本開示は、以下で説明されるような図面と併せて解釈される、以下の発明を実施するための形態を参照することによって理解され得る。例証を明確にする目的のために、図面中のある要素は、一定の縮尺で描かれていない場合があることに留意されたい。複数回現れる項目の参照番号は、明確にするために省略され得る。可能である場合、同一の参照番号が、同一または類似部品を指すために、図面および以下の説明の全体を通して使用される。
効果的な風害監視装置は、風害のタイプおよび重大性を判定するために、十分に細かい空間的尺度ならびに十分に速い時間的尺度において正確な風力データを提供する必要がある。ブレードピッチ制御アルゴリズムは、風力タービン発電機から最大でも数秒離れている短距離風力データを必要とする。加えて、最適な制御のために、風力タービン発電機は、風力タービン発電機の回転子またはブレードの一掃面積全体にわたる風力情報を必要とする。これらの領域は、単一の固定配向レーザレーダを用いて監視されることができない。複数のライダを用いた測定は、非常に高価であろう。
方法が、風力タービン発電機からさらに遠く離れた風を測定し、プレビュー時間を用いて、1つ、2つ、3つ、またはそれを上回る回転ブレードが位置する回転子面において接近する風を推定するために開示される。本推定は、例えば、水平および垂直剪断、風力場の空間的構造、ならびにその時間的特性を含む、より長い範囲における風力測定に基づく。より具体的には、ある実施形態では、本明細書に開示される方法およびシステムは、(1)十分な速度および空間分解能で接近する風況ならびに風害を監視するステップと、(2)費用効率的かつ堅調なレーザレーダシステム設計を達成するステップと、(3)突風軽減およびブレードピッチ制御ならびにヨー制御のためのハードウェア構成要素およびソフトウェアを両方とも含み得る、風力タービン制御システムによって使用されるデータ分析およびデータプロダクトを提供するステップと、(4)水平剪断、垂直剪断、突風、乱流、下層ジェット、およびケルビンヘルムホルツ不安定を含む、風力事象の重大性を判定するステップと、(5)接近する流動場を分類して、風力タービン発電機制御システムが、適時に、接近する流動場に適切に反応することを可能にするステップと、(6)ライダで測定された流動場からデータプロダクトを計算するステップと、(7)構造疲労および損傷を低減させるため、信頼性を向上させるため、ならびに現代の風力タービン発電機のエネルギー捕捉効率を増進するために、効果的な突風軽減およびブレードピッチ制御ならびにヨー制御のための十分な速度で、かつ適切な空間的場所において、そのようなデータ分析およびプロダクトを提供するステップとを含む。
図2は、実施形態における風力タービン発電機206の近傍の範囲分解ライダで測定された風分布を図示する、略図である。風力タービン発電機206は、回転子面204内に1つ、2つ、3つ、またはそれを上回る回転ブレード214を有する。矢印210によって指し示されるような自然風分布が、位置またはタービンからの範囲の関数として検出される。ライダ範囲ビン長208は、風流測定のためのレーザレーダの空間分解能を提供する。自然風は、典型的には、地上の速度勾配または垂直剪断を有する。垂直速度変動は、各ブレードが低い高度から高い高度まで回転し、低い高度に戻るにつれて、その高度調節のために提供され得る。風力測定報告面212が、回転子面204からのプレビュー距離220によって画定される。
プレビュー時間が、ブレード位置のわずかに前の空間的領域について、プレビュー距離220および回転子面204の近傍の局所風速に基づいて計算される(図3の領域304参照)。プレビュー時間は、タービンタイプ、場所、および局所風況とともに変動する。プレビュー時間は、タービンの種々の寸法、タービンのタイプ、風力または空気動態、タービンの動作体制等について調節されてもよい。
概して、「長距離」とも称される回転子面204からのより大きい距離において行われる風力測定は、主に、風力場査定、すなわち、乱流重大性監視、剪断測定等に使用される。これらの範囲は、典型的には、風力タービン発電機206用の制御システムに提供される風力測定のための距離よりも大きい。ほんのわずかの風力場のみが、ブレード、ナセル、および塔と相互作用し、したがって、風力タービン発電機(WTG)に直接結合するが、有用な情報が、着目体積場全体から抽出されてもよい。
図2を再度参照すると、体積領域222は、線202A、202B、線202C、202Dの左部分、および線202Eの左部分によって囲繞され、回転子面204からの距離にある。領域222はまた、「長距離領域」とも称される。ライダ測定は、長距離風力データを生成するために領域222中で行われる。これらの長距離内のデータは、突風、剪断、および他の危険についての重要な情報を提供し、突風および乱流条件の重要で高度な警告を与える。
また、領域224は、線202A、202B、線202Cの右部分、および線202Eの右部分、ならびに回転子面204によって囲繞され、「短距離領域」とも称される。短距離領域224中の風力データは、接近する風のプレビューを含有し、WTGのフィードフォワード制御のために有用である。短距離領域224中の風力データは、ブレードピッチおよびヨー制御システムのために重要である。短距離領域224は、制御システムに「フィードフォワード」能力を許容するために風力タービン発電機206に十分に近い。本フィードフォワード能力は、プレビュー時間に直接結び付けられる。長距離領域222および短距離領域224は、平均風速とともに変動し得る。例えば、「長距離」および「短距離」の定義は両方とも、平均風速が増加するときに距離を増加させる。プレビュー距離220は、主に、WTGハードウェアおよび制御アルゴリズムによって判定されるが、局所風力場条件および接近する突風の重大性に起因して調節されることができる。
レーザレーダ(図示せず)が、ナセル、ハブ、または塔等のタービンの近傍のいくつかの場所に搭載されてもよい。しかしながら、ライダシステムは、各搭載場所でレーザビームに沿って見通し線の風を測定することしかできない。レーザビームを横断して直角に接近する風を測定することはますます困難であり、デッドゾーン(例えば、短距離領域224)、すなわち、走査ライダシステムが局所風力場を効果的に測定しない領域をもたらす。より具体的には、長距離領域222では、単一のライダシステムが、風力場を効果的に測定することができる一方で、単一のライダシステムは、短距離領域224では風力場を効果的に測定することができない。したがって、伝搬する風力場は、風力測定用の付加的ライダシステムを使用することなく、風力場の他の部分における測定された風力に基づいて推定される。短距離領域224はまた、図2で「風力計算体積」としても標識される。短距離領域224中の風力場の本推定は、「ライダ測定体積」とも標識される、長距離領域222中の風力場を測定することに基づいて達成される。推定方法は、水平および垂直剪断、風力場の空間的構造、ならびにその時間的特性等の長距離領域222中のいくつかの測定に基づく。
突風または乱流事象の到着時間および重大性は、長距離領域222中の風速測定から推定される。そのような推定は、風力事象が回転子面204に接近するにつれて、より正確になる。さらに、各ブレード214の近傍の推定風力は、WTG構成要素への損傷を防止するため、WTG構成要素への負荷を低減させるため、WTG構成要素の磨耗および疲労を低減させるため、ならびにWTGによって生成される正味の電力を最適化するために、WTG制御アルゴリズムと併せて使用され得る、ブレード特有の風力データを提供する。突風軽減およびブレードピッチ制御のために、各ブレード214に特有のリアルタイム風速データを提供することが有用である。また、フィードフォワードおよびプレビュー風力データをWTG制御アルゴリズムに提供することも有用である。風力データは、風力事象がブレードに衝突することが予期され得るときの速度および方向ならびに関連付けられる到着時間を含む、両方の風速ベクトル測定を提供する。例えば、風力データは、フィードフォワード制御アルゴリズムと関連付けられるプレビュー時間等の具体的衝突時間における風速を提供する。範囲分解風力プロファイルが、測定された風力場の空間分解能を向上させ、データ更新レートの時間的速度を増加させるように、各走査位置において提供される。長距離領域222中の風力場またはデータは、突風、剪断、および乱流の重大性を定量化するため、ならびにWTG制御アルゴリズムによって作用され得る風力場の一部である、短距離領域224中の風力場の正確な推定値を提供するために使用される。
実施形態では、ブレード特有の風力場は、長距離領域222中で測定される風力データに基づいて計算されてもよく、これは、ブレード特有の風力データを提供するために複数のレーザレーダを使用するためのコストを削減することができる。
代替実施形態では、風力プロファイルスケーリングベクトルが、WTG制御アルゴリズムに転送されるデータの量を低減させるために、範囲分解風力データを報告するように適用されてもよい。例えば、回転子直径縮尺係数が、ブレード214の具体的場所における具体的風力区画の衝突を計算するように、範囲分解風力データに適用されてもよい。ブレード直径に沿った各ブレードおよび具体的ブレードタイプの空気力学的収集効率が、範囲分解風力データに適用されてもよい。ブレード荷重および回転子トルク衝撃の両方が、そのようなスケーリングベクトルを使用して計算されてもよい。
