JP6991397B2 - 乱気流検出装置及び乱気流検出方法 - Google Patents

乱気流検出装置及び乱気流検出方法 Download PDF

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Description

この発明は、航空機に搭載されたジェットエンジンから噴射されるエンジン排気の影響範囲を検出する乱気流検出装置及び乱気流検出方法に関するものである。
空港内の地上面(以下「空港面」という。)での航空機の離着陸の際は、他の航空機の飛行に伴って発生する後方乱気流による影響、及び、他の航空機に搭載されたジェットエンジンから噴射されるエンジン排気による影響も回避する必要がある。エンジン排気は、ジェットブラスト、エンジンブラスト、又は、ジェット噴流等とも呼ばれる。以下、エンジン排気、ジェットブラスト、エンジンブラスト、又は、ジェット噴流等を「ブラスト」という。
ブラストの影響範囲(以下「ブラスト領域」という。)を検出する技術として、例えば、特許文献1には、航空機の位置、移動情報、又は機体情報に基づいてブラスト領域を算出する空港面誘導支援システムが開示されている。
特開2015-228101号公報
ブラストの挙動は、航空機の周辺の風(以下「背景風」という。)により変化する。つまり、ブラストは、航空機の背景風により、噴射方向又は速度が変化する。
特許文献1に開示されている技術に代表される、従来のブラスト領域を検出する技術では、背景風の影響が考慮されておらず、実際のブラスト領域を検出できない場合があるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、背景風を考慮して、ブラスト領域を検出する乱気流検出装置を提供することを目的とする。
この発明に係る乱気流検出装置は、観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部と、モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部と、風向風速推定部が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部と、風向風速推定部が推定したレンジセル毎の風速値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値が風速判定用閾値を超えている風速ブラスト候補セルであるか否かを判定する風速判定部と、風向風速推定部が推定したレンジセル毎の風向値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と風向判定用基準値との差が風向判定用範囲内である風向ブラスト候補セルであるか否かを判定する風向判定部とを備え、ブラスト検出部は、風速判定部が判定した風速ブラスト候補セルと、風向判定部が判定した風向ブラスト候補セルから、ブラスト領域を検出する第1ブラスト検出部を備えたことを特徴とするものである。
この発明によれば、背景風を考慮して、ブラスト領域を検出することができる。
実施の形態1に係る乱気流検出装置によるブラストの観測状況のイメージの一例を説明するための模式図である。 実施の形態1に係る乱気流検出装置を搭載したドップラライダ装置の構成例を示す図である。 実施の形態1に係る乱気流検出装置の構成例を示す図である。 実施の形態1において、第1ブラスト検出部が、ブラストセルを検出する流れのイメージを説明するための図である。 実施の形態1に係る乱気流検出装置の動作の概要について説明するためのフローチャートである。 実施の形態1に係る乱気流検出装置の、より具体的な動作について説明するためのフローチャートである。 実施の形態2に係る乱気流検出装置の構成例を示す図である。 実施の形態2に係る乱気流検出装置の、より具体的な動作について説明するためのフローチャートである。 実施の形態3に係る乱気流検出装置の構成例を示す図である。 実施の形態3において、周辺レンジセルを注目セルに隣接する8レンジセルとした場合の、注目レンジセル及び周辺レンジセルのイメージを説明する図である。 実施の形態3に係る乱気流検出装置の、より具体的な動作について説明するためのフローチャートである。 実施の形態1~実施の形態3に係る乱気流検出装置において、不要な物体からの応答が混入しているレンジセルを除去した上で、風向値及び風速値を推定するようにした風向風速推定部の構成例を示す図である。 実施の形態1~実施の形態3において、風向風速推定部が不要セル抑圧部を備えるようにした場合の、不要セル抑圧部の動作を説明するための図である。 図14A,図14Bは、実施の形態1~実施の形態3に係る乱気流検出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
近年、航空機利用者の増大により、特に大都市に近接する空港では、空港における交通容量(以下「空港交通容量」という。)の増加が望まれている。空港交通容量を増加させるための一方策としては、滑走路の利用率を上げ、離着陸数を増加させることが考えられる。なお、空港交通容量を増加させるため、滑走路を増設することも一方策ではあるが、滑走路の増設は、一般に、容易なことではない。
現行、空港面での航空機の離着陸間隔は、ICAO(International Civil Aviation Organization;国際民間航空機関)によって規定された、航空機の飛行に伴って発生する後方乱気流による影響を回避するのに十分な時間及び距離を指標としている。なお、後方乱気流とは、翼端渦、伴流渦、後曳き渦、又はウェイクタービュランス等をいう。
しかし、例えば、交差滑走路を有する空港では、一方の滑走路から離陸する航空機のブラストが他方の滑走路に着陸する航空機に対し急激な風速変化として影響を及ぼすことが懸念されている。したがって、交差滑走路を有する空港では、航空機の離着陸間隔の設定について、ブラストの影響を回避するのに十分な時間の確保も考慮した、より複雑な運用がなされる必要がある。
なお、ブラストは、高温高圧の排気であり、当該ブラストの影響範囲は、航空機のエンジン後方数100メートルに及ぶ。従って、交差滑走路だけでなく、近接平行滑走路、さらには、滑走路以外の誘導路又は駐機場等においてもブラストの影響が及び、トーイングトラクター、タグ車、又は、バス等の運用にも影響を及ぼす可能性がある。このように、交差滑走路を有する空港に限らず、あらゆる空港の空港面において、航空機のブラストが他の航空機等に対して影響を及ぼすことが想定され、ブラストを考慮して空港面での航空機の離着陸間隔が確保されなければならない。
一方、ブラストは、空港面内に設置されている風向風速計により定点監視されているほか、航空機の位置もしくは速度等の航空機の移動情報、又は、航空機の機体情報により、ある程度予測できる。そのため、上述した従来技術のように、航空機の位置、航空機の移動情報、又は、航空機の機体情報を用いて、ブラスト領域を検出する技術が知られている。
しかしながら、上述したとおり、ブラストの挙動は背景風により大きく変化する。
滑走路の利用率を上げるには、時々刻々のブラスト領域の正確な把握が必要であるのに対し、従来の、上述したようなブラスト領域の予測方法では、背景風の影響を受けたブラスト領域を正確に把握することが困難であった。
これに対し、実施の形態1に係る乱気流検出装置は、背景風を考慮して、ブラスト領域を検出するようにしている。
実施の形態1に係る乱気流検出装置は、例えば、ドップラライダ装置に搭載されることを想定している。なお、これは一例に過ぎず、乱気流検出装置は、例えば、遠隔に存在する目標又は物体の距離及び速度を計測するための電磁波又は音波等の波動を用いた種々の観測装置に搭載され得る。観測装置としては、レーダ装置、ライダ装置、又は、ソーダ装置等が挙げられる。レーダ装置とは例えばドップラレーダ装置であり、ライダ装置とは例えば上記ドップラライダ装置、光波レーダ装置、又はレーザレーダ装置であり、ソーダ装置とは例えばドップラソーダ装置又は音波レーダ装置である。
実施の形態1に係る乱気流検出装置は、ドップラライダ装置が空港面内の観測領域を観測するためにビームを送受信した結果得られた受信信号を用いて、観測領域内におけるブラスト領域を検出する。
図1は、実施の形態1に係る乱気流検出装置1によるブラストの観測状況のイメージの一例を説明するための模式図である。
乱気流検出装置1は、ドップラライダ装置2がビーム走査する観測領域において、ブラスト領域を検出する。
図1では、乱気流検出装置1は、交差滑走路を有する空港の空港面に設定された観測領域において、ブラスト領域を検出するものとしている。
なお、図1では一例として、乱気流検出装置1は、交差滑走路を有する空港にて、ブラスト領域を検出するものとしたが、これは一例に過ぎない。
乱気流検出装置1は、あらゆる空港の空港面において、ブラスト領域を検出することができる。
図1において、滑走路A上の出発機は、図上、左側の矢印1000aの方向に離陸を開始しており、機体後方からはブラスト1001が噴射されている。また、滑走路Aと交差する滑走路Bには、到着機が、図上、右側の矢印1000bの方向に進入している。
乱気流検出装置1が搭載されたドップラライダ装置2は、滑走路A及び滑走路Bを含むように設定された観測領域を、所定の高度で水平にビーム走査する。所定の高度とは、例えば、滑走路上の航空機のエンジンが存在し得る高度(以下「エンジン高度」という。)である。なお、図1では、ドップラライダ装置2がビーム走査する観測領域は、扇形であらわされるものとしている。
ドップラライダ装置2は、予め設定された周期で上記ビーム走査を行う。乱気流検出装置1は、ドップラライダ装置2が観測領域をビーム走査した結果に基づき、ブラスト領域の検出を行う。
以下の説明において、ドップラライダ装置2による、一周期分の、扇形の観測領域の一方の半径から他方の半径までのビーム走査を、一走査又は一観測という。なお、ここでは、観測領域を扇形とし、ドップラライダ装置2は、一周期で、扇形の範囲をビーム走査するものとするが、これに限らず、観測領域が略円形状であり、ドップラライダ装置2は、一周期で、略円形状の範囲をビーム走査する場合もある。ドップラライダ装置2が一周期でビーム走査する範囲が略円形状であらわされる場合は、一周する走査を一走査又は一観測という。また、ドップラライダ装置2は、ビーム走査を、1本のビームに限らず、複数のビームを同時に送受信することで行ってもよい。
観測領域は、ビーム走査の方向である方位方向と、ビーム走査の方向と略直行するレンジ方向に区分けされる。具体的には、観測領域は、所定の方位毎及び所定のレンジ毎に、区分けされる。観測領域が方位方向及びレンジ方向に区分けされてできる複数の領域のそれぞれを、「レンジセル」という。
図1において、方位方向を1002の矢印、レンジ方向を1003の矢印で示している。なお、レンジ方向は、視線方向ともいう。
図2は、実施の形態1に係る乱気流検出装置1を搭載したドップラライダ装置2の構成例を示す図である。
図2に示すように、ドップラライダ装置2は乱気流検出装置1を搭載し、電磁波放射部21及び送受信部22を備える。
電磁波放射部21は、予め設定された周期(以下「波動放射周期」という。)単位で、送受信部22から伝送された送信光パルスに基づく電磁波を観測領域へ放射する。実施の形態1では、電磁波放射部21は、波動放射周期単位で、送受信部22から伝送された送信光パルスを送信光に変換して、当該送信光を観測領域へ放射する。そして、電磁波放射部21は、観測領域内の大気による、上記送信光の反射光を受信する。電磁波放射部21は、例えば、送信光を空間へ放射する際に送信光を収束させる望遠鏡、及び、放射の方向を制御する反射鏡で構成される。
電磁波放射部21が観測領域へ放射した送信光は、大気中の微粒子で反射される。その際、反射位置の風速に応じてドップラ効果が生じるため、大気による反射光の周波数はドップラ効果による偏移を受ける。
電磁波放射部21は、観測領域へ放射した送信光の、大気による反射光を受信し電気信号に変換した後、当該電気信号を受信信号として、送受信部22に伝送する。
送受信部22は、電磁波放射部21を介して観測領域へ放射する送信光のもととなる送信光パルスを、電気信号として生成する。また、送受信部22は、電磁波放射部21が観測領域へ放射した送信光の、大気による反射光を、電磁波放射部21が電気信号に変換した受信信号を受信する。送受信部22は、受信した受信信号に、増幅、周波数変換等の処理を施した後、当該処理を施した後の受信信号を、乱気流検出装置1へ出力する。
乱気流検出装置1は、送受信部22から出力された受信信号に基づき、ブラスト領域を検出する。乱気流検出装置1の詳細については、後述する。
乱気流検出装置1は、ブラスト領域を検出した結果として、ブラスト領域及びブラスト強度に関する情報を出力する。実施の形態1において、ブラスト強度とは、ブラストの風速値をいう。なお、ブラストの風速は、絶対風速である。
図3は、実施の形態1に係る乱気流検出装置1の構成例を示す図である。
乱気流検出装置1は、モーメント算出部101、風向風速推定部102、風速判定部103、風向判定部104、及び、ブラスト検出部105を備える。ブラスト検出部105は、第1ブラスト検出部1051を備える。
