JP2014066548A - レーザレーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】遠距離地点の風速を測定するレーザレーダ1の他に、レーザレーダ1における風速の測定地点より近い地点の風速及び風向を測定する近距離地点用のレーザレーダ2を備えるように構成する。これにより、遠距離地点の風速の他に、近距離地点の風速及び風向の空間分布を測定することができる。また、レーザレーダ1とレーザレーダ2が独立して測定処理を実施するため、複数の突風が接近してきた場合でも、遠距離における突風の検出と、近距離における突風の風速及び風向の空間分布の測定とを同時に行うことができる。
【選択図】図1
Description
このレーザレーダ装置は、以下の要素(1)〜(8)から構成されている。
(1)ローカル光と呼ばれる単一周波数からなる連続波光(レーザ光)を発振する光源1
01
(2)光源101から発振された連続波光を2分配して、一方の連続波光をパルス変調器
103に出力し、他方の連続波光を光カプラ106に出力する光分配器102
(3)光分配器102から出力された連続波光に対して所定の周波数シフトを与えるとと
もに、周波数シフト後の連続波光をパルス変調して、パルス光を光サーキュレータ
104に出力するパルス変調器103
光アンテナ105により受光された散乱光(パルス光)を光カプラ106に出力す
る光サーキュレータ104
(5)光サーキュレータ104から出力されたパルス光を大気中に放射したのち、大気中
に存在しているエアロゾルに反射して戻ってくる散乱光を受光する光アンテナ10
5
(6)光分配器102から出力された連続波光と光サーキュレータ104から出力された
散乱光とを合波し、合波後の光である光信号を光受信機107に出力する光カプラ
106
信号に変換し、その電気信号を受信信号として信号処理装置108に出力する光受
信機107
(8)光受信機107から出力された受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換
するとともに、そのディジタル信号を周波数解析して、そのディジタル信号のスペ
クトルを算出し、そのスペクトルからレーザ照射方向の風速(エアロゾルの移動速
度)を算出する信号処理装置108
風力発電用風車では、強い突風によってブレードが損傷することがある。その損傷を避けるために、突風が接近する際には、ブレードの角度を制御して、突風を受け流す必要がある。
このように、突風を受け流す制御を行うには、風車に接近する突風が発生している地点を検出することが可能な装置が必要である。
また、近距離地点の突風の風速及び風向の空間分布を知ることができれば、風車のどの位置に対して、どの方向から、どの程度の風速の突風が到達するかを推測することができる。
図1はこの発明の実施の形態1によるレーザレーダ装置を示す構成図である。
図1において、レーザレーダ1は遠距離地点の風速を測定する第1のレーザレーダである。
レーザレーダ2は、レーザレーダ1における風速の測定地点より近い地点の風速及び風向を測定する近距離地点用の第2のレーザレーダである。
図2において、光源11はローカル光と呼ばれる単一周波数からなる連続波光(レーザ光)を発振する機器である。
光分配器12は光源11から発振された連続波光を2分配して、一方の連続波光をパルス変調器13に出力し、他方の連続波光を光カプラ16に出力する機器である。
パルス変調器13は光分配器12から出力された連続波光に対して所定の周波数シフトを与えるとともに、周波数シフト後の連続波光をパルス変調して、パルス光を光サーキュレータ14に出力する機器である。
光アンテナ15は光サーキュレータ14から出力されたパルス光を大気中に放射したのち、大気中に存在しているエアロゾル(浮遊物)に反射して戻ってくる散乱光を受光する機器である。
光受信機17は光カプラ16から出力された光信号をヘテロダイン検波して、その光信号を電気信号に変換し、その電気信号を受信信号として信号処理装置18に出力する機器である。
なお、光源11、光分配器12、パルス変調器13、光サーキュレータ14、光アンテナ15、光カプラ16及び光受信機17からレーザ光送受信手段が構成されている。
信号処理装置18がコンピュータで構成されている場合、予め、信号処理装置18の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
また、信号処理装置18はコンピュータではなく、複数のハードウェアが組み合わされて構成されていてもよい。例えば、信号処理装置18が、A/D変換器、高速フーリエ解析装置、ドップラー周波数算出装置及び風速算出装置などから構成されているものが考えられる。
高速フーリエ解析装置は、そのA/D変換器から出力されたディジタル信号の受信信号を各々のレンジビン毎に周波数解析して、その受信信号のスペクトルを算出する装置である。
ドップラー周波数算出装置は、各々のレンジビン毎に、その高速フーリエ解析装置により算出されたスペクトルからドップラー周波数を算出する装置である。