図3は、実施形態における、プレビュー風力測定のためのブレード特有の風力監視を図示する、略図である。図3は、プレビュー時間における予想される回転子回転を示す。プレビュー角度は、図3に図示されるように、時間tにおける各ブレード214または回転子の位置と時間t+tpreviewにおける予想される位置との間の角度である。ブレード回転速度は、フィードフォワード持続時間の終了時またはプレビュー時間におけるブレード位置を判定する。プレビュー時間は、プレビュー距離220および各ブレード214の位置の前の空間的領域304中の局所風速に基づいて計算される。各ブレードのための風力測定面積304は、矢印306によって指し示される方向にブレード214が回転するであろう面積である。各ブレード214のための風力測定面積304は、図2に図示されるように、短距離領域224の一部である。明確にするために、長距離領域222は、図3に示されていない。
風力タービン発電機(WTG)206は、全ての空間的および時間的尺度に等しく反応するわけではない。例えば、大きい空間的尺度の風力場は、回転子直径またはブレード直径よりもはるかに大きく、WTG206にとって層流であると考えられ、効率的にWTG206に結合してもよい。一方で、小さい空間的尺度の風力場は、回転子直径よりもはるかに小さく、WTGブレードまたは塔に有意に影響を及ぼすほど活動的ではない。同様に、大きい時間的尺度は、長期の時間的風力場がWTG制御アルゴリズムを用いて効果的に管理されることができるように、ゆっくり変動する風況として現れる。しかしながら、非常に急速に変動する時間的尺度は、WTG206に活動的に結合しない。したがって、風力タービン上の風力場の衝突は、風力場の空間的および時間的尺度、タービンタイプおよびサイズ、回転子タイプおよびサイズ、ならびに局所風速に依存する。ライダ測定範囲、プレビュー時間、およびプレビュー角度は、WTG206の性能にとって重要である。そのような値は、とりわけ、タービン回転子のサイズ、局所風況、現在遭遇している風速、局所乱流および剪断のレベル、ならびにブレードピッチ作動構成要素の磨耗および疲労の低減のための所望のブレードピッチレートに応じて判定される必要がある。
WTG206は、3つの動作体制を含む。第1の体制は、最小風速を下回る風速用である。第2の体制は、最小速度を上回るが、発電の閾値未満の風速用である。第3の体制は、発電の閾値における、またはそれを上回るが、最大安全動作風速を下回る風速用である。WTG206は、WTG206の3つの動作体制に応じて、範囲分解風力データを異なる方法で処理してもよい。
具体的実施形態では、センサ308が、タービンハブ(図示せず)の中に搭載される。測定光学軸は、風力測定座標がブレード214に最大の影響を及ぼす風力ベクトルに整合されるように、タービンシャフト230(図2参照)と同一線上にある。単角円錐、多角円錐、およびロゼット走査が、堅調かつ費用効率的なハードウェアを使用することによって、小さい空間分解能を伴う範囲分解風力測定を提供するように経済的に生成されてもよい。
代替実施形態では、レーザレーダの搭載場所は、ナセル搭載、タービン塔搭載、および地上搭載等、変動し得る。ライダシステムは、同時に、レイリー/ミーライダ等の風速、温度、および圧力測定を提供してもよい。そのようなライダシステムは、範囲分解風力プロファイル、温度、および圧力を提供してもよい。そのようなライダシステムはまた、局所リチャードソン数および/またはレイノルズ数情報を提供してもよい。
図4は、実施形態における簡略化された系統図である。システム400は、ヨー制御ギヤおよびモータまたはヨー角アクチュエータ412と、ブレードピッチアクチュエータ410とを有する、風力タービン発電機206を含む。システム400はまた、風力タービン発電機206の近傍の風力場408を監視するためのセンサ308も含む。システム400はさらに、いくつかある機能の中でも、ブレードピッチアクチュエータ410と、ヨー制御ギヤおよびモータ412とを制御するための制御システム404を含む。システム400はまた、アルゴリズム416を用いてセンサ308からの風力データを分析するためのプロセッサ414を伴うコンピュータシステム418を含む。プロセッサ414を伴うコンピュータシステムは、図2の短距離領域224および長距離領域222中の風力データまたは風力場、ならびにブレード特有の風力データまたは風力場を含む、範囲分解風力データを制御システム404に提供する。
センサ308は、風速測定、温度測定、および/または圧力測定を含む、種々の測定を提供することが可能なライダであってもよい。センサ308は、制御システム404に結合される、プロセッサ414に結合される。
制御システム404は、ライダ等のセンサ308を用いて測定される風力データを使用して、プロセッサ414において行われるデータ分析に基づいて、ヨー制御、ブレードピッチ制御、および突風軽減のために、風力タービン発電機206に動作可能に結合される。制御システム404はまた、ヨー制御ギヤおよびモータ412に結合される。制御システム404はまた、フィードバック制御トルク、塔の歪み、発電機回転子速度、および発電機負荷についての情報を受信するように、他の入力センサ(図示せず)に結合されてもよい。制御システム404は、負荷、回転子速度、および風力タービン発電機206の発電のフィードバックまたはフィードフォワード制御のいずれかを含んでもよい。本明細書では、「フィードフォワード」制御は、事象に反応して事象の開始後に行われる制御とは対照的に、事象を予想して事象の発生に先立って行われる制御を指す。
センサ308は、突風検出および軽減のために十分な図2の長距離領域222等のタービンの風上の長さにわたって、回転子またはブレード214によって一掃される面積によって画定される円筒空間体積を少なくとも含む、着目場全体を監視することが可能である必要がある。空間体積中の風力場は、中規模風力場事象を監視するために、十分な空間分解能で監視される必要がある。空間分解能は、回転子直径の約3分の1に等しいまたはそれより小さい必要がある。好ましくは、空間分解能は、回転子直径の10分の1である(またはそれより小さい)。
センサ308はまた、WTGに効率的に結合する風力場を捕捉するために十分に高いサンプリングレートで体積場全体を監視することが可能である必要もある。ブレードピッチアクチュエータ410ならびにヨー制御ギヤおよびモータ412の電力消費量、かさ、コスト、磨耗および疲労を低減させるために、制御システム404の反応時間は、典型的には、約1秒に限定される。したがって、センサの最小応答時間は、少なくとも3Hzのデータ更新レートを提供する、約3分の1秒である。特に、活動的突風事象中に、より速い更新レートが好ましい。センサまたはライダ308が故障した場合、WTG206は故障しないが、「フィードフォワード」能力を失うであろう。次いで、制御システム404は、エネルギー生成のための最大効率を生じない、またはより高いブレード荷重レベルに接近しない、低減能力モードで動作し得る。
WTG206は、有意な突風のためのブレードをつける必要があり得る。しかしながら、最大ピッチレートは、ブレードピッチハードウェアによって設定される。信頼性を増加させて疲労を低減させるために、WTG206は、より遅いブレードピッチレートを利用することを好む。
最も正確な風力場査定および到着時間予測を提供するように利用可能な風力測定ならびに技法を組み合わせることが望ましい。より具体的には、範囲分解風力データは、風力場査定のための長距離領域222中の測定された風力データ、および回転子面204の近傍の短距離領域224中の計算された風力データ、ならびに計算または測定されたブレード特有の風力データを組み合わせることによって、取得されてもよい。短距離領域224中の範囲分解風力データは、突風軽減およびブレードピッチ制御ならびにヨー制御のためのアルゴリズムによって使用されてもよい。
また、異なる空間的および時間的処理技法が使用されてもよい。風力データがリアルタイムで長距離にわたって収集されるため、テイラーの「凍結乱流」仮定が、短距離領域等のライダ走査パターンによって直接測定されないこれらの空間的領域を網羅するために使用されてもよい。加えて、高次の時間および空間項が、特に回転子面の近傍の剪断、乱流、および突風等の流動場擾乱をより正確に定量化するように計算されることができる。
本開示の実施形態によると、現代の風力タービンにとって接近する風況および風害を監視、分類、査定、ならびに検出するように、システムおよび方法が提供される。本方法は、現代の風力タービンの突風軽減およびブレードピッチ制御ならびにヨー制御のための十分な速度および空間分解能で接近する流動場を監視するステップを含む。本方法はまた、十分な速度で適切な空間的場所においてデータ分析を行うステップも含む。