モーメント算出部101は、ドップラライダ装置2の送受信部22から出力された受信信号を取得し、取得した受信信号のスペクトルから、レンジセル毎の、信号強度(いわゆる「0次モーメント」)、ドップラ速度(いわゆる「1次モーメント」)、又は、スペクトル幅(いわゆる「2次モーメント」)等を算出する。なお、ドップラ速度は、視線速度ともいう。実施の形態1において、モーメント算出部101が受信信号に基づいて算出する、信号強度、ドップラ速度、又は、スペクトル幅等を、まとめて「モーメント情報」ともいう。ドップラライダの受信信号からモーメント情報を算出する方法は、既知の一般的な方法を用いればよいため、詳細な説明を省略する。
モーメント算出部101は、算出したモーメント情報を各レンジセルに付与して、受信信号を、風向風速推定部102に出力する。モーメント算出部101がモーメント情報を付与して風向風速推定部102に出力する受信信号を、「モーメント付与後受信信号」ともいう。
風向風速推定部102は、モーメント算出部101から出力されたモーメント付与後受信信号について、モーメント算出部101が算出したドップラ速度を用いて、レンジセル毎の、風向値及び風速値を推定する。ドップラ速度から風向値及び風速値を推定する技術は、既知の技術であるため詳細な説明は省略する。風向風速推定部102が推定する風向及び風速を、「速度ベクトル」ともいう。
このとき、風向風速推定部102は、所定の小方位角範囲に含まれる少なくとも2本以上のビームに基づいて得られたドップラ速度を用いて、風向値及び風速値を推定する。風向風速推定部102は、風向値及び風速値を、上記小方位角範囲内の風向及び風速が一様であると仮定して推定する。なお、所定の小方位角範囲の設定方法としては、0°~10°、10°~20°、・・・というように、小方位角範囲を実質的に重複なく設定する方法が挙げられる。これは一例に過ぎず、例えば、0°~10°、5°~15°、・・・というように、小方位角範囲を重複させながら、当該小方位範囲を設定するようにしてもよい。
風向風速推定部102は、推定した風向値及び風速値を、モーメント付与後受信信号の各レンジセルに付与して、風速判定部103及び風向判定部104に出力する。風向風速推定部102が風向及び風速を付与して風速判定部103及び風向判定部104に出力するモーメント付与後受信信号を、「ベクトル付与後受信信号」ともいう。なお、ベクトル付与後受信信号の各レンジセルには、風向値及び風速値の他、モーメント情報も付与されている。
風速判定部103は、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風速値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルがブラスト領域のレンジセル(以下「ブラストセル」という。)の候補となるレンジセル(以下「風速ブラスト候補セル」という。)であるか否かを判定する。具体的には、風速判定部103は、レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値が、予め設定された閾値(以下「風速判定用閾値」という。)を超えているか否かを判定する。風速判定用閾値には、予め、ユーザ等によって、ブラストを判定するのに適した値が設定されている。風速判定部103は、レンジセルの風速値が風速判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風速ブラスト候補セルであるとし、風速ブラスト候補セルに、風速ブラスト候補セルフラグを付与する。
風速判定部103は、風速ブラスト候補セルに風速ブラスト候補セルフラグを付与したベクトル付与後受信信号を、第1ブラスト検出部1051に出力する。風速判定部103が風速ブラスト候補セルフラグを付与して第1ブラスト検出部1051に出力するベクトル付与後受信信号を、「風速判定後受信信号」ともいう。風速判定後受信信号において、風速ブラスト候補セルには風速ブラスト候補セルフラグが付与されている他、風速判定後受信信号の各レンジセルには、モーメント情報、風向値及び風速値も付与されている。なお、ここでは、風速判定後受信信号において、風速ブラスト候補セルには風速ブラスト候補セルフラグが付与され、各レンジセルには、モーメント情報、風向値及び風速値が付与されているものとするが、これは一例に過ぎず、風速判定後受信信号の各レンジセルには、少なくとも、レンジセルが風速ブラスト候補セルである場合の風速ブラスト候補セルフラグと、風速値が付与されていればよい。
風向判定部104は、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風向値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルがブラストセルの候補となるレンジセル(以下「風向ブラスト候補セル」という。)であるか否かを判定する。具体的には、風向判定部104は、レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と予め設定された基準値(以下「風向判定用基準値」という。)との差の絶対値が、予め設定された範囲(以下「風向判定用範囲」という。)内であるか否かを判定する。風向判定用基準値には、予め、ユーザ等によって、レンジセルの風向がブラストと推定される方向の値が設定されている。具体的には、風向判定用基準値には、予め、ユーザ等によって、航空機の脅威となるブラストの風向を示す角度が設定されている。
航空機は、一般に、追い風又は向かい風に比べ、横風に対して弱いとされている。そのため、ブラストが滑走路上の航空機の脅威となるのは、一般に、ブラストが航空機の機体に対して横風となる場合、言い換えれば、ブラストが航空機の機体の向きに対して直角となる場合である。なお、実施の形態1において、「直角」とは、厳密に「直角」である必要はなく、「直角」には、「略直角」も含む。
一方、滑走路上の航空機の機体の向きは、滑走路の向きと略平行と推定される。そのため、風向が滑走路の向きに対して直角である場合、当該風向は航空機の機体の向きに対して直角であると言える。
そこで、実施の形態1では、風向判定部104は、滑走路の向きと、レンジセルに付与されている風向値とがなす角によって、航空機の脅威となるブラストセルである可能性があるレンジセルを風向ブラスト候補セルと判定するものとする。そして、風向判定用基準値には、レンジセルの風向が、航空機にとって脅威となるブラストの風向を示す、滑走路の向きと風向とのなす角度が設定されているものとする。実施の形態1では、一例として、風向判定用基準値には、「90°」が設定されているものとする。また、風向判定用範囲には、風向判定用基準値90°を基準として、「±45°」が設定されているものとする。
風向判定部104は、レンジセルの風向値と風向判定用基準値との差の絶対値が風向判定用範囲内である場合、当該レンジセルは風向ブラスト候補セルであるとし、風向ブラスト候補セルに、風向ブラスト候補セルフラグを付与する。
風向判定部104は、風向ブラスト候補セルに風向ブラスト候補セルフラグを付与したベクトル付与後受信信号を、第1ブラスト検出部1051に出力する。風向判定部104が風向ブラスト候補セルフラグを付与して第1ブラスト検出部1051に出力するベクトル付与後受信信号を、「風向判定後受信信号」ともいう。風向判定後受信信号において、風向ブラスト候補セルには風向ブラスト候補セルフラグが付与されている他、風向判定後受信信号の各レンジセルには、モーメント情報、風向値及び風速値も付与されている。なお、ここでは、風向判定後受信信号において、風向ブラスト候補セルには風向ブラスト候補セルフラグが付与され、各レンジセルには、モーメント情報、風向値及び風速値が付与されているものとするが、これは一例に過ぎず、風向判定後受信信号の各レンジセルには、少なくとも、レンジセルが風向ブラスト候補セルである場合の風向ブラスト候補セルフラグと、風向値が付与されていればよい。
ブラスト検出部105は、風向風速推定部102が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出する。
具体的には、ブラスト検出部105の第1ブラスト検出部1051は、風速判定部103から出力された風速判定後受信信号と、風向判定部104から出力された風向判定後受信信号に基づき、ブラスト領域を検出する。第1ブラスト検出部1051は、風速判定後受信信号における風速ブラスト候補セルと、風向判定後受信信号における風向ブラスト候補セルの論理積を取り、風速ブラスト候補セルであり、かつ、風向ブラスト候補セルであるレンジセルを、ブラストセルとして検出する。風速ブラスト候補セルであり、かつ、風向ブラスト候補セルであるブラストセルは、風速及び風向がともにブラストの特徴を有しているレンジセルである。すなわち、第1ブラスト検出部1051は、風速及び風向がともにブラストの特徴を有しているレンジセルを、ブラストセルとして検出する。
なお、第1ブラスト検出部1051は、風速ブラスト候補セル又は風向ブラスト候補セルを、風速ブラスト候補セルフラグ又は風向ブラスト候補セルフラグによって判断すればよい。
ここで、図4は、実施の形態1において、第1ブラスト検出部1051が、ブラストセルを検出する流れのイメージを説明するための図である。なお、図4では、ドップラライダ装置2の観測領域は、扇形としている。図4において、観測領域のイメージを、401、402、及び、403で示している。なお、図4では、観測領域におけるレンジセルを図示するようにしている。
図4では、風速判定部103が判定した風速ブラスト候補セル(図4の401aで示す)と、風向判定部104が判定した風向ブラスト候補セル(図4の402aで示す)から、第1ブラスト検出部1051が、風速ブラスト候補セル401aであり、かつ、風向ブラスト候補セル402aであるレンジセルを、ブラストセル(図4の403aで示す)として検出したイメージを示している。ブラストセル403aは、風速においても風向においても、ともに、ブラストの特徴を有するレンジセルである。ブラストセルを含む領域が、ブラスト領域である。
第1ブラスト検出部1051は、検出したブラスト領域に関する情報を、ブラスト検出結果として、出力する。具体的には、第1ブラスト検出部1051は、各レンジセルに、少なくとも、ブラストセルであるか否かの情報を付与した受信信号を出力する。実施の形態1では、第1ブラスト検出部1051は、各レンジセルに、ブラストセルであるか否かの情報に加え、当該レンジセルがブラストセルの場合には風速値及び風向値を付与した受信信号を、出力するものとする。例えば、第1ブラスト検出部1051は、ドップラライダ装置2から出力された受信信号の各レンジセルに、ブラストセルであるか否かの情報と、風速値及び風向値を付与するようにすればよい。
このように、第1ブラスト検出部1051は、ブラスト領域を検出した結果として、ブラスト領域及びブラスト強度に関する情報を出力する。
実施の形態1に係る乱気流検出装置1の動作について説明する。
図5は、実施の形態1に係る乱気流検出装置1の動作の概要について説明するためのフローチャートである。
モーメント算出部101は、ドップラライダ装置2の送受信部22から出力された受信信号を取得し、取得した受信信号のスペクトルから、レンジセル毎の、モーメント情報を算出する(ステップST501)。
風向風速推定部102は、ステップST501にてモーメント算出部101から出力されたモーメント付与後受信信号について、モーメント算出部101が算出したドップラ速度を用いて、レンジセル毎の、風向値及び風速値を推定する(ステップST502)。
ブラスト検出部105は、ステップST502にて風向風速推定部102が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出する(ステップST503)。
図6は、実施の形態1に係る乱気流検出装置1の、より具体的な動作について説明するためのフローチャートである。
なお、図6のステップST601~ステップST602の具体的な動作は、図5のステップST501~ステップST502の具体的な動作と同様であるため、重複した説明を省略する。
風速判定部103は、ステップST602にて風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風速値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルがブラストセルの候補となる風速ブラスト候補セルであるか否かを判定する(ステップST603)。具体的には、風速判定部103は、レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値が風速判定用閾値を超えているか否かを判定する。風速判定部103は、レンジセルの風速値が風速判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風速ブラスト候補セルであるとし、風速ブラスト候補セルに、風速ブラスト候補セルフラグを付与する。
風速判定部103は、風速ブラスト候補セルに風速ブラスト候補セルフラグを付与した風速判定後受信信号を、第1ブラスト検出部1051に出力する。
風向判定部104は、ステップST602にて風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風向値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルがブラストセルの候補となる風向ブラスト候補セルであるか否かを判定する(ステップST604)。具体的には、風向判定部104は、レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と風向判定用基準値との差の絶対値が、風向判定用範囲内であるか否かを判定する。風向判定部104は、レンジセルの風向値と風向判定用基準値との差の絶対値が風向判定用範囲内である場合、当該レンジセルは風向ブラスト候補セルであるとし、風向ブラスト候補セルに、風向ブラスト候補セルフラグを付与する。