風速算出装置は、各々のレンジビン毎に、そのドップラー周波数算出装置により算出されたドップラー周波数から、レーザ照射方向の風速(エアロゾルの移動速度)を算出する装置である。
図3において、光源21はローカル光と呼ばれる単一周波数からなる連続波光(レーザ光)を発振する機器である。
光分配器22は光源21から発振された連続波光を2分配して、一方の連続波光をパルス変調器23に出力し、他方の連続波光を光カプラ26に出力する機器である。
パルス変調器23は光分配器22から出力された連続波光に対して所定の周波数シフトを与えるとともに、周波数シフト後の連続波光をパルス変調して、パルス光を光サーキュレータ24に出力する機器である。
光アンテナ25は光サーキュレータ24から出力されたパルス光を大気中に放射したのち、大気中に存在しているエアロゾル(浮遊物)に反射して戻ってくる散乱光を受光する機器である。
光受信機27は光カプラ26から出力された光信号をヘテロダイン検波して、その光信号を電気信号に変換し、その電気信号を受信信号として信号処理装置30に出力する機器である。
なお、光源21、光分配器22、パルス変調器23、光サーキュレータ24、光アンテナ25、光カプラ26及び光受信機27からレーザ光送受信手段が構成されている。
スキャナ29はスキャナ制御装置28から出力されたスキャナ信号にしたがって光アンテナ25におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする装置である。
なお、スキャナ制御装置28及びスキャナ29からスキャン手段が構成されている。
信号処理装置30がコンピュータで構成されている場合、予め、信号処理装置30の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
また、信号処理装置30はコンピュータではなく、複数のハードウェアが組み合わされて構成されていてもよい。例えば、信号処理装置30が、A/D変換器、高速フーリエ解析装置、ドップラー周波数算出装置及び風速算出装置などから構成されているものが考えられる。
高速フーリエ解析装置は、そのA/D変換器から出力されたディジタル信号の受信信号を各々のレンジビン毎に周波数解析して、その受信信号のスペクトルを算出する装置である。
ドップラー周波数算出装置は、各々のレンジビン毎に、その高速フーリエ解析装置により算出されたスペクトルからドップラー周波数を算出する装置である。
風速算出装置は、各々のレンジビン毎に、そのドップラー周波数算出装置により算出されたドップラー周波数から、レーザ照射方向の風速(エアロゾルの移動速度)を算出する装置である。
なお、信号処理装置30及び風速風向空間分布生成装置31から空間分布算出手段が構成されている。
まず、レーザレーダ1は、遠距離地点の風速を測定する。
以下、レーザレーダ1の処理内容を具体的に説明する。
レーザレーダ1の光源11は、ローカル光と呼ばれる単一周波数からなる連続波光を発振する。
光分配器12は、光源11が連続波光を発振すると、その連続波光を2分配して、一方の連続波光をパルス変調器13に出力し、他方の連続波光を光カプラ16に出力する。
光サーキュレータ14は、パルス変調器13からパルス光を受けると、そのパルス光を光アンテナ15に出力する。これにより、光アンテナ15からパルス光が大気中に放射される。
大気中に放射されたパルス光は、大気中に浮遊しているエアロゾル等の散乱体によって散乱され、その散乱された一部のパルス光(散乱光)は、光アンテナ15によって受光される。
このとき、エアロゾル等の散乱体は、風に乗って移動しているため、光アンテナ15により受光される散乱光は、風速に相当するドップラーシフト周波数が生じている。
光カプラ16は、光分配器12から出力された連続波光と光サーキュレータ14から出力された散乱光とを合波し、合波後の光である光信号を光受信機17に出力する。
光受信機17は、光カプラ16から光信号を受けると、その光信号をヘテロダイン検波して、その光信号を電気信号に変換し、その電気信号を受信信号として信号処理装置18に出力する。
なお、受信信号の周波数は、風速に相当するドップラーシフト周波数と同じ値となる。
ここで、図4は信号処理装置18におけるレンジビン毎のFFT処理を示す説明図である。
信号処理装置18は、各々のレンジビン毎に、ドップラー周波数fDを算出すると、下記の式(1)に示すように、そのドップラー周波数fDと、レーザ光の波長λを用いて、各レンジビンにおける風速vを算出する。
v=fD・λ (1)
突風検出装置19は、当該レンジビンの風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、当該レンジビンの距離に相当する地点で突風が発生していると判定して、その距離を示す距離信号を図示せぬ外部装置に出力する。
以下、レーザレーダ2の処理内容を具体的に説明する。
レーザレーダ2の光源21は、ローカル光と呼ばれる単一周波数からなる連続波光を発振する。
