以下に、図面を参照して本発明にかかる光スイッチの実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、図中、3軸(X軸、Y軸、Z軸)の直交座標系であるXYZ座標系を適宜用いて方向を説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1にかかる光スイッチの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる光スイッチの一構成例を示す模式図である。図1には、本実施の形態1にかかる光スイッチをXYZ座標系のZ軸方向正の向きから見たものが図示されている。図2は、図1に示す光スイッチをXYZ座標系のX軸方向正の向きから見た図である。図1、2に示すように、この光スイッチ10は、複数の光入出力ポート1、2と、光路操作部5と、集光レンズ6と、アナモルフィック光学系7と、波長分散素子8とを備える。なお、この光スイッチ10における実際の各光路は波長分散素子8において大きく曲げられるので、アナモルフィック光学系7から光路操作部5までの各構成要素(実施の形態1ではアナモルフィック光学系7、集光レンズ6、および光路操作部5)は、波長分散素子8の前後で角度を持って配置される。ただし、図1、2においては、簡略化のために各構成要素を光路に沿って直線的に配置して示している。このことは、図1、2以降の図面においても同様である。
複数の光入出力ポート1、2は、光を入力または出力するポート群を各々有し、ポート群毎に、外部から光を入力し、または外部に光を出力する。具体的には、光入出力ポート1は、光ファイバポート群110と、複数のコリメータレンズからなるコリメータレンズ群116と、光ファイバポート群110とコリメータレンズ群116とを支持する支持部117とを備える。光ファイバポート群110は、複数の光ファイバポート111〜115を含む光入出力のポート群である。光ファイバポート111〜115の各々は、光導波路として機能する光ファイバを用いて構成される。各光ファイバポート111、112、113、114、115は、所定の配列方向、すなわち図2に示すYZ平面に平行な方向に沿って、所定の間隔(例えば等間隔)で配列される。
コリメータレンズ群116は、各光ファイバポート111〜115に対応して配置されるコリメータレンズから構成されている。コリメータレンズ群116は、各光ファイバポート111〜115から出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を各光ファイバポート111〜115に集光して結合させる機能を有する。
光入出力ポート2は、光ファイバポート群120と、複数のコリメータレンズからなるコリメータレンズ群126と、光ファイバポート群120とコリメータレンズ群126とを支持する支持部127とを備える。光ファイバポート群120は、複数の光ファイバポート121〜125を含む光入出力のポート群である。光ファイバポート121〜125の各々は、光導波路として機能する光ファイバを用いて構成される。各光ファイバポート121、122、123、124、125は、所定の配列方向(図2に示すYZ平面に平行な方向)に沿って、等間隔等の所定の間隔で配列される。
コリメータレンズ群126は、各光ファイバポート121〜125に対応して配置されるコリメータレンズから構成されている。コリメータレンズ群126は、各光ファイバポート121〜125から出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を各光ファイバポート121〜125に集光して結合させる機能を有する。
ここで、光入出力ポート1、2は、図1、2に示すように、光ファイバポート群110、120の配列方向、すなわちZ軸方向に沿って配置される。このような光入出力ポート1、2において、光ファイバポート群110および光ファイバポート群120は、光入出力ポート1、2別にグループ分けされ、YZ平面に平行な同一面内に配列される。これら光ファイバポート群110、120内の各光ファイバポート111〜115、121〜125は、その配列方向に垂直な方向(すなわち図1、2に示すX軸方向)から見て、同じポート群内において互いに平行であり、且つ、異なるポート群間において互いに非平行である。具体的には図2に示すように、同じ光ファイバポート群110に属する各光ファイバポート111〜115同士は互いに平行である。また、同じ光ファイバポート群120に属する各光ファイバポート121〜125同士は互いに平行である。一方、異なる光ファイバポート群110、120間において、各光ファイバポート111〜115と各光ファイバポート121〜125とは、図2に示すように、互いに非平行であって、その配列方向に平行な面内(YZ平面内)で所定の角度をなす。例えば、光ファイバポート群110のうちの光ファイバポート115は、図2に示すように、光ファイバポート群120内の各光ファイバポート121〜125に対して非平行であって、YZ平面内において各光ファイバポート121〜125と角度θ1をなす。このことは、残りの光ファイバポート111〜114、121〜125についても同様である。
なお、上述した光ファイバポート111〜115、121〜125は、光入出力ポート1、2別に、外部から光を入力する、または外部に光を出力するものである。このように光入出力ポート1、2別に入出力される各光は、特に限定されないが、例えば波長1520〜1620nmの光通信用の信号光である。
光路操作部5は、入力された光の光路を切り替える複数の光路切替部5a、5bを有し、各光入出力ポート1、2別に入力ポートから出力ポートに至る光の光路を操作する。光路切替部5a、5bは、図2に示すように、互いに異なる光入出力ポート1、2別に、Z軸方向に分離して配置される。図3は、本実施の形態1における複数の光路切替部の一構成例を示す模式図である。図3に示すように、光路切替部5aは、X軸方向に沿って配列された複数のLCOS5a−1、5a−2、5a−3、5a−4によって構成される。これと同様に、光路切替部5bは、X軸方向に沿って配列された複数のLCOS5b−1、5b−2、5b−3、5b−4によって構成される。このような構成を有する光路切替部5a、5bは、光ファイバポート群110、120のうちの何れかの光ファイバポート群内の入力ポートから入力した光の光路を、この入力ポートが属する同じ光ファイバポート群内の出力ポートに向かう光路へ各光入出力ポート1、2別に切り替える。
すなわち、各LCOS5a−1、5a−2、5a−3、5a−4は、光入出力ポート1の光ファイバポート群110内の入力ポートから入力した光を回折して同じ光ファイバポート群110内の出力ポートに向けて出力する機能を有する。また、各LCOS5b−1、5b−2、5b−3、5b−4は、光入出力ポート2の光ファイバポート群120内の入力ポートから入力した光を回折して同じ光ファイバポート群120内の出力ポートに向けて出力する機能を有する。なお、光ファイバポート群110内の入力ポートは、光ファイバポート111〜115のうちの何れかであり、光ファイバポート群110内の出力ポートは、光ファイバポート111〜115のうちの入力ポートを除く何れかである。また、光ファイバポート群120内の入力ポートは、光ファイバポート121〜125のうちの何れかであり、光ファイバポート群120内の出力ポートは、光ファイバポート121〜125のうちの入力ポートを除く何れかである。
ここで、光入出力ポート1、2側から光路操作部5に入力される各光は、上述した光路切替部5a、5bにおいて互いに干渉しないように、Z軸方向に分離している。例えば図3に示すように、光入出力ポート1側から光路切替部5aのLCOS5a−1に入力された光の結像点P1は、光入出力ポート2側から光路切替部5bのLCOS5b−1に入力された光の結像点P2に対して十分に離間している。すなわち、結像点P1と結像点P2との離間距離(以下、分離距離dという)は、これら各光のビームスポット(図3の斜線部分参照)のZ軸方向の寸法に比して十分に大きい。この結果、これら各光同士の干渉が回避される。このことは、残りのLCOS5a−2〜5a−4、5b−2〜5b−4においても同様である。このような光入出力ポート1、2側からの各光の結像点に対応して、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4は、光路操作部5上に配列される。
なお、上述したLCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各々に入力される各光のビーム形状は、後述するアナモルフィック光学系7の作用によって、図3の斜線部分に例示されるように、X軸方向に縮小した楕円形状に整形される。このような楕円形状の各光の幅W1に比して、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各幅W2は十分に大きい。
集光レンズ6は、複数の光入出力ポート1、2側から入力された光を光ファイバポート群110、120別に複数の光路切替部5a、5bに集光し、複数の光路切替部5a、5b側から入力された光を光ファイバポート群110、120別に複数の光入出力ポート1、2に光学的に結合する。この結果、複数の光入出力ポート1、2と光路操作部5とは、集光レンズ6によって光学的に結合される。具体的には、集光レンズ6は、単一の光軸6aを有するレンズであり、光入出力ポート1、2と光路操作部5との間に配置される。集光レンズ6は、光ファイバポート群110からの光を一方の光路切替部5aに集光し、光ファイバポート群120からの光を他方の光路切替部5bに集光する。また、集光レンズ6は、光路切替部5aからの光を一方の光ファイバポート群110に光学的に結合し、光路切替部5bからの光を他方の光ファイバポート群120に光学的に結合する。何れの場合であっても、集光レンズ6は、図2に示すようにZ軸方向に平行な面内(例えばYZ平面に平行な面内)で集光し、且つ、図1に示すようにX軸方向に平行な面内(例えばXY平面に平行な面内)で集光する。ここで、Z軸方向は、光ファイバポート群110、120の配列方向であり、X軸方向は、この配列方向に対して垂直な方向である。なお、このような集光レンズ6の焦点の位置は、上述した光路操作部5の位置と略一致することが望ましい。
アナモルフィック光学系7は、複数の光入出力ポート1、2から入力された各光のビーム形状を楕円形状に整形する。具体的には、アナモルフィック光学系7は、一対のアナモルフィックプリズム7a、7b(すなわちアナモルフィックプリズムペア)によって構成され、光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間に配置される。アナモルフィック光学系7は、光入出力ポート1、2側から入力された各光のビーム形状を各光ファイバポート111〜115、121〜125の配列方向に垂直な方向(すなわちX軸方向)に対して拡大する機能を有する。また、アナモルフィック光学系7は、Z軸方向から見たときに光路が波長分散素子8の中央付近を通るように、光入出力ポート1、2側からの各光の光路を変位させる(図1参照)。このようなアナモルフィック光学系7の作用によって、光入出力ポート1、2側からの各光のビーム形状は、光路切替部5a、5bに集光される際、図3の破線部分に示されるように、X軸方向に縮小した幅W1の楕円形状に整形される。一方、アナモルフィック光学系7は、光路操作部5側から入力された光のビーム形状をX軸方向に対して縮小する機能を有する。
波長分散素子8は、複数の光入出力ポート1、2側から入力された各光を波長分散するものである。具体的には、波長分散素子8は、例えば透過型の回折格子等を用いて構成され、光入出力ポート1側からの光と光入出力ポート2側からの光との双方を所定の波長分散方向に波長分散する。ここで、波長分散素子8の波長分散方向は、波長分散素子8によって波長分散された各光の光路同士が角度をなす面の方向である。すなわち、図1において、この波長分散方向は、X軸方向と略平行であって、図2に示す各光ファイバポート111〜115、121〜125の配列方向に対して略垂直な方向である。このような波長分散素子8は、アナモルフィック光学系7と集光レンズ6との間に、入射した光がLCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の配列方向に波長分散を起こすように配置される。この場合、波長分散素子8の位置は、集光レンズ6の焦点の位置と略一致することが望ましい。また、波長分散素子8は、その中心部分で集光レンズ6の光軸6aと交差することが望ましく、例えば波長分散素子8を回折格子とした場合には、その溝が集光レンズ6の光軸6aと略垂直とするとよい。
上述したような構成を有する光スイッチ10では、例えば、一方の光ファイバポート群110において中央に配列された光ファイバポート113と、他方の光ファイバポート群120において中央に配列された光ファイバポート123とが、外部から光が入力される共通の光ファイバポート(Comポート)として設定されている。また、一方の光ファイバポート群110のうちの残り4つの光ファイバポート111、112、114、115と、他方の光ファイバポート群120のうちの残り4つの光ファイバポート121、122、124、125とが、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。
ここで、光スイッチ10は、一方の光入出力ポート1内の光ファイバポート113から所定の波長の信号光が入力された場合、同じ光入出力ポート1内の光ファイバポート111、112、114、115のうち、その波長を割り当てられた光ファイバポートから、その信号光を出力するように動作できる。また、光スイッチ10は、他方の光入出力ポート2内の光ファイバポート123から所定の波長の信号光が入力された場合、同じ光入出力ポート2内の光ファイバポート121、122、124、125のうち、その波長を割り当てられた光ファイバポートから、その信号光を出力するように動作できる。すなわち、この光スイッチ10は、光入出力ポート別に異なる1×4の光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1光スイッチとして機能する。
特に、ファイバポート113から入力された信号光が互いに波長が異なる4つの信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、光スイッチ10は、光ファイバポート111、112、114、115のうち各チャネルを割り当てられた光ファイバポートから、WDM信号光に含まれる各チャネルの信号光を出力するように動作できる。また、ファイバポート123から入力された信号光が互いに波長が異なる4つの信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、光スイッチ10は、光ファイバポート121、122、124、125のうち各チャネルを割り当てられた光ファイバポートから、WDM信号光に含まれる各チャネルの信号光を出力するように動作できる。この場合、光スイッチ10は、光入出力ポート別に異なる1×4の波長選択光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1波長選択光スイッチとして機能する。
つぎに、図1〜3を参照しつつ、光スイッチ10の動作について説明する。なお、以下では、光スイッチ10が備える2つの光入出力ポート1、2のうちの一方の光入出力ポート1側の光スイッチ動作を説明し、その後、他方の光入出力ポート2側の光スイッチ動作を説明するが、これら2つの光スイッチ動作は、互いに独立して行われる。すなわち、これら2つの光スイッチ動作は、光入出力ポート1と光入出力ポート2との間において順不同に行われる。