風向判定部104は、風向ブラスト候補セルに風向ブラスト候補セルフラグを付与した風向判定後受信信号を、第1ブラスト検出部1051に出力する。
第1ブラスト検出部1051は、ステップST603にて風速判定部103から出力された風速判定後受信信号と、ステップST604にて風向判定部104から出力された風向判定後受信信号に基づき、ブラスト領域を検出する(ステップST605)。
具体的には、第1ブラスト検出部1051は、風速判定後受信信号における風速ブラスト候補セルと、風向判定後受信信号における風向ブラスト候補セルの論理積を取り、風速ブラスト候補セルであり、かつ、風向ブラスト候補セルであるレンジセルを、ブラストセルとして検出する。
第1ブラスト検出部1051は、検出したブラスト領域に関する情報を、ブラスト検出結果として、出力する。
図6において、ステップST603の処理とステップST604の処理を並列的に記載したが、ステップST603の処理とステップST604の処理は、逐次的に行われるようにしてもよい。
以上の実施の形態1では、第1ブラスト検出部1051は、風速ブラスト候補セルと風向ブラスト候補セルの論理積を取って、ブラストセルを検出するようにしたが、これは一例に過ぎない。例えば、第1ブラスト検出部1051は、風速ブラスト候補セルと風向ブラスト候補セルの論理和を取って、ブラストセルを検出するようにしてもよい。
例えば、風向風速推定部102による風向値及び風速値の推定精度、風速判定部103による風速ブラスト候補セルの判定精度、又は、風向判定部104による風向ブラスト候補セルの判定精度が悪く、風速ブラスト候補セル又は風向ブラスト候補セルの見逃し等が多く発生すると予想される場合もある。このような場合に、第1ブラスト検出部1051が、風速値又は風向値の一方でもブラストの特徴を有しているレンジセルをブラストセルと判定することで、乱気流検出装置1は、上述したような判定精度が悪いことを考慮した、ブラスト領域の検出を行うことができる。
また、一般に、風向値及び風速値を精度良く推定するためには、小方位角範囲をある程度広く設定する必要がある。一方で、小方位角範囲を広く設定すると、方位角方向の分解能が劣化する、又は、局所的な風向値もしくは風速値の変動が捉えづらくなる等の問題が発生することがある。そのため、風向風速推定部102が、風向値及び風速値を推定するにあたり、広い小方位角範囲を確保することが困難となる場合が考えられる。風向風速推定部102が広い小方位角範囲を確保することが困難である場合、風向風速推定部102が推定する風向値又は風速値には、精度の劣化した風向値又は風速値が含まれ得る。その結果、風速判定部103が、風速ブラスト候補セルを見逃す等の事態が発生することがあり得る。また、風向判定部104が、風向ブラスト候補セルを見逃す等の事態が発生することがあり得る。
上述したような、風速ブラスト候補セル又は風向ブラスト候補セルの判定の精度が劣化することに対応するため、以上の実施の形態1において、風速判定部103は、例えば、風速ブラスト候補セルを判定した後、当該風速ブラスト候補セルに、画像処理的な補正を行うようにしてもよい。また、例えば、風向判定部104は、風向ブラスト候補セルを判定した後、当該風向ブラスト候補セルに、画像処理的な補正を行うようにしてもよい。例えば、風速判定部103又は風向判定部104は、モルフォロジーフィルタ処理を行う。モルフォロジーフィルタは、既知の一般的な処理であるため、詳細な説明は省略するが、例えば、風速判定部103又は風向判定部104は、クロージング処理を行うことによって、空間的な不整合を改善することができる。クロージング処理とは、モルフォロジーフィルタにおいて膨張処理後に収縮処理を行う一連の処理である。空間的な不整合とは、風速ブラスト候補セル又は風向ブラスト候補セルの見逃し等をいう。また、風速判定部103又は風向判定部104は、オープニング処理を行うことによって、誤推定した風速ブラスト候補セル又は風向ブラスト候補セルを除去することができる。オープニング処理とは、モルフォロジーフィルタにおいて収縮処理後に膨張処理を行う一連の処理である。
このように、実施の形態1に係る乱気流検出装置1は、風速及び風向に対しブラストの特徴を有するレンジセルを判定した後、それぞれ補正した後に、論理積もしくは論理和として最終的なブラスト領域を判定するようにしてもよい。これにより、風向値及び風速値推定の過程で発生する精度の劣化を抑えることができ、補正を行うことなくブラスト領域を検出する場合に比べ、より精度の高いブラスト領域の検出が可能である。
以上のように、実施の形態1によれば、乱気流検出装置1は、観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部101と、モーメント算出部101が算出したドップラ速度に基づき、レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部102と、風向風速推定部102が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部105を備えるように構成した。より具体的には、実施の形態1において、乱気流検出装置1は、風向風速推定部102が推定したレンジセル毎の風速値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値が風速判定用閾値を超えている風速ブラスト候補セルであるか否かを判定する風速判定部103と、風向風速推定部102が推定したレンジセル毎の風向値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と風向判定用基準値との差が風向判定用範囲内である風向ブラスト候補セルであるか否かを判定する風向判定部104とを備え、ブラスト検出部105は、風速判定部103が判定した風速ブラスト候補セルと、風向判定部が判定した風向ブラスト候補セルから、ブラスト領域を検出する第1ブラスト検出部1051を備えるように構成した。そのため、背景風を考慮して、ブラスト領域を検出することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、乱気流検出装置1は、風向及び風速の絶対的な値によりブラスト領域を判定していた。
一方、滑走路上の航空機にとっては、滑走路上で風向及び風速が急激に変化することも、脅威となる。そこで、実施の形態2では、風向及び風速の時間変化も広義のブラストとして、ブラスト領域を検出する実施の形態について説明する。
実施の形態2に係る乱気流検出装置1aも、実施の形態1に係る乱気流検出装置1と同様、一例として、ドップラライダ装置2に搭載されるものとする。
乱気流検出装置1aを搭載したドップラライダ装置2の構成例は、実施の形態1において、図2を用いて説明したドップラライダ装置2の構成例と同様であるため、重複した説明を省略する。
乱気流検出装置1aは、ブラスト領域を検出した結果として、ブラスト領域及びブラスト強度に関する情報を出力する。実施の形態2において、ブラスト強度とは、ブラストの風速の時間変化をいう。
図7は、実施の形態2に係る乱気流検出装置1aの構成例を示す図である。
図7において、実施の形態1にて図3を用いて説明した乱気流検出装置1の構成と同様の構成については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
実施の形態2に係る乱気流検出装置1aは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1とは、風向風速格納部106、風速時間差算出部107、風向時間差算出部108、風速時間差判定部109、風向時間差判定部110を備える点が異なる。また、実施の形態2に係る乱気流検出装置1aは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1とは、ブラスト検出部105aが第2ブラスト検出部1052を備える点が異なる。また、実施の形態2に係る乱気流検出装置1aは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1が備えていた、風速判定部103、風向判定部104、及び、第1ブラスト検出部1051をいずれも備えない。
風向風速格納部106は、波動放射周期に観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された送信光に基づく受信信号に、風向風速推定部102が推定した風向値及び風速値が付与された、ベクトル付与後受信信号を、履歴で格納する。
実施の形態2では、風向風速推定部102は、ベクトル付与後受信信号を、風向風速格納部106に格納する。また、風向風速推定部102は、ベクトル付与後受信信号を、風速時間差算出部107、及び、風向時間差算出部108に出力する。
なお、ここでは、図7に示すように、風向風速格納部106は、乱気流検出装置1aに備えられるものとするが、これは一例に過ぎない。風向風速格納部106は、乱気流検出装置1aの外部の、乱気流検出装置1aが参照可能な場所に備えられるようになっていてもよい。
風速時間差算出部107は、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風速値に基づき、各レンジセルについて、レンジセルの風速値と、当該ベクトル付与後受信信号の一走査前のベクトル付与後受信信号に基づくレンジセルの風速値との差(以下「風速時間差」という。)を算出する。
風速時間差算出部107は、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の一走査前のベクトル付与後受信信号を、風向風速格納部106から取得する。例えば、ベクトル付与後受信信号には、ドップラライダ装置2において受信信号を取得した日時が付与されているものとし、風速時間差算出部107は、当該日時から、一走査前のベクトル付与後受信信号を判断するようにすればよい。
なお、風速時間差算出部107は、一走査前のベクトル付与後受信信号を取得不可能な場合、予め設定された所定の時間範囲内で、最も近接するビーム走査時に取得されたベクトル付与後受信信号を、一走査前のベクトル付与後受信信号とすればよい。
風速時間差算出部107は、算出した風速時間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセルに付与して、当該ベクトル付与後受信信号を、風速時間差判定部109に出力する。風速時間差算出部107が風速時間差を付与して風速時間差判定部109に出力するベクトル付与後受信信号を、「風速時間差付与後受信信号」ともいう。なお、風速時間差付与後受信信号の各レンジセルには、風速時間差の他、風向値、風速値、及び、モーメント情報も付与されている。
風向時間差算出部108は、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風向値に基づき、各レンジセルについて、レンジセルの風向値と、当該ベクトル付与後受信信号の一走査前のベクトル付与後受信信号に基づくレンジセルの風向値との差(以下「風向時間差」という。)を算出する。風向時間差は、基本的に、劣角で表わされるものとする。
風向時間差算出部108は、風速時間差算出部107と同様の方法で、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の一走査前のベクトル付与後受信信号を、取得すればよい。
風向時間差算出部108は、算出した風向時間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセルに付与して、当該ベクトル付与後受信信号を、風向時間差判定部110に出力する。風向時間差算出部108が風向時間差を付与して風向時間差判定部110に出力するベクトル付与後受信信号を、「風向時間差付与後受信信号」ともいう。なお、風向時間差付与後受信信号の各レンジセルには、風向時間差の他、風向値、風速値、及び、モーメント情報も付与されている。
風速時間差判定部109は、風速時間差算出部107から出力された風速時間差付与後受信信号に付与されている風速時間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが、ブラストセルの候補となるレンジセル(以下「風速時間差ブラスト候補セル」という。)であるか否かを判定する。具体的には、風速時間差判定部109は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風速時間差が、予め設定された閾値(以下「風速時間差判定用閾値」という。)を超えているか否かを判定する。風速時間差判定用閾値には、予め、ユーザ等によって、ブラストを判定するのに適した、風速の時間的な変化の値が設定されている。風速時間差判定部109は、レンジセルに付与されている風速時間差が風速時間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風速時間差ブラスト候補セルであるとし、風速時間差ブラスト候補セルに、風速時間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風速時間差判定部109は、風速時間差ブラスト候補セルに、風速時間差ブラスト候補セルフラグを付与した風速時間差付与後受信信号を、第2ブラスト検出部1052に出力する。風速時間差判定部109が風速時間差ブラスト候補セルフラグを付与して第2ブラスト検出部1052に出力する風速時間差付与後受信信号を、「風速時間差判定後受信信号」ともいう。風速時間差判定後受信信号において、風速時間差ブラスト候補セルには風速時間差ブラスト候補セルフラグが付与されている他、風速時間差判定後受信信号の各レンジセルには、モーメント情報、風速時間差の情報、風向値及び風速値も付与されている。なお、ここでは、風速時間差判定後受信信号において、風速時間差ブラスト候補セルには風速時間差ブラスト候補セルフラグが付与され、各レンジセルには、モーメント情報、風速時間差の情報、風向値及び風速値が付与されているものとするが、これは一例に過ぎず、風速時間差判定後受信信号の各レンジセルには、少なくとも、レンジセルが風速時間差ブラスト候補セルである場合の風速時間差ブラスト候補セルフラグと、風速時間差の情報が付与されていればよい。