光分配器22は、光源21が連続波光を発振すると、その連続波光を2分配して、一方の連続波光をパルス変調器23に出力し、他方の連続波光を光カプラ26に出力する。
光サーキュレータ24は、パルス変調器23からパルス光を受けると、そのパルス光を光アンテナ25に出力する。これにより、光アンテナ25からパルス光が大気中に放射される。
大気中に放射されたパルス光は、大気中に浮遊しているエアロゾル等の散乱体によって散乱され、その散乱された一部のパルス光(散乱光)は、光アンテナ25によって受光される。
このとき、エアロゾル等の散乱体は、風に乗って移動しているため、光アンテナ25により受光される散乱光は、風速に相当するドップラーシフト周波数が生じている。
光カプラ26は、光分配器22から出力された連続波光と光サーキュレータ24から出力された散乱光とを合波し、合波後の光である光信号を光受信機27に出力する。
光受信機27は、光カプラ26から光信号を受けると、その光信号をヘテロダイン検波して、その光信号を電気信号に変換し、その電気信号を受信信号として信号処理装置30に出力する。
なお、受信信号の周波数は、風速に相当するドップラーシフト周波数と同じ値となる。
スキャナ29は、スキャナ制御装置28からスキャナ信号を受けると、そのスキャナ信号にしたがって光アンテナ25におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする。
このため、光アンテナ25から放射されるパルス光の方向が順次変化し、様々な方向から戻ってくる散乱光が光アンテナ25で順次受光される。
信号処理装置30は、各々のレンジビン毎に、スペクトルを算出すると、信号処理装置18と同様に、そのスペクトルからドップラー周波数fDを算出する。
信号処理装置30は、各々のレンジビン毎に、ドップラー周波数fDを算出すると、上記の式(1)に示すように、そのドップラー周波数fDと波長λを用いて、各レンジビンにおける風速vを算出する。
風速vの測定地点は、パルス光の放射角度と、レーザレーダ2からの距離(レンジビン)から特定することができる。
風速風向空間分布生成装置31は、各々のレンジビン毎に、風速vの測定地点を特定すると、その特定結果から風速v及び風向の空間分布を算出し、その空間分布を示す風速風光空間分布信号を図示せぬ外部装置に出力する。
これにより、レーザレーダを風力発電用風車に適用した場合、突風が発生している地点の時間変化から、風車に対する突風の到着時刻を推測することができるため、風車において、突風を受け流すブレード制御の準備を行うことができる。
また、突風が接近してきた場合、近距離における各地点の風速と風向を把握することで、風車のどの位置に対して、どの方向から、どの程度の風速の突風が到達するかを推測することができるため、風車のブレードの角度や、風車全体の方向を制御して、突風を受け流すことができる。
例えば、ブレードに当たる突風における上下方向の風向を測定して、上下方向のブレード角度を突風における上下方向の風向と合わせることで、突風を受け流すことが可能になる。
また、レーザレーダ1とレーザレーダ2が独立して測定処理を実施するため、複数の突風が接近してきた場合でも、遠距離における突風の検出と、近距離における突風の風速及び風向の空間分布の測定とを同時に行うことができる。このため、突風の検出漏れを防ぐことができる。
図5はレーザレーダ2におけるレーザ光(パルス光)の放射方向が固定されているレーザレーダ装置を示す構成図である。
図5の例では、レーザレーダ2におけるパルス光の放射方向として、固定のN個の放射方向が用意されており、例えば、スイッチによって、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換えるようにしている。
このように、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換える方式を採用する場合、スキャナ29が、光アンテナ25におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする場合より、風速等の測定回数が減少するため、高速な測定が可能になり、突風の時間変化をより詳細に測定することが可能になる。
N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合よりも、高速の測定が可能になる。
ただし、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合、1つの送受信系で足りるため、構成の簡単化を図ることができるが、N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、放射方向の数と同数の受信系が必要となる。
図6は突風及び乱流の風向を示す説明図である。
突風の風向は、図6(a)に示すように、一様な風向であるのに対して、乱流の風向は、図6(b)に示すように、渦を巻いている。
