに、先端部134に一定以上の荷重が付与されると、ノズル120aに示すように、ストッパ138と基部130とが接触する。またノズル120aは、ストッパ138が基部130と接触する位置まで移動すると、先端部134に付与される荷重が増大しても基本的に先端部134が移動しない状態となる。また、ノズル120aは、先端部134に付与された荷重が小さくなり、荷重よりもバネ136の反力が大きくなると、バネ136の反力で先端部134が基部130から離れる方向に移動し、荷重が0となるとノズル120の状態となる。
ノズル120は、以上のような構成であり、先端支持部132にストッパ138を設け、バネ136と接続させることで、先端支持部132にバネを接続するよりもバネ136及び先端支持部132の稼動範囲を小さくすることができる。先端支持部132の稼動範囲を小さくすることで、先端支持部132の位置ずれを抑制でき、電子部品を吸着しやすくすることができる。また、ノズル120は、リジット時、つまり、ストッパ138と基部130とが接触している時、ストッパ138を基部130が面で押す構造となる。これにより、先端支持部132、先端部134等に力が集中することを抑制でき、ノズル120の耐久性を向上させ、高い負荷がかかっても破損しにくくすることができる。電子部品実装装置は、ノズル120を用い、荷重制御時、バネ136を充分に押し込みリジットとして、ヘッド15の各種手段により発生させた負荷を電子部品に高い伝達率で伝達する。これにより、検出した圧力と電子部品にかかる負荷との差を小さくすることができる。なお、電子部品実装装置10は、形状が同じでバネ定数が異なる、つまりリジットとなるまでの荷重(指定荷重)が異なるノズルを備えている。
図9及び図10を用いて、ノズルの動作と荷重との関係を説明する。図9は、ノズルの動作と検出した荷重との関係を示す説明図である。図10は、ノズルの動作の一例を示す説明図である。なお、図9及び図10は、ノズル120の先端部134をロードセル48に接触させ、ロードセル48で荷重を検出している。また、図9に示す縦軸としてZ軸動作と荷重の2つを示す。Z軸動作は、鉛直方向下側の向きの移動速度を正、つまり下降する移動を正の方向とした場合の移動速度を示している。荷重は、ロードセルが検出した荷重である。なお、ヘッドに設けられた荷重検出部で荷重を検出する場合も同様の制御を行う。この場合、ノズルと電子部品とが接触した状態での荷重、電子部品を吸着したノズルと基板とが接触した状態での荷重を検出する。当接検知荷重は、ノズルが接触したと判定する基準の荷重であり、指定荷重は、電子部品の吸着時や、電子部品を基板に搭載する際に当該ノズルに付与すると設定した荷重である。
ヘッド15は、ノズル120がZ軸方向において所定の高さにある状態から、下降を行い、所定高さまで下降したら減速し、所定の高さまで下降した時間t1で一度停止する。その後、所定高さまで下降する際の速度よりも低い速度(基板接触速度)で再び下降を開始する。また、電子部品実装装置は、時間t1で基板接触速度での下降を開始したら、ロードセル48での荷重の検出を開始する。その後、ノズルの下降を続け、時間t2でロードセルが当接検知荷重以上の荷重を検出したら、電子部品とロードセルが接触したと判定する。つまり、図10のノズル120の状態からノズル120bの状態に移行したと判定する。
ヘッド15は、時間t2で接触を検出してから一定時間経過した時間t3でノズルの下降を一旦停止させ、基板接触速度よりもさらに低い速度(荷重制御速度)での下降を開始する。ここで時間t2から時間t3までの一定時間は、切り替え待ち時間となる。また、時間t2から時間t3の間もヘッドが下降するため、図10に示すヘッド120bからヘッド120cに示すように、先端部134がロードセル48に接触した状態で、基部130が下降し、バネが圧縮される。その後、ヘッド15は、時間t3で下降を再び開始した後、時間t4でノズル120がリジットな状態となる。つまり、図10のノズル120dに示すようにストッパ138と基部130とが接触した状態となる。
ヘッド15は、ノズル120がリジットな状態となった後も、下降動作を継続することで、図9の時間t4から時間t5に示すように先端部134からロードセル48に付与される荷重を増大させる。ヘッド15は、停止後指定荷重となると判定した時間t5で下降速度の減速を開始し、停止することで、指定荷重でノズルの移動を停止させる。また、ヘッド15は、所定の作業が終了したら、時間t6でノズルの上昇を開始する。