風向時間差判定部110は、風向時間差算出部108から出力された風向時間差付与後受信信号に付与されている風向時間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが、ブラストセルの候補となるレンジセル(以下「風向時間差ブラスト候補セル」という。)であるか否かを判定する。具体的には、風向時間差判定部110は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風向時間差が、予め設定された閾値(以下「風向時間差判定用閾値」という。)を超えているか否かを判定する。風向時間差判定用閾値には、予め、ユーザ等によって、ブラストを判定するのに適した、風向の時間的な変化の値が設定されている。風向時間差判定部110は、レンジセルに付与されている風向時間差が風向時間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風向時間差ブラスト候補セルであるとし、風向時間差ブラスト候補セルに、風向時間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風向時間差判定部110は、風向時間差ブラスト候補セルに風向時間差ブラスト候補セルフラグを付与した風向時間差付与後受信信号を、第2ブラスト検出部1052に出力する。風向時間差判定部110が風向時間差ブラスト候補セルフラグを付与して第2ブラスト検出部1052に出力する風向時間差付与後受信信号を、「風向時間差判定後受信信号」ともいう。風向時間差判定後受信信号において、風向時間差ブラスト候補セルには風向時間差ブラスト候補セルフラグが付与されている他、風向時間差判定後受信信号の各レンジセルには、モーメント情報、風向時間差の情報、風向値及び風速値も付与されている。なお、ここでは、風向時間差判定後受信信号において、風向時間差ブラスト候補セルには風向時間差ブラスト候補セルフラグが付与され、各レンジセルには、モーメント情報、風向時間差、風向値及び風速値が付与されているものとするが、これは一例に過ぎず、風向時間差判定後受信信号の各レンジセルには、少なくとも、レンジセルが風向時間差ブラスト候補セルである場合の風向時間差ブラスト候補セルフラグと、風向時間差の情報が付与されていればよい。
ブラスト検出部105aは、風向風速推定部102が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出する。
具体的には、ブラスト検出部105aの第2ブラスト検出部1052は、風速時間差判定部109から出力された風速時間差判定後受信信号と、風向時間差判定部110から出力された風向時間差判定後受信信号に基づき、ブラスト領域を検出する。第2ブラスト検出部1052は、風速時間差判定後受信信号における風速時間差ブラスト候補セルと、風向時間差判定後受信信号における風向時間差ブラスト候補セルの論理積を取り、風速時間差ブラスト候補セルであり、かつ、風向時間差ブラスト候補セルであるレンジセルを、ブラストセルとして検出する。風速時間差ブラスト候補セルであり、かつ、風向時間差ブラスト候補セルであるブラストセルは、風速及び風向がともにブラストの特徴を有しているレンジセルである。
なお、第2ブラスト検出部1052は、風速時間差ブラスト候補セル又は風向時間差ブラスト候補セルを、風速時間差ブラスト候補セルフラグ又は風向時間差ブラスト候補セルフラグによって判断すればよい。
第2ブラスト検出部1052が、ブラストセルを検出する流れのイメージは、実施の形態1において、図4を用いて説明した、第1ブラスト検出部1051がブラストセルを検出する流れのイメージと同様である。ただし、風速時間差及び風向時間差は、風速及び風向の時間的な変化を抽出することから、検出されるブラストセルは、風速及び風向が時間的に急激に変化したレンジセルである。
例えば、図4において、風速判定結果を風速時間差判定結果とし、風向判定結果を風向時間差判定結果として、風速ブラスト候補セル401aを風速時間差ブラスト候補セル、風向ブラスト候補セル402aを風向時間差ブラスト候補セルと読み替えれば、第2ブラスト検出部1052がブラストセルを検出する流れのイメージとなる。
第2ブラスト検出部1052は、検出したブラスト領域に関する情報を、ブラスト検出結果として、出力する。具体的には、第2ブラスト検出部1052は、各レンジセルに、少なくとも、ブラストセルであるか否かの情報を付与した受信信号を出力する。実施の形態2では、第2ブラスト検出部1052は、各レンジセルに、ブラストセルであるか否かの情報に加え、当該レンジセルがブラストセルの場合には風速時間差の情報及び風向時間差の情報を付与した受信信号を、出力するものとする。例えば、第2ブラスト検出部1052は、ドップラライダ装置2から出力された受信信号の各レンジセルに、ブラストセルであるか否かの情報と、風速時間差の情報及び風向時間差の情報を付与するようにすればよい。
このように、第2ブラスト検出部1052は、ブラスト領域を検出した結果として、ブラスト領域及びブラスト強度に関する情報を出力する。
実施の形態2に係る乱気流検出装置1aの動作について説明する。
実施の形態2に係る乱気流検出装置1aの動作の概要は、実施の形態1において図5を用いて説明した、実施の形態1に係る乱気流検出装置1の動作の概要と同様であるため、重複した説明を省略する。
図8は、実施の形態2に係る乱気流検出装置1aの、より具体的な動作について説明するためのフローチャートである。
なお、図8のステップST801~ステップST802の具体的な動作は、実施の形態1で説明した、図6のステップST601~ステップST602の具体的な動作と同様であるため、重複した説明を省略する。
風向風速推定部102は、ステップST802にて推定した風向値及び風速値を付与したベクトル付与後受信信号を、風向風速格納部106に格納する(ステップST803)。
風速時間差算出部107は、ステップST802にて風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風速値に基づき、各レンジセルについて、レンジセルの風速値と、当該ベクトル付与後受信信号の一走査前のベクトル付与後受信信号に基づくレンジセルの風速値との風速時間差を算出する(ステップST804)。
風速時間差算出部107は、算出した風速時間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセルに付与した風速時間差付与後受信信号を、風速時間差判定部109に出力する。
風速時間差判定部109は、ステップST804にて風速時間差算出部107から出力された風速時間差付与後受信信号に付与されている風速時間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが、風速時間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する(ステップST805)。具体的には、風速時間差判定部109は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風速時間差が風速時間差判定用閾値を超えているか否かを判定する。風速時間差判定部109は、レンジセルに付与されている風速時間差が風速時間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風速時間差ブラスト候補セルであるとし、風速時間差ブラスト候補セルに、風速時間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風速時間差判定部109は、風速時間差ブラスト候補セルに、風速時間差ブラスト候補セルフラグを付与した風速時間差判定後受信信号を、第2ブラスト検出部1052に出力する。
風向時間差算出部108は、ステップST802にて風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されているに風向値に基づき、各レンジセルについて、レンジセルの風向値と、当該ベクトル付与後受信信号の一走査前のベクトル付与後受信信号に基づくレンジセルの風向値との風向時間差を算出する(ステップST806)。
風向時間差算出部108は、算出した風向時間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセルに付与した風向時間差付与後受信信号を、風向時間差判定部110に出力する。
風向時間差判定部110は、ステップST806にて風向時間差算出部108から出力された風向時間差付与後受信信号に付与されている風向時間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが、風向時間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する(ステップST807)。具体的には、風向時間差判定部110は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風向時間差が、風向時間差判定用閾値を超えているか否かを判定する。風向時間差判定部110は、レンジセルに付与されている風向時間差が風向時間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風向時間差ブラスト候補セルであるとし、風向時間差ブラスト候補セルに、風向時間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風向時間差判定部110は、風向時間差ブラスト候補セルに風向時間差ブラスト候補セルフラグを付与した風向時間差判定後受信信号を、第2ブラスト検出部1052に出力する。
ブラスト検出部105aの第2ブラスト検出部1052は、ステップST805にて風速時間差判定部109から出力された風速時間差判定後受信信号と、ステップST807にて風向時間差判定部110から出力された風向時間差判定後受信信号に基づき、ブラスト領域を検出する(ステップST808)。
具体的には、第2ブラスト検出部1052は、風速時間差判定後受信信号における風速時間差ブラスト候補セルと、風向時間差判定後受信信号における風向時間差ブラスト候補セルの論理積を取り、風速時間差ブラスト候補セルであり、かつ、風向時間差ブラスト候補セルであるレンジセルを、ブラストセルとして検出する。
第2ブラスト検出部1052は、検出したブラスト領域に関する情報を、ブラスト検出結果として、出力する。具体的には、第2ブラスト検出部1052は、各レンジセルに、少なくとも、ブラストセルであるか否かの情報と、当該レンジセルがブラストセルの場合には風速時間差及び風向時間差の情報を付与した受信信号を、出力する。
図8において、ステップST804~ステップST805の処理と、ステップST806~ステップST807の処理を並列的に記載したが、ステップST804~ステップST805の処理と、ステップST806~ステップST807の処理は、逐次的に行われるようにしてもよい。
なお、以上の実施の形態2において、第2ブラスト検出部1052は、風速時間差ブラスト候補セルと風向時間差ブラスト候補セルの論理積を取って、ブラストセルを検出するようにしていたが、これは一例に過ぎない。例えば、第2ブラスト検出部1052は、風速時間差ブラスト候補セルと風向時間差ブラスト候補セルの論理和を取って、ブラストセルを検出するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態2において、風速時間差判定部109は、風速時間差ブラスト候補セルを判定した後、当該風速時間差ブラスト候補セルに、画像処理的な補正を行うようにしてもよい。風速時間差判定部109は、実施の形態1にて説明した、風速判定部103が画像処理的な補正を行う方法と同様の方法で、画像処理的な補正を行えばよい。
また、風向時間差判定部110は、風向時間差ブラスト候補セルを判定した後、当該風向時間差ブラスト候補セルに、画像処理的な補正を行うようにしてもよい。風向時間差判定部110は、実施の形態1にて説明した、風向判定部104が画像処理的な補正を行う方法と同様の方法で、画像処理的な補正を行えばよい。
風速時間差判定部109又は風向時間差判定部110が補正を行うようにすることで、風向値及び風速値推定の過程で発生する精度の劣化を抑えることができ、風速時間差ブラスト候補セル又は風向時間差ブラスト候補セルの見逃し等の発生を考慮した、ブラスト領域の検出が可能である。