レーザセンサ1から放射されたレーザ光であるパルス光が、渦の中心以外に当たった場合には、風速vを測定することができるため、突風を検出する場合と同様に、その風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、乱流が発生していると判定することができる。
また、コニカルスキャン、ラスタースキャンやセクタースキャンであってもよいし、図7に示すようなスキャンであってもよい。
図8はこの発明の実施の形態2によるレーザレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
制御装置3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、レーザレーダ1の突風検出装置19から出力された距離信号が示す距離L(突風検出装置19により突風が検出された地点までの距離)が距離閾値Lth(所定の距離)より短い場合に限り、レーザレーダ2の測定処理を実施させる装置である。制御装置3は制御手段を構成している。
図9はこの発明の実施の形態2によるレーザレーダ装置の処理内容を示すフローチャートである。
レーザレーダ1は、上記実施の形態1と同様に、各々のレンジビン毎に、遠距離地点の風速vを測定する。
レーザレーダ1は、当該レンジビンの風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、当該レンジビンの距離に相当する地点で突風が発生していると判定して、その距離を示す距離信号を制御装置3及び図示せぬ外部装置に出力する。
制御装置3は、レーザレーダ1の突風検出装置19から出力された距離信号が示す距離Lが距離閾値Lthより短い場合(L<Lth)、突風が発生している地点が近いため、レーザレーダ装置の測定モードを近距離地点の風速を測定する近距離測定モードに設定して、測定処理の開始をレーザレーダ2に指示する(ステップST2)。
レーザレーダ2は、測定処理を開始すると、上記実施の形態1と同様に、各々のレンジビン毎に、近距離地点の風速vを測定する。
レーザレーダ2は、各々のレンジビン毎に、近距離地点の風速vを測定すると、その風速vの測定地点を特定して、その特定結果から風速v及び風向の空間分布を算出し、その空間分布を示す風速風光空間分布信号を制御装置3及び図示せぬ外部装置に出力する(ステップST4)。
制御装置3は、空間分布において、いずれか1以上の風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、近くで突風が発生しているため、レーザレーダ2における測定処理を継続させる。
一方、いずれの風速vも風速閾値vthを上回っていなければ(v≦vth)、近くで突風が発生していないため、レーザレーダ装置の測定モードを遠距離地点の風速を測定する遠距離測定モードに設定して、測定処理の停止をレーザレーダ2に指示する(ステップST6)。
レーザレーダ2は、制御装置3から測定処理の停止指示を受けると、測定処理を停止する(ステップST7)。
図10はレーザレーダ2におけるレーザ光(パルス光)の放射方向が固定されているレーザレーダ装置を示す構成図である。
図10の例では、レーザレーダ2におけるパルス光の放射方向として、固定のN個の放射方向が用意されており、例えば、スイッチによって、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換えるようにしている。
このように、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換える方式を採用する場合、スキャナ29が、光アンテナ25におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする場合より、風速等の測定回数が減少するため、高速な測定が可能になり、突風の時間変化をより詳細に測定することが可能になる。
N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合よりも、高速の測定が可能になる。
ただし、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合、1つの送受信系で足りるため、構成の簡単化を図ることができるが、N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、放射方向の数と同数の受信系が必要となる。
突風の風向は、図6(a)に示すように、一様な風向であるのに対して、乱流の風向は、図6(b)に示すように、渦を巻いている。
レーザセンサ1から放射されたレーザ光であるパルス光が、渦の中心以外に当たった場合には、風速vを測定することができるため、突風を検出する場合と同様に、その風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、乱流が発生していると判定することができる。
また、コニカルスキャン、ラスタースキャンやセクタースキャンであってもよいし、図7に示すようなスキャンであってもよい。