まず、外部から光ファイバポート113に波長λ1の信号光L1が入力されると、コリメータレンズ群116は、この入力された信号光L1を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。つぎに、アナモルフィック光学系7は、この略平行光である信号光L1のビーム形状をX軸方向に拡大して楕円形に整形する。ついで、波長分散素子8は、この整形後の信号光L1を波長λ1に応じた回折角で回折する。その後、集光レンズ6は、この回折された信号光L1を光路操作部5の光路切替部5a(詳細には図3に示すLCOS5a−1)に集光する。光路切替部5aの一構成部であるLCOS5a−1は、この集光された信号光L1を波長λ1に対応して設定された回折角で回折し、これによって、この信号光L1を波長λ1の信号光L2として出力(反射)する。集光レンズ6は、このように光路切替部5aから出力された信号光L2を光入出力ポート1に向けて通すとともに、その光路を信号光L1の光路と平行にする。なお、図1においては、光路切替前後の信号光L1と信号光L2との各光路は略重なっている。
つぎに、波長分散素子8は、集光レンズ6から入力した信号光L2を再び回折する。ついで、アナモルフィック光学系7は、信号光L2のビーム形状をX軸方向に縮小して略円形に戻すとともに、光入出力ポート1側へ信号光L2を通す。このようなアナモルフィック光学系7および波長分散素子8は、例えば図2に示すように、信号光L1の光路と信号光L2の光路との平行関係を維持している。その後、信号光L2は、コリメータレンズ群116のうち、波長λ1に割り当てられた光ファイバポート111に対応するコリメータレンズへ入力される。この対応するコリメータレンズは、信号光L2を集光して光ファイバポート111に結合させる。光ファイバポート111は、このように結合された光、すなわち波長λ1の信号光L2を外部に出力する。
以上のようにして、光スイッチ10は、光入出力ポート1側のComポートである光ファイバポート113から入力された信号光の光路を、その波長λ1に割り当てられた光ファイバポート111(同じ光入出力ポート1側の出力ポート)へ至る光路に切り替えることができる。
また、外部から光ファイバポート113に入力された信号光L1の波長がλ2、λ3、またはλ4であれば、信号光L1は、上述した波長λ1の場合と同様に、アナモルフィック光学系7等を通過した後、波長分散素子8によって、その波長(λ2、λ3、またはλ4)に応じた回折角で回折される。なお、波長λ1、λ2、λ3、λ4は互いに異なるものである。この回折後の信号光L1は集光レンズ6に到達する。集光レンズ6は、光路切替部5aのうち、この信号光L1の波長に対応するLCOS部分に向けて、この信号光L1を集光する。すなわち、集光レンズ6は、波長λ2の信号光L1をLCOS5a−2に集光し、または、波長λ3の信号光L1をLCOS5a−3に集光し、または、波長λ4の信号光L1をLCOS5a−4に集光する。LCOS5a−2は、波長λ2に対応して設定された回折角で信号光L1を回折して、この信号光L1の光路を波長λ2の信号光L3の光路に切り替える。または、LCOS5a−3は、波長λ3に対応して設定された回折角で信号光L1を回折して、この信号光L1の光路を波長λ3の信号光L4の光路に切り替える。または、LCOS5a−4は、波長λ4に対応して設定された回折角で信号光L1を回折して、この信号光L1の光路を波長λ4の信号光L5の光路に切り替える。
この光路切替後の信号光(すなわち信号光L3〜L5の何れか)は、上述した波長λ1の場合と同様に、集光レンズ6、波長分散素子8、アナモルフィック光学系7、およびコリメータレンズ群116を順次通過する。このコリメータレンズ通過後の信号光は、光ファイバポート群110のうち、その波長に対応する光ファイバポートから外部に出力される。すなわち、波長λ2の信号光L3は、波長λ2に割り当てられた光ファイバポート112から外部に出力され、波長λ3の信号光L4は、波長λ3に割り当てられた光ファイバポート114から外部に出力され、波長λ4の信号光L5は、波長λ4に割り当てられた光ファイバポート115から外部に出力される。
特に、外部から光ファイバポート113に入力された信号光L1が波長λ1、λ2、λ3、λ4の信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、このWDM信号光の光路は、上述した波長λ1〜λ4の各信号光の場合と同様に、波長λ1の信号光L2の光路と、波長λ2の信号光L3の光路と、波長λ3の信号光L4の光路と、波長λ4の信号光L5の光路とに切り替えられる。その後、このWDM信号光由来の各信号光L2〜L5は、各波長λ1、λ2、λ3、λ4に割り当てられた光ファイバポート111、112、114、115の各々から外部に出力される。このようにして、光スイッチ10は、光入出力ポート1について、波長別に選択された所望の光路の切り替えを実現することができる。
一方、光入出力ポート2についても、上述した光入出力ポート1の場合と略同様な光スイッチ動作が行われる。すなわち、光入出力ポート2の光ファイバポート123へ外部から波長λ11の信号光L11が入力されると、コリメータレンズ群126は、この入力された信号光L11を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。つぎに、アナモルフィック光学系7は、この略平行光である信号光L11のビーム形状をX軸方向に拡大して楕円形に整形する。ついで、波長分散素子8は、この整形後の信号光L11を波長λ11に応じた回折角で回折する。その後、集光レンズ6は、この回折された信号光L11を光路操作部5の光路切替部5b(詳細には図3に示すLCOS5b−1)に集光する。光路切替部5bの一構成部であるLCOS5b−1は、この集光された信号光L11を波長λ11に対応して設定された回折角で回折し、これによって、この信号光L11を波長λ11の信号光L12として出力(反射)する。集光レンズ6は、このように光路切替部5bから出力された信号光L12を光入出力ポート2に向けて通すとともに、その光路を信号光L11の光路と平行にする。なお、図1においては、光路切替前後の信号光L11と信号光L12との各光路は略重なっている。
つぎに、波長分散素子8は、集光レンズ6から入力した信号光L12を再び回折する。ついで、アナモルフィック光学系7は、信号光L12のビーム形状をX軸方向に縮小して略円形に戻すとともに、光入出力ポート2側へ信号光L12を通す。このようなアナモルフィック光学系7および波長分散素子8は、例えば図2に示すように、信号光L11の光路と信号光L12の光路との平行関係を維持している。その後、信号光L12は、コリメータレンズ群126のうち、波長λ11に割り当てられた光ファイバポート121に対応するコリメータレンズへ入力される。この対応するコリメータレンズは、信号光L12を集光して光ファイバポート121に結合させる。光ファイバポート121は、このように結合された光、すなわち波長λ11の信号光L12を外部に出力する。
以上のようにして、光スイッチ10は、光入出力ポート2側のComポートである光ファイバポート123から入力された信号光の光路を、その波長λ11に割り当てられた光ファイバポート121(同じ光入出力ポート2側の出力ポート)へ至る光路に切り替えることができる。
また、外部から光ファイバポート123に入力された信号光L11の波長がλ12、λ13、またはλ14であれば、信号光L11は、上述した波長λ11の場合と同様に、アナモルフィック光学系7等を通過した後、波長分散素子8によって、その波長(λ12、λ13、またはλ14)に応じた回折角で回折される。なお、波長λ11、λ12、λ13、λ14は互いに異なるものである。この回折後の信号光L11は集光レンズ6に到達する。集光レンズ6は、光路切替部5bのうち、この信号光L11の波長に対応するLCOS部分に向けて、この信号光L11を集光する。すなわち、集光レンズ6は、波長λ12の信号光L11をLCOS5b−2に集光し、波長λ13の信号光L11をLCOS5b−3に集光し、または、波長λ14の信号光L11をLCOS5b−4に集光する。LCOS5b−2は、波長λ12に対応して設定された回折角で信号光L11を回折して、この信号光L11の光路を波長λ12の信号光L13の光路に切り替える。または、LCOS5b−3は、波長λ13に対応して設定された回折角で信号光L11を回折して、この信号光L11の光路を波長λ13の信号光L14の光路に切り替える。または、LCOS5b−4は、波長λ14に対応して設定された回折角で信号光L11を回折して、この信号光L11の光路を波長λ14の信号光L15の光路に切り替える。
この光路切替後の信号光(すなわち信号光L13〜L15の何れか)は、上述した波長λ11の場合と同様に、集光レンズ6、波長分散素子8、アナモルフィック光学系7、およびコリメータレンズ群126を順次通過する。このコリメータレンズ通過後の信号光は、光ファイバポート群120のうち、その波長に対応する光ファイバポートから外部に出力される。すなわち、波長λ12の信号光L13は、波長λ12に割り当てられた光ファイバポート122から外部に出力され、波長λ13の信号光L14は、波長λ13に割り当てられた光ファイバポート124から外部に出力され、波長λ14の信号光L15は、波長λ14に割り当てられた光ファイバポート125から外部に出力される。
特に、外部から光ファイバポート123に入力された信号光L11が波長λ11、λ12、λ13、λ14の信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、このWDM信号光の光路は、上述した波長λ11〜λ14の各信号光の場合と同様に、波長λ11の信号光L12の光路と、波長λ12の信号光L13の光路と、波長λ13の信号光L14の光路と、波長λ14の信号光L15の光路とに切り替えられる。その後、このWDM信号光由来の各信号光L12〜L15は、各波長λ11、λ12、λ13、λ14に割り当てられた光ファイバポート121、122、124、125の各々から外部に出力される。このようにして、光スイッチ10は、光入出力ポート2について、波長別に選択された所望の光路の切り替えを実現することができる。
なお、上述した光路切替部5a、5bを各々構成する各LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4(図3参照)は、以下のような公知の構成を有する。すなわち、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各々は、例えば、液晶駆動回路が形成されたシリコン基板上に、反射率が略100%の反射層である画素電極群と、空間光変調層である液晶層と、配向膜と、ITO(Indium Tin Oxide)電極と、カバーガラスとを順次積層した構成を有する。この画素電極群は、光ファイバポート群110、120の配列方向であるZ軸方向に多数の画素電極を配列して構成されている。したがって、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各々に入射する信号光のビーム形状(図3の破線部分参照)がZ軸方向に長くなるように、集光レンズ6と光路操作部5との位置関係を設定することが好ましい。これによって、この信号光の回折に寄与する画素電極の数をより多くできるので、より回折効率を大きくすることができる。また、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各画素幅を小さくすることによって、隣接画素間の位相差を縮小することができ、これによって、LCOS毎の回折角の広がりを抑制することができる。
つぎに、上述した光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間における光路について説明する。まず、図1を参照しつつ、光ファイバポート群110、120の配列方向(以下、ポート配列方向という)、すなわちZ軸方向から見た光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の光路について説明する。
複数の光入出力ポート1、2に対して入出力される各信号光L1〜L5、L11〜L15の光路(以下、入出力光路という)は、Z軸方向から見て、図1の実線矢印および破線矢印に示されるような光路となる。以下、図1を参照して説明する入出力光路は、Z軸方向から見たものである。
図1に示すように、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、Z軸方向から見て略重なっている。一方、波長分散素子8と集光レンズ6との間において、これら各入出力光路は、X軸方向、すなわち波長分散素子8の波長分散方向に所定の角度をなして互いに非平行になる。ここで、これら各入出力光路は、図1に示すように、波長分散素子8の略中央部分と交差する。また、波長分散素子8と集光レンズ6との間の各入出力光路は、集光レンズ6の光軸6aを中心に略線対称の位置関係にある。
つぎに、図2を参照しつつ、光ファイバポート群110、120のポート配列方向に垂直な方向、すなわちX軸方向から見た光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。以下、図2を参照して説明する入出力光路は、X軸方向から見たものである。
図2の実線矢印および破線矢印に示されるように、集光レンズ6に対する複数の光入出力ポート1、2側の各光入出力光路は、光ファイバポート群110、120のポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)から見て、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート間で平行であり、且つ、異なる光ファイバポート群同士の各光ファイバポート間で非平行である。すなわち、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、一方の光ファイバポート群110内の各光ファイバポート111〜115間において平行であり、また、他方の光ファイバポート群120内の各光ファイバポート121〜125間において平行である。さらに、これら各入出力光路は、異なる光ファイバポート群110、120同士の各光ファイバポート111〜115と各光ファイバポート121〜125との間において非平行である。
また、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、図2に示すように、光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の領域において、アナモルフィック光学系7および波長分散素子8からZ軸方向の光学的な影響を大きくは受けない。すなわち、この領域内において、光入出力ポート1、2の各入出力光路上の信号光L1〜L5、L11〜L15は、アナモルフィック光学系7または波長分散素子8によってZ軸方向に屈折または回折されることが殆どない。
さらには、光入出力ポート1、2の各入出力光路のうち、光ファイバポート群110に対応する入出力光路と光ファイバポート群120に対応する入出力光路とは、図2に示すように、光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の空間において互いに交差する。具体的には、複数の光入出力ポート1、2のうちの互いに異なる2つの光ファイバポート群110、120の各々から入力される各光の光路は、集光レンズ6の焦点近傍において互いに交差する。なお、本実施の形態1において、この集光レンズ6の焦点近傍には波長分散素子8が配置されている。すなわち、これら各光の光路は、図2に示すように、波長分散素子8の近傍において互いに交差する。