図5は、風力タービン発電機の近傍の範囲分解風力データを生成するためのステップを図示する、フローチャート500である。方法500は、ステップ502で、風力タービン発電機206の上のまたは近傍に搭載されたレーザレーダ308を用いて測定される、長距離領域222中の風力データを測定するステップから始まる。長距離領域は、風力タービン発電機の回転子面からの距離にある。方法500は、ステップ504で、プレビュー時間を推定するステップを含む。方法500はまた、長距離領域222中の測定された風力データに基づいて、風力タービン発電機206の回転子面により近い短距離領域224中の風力場を計算するステップ506も含む。方法500はまた、長距離領域222中の測定された風力データに基づいて、ブレード特有の風力場を計算するステップ508も含む。本方法はまた、風力場メトリックを用いて風力事象の重大性を査定するステップ510も含む。方法500はさらに、範囲分解風力データを生成するステップ512を含む。
図6は、分類データおよびコードを風力タービン発電機に結合された制御システムに提供するためのステップを図示するためのフローチャート600である。方法600は、プロセッサ414を伴うコンピュータシステムにおいて、ステップ602で範囲分解風力データを受信するステップから始まる。方法600は、ステップ604で、プレビュー時間を推定するステップを含む。方法600はまた、風力場メトリックを用いて風力事象の重大性を査定するステップ606も含む。方法600はさらに、範囲分解風力データを生成するステップ608を含む。本方法はまた、ステップ610で、接近する風力場を分類し、分類データおよびコードを制御システムに提供するステップも含む。本方法はまた、ステップ612で、ライダ性能データを制御システムに提供するステップを含んでもよい。
制御システム404は、ステップ506で、風力タービン発電機206へのブレードピッチおよびヨー制御を調節するために短距離領域224中の風力データを使用する。プロセッサ414はまた、ステップ508で、メトリックを制御システム404に提供するように風力場メトリックで風力事象の重大性を査定する。プロセッサ414はさらに、接近する風力場を分類して、ステップ510で、分類データおよびコードを制御システム404に提供し、ステップ512で、ライダ性能データを制御システムに提供する。
多数の走査方法が、着目体積場全体または着目体積場全体のサブセットを監視および/または査定するために使用されることができる。走査方法は、方位走査および/または仰角走査、および/またはラスタパターンスキャナからの方位および仰角走査の組み合わせを含む。加えて、円錐走査は、単一の円錐角または複数の円錐角、およびリスレープリズムスキャナによって行われるロゼット走査を含む。使用され得る他の走査システムは、マイクロ光電気マシン(MEM)スキャナ、およびホログラフィック光学要素(HOE)、回折光学要素(DOE)、ならびにウェッジプリズム等を組み込む走査システムを含む。
風力データは、異なるWTG制御アルゴリズムまたはデータ報告システムが異なる動作問題に対処することを可能にする、多数の座標系で報告されてもよい。座標系は、局所地理空間的座標に基づく地球中心系、またはタービン上に、すなわち、タービン回転子シャフトおよび回転子面の交差点に位置する基準に基づくタービン中心系であってもよい。多数の方法およびメトリックが、風力場を検出、監視、ならびに査定するために使用されることができる。
風力場データプロダクトは、風力場メトリック、分類データおよびコード、ならびにライダ特有の性能データを含む。風力場メトリックを使用することによって、短距離領域224中の風力場およびブレード特有のデータが、単一のライダ308からの長距離領域222中の測定された風流データを使用することによって推定される。風力場メトリックは、以下、すなわち、
(1)タービンブレードによって遭遇されるセクタ等の風力区画の速度、およびブレードに衝突する風力区画の関連付けられる到着時間と、
(2)最大風速を含む、範囲分解風速プロファイルと、
(3)範囲分解速度測定の第1のモーメント(すなわち、平均風力)と、
(4)範囲分解速度測定の第2のモーメント(すなわち、測定された風力プロファイルの標準偏差またはライダスペクトル幅)と、
(5)風力場パラメータから計算または推定される渦消散率と、
(6)v(r)が、範囲rにおいて測定される風速であり、Δrが、局所空間分解能である、速度構造関数平均([v(r+Δr)−v(r)]2)、または速度構造関数平均([(v(r+Δr)−v(r))/Δr]2)の代替的形態と、
(7)速度勾配∇v(r)、または速度勾配の規模|∇v(r)|または(∇v(r))2、およびこれらの勾配ベースのメトリックの集合平均と、
(8)T(r)が、測定された温度プロファイル、またはリチャードソン数Riである、温度勾配∇T(r)等の測定された温度プロファイルに基づく大気安定度メトリックと、
(9)レイノルズ数等の局在的速度、温度、および圧力測定に基づく大気流体制メトリックと、
(10)ブレード上の風力区画の衝突を補償する、回転子重み関数またはベクトルV(r)と、
を含む。
風力場メトリックは、地球中心(x,y,z)座標、または球座標(ρ,θ,φ)、円筒座標(φ,r,l)で、またはブレード特有の方向(r,φ)に沿って評価されてもよい。風力場メトリックは、最終的にブレードに衝突する風力場のこれらの下位区分について計算されてもよい。風力場メトリックは、回転子重み関数によって乗算されてもよい、またはそれを用いて補償されてもよい。例えば、重み関数またはベクトルが、各ブレードに送達される効果的なブレード荷重および/またはトルクを計算するように、範囲分解風力データに適用されてもよい。地球中心、タービン中心、またはブレード特有の座標系では、着目体積場の全ての部分または下位部分にわたって、風力場メトリックが、風力場を検出、監視、および査定するために使用されてもよい。例えば、これらの風力場メトリックは、直径依存性回転子性能を補正するため、またはライダ信号レベルまたはライダ信号対雑音比(SNR)等のライダ性能を補正するために、修正されてもよい。風力場メトリックは、風力場のタイプ、重大性、および影響を査定するために使用されることができる。そのような風力場メトリックは、WTG206を支援して種々の制御アルゴリズムおよび方法の間で選択するように、風力場分類を提供する。
分類データおよびコードが、開発され、制御目的のためにWTGに送達されてもよい。分類データおよびコードは、以下、すなわち、
(1)水平、垂直、ブレード方向剪断、およびブレード間剪断データを含む、範囲分解風力場のタイプならびに重大性と、
(2)ブレード特有の風力場に起因する、各ブレード上の荷重および/または変動性と、
(3)ブレード特有の風力場に起因する、各ブレードによって送達される回転子トルクおよび/または変動性と、
(4)突風の重大性、到着時間、および空間的特性と、
(5)接近する突風、危険、または流動変動の到着時間等の範囲分解風力場の時間的特性と、
(6)ヨー方向またはブレード位置の関数としての風力場変動性等の範囲分解風力場の空間的特性と、
を含む。
風力場データプロダクトは、上記のメトリックおよび分類データ/コードのうちのいずれかを含んでもよい。加えて、ライダ特有の性能データが含まれてもよい。
ライダ特有の性能データは、(1)それぞれ、無効および有効であることが判定されるデータについて0および1を含む、データ有効性と、(2)組込み試験結果からの故障コードを含む、ライダハードウェアおよびソフトウェア動作ステータスコードと、(3)汚れた窓または不十分な電力供給等のライダ保守コードと、(4)信号強度または信号対雑音比(SNR)、雪および雨等の天候に起因するライダ感度劣化等のライダ性能特性とを含む。
本方法およびシステムは、複数のライダを有する風力測定システムの低コスト代替物を提供する。長距離領域中の風力データは、単一のライダを用いて測定されることができる。短距離領域中の風力データは、長距離で測定される風力データに基づいて計算されることができる。長距離領域および短距離領域の両方の中の風力データ、ならびにブレード特有の風力データを含む、範囲分解風力データは、構造疲労および損傷を低減させるため、重大であるが短時間の高速移動風力事象から高価なタービンを保護するため、および信頼性を向上させるため、ならびにエネルギー捕捉効率を増進するために、風力タービン発電機が効果的な突風軽減、ブレードピッチ制御、およびヨー制御を行うことに役立つ。
図7は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を予測するための1つの例示的システム700を図示する。本明細書では、「航空力学的構造」は、その動作が、それとの機械的結合を通して、周囲空気または他のガスを利用する、構造を指す。具体的には、航空力学的構造730は、概して、航空力学的構造730に向かって移動する、大気体積750と結合する。航空力学的構造730は、例えば、風力タービンまたは航空機である。風力タービンの実施例では、大気体積750は、概して、風力タービンに向かって移動する、空気体積である。航空機の実施例では、大気体積750は、航空機が飛行中であるときに航空機が向かって移動している、空気の体積である。航空機の基準枠から見ると、大気体積750は、概して、航空機が飛行中であるときに航空機に向かって移動している。この範囲から逸脱することなく、大気体積750はまた、大気体積750が航空機の進行方向に対する角度で航空機に接近するように、地面に対する速度を有してもよい。