以上のように、実施の形態2によれば、乱気流検出装置1aは、観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部101と、モーメント算出部101が算出したドップラ速度に基づき、レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部102と、風向風速推定部102が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部105を備えるように構成した。より具体的には、実施の形態2において、乱気流検出装置1aは、風向風速推定部102が推定したレンジセル毎の風速値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値と、一走査前の受信信号に基づくレンジセルの風速値との風速時間差を算出する風速時間差算出部107と、風向風速推定部102が推定したレンジセル毎の風向値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と、一走査前の受信信号に基づくレンジセルの風向値との風向時間差を算出する風向時間差算出部108と、レンジセル毎に、風速時間差算出部107が算出した風速時間差が風速時間差判定用閾値を超えている風速時間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する風速時間差判定部109と、レンジセル毎に、風向時間差算出部108が算出した風向時間差が風向時間差判定用閾値を超えている風向時間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する風向時間差判定部110とを備え、ブラスト検出部105aは、風速時間差判定部109が判定した風速時間差ブラスト候補セルと、風向時間差判定部110が判定した風向時間差ブラスト候補セルから、ブラスト領域を検出する第2ブラスト検出部1052を備えるように構成した。このような構成としても、乱気流検出装置1aは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1同様、背景風を考慮して、ブラスト領域を検出することができる。
実施の形態3.
実施の形態1では、乱気流検出装置1は、風向及び風速の絶対的な値によりブラスト領域を判定していた。
ブラスト領域は、ブラストセルと、ブラストセル以外のレンジセルとの境界を抽出することでも、推定できる。そこで、実施の形態3では、風向及び風速の空間変化も広義のブラストとし、風向及び風速の空間変化によってブラストセルとブラストセル以外のレンジセルとの境界を抽出することで、ブラスト領域を検出する実施の形態について説明する。
実施の形態3に係る乱気流検出装置1bも、実施の形態1に係る乱気流検出装置1同様、一例として、ドップラライダ装置2に搭載されるものとする。
乱気流検出装置1bを搭載したドップラライダ装置2の構成例は、実施の形態1において、図2を用いて説明したドップラライダ装置2の構成例と同様であるため、重複した説明を省略する。
乱気流検出装置1bは、ブラスト領域を検出した結果として、ブラスト領域及びブラスト強度に関する情報を出力する。実施の形態3において、ブラスト強度とは、ブラストの風速の空間的変化をいう。
図9は、実施の形態3に係る乱気流検出装置1bの構成例を示す図である。
図9において、実施の形態1にて図3を用いて説明した乱気流検出装置1の構成と同様の構成については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
実施の形態3に係る乱気流検出装置1bは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1とは、風速空間差算出部111、風向空間差算出部112、風速空間差判定部113、及び、風向空間差判定部114を備える点が異なる。また、実施の形態3に係る乱気流検出装置1bは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1とは、ブラスト検出部105bが第3ブラスト検出部1053を備える点が異なる。また、実施の形態3に係る乱気流検出装置1bは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1が備えていた、風速判定部103、風向判定部104、及び、第1ブラスト検出部1051をいずれも備えない。
風速空間差算出部111は、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風速値に基づき、各レンジセルについて、レンジセル(以下「注目レンジセル」という。)の風速値と、当該注目レンジセルの周辺のレンジセル(以下「周辺レンジセル」という。)の風速値との差(以下「風速空間差」という。)を算出する。具体例を挙げると、例えば、風速空間差算出部111は、注目レンジセルに隣接する8レンジセルを周辺レンジセルとし、注目レンジセルの風速値と周辺レンジセルの風速値の平均値との差を算出し、算出した差を、風速空間差とする。
図10は、実施の形態3において、周辺レンジセルを注目セルに隣接する8レンジセルとした場合の、注目レンジセル及び周辺レンジセルのイメージを説明する図である。
なお、ここでは、風速空間差算出部111は、注目レンジセルの風速値と周辺レンジセルの風速値の平均値との差を算出し、算出した差を、風速空間差とするものとしたが、これは一例に過ぎない。風速空間差算出部111は、注目レンジセルの風速値と周辺レンジセルの風速値の中央値との差を風速空間差として算出するようにしてもよい。風速空間差算出部111が、どのように風速空間差を算出するかは、適宜設定可能である。
また、ここでは、具体例として、風速空間差算出部111が、周辺レンジセルを、注目レンジセルに隣接する8レンジセルとする例を挙げたが、これは一例に過ぎない。例えば、風速空間差算出部111は、周辺レンジセルを、注目レンジセルに隣接する4レンジセルとしてもよいし、風速空間差算出部111は、ガードセルを設け、注目レンジセルから1レンジセル分離れたレンジセルの平均値又は中央値との差を、風速空間差として算出するようにしてもよい。風速空間差算出部111がどのレンジセルを周辺レンジセルとするかは、適宜設定可能である。
風速空間差算出部111は、算出した風速空間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセル、言い換えれば、各注目レンジセルに付与して、当該ベクトル付与後受信信号を、風速空間差判定部113に出力する。風速空間差算出部111が風速空間差の情報を付与して風速空間差判定部113に出力するベクトル付与後受信信号を、「風速空間差付与後受信信号」ともいう。なお、風速空間差付与後受信信号の各レンジセルには、風速空間差の情報の他、風向値、風速値、及び、モーメント情報も付与されている。
風向空間差算出部112は、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風向値に基づき、各レンジセルについて、注目レンジセルの風向値と、当該注目レンジセルの周辺レンジセルの風向値の平均値との差(以下「風向空間差」という。)を算出する。風向空間差は、基本的に、劣角で表わされるものとする。
なお、ここでは、風向空間差算出部112は、注目レンジセルの風向値と周辺レンジセルの風向値の平均値との差を算出し、算出した差を、風向空間差とするものとしたが、これは一例に過ぎない。風向空間差算出部112は、注目レンジセルの風向値と周辺レンジセルの風向値の中央値との差を風向空間差として算出するようにしてもよい。風向空間差算出部112が、どのように風向空間差を算出するかは、適宜設定可能である。
また、ここでは、具体例として、風向空間差算出部112が、周辺レンジセルを、注目レンジセルに隣接する8レンジセルとする例を挙げたが、これは一例に過ぎない。例えば、風向空間差算出部112は、周辺レンジセルを、注目レンジセルに隣接する4レンジセルとしてもよいし、風向空間差算出部112は、ガードセルを設け、注目レンジセルから1レンジセル分離れたレンジセルの平均値又は中央値との差を、風向空間差として算出するようにしてもよい。風向空間差算出部112がどのレンジセルを周辺レンジセルとするかは、適宜設定可能である。
風向空間差算出部112は、算出した風向空間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセル、言い換えれば、各注目レンジセルに付与して、当該ベクトル付与後受信信号を、風向空間差判定部114に出力する。風向空間差算出部112が風向空間差の情報を付与して風向空間差判定部114に出力するベクトル付与後受信信号を、「風向空間差付与後受信信号」ともいう。なお、風向空間差付与後受信信号の各レンジセルには、風向空間差の情報の他、風向値、風速値、及び、モーメント情報も付与されている。
風速空間差判定部113は、風速空間差算出部111から出力された風速空間差付与後受信信号に付与されている風速空間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが、ブラストセルの候補となるレンジセル(以下「風速空間差ブラスト候補セル」)であるか否かを判定する。具体的には、風速空間差判定部113は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風速空間差が、予め設定された閾値(以下「風速空間差判定用閾値」という。)を超えているか否かを判定する。風速空間差判定用基準値には、予め、ユーザ等によって、ブラストを判定するのに適した、風速の空間的な変化の値が設定されている。風速空間差判定部113は、レンジセルに付与されている風速空間差が風速空間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風速空間差ブラスト候補セルであるとし、風速空間差ブラスト候補セルに、風速空間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風速空間差判定部113は、風速空間差ブラスト候補セルに、風速空間差ブラスト候補セルフラグを付与した風速空間差付与後受信信号を、第3ブラスト検出部1053に出力する。風速空間差判定部113が風速空間差ブラスト候補セルフラグを付与して第3ブラスト検出部1053に出力する風速空間差付与後受信信号を、「風速空間差判定後受信信号」ともいう。風速空間差判定後受信信号において、風速空間差ブラスト候補セルには風速空間差ブラスト候補セルフラグが付与されている他、風速空間差判定後受信信号の各レンジセルには、モーメント情報、風速空間差の情報、風向値及び風速値も付与されている。なお、ここでは、風速空間差判定後受信信号において、風速空間差ブラスト候補セルには風速空間差ブラスト候補セルフラグが付与され、各レンジセルには、モーメント情報、風速空間差の情報、風向値及び風速値が付与されているものとするが、これは一例に過ぎず、風速空間差判定後受信信号の各レンジセルには、少なくとも、レンジセルが風速空間差ブラスト候補セルである場合の風速空間差ブラスト候補セルフラグと、風速空間差の情報が付与されていればよい。
風向空間差判定部114は、風向空間差算出部112から出力された風向空間差付与後受信信号に付与されている風向空間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが、ブラストセルの候補となるレンジセル(以下「風向空間差ブラスト候補セル」という。)であるか否かを判定する。具体的には、風向空間差判定部114は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風向空間差が、予め設定された閾値(以下「風向空間差判定用閾値」という。)を超えているか否かを判定する。風向空間差判定用閾値には、予め、ユーザ等によって、ブラストを判定するのに適した、風向の空間的な変化の値が設定されている。風向空間差判定部114は、レンジセルに付与されている風向空間差が風向空間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風向空間差ブラスト候補セルであるとし、風向空間差ブラスト候補セルに、風向空間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風向空間差判定部114は、風向空間差ブラスト候補セルに風向空間差ブラスト候補セルフラグを付与した風向空間差付与後受信信号を、第3ブラスト検出部1053に出力する。風向空間差判定部114が風向空間差ブラスト候補セルフラグを付与して第3ブラスト検出部1053に出力する風向空間差付与後受信信号を、「風向空間差判定後受信信号」ともいう。風向空間差判定後受信信号において、風向空間差ブラスト候補セルには風向空間差ブラスト候補セルフラグが付与されている他、風向空間差判定後受信信号の各レンジセルには、モーメント情報、風向空間差の情報、風向値及び風速値も付与されている。なお、ここでは、風向空間差判定後受信信号において、風向空間差ブラスト候補セルには風向空間差ブラスト候補セルフラグが付与され、各レンジセルには、モーメント情報、風向空間差、風向値及び風速値が付与されているものとするが、これは一例に過ぎず、風向空間差判定後受信信号の各レンジセルには、少なくとも、レンジセルが風向空間差ブラスト候補セルである場合の風向空間差ブラスト候補セルフラグと、風向空間差の情報が付与されていればよい。