以上のような各入出力光路を形成する2つの光入出力ポート1、2同士の相対的な配置は、各入出力光路の交差位置や光路操作部5における結像点間の分離距離d(図3参照)等を考慮して、設定される。具体的には図2に示すように、光入出力ポート1、2は、コリメータレンズ群116、126の各光軸と集光レンズ6の光軸6aとが光入出力ポート1、2と光路操作部5との間において交差するように、この光軸6aに向けて傾斜する。この場合、光入出力ポート1、2の各光ファイバポート群110、120同士は、互いに非平行であって、Z軸方向に平行な面内で所定の角度θ1をなす。この光ファイバポート群110、120同士のなす角度θ1は、光入出力ポート1、2と集光レンズ6と光路操作部5との各相対位置関係を考慮しつつ分離距離dが所定値以上になるように、設定される。この角度θ1の調整によって、分離距離dは、光路操作部5に入力される光ファイバポート群110からの光と光ファイバポート群120からの光との干渉を防止するに十分な距離に、設定される。
特に、光ファイバポート群110、120が集光レンズ6の光軸6aを中心にして互いに線対称に配置された場合、光ファイバポート群110、120の各々は、この光軸6aに対して非平行であり且つ所定の角度(以下、オフセット角という)をなす。この場合、オフセット角θは、光ファイバポート群110、120同士のなす角度θ1(図2参照)の1/2倍である。このようなオフセット角θと集光レンズ6の焦点距離fとを用いて、上述した結像点間の分離距離dは、次式(1)によって表される。
d=2×f×tanθ ・・・(1)
すなわち、オフセット角θは、この式(1)に基づく次式(2)を満足するように設定されればよい。
θ=arctan{d/(2×f)} ・・・(2)
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、互いに異なる2つの光入出力ポートの各々に、光を入力または出力する光ファイバポート群を設けて、光入出力ポート別に光ファイバポート群をグループ分けし、一方の光入出力ポートの光ファイバポート群に対応する光路切替部と、他方の光入出力ポートの光ファイバポート群に対応する光路切替部と光路操作部に設け、これら2つの光路切替部によって各光入出力ポート別に、光ファイバポート群内の入力ポートから入力した光の光路を同じ光ファイバポート群内の出力ポートに向かう光路に切り替え、光入出力ポート側から入力された光を光ファイバポート群別に分けて光路切替部に集光する集光レンズによって、これら2つの光入出力ポートと光路操作部とを光学的に結合するように構成している。また、互いに異なる光ファイバポート群のポート配列方向に垂直な方向から見て、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート同士を互いに平行にし、且つ、異なる光ファイバポート群間の各光ファイバポート同士を互いに非平行にするように構成して、集光レンズに対する2つの光入出力ポート側の各入出力光路を、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート間で平行にし、且つ、異なる光ファイバポート群同士の各光ファイバポート間で非平行にしている。
このため、光入出力ポートと光路操作部との間に形成される各光路が占める空間を必要最小限に抑えることができ、これによって、各光スイッチ機能に共用する各種光学部品の大型化を抑制できる。また、上述した光路操作部および集光レンズを始め、アナモルフィック光学系や波長分散素子等、1つの光スイッチ機能(波長選択光スイッチ機能を含む)に必要な各種光学部品を、一方の光入出力ポート側の光スイッチ機能と他方の光入出力ポート側の光スイッチ機能とに共用できる。これによって、必要な光学部品点数の増加を抑制でき、特に、2in1波長選択スイッチを構成する場合であっても、特殊な光学特性を有する特殊形状の光学部品を用いる必要がない。以上の結果、光スイッチの装置規模の大型化およびコスト増を抑制できるとともに、簡易な光スイッチ構成によって光入出力のポート数(例えば光ファイバポート数)を増大させることができる。
また、本発明の実施の形態1では、互いに異なる2つの光入出力ポートを集光レンズの光軸に向けて傾斜させている。このため、これら2つの光入出力ポートの各光軸と集光レンズの光軸とが各々なす角度を調整することによって、光入出力ポートと光路操作部との間における各光路が占める空間を容易に低減でき、この結果、光スイッチの装置規模の小型化およびコスト減を促進できる。
さらに、集光レンズの焦点近傍において、互いに異なる2つの光ファイバポート群の各々から入力される各光の光路を交差させているので、より容易に集光レンズの大型化を抑制できる。また、この焦点近傍に波長分散素子を配置することによって、各光ファイバポート群から波長分散素子に入力される各光のスポットを波長分散素子の所定の中心軸(Z軸に平行な中心軸)上に位置させ易くなる。この結果、光路操作部に入射する波長分散後の光のスポット位置を安定させることができ、これによって、光路操作部の大型化を抑制できる。以上のことから、光スイッチの装置規模の大型化およびコスト増を一層抑制できる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、一対のアナモルフィックプリズム7a、7b、すなわちアナモルフィックプリズムペアによってアナモルフィック光学系7を構成していたが、本実施の形態2では、複数のシリンドリカルレンズによってアナモルフィック光学系を構成している。
まず、本発明の実施の形態2にかかる光スイッチの構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態2にかかる光スイッチの一構成例を示す模式図である。図4には、本実施の形態2にかかる光スイッチをXYZ座標系のZ軸方向正の向きから見たものが図示されている。図5は、図4に示す光スイッチをXYZ座標系のX軸方向正の向きから見た図である。図4、5に示すように、本実施の形態2にかかる光スイッチ20は、上述した実施の形態1にかかる光スイッチ10の集光レンズ6およびアナモルフィック光学系7に代えてシリンドリカルレンズ26〜28を備える。また、光スイッチ20における光入出力ポート1、2は、Z軸方向から見て、シリンドリカルレンズ26の光軸26aに略平行な面内に配置される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
シリンドリカルレンズ26は、複数の光入出力ポート1、2側から入力された光を光ファイバポート群110、120別に複数の光路切替部5a、5bに集光し、複数の光路切替部5a、5b側から入力された光を光ファイバポート群110、120別に複数の光入出力ポート1、2に光学的に結合し、これによって、複数の光入出力ポート1、2と光路操作部5とを光学的に結合する集光レンズとして機能する。具体的には、シリンドリカルレンズ26は、Z軸方向のみに集光特性を有し、光入出力ポート1、2と波長分散素子8との間に配置される。シリンドリカルレンズ26は、光ファイバポート群110からの光を一方の光路切替部5aに集光し、光ファイバポート群120からの光を他方の光路切替部5bに集光する。この場合、シリンドリカルレンズ26は、図5に示すように、Z軸方向(すなわちポート配列方向)に平行な面内において集光する。一方、シリンドリカルレンズ26は、図4に示すように、X軸方向に平行な面内において集光しない。なお、このようなシリンドリカルレンズ26の焦点の位置は、光路操作部5の位置と略一致することが望ましい。
シリンドリカルレンズ27、28は、双方ともX軸方向のみに集光特性を有する。シリンドリカルレンズ27は、複数の光入出力ポート1、2とシリンドリカルレンズ26との間に配置され、これら複数の光入力ポート1、2から入力された各光を、ポート配列方向(Z軸方向)に垂直な面内において集光する。一方、シリンドリカルレンズ28は、波長分散素子8と光路操作部5との間に配置され、シリンドリカルレンズ26側から(具体的には波長分散素子8から)入力された各光を、光路操作部5に向けてポート配列方向に垂直な面内において集光する。なお、これら2つのシリンドリカルレンズ27、28の双方とも、X軸方向に垂直な面内において集光しない。
ここで、上述した3つのシリンドリカルレンズ26、27、28によって、複数の光入出力ポート1、2から入力された各光のビーム形状を楕円形状に整形するアナモルフィック光学系を構成する。このようなシリンドリカルレンズ26〜28によるアナモルフィック光学系は、光入出力ポート1、2からの各光のビーム形状をポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)に対して縮小する機能を有する。また、このシリンドリカルレンズ26〜28によるアナモルフィック光学系は、光路操作部5側から入力された光のビーム形状をX軸方向に対して拡大する機能を有する。なお、シリンドリカルレンズ26は、単一の光軸26aを有する。シリンドリカルレンズ27、28の各々は、その光軸をシリンドリカルレンズ26の光軸26aと略一致させるように配置されることが望ましい。
上述した構成を有する光スイッチ20では、実施の形態1にかかる光スイッチ10と同様に、光ファイバポート群110の光ファイバポート113と光ファイバポート群120の光ファイバポート123とが、外部から光が入力されるComポートとして設定されている。また、光ファイバポート群110のうちの残り4つの光ファイバポート111、112、114、115と、光ファイバポート群120のうちの残り4つの光ファイバポート121、122、124、125とが、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。このような光スイッチ20は、実施の形態1の場合と同様に、一方の光入出力ポート1側の光スイッチ動作と、他方の光入出力ポート2側の光スイッチ動作とを行える。すなわち、光スイッチ20は、光入出力ポート別に異なる1×4の光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1光スイッチとして機能する。
特に、ファイバポート113から入力された信号光が互いに波長が異なる4つの信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、光スイッチ20は、実施の形態1の場合と同様に、一方の光入出力ポート1側の波長選択光スイッチ動作と、他方の光入出力ポート2側の波長選択光スイッチ動作とを行える。この場合、光スイッチ20は、光入出力ポート別に異なる1×4の波長選択光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1波長選択光スイッチとして機能する。
つぎに、図4、5を参照しつつ、光スイッチ20の動作について説明する。なお、以下では、光スイッチ20が備える2つの光入出力ポート1、2のうちの一方の光入出力ポート1側の光スイッチ動作を説明し、その後、他方の光入出力ポート2側の光スイッチ動作を説明するが、これら2つの光スイッチ動作は、互いに独立して行われる。すなわち、これら2つの光スイッチ動作は、光入出力ポート1と光入出力ポート2との間において順不同に行われる。
まず、外部から光ファイバポート113に波長λ1の信号光L1が入力されると、コリメータレンズ群116は、この入力された信号光L1を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。つぎに、シリンドリカルレンズ27は、この略平行光である信号光L1のビーム形状をX軸方向に拡大する。ついで、シリンドリカルレンズ26は、このシリンドリカルレンズ27からの信号光L1を、実施の形態1における集光レンズ6と同様に光路操作部5の光路切替部5aに向けて集光する。続いて、波長分散素子8は、このシリンドリカルレンズ26からの信号光L1を波長λ1に応じた回折角で回折する。その後、シリンドリカルレンズ28は、この回折された信号光L1のビーム形状をX軸方向に縮小しつつ、光路切替部5aに向けて、この信号光L1を集光する。ここで、この光路切替部5aに入射する信号光L1のビーム形状は、3つのシリンドリカルレンズ26〜28の作用によって、実施の形態1の場合と同様に楕円形状に整形されている。光路操作部5は、実施の形態1の場合と同様に、光路切替部5aの作用によって、この信号光L1を波長λ1の信号光L2として出力(反射)する。シリンドリカルレンズ28は、この光路切替部5aからの信号光L2のビーム形状をX軸方向に拡大しつつ、波長分散素子8に向けて、この信号光L2をシリンドリカルレンズ26の光軸26aに近づけるように集光する。なお、図4においては、光路切替前後の信号光L1と信号光L2との各光路は略重なっている。
つぎに、波長分散素子8は、シリンドリカルレンズ28から入力した信号光L2を再び回折する。ついで、シリンドリカルレンズ26は、この回折された信号光L2を光入出力ポート1に向けて通すとともに、その光路を信号光L1の光路と平行にする。その後、シリンドリカルレンズ27は、シリンドリカルレンズ26からの信号光L2のビーム形状をX軸方向に縮小しつつ、この信号光L2を光入出力ポート1に向けて出力する。この場合、シリンドリカルレンズ27は、図5に示すように、信号光L1の光路と信号光L2の光路との平行関係を維持している。ここで、この光入出力ポート1に入射する信号光L2のビーム形状は、3つのシリンドリカルレンズ26〜28の作用によって、実施の形態1の場合と同様に楕円形状から略円形に戻っている。その後、信号光L2は、実施の形態1の場合と同様に、コリメータレンズ群116を通過して、波長λ1に割り当てられた光ファイバポート111に結合され、光ファイバポート111から外部に出力される。
以上のようにして、光スイッチ20は、光入出力ポート1側のComポートである光ファイバポート113から入力された信号光の光路を、その波長λ1に割り当てられた光ファイバポート111(同じ光入出力ポート1側の出力ポート)へ至る光路に切り替えることができる。
また、外部から光ファイバポート113に入力された信号光L1の波長がλ2、λ3、またはλ4であれば、信号光L1は、上述した波長λ1の場合と同様に、シリンドリカルレンズ27等を通過した後、シリンドリカルレンズ26に到達する。シリンドリカルレンズ26は、光路切替部5aのうち、この信号光L1の波長に対応するLCOS部分に向けて信号光L1を集光しつつ、波長分散素子8に信号光L1を入力する。波長分散素子8は、この信号光L1の波長(λ2、λ3、またはλ4)に応じた回折角で信号光L1を回折する。この回折後の信号光L1は、シリンドリカルレンズ28を通過して、光路操作部5に到達する。光路操作部5は、実施の形態1の場合と同様に、光路切替部5aのうちの信号光L1の波長に対応するLCOS部分の作用によって、光路を操作する。すなわち、光路切替部5aは、上述したように、波長λ2の信号光L1の光路を波長λ2の信号光L3の光路に切り替え、または、波長λ3の信号光L1の光路を波長λ3の信号光L4の光路に切り替え、または、波長λ4の信号光L1の光路を波長λ4の信号光L5の光路に切り替える。
この光路切替後の信号光(すなわち信号光L3〜L5の何れか)は、上述した波長λ1の場合と同様に、シリンドリカルレンズ28、波長分散素子8、シリンドリカルレンズ26、シリンドリカルレンズ27、およびコリメータレンズ群116を順次通過する。その後、波長λ2の信号光L3は、波長λ2に割り当てられた光ファイバポート112から外部に出力され、波長λ3の信号光L4は、波長λ3に割り当てられた光ファイバポート114から外部に出力され、波長λ4の信号光L5は、波長λ4に割り当てられた光ファイバポート115から外部に出力される。
特に、外部から光ファイバポート113に入力された信号光L1が波長λ1、λ2、λ3、λ4の信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、このWDM信号光の光路は、上述した波長λ1〜λ4の各信号光の場合と同様に、波長λ1の信号光L2の光路と、波長λ2の信号光L3の光路と、波長λ3の信号光L4の光路と、波長λ4の信号光L5の光路とに切り替えられる。その後、このWDM信号光由来の各信号光L2〜L5は、各波長λ1、λ2、λ3、λ4に割り当てられた光ファイバポート111、112、114、115の各々から外部に出力される。このようにして、光スイッチ20は、光入出力ポート1について、波長別に選択された所望の光路の切り替えを実現することができる。