システム700は、航空力学的構造730における風力事象755の到着情報790を推定するように、大気体積750の空間的分散型風速測定785のセットの時系列780を処理する、風力予測ユニット710を含む。空間的分散型風速測定785の各セット、すなわち、時系列780の各時点は、大気体積750中の個別の複数の異なる空間的場所における風速の複数の測定を含む。空間的分散型風速測定785の各セットは、異なる時間に測定される。図2、5、および6を参照して議論されるような長距離領域222中の風力測定は、空間的分散型風速測定785の実施例である。風力予測ユニット710は、大気体積750中の風速の履歴を取得するために、単一の時点とは対照的に時系列780を利用する。本風速の履歴から、風力予測ユニット710は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を予測するように、将来の時間の中へ外挿する。システム700が大気体積750中の風速の履歴を利用するため、システム700は、複雑な風力場動態を考慮することが可能である。例えば、システム700は、風力事象755内の直接測定された風速と異なる風力事象755のパケット速度または位相速度を考慮してもよい。これは、航空力学的構造730における風力事象755の到着の正確な予測を提供する。
空間的分散型風速測定785の3つのセットを含むものとして図7に示されているが、時系列780は、空間的分散型風速測定785の2つ、4つ、またはそれを上回るセットを含んでもよい。本明細書では、「空間的分散型風速測定」は、3次元体積にわたって空間的に分散され、必ずしも直線または平面に閉じ込められない、風速測定を指す。
風力予測ユニット710は、風力事象識別モジュール712と、追跡モジュール714とを含む。ある実施形態では、風力予測ユニット710はまた、重大性判定モジュール716も含む。風力事象識別モジュール712は、風力事象755の存在を判定するように時系列780を処理する。ある実施形態では、風力事象識別モジュール712はまた、風力事象755のタイプも判定する。例えば、風力事象識別モジュール712は、垂直剪断、水平剪断、風力構造の凝集パケット(「乱流」)、突風、またはそれらの組み合わせである、風力事象755の存在を判定する。その範囲から逸脱することなく、風力事象識別モジュール712は、個別の複数の到着情報790と関連付けられる複数の風力事象755を識別してもよい。追跡モジュール714は、風力事象755の到着情報790を推定するように、時系列780に基づいて風力事象755を追跡する。到着情報790は、航空力学的構造730における風力事象755の推定到着時間および風力事象755のタイプのうちの少なくとも1つを含んでもよい。到着情報790はさらに、航空力学的構造730上の風力事象755の衝突の重大性を示す、重大性メトリックを含んでもよい。ある実施形態では、到着情報790は、風力事象755の速度、方向、空間的範囲、および空間的構造等の推定空間的情報を含む。
延長した持続時間の風力事象755に関して、到着時間は、システム700が、連続的または定期的に、航空力学的構造730における風力事象755について更新された予測を提供するように、風力事象755の性質が航空力学的構造730に到達する時間を指し得ることが理解される。同様に、風力事象755は、正常な風況から逸脱する風力事象後の正常な風況への帰還を指し得る。
一実施形態では、システム700はさらに、時系列780を生成するライダ720を含む。ライダ720は、ライダ720が大気体積750と光学通信するように、航空力学的構造730に、例えば、航空力学的装置の上または中、または航空力学的構造730の近傍に位置する。ライダ720は、ライダ720のレーザビームの見通し線に沿って風速を測定するように構成されてもよい。ライダ720は、センサ308に関して上記で説明される1つまたはそれを上回る特徴を含んでもよい。ライダ720のレーザビームは、空間的分散型風速測定785を取得するよう、変動する方向を有する。別の実施形態では、システム700は、720を含まないが、ライダ720に類似し得る第3のライダから時系列780を受信するように構成される。
システム700は、風力事象755の到着の数秒前に風力事象755の到着を予測してもよい。一実施例では、航空力学的構造730は、風力タービンであり、システム700は、風力タービンにおける風力事象755の到着の少なくとも3〜5秒前に到着情報790を生成する。これは、少なくとも3〜5秒にわたって風力タービンの動作の調節を可能にする。そのような調節は、風力タービンの1つまたはそれを上回る回転子ブレードのピッチを変化させることを含んでもよい。従来技術の風力測定システムは、概して、風力タービンの機械部品の有意な構造疲労を引き起こす、風力タービンの動作の調節のための約1秒を可能にするのみである。したがって、風力タービン業界は、実際の到着の少なくとも3〜5秒前の風力事象到着予測を好む。システム700は、約0.1秒またはそれよりも良好な精度で、実際の到着の3〜5秒前に、航空力学的装置における風力事象755の到着時間を予測することが可能である。風力タービンの実施例では、これは、風力事象755中の最適な動作効率のために要求される正確度も提供しながら、最小限の構造疲労および風力タービンの機械部品の最小限の損傷を伴って、風力タービンの調節を可能にする。別の実施例では、航空力学的構造730は、航空機であり、システム700は、発生時間に先立って、航空機における風力事象755の到着(風力事象755上の航空機発生)を予測して、航空機の1つまたはそれを上回る制御表面を調節する時間を提供するように構成される。
図8は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を予測するための1つの例示的方法800を図示する。方法800は、システム700によって行われてもよい。
一実施形態では、方法800は、航空力学的構造730に配置されたライダを使用して、大気体積750を繰り返し走査し、時系列780を取得するステップ801を含む。ライダは、大気体積750の一般的伝搬方向に沿った複数の位置において、および大気体積750の一般的伝搬方向と垂直な少なくとも1つの平面のそれぞれの中の複数の位置において、測定を取得する。ステップ801の一実施例では、ライダ720は、時系列780を取得するように大気体積750を繰り返し走査する。別の実施形態では、方法800は、時系列780を受信するが、時系列780を生成するステップ801を含まない。
ステップ801は、大気体積750を監視および/または査定するために、種々の走査方法のうちの1つまたはそれを上回るものを利用してもよい。そのような走査方法は、方位走査および/または仰角走査、および/またはラスタパターンスキャナからの方位および仰角走査の組み合わせを含む。加えて、円錐走査は、単一の円錐角または複数の円錐角、およびリスレープリズムスキャナによって行われるロゼット走査を含む。ステップ801で使用され得る他の走査システムは、マイクロ光電気マシン(MEM)スキャナ、およびホログラフィック光学要素(HOE)、回折光学要素(DOE)、ならびにウェッジプリズム等を組み込む走査システムを含む。
一実施形態では、ライダは、大気体積750の全体積を走査する。別の実施形態では、ライダは、大気体積750中の1つまたはそれを上回る表面のみを走査する。全体積走査が、要求される走査速度を達成するために複数のライダを要求し得る一方で、表面走査が、単一のライダによって行われ、依然として風力事象755の到着を予測するために十分なデータを提供してもよい。ステップ801が表面走査を利用するとき、ライダは、高速で本表面を走査し、それによって、高い時間分解能のデータを提供してもよい。高い時間分解能は、航空力学的構造730における風力事象755の到着時間を正確に予測するために有益である。
ステップ810では、方法800は、時系列780から風力事象755の存在を判定する。ある実施形態では、ステップ810は、風力事象755のタイプを判定するステップ812を含む。例えば、ステップ812は、風力事象755が、垂直剪断、水平剪断、垂直突風、水平突風、乱流、またはそれらの組み合わせであることを判定する。ステップ810の一実施例では、風力事象識別モジュール712は、図7を参照して議論されるように、風力事象755の存在、随意に、タイプを判定するように、時系列780を処理する。