ブラスト検出部105bは、風向風速推定部102が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出する。
ブラスト検出部105bの第3ブラスト検出部1053は、風速空間差判定部113から出力された風速空間差判定後受信信号と、風向空間差判定部114から出力された風向空間差判定後受信信号に基づき、ブラスト領域を検出する。
具体的には、第3ブラスト検出部1053は、風速空間差判定後受信信号における風速空間差ブラスト候補セルと、風向空間差判定後受信信号における風向空間差ブラスト候補セルの論理積を取り、風速空間差ブラスト候補セルであり、かつ、風向空間差ブラスト候補セルであるレンジセルを、ブラストセルとして検出する。風速空間差ブラスト候補セルであり、かつ、風向空間差ブラスト候補セルであるブラストセルは、風速及び風向がともにブラストの特徴を有しているレンジセルである。
なお、第3ブラスト検出部1053は、風速空間差ブラスト候補セル又は風向空間差ブラスト候補セルを、風速空間差ブラスト候補セルフラグ又は風向空間差ブラスト候補セルフラグによって判断すればよい。
第3ブラスト検出部1053が、ブラストセルを検出する流れのイメージは、実施の形態1において、図4を用いて説明した、第1ブラスト検出部1051がブラストセルを検出する流れのイメージと同様である。ただし、風速空間差及び風向空間差は、風速及び風向の空間的な変化を抽出することから、検出されるブラストセルは、ブラスト領域と非ブラスト領域の境界が強調される傾向を有する点が図4と異なる可能性がある。
例えば、図4において、風速判定結果を風速空間差判定結果とし、風向判定結果を風向空間差判定結果として、風速ブラスト候補セル401aを風速空間差ブラスト候補セル、風向ブラスト候補セル402aを風向空間差ブラスト候補セルと読み替えれば、第3ブラスト検出部1053がブラストセルを検出する流れのイメージとなる。
第3ブラスト検出部1053は、検出したブラスト領域に関する情報を、ブラスト検出結果として、出力する。具体的には、第3ブラスト検出部1053は、各レンジセルに、少なくとも、ブラストセルであるか否かの情報と、ブラストセルには風速空間差の情報及び風向空間差の情報を付与した受信信号を、出力する。例えば、第3ブラスト検出部1053は、ドップラライダ装置2から出力された受信信号の各レンジセルに、ブラストセルであるか否かの情報と、風速空間差の情報及び風向空間差の情報を付与するようにすればよい。
このように、第3ブラスト検出部1053は、ブラスト領域を検出した結果として、ブラスト領域及びブラスト強度に関する情報を出力する。
実施の形態3に係る乱気流検出装置1bの動作について説明する。
実施の形態3に係る乱気流検出装置1bの動作の概要は、実施の形態1において図5を用いて説明した、実施の形態1に係る乱気流検出装置1の動作の概要と同様であるため、重複した説明を省略する。
図11は、実施の形態3に係る乱気流検出装置1bの、より具体的な動作について説明するためのフローチャートである。
なお、図11のステップST1101~ステップST1102の具体的な動作は、実施の形態1で説明した、図6のステップST601~ステップST602の具体的な動作と同様であるため、重複した説明を省略する。
風速空間差算出部111は、ステップST1102にて風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風速値に基づき、各レンジセルについて、注目レンジセルの風速値と、当該注目レンジセルの周辺レンジセルの風速値との風速空間差を算出する(ステップST1103)。
風速空間差算出部111は、算出した風速空間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセル、言い換えれば、各注目レンジセルに付与した風速空間差付与後受信信号を、風速空間差判定部113に出力する。
風速空間差判定部113は、ステップST1103にて風速空間差算出部111から出力された風速空間差付与後受信信号に付与されている風速空間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが風速空間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する(ステップST1104)。具体的には、風速空間差判定部113は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風速空間差が風速空間差判定用閾値を超えているか否かを判定する。風速空間差判定部113は、レンジセルに付与されている風速空間差が風速空間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風速空間差ブラスト候補セルであるとし、風速空間差ブラスト候補セルに、風速空間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風速空間差判定部113は、風速空間差ブラスト候補セルに、風速空間差ブラスト候補セルフラグを付与した風速空間差判定後受信信号を、第3ブラスト検出部1053に出力する。
風向空間差算出部112は、ステップST1102にて風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号に付与されている風向値に基づき、各レンジセルについて、注目レンジセルの風向値と、当該注目レンジセルの周辺レンジセルの風向値と風向空間差を算出する(ステップST1105)。
風向空間差算出部112は、算出した風向空間差の情報を、風向風速推定部102から出力されたベクトル付与後受信信号の各レンジセル、言い換えれば、各注目レンジセルに付与した風向空間差付与後受信信号を、風向空間差判定部114に出力する。
風向空間差判定部114は、ステップST1105にて風向空間差算出部112から出力された風向空間差付与後受信信号に付与されている風向空間差の情報に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルが風向空間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する(ステップST1106)。具体的には、風向空間差判定部114は、レンジセル毎に、当該レンジセルに付与されている風向空間差が、風向空間差判定用閾値を超えているか否かを判定する。風向空間差判定部114は、レンジセルに付与されている風向空間差が風向空間差判定用閾値を超えている場合、当該レンジセルは風向空間差ブラスト候補セルであるとし、風向空間差ブラスト候補セルに、風向空間差ブラスト候補セルフラグを付与する。
風向空間差判定部114は、風向空間差ブラスト候補セルに風向空間差ブラスト候補セルフラグを付与した風向空間差判定後受信信号を、第3ブラスト検出部1053に出力する。
ブラスト検出部105bの第3ブラスト検出部1053は、ステップST1104にて風速空間差判定部113から出力された風速空間差判定後受信信号と、ステップST1106にて風向空間差判定部114から出力された風向空間差判定後受信信号に基づき、ブラスト領域を検出する(ステップST1107)。
具体的には、第3ブラスト検出部1053は、風速空間差判定後受信信号における風速空間差ブラスト候補セルと、風向空間差判定後受信信号における風向空間差ブラスト候補セルの論理積を取り、風速空間差ブラスト候補セルであり、かつ、風向空間差ブラスト候補セルであるレンジセルを、ブラストセルとして検出する。
第3ブラスト検出部1053は、検出したブラスト領域に関する情報を、ブラスト検出結果として、出力する。具体的には、第3ブラスト検出部1053は、各レンジセルに、少なくとも、ブラストセルであるか否かの情報を付与した受信信号を出力する。実施の形態3では、第3ブラスト検出部1053は、各レンジセルに、ブラストセルであるか否かの情報に加え、当該レンジセルがブラストセルの場合には風速空間差の情報及び風向空間差の情報を付与した受信信号を、出力するものとする。
図11において、ステップST1103~ステップST1104の処理と、ステップST1105~ステップST1106の処理を並列的に記載したが、ステップST1103~ステップST1104の処理と、ステップST1105~ステップST1106の処理は、逐次的に行われるようにしてもよい。
なお、以上の実施の形態3において、第3ブラスト検出部1053は、風速空間差ブラスト候補セルと風向空間差ブラスト候補セルの論理積を取って、ブラストセルを検出するようにしていたが、これは一例に過ぎない。例えば、第3ブラスト検出部1053は、風速空間差ブラスト候補セルと風向空間差ブラスト候補セルの論理和を取って、ブラストセルを検出するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態3において、風速空間差判定部113は、風速空間差ブラスト候補セルを判定した後、当該風速空間差ブラスト候補セルに、画像処理的な補正を行うようにしてもよい。風速空間差判定部113は、実施の形態1にて説明した、風速判定部103が画像処理的な補正を行う方法と同様の方法で、画像処理的な補正を行えばよい。
また、風向空間差判定部114は、風向空間差ブラスト候補セルを判定した後、当該風向空間差ブラスト候補セルに、画像処理的な補正を行うようにしてもよい。風向空間差判定部114は、実施の形態1にて説明した、風向判定部104が画像処理的な補正を行う方法と同様の方法で、画像処理的な補正を行えばよい。
風速空間差判定部113又は風向空間差判定部114が補正を行なうようにすることで、風向値及び風速値推定の過程で発生する精度の劣化を抑えることができ、風速空間差ブラスト候補セル又は風向空間差ブラスト候補セルの見逃し等の発生を考慮した、ブラスト領域の検出が可能である。
以上のように、実施の形態3によれば、乱気流検出装置1bは、観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部101と、モーメント算出部101が算出したドップラ速度に基づき、レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部102と、風向風速推定部102が推定した、レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部105を備えるように構成した。より具体的には、実施の形態3において、乱気流検出装置1bは、風向風速推定部102が測定したレンジセル毎の風速値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値と、当該レンジセルの周辺のレンジセルの風速値との風速空間差を算出する風速空間差算出部111と、風向風速推定部102が推定したレンジセル毎の風向値に基づき、レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と、当該レンジセルの周辺のレンジセルの風向値との風向空間差を算出する風向空間差算出部112と、レンジセル毎に、風速空間差算出部111が算出した風速空間差が風速空間差判定用閾値を超えている風速空間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する風速空間差判定部113と、レンジセル毎に、風向空間差算出部112が算出した風向空間差が風向空間差判定用閾値を超えている風向ブラスト空間差候補セルであるか否かを判定する風向空間差判定部114とを備え、ブラスト検出部105bは、風速空間差判定部113が判定した風速空間差ブラスト候補セルと、風向空間差判定部114が判定した風向空間差ブラスト候補セルから、ブラスト領域を検出する第3ブラスト検出部1053を備えるように構成した。このような構成としても、乱気流検出装置1aは、実施の形態1に係る乱気流検出装置1同様、背景風を考慮して、ブラスト領域を検出することができる。
以上の実施の形態1~実施の形態3では、乱気流検出装置1,1a,1bは、風速ブラスト候補セル、風向ブラスト候補セル、風速時間差ブラスト候補セル、風向時間差ブラスト候補セル、風速空間差ブラスト候補セル、又は、風向空間差ブラスト候補セルの判定を行った後に、風速ブラスト候補セル、風向ブラスト候補セル、風速時間差ブラスト候補セル、風向時間差ブラスト候補セル、風速空間差ブラスト候補セル、又は、風向空間差ブラスト候補セルに対して補正を行うことで、風向値及び風速値の推定時の精度劣化の影響を低減可能にしていた。しかし、これに限らず、乱気流検出装置1,1a,1bにおいて、風向風速推定部102が風向値及び風速値を推定する過程において、風向値及び風速値の推定精度の劣化に繋がるレンジセルを除くようにしてもよい。
航空機のエンジン高度上には、例えば、風向風速計測用の鉄塔又は建造物の他、他の航空機又は特殊車両等の物体が存在することがあり、当該物体がドップラライダ装置2の観測の障害となる場合がある。例えば、あるレンジセルに他の航空機機体からの反射信号が混入した場合、当該レンジセルの観測値は、航空機機体を反映したものとなり、風向風速推定部102による、当該レンジセルを用いた風向値及び風速値の推定結果は、異常な値となり得る。
そこで、風向風速推定部102が、風向値及び風速値の推定に不要な物体からの応答が混入しているレンジセルを除去した上で、風向値及び風速値を推定する構成とするようにしてもよい。以下、風向値及び風速値の推定に不要な物体を、単に「不要な物体」という。