一方、光入出力ポート2についても、上述した光入出力ポート1の場合と略同様な光スイッチ動作が行われる。すなわち、外部から光ファイバポート123に波長λ11の信号光L11が入力されると、コリメータレンズ群126は、この入力された信号光L11を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。つぎに、シリンドリカルレンズ27は、この略平行光である信号光L11のビーム形状をX軸方向に拡大する。ついで、シリンドリカルレンズ26は、このシリンドリカルレンズ27からの信号光L11を、実施の形態1における集光レンズ6と同様に光路操作部5の光路切替部5bに向けて集光する。続いて、波長分散素子8は、このシリンドリカルレンズ26からの信号光L11を波長λ11に応じた回折角で回折する。その後、シリンドリカルレンズ28は、この回折された信号光L11のビーム形状をX軸方向に縮小しつつ、光路切替部5bに向けて、この信号光L11を集光する。ここで、この光路切替部5bに入射する信号光L11のビーム形状は、3つのシリンドリカルレンズ26〜28の作用によって、実施の形態1の場合と同様に楕円形状に整形されている。なお、共焦点光学系の場合、像倍率mは2つのレンズの焦点距離の比によって決定される。このため、シリンドリカルレンズ28の焦点距離よりもシリンドリカルレンズ27の焦点距離を長くすることによって、X軸方向のビームの縮小が可能となる。光路操作部5は、実施の形態1の場合と同様に、光路切替部5bの作用によって、この信号光L11を波長λ11の信号光L12として出力する。シリンドリカルレンズ28は、この光路切替部5bからの信号光L12のビーム形状をX軸方向に拡大しつつ、波長分散素子8に向けて、この信号光L12をシリンドリカルレンズ26の光軸26aに近づけるように集光する。なお、図4においては、光路切替前後の信号光L11と信号光L12との各光路は略重なっている。
つぎに、波長分散素子8は、シリンドリカルレンズ28から入力した信号光L12を再び回折する。ついで、シリンドリカルレンズ26は、この回折された信号光L12を光入出力ポート2に向けて通すとともに、その光路を信号光L11の光路と平行にする。その後、シリンドリカルレンズ27は、シリンドリカルレンズ26からの信号光L12のビーム形状をX軸方向に縮小しつつ、この信号光L12を光入出力ポート2に向けて出力する。この場合、シリンドリカルレンズ27は、図5に示すように、信号光L11の光路と信号光L12の光路との平行関係を維持している。ここで、この光入出力ポート2に入射する信号光L12のビーム形状は、3つのシリンドリカルレンズ26〜28の作用によって、実施の形態1の場合と同様に楕円形状から略円形に戻っている。その後、信号光L12は、実施の形態1の場合と同様に、コリメータレンズ群126を通過して、波長λ11に割り当てられた光ファイバポート121に結合され、光ファイバポート121から外部に出力される。
以上のようにして、光スイッチ20は、光入出力ポート2側のComポートである光ファイバポート123から入力された信号光の光路を、その波長λ11に割り当てられた光ファイバポート121(同じ光入出力ポート2側の出力ポート)へ至る光路に切り替えることができる。
また、外部から光ファイバポート123に入力された信号光L11の波長がλ2、λ3、またはλ4であれば、信号光L11は、上述した波長λ11の場合と同様に、シリンドリカルレンズ27等を通過した後、シリンドリカルレンズ26に到達する。シリンドリカルレンズ26は、光路切替部5bのうち、この信号光L11の波長に対応するLCOS部分に向けて信号光L11を集光しつつ、波長分散素子8に信号光L11を入力する。波長分散素子8は、この信号光L11の波長(λ12、λ13、またはλ14)に応じた回折角で信号光L11を回折する。この回折後の信号光L11は、シリンドリカルレンズ28を通過して、光路操作部5に到達する。光路操作部5は、実施の形態1の場合と同様に、光路切替部5bのうちの信号光L11の波長に対応するLCOS部分の作用によって、光路を操作する。すなわち、光路切替部5bは、上述したように、波長λ12の信号光L11の光路を波長λ12の信号光L13の光路に切り替え、または、波長λ13の信号光L11の光路を波長λ13の信号光L14の光路に切り替え、または、波長λ14の信号光L11の光路を波長λ14の信号光L15の光路に切り替える。
この光路切替後の信号光(すなわち信号光L13〜L15の何れか)は、上述した波長λ11の場合と同様に、シリンドリカルレンズ28、波長分散素子8、シリンドリカルレンズ26、シリンドリカルレンズ27、およびコリメータレンズ群126を順次通過する。その後、波長λ12の信号光L13は、波長λ12に割り当てられた光ファイバポート122から外部に出力され、波長λ13の信号光L14は、波長λ13に割り当てられた光ファイバポート124から外部に出力され、波長λ14の信号光L15は、波長λ14に割り当てられた光ファイバポート125から外部に出力される。
特に、外部から光ファイバポート123に入力された信号光L11が波長λ11、λ12、λ13、λ14の信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、このWDM信号光の光路は、上述した波長λ1〜λ4の各信号光の場合と同様に、波長λ11の信号光L12の光路と、波長λ12の信号光L13の光路と、波長λ13の信号光L14の光路と、波長λ14の信号光L15の光路とに切り替えられる。その後、このWDM信号光由来の各信号光L12〜L15は、各波長λ11、λ12、λ13、λ14に割り当てられた光ファイバポート121、122、124、125の各々から外部に出力される。このようにして、光スイッチ20は、光入出力ポート2について、波長別に選択された所望の光路の切り替えを実現することができる。
つぎに、上述した光入出力ポート1、2と、実施の形態1における集光レンズ6と略同様に機能するシリンドリカルレンズ26との間における光路について説明する。まず、図4を参照しつつ、ポート配列方向、すなわちZ軸方向から見た光入出力ポート1、2とシリンドリカルレンズ26との間の光路について説明する。以下、図4を参照して説明する入出力光路は、Z軸方向から見たものである。
図4の実線矢印および破線矢印に示されるように、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、光入出力ポート1、2とシリンドリカルレンズ26との間において略重なっており、例えば、シリンドリカルレンズ26の光軸26aと略平行である。
つぎに、図5を参照しつつ、光ファイバポート群110、120のポート配列方向に垂直な方向、すなわちX軸方向から見た光入出力ポート1、2とシリンドリカルレンズ26との間の入出力光路について説明する。以下、図5を参照して説明する入出力光路は、X軸方向から見たものである。
図5の実線矢印および破線矢印に示されるように、シリンドリカルレンズ26に対する複数の光入出力ポート1、2側の各光入出力光路は、光ファイバポート群110、120のポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)から見て、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート間で平行であり、且つ、異なる光ファイバポート群同士の各光ファイバポート間で非平行である。すなわち、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、一方の光ファイバポート群110内の各光ファイバポート111〜115間において平行であり、また、他方の光ファイバポート群120内の各光ファイバポート121〜125間において平行である。さらに、これら各入出力光路は、異なる光ファイバポート群110、120同士の各光ファイバポート111〜115と各光ファイバポート121〜125との間において非平行である。
また、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、図5に示すように、光入出力ポート1、2とシリンドリカルレンズ26との間の領域において、アナモルフィック光学系の一構成部であるシリンドリカルレンズ27からZ軸方向の光学的な影響を大きくは受けない。すなわち、この領域内において、光入出力ポート1、2の各入出力光路上の信号光L1〜L5、L11〜L15は、シリンドリカルレンズ27によってZ軸方向に屈折されることが殆どない。
さらには、光入出力ポート1、2の各入出力光路のうち、光ファイバポート群110に対応する入出力光路と光ファイバポート群120に対応する入出力光路とは、図5に示すように、光入出力ポート1、2とシリンドリカルレンズ26との間の空間において互いに交差する。具体的には、複数の光入出力ポート1、2のうちの互いに異なる2つの光ファイバポート群110、120の各々から入力される各光の光路は、シリンドリカルレンズ26の焦点近傍において互いに交差する。
上述したような各入出力光路を形成する2つの光入出力ポート1、2同士の相対的な配置は、実施の形態1の場合と同様に、各入出力光路の交差位置や光路操作部5における結像点間の分離距離d(図3参照)等を考慮して、設定される。この場合、ポート配列方向のみに集光特性を有するシリンドリカルレンズ26は、実施の形態1における集光レンズ6と略同様の集光レンズとして考慮される。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、ポート配列方向に集光特性を有するシリンドリカルレンズと、ポート配列方向に垂直な方向(例えば上述した波長分散方向)に集光特性を有するシリンドリカルレンズとを複数組み合わせて、光のビーム形状を楕円形状に整形するアナモルフィック光学系を構成し、このアナモルフィック光学系のうちのポート配列方向に集光特性を有するシリンドリカルレンズによって、複数の光入出力ポート側から入力された光を光ファイバポート群別に複数の光路切替部に集光して、これら複数の光入出力ポートと光路操作部とを光学的に結合するように構成し、その他を実施の形態1と同様に構成している。このため、アナモルフィック光学系を構成するシリンドリカルレンズの大型化および部品点数を抑制できるとともに、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受する光スイッチを、シリンドリカルレンズによるアナモルフィック光学系を用いて容易に構成することができる。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1、2では、ポート配列方向に平行な同一面内に光入出力ポート1、2を配置していたが、本実施の形態3では、ポート配列方向に平行な異なる面内に光入出力ポート1、2を配置している。
図6は、本発明の実施の形態3にかかる光スイッチの一構成例を示す模式図である。図6には、本実施の形態3にかかる光スイッチをXYZ座標系のZ軸方向正の向きから見たものが図示されている。図7は、図6に示す光スイッチをXYZ座標系のX軸方向正の向きから見た図である。図6、7に示すように、本実施の形態3にかかる光スイッチ30の光入出力ポート1、2は、上述した実施の形態1、2に例示された1列配置の代わりに、ポート配列方向(すなわちZ軸方向)に沿って2列に配置されている。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
本実施の形態3において、光入出力ポート1、2は、図6、7に示すように、Z軸方向に沿って、2列に配置される。この場合、光入出力ポート1、2は、図6に示すように、Z軸方向から見て、互いに非平行である。すなわち、光入出力ポート1の光ファイバポート群110と光入出力ポート2の光ファイバポート群120とは、Z軸方向から見て、互いに非平行であって所定の角度θ2をなす(図6参照)。このような互いに異なる光ファイバポート群110、120間において、光ファイバポート111〜115と光ファイバポート121〜125とは、Z軸方向に垂直な面内(例えばXY平面内)で角度θ2をなす。また、光入出力ポート1、2は、図6に示すように、集光レンズ6の光軸6aに対し、Z軸方向から見て非平行であって各々所定の角度をなす。一方、これら2つの光入出力ポート1、2は、ポート配列方向に垂直な方向(すなわちX軸方向)に沿って配置される。例えば、図7に示すように、光入出力ポート1、2のうち、光ファイバポート群110、120の一部は、X軸方向に重なるように配列される。
なお、本実施の形態3における光入出力ポート1、2の配置は、上述した2列配置以外、実施の形態1の場合と同様である。例えば、光ファイバポート群110、120内の各光ファイバポート111〜115、121〜125は、X軸方向から見て、同じポート群内において互いに平行であり、且つ、異なるポート群間において互いに非平行であってZ軸方向に平行な面内で角度θ1をなす。
つぎに、本実施の形態3における光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。まず、図6を参照しつつ、ポート配列方向(すなわちZ軸方向)から見た光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。
光入出力ポート1、2の各入出力光路は、Z軸方向から見て、図6の実線矢印および破線矢印に示されるような光路となる。すなわち、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、光入出力ポート1、2とアナモルフィックプリズム7aとの間において、互いに非平行であって角度θ2をなす。また、これら各入出力光路は、光入出力ポート1、2側から波長分散素子8側に向けてアナモルフィックプリズム7a、7bを通過する毎に角度θ2を小さくする。例えば、アナモルフィックプリズム7a、7b間における各入出力光路のなす角度は、アナモルフィックプリズム7aの像倍率mによって角度θ2を除した値(=(θ2)/m)になる。このように、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、互いになす角度θ2を小さくしつつ波長分散素子8に至る。なお、アナモルフィックプリズム7bと波長分散素子8との間において、これら各入出力光路のなす角度θ2は、略零値に近似する。また、これらの各入出力光路は、上述した実施の形態1の場合と略同様に、波長分散素子8の略中央部分と交差する。
なお、本実施の形態3におけるZ軸方向から見た光入出力ポート1、2の各入出力光路は、波長分散素子8と集光レンズ6との間において、実施の形態1の場合と同様である。また、光入出力ポート1、2およびアナモルフィックプリズム7a、7bは、各入出力光路が波長分散素子8において互いに交差するように、相対位置関係(例えばアナモルフィックプリズム7aに対する光の入射位置および入射角度等)を設定される。一方、集光レンズ6と光路操作部5との間において、各入出力光路は、各々互いにずれた経路を辿る。このため、これら各入出力光路の光が光路操作部5の光路切替部5a、5bに集光される際、その各集光位置はX軸方向に若干(例えば数ピクセル程度)ずれる。
つぎに、図7を参照しつつ、ポート配列方向に垂直な方向、すなわちX軸方向から見た光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。以下、図7を参照して説明する入出力光路は、X軸方向から見たものである。