ステップ820では、方法800は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を推定するように、時系列780に基づいて風力事象755を追跡する。一実施形態では、方法800は、風力事象755がステップ810で判定されるときにステップ820を行う。ステップ820の一実施例では、追跡モジュール714は、図7を参照して議論されるように、時系列780に基づいて風力事象755の到着を推定する。ステップ820は、航空力学的構造730における風力事象755の到着時間を推定するステップ822を含む。ステップ822は、そこから到着時間を推測するために、風力事象755のパケット速度を判定するステップ824を含んでもよい。図7を参照して議論されるように、風力事象755のパケット速度の判定は、到着情報790の正確度を向上させる。ステップ820はさらに、風力事象755と関連付けられる風向および/または風速を推定するステップ826を含んでもよい。加えて、ステップ820は、風力事象755の空間的範囲および空間的構造等の他の空間的衝突性質を推定するステップ828を含んでもよい。風向および/または風速は、風力事象755を横断して変動し得、風力事象755の風向/速度は、空間的または時間的に依存性であり得ることが理解される。
この範囲から逸脱することなく、ステップ820は、風力事象755の他の性質を推定してもよい。ステップ820で推定される風力事象755の性質は、以下のうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。
(1)航空力学的構造730に衝突しようとしている風力区画等の風力事象755と関連付けられる風力区画の速度、および風力区画の関連付けられる到着時間。
(2)風力事象755の空間的分解型風速プロファイル。
(3)風力事象755の最大風速。
(4)風力事象755の空間的分解型風速プロファイル(すなわち、平均風速)の第1のモーメント。
(5)風力事象755の空間的分解型風速プロファイル(すなわち、測定された風力プロファイルの標準偏差またはライダスペクトル幅)の第2のモーメント。
(6)風力事象755の渦消散率。
(7)v(r)が、範囲rにおいて測定される風速であり、Δrが、局所空間分解能である、風力事象755の速度構造関数平均([v(r+Δr)−v(r)]
2)、または速度構造関数平均([(v(r+Δr)−v(r))/Δr]
2)の代替的形態。
(8)風力事象755の速度勾配v(r)、または速度勾配の規模|∇v(r)|または(∇v(r))
2、およびこれらの勾配ベースのメトリックの集合平均。
(9)T(r)が、測定された温度プロファイル、またはリチャードソン数Riである、温度勾配∇T(r)等の測定された温度プロファイルに基づく、風力事象755と関連付けられる大気安定度メトリック。
(10)レイノルズ数等の局在的速度、温度、および圧力測定に基づく、風力事象755と関連付けられる大気流体制メトリック。
(11)風力事象755の機械的エネルギー消散率
であって、vは、動粘度であり、u
iおよびx
iは、それぞれ、成分速度および方向である。反復指数(軸)にわたる合計が仮定され、括弧は、空間的平均を表す。
(12)
として定義される、風力事象755の空間的分解型風速プロファイルの第nのモーメントであって、
であり、rは、xからの空間的変位を表す。
ある実施形態では、方法800は、航空力学的構造730上の風力事象755の衝突の重大性を定量化するステップ830を含む。ステップ830は、例えば、重大性判定モジュール716によって行われる。ステップ830は、事前定義された正常風速から、風力事象755と関連付けられ、ステップ826で推定される、風速の偏差を計算するステップ832を含む。ステップ832はさらに、(a)ステップ832で判定される偏差および(b)航空力学的構造730への風力事象755のタイプの影響に基づいて、航空力学的構造730上の風力事象755の衝突の重大性を定量化するステップ834を含む。ステップ834は、航空力学的構造730のある空間的部分上の風力事象755の衝突と関連付けられるトルクまたは荷重等の航空力学的構造730の性質の知識を利用してもよい。例えば、風力タービンの場合、風力タービンの回転子ブレード上の風力事象755の衝突の重大性は、風力タービンのナセルの近傍よりも回転子ブレードの先端の近傍で大きい。本実施例では、ステップ834は、上記で議論されるように、回転子重み関数またはベクトルを利用してもよい。
随意のステップ840では、方法800は、到着情報790を航空力学的構造730に通信する。到着情報790は、風力事象755の到着時間、風力事象755のタイプ、および/または航空力学的構造730上の風力事象755の衝突の重大性等のステップ810、820、および/または830で判定されるデータを含んでもよい。ステップ840の一実施例では、風力予測ユニット710は、到着情報790を航空力学的構造730に通信する。
システム700は、到着情報790を更新するように、例えば、定期的間隔で方法800を繰り返してもよい。
図9Aおよび9Bは、ライダ720が、概して、風力タービン930に向かって移動する、大気体積750の風速を測定する、1つの例示的シナリオを図示する。大気体積750は、概して、矢印950によって示されるように、風力タービン930に向かって移動している。矢印950は、直線であるものとして示されているが、大気体積750の個々の風力区画は、直線ではない経路に沿って伝搬し得ることが理解される。風力タービン930は、航空力学的構造730の実施形態であり、ナセル934と、複数の回転子ブレード932とを含む。風力タービン930は、1つ、2つ、3つ、またはそれを上回る回転子ブレード932を含んでもよい。例証を明確にするために、全ての回転子ブレード932が図9Aおよび9Bで標識されているわけではない。ライダ720は、ナセル934の上または中に搭載され、大気体積750と光学通信している。ライダ720は、大気体積750中の円錐表面960を走査する。風力タービン930は、例えば、WTG206である。
図9Aは、風力タービン930の回転子面940と略平行である水平視認方向に沿った斜視図で風力タービン930および円錐表面960を示す。座標系905が、x軸に沿っているものとして大気体積750の一般的伝搬方向を画定する一方で、回転子面940は、y−z面内にある。図9Bは、風力タービン930の回転子面940上の円錐表面960の投影を示す。図9Aおよび9Bは、併せて閲覧することで最適に見られる。
大気体積750の風力区画が、例えば、矢印950によって示されるように、風力タービン930に向かって伝搬するにつれて、これらの風力区画は、円錐表面960を通過する。したがって、円錐表面960を横断してライダ720によって行われる風速測定は、これらの風力区画の風速測定を含む。円錐表面960は、ライダ720からのx軸に沿った長さ990において最大直径972を有する。直径972は、少なくとも回転子面940の直径980と同程度に大きい。矢印950(i)によって示される風力区画は、y−z面上に投影される位置952(i)において円錐を通過する。
一実施例では、直径972は、50〜200メートルの範囲内であり、長さ990は、100〜400メートルの範囲内である。
実施形態では、風力タービン930は、直径980の3分1または4分の1以下の粗さの分解能において、y−z面内の風力事象755の空間的構造を判定するためにシステム700および方法800を利用する。
図10は、航空機1030の基準枠から視認されるように、ライダ720が、概して、航空機1030に向かって移動する、大気体積750の風速を測定する、1つの例示的シナリオを図示する。図10のシナリオは、風力タービンの代わりに航空機に適用可能であることを除いて、図9Aおよび9Bのシナリオに類似する。ライダ720は、航空機1030の上または中に搭載され、大気体積750と光学通信する。回転子面940は、航空機1030に位置する幾何学的表面1040によって置換される。図10は、図9Aのものに類似する図を表す。
実施形態では、航空機1030は、航空機1030の長さ1080の半分以下の粗さの分解能において、x軸に沿った風力事象755の空間的構造を判定するためにシステム700および方法800を利用する。
図11A−Dは、方法800のステップ801を行うためにライダ720によって使用され得る、例示的走査表面幾何学形状を図示する。図11A−Dはそれぞれ、y−z面内の断面として個別の走査表面を示す(座標系905参照)。図11A−Dで可視的ではないが、これらの走査表面はそれぞれ、ライダ720の場所から円錐形に拡張している。
図11Aは、円錐表面960を図示する。円錐表面960は、帯状風、すなわち、主にx方向への速度を伴う風力事象の測定に特に適している。円錐表面960はまた、y−z面内の成分を伴う風速も測定する。風力タービンは、帯状風に特に敏感であるが、y−z面内の水平風は、衝突を予想して適切に調節されていない場合、風力タービンに重大な損傷を引き起こし得る。したがって、システム700は、有利なこととして、航空力学的構造730が風力タービンであるときに、時系列780を測定するように円錐表面960を適用してもよい。