荷重制御用のノズルは、以上のような動作で挙動が制御される。また、電子部品実装装置10は、種々の電子部品を実装するために特性が異なる複数のノズルを備えている。また、ノズルは、種類によってバネストロークや当接荷重、指定荷重が異なるため、同様の条件で制御を行うと、適切な制御を行うことができない。
本実施形態の電子部品実装装置10は、制御装置20の記憶領域に、ノズルの特性のデータを記憶し、記憶したデータに基づいて各ノズルの動作、特に荷重制御用のノズルの動作を制御する。
ここで、図11は、ノズルの特性の一例を示す説明図である。記憶領域は、図11に示すようにノズル毎に、先端X方向幅、先端Y方向幅、ノズルタイプ、当接荷重、バネストローク等の情報を記憶している。ノズルの特性としては、さらに指定荷重の上限値を含んでいてもよい。なお、ノズルの特性のうち、先端X方向幅、先端Y方向幅、ノズルタイプ等は、オペレータが操作部40に入力した情報を用いてもよい。電子部品実装装置10は、レーザ認識装置38やVCSユニット17で形状を検出してもよいし、各種計測の結果に基づいてノズルタイプを特定してもよい。また、電子部品実装装置10は、当接荷重やバネストロークも計測によって検出することができる。
以下、ノズルの特性(ノズルデータ)の取得処理について説明する。図12は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図13は、電子部品実装装置の動作の一例を示す説明図である。図14は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図12及び図14に示す処理は、制御装置20が各部の動作を制御することで実現することができる。
制御装置20は、ステップS200として、ノズルを装着させる。具体的には、ノズルの特性を取得する対象のノズルをヘッドに装着させる。制御装置20は、ステップS200でノズルを装着させたら、ステップS202として、ノズル先端形状を取得する。具体的には、レーザ認識装置38によって、ノズルの形状を検出する。具体的には、ノズルの先端(鉛直方向下側の端部)を特定し、当該高さにおけるノズルの形状を計測することで、ノズル先端サイズ(X方向幅、Y方向幅)を検出する。
制御装置20は、ステップS202で先端の形状を検出したら、ステップS204として、先端形状に基づいた分類を行う。具体的には、制御装置20は、検出した先端の形状と同じ形状のノズルを記憶領域に記憶されたデータから抽出する。
制御装置20は、ステップS204で分類を行ったら、ステップS206として、ノズル分類が完了しているか、つまり対象のノズルが特定できたかを判定する。具体的には、制御装置20は、記憶領域から抽出した同一形状のノズルが1つの場合、ノズル分類完了と判定し、2つ以上または0である場合、ノズル分類が完了していないと判定する。制御装置20は、ステップS206でノズル分類が完了していない(ステップS206でNo)と判定した場合、ステップS210に進む。
制御装置20は、ステップS206で、抽出したノズルが2つ以上あり、かつ、通常用のノズルと荷重制御用のノズルを含んでいる場合、当該荷重制御用のノズルのストッパの位置の高さで形状を計測し、ノズルの種類を判定してもよい。具体的には、図13に示すように、荷重制御用のノズルのストッパが配置される高さ150の位置の形状を計測することで、測定対象のノズルがストッパ138を備える荷重制御用のノズル120であるか、ストッパを備えない通常用のノズル140であるかを識別することができる。ここで、ノズル140は、一方の端部が先端部134と接続され、他方の端部が基部130に接続されたバネ148が配置されている。また、制御装置20は、ノズルが通常用のノズルであると判定した場合、ノズルの特性の検出処理を終了してもよい。
制御装置20は、ステップS206でノズル分類完了(ステップS206でYes)と判定した場合、ステップS208として、荷重制御用のノズルであるかを判定する。制御装置20は、ステップS208で荷重制御用のノズルである(ステップS208でYes)と判定した場合、ステップS210に進む。制御装置20は、ステップS208で荷重制御用のノズルではない(ステップS208でNo)と判定した場合、ステップS230に進む。