図7の実線矢印および破線矢印に示されるように、実施の形態3における集光レンズ6に対する複数の光入出力ポート1、2側の各光入出力光路は、実施の形態1の場合と同様に、X軸方向から見て、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート間で平行であり、且つ、異なる光ファイバポート群同士の各光ファイバポート間で非平行である。また、これら光入出力ポート1、2の各入出力光路は、図7に示すように、光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の領域において、実施の形態1の場合と同様に、アナモルフィック光学系7および波長分散素子8からZ軸方向の光学的な影響を大きくは受けない。さらには、これら光入出力ポート1、2の各入出力光路のうち、光ファイバポート群110に対応する入出力光路と光ファイバポート群120に対応する入出力光路とは、実施の形態1の場合と略同様に、光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間の空間において互いに交差する。
ここで、本実施の形態3における光入出力ポート1、2は、上述したように、Z軸方向に沿って2列に配置されている。このような光入出力ポート1、2が実施の形態1の場合と同様に互いに角度θ1をなす場合、光ファイバポート群110の各入出力光路と光ファイバポート群120の各入出力光路とは、図7に示すように、実施の形態1の場合に比して光入出力ポート1、2寄りの位置において交差する。この各入出力光路の交差位置近傍に波長分散素子8を配置し、この波長分散素子8と光入出力ポート1、2との間にアナモルフィック光学系7を配置する。また、この波長分散素子8によって波長分散された各光を入射可能な位置に集光レンズ6を配置し、この集光レンズ6の焦点近傍に光路操作部5を配置する。このような配置によって、光入出力ポート1、2と光路操作部5との間の各入出力光路を、実施の形態1に比して短くすることができる。
なお、本実施の形態3にかかる光スイッチ30は、実施の形態1の場合と同様に、光入出力ポート1を用いた光スイッチ動作と、光入出力ポート2を用いた光スイッチ動作とを各々行うことができる。すなわち、この光スイッチ20は、実施の形態1にかかる光スイッチ10と同様に、光入出力ポート別に異なる1×4の光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1光スイッチとして機能する。特に、互いに異なる波長の信号光を含む4チャネルのWDM信号光が入力された場合、光スイッチ30は、実施の形態1にかかる光スイッチ10と同様に、光入出力ポート別に異なる1×4の波長選択光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1波長選択光スイッチとして機能する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態3では、光入出力ポート別に異なる各光ファイバポート群をポート配列方向に沿って2列に配列し、その他を実施の形態1と同様に構成している。このため、互いに異なる各光入出力ポートの配置の自由度が増すとともに、互いに異なるグループの各光ファイバポート群の少なくとも一部がポート配列方向に対して垂直な方向に重なるように、これら各光ファイバポート群を配列することができる。これによって、光入出力ポートと光路操作部との間における各入出力光路を短縮することができるとともに、これら各光ファイバポート群同士のなす角度を調整することによって、光入出力ポートと光路操作部との間の各入出力光路が占める空間を一層容易に低減することができる。以上の結果、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに、一層簡易に光入出力のポート数を増大させることができ、且つ、光スイッチの装置規模の小型化およびコスト減を一層促進することができる。
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3では、互いに異なる2つの光スイッチ機能を一装置内に有する2in1光スイッチを例示したが、本実施の形態4では、互いに異なる3つの光スイッチ機能を一装置内に有する3in1光スイッチを構成している。
図8は、本発明の実施の形態4にかかる光スイッチの一構成例を示す模式図である。図8には、本実施の形態4にかかる光スイッチをXYZ座標系のZ軸方向正の向きから見たものが図示されている。図9は、図8に示す光スイッチをXYZ座標系のX軸方向正の向きから見た図である。図8、9に示すように、本実施の形態4にかかる光スイッチ40は、上述した実施の形態1にかかる光スイッチ10の光路操作部5に代えて光路操作部45を備え、さらに、上述した光入出力ポート1、2と異なる光入出力ポート3を備える。また、この光スイッチ40において、互いに異なる3つの光入出力ポート1、2、3は、ポート配列方向、すなわちZ軸方向に沿って3列に配置される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
複数の光入出力ポート1〜3は、光を入力または出力するポート群を各々有し、ポート群毎に、外部から光を入力し、または外部に光を出力する。光入出力ポート3は、光ファイバポート群130と、複数のコリメータレンズからなるコリメータレンズ群136と、光ファイバポート群130とコリメータレンズ群136とを支持する支持部137とを備える。光ファイバポート群130は、複数の光ファイバポート131〜135を含む光入出力のポート群である。光ファイバポート131〜135の各々は、光導波路として機能する光ファイバを用いて構成される。各光ファイバポート131、132、133、134、135は、所定の配列方向、すなわち図9に示すYZ平面に平行な方向に沿って、所定の間隔(例えば等間隔)で配列される。特に、各光ファイバポート131、132、133、134、135は、図9に示すように、光入出力ポート1、2、3のポート配列方向、すなわちZ軸方向に沿って配列される。
コリメータレンズ群136は、各光ファイバポート131〜135に対応して配置されるコリメータレンズから構成されている。コリメータレンズ群136は、各光ファイバポート131〜135から出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を各光ファイバポート131〜135に集光して結合させる機能を有する。
ここで、光入出力ポート1〜3は、図8、9に示すように、ポート配列方向(Z軸方向)に沿って3列に配列される。このような光入出力ポート1〜3において、光ファイバポート群110、光ファイバポート群120、および光ファイバポート群130は、光入出力ポート1〜3別にグループ分けされ、Z軸方向に沿って3列に配列される。また、光入出力ポート1〜3は、図8に示すように、Z軸方向から見て、互いに非平行である。すなわち、光入出力ポート1の光ファイバポート群110と光入出力ポート3の光ファイバポート群130とは、Z軸方向から見て、互いに非平行であって所定の角度θ3をなす。光入出力ポート3の光ファイバポート群130と光入出力ポート2の光ファイバポート群120とは、Z軸方向から見て、互いに非平行であって所定の角度θ4をなす。このような互いに異なる光ファイバポート群110、120、130間において、光ファイバポート111〜115と光ファイバポート131〜135とは、Z軸方向に垂直な面内(例えばXY平面内)で角度θ3をなし、光ファイバポート131〜135と光ファイバポート121〜125とは、Z軸方向に垂直な面内で角度θ4をなす。なお、角度θ3、θ4は、上述した実施の形態3の場合と同様に、光入出力ポート1〜3側からアナモルフィックプリズム7a、7bを通過する毎に小さくなり、アナモルフィックプリズム7bと波長分散素子8との間において略零値に近似する。
また、互いに異なる3つの光入出力ポート1〜3において、光ファイバポート群110〜130内の各光ファイバポート111〜115、121〜125、131〜135は、そのポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)から見て、同じポート群内において互いに平行であり、且つ、異なるポート群間において互いに非平行である。具体的には図9に示すように、同じ光ファイバポート群130に属する各光ファイバポート131〜135同士は互いに平行である。一方、異なる光ファイバポート群110、130間において、各光ファイバポート111〜115と各光ファイバポート131〜135とは、図9に示すように、互いに非平行であって、ポート配列方向(Z軸方向)に平行な面内で所定の角度をなす。例えば、光ファイバポート群110のうちの光ファイバポート111は、図9に示すように、光ファイバポート群130内の各光ファイバポート131〜135に対して非平行であって、Z軸方向に平行な面内で各光ファイバポート131〜135と角度θ11をなす。このことは、残りの光ファイバポート112〜115、131〜135についても同様である。また、異なる光ファイバポート群120、130間において、各光ファイバポート121〜125と各光ファイバポート131〜135とは、図9に示すように、互いに非平行であって、ポート配列方向(Z軸方向)に平行な面内で所定の角度をなす。例えば、光ファイバポート群120のうちの光ファイバポート125は、図9に示すように、光ファイバポート群130内の各光ファイバポート131〜135に対して非平行であって、Z軸方向に平行な面内で各光ファイバポート131〜135と角度θ12をなす。このことは、残りの光ファイバポート121〜124、131〜135についても同様である。
さらに、これら3つの光入出力ポート1〜3のうちの少なくとも一部は、ポート配列方向に垂直な方向(すなわちX軸方向)に沿って配置される。例えば、図9に示すように、光入出力ポート1〜3のうち、光ファイバポート群130は、X軸方向に光ファイバポート群110、120の一部と重なるように配列される。
なお、上述した光ファイバポート111〜115、121〜125、131〜135は、光入出力ポート1〜3別に、外部から光(例えば波長1520〜1620nmの光通信用の信号光)を入力する、または外部に光を出力するものである。これら3つの光入出力ポート1〜3のうち、光入出力ポート1、2の各光ファイバポート群110、120の配置は、上述した実施の形態1の場合と同様である。また、本実施の形態4において、光入出力ポート3は、X軸方向およびZ軸方向の何れの方向から見ても集光レンズ6の光軸6aに対して平行となるように配置される。すなわち、光ファイバポート群130の各光ファイバポート131〜135は、X軸方向およびZ軸方向の何れの方向から見ても、集光レンズ6の光軸6aに対して略平行である。このような光ファイバポート群130において、例えば、その中央の光ファイバポート133は、この光軸6aと略一致するように配置される。
光路操作部45は、入力された光の光路を切り替える複数の光路切替部5a、5b、5cを有し、各光入出力ポート1〜3別に入力ポートから出力ポートに至る光の光路を操作する。光路切替部5a、5b、5cは、図9に示すように、互いに異なる光入出力ポート1、2、3別に、Z軸方向に分離して配置される。図10は、本実施の形態4における複数の光路切替部の一構成例を示す模式図である。図10に示すように、光路切替部5cは、X軸方向に沿って配列された複数のLCOS5c−1、5c−2、5c−3、5c−4によって構成される。なお、光路操作部45の光路切替部5a、5bは、上述した実施の形態1の場合と略同様に構成される。このような光路切替部5a〜5cは、Z軸方向に沿った光ファイバポート群110〜130の配列に対応して、光路操作部45に設けられる。例えば図9、10に示すように、Z軸の正方向に向かって順に、光路切替部5a、光路切替部5c、光路切替部5bが位置する。この場合、光ファイバポート群130に対応する光路切替部5cは、光ファイバポート群110に対応する光路切替部5aと光ファイバポート群120に対応する光路切替部5bとの間に配置される。
このような構成を有する光路切替部5a〜5cは、各光入出力ポート1〜3別に、光ファイバポート群110〜130のうちの何れかの光ファイバポート群内の入力ポートから入力した光の光路を、この入力ポートが属する同じ光ファイバポート群内の出力ポートに向かう光路に切り替える。すなわち、各LCOS5c−1、5c−2、5c−3、5c−4は、光入出力ポート3の光ファイバポート群130内の入力ポートから入力した光を回折して同じ光ファイバポート群130内の出力ポートに向けて出力する機能を有する。なお、光ファイバポート群130内の入力ポートは、光ファイバポート131〜135のうちの何れかであり、光ファイバポート群130内の出力ポートは、光ファイバポート131〜135のうちの入力ポートを除く何れかである。一方、残りのLCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各機能は、上述した実施の形態1の場合と同様である。
ここで、光入出力ポート1〜3側から光路操作部45に入力される各光は、上述した光路切替部5a〜5cにおいて互いに干渉しないように、Z軸方向に分離している。例えば図10に示すように、光入出力ポート3側から光路切替部5cのLCOS5c−1に入力された光の結像点P3は、光入出力ポート1側から光路切替部5aのLCOS5a−1に入力された光の結像点P1と、光入出力ポート2側から光路切替部5bのLCOS5b−1に入力された光の結像点P2とに対して、十分に離間している。すなわち、結像点P3と結像点P1、P2との各分離距離dは、これら各光のビームスポット(図10の斜線部分参照)のZ軸方向の寸法に比して十分に大きい。なお、結像点P1と結像点P2とは、結像点P3を挟んで十分に離間している。以上の結果、これら各光同士の干渉が回避される。このことは、残りのLCOS5a−2〜5a−4、5b−2〜5b−4、5c−2〜5c−4においても同様である。このような光入出力ポート1〜3側からの各光の結像点に対応して、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4、5c−1〜5c−4は、光路操作部45上に配列される。具体的には、集光レンズ6と光路操作部45との間における各入出力光路は互いにずれた経路を辿るので、光路切替部5a〜5cに各々集光される各光の集光位置は、上述した実施の形態3の場合と同様に、X軸方向(波長分散方向)に若干ずれる。このような集光位置のずれに合わせて、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4、5c−1〜5c−4は、X軸方向に若干ずらして光路操作部45上に各々配列される。
なお、LCOS5c−1〜5c−4の各々に入力される各光のビーム形状は、上述したLCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の場合と同様に、アナモルフィック光学系7の作用によって、X軸方向に縮小した楕円形状に整形される(図10の斜線部分参照)。このような楕円形状の各光の幅W1に比して、LCOS5c−1〜5c−4の各幅W2は十分に大きい。
上述したような構成を有する光スイッチ40では、例えば、光ファイバポート群130のうちの光ファイバポート133が、外部から光が入力されるComポートとして設定されている。なお、光ファイバポート133は、光ファイバポート群130において中央に配列されたポートであって、図9に示すように、集光レンズ6の光軸6aと略一致するように配置されている。また、光ファイバポート群130のうちの残り4つの光ファイバポート131、132、134、135が、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。なお、光ファイバポート群110、120におけるComポートおよび出力ポートの設定は、上述した実施の形態1の場合と同様である。