図11はこの発明の実施の形態3によるレーザレーダ装置を示す構成図である。
図11において、レーザレーダ4は制御装置5から出力される測定モードが遠距離測定モードであれば、遠距離地点の風速を測定し、その測定モードが近距離測定モードであれば、近距離地点の風速及び風向を測定するレーダである。
制御装置5は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、測定モードの切替処理を実施する装置である。
即ち、制御装置5は測定モードを遠距離測定モードに設定したとき、レーザレーダ4から出力された距離信号が示す距離Lが距離閾値Lthより短ければ、その測定モードを近距離測定モードに切り替える処理を実施する。なお、制御装置5は制御手段を構成している。
図12において、光源41はローカル光と呼ばれる単一周波数からなる連続波光(レーザ光)を発振する機器である。
光分配器42は光源41から発振された連続波光を2分配して、一方の連続波光をパルス変調器43に出力し、他方の連続波光を光カプラ46に出力する機器である。
パルス変調器43は光分配器42から出力された連続波光に対して所定の周波数シフトを与えるとともに、周波数シフト後の連続波光をパルス変調して、パルス光を光サーキュレータ44に出力する機器である。
光アンテナ45は光サーキュレータ44から出力されたパルス光を大気中に放射したのち、大気中に存在しているエアロゾル(浮遊物)に反射して戻ってくる散乱光を受光する機器である。
光受信機47は光カプラ46から出力された光信号をヘテロダイン検波して、その光信号を電気信号に変換し、その電気信号を受信信号として信号処理装置50に出力する機器である。
なお、光源41、光分配器42、パルス変調器43、光サーキュレータ44、光アンテナ45、光カプラ46及び光受信機47からレーザ光送受信手段が構成されている。
スキャナ49はスキャナ制御装置48から出力されたスキャナ信号にしたがって光アンテナ45におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする装置である。
なお、スキャナ制御装置48及びスキャナ49からスキャン手段が構成されている。
一方、制御装置5により設定された測定モードが近距離測定モードである場合、スキャナ49により放射角度及び受信視野角度がスキャンされている状態で、光受信機47から出力された受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するとともに、そのディジタル信号を周波数解析して、そのディジタル信号のスペクトルを算出する処理を実施する。
また、信号処理装置50は上記のようにして算出したスペクトルから風速を算出する処理を実施する。なお、信号処理装置50はスペクトル算出手段及び風速算出手段を構成している。
信号処理装置50がコンピュータで構成されている場合、予め、信号処理装置50の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
また、信号処理装置50はコンピュータではなく、複数のハードウェアが組み合わされて構成されていてもよい。例えば、信号処理装置50が、A/D変換器、高速フーリエ解析装置、ドップラー周波数算出装置及び風速算出装置などから構成されているものが考えられる。
高速フーリエ解析装置は、そのA/D変換器から出力されたディジタル信号の受信信号を各々のレンジビン毎に周波数解析して、その受信信号のスペクトルを算出する装置である。
風速算出装置は、各々のレンジビン毎に、そのドップラー周波数算出装置により算出されたドップラー周波数から、レーザ照射方向の風速を算出する装置である。
図13はこの発明の実施の形態3によるレーザレーダ装置の処理内容を示すフローチャートである。
まず、制御装置5は、測定モードを遠距離測定モードに設定する(図13のステップST11)。
レーザレーダ4は、制御装置5が測定モードを遠距離測定モードに設定すると、遠距離地点の風速を測定する。
以下、遠距離地点の風速を測定する際のレーザレーダ4の処理内容を具体的に説明する。
このとき、レーザレーダ4の光源41は、ローカル光と呼ばれる単一周波数からなる連続波光を発振する。
光分配器42は、光源41が連続波光を発振すると、その連続波光を2分配して、一方の連続波光をパルス変調器43に出力し、他方の連続波光を光カプラ46に出力する。
光サーキュレータ44は、パルス変調器43からパルス光を受けると、そのパルス光を光アンテナ45に出力する。これにより、光アンテナ45からパルス光が大気中に放射される。
大気中に放射されたパルス光は、大気中に浮遊しているエアロゾル等の散乱体によって散乱され、その散乱された一部のパルス光(散乱光)は、光アンテナ45によって受光される。
このとき、エアロゾル等の散乱体は、風に乗って移動しているため、光アンテナ45により受光される散乱光は、風速に相当するドップラーシフト周波数が生じている。
光カプラ46は、光分配器42から出力された連続波光と光サーキュレータ44から出力された散乱光とを合波し、合波後の光である光信号を光受信機47に出力する。