制御装置20は、ステップS206でNoまたはステップS208でYes、つまり、記憶領域からノズルが2つ以上抽出されたか1つも抽出されなかった場合、または、対象が荷重制御用のノズルであると判定した場合、ステップS210として、ヘッド15をロードセル48上に移動させる。なお、本実施形態では、ロードセル48を用いたが、ヘッド15にノズルの荷重を検出する機構(荷重検出部)が設置されている場合、水平な台(電子部品の仮置き台等)に移動し、荷重の検出は、ヘッドに備えられている荷重検出部で実行してもよい。
制御装置20は、ステップS210でヘッド15をロードセル48上に移動させたら、ステップS212としてバキュームをONする。つまりノズルの吸引動作を開始する。ノズルで吸引動作を行うことでノズル内が負圧となり、実際の部品搭載時と同様の環境となる。具体的には、ノズル内を負圧にすることで、バネ定数に基づいて検出した理論値よりも実際の検出荷重が低くなる状態とする。
制御装置20は、ステップS212でバキュームをONにしたら、ステップS214として当接荷重を検出する。具体的には、制御装置20は、ノズルを徐々に下降させ、つまりロードセル48に近づけ、ロードセル48でノズルが接触したと判定する荷重を検出するまで、ノズルを移動させる。
制御装置20は、ステップS214で当接荷重を取得したら、ステップS216として、検知高さから10mmまでの荷重値を取得する。つまり、制御装置20は、当接荷重を検出した位置からノズルをさらに10mm下降させ、ロードセル48でノズルが各位置にある場合の荷重を検出する。制御装置20は、例えば、ノズルを0.1mm間隔で下降させ、各位置で荷重を検出する。検出した位置と荷重の関係は、記憶領域に記憶させる。
制御装置20は、ステップS216で荷重値を取得したら、ステップS218として、荷重制御用ノズルに異常があるかを判定する。以下、図14を用いて、荷重制御用のノズルの判定処理について説明する。
制御装置20は、ステップS240で戻り値を異常なしにする。つまり、後述する判定結果を示す値を初期状態に戻す。制御装置20は、ステップS240で戻り値を初期化したら、ステップS242としてAに荷重値、具体的には、ステップS214で検出した当接荷重を代入し、ステップS244としてBに最終取得値、具体的には、ステップS216で検出した値のうち、最後に検出した値を代入し、ステップS246としてAとBの比較を行う。
制御装置20は、ステップS246でA>Bつまり、最終取得値より荷重値のほうが大きいと判定した場合、ステップS248として、戻り値を異常ありとして、本処理を終了する。つまり、最終取得値より荷重値のほうが大きい場合、計測またはノズル自体に異常があると判定して、本処理を終了する。
制御装置20は、ステップS246でA=Bつまり、最終取得値と荷重値が同じであると判定した場合、ステップS250として、ノズルのタイプが通常型のノズルであると判定して、本処理を終了する。この場合、戻り値は異常なしとなる。なお、制御装置20は、AとBとの差がしきい値以内の場合、つまり、同一だけではなく近い値である場合、ノズルのタイプが通常型のノズルであると判定してもよい。
制御装置20は、ステップS246でA<Bつまり、最終取得値より荷重値のほうが小さいと判定した場合、ステップS252として、ノズルのタイプが荷重制御型のノズルであると判定する。制御装置20は、ステップS252で荷重制御型のノズルであると判定したら、ステップS254として、Cにノズル情報テーブル、つまり記憶領域に記憶されているノズルの特性データに記憶されている対応するノズルの当接荷重値を代入する。制御装置20は、ステップS254で値を代入したら、ステップS256として(A−C)の絶対値が閾値未満であるかを判定する。
制御装置20は、ステップS256で(A−C)の絶対値が閾値未満ではない、つまり閾値以上である(ステップS256でNo)と判定した場合、そのまま本処理を終了する。制御装置20は、ステップS256で(A−C)の絶対値が閾値未満である(ステップS256でYes)と判定した場合、ステップS258として、戻り値を異常ありとして、本処理を終了する。
制御装置20は、図14に示す処理で異常なし(ステップS218でNo)と判定した場合、ステップS220として、ノズル情報を保存し、つまり検出した情報をノズルの特性として保存し、ステップS230に進む。ここで、ノズルの特性としては、荷重制御用のノズルである場合、ステップS214で取得した当接荷重値を当接荷重とし、ステップS216で検出した荷重値と位置とに基づいて算出した関係をバネストロークとして記憶する。さらに、必要に応じてノズルの形状等も記憶する。制御装置20は、図14に示す処理で異常あり(ステップS218でYes)と判定した場合、ステップS222として、エラー表示を行い、ステップS230に進む。なお、エラー表示を行った場合、ノズルの特性の検出が正常に行われていないので、取得したデータは、ノズルの特性として記憶しない。