図11Bは、主に垂直に配向された表面部分1112および主に水平に配向された表面部分1114を伴う、1つの例示的な半径方向に拡張するロゼット表面1110を図示する。この範囲から逸脱することなく、半径方向に拡張するロゼット表面1110は、図11Bに示されるよりも多くの表面部分を含み、および/または図11Bに示されるものと異なる表面部分配向を有してもよい。半径方向に拡張するロゼット表面1110は、y−z面内の高風速と関連付けられる風力事象の測定に適している。航空機が横風に特に敏感であるため、システム700は、有利なこととして、航空力学的構造730が航空機であるときに、時系列780を測定するように半径方向に拡張するロゼット表面1110を適用してもよい。
図11Cは、主に垂直に配向された表面部分1122および主に水平に配向された表面部分1124を伴う、1つの例示的な半径方向に拡張する十字形表面1120を図示する。この範囲から逸脱することなく、半径方向に拡張する十字形表面1120は、図11Cに示されるよりも多くの表面部分を含み、および/または図11Cに示されるものと異なる表面部分配向を有してもよい。図11Bを参照して記述されるものと同一の理由により、半径方向に拡張する十字形表面1120は、有利なこととして航空機上に実装されたときにシステム700によって採用される。
図11Dは、1つの例示的な半径方向に拡張するラスタ走査表面1130を図示する。半径方向に拡張するラスタ走査表面1130は、空間的分散型風速測定785における風速のより完全な直接測定を取得するように、大気体積750の比較的高密度の空間的被覆を提供する。
図12は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を予測するための1つの例示的方法1200を図示する。方法1200は、全体積風力マップに基づいて風力事象755の到着を予測するように、大気体積750の本全体積風力マップの時間発展を判定する。方法1200は、方法800の実施形態である。
一実施形態では、方法1200は、航空力学的構造730に配置されたライダを使用して、大気体積750中の表面を繰り返し走査し、本表面を横断する風速表面測定の時系列780を取得するステップ1201を含む。これらの風速表面測定は、空間的分散型風速測定785の実施形態である。実施形態では、ステップ1201は、ライダビームの見通し線に沿った風速のみを測定する。ステップ1201の一実施例では、ライダ720は、時系列780を取得するように、大気体積750中の表面960、1110、1120、および1130のうちの1つ等の表面を繰り返し走査する。ステップ1201の別の実施例では、ライダ720は、例えば、航空力学的構造730に最も近い表面部分を除外して、表面960、1110、1120、および1130のうちの1つのサブセットを繰り返し走査する。別の実施形態では、方法1200は、時系列780を受信するが、時系列780を生成するステップ1201を含まない。ステップ1201は、方法800のステップ801の実施形態である。
ステップ1210では、方法1200は、風速表面測定の時系列780から風力事象755の存在およびタイプを判定する。ステップ1210は、例えば、風力事象識別モジュール712によって行われる。
ステップ1210は、ステップ1212および1214を含む。ステップ1212では、方法1200は、相互に一貫した様式で、区間および時間を通して風速表面測定のそれぞれを伝搬する。本伝搬は、時系列780の異なる時点の間で最適な一貫性を確実にする方式で行われる。例えば、時点毎に、時点と関連付けられる風速表面測定は、次の時点の風速表面測定と最適に一致するように、空間および時間において伝搬される。本伝搬は、大気体積750と関連付けられる全体積風力場の時間発展の判定をもたらす。風速表面測定の伝搬は、凍結乱流仮定に制約されず、ステップ1212は、異なる時間に取得される風速表面測定の間で最適な一貫性を達成するように、異なる速度で異なる方向に大気体積750の異なる部分を伝搬してもよい。
ステップ1214では、方法1200は、風力事象755を検出し、風力事象755のタイプを判定するように、全体積風力場の時間発展の少なくとも1つの時点を評価する。ステップ1214は、力事象755のタイプを判定するように、性質(1)から(12)のうちの1つまたはそれを上回るものを利用してもよい。一実施例では、垂直剪断が、体積風力場の下部分よりも高い帯状風速を有する、体積風力場の上側部分から識別される。
ステップ1220では、方法1200は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を推定するように、ステップ1210で判定される、全体積風力場の時間発展の少なくとも一部を通して風力事象755を追跡する。一実施形態では、方法1220は、風力事象755がステップ1210で判定されるときにステップ1220を行う。ステップ1220は、例えば、追跡モジュール714によって行われる。ステップ1220は、方法800のステップ820の実施形態である。
ステップ1220は、ステップ822を含み、随意に、ステップ824、826、および828のうちの1つまたはそれを上回るものを含む。ステップ1220で実装されるとき、ステップ822、824、826、および828は、全体積風力場の時間発展の少なくとも一部を通した風力事象755の追跡に基づいて行われる。ステップ1220で推定される風力事象755の性質は、図8を参照して議論される性質(1)から(12)のうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。
実施形態では、方法1200は、全体積風力場の時間発展から、回転子面940、回転子面940と同一平面上にある幾何学的表面、または幾何学的表面1040等の航空力学的構造730と関連付けられる表面の少なくとも1つの将来の風力場マップを抽出するステップ1240を含む。少なくとも1つの将来の風力場マップはそれぞれ、将来の時点での航空力学的構造730と関連付けられる表面における推定風力場、例えば、3次元速度または帯状風速を示す。一実施例では、ステップ1240は、少なくとも3または5秒の持続時間にわたる現在の時間後の0.1秒毎の将来の風力場マップ等の現在の時間後の持続時間にわたる将来の風力場マップのセットを生成する。別の実施例では、ステップ1240は、将来、少なくとも3〜5秒である時間にわたって1つまたはそれを上回る将来の風力場マップを生成する。
随意に、方法1200は、将来の風力場マップのうちの少なくとも1つに基づいて、航空力学的構造730上の風力事象755の衝突の重大性を定量化するステップ1250を含む。ステップ1250は、少なくとも1つの将来の風力場マップに基づく、ステップ830の実施形態である。ステップ1250は、図8を参照して議論されるように、ステップ832および834を実装してもよい。
実施形態では、方法1200は、ステップ1240を参照して説明されるものと同一の方法を使用して、全体積風力場の時間発展から、航空力学的構造730と関連付けられる表面の現在の風力場マップを抽出するステップ1230を含む。現在の風力場マップは、現在の時間での航空力学的構造730と関連付けられる表面における推定風力場、例えば、3次元速度または帯状風速を示す。
ステップ1230、1240、および1250はそれぞれ、風力予測ユニット710によって行われてもよい。
随意のステップ1260では、方法1200は、到着情報790を航空力学的構造730に通信する。到着情報790は、風力事象755の到着時間、風力事象755のタイプ、航空力学的構造730上の風力事象755の衝突の重大性、将来の風力場マップ、および/または現在の風力場マップ等のステップ1210、1220、1230、1240、ならびに1250で判定されるデータを含んでもよい。ステップ1240の一実施例では、風力予測ユニット710は、到着情報790を航空力学的構造730に通信する。
航空力学的構造730または航空力学的構造2340(図23参照)等の航空力学的構造は、現在の風況から将来の風況への変化に従って、その動作を適切に調節するために、現在の風力場マップ(ステップ1230で判定される)および1つまたはそれを上回る将来の風力場マップ(ステップ1240で判定される)を両方とも利用してもよい。
図13−16は、方法1200のある側面の例示的説明図である。図13−16は、併せて閲覧することで最適に見られる。
図13は、表面1340に向かって大気体積750中で伝搬する、例示的局所風力事象1310を示す。風力事象1310は、風力事象755の実施例である。表面1340は、例えば、回転子面940または幾何学的表面1040である。風力事象1310は、経路1320に沿って伝搬する。本実施例では、大気体積750と関連付けられる流動場の複雑な性質が、経路1320を直線ではなくさせ、また、風力事象1310のパケット速度を経時的に変化させる。加えて、風力事象1310の性質は、経路1320に沿った伝搬中に変化する。時間t1における風力事象1310の初期状態が、1310と標識された輪郭として示されている。以降の時間t2、t3、およびt4では、風力事象1310は、それぞれ、輪郭1310’、1310”、および1310’’’として示されている。時間t4では、風力事象1310は、表面1340に到達する。時間t1、t2、t3、およびt4は、等距離である。本実施例では、凍結乱流仮定に従った風力事象1310の数学的伝搬は、表面1340における風力事象1310の到着時間および位置の両方の誤った予測につながるであろうことが明白である。例えば、風力事象1310の速度が時間t1において測定され、本測定に基づいて、凍結乱流仮定に従って表面1340に数学的に伝搬された場合、予測到着位置は、矢印1330によって示される通りであろう。加えて、風力事象1310のパケット速度が経時的に増加するため、凍結乱流ベースの伝搬は、実際の到着時間よりも遅い到着時間を予測するであろう。