光受信機47は、光カプラ46から光信号を受けると、その光信号をヘテロダイン検波して、その光信号を電気信号に変換し、その電気信号を受信信号として信号処理装置50に出力する。
なお、受信信号の周波数は、風速に相当するドップラーシフト周波数と同じ値となる。
信号処理装置50は、各々のレンジビン毎に、ドップラー周波数fDを算出すると、上記の式(1)に示すように、そのドップラー周波数fDと波長λを用いて、各レンジビンにおける遠距離地点の風速vを算出する(ステップST13)。
突風検出装置51は、当該レンジビンの風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、当該レンジビンの距離に相当する地点で突風が発生していると判定して、その距離を示す距離信号を制御装置5及び図示せぬ外部装置に出力する(ステップST15)。
制御装置5は、レーザレーダ4の突風検出装置51から出力された距離信号が示す距離Lが距離閾値Lthより短い場合(L<Lth)、突風が発生している地点が近いため、測定モードを遠距離測定モードから近距離測定モードに切り替える(ステップST17)。
レーザレーダ4は、制御装置5が測定モードを遠距離測定モードから近距離測定モードに切り替えると、近距離地点の風速及び風向を測定する。
以下、近距離地点の風速及び風向を測定する際のレーザレーダ4の処理内容を具体的に説明する。
スキャナ49は、スキャナ制御装置48からスキャナ信号を受けると、そのスキャナ信号にしたがって光アンテナ45におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする(ステップST18)。
このため、光アンテナ45から放射されるパルス光の方向が順次変化し、様々な方向から戻ってくる散乱光が光アンテナ45で順次受光される。
ただし、光源41、光分配器42、パルス変調器43、光サーキュレータ44、光アンテナ45、光カプラ46及び光受信機47は、測定モードが近距離測定モードであっても、測定モードが遠距離測定モードである場合と同様の動作を行っている。
信号処理装置50は、各々のレンジビン毎に、ドップラー周波数fDを算出すると、上記の式(1)に示すように、そのドップラー周波数fDと波長λを用いて、各レンジビンにおける近距離地点の風速vを算出する(ステップST19)。
風速風向空間分布生成装置52は、各々のレンジビン毎に、風速vの測定地点を特定すると、その特定結果から風速v及び風向の空間分布を算出し、その空間分布を示す風速風光空間分布信号を制御装置5及び図示せぬ外部装置に出力する(ステップST20)。
制御装置5は、空間分布において、いずれか1以上の風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、近くで突風が発生しているため、風速v及び風向の空間分布の算出処理を継続させる。
一方、いずれの風速vも風速閾値vthを上回っていなければ(v≦vth)、近くで突風が発生していないため、測定モードを近距離測定モードから遠距離測定モードに切り替える(ステップST22)。
レーザレーダ4は、制御装置5が測定モードを近距離測定モードから遠距離測定モードに切り替えると、ステップST12の処理に戻り、遠距離地点の風速の測定処理を再開する。
そこで、初期状態では、遠距離の散乱光における集光位置に光サーキュレータ44を配置しておき、測定モードを遠距離測定モードから近距離測定モードに切り替える際、光アンテナ45と光サーキュレータ44の距離間隔を調整して、近距離の散乱光における集光位置に光カプラ46を再配置するようにする。
これにより、信号対雑音比であるS/Nを改善することができるため、風速の測定精度を改善することが可能になる。
図14はレーザレーダ4におけるレーザ光(パルス光)の放射方向が固定されているレーザレーダ装置を示す構成図である。
図14の例では、レーザレーダ4におけるパルス光の放射方向として、固定のN個の放射方向が用意されており、例えば、スイッチによって、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換えるようにしている。
このように、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換える方式を採用する場合、スキャナ49が、光アンテナ45におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする場合より、風速等の測定回数が減少するため、高速な測定が可能になり、突風の時間変化をより詳細に測定することが可能になる。
N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合よりも、高速の測定が可能になる。