図12は、実施の形態1~実施の形態3に係る乱気流検出装置1,1a,1bにおいて、不要な物体からの応答が混入しているレンジセルを除去した上で、風向値及び風速値を推定するようにした風向風速推定部102aの構成例を示す図である。
なお、図12では、説明の簡単のため、風向風速推定部102a以外の、乱気流検出装置1,1a,1bの構成部の記載は省略している。
風向風速推定部102aは、不要セル抑圧部1021を備える。
不要セル抑圧部1021は、モーメント算出部101から出力されたモーメント付与後受信信号について、モーメント算出部101が算出したモーメント情報を用いて、不要なレンジセルの判定を行い、不要と判定したレンジセルを抑圧した結果を出力する。
風向風速推定部102aは、不要セル抑圧部1021が不要なレンジセルを抑圧した後の各レンジセルについて、モーメント算出部101が算出したドップラ速度を用いて、レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する。
図13は、実施の形態1~実施の形態3において、風向風速推定部102aが不要セル抑圧部1021を備えるようにした場合の、不要セル抑圧部1021の動作を説明するための図である。
なお、図13は、ある一視線のデータのイメージを示しており、図13において、上段は信号強度、下段はドップラ速度を模式的にあらわしている。信号強度の図及びドップラ速度の図において、横軸は、レンジ方向をあらわす。上述したような、風向値及び風速値を推定する際に不要となる物体は、信号強度の値の増加となってあらわれる。
不要セル抑圧部1021は、不要な物体からの応答が混入している不要なレンジセルを、低反射物と高反射物の2つに分けて、検出する。
不要な物体が、空間的な広がりの小さい物体である場合、当該物体は、比較的低い強度値を有することが多い。そこで、不要セル抑圧部1021は、空間的な広がりが小さい、不要な物体を、低反射物を抽出するための、予め設定された閾値(以下「低反射物抽出用閾値」という。)を用いて、検出する。
一方、不要な物体が、航空機機体等、空間的な広がりの大きい物体である場合、当該物体は、比較的高い強度値を有することが多い。そこで、不要セル抑圧部1021は、空間的な広がりが大きい、不要な物体を、高反射物を抽出するための、予め設定された閾値(以下「高反射物抽出用閾値」という。)を用いて、検出する。
不要セル抑圧部1021は、レンジセルの信号強度が、低反射物抽出用閾値のみを超える場合(図13のA参照)、当該レンジセルのドップラ速度の値を、無効値化する。このとき、不要セル抑圧部1021は、当該レンジセルの周囲に有効なレンジセルが存在する場合は、有効レンジセルのドップラ速度を用いてドップラ速度の値を補間する。有効なレンジセルとは、不要な物体による影響がなく、また、十分な信号対雑音電力比が得られているレンジセルのことをいう。以下、有効なレンジセルのことを、「有効レンジセル」という。不要セル抑圧部1021は、例えば、信号強度が低反射物抽出用閾値のみを超えるレンジセルのドップラ速度の値を、周囲の有効レンジセルのドップラ速度の値の平均値又は中央値で置き換えることで、ドップラ速度の値の補間を行えばよい。
レンジセルの信号強度が高反射物抽出用閾値を超える場合、一般に、複数のレンジセルが連なっていることが多く、また、信号強度が高反射物抽出用閾値を超えるレンジセル以遠は、ドップラライダ装置2のビームが遮蔽され、無効になっていることが多い。
そこで、不要セル抑圧部1021は、レンジセルの信号強度が、高反射物抽出用閾値を超える場合(図13のB参照)、当該レンジセル及び当該レンジセル以遠のレンジセルのドップラ速度の値を全て無効値化する。このとき、不要セル抑圧部1021は、信号強度が高反射物抽出用閾値を超えるレンジセルの周囲に有効レンジセルが存在する場合は、信号強度が高反射物抽出用閾値を超えるレンジセルのドップラ速度の値を補間する。不要セル抑圧部1021は、信号強度が高反射物抽出用閾値を超えるレンジセルのドップラ速度の値の補間を、上述した、信号強度が低反射物抽出用閾値のみを超えるレンジセルのドップラ速度の値の補間と同様の方法で、行えばよい。不要セル抑圧部1021は、信号強度が高反射物抽出用閾値を超えるレンジセルの周囲に有効レンジセルが存在しない場合は、不要セル抑圧部1021は、信号強度が高反射物抽出用閾値を超えるレンジセルのドップラ速度の値を無効値とする。
不要セル抑圧部1021は、ドップラ速度の値を無効値としたレンジセルの情報を、不要と判定したレンジセルを抑圧した結果として、出力する。
風向風速推定部102aは、不要セル抑圧部1021がドップラ速度の値を無効値としたレンジセルは、風向値及び風速値の推定処理の対象外とする。
以上のように、乱気流検出装置1,1a,1bにおいて、風向風速推定部102aが不要セル抑圧部1021を備える構成とし、不要セル抑圧部1021が、レンジセルの信号強度値を用いて不要なレンジセルを判定し、不要と判定したレンジセル、又は、不要と判定したレンジセル以遠のレンジセルのドップラ速度の値を無効値化するようにしてもよい。このような構成とすることで、乱気流検出装置1,1a,1bは、風向値及び風速値を推定するのに不要なレンジセルを用いて風向値及び風速値の推定を行う機会を低減し、風向値及び風速値の推定結果の精度劣化を低減することができる。また、不要セル抑圧部1021は、ドップラ速度値を無効値化したレンジセルの周囲に、ドップラ速度の値が有効なレンジセルがある場合は、当該有効なレンジセルのドップラ速度を用いて、ドップラ速度の値を補間するようにしたので、乱気流検出装置1,1a,1bは、風向風速推定部102aが風向値及び風速値の推定を行うことが不可能なレンジセルを低減でき、結果として、ブラスト領域の検出の精度劣化を低減できる。
また、以上の実施の形態1~実施の形態3では、乱気流検出装置1のブラスト検出部105が第1ブラスト検出部1051、乱気流検出装置1aのブラスト検出部105aが第2ブラスト検出部1052、乱気流検出装置1bのブラスト検出部105bが第3ブラスト検出部1053を、備える構成について説明したが、これは一例に過ぎない。ブラスト検出部105,105a,105bは、第1ブラスト検出部1051、第2ブラスト検出部1052、又は、第3ブラスト検出部1053を組み合わせて備えるようにすることもできる。
具体例を挙げると、例えば、乱気流検出装置1において、ブラスト検出部105は、第1ブラスト検出部1051及び第2ブラスト検出部1052を備えるようにすることができる。ブラスト検出部105は、さらに、第3ブラスト検出部1053も備えるようにしてもよい。
但し、乱気流検出装置1,1a,1bにおいて、ブラスト検出部105,105a,105bが、第1ブラスト検出部1051を備えるようにする場合、乱気流検出装置1,1a,1bは、実施の形態1にて説明した、風速判定部103及び風向判定部104の機能も備えるようにする。また、乱気流検出装置1,1a,1bにおいて、ブラスト検出部105,105a,105bが、第2ブラスト検出部1052を備えるようにする場合、乱気流検出装置1,1a,1bは、実施の形態2にて説明した、風速時間差算出部107、風向時間差算出部108、風速時間差判定部109及び風向時間差判定部110の機能も備えるようにする。また、乱気流検出装置1,1a,1bにおいて、ブラスト検出部105,105a,105bが、第3ブラスト検出部1053を備えるようにする場合、乱気流検出装置1,1a,1bは、実施の形態3にて説明した、風速空間差算出部111、風向空間差算出部112、風速空間差判定部113及び風向空間差判定部114の機能も備えるようにする。
また、以上の実施の形態1~実施の形態3では、乱気流検出装置1は、種々の観測装置に搭載されることを前提としたが、これは一例に過ぎず、乱気流検出装置1は、単体で用いられるものとしてもよい。
図14A,図14Bは、実施の形態1~実施の形態3に係る乱気流検出装置1,1a,1bのハードウェア構成の一例を示す図である。
実施の形態1~実施の形態3において、モーメント算出部101と、風向風速推定部102,102aと、風速判定部103と、風向判定部104と、ブラスト検出部105,105a,105bと、風速時間差算出部107と、風向時間差算出部108と、風速時間差判定部109と、風向時間差判定部110と、風速空間差算出部111と、風向空間差算出部112と、風速空間差判定部113と、風向空間差判定部114の機能は、処理回路1401により実現される。すなわち、乱気流検出装置1,1a,1bは、ドップラライダ装置2が空港面内の観測領域を観測するためにビームを送受信した結果得られた受信信号を用いて、観測領域内におけるブラスト領域を検出する制御を行うための処理回路1401を備える。
処理回路1401は、図14Aに示すように専用のハードウェアであっても、図14Bに示すようにメモリ1406に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)1405であってもよい。
処理回路1401が専用のハードウェアである場合、処理回路1401は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
処理回路1401がCPU1405の場合、モーメント算出部101と、風向風速推定部102,102aと、風速判定部103と、風向判定部104と、ブラスト検出部105,105a,105bと、風速時間差算出部107と、風向時間差算出部108と、風速時間差判定部109と、風向時間差判定部110と、風速空間差算出部111と、風向空間差算出部112と、風速空間差判定部113と、風向空間差判定部114の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。すなわち、モーメント算出部101と、風向風速推定部102,102aと、風速判定部103と、風向判定部104と、ブラスト検出部105,105a,105bと、風速時間差算出部107と、風向時間差算出部108と、風速時間差判定部109と、風向時間差判定部110と、風速空間差算出部111と、風向空間差算出部112と、風速空間差判定部113と、風向空間差判定部114は、HDD(Hard Disk Drive)1402、メモリ1406等に記憶されたプログラムを実行するCPU1405、又はシステムLSI(Large-Scale Integration)等の処理回路により実現される。また、HDD1402、又はメモリ1406等に記憶されたプログラムは、モーメント算出部101と、風向風速推定部102,102aと、風速判定部103と、風向判定部104と、ブラスト検出部105,105a,105bと、風速時間差算出部107と、風向時間差算出部108と、風速時間差判定部109と、風向時間差判定部110と、風速空間差算出部111と、風向空間差算出部112と、風速空間差判定部113と、風向空間差判定部114の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。ここで、メモリ1406とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
なお、モーメント算出部101と、風向風速推定部102,102aと、風速判定部103と、風向判定部104と、ブラスト検出部105,105a,105bと、風速時間差算出部107と、風向時間差算出部108と、風速時間差判定部109と、風向時間差判定部110と、風速空間差算出部111と、風向空間差算出部112と、風速空間差判定部113と、風向空間差判定部114の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、モーメント算出部101については専用のハードウェアとしての処理回路1401でその機能を実現し、風向風速推定部102,102aと、風速判定部103と、風向判定部104と、ブラスト検出部105,105a,105bと、風速時間差算出部107と、風向時間差算出部108と、風速時間差判定部109と、風向時間差判定部110と、風速空間差算出部111と、風向空間差算出部112と、風速空間差判定部113と、風向空間差判定部114については処理回路がメモリ1406に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
また、風向風速格納部106は、メモリ1406を使用する。なお、これは一例であって、風向風速格納部106は、HDD1402、SSD(Solid State Drive)、又は、DVD等によって構成されるものであってもよい。
また、乱気流検出装置1,1a,1bは、ドップラライダ装置2等の外部の装置との通信を行う、入力インタフェース装置1403、及び、出力インタフェース装置1404を有する。
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
この発明に係る乱気流検出装置は、背景風を考慮して、ブラスト領域を検出するように構成したため、例えば、空港面において、航空機に搭載されたジェットエンジンから噴射されるエンジン排気を検出する乱気流検出装置に適用することができる。