ここで、光スイッチ40は、光入出力ポート3内の光ファイバポート133から所定の波長の信号光が入力された場合、同じ光入出力ポート3内の光ファイバポート131、132、134、135のうち、その波長を割り当てられた光ファイバポートから、その信号光を出力するように動作できる。また、光スイッチ40は、上述した実施の形態1と同様に、光入出力ポート1内の光ファイバポート113から所定の波長の信号光が入力された場合、光入出力ポート1を用いた光スイッチ動作を行い、光入出力ポート2内の光ファイバポート123から所定の波長の信号光が入力された場合、光入出力ポート2を用いた光スイッチ動作を行う。すなわち、この光スイッチ40は、光入出力ポート別に異なる1×4の光スイッチ機能を一装置内に3つ備えた3in1光スイッチとして機能する。
特に、ファイバポート133から入力された信号光が互いに波長が異なる4つの信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、光スイッチ40は、光ファイバポート131、132、134、135のうち各チャネルを割り当てられた光ファイバポートから、WDM信号光に含まれる各チャネルの信号光を出力するように動作できる。また、光スイッチ40は、上述した実施の形態1と同様に、ファイバポート113から入力された信号光が4チャネルのWDM信号光である場合、光入出力ポート1を用いた波長選択光スイッチ動作を行い、ファイバポート123から入力された信号光が4チャネルのWDM信号光である場合、光入出力ポート2を用いた波長選択光スイッチ動作を行う。この場合、光スイッチ40は、光入出力ポート別に異なる1×4の波長選択光スイッチ機能を一装置内に3つ備えた3in1波長選択光スイッチとして機能する。
つぎに、図8〜10を参照しつつ、光スイッチ40の動作について説明する。本実施の形態4において、光入出力ポート1を用いた光スイッチ動作(波長選択光スイッチ動作を含む)と、光入出力ポート1を用いた光スイッチ動作(波長選択光スイッチ動作を含む)とは、上述した実施の形態1と同様である。このため、以下では、光入出力ポート3を用いた光スイッチ動作について説明する。なお、これら3つの光スイッチ動作は、互いに独立して行われる。すなわち、これら3つの光スイッチ動作は、光入出力ポート1〜3間において順不同に行われる。
まず、外部から光ファイバポート133に波長λ21の信号光L21が入力されると、コリメータレンズ群136は、この入力された信号光L21を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。つぎに、アナモルフィック光学系7は、この略平行光である信号光L21のビーム形状をX軸方向に拡大して楕円形に整形する。ついで、波長分散素子8は、この整形後の信号光L21を波長λ21に応じた回折角で回折する。その後、集光レンズ6は、この回折された信号光L21を光路操作部45の光路切替部5c(詳細には図10に示すLCOS5c−1)に集光する。光路切替部5cの一構成部であるLCOS5c−1は、この集光された信号光L21を波長λ21に対応して設定された回折角で回折し、これによって、この信号光L21を波長λ21の信号光L22として出力(反射)する。集光レンズ6は、このように光路切替部5cから出力された信号光L22を光入出力ポート3に向けて通すとともに、その光路を信号光L21の光路と平行にする。なお、光路切替前後の信号光L21と信号光L22との各光路は、互いにX軸方向に若干ずれているが、図8においては簡略化して、略重なった状態に図示されている。
つぎに、波長分散素子8は、集光レンズ6から入力した信号光L22を再び回折する。ついで、アナモルフィック光学系7は、信号光L22のビーム形状をX軸方向に縮小して略円形に戻すとともに、光入出力ポート3側へ信号光L22を通す。このようなアナモルフィック光学系7および波長分散素子8は、例えば図9に示すように、信号光L21の光路と信号光L22の光路との平行関係を維持している。その後、信号光L22は、コリメータレンズ群136のうち、波長λ21に割り当てられた光ファイバポート131に対応するコリメータレンズへ入力される。この対応するコリメータレンズは、信号光L22を集光して光ファイバポート131に結合させる。光ファイバポート131は、このように結合された光、すなわち波長λ21の信号光L22を外部に出力する。
以上のようにして、光スイッチ40は、光入出力ポート3側のComポートである光ファイバポート133から入力された信号光の光路を、その波長λ21に割り当てられた光ファイバポート131(同じ光入出力ポート3側の出力ポート)へ至る光路に切り替えることができる。
また、外部から光ファイバポート133に入力された信号光L21の波長がλ22、λ23、またはλ24であれば、信号光L21は、上述した波長λ21の場合と同様に、アナモルフィック光学系7等を通過した後、波長分散素子8によって、その波長(λ22、λ23、またはλ24)に応じた回折角で回折される。なお、波長λ21、λ22、λ23、λ24は互いに異なるものである。この回折後の信号光L21は集光レンズ6に到達する。集光レンズ6は、光路切替部5cのうち、この信号光L21の波長に対応するLCOS部分に向けて、この信号光L21を集光する。すなわち、集光レンズ6は、波長λ22の信号光L21をLCOS5c−2に集光し、または、波長λ23の信号光L21をLCOS5c−3に集光し、または、波長λ24の信号光L21をLCOS5c−4に集光する。LCOS5c−2は、波長λ22に対応して設定された回折角で信号光L21を回折して、この信号光L21の光路を波長λ22の信号光L23の光路に切り替える。または、LCOS5c−3は、波長λ23に対応して設定された回折角で信号光L21を回折して、この信号光L21の光路を波長λ23の信号光L24の光路に切り替える。または、LCOS5c−4は、波長λ24に対応して設定された回折角で信号光L21を回折して、この信号光L21の光路を波長λ24の信号光L25の光路に切り替える。
この光路切替後の信号光(すなわち信号光L23〜L25の何れか)は、上述した波長λ21の場合と同様に、集光レンズ6、波長分散素子8、アナモルフィック光学系7、およびコリメータレンズ群136を順次通過する。このコリメータレンズ通過後の信号光は、光ファイバポート群130のうち、その波長に対応する光ファイバポートから外部に出力される。すなわち、波長λ22の信号光L23は、波長λ22に割り当てられた光ファイバポート132から外部に出力され、波長λ23の信号光L24は、波長λ23に割り当てられた光ファイバポート134から外部に出力され、波長λ24の信号光L25は、波長λ24に割り当てられた光ファイバポート135から外部に出力される。
特に、外部から光ファイバポート133に入力された信号光L21が波長λ21、λ22、λ23、λ24の信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、このWDM信号光の光路は、上述した波長λ21〜λ24の各信号光の場合と同様に、波長λ21の信号光L22の光路と、波長λ22の信号光L23の光路と、波長λ23の信号光L24の光路と、波長λ24の信号光L25の光路とに切り替えられる。その後、このWDM信号光由来の各信号光L22〜L25は、各波長λ21、λ22、λ23、λ24に割り当てられた光ファイバポート131、132、134、135の各々から外部に出力される。このようにして、光スイッチ40は、光入出力ポート3について、波長別に選択された所望の光路の切り替えを実現することができる。
なお、上述した光路切替部5cを構成する各LCOS5c−1〜5c−4(図10参照)は、実施の形態1に例示したLCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4と同様の公知な構成を有する。このため、LCOS5c−1〜5c−4の各々に入射する信号光のビーム形状(図10の破線部分参照)がZ軸方向に長くなるように、集光レンズ6と光路操作部45との位置関係を設定することが好ましい。これによって、この信号光の回折に寄与する画素電極の数をより多くできるので、より回折効率を大きくすることができる。また、LCOS5c−1〜5c−4の各画素幅を小さくすることによって、隣接画素間の位相差を縮小することができ、これによって、LCOS毎の回折角の広がりを抑制することができる。
つぎに、本実施の形態4における光入出力ポート1〜3と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。なお、本実施の形態4において、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、上述した実施の形態3と同じである。このため、以下では、光入出力ポート3の各入出力光路について説明する。
まず、図8を参照しつつ、ポート配列方向(すなわちZ軸方向)から見た光入出力ポート1〜3と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。光入出力ポート3に対して入出力される各信号光L21〜L25の各入出力光路は、Z軸方向から見て、図8の点線矢印に示されるような光路となる。以下、図8を参照して説明する入出力光路は、Z軸方向から見たものである。
図8の実線矢印、破線矢印、および点線矢印に示されるように、光入出力ポート3の各入出力光路は、光入出力ポート1〜3とアナモルフィックプリズム7aとの間の領域において、光入出力ポート1、2の各入出力光路に対して非平行であり、例えば、集光レンズ6の光軸6aと略平行である。具体的には図8に示すように、光入出力ポート3の各入出力光路は、光入出力ポート1の各入出力光路に対して角度θ3をなし、光入出力ポート2の各入出力光路に対して角度θ4をなす。ここで、光入出力ポート3の各入出力光路は、上述した実施の形態3の場合と同様に、光入出力ポート1〜3側から波長分散素子8側に向けてアナモルフィックプリズム7a、7bを通過する毎に角度θ3、θ4を小さくする。光入出力ポート3の各入出力光路は、このように角度θ3、θ4を小さくしつつ波長分散素子8に至り、波長分散素子8の略中央部分と交差する。この場合、角度θ3、θ4は、アナモルフィックプリズム7bと波長分散素子8との間において略零値に近似する。
また、波長分散素子8と集光レンズ6との間において、光入出力ポート3の各入出力光路は、X軸方向、すなわち波長分散素子8の波長分散方向に所定の角度をなして、互いに非平行になる。ここで、これら各入出力光路は、図8に示すように、波長分散素子8の略中央部分と交差する。また、波長分散素子8と集光レンズ6との間の各入出力光路は、集光レンズ6の光軸6aを中心に略線対称の位置関係にある。なお、光入出力ポート1〜3およびアナモルフィックプリズム7a、7bは、上述した実施の形態3の場合と同様に、各入出力光路が波長分散素子8において互いに交差するように、相対位置関係を設定される。一方、集光レンズ6と光路操作部45との間において、各入出力光路は、各々互いにずれた経路を辿る。このため、これら各入出力光路の光が光路操作部45の光路切替部5a〜5cに集光される際、その各集光位置はX軸方向に若干(例えば数ピクセル程度)ずれる。
つぎに、図9を参照しつつ、ポート配列方向に垂直な方向(すなわちX軸方向)から見た光入出力ポート1〜3と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。光入出力ポート3の各入出力光路は、X軸方向から見て、図9の点線矢印に示されるような光路となる。以下、図9を参照して説明する入出力光路は、X軸方向から見たものである。
図9の実線矢印、破線矢印、および点線矢印に示されるように、集光レンズ6に対する複数の光入出力ポート1〜3側の各光入出力光路は、光ファイバポート群110〜130のポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)から見て、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート間で平行であり、且つ、異なる光ファイバポート群同士の各光ファイバポート間で非平行である。すなわち、光入出力ポート3の各入出力光路は、光ファイバポート群130内の各光ファイバポート131〜135間において平行である。また、光入出力ポート1〜3の各入出力光路は、異なる光ファイバポート群110、130同士の各光ファイバポート111〜115と各光ファイバポート131〜135との間において非平行である。且つ、光入出力ポート1〜3の各入出力光路は、異なる光ファイバポート群120、130同士の各光ファイバポート121〜125と各光ファイバポート131〜135との間において非平行である。
また、光入出力ポート3の各入出力光路は、図9に示すように、光入出力ポート3と集光レンズ6との間の領域において、アナモルフィック光学系7および波長分散素子8からZ軸方向の光学的な影響を大きくは受けない。すなわち、この領域内において、光入出力ポート3の各入出力光路上の信号光L21〜L25は、アナモルフィック光学系7または波長分散素子8によってZ軸方向に屈折または回折されることが殆どない。
さらには、光ファイバポート群110に対応する入出力光路と、光ファイバポート群120に対応する入出力光路と、光ファイバポート群130に対応する入出力光路とは、図9に示すように、光入出力ポート1〜3と集光レンズ6との間の空間において互いに交差する。具体的には、複数の光入出力ポート1〜3のうちの互いに異なる3つの光ファイバポート群110、120、130の各々から入力される各光の光路は、集光レンズ6の焦点近傍において互いに交差する。なお、本実施の形態4において、この集光レンズ6の焦点近傍には波長分散素子8が配置されている。すなわち、これら各光の光路は、図9に示すように、波長分散素子8の近傍において互いに交差する。
上述したような各入出力光路を形成する3つの光入出力ポート1〜3の相対的な配置は、各入出力光路の交差位置や光路操作部45における結像点間の分離距離d(図10参照)等を考慮して、設定される。
具体的には図9に示すように、光入出力ポート1、2は、実施の形態1の場合と同様に、集光レンズ6の光軸6aに向けて傾斜し、光入出力ポート3は、この光軸6aに対して平行に配置される。この場合、光入出力ポート1、3の各光ファイバポート群110、130同士は、互いに非平行であって、Z軸方向に平行な面内で所定の角度θ11をなす。この光ファイバポート群110、130同士のなす角度θ11は、光入出力ポート1、3と集光レンズ6と光路操作部45との各相対位置関係を考慮しつつ分離距離dが所定値以上になるように、設定される。この角度θ11の調整によって、分離距離dは、光路操作部45に入力される光ファイバポート群110からの光と光ファイバポート群130からの光との干渉を防止するに十分な距離に、設定される。また、光入出力ポート2、3の各光ファイバポート群120、130同士は、互いに非平行であって、Z軸方向に平行な面内で所定の角度θ12をなす。この光ファイバポート群120、130同士のなす角度θ12は、光入出力ポート2、3と集光レンズ6と光路操作部45との各相対位置関係を考慮しつつ分離距離dが所定値以上になるように、設定される。この角度θ12の調整によって、分離距離dは、光路操作部45に入力される光ファイバポート群120からの光と光ファイバポート群130からの光との干渉を防止するに十分な距離に、設定される。
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、光入出力ポート別に異なる3つの光ファイバポート群をポート配列方向に沿って3列に配列して、互いに異なる3つの光スイッチ機能を1つの光スイッチ装置内に兼ね備えるように構成し、その他を実施の形態1と同様に構成している。このため、互いに異なる3つの光ファイバポート群の配置の自由度が増すとともに、これら3グループの各光ファイバポート群の少なくとも一部がポート配列方向に対して垂直な方向に重なるように、これら3つの光ファイバポート群を配列することができる。これら各光ファイバポート群同士のなす角度等を調整することによって、光入出力ポートと光路操作部との間の各入出力光路が占める空間を一層容易に低減することができ、これによって、光入出力ポート別に異なる3つの光スイッチ機能に共用する光学部品を可能な限り小型化することができる。以上の結果、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに、3in1波長選択光スイッチを含む3in1光スイッチを簡易に構成できるとともに、その装置規模の小型化およびコスト減を促進することができる。