ただし、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合、1つの送受信系で足りるため、構成の簡単化を図ることができるが、N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、放射方向の数と同数の受信系が必要となる。
突風の風向は、図6(a)に示すように、一様な風向であるのに対して、乱流の風向は、図6(b)に示すように、渦を巻いている。
レーザセンサ4から放射されたレーザ光であるパルス光が、渦の中心以外に当たった場合には、風速vを測定することができるため、突風を検出する場合と同様に、その風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、乱流が発生していると判定することができる。
また、コニカルスキャン、ラスタースキャンやセクタースキャンであってもよいし、図7に示すようなスキャンであってもよい。
図15はこの発明の実施の形態4によるレーザレーダ装置を示す構成図であり、図において、図11と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
レーザレーダ6は制御装置5から出力される測定モードが遠距離測定モードであれば、遠距離地点の風速を測定し、その測定モードが近距離測定モードであれば、近距離地点の風速及び風向を測定するレーダである。
変調制御装置53は制御装置5により設定された測定モードが遠距離測定モードである場合、遠距離用の変調パルス信号(変調パルス信号は、パルス変調器43が連続波光をパルス変調する際に使用する信号)をパルス変調器43に出力することで、パルス変調器43により生成されるパルス光のパルス幅をPw1に設定する処理を実施する。
一方、制御装置5により設定された測定モードが近距離測定モードである場合、近距離用の変調パルス信号をパルス変調器43に出力することで、パルス変調器43により生成されるパルス光のパルス幅をPw2(Pw1>Pw2)に設定する処理を実施する。
なお、制御装置5及び変調制御装置53から制御手段が構成されている。
ただし、変調制御装置53が設けられている点以外は、上記実施の形態3と同様であるため、ここでは、主に変調制御装置53の処理内容を説明する。
パルス変調器43は、変調制御装置53から遠距離用の変調パルス信号を受けると、その変調パルス信号を用いて、光分配器42から出力された連続波光をパルス変調して、パルス幅Pw1のパルス光を生成する。
これにより、光アンテナ45からパルス幅Pw1のパルス光が大気中に放射される。
パルス変調器43は、変調制御装置53から近距離用の変調パルス信号を受けると、その変調パルス信号を用いて、光分配器42から出力された連続波光をパルス変調して、パルス幅Pw1より幅が狭いパルス幅Pw2のパルス光を生成する。
これにより、光アンテナ45から幅が狭いパルス幅Pw2のパルス光が大気中に放射される。
ここで、図17は測定モードとレンジビンの幅との関係を示す説明図である。
測定モードが遠距離測定モードであるときに検出された突風が、時間の経過に伴って接近し、その突風の検出地点までの距離Lが距離閾値Lthより短くなると、上述したように、制御装置5が、測定モードを遠距離測定モードから近距離測定モードに切り替える。
このとき、変調制御装置53は、変調制御装置53に対する変調パルス信号を遠距離用の変調パルス信号から近距離用の変調パルス信号に切り替えることで、パルス変調器43により生成されるパルス光のパルス幅を狭くしている。
パルス光のパルス幅を狭くすることで、時間分解能が向上し、各々のレンジビンの幅を短くすることができるため、空間分解能が向上する。
これにより、突風の風速及び風向の空間分布をより詳細に測定することが可能になる。
例えば、パルス光のパルス幅を狭くすると、パルス光であるレーザ光のピークパワーが減少するため、S/Nが低下して、風速の測定精度が低下することがある。
そこで、S/Nをモニタしながら、ユーザにより予め設定されたS/N閾値以上のS/Nを確保するようにパルス幅を設定することで、風速の測定精度の低下を防ぎながら、空間分解能を向上することが可能になる。
なお、測定モードを遠距離測定モードから近距離測定モードに切り替える際、レーザ光の変調方法をパルス変調からCW変調に切り替えるようにしてもよい。
図18はレーザレーダ6におけるレーザ光(パルス光)の放射方向が固定されているレーザレーダ装置を示す構成図である。
図18の例では、レーザレーダ6におけるパルス光の放射方向として、固定のN個の放射方向が用意されており、例えば、スイッチによって、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換えるようにしている。
このように、N個の放射方向の中から、パルス光を放射する放射方向を順番に切り換える方式を採用する場合、スキャナ49が、光アンテナ45におけるパルス光の放射角度及び受信視野角度をスキャンする場合より、風速等の測定回数が減少するため、高速な測定が可能になり、突風の時間変化をより詳細に測定することが可能になる。
N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合よりも、高速の測定が可能になる。