制御装置20は、ステップS208でNoと判定した場合、ステップS220、またはステップS222の処理を行った場合、対象のノズルについてノズルの特性の検出処理を終了したと判定し、ステップS230としてノズルを返却し、例えば交換ノズル保持機構18の所定位置に戻して、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、上述した処理で検出したノズルの特性に基づいて、電子部品の実装動作時にノズルの状態を判定することが好ましい。ここで、電子部品実装装置10による検査動作に付いて説明する。なお、基板の生産動作は、上述した処理を行うものであるので、詳細な説明を省略し、ノズルの状態の判定に係る処理を重点的に説明する。
制御装置20は、基板の生産が開始されると、指定された生産プログラムデータを参照し、搭載する電子部品のデータから使用するノズルを検出し、検出したノズルをヘッドに装着する。制御装置20は、ヘッドにノズルを装着させたら、レーザ認識装置38でノズルの先端の形状を検出し、記憶領域のノズルの特性データと比較し、装着したノズルの種類が正しいかを判定する。また、制御装置20は、レーザ認識装置38で所定高さ(ストッパが形成されている高さ)の形状を検出し、記憶領域のノズルの特性データと比較し、装着したノズルの種類が正しいかを判定する。
制御装置20は、装着したノズルが通常用のノズルである場合(搭載する電部部品が非荷重生産部品である場合)、生産プログラムに基づいて、電子部品の吸着、搭載の動作を行う。電子部品実装装置10は、装着したノズルが荷重制御用のノズルである場合(搭載する電子部品が荷重生産部品である場合)も、生産プログラムに基づいて、電子部品の吸着、搭載の動作を行う。このとき、制御装置20は、搭載動作時は、図9に示す動作で電子部品の搭載を行う。つまり、搭載時にノズルを用いて、基板に電子部品を指定荷重まで押し込む。ここで、当接荷重値は、ノズルの特性データの当接荷重値を用い、制御切り替え待ち時間は、ノズルの特性データのバネストローク/荷重制御用速度+マージン値を用いる。制御装置20は、当接検知荷重制御切り替え待ち時間を使用して荷重動作を実施し、指定荷重値への到達時に指定荷重値に対して許容範囲以上の荷重が発生した場合は使用していたノズルを使用不可ノズル、つまりノズルの特性データを再取得するまで生産動作では使用できない設定とし、ノズル状態確認を警告するエラー情報を出力する。
制御装置20は、電子部品の実装動作と並行して図15に示す処理を実行する。図15は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。制御装置20は、ステップS270として、バネストローク=記憶領域に保存されているバネストロークとし、ステップS272として、Time1=制御切り替え待ち時間の完了時の時間とし、ステップS274として、Time2=指定荷重到達時の時間とし、ステップS276として、Time3=Time2−Time1とし、ステップS278として、Time4=バネストローク/荷重制御速度とする。ここで、荷重制御速度とは、荷重制御時のノズルの移動速度(下降速度)である。これにより、制御装置20は、制御切り替え待ち時間完了時(Time1)から指定荷重到達時(Time2)までの経過時間であるTime3と、押し込み速度の理論時間(バネストローク/荷重制御速度)であるTime4と、を算出する。
制御装置20は、ステップS270からステップS278の処理でTime3とTime4とを取得したら、ステップS280として、Time3とTime4とを比較する。制御装置20は、ステップS280でTime3とTime4の差異がない、つまりノズルの特性から算出した理論値と実際の値とが一致していると判定したら、そのまま本処理を終了する。
制御装置20は、ステップS280でTime3とTime4の差が一定範囲以上であると判定したら、ステップS282として、使用ノズルを使用不可と判定し、ステップS284として、バネストロークが異常であることを示す警告を出力し、本処理を終了する。
制御装置20は、ステップS280でTime3とTime4の差が一定範囲以内であると判定したら、ステップS286として、補正量=理論時間との差/荷重制御速度、つまり、実際の時間と理論時間との差を荷重制御速度で割った値を補正量として算出する。制御装置20は、ステップS286で補正量を算出したら、ステップS288として、Time3>Time4であるかを判定する。