1,1a,1b 乱気流検出装置、101 モーメント算出部、102,102a 風向風速推定部、103 風速判定部、104 風向判定部、105,105a,105b ブラスト検出部、1051 第1ブラスト検出部、1052 第2ブラスト検出部、1053 第3ブラスト検出部、106 風向風速格納部、107 風速時間差算出部、108 風向時間差算出部、109 風速時間差判定部、110 風向時間差判定部、111 風速空間差算出部、112 風向空間差算出部、113 風速空間差判定部、114 風向空間差判定部、1021 不要セル抑圧部、1401 処理回路、1402 HDD、1403 入力インタフェース装置、1404 出力インタフェース装置、1405 CPU、1406 メモリ。

Claims (8)

  1. 観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部と、
    前記モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、前記レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部と、
    前記風向風速推定部が推定した、前記レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、前記観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部と、
    前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値が風速判定用閾値を超えている風速ブラスト候補セルであるか否かを判定する風速判定部と、
    前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風向値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と風向判定用基準値との差が風向判定用範囲内である風向ブラスト候補セルであるか否かを判定する風向判定部とを備え、
    前記ブラスト検出部は、
    前記風速判定部が判定した風速ブラスト候補セルと、前記風向判定部が判定した風向ブラスト候補セルから、前記ブラスト領域を検出する第1ブラスト検出部を備えた
    ことを特徴とする乱気流検出装置。
  2. 観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部と、
    前記モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、前記レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部と、
    前記風向風速推定部が推定した、前記レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、前記観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部と、
    前記波動は波動放射周期単位で放射され、
    前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値と、一走査前の前記受信信号に基づく前記レンジセルの風速値との風速時間差を算出する風速時間差算出部と、
    前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風向値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と、一走査前の前記受信信号に基づく前記レンジセルの風向値との風向時間差を算出する風向時間差算出部と、
    前記レンジセル毎に、前記風速時間差算出部が算出した風速時間差が風速時間差判定用閾値を超えている風速時間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する風速時間差判定部と、
    前記レンジセル毎に、前記風向時間差算出部が算出した風向時間差が風向時間差判定用閾値を超えている風向時間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する風向時間差判定部とを備え、
    前記ブラスト検出部は、
    前記風速時間差判定部が判定した風速時間差ブラスト候補セルと、前記風向時間差判定部が判定した風向時間差ブラスト候補セルから、前記ブラスト領域を検出する第2ブラスト検出部を備えた
    ことを特徴とする乱気流検出装置。
  3. 観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部と、
    前記モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、前記レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部と、
    前記風向風速推定部が推定した、前記レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、前記観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部と、
    前記風向風速推定部が測定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値と、当該レンジセルの周辺のレンジセルの風速値との風速空間差を算出する風速空間差算出部と、
    前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風向値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と、当該レンジセルの周辺のレンジセルの風向値との風向空間差を算出する風向空間差算出部と、
    前記レンジセル毎に、前記風速空間差算出部が算出した風速空間差が風速空間差判定用閾値を超えている風速空間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する風速空間差判定部と、
    前記レンジセル毎に、前記風向空間差算出部が算出した風向空間差が風向空間差判定用閾値を超えている風向空間差ブラスト候補セルであるか否かを判定する風向空間差判定部とを備え、
    前記ブラスト検出部は、
    前記風速空間差判定部が判定した風速空間差ブラスト候補セルと、前記風向空間差判定部が判定した風向空間差ブラスト候補セルから、前記ブラスト領域を検出する第3ブラスト検出部を備えた
    ことを特徴とする乱気流検出装置。
  4. 観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部と、
    前記モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、前記レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部と、
    前記風向風速推定部が推定した、前記レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、前記観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部を備え、
    前記波動は波動放射周期単位で放射され、
    前記ブラスト検出部は、
    前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、風速値が風速判定用閾値を超えていると判定された風速ブラスト候補セルと、前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風向値に基づき、風向値と風向判定用基準値との差が風向判定用範囲内であると判定された風向ブラスト候補セルから、前記ブラスト領域を検出する第1ブラスト検出部、
    又は、
    前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、風速値と、一走査前の受信信号に基づくレンジセルの風速値との風速時間差が風速時間差判定用閾値を超えていると判定された風速時間差ブラスト候補セルと、前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風向値に基づき、風向値と一走査前の受信信号に基づくレンジセルの風向値との風向時間差が風向時間差判定用閾値を超えていると判定された風向時間差ブラスト候補セルから、前記ブラスト領域を検出する第2ブラスト検出部
    又は、
    前記風向風速推定部が測定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、風速値と、周辺のレンジセルの風速値との風速空間差が風速空間差判定用閾値を超えると判定された風速空間差ブラスト候補セルと、前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、風向値と周辺のレンジセルの風向値との風向空間差が風向空間差判定用閾値を超えていると判定された風向空間差ブラスト候補セルから、前記ブラスト領域を検出する第3ブラスト検出部
    のうち、少なくとも2つを備える
    ことを特徴とする乱気流検出装置。
  5. 観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部と、
    前記モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、前記レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部と、
    前記風向風速推定部が推定した、前記レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、前記観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部を備え、
    前記風向風速推定部は、
    前記レンジセル毎に、信号強度と低反射物判定用閾値との比較、及び、信号強度と高反射物判定用閾値との比較を行い、
    信号強度が、前記低反射物判定用閾値を超えており、かつ、前記高反射物判定用閾値を超えていないレンジセルである場合、当該レンジセルのドップラ速度の値を無効値化する不要セル抑圧部を備えた
    ことを特徴とする乱気流検出装置。
  6. 観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するモーメント算出部と、
    前記モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、前記レンジセル毎の風向値及び風速値を推定する風向風速推定部と、
    前記風向風速推定部が推定した、前記レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、前記観測領域におけるブラスト領域を検出するブラスト検出部を備え、
    前記風向風速推定部は、
    前記レンジセル毎に、信号強度と低反射物抽出用閾値との比較、及び、信号強度と高反射物抽出用閾値との比較を行い、
    信号強度が、前記低反射物抽出用閾値を超えており、かつ、前記高反射物抽出用閾値を超えているレンジセルである場合、当該レンジセルのドップラ速度の値、又は、当該レンジセル以遠のレンジセルのドップラ速度の値を無効値化する不要セル抑圧部を備えた
    ことを特徴とする乱気流検出装置。
  7. 前記不要セル抑圧部は、ドップラ速度の値を無効値化したレンジセルについて、当該ドップラ速度の値を無効値化したレンジセルの周囲に有効レンジセルが存在する場合、当該ドップラ速度の値を無効値化したレンジセルのドップラ速度の値を、前記有効レンジセルのドップラ速度の値に基づき補間する
    ことを特徴とする請求項又は請求項記載の乱気流検出装置。
  8. モーメント算出部が、観測領域に放射され当該観測領域の大気で反射された波動に基づく受信信号に基づいて、当該観測領域の、レンジ方向及び方位方向に区分けされたレンジセル毎のドップラ速度を算出するステップと、
    風向風速推定部が、前記モーメント算出部が算出したドップラ速度に基づき、前記レンジセル毎の風向値及び風速値を推定するステップと、
    ブラスト検出部が、前記風向風速推定部が推定した、前記レンジセル毎の風向値及び風速値に基づき、前記観測領域におけるブラスト領域を検出するステップと、
    風速判定部が、前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風速値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風速値が風速判定用閾値を超えている風速ブラスト候補セルであるか否かを判定するステップと、
    風向判定部が、前記風向風速推定部が推定した前記レンジセル毎の風向値に基づき、前記レンジセル毎に、当該レンジセルの風向値と風向判定用基準値との差が風向判定用範囲内である風向ブラスト候補セルであるか否かを判定するステップとを備え、
    前記ブラスト検出部において、
    第1ブラスト検出部が、前記風速判定部が判定した風速ブラスト候補セルと、前記風向判定部が判定した風向ブラスト候補セルから、前記ブラスト領域を検出するステップを備えた
    ことを特徴とする乱気流検出方法。
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