ただし、スイッチを用いて、放射方向を切り替える場合、1つの送受信系で足りるため、構成の簡単化を図ることができるが、N個の放射方向に対して、パルス光を同時に放射する場合、放射方向の数と同数の受信系が必要となる。
突風の風向は、図6(a)に示すように、一様な風向であるのに対して、乱流の風向は、図6(b)に示すように、渦を巻いている。
レーザセンサ4から放射されたレーザ光であるパルス光が、渦の中心以外に当たった場合には、風速vを測定することができるため、突風を検出する場合と同様に、その風速vが風速閾値vthを上回っていれば(v>vth)、乱流が発生していると判定することができる。
CW変調の場合、変調制御装置53が、変調周波数信号を出力し、近距離測定モードでは、変調周波数を高くすることで、時間分解能が向上させ、近距離における風速の空間分布をより高精度に測定するようにしてもよい。
また、コニカルスキャン、ラスタースキャンやセクタースキャンであってもよいし、図7に示すようなスキャンであってもよい。
Claims (6)
- 風速を測定する第1のレーザレーダと、
上記第1のレーザレーダにおける風速の測定地点より近い地点の風速及び風向を測定する第2のレーザレーダとを備え、
上記第1のレーザレーダは、レーザ光を大気中に放射したのち、大気中の浮遊物に反射して戻ってくるレーザ光を受信するレーザ光送受信手段と、上記レーザ光送受信手段によるレーザ光の受信信号を周波数解析して、上記受信信号のスペクトルを算出するスペクトル算出手段と、上記スペクトル算出手段により算出された受信信号のスペクトルから風速を算出する風速算出手段とから構成されており、
上記第2のレーザレーダは、レーザ光を大気中に放射したのち、大気中の浮遊物に反射して戻ってくるレーザ光を受信するレーザ光送受信手段と、上記レーザ光送受信手段におけるレーザ光の放射角度及び受信視野角度をスキャンするスキャン手段と、上記スキャン手段により放射角度及び受信視野角度がスキャンされている状態での上記レーザ光送受信手段によるレーザ光の受信信号を周波数解析して、上記受信信号のスペクトルを算出するスペクトル算出手段と、上記スペクトル算出手段により算出された受信信号のスペクトルから風速及び風向の空間分布を算出する空間分布算出手段とから構成されている
ことを特徴とするレーザレーダ装置。 - 第1のレーザレーダは、風速算出手段により算出された風速を所定の閾値と比較して、強風が発生している地点を検出する強風地点検出手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のレーザレーダ装置。
- 第1のレーザレーダの強風地点検出手段により検出された地点までの距離が所定の距離より短い場合に限り、第2のレーザレーダの測定処理を実施させる制御手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のレーザレーダ装置。
- レーザ光を大気中に放射したのち、大気中の浮遊物に反射して戻ってくるレーザ光を受信するレーザ光送受信手段と、
測定モードが近距離地点の風速を測定する近距離測定モードであれば、上記レーザ光送受信手段によるレーザ光の放射角度及び受信視野角度をスキャンするスキャン手段と、
上記測定モードが遠距離地点の風速を測定する遠距離測定モードであれば、上記スキャン手段により放射角度及び受信視野角度がスキャンされていない状態での上記レーザ光送受信手段によるレーザ光の受信信号を周波数解析して、上記受信信号のスペクトルを算出し、上記測定モードが上記近距離測定モードであれば、上記スキャン手段により放射角度及び受信視野角度がスキャンされている状態での上記レーザ光送受信手段によるレーザ光の受信信号を周波数解析して、上記受信信号のスペクトルを算出するスペクトル算出手段と、
上記測定モードが上記遠距離測定モードであれば、上記スペクトル算出手段により算出された受信信号のスペクトルから風速を算出する風速算出手段と、
上記測定モードが上記近距離測定モードであれば、上記スペクトル算出手段により算出された受信信号のスペクトルから風速及び風向の空間分布を算出する空間分布算出手段と
を備えたレーザレーダ装置。 - 測定モードを切り替える制御手段と、
風速算出手段により算出された風速を所定の閾値と比較して、強風が発生している地点を検出する強風地点検出手段とを備え、
上記制御手段は、測定モードを遠距離測定モードに設定したとき、上記強風地点検出手段により検出された地点までの距離が所定の距離より短ければ、上記測定モードを近距離測定モードに切り替える
ことを特徴とする請求項4記載のレーザレーダ装置。 - 制御手段は、測定モードを遠距離測定モードから近距離測定モードに切り替える際、レーザ光送受信手段から放射されるレーザ光のパルス幅を狭くすることで、空間分解能を高めることを特徴とする請求項5記載のレーザレーダ装置。
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