制御装置20は、ステップS288でTime3>Time4ではない(No)と判定した場合、ステップS290として、バネストローク=バネストローク−補正量とし、つまり、現状のバネストローク−補正量を新たなバネストロークとし、ステップS294に進む。制御装置20は、ステップS288でTime3>Time4である(Yes)と判定した場合、ステップS292として、バネストローク=バネストローク+補正量とし、つまり、現状のバネストローク+補正量を新たなバネストロークとし、ステップS294に進む。つまり、制御装置20は、実測値が理論値よりも一定値以上に早い場合は、制御切り替え待ち時間が長いと判断し、記憶領域に保存されているバネストロークを「理論値との差分時間/荷重制御速度」分短くする。また、制御装置20は、実測値が理論値よりも一定値以上に遅い場合は、制御切り替え待ち時間が短いと判断し、記憶領域に保存されているバネストロークを「理論値との差分時間/荷重制御速度」分長く変更する。
制御装置20は、ステップS290、S292の処理を行ったら、ステップS294として、記憶領域のバネストロークを更新し、つまり、ステップS290、S292の処理結果を反映させ、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、上記処理を行うことで、次回荷重制御動作時に正常な動作時間となるように理論値の補正を行うことができる。このように、電子部品を実装する処理時においても、検査を行うことで、ノズルの個体差やバネの経時変化による不具合発生を早期に発見することができ、迅速に対応することが可能となる。また、電子部品実装装置10は、処理時間に基づいてノズルの検査を行うことで、ノズルの荷重の検出精度を高くしなくてもノズルの検査を行うことができる。
電子部品実装装置10は、ノズルの特性データを検出し、その結果に基づいて電子部品の実装動作を実行することで、当接検知からバネの圧縮までの制御を高精度で行うことができ、荷重制御動作でのタクトのロスや品質の低下を抑制することができる。
図16は、ノズルの動作と検出した荷重との関係を示す説明図である。図16の荷重制御動作を理論値(初期状態)としたときに、バネストロークが短いノズルや、経時変化によりバネが縮んだ場合の動作を示す。ヘッド15は、ノズル120がZ軸方向において所定の高さにある状態から、下降を行い、所定高さまで下降したら減速し、所定の高さまで下降した時間t11で一度停止する。その後、所定高さまで下降する際の速度よりも低い速度(基板接触速度)で再び下降を開始する。また、電子部品実装装置は、時間t11で基板接触速度での下降を開始したら、ロードセル48での荷重の検出を開始する。その後、ノズルの下降を続け、時間t12でロードセルが当接検知荷重以上の荷重を検出したら、電子部品とロードセルが接触したと判定する。その後、バネストロークが短い場合、バネの圧縮時間(時間t12から時間t13までの間)が短くなるため、制御切り替え待ち時間中にノズルがリジット状態となる。この時のZ軸動作速度は基板接触速度であるため、部品にかかる荷重が一気に上昇し、時間t14で指定荷重をオーバーしてしまう。電子部品実装装置は、時間t14で荷重が指定荷重を超えたと判定したら、移動速度をマイナス方向に変化させ、ノズルを上昇させる。ノズルを上昇させた時間t15で荷重が所定値より低くなったことを検出したら、ノズルの移動速度を減速させ、時間t16で指定荷重となったら、ノズルを停止させる。
次に、図17は、ノズルの動作と検出した荷重との関係を示す説明図である。図17は、当接荷重値が低いバネでの動作で、バネ圧縮中でも当接検知荷重にならず、リジット状態になった後に当接検知となり、基板接触速度のまま指定荷重に到達し、指定荷重をオーバーしてしまう場合である。ヘッド15は、ノズル120がZ軸方向において所定の高さにある状態から、下降を行い、所定高さまで下降したら減速し、所定の高さまで下降した時間t21で一度停止する。その後、所定高さまで下降する際の速度よりも低い速度(基板接触速度)で再び下降を開始する。また、電子部品実装装置は、時間t21で基板接触速度での下降を開始したら、ロードセル48での荷重の検出を開始する。その後、ノズルの下降を続けても時間t22に示すようにロードセルが当接検知荷重に到達しないと、基板接触速度での下降が継続される。この場合、時間t23でノズルがリジットの状態なると荷重が急激に上昇し、時間t24で指定荷重をオーバーしてしまう。電子部品実装装置は、時間t24で荷重が指定荷重を超えたと判定したら、移動速度をマイナス方向に変化させ、ノズルを上昇させる。ノズルを上昇させた時間t25で荷重が所定値より低くなったことを検出したら、ノズルの移動速度を減速させ、時間t26で指定荷重となったら、ノズルを停止させる。その後、処理を終了した時間t27でノズルの上昇を開始させる。