(実施の形態5)
つぎに、実施の形態5について説明する。本実施の形態5では、光入出力ポート1、2とアナモルフィック光学系7との距離が互いに異なる。
つまり、本実施の形態5におけるアナモルフィック光学系7と光路操作部5との間の構成は、実施の形態3と同様である。したがって、以下の説明では、アナモルフィック光学系7と光路操作部5との間の構成の説明は、実施の形態3と同一の符号を参照することにより説明を省略する。
図11は、本実施の形態5にかかる光スイッチ50の一構成例を示す模式図である。図11には、本実施の形態5にかかる光スイッチ50をXYZ座標系のZ軸方向正の向きから見たものが図示されている。図12は、図11に示す光スイッチをXYZ座標系のX軸方向正の向きから見た図である。図11、12におけるXYZ座標系は、X軸を光スイッチ50のポート配列方向に垂直な軸とし、Y軸を光路全体の光軸方向とし、Z軸を光スイッチ50のポート配列方向としている。
図11、12に示すように、本実施の形態5にかかる光スイッチ50の光入出力ポート1、2は、上述した実施の形態3に例示された配置の代わりに、光入出力ポート1を入出力光路方向に位置をずらして配置されている。
図11に示すように、本実施の形態5では、光入出力ポート1、2の入出力光路方向が、Z軸方向から見て、互いに非平行である。結果、2つの光入出力ポート1、2は、図11に示すように、X軸方向において異なる位置に配置される。
また、光入出力ポート1の光ファイバポート群110と光入出力ポート2の光ファイバポート群120とは、Z軸方向から見て、互いに非平行であって所定の角度θ2をなす(図11参照)。このような互いに異なる光ファイバポート群110、120間において、光ファイバポート111〜115と光ファイバポート121〜125とは、Z軸方向に垂直な面内(例えばXY平面内)で角度θ2をなす。
ただし、図11に示される本実施の形態5では、光入出力ポート1、2自体の角度を変化させているが、アナモルフィック光学系7に対する各入出力光路が、Z軸方向から見て、異なる光ファイバポート群110、120間の各ポート間で互いに非平行であれば、本発明を適切に実施することができる。すなわち、例えば、光入出力ポート1、2自体の角度が平行であっても、光入出力ポート1、2とアナモルフィック光学系7との間にプリズム等を配置すること、または、光入出力ポート1、2のコリメータレンズ群を一様にオフセットさせることにより、入出力光路の角度を変更する構成とすることも可能である。
また、光入出力ポート1、2の入出力光路方向は、図12に示すように、集光レンズ6の光軸6aに対し、X軸方向から見て非平行であって各々所定の角度をなす。すなわち、光ファイバポート群110、120内の各光ファイバポート111〜115、121〜125は、X軸方向から見て、同じポート群内において互いに平行であり、且つ、異なるポート群間において互いに非平行であってZ軸方向に平行な面内で角度θ1をなす。
図11、12に示されるように、光入出力ポート1、2とアナモルフィック光学系7との距離は互いに異なる。具体的には、光入出力ポート1とアナモルフィック光学系7との距離の方が、光入出力ポート2とアナモルフィック光学系7との距離よりも大きい。ここで、光入出力ポート1とは、アナモルフィック光学系7を構成するアナモルフィックプリズム7aの第1面(つまり光入出力ポート1、2側の面)に対する入射角度が小さい方の光入出力ポートのことである。図11に示される本実施の形態5では、光入出力ポート1とアナモルフィック光学系7との距離の方がD1であり、光入出力ポート2とアナモルフィック光学系7との距離の方がD2である。そして、D1とD2との間に、D1>D2の関係が成立している。
なお、光入出力ポート1、2とアナモルフィック光学系7との距離D1,D2は、実際の距離ではなく、光学的距離を採用してもよい。すなわち、空気よりも屈折率が高いガラス等の光学部材を光路に配置することにより、実効的な光入出力ポート1、2とアナモルフィック光学系7との距離D1,D2を変更するとしてもよい。また、光入出力ポート1、2が備えるコリメータレンズ群116、126の焦点距離または位置を調整することによっても、本実施の形態5と同様の作用を生じる構成を実現することができる。
以下、図13、14を参照して、本実施の形態5の構成から生じる光学上の作用について説明する。
図13、14は、アナモルフィックプリズム7aの第1面S1および光切替部5a、5bの表面(LCOSの表面)S0における、光入出力ポート1と光入出力ポート2とから入出力される光信号のビームスポットの比較を示す図である。図13は、光入出力ポート1、2がアナモルフィック光学系7と互いにほぼ同一の距離に配置されている場合を示しており、本実施の形態5を適用しない場合の比較例に相当している。一方、図14は、光入出力ポート1、2がアナモルフィック光学系7と互いに異なる距離に配置されている場合を示しており、本実施の形態5の例に相当している。
図13、14中の記号αおよびβは、それぞれ光入出力ポート1から入出力される光信号のビームスポットと、光入出力ポート2から入出力される光信号のビームスポットである。すなわち、記号αで示されるビームスポットは、アナモルフィックプリズム7aの第1面における入出力光路の入射角度が小さい方の光入出力ポート1から入出力される光信号のビームスポットであり、記号βで示されるビームスポットは、アナモルフィックプリズム7aの第1面における入出力光路の入射角度が小さい方の光入出力ポート2から入出力される光信号のビームスポットである。
また、図13、14中のビームスポットの長径および短径は、光強度が1/e2となる位置によって規定される値である。しかしながら、図13、14中に記載のビームスポットの長径および短径の値は、作用について説明するための一例に過ぎず、図13、14中に記載の値に限らず、本実施の形態5は効果を奏するものである。
図13に示されるように、アナモルフィックプリズム7aの第1面S1において、αで示されるビームスポットの長径は、βで示されるビームスポットの長径よりも短い。これは、アナモルフィックプリズム7aの第1面S1に対する入射角度が、光入出力ポート1から入射される信号光よりも光入出力ポート2から入射される信号光の方が大きいことによる。
なぜならば、アナモルフィックプリズム7aの第1面S1に対して信号光が斜めに入射されることにより、入射される前の信号光の横断形状が真円であっても、ビームスポットの形状が楕円となるからである。そして、この楕円の形状は、アナモルフィックプリズム7aの第1面S1に対する入射角度が大きいほどに、長径方向の拡大率が大きくなる。
上記のようにアナモルフィックプリズム7aの第1面においてビームスポットの長径が異なる結果、図13に示されるように、LCOSの表面S0において、αで示されるビームスポットの短径は、βで示されるビームスポットの短径よりも長くなってしまう。これは、集光レンズ6によりLCOSの表面S0に信号光を集光させる際に、集光レンズ6に入射される信号光の光束径が大きい方が、信号光をLCOSの表面S0上にてより強く収斂するからである。
アナモルフィックプリズム7aの第1面S1においてビームスポットの長径が大きい光入出力ポート2の信号光は、アナモルフィック光学系7により拡大された後に集光レンズ6に入射される際の光束径の長径も大きいことになり、結果、LCOSの表面S0上にて集光レンズ6によりより強く収斂されることになる。なお、ここでは、定性的説明を目的としているので、アナモルフィック光学系7の倍率差については影響がないものと考えている。
LCOSの表面S0におけるビームスポットの短径は、光スイッチ50の性能の観点では、帯域幅に影響する。LCOSの表面S0におけるビームスポットの短径方向は、回折格子8による分光方向に対応しており、LCOSの表面S0におけるビームスポットの短径を小さくするほどに、あるチャネルに割り当てられた画素幅のうち、隣接チャネルにエネルギーをもらすことなくビームをスイッチさせることの出来る領域が増えるためである。
つまり、逆に言えば、図13に示される結果は、光入出力ポート1、2がアナモルフィック光学系7と同一距離に配置されている場合、光スイッチ50の帯域幅という性能の観点では、光入出力ポート1と光入出力ポート2とで性能差が生じてしまっていることを示している。
一方、図14に示されるように、本実施の形態5では、アナモルフィックプリズム7aの第1面S1において、αで示されるビームスポットの長径は、βで示されるビームスポットの長径にほぼ等しい。これは、光入出力ポート1からアナモルフィックプリズム7aの第1面への距離が長くなったことによる。
結果、図14に示されるように、LCOSの表面S0において、αで示されるビームスポットの短径は、βで示されるビームスポットの短径にほぼ等しくなっている。先述のように、光スイッチ50の性能の観点では、LCOSの表面S0におけるビームスポットの短径は帯域幅に影響する。したがって、本実施の形態5にかかる光スイッチ50は、光入出力ポート1と光入出力ポート2とで性能差が小さく抑えられていることになる。
さらに、説明したように、本実施の形態5では、光入出力ポート1、2の入出力光路方向は、Z軸方向から見て、互いに非平行であり、光入出力ポート1、2とアナモルフィック光学系7との距離が互いに異なる。このため、先述の実施の形態3よりも、光入出力ポート1、2間の干渉がより少ない構成となっている。したがって、各光ファイバポート群110、120同士のなす角度θ1を調整することによって、光入出力ポートと光路操作部との間の各入出力光路が占める空間を一層容易に低減することができる。
以上により、本実施の形態5は、上述した実施の形態3の場合と同様の作用効果を享受するとともに、一層簡易に光入出力のポート数を増大させることができ、且つ、光スイッチの装置規模の小型化およびコスト減を一層促進することができることが示された。
(実施の形態6)
つぎに、実施の形態6にかかる光スイッチ60について説明する。先述した実施の形態5では、2つの光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いになるように配置された2つのアナモルフィックプリズム7a、7bからなるアナモルフィック光学系7を備える実施の形態であったが、本実施の形態6では、2つの光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いになるように配置された4つのアナモルフィックプリズム7a、7b、7c、7dからなるアナモルフィック光学系7Aを備える実施の形態である。
つまり、本実施の形態6における波長分散素子8と光路操作部5との間の構成は、実施の形態3と同様である。また、本実施の形態6における光入出力ポート1、2の構成は、実施の形態5と同様である。したがって、以下の説明では、アナモルフィック光学系7A以外の構成の説明は、実施の形態3および実施の形態5と同一の符号を参照することにより説明を省略する。
図15は、本発明の実施の形態6にかかる光スイッチ60の一構成例を示す模式図である。図15には、本実施の形態6にかかる光スイッチ60をXYZ座標系のZ軸方向正の向きから見たものが図示されている。図16は、図15に示す光スイッチをXYZ座標系のX軸方向正の向きから見た図である。図15、16におけるXYZ座標系は、X軸を光スイッチ60の分光方向とし、Y軸を光路全体の光軸方向とし、Z軸を光スイッチ60のスイッチ方向としている。
図15、16に示すように、本実施の形態5にかかる光スイッチ60は、光入出力ポート1、2と集光レンズ6との間に配置されるアナモルフィック光学系7Aが対向する2つの光学面を有し該2つの光学面の間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して互い違いになるように配置された4つのアナモルフィックプリズム7a、7b、7c、7dからなる。
図15に示されるように、アナモルフィックプリズム7aの光学面S1、S2は、間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して紙面上方である。また、アナモルフィックプリズム7bの光学面S3、S4は、間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して紙面下方である。また、アナモルフィックプリズム7cの光学面S5、S6は、間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して紙面上方である。また、アナモルフィックプリズム7dの光学面S7、S8は、間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して紙面下方である。このように、本実施の形態5におけるアナモルフィック光学系7Aは、対向する2つの光学面の間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して互い違いになるように配置された4つのアナモルフィックプリズム7a、7b、7c、7dにより構成されている。
アナモルフィック光学系7A以外の構成は、実施の形態3または実施の形態5の構成の説明にて既に説明されているので、以下、本実施の形態6の構成から生じる光学上の作用について説明する。
光入出力ポート1、2の各入出力光路は、Z軸方向から見て、図15の実線矢印および破線矢印に示されるような光路となる。すなわち、光入出力ポート1、2の各入出力光路は、光入出力ポート1、2とアナモルフィックプリズム7aとの間の区間において、互いに非平行であって角度θ2をなす。また、これら各入出力光路は、光入出力ポート1、2側から波長分散素子8側に向けてアナモルフィックプリズム7a、7b、7c、7dを通過する毎に、光入出力ポート1、2の各入出力光路間のなす角度が小さくなるとともに、アナモルフィックプリズムによる光の拡大率の差が小さくなる。
さらに、アナモルフィック光学系7Aを構成するアナモルフィックプリズムの数が同じであっても、アナモルフィックプリズムの配置が、光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いになるような配置であることが好ましい。
本実施の形態6では、角度θ2がある程度大きくなっても、アナモルフィック光学系7Aを構成するアナモルフィックプリズムの数が多く、互い違いの配置をとっていることにより、角度θ2の大きさに起因する影響を抑えることが可能となる。
以下に示す(表1)は、4つのアナモルフィックプリズムからなるアナモルフィック光学系において、(A)光学面の間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して互い違いとなる配置、(B)光学面の間隔が狭くなる方向が入出力光路に対して同一である配置(図17に示される配置)の場合にて、入射角の違いによる拡大率の変化を比較する表である。(表1)中、mαはアナモルフィックプリズムの第1面S1に対する入射角度が小さい場合の拡大率を示し、本実施の形態6における光入出力ポート1からの信号光の拡大率に相当している。また、mβはアナモルフィックプリズムの第1面S1に対する入射角度が大きい場合の拡大率を示し、本実施の形態6における光入出力ポート2からの信号光の拡大率に相当している。