図14A−Cは、それぞれ、時間t1、t2、およびt3における、表面1340に頂点を伴う円錐表面960を横断する例示的風速測定を示す。時間t1、t2、およびt3のそれぞれにおいて、風力事象1310の少なくとも一部が、円錐表面960と交差する一方で、時間t3の後しばらくして、風力事象1310は、円錐表面960との接触を失う。図14A−Cで概略的に図示される風速測定は、図8を参照して議論される性質(1)から(12)のうちの1つまたはそれを上回るものによって表されてもよく、風力事象は、面積1410、1410’、および1410”として時間t1、t2、およびt3にわたる風速表面測定を示す。図14A−Cは、ステップ1201で取得される風速測定の実施例である。一実施例では、円錐表面960は、100メートル〜400メートルの範囲内のx方向への長さ990(図9A参照)を有し、円錐表面960上の個々の風速測定の間の距離は、10メートルまたはそれ未満である。
ステップ1212では、方法1200は、図12を参照して議論されるように、これらの風速表面測定の間の相互一貫性を最適化する様式で、時間および空間を通して、それぞれ、時間t1、t2、およびt3にわたる風速表面測定のそれぞれを伝搬する。t1、t2、およびt3(随意に、より多くの時間)における風速表面測定の伝搬に関して、ステップ1212は、大気体積750と関連付けられる全体積風力場の風速情報を判定する。具体的には、ステップ1212は、全体積風力場の時間発展を生成する。
風速表面測定の伝搬は、風力事象1310と関連付けられる風速表面測定の部分によって判定されるだけではないことが理解される。他の部分が、情報を風速表面測定の伝搬に寄与してもよい。一実施例では、風速表面測定はそれぞれ、より高いz値について測定される風速が、より低いz値について測定されるものを上回るように、垂直剪断を示す。これは、例えば、風力タービンにとって一般的な状況である。本垂直剪断はまた、風速表面測定の間に最適な一貫性を伴って伝搬されなければならず、したがって、局所風力事象1310の伝搬を判定することに役立つ情報を追加する。
図15A−15Cは、図14A−14Cに示される風速表面測定からステップ1212で取得されるような全体積風力場の例示的時間発展を示す。図15A−15Cは、それぞれ、時間t1、t2、およびt3における大気体積750の体積風力場マップ1560、1560’、および1560”を示す。体積風力場マップ1560、1560’、および1560”は、それぞれ、推定風力事象1510、1510’、および1510”として風力事象1310の時間発展を推定する。
図16は、図15A−Cに示される全体積風力場の時間発展に基づく、ステップ1220で推定されるような、時間t4での表面1340における風力事象755の推定到着場所1610を示す。
図17Aは、ステップ1240で判定されるように、航空力学的構造730における表面の推定帯状風を示す、例示的な将来の風力場マップ1700を示す。将来の風力場マップ1700は、円錐表面960を横断するシミュレートされたライダベースの風速測定を使用して、モデル化された風力場上で方法1200を行うことによって取得され、ライダベースの風速測定は、見通し線速度測定である。比較のために、図17Bはまた、真の風力場マップと見なされ得る、対応するシミュレートされた将来の風力場マップ1710も示す。将来の風力場マップ1700とシミュレートされた将来の風力場マップ1710との間の一致が優れており、したがって、方法1200の実行可能性を実証する。
図18は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を予測するための1つの例示的方法1800を図示する。方法1800は、風力パラメータ表面マップに基づいて風力事象755の到着を予測するように、風力パラメータ表面マップ内の風速表面測定を要約する。方法1800は、方法800の実施形態である。
一実施形態では、方法1800は、ステップ1201を含む。
ステップ1810では、方法1800は、風速表面測定の時系列780から風力事象755の存在およびタイプを判定する。ステップ1810は、例えば、風力事象識別モジュール712によって行われる。
ステップ1810は、ステップ1812および1814を含む。ステップ1812では、方法1800は、測定表面の複数のセクタのための少なくとも1つの風力場パラメータをそれぞれ示す、風力パラメータ表面マップの対応する時系列として、風速表面測定の時系列を要約する。ステップ1812は、データの量を削減するように機能する。各セクタは、複数の個々の風速測定を含むように定寸される。セクタ毎に、少なくとも1つの風力パラメータは、複数の風速測定を要約する。一実施例では、各セクタは、3〜1000個の個々の風速測定を要約する。例示的風力パラメータは、図8を参照して議論される性質(1)から(12)を含む。一実施例では、風力パラメータは、各セクタの平均風速である。ステップ1812は、方法1800の後続の部分で使用されるデータの量を削減するように機能してもよい。加えて、ステップ1812は、着目風力事象を強調する1つまたはそれを上回る風力パラメータに関して、風速測定を再公式化するように機能してもよい。
ステップ1814では、方法1800は、風力事象755を検出し、風力事象755のタイプを判定するように、風力パラメータ表面マップのうちの少なくとも1つを評価する。ステップ1214は、風力事象755のタイプを判定するために、性質(1)から(12)のうちの1つまたはそれを上回るものを利用してもよい。一実施例では、垂直剪断が、体積風力場の下側部分よりも高い帯状風速を有する、体積風力場の上側部分から識別される。
ステップ1820では、方法1800は、航空力学的構造730における風力事象755の到着を推定するように、ステップ1810で判定される風力パラメータ表面マップの時系列の少なくとも一部を通して風力事象755を追跡する。一実施形態では、方法1800は、風力事象755がステップ1810で判定されるときにステップ1820を行う。ステップ1820は、例えば、追跡モジュール714によって行われる。ステップ1212および図13−16の議論と同様に、ステップ1820は、風力事象755の到着を推定するように、相互に一貫した様式で風力パラメータ表面マップのそれぞれを伝搬してもよい。例えば、各風力パラメータ表面マップは、時間的に後続の風力パラメータ表面マップと最適に一致するように、空間および時間において伝搬される。ステップ1820は、方法800のステップ820の実施形態である。
ステップ1820は、ステップ822を含み、随意に、ステップ824、826、および828のうちの1つまたはそれを上回るものを含む。ステップ1820で実装されるとき、ステップ822、824、826、および828は、風力パラメータ表面マップの時系列の少なくとも一部を通した風力事象755の追跡に基づいて行われる。ステップ1820で推定される風力事象755の性質は、図8を参照して議論される性質(1)から(12)のうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。
実施形態では、方法1800は、風力パラメータ表面マップの時系列に基づいて、回転子面940、回転子面940と同一平面上にある幾何学的表面、幾何学的表面1040、または表面1340等の航空力学的構造730と関連付けられる表面の少なくとも1つの将来の風力場マップを判定するステップ1840を含む。少なくとも1つの将来の風力場マップはそれぞれ、将来の時点での航空力学的構造730と関連付けられる表面における推定風力場、例えば、3次元速度または帯状風速を示す。ステップ1220および図13−16の議論と同様に、ステップ1840は、少なくとも1つの将来の風力場マップを判定するように、相互に一貫した様式で風力パラメータ表面マップのそれぞれを伝搬してもよい。一実施例では、ステップ1840は、少なくとも3または5秒の持続時間にわたる現在の時間後の0.1秒毎の将来の風力場マップ等の現在の時間後の持続時間にわたる将来の風力場マップのセットを生成する。別の実施例では、ステップ1840は、将来、少なくとも3〜5秒である時間にわたって1つまたはそれを上回る将来の風力場マップを生成する。
随意に、方法1800は、将来の風力場マップのうちの少なくとも1つに基づいて、航空力学的構造730上の風力事象755の衝突の重大性を定量化するステップ1850を含む。ステップ1850は、少なくとも1つの将来の風力場マップに基づく、ステップ830の実施形態である。ステップ1850は、図8を参照して議論されるように、ステップ832および834を実装してもよい。