電子部品実装装置10は、ノズルの特性を記憶領域に記憶し、その記憶領域に検出した結果に基づいて、電子部品の実装を行うことで、図16や図17のような実装動作が起きることを抑制し、指定荷重以上の荷重が電子部品に付与されることを抑制することができる。これにより、高い品質の基板を製造することができる。
次に、図18は、ノズルの動作と検出した荷重との関係を示す説明図である。図18は、ヘッドに荷重検出部を設け、この荷重検出部でノズルの荷重を検出する場合Z軸の摺動抵抗(ガタ)をノズルの荷重として検出し当接荷重を検出したと判定した時の動作である。電子部品実装装置10は、時間t31で荷重検出部がZ軸の摺動抵抗で生じた力を当接荷重として検出した場合、時間t31から制御切り替え時間が経過した時間t32で一旦停止し、その後、荷重制御速度で移動を開始する。その後、荷重制御速度で移動すると時間t33でノズルがリジット状態となり、荷重が上昇し、時間t34で指定荷重となったらノズルの移動を停止する。その後、処理を終了した時間でノズルの上昇を開始させる。図18は、誤って当接を検出しているため、減速が早くなり、当接荷重を適切に検出した場合よりも具体的には時間t35と時間t36の差分だけ、処理が遅れる。電子部品実装装置10は、上述したように、ノズルの特性データに基づいて理論値を検出し、その結果を用いつつ、比較を行うことで、高い精度で動作を制御することができる。
また、電子部品実装装置10は、ノズルの特性データに基づいて、ノズルの所定高さの形状を検出することで、通常用のノズルと荷重制御用のノズル識別を容易に行うことができる。また、ノズルの先端の形状を検出することでもノズルの種類を識別することができる。これにより、種々の形状のノズルを用いる場合でも適切にノズルを特定することができる。また、それぞれのノズルについて特性を検出することで、バネストロークが異なるノズルや、ばね定数が異なる場合でもそれぞれの特性を高い精度で検出することができる。電子部品実装装置10は、ノズルを高い精度で特定できることで、荷重搭載時に通常ノズルを使用することを抑制できる。これにより、搭載時にバネストロークが長くなり荷重制御時間が長くなりタクトが低下することを抑制することができる。また、通常用ノズルを高荷重領域で使用しノズルが破損する恐れを低減することができる。また、バネ定数の異なるノズルを荷重搭載時に使用し、当接荷重が正しく制御できず、不良基板を作成してしまう恐れを低減できる。通常搭載時に荷重制御用ノズルを使用してしまい、設定された吸着動作ができず、部品を正しく吸着できなくなること、及び実装時の押し込み処理が出来ず搭載ズレが発生することを予防することができる。
また、本実施形態のヘッド15は、1台のヘッドでより多くの種類の電子部品を実装できるようにするため複数のノズルを備えている場合は、ノズル自動交換装置(本実施形態では交換ノズル保持機構とヘッド本体との組合せで実現されるヘッド交換動作)を使って実装生産中に各ノズルを種々の吸着ノズル、把持ノズルに交換できる。電子部品実装装置10は、搭載型電子部品及びリード型電子部品に対する大きさ、重さ、部品本体上面が吸着可能な平面を有するかどうか、及び部品本体を把持可能かどうか等の部品条件により、部品ごとに適切な吸着孔径の吸着ノズルまたは適切な形状の把持部材を備えた把持ノズルが指定され、生産プログラムに記憶されている。電子部品実装装置10は、生産プログラムに記憶されている電子部品とノズルとの対応関係に基づいて、ヘッドに装着するノズルを切り換えたり、ヘッド内で当該電子部品を保持するノズルを決定したりする。
電子部品実装装置は、部品供給ユニットに複数のラジアルリード型電子部品(ラジアルリード部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したラジアルリード型電子部品のリードを保持位置で切断し、当該保持位置にあるラジアルリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置を装着してもよい。