上記(表1)に示されるように、(A)の配置の方が、(B)の配置と比べて、入射角度が異なる際の拡大率の差が小さい。つまり(表1)は、(A)の配置の場合の方が、アナモルフィックプリズムの第1面S1に入射する際のビームスポット径が同じであれば、集光レンズ6に入射する際の光束径の差も小さくなるということを意味している。
また、集光レンズ6に入射する際の光束径が同じであれば、LCOSの表面S0上のビームスポット径も同じであるので、(A)の配置の方が、(B)の配置と比べて、LCOSの表面S0においても、アナモルフィックプリズムの第1面S1に入射する際の入射角度に起因するビームスポットの短径の差が小さくなる。このことは、(A)の配置の採用しているホン本実施の形態6では、光入出力ポート1と光入出力ポート2とで性能差が生じることを抑制できることを意味する。
さらに、本実施の形態6は、実施の形態5の特徴のすべてを備えていることにより、光入出力ポート1、2とアナモルフィック光学系7Aとの距離が互いに異なることによる効果も奏する。つまり、本実施の形態6は、光入出力ポート1からアナモルフィック光学系7Aまでの距離を、光入出力ポート2からアナモルフィック光学系7Aまでの距離よりも長くすることにより、アナモルフィックプリズム7aの第1面において、光入出力ポート1と光入出力ポート2とのビームスポットの長径の大きさの差を小さくすることができ、さらに、アナモルフィック光学系7Aが光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いになるように配置された4つのアナモルフィックプリズム7a、7b、7c、7dからなることにより、ビームスポットの長径の大きさの差を小さく抑制された光入出力ポート1と光入出力ポート2とのビームスポットを、拡大率差を抑制された状態で集光レンズ6まで導くことができるという相乗効果を有する。
ここで、光入出力ポート1からアナモルフィック光学系7Aまでの距離を光入出力ポート2からアナモルフィック光学系7Aまでの距離よりも長くすることによる効果と、光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いになるように配置された4つのアナモルフィックプリズム7a、7b、7c、7dからなるアナモルフィック光学系7Aを備えることによる効果との相乗効果について説明する。
以下に示す(表2:ケースA)は、光学面の間隔が狭くなる方向が同一である配置である4つのアナモルフィックプリズムからなるアナモルフィック光学系であり、かつ、光入出力ポートがアナモルフィック光学系と互いに同一の距離に配置されている場合の光スイッチとしての挿入損失および帯域幅の劣化を示したものである。また、(表3:ケースB)は、光学面の間隔が狭くなる方向が同一である配置である4つのアナモルフィックプリズムからなるアナモルフィック光学系であり、かつ、アナモルフィック光学系への入射角度の小さい方の光入出力ポートの方が、アナモルフィック光学系への入射角度の小さい方の光入出力ポートよりも、アナモルフィック光学系までの距離が20mm長い場合の光スイッチとしての挿入損失および帯域幅の劣化を示したものである。
なお、(表2:ケースA)および(表3:ケースB)において、帯域幅の劣化とは、基準となる入射角度でアナモルフィックプリズムの第1面に信号光を入射した際(実施の形態6では光入出力ポート2からの信号光の入射に相当する)の帯域幅と比較した場合、基準となる入射角度より小さい入射角度でアナモルフィックプリズムの第1面に信号光を入射した際(実施の形態6では光入出力ポート1からの信号光の入射に相当する)の帯域幅が劣化する程度を意味する。
上記(表2:ケースA)および(表3:ケースB)を比較することにより理解できるように、光入出力ポートからアナモルフィック光学系への距離を長くすることにより、帯域劣化を大幅に補償できる。また、挿入損失も少なからず補償できている。
下記(表4:ケースC)は、光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いである配置である4つのアナモルフィックプリズムからなるアナモルフィック光学系であり、かつ、アナモルフィック光学系への入射角度の小さい方の光入出力ポートの方が、アナモルフィック光学系への入射角度の小さい方の光入出力ポートよりも、アナモルフィック光学系までの距離が3.5mm長い場合の光スイッチとしての挿入損失および帯域幅を示したものである。
上記(表3:ケースB)および(表4:ケースC)を比較することにより理解できるように、光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いである配置である4つのアナモルフィックプリズムからなるアナモルフィック光学系と、光入出力ポートからアナモルフィック光学系への距離を長くすることを組み合わせて用いた場合、帯域劣化および挿入損失の両方が大幅に補償されている。つまり、実施の形態6にかかる光スイッチ60は、実施の形態5にかかる光スイッチ50が有する帯域劣化の補償のみならず、挿入損失までも大幅に補償できることが示されている。
さらに、(表3:ケースB)および(表4:ケースC)を比較することにより理解できるように、ケースBでは、光入出力ポートからアナモルフィック光学系への距離が20mmであったのに対し、ケースCでは、光入出力ポートからアナモルフィック光学系への距離が3.5mmであるのにも拘らず、ケースCの方が、帯域劣化をより良好に補償できている。つまり、光学面の間隔が狭くなる方向が互い違いである配置である4つのアナモルフィックプリズムからなるアナモルフィック光学系と、光入出力ポートからアナモルフィック光学系への距離を長くすることを組み合わせて用いた場合、光入出力ポートからアナモルフィック光学系への距離のみを長くすることに比べて、延長距離を短くしても性能を維持することができている。
したがって、実施の形態6にかかる光スイッチ60は、装置全体の小型化を達成しながらも、装置の性能劣化を大幅に補償することが可能であるという効果も奏する。
なお、上述した実施の形態1〜6では、1つの入力ポート(Comポート)と4つの出力ポートとを有する1×4光スイッチの光入出力ポートを複数備えた光スイッチを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかる光スイッチが備える複数の光入出力ポートの各々のポート数は、5つに限定されず、複数であればよい。例えば、入力ポート数が「1」であり且つ出力ポート数が「M」である1×M光スイッチの光入出力ポートであってもよいし、入力ポート数が「N」であり且つ出力ポート数が「1」であるN×1光スイッチの光入出力ポートであってもよい。或いは、これらを組み合わせたもの、すなわち、入力ポート数が「N」であり且つ出力ポート数が「M」であるN×M光スイッチの光入出力ポートであってもよい。この場合、光路操作部が備える複数の光路切替部の配置数は、光入出力ポート数に対応して調整すればよい。なお、入力ポート数Mおよび出力ポート数Nは、ともに1以上の整数である。
また、上述した実施の形態1〜6では、光入出力ポートのうちのComポートから光を入力し、Comポート以外の残りのポート(光ファイバポート等)から光を出力していたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、Comポート以外の残りのポートから光を入力し、Comポートから光を出力してもよい。
さらに、上述した実施の形態1〜6では、互いに異なる2つの光スイッチ機能を一装置内に有する2in1光スイッチ、或いは、互いに異なる3つの光スイッチ機能を一装置内に有する3in1光スイッチを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にかかる光スイッチが備える光入出力のポート群の数は、特に2つまたは3つに限定されず、2つ以上であればよい。すなわち、本発明にかかる光スイッチは、互いに異なる複数の光スイッチ機能(波長選択光スイッチ機能を含む)を一装置内に有するJ(Jは2以上の整数)in1光スイッチであってもよい。例えば、上述した光入出力ポートを合計Jだけ、一装置内に備えた光スイッチまたは波長選択光スイッチを構成してもよい。
また、上述した実施の形態1〜6では、複数の光路切替部をLCOSによって構成していたが、これに限らず、複数の光路切替部は、MEMSミラーによって構成されてもよいし、DMD(Digital Micromirror Device)によって構成されてもよい。
さらに、上述した実施の形態1〜6では、光入出力ポート内の各ポートを光ファイバによって構成していたが、これに限らず、光入出力ポート内の各ポートは、石英導波路等の光ファイバ以外の光導波路によって構成されてもよい。
また、上述した実施の形態1〜6では、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート同士を互いに平行にし、且つ、異なる光ファイバポート群間の各光ファイバポート同士を互いに非平行にしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、コリメータレンズ群等のレンズ系の配置によって、集光レンズに対する複数の光入出力ポート側の各入出力光路が、ポート配列方向に垂直な方向から見て、同じポート群内の各ポート間で平行であり、且つ、異なるポート群同士の各ポート間で非平行であればよい。この場合、ポート群内の各ポートの配置は特に問わない。例えば、異なる光入出力のポート群間の各ポート同士が平行であってもよい。或いは、同じ光入出力のポート群内の各ポート同士が非平行であってもよい。
さらに、上述した実施の形態1〜6では、互いに異なる複数の光ファイバポート群を複数の光入出力ポートに設けていたが、これに限らず、互いに異なる複数の光入出力のポート群は、単一の光入出力ポート内に組み込まれてもよく、この光入出力ポート単体内において、光スイッチ機能別に各ポート群をグループ分けしてもよい。
また、上述した実施の形態1〜6では、各光ファイバポート群間において光ファイバポート数を同数としていたが、これに限らず、光入出力の各ポート群内のポート数は、ポート群間において異なる数であってもよい。
さらに、上述した実施の形態1〜3では、互いに異なる2つの光ファイバポート群は、ポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)から見て、集光レンズの光軸に対して非平行であったが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかる光スイッチが備える光入出力の各ポート群同士がX軸方向から見て互いに非平行であれば、これら各ポート群のうちの少なくとも一つは、X軸方向から見て集光レンズの光軸と平行であってもよい。この場合、互いに異なる複数の光入出力ポートのうちの少なくとも一つが、集光レンズの光軸に向けて傾斜してもよい。
また、上述した実施の形態3では、互いに異なる2つの光ファイバポート群は、ポート配列方向から見て、集光レンズの光軸に対して非平行であったが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかる光スイッチが備える光入出力の各ポート群同士がX軸方向から見て互いに非平行であれば、これら各ポート群のうちの少なくとも一つは、ポート配列方向から見て集光レンズの光軸と平行であってもよい。特に、全ポート群がポート配列方向から見て集光レンズの光軸と平行である場合、光スイッチ動作において各光路を適切に切り替えるために、光路切替部からの各光に対し、適宜波長分散方向(X軸方向)への位相変調を行ってもよい。
さらに、上述した実施の形態1、2では、互いに異なる2つの光入出力ポートをポート配列方向に沿って1列に配置し、上述した実施の形態3、4では、互いに異なる2つまたは3つの光入出力ポートをポート配列方向に沿って2列または3列に配置していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポート配列方向に沿って1列に配置される光入出力ポートの数は3つ以上であってもよい。また、ポート配列方向に沿って2列に配置される光入出力ポートの数は3つ以上であってもよいし、ポート配列方向に沿って3列に配置される光入出力ポートの数は4つ以上であってもよい。さらには、各光入出力ポートは、ポート配列方向に沿って3列以上に配置されてもよいし、その一部または略全部がポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)に重なるように、X軸方向に沿って配置されてもよい。すなわち、互いに異なる複数の光入出力ポートの少なくとも一部が、ポート配列方向に沿って配列されてもよいし、X軸方向に沿って配置されてもよい。また、これら複数の光入出力ポートのポート配列方向の配置数、X軸方向の配置数、およびポート配列方向に沿って配置される各光入出力ポートの列数は、本発明において特に問わない。
また、上述した実施の形態1〜6では、互いに異なる複数の光入出力ポートの各入出力光路の交差位置の近傍に波長分散素子を配置していたが、これに限らず、波長分散素子は、光路操作部上における各光の結像点間の分離距離および集光レンズ等の光学特性を考慮して適正な位置に配置すればよい。
さらに、上述した実施の形態1〜6では、単一の光軸を有する集光レンズを用いていたが、これに限らず、複数のレンズを用いた複合レンズ系によって集光レンズ系を構成してもよく、この集光レンズ系の光軸は複数であってもよい。
また、上述した実施の形態1〜6では、透過型の回折格子を用いて波長分散素子を構成していたが、これに限らず、反射型の回折格子を用いて波長分散素子を構成してもよいし、分散プリズム等の他の光分散素子を用いて波長分散素子を構成してもよい。なお、透過型の回折格子によって波長分散素子を構成した場合は、光路を大きく屈曲させる必要が無いため、光スイッチを構成する各素子を、意図しない光路と干渉させること無く配置することが容易である。
さらに、上述した実施の形態1〜6では、各光ファイバポート群のうちの中央の光ファイバポートをComポートとし、このComポートから光を入力し、残りの各光ファイバポートを出力ポートとしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明において、光入出力のポート群のうちのComポートの位置は特に問わない。
また、上述した実施の形態1〜6では、光路操作対象の光の波長別(具体的には光ファイバポート別)に分けられる複数のLCOSを光路操作部に設けていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、光路操作部に単一のLCOSを設け、光路操作対象の光の波長別(ポート別)に、この単一のLCOSを区分けしてもよい。この場合、区分けされた複数のLCOS部分によって、光入出力ポート別に異なる光路切替部を構成すればよい。
さらに、上述した実施の形態1〜6では、波長別に入力光を分散する波長分散素子8を備えた光スイッチを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、波長分散素子8を備えず、光ファイバポート等の光の入力ポートおよび出力ポートを有する複数の光入出力ポートと、光入出力ポート毎に単一の光路切替部(例えばLCOS)を有する光路操作部と、集光レンズおよびアナモルフィック光学系等の光学素子とを適宜備えた光スイッチであってもよい。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上記各実施形態の各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、実施の形態2にかかる光スイッチに実施の形態3、4の光スイッチにおける光入出力ポートの複数列配置を適用して、シリンドリカルレンズによるアナモルフィック光学系を有する光スイッチの各光入出力のポート群をポート配列に沿って複数の列に配置してもよい。その他、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明に含まれる。