実施形態では、方法1800は、ステップ1840を参照して説明されるものと同一の方法を使用して、風力パラメータ表面マップの時系列に基づいて、航空力学的構造730と関連付けられる表面の現在の風力場マップを判定するステップ1830を含む。現在の風力場マップは、現在の時間での航空力学的構造730と関連付けられる表面における推定風力場、例えば、3次元速度または帯状風速を示す。
ステップ1830、1840、および1850はそれぞれ、風力予測ユニット710によって行われてもよい。
随意に、方法1800は、ステップ1240を含む。
図19−21は、方法1800のある側面の例示的説明図である。図19−21は、併せて閲覧することで最適に見られる。
図19は、ステップ1812の実施形態によって利用されるような、複数のセクタ1920への円錐表面960の例示的区分化を示す。図19は、表面1340に関連して、図13に使用されるものと同一の図で円錐表面960を示す。円錐表面960は、この範囲から逸脱することなく、より優れた分解能および/またはより大きい空間的範囲を提供するように、図19に示されるよりも多くのセクタ1920に、または分解能および/または空間的範囲を低減させるように、図19に示されるよりも少ないセクタ1920に、区分化されてもよい。同様に、セクタ1920の形状は、図1920に示されるものと異なり得る。例えば、異なるセクタ1920が、異なる形状および/またはサイズを有してもよい。加えて、円錐表面960の全てが、セクタ1920によって表される必要があるわけではない。例えば、表面1340に最も近い円錐表面960の一部は、セクタ1920に含まれなくてもよい。例証を明確にするために、全てのセクタ1920が図19−21で標識されているわけではない。
図20A−20Cは、それぞれ、時間t1、t2、およびt3にわたって、セクタ1920を使用してステップ1812で要約されるように、円錐表面960の例示的風力パラメータ表面マップ1360、1360’、および1360”を概略的に描写する。時間t1、t2、t3は、図13を参照して議論されるものである。風力パラメータ表面マップ2060、2060、および2060”の各セクタ1920は、ステップ1812でセクタ1920内の個々の風速測定から導出されるように、図8を参照して議論される性質(1)から(12)のうちの1つまたはそれを上回るものを示してもよい。例えば、風力パラメータ表面マップ2060では、風力事象1310は、セクタ群2010の中で示し、風力パラメータ表面マップ2060’では、風力事象1310は、セクタ群2010’の中で示し、風力パラメータ表面マップ2060”では、風力事象1310は、セクタ群2010の中で示す。
ステップ1820は、表面1340における風力事象1310の到着を推定するように、風力パラメータ表面マップ2060、2060’、および2060”を通して風力事象1310を追跡する。ステップ1820は、風力パラメータ表面マップ2060、2060’、および2060”の間で最適な一貫性を生じる様式で、風力パラメータ表面マップ2060、2060’、および2060”を時間的ならびに空間的に伝搬する。
図21は、時間t4での表面1340における風力事象の推定到着を示す。表面1340は、例えば、表面1340上へのセクタ1920の投影を反映する、セクタ2120に区分化される。風力事象1310は、セクタ2110において表面1340に衝突する。図21はまた、風力パラメータ表面マップ2060、2060’、および2060”に基づいてステップ1840で判定される、例示的な将来の風力場マップ2100を表す。
風速表面測定の伝搬は、風力事象1310と関連付けられる風速表面測定の部分によって判定されるだけではないことが理解される。他の部分が、情報を風速表面測定の伝搬に寄与してもよい。一実施例では、風速表面測定はそれぞれ、より高いz値について測定される風速が、より低いz値について測定されるものを上回るように、垂直剪断を示す。これは、例えば、風力タービンにとって一般的な状況である。本垂直剪断はまた、風速表面測定の間に最適な一貫性を伴って伝搬されなければならず、したがって、局所風力事象1310の伝搬を判定することに役立つ情報を追加する。
図22は、風力予測ユニット710を実装する、1つの例示的コンピュータ2200を図示する。コンピュータ2200は、プロセッサ2210と、メモリ2220と、インターフェース2260および2270とを含む。メモリ2220は、メモリ2220の不揮発性部分においてエンコードされる機械可読命令2230を含む。命令2230は、風力事象識別モジュール712、追跡モジュール714、および随意に、重大性判定モジュール716を実装する。ある実施形態では、メモリ2220はさらに、風力事象識別モジュール712、追跡モジュール714、および重大性判定モジュール716のうちの1つまたはそれを上回るものによって使用される、パラメータ2240を含む。パラメータ2240は、方法800のステップ832を参照して議論されるような、少なくとも1つの正常風況パラメータ2242を含んでもよい。加えて、パラメータ2240は、方法800のステップ834を参照して議論されるような、少なくとも1つの航空力学的構造パラメータ2244を含んでもよい。実施形態では、メモリ2220はさらに、データ記憶装置2250を含む。
動作中に、コンピュータ2200は、インターフェース2260を介して時系列780を受信する。プロセッサ2210は、到着情報790を生成するように、随意に、パラメータ2240および/またはデータ記憶装置2250を使用して、命令2230を実行する。コンピュータ2200は、方法800、方法1200、および/または方法1800を実装してもよい。
この範囲から逸脱することなく、命令2230、随意に、パラメータ2240は、第三者コンピュータシステム上に実装するために構成される、ソフトウェア製品として提供されてもよい。
図23は、風力事象755への応答の予測ベースの制御を伴う1つの例示的な航空力学的装置2300を図示する。航空力学的装置2300は、システム700および航空力学的構造2340を統合する。航空力学的構造2340は、制御モジュール2320と、1つまたはそれを上回るアクチュエータ2330と、1つまたはそれを上回る可動部品2350とを含む。航空力学的構造2340は、航空力学的構造730の実施形態である。航空力学的構造2340は、例えば、風力タービン930または航空機1030である。アクチュエータ2330は、航空力学的構造2340と大気体積750との間の結合を調整する。航空力学的装置2300では、システム700は、航空力学的構造2340に配置される。ライダ720は、航空力学的構造2340の上、航空力学的構造2340の中、または航空力学的構造2340の近傍に配置されてもよい。実施例が、図9Aおよび10に示されている。この範囲から逸脱することなく、風力予測ユニット710は、航空力学的構造2340から離れて、例えば、遠隔制御センタの中に配置されてもよい。
図24は、航空力学的構造2340における風力事象755の到着の予測に基づく、航空力学的装置2300で実装されるような航空力学的構造2340の動作を調節するための1つの例示的方法2400を図示する。方法2400は、ライダ720が時系列780を取得するように大気体積750中の風速を感知する、ステップ801を含む。後続のステップ2410では、風力予測ユニット710は、時系列780に基づいて航空力学的構造2340における風力事象755の到着を予測し、到着情報790を判定する。ステップ2410は、方法800、1200、および1800のうちの1つまたはそれを上回るものを実装してもよい。風力予測ユニット710は、到着情報790を制御モジュール2320に通信する。ステップ2420では、制御モジュール2320は、風力事象755の存在下で航空力学的構造2340の動作を最適化するよう、または風力事象755によって引き起こされる航空力学的構造2340への潜在的損傷を低減させるよう、少なくとも1つのアクチュエータ2330を調節し、風力事象755の到着を予想して少なくとも1つの可動部品2350を移動させる。
図25は、風力事象755への応答の予測ベースの制御を伴う1つの例示的風力タービン2500を図示する。風力タービン2500は、航空力学的装置2300の実施形態であり、方法2400を実装する。風力タービン2500は、システム700と、制御モジュール2520と、回転子ブレード932と、ブレードピッチアクチュエータ410と、ナセル934と、ヨー制御ギヤおよびモータ420とを含む。制御モジュール2520は、制御モジュール2320の実施形態である。ブレードピッチアクチュエータ410ならびに/またはヨー制御ギヤおよびモータ420は、アクチュエータ2330の実施形態を形成する。ナセル934および/または回転子ブレード932は、可動部品2350の実施形態を形成する。風力タービン2500は、システム700を統合する、風力タービン930の実施例である。一実施形態では、制御モジュール2520は、ヨー制御ギヤおよびモータ420を調節し、到着情報790に従ってナセル934を移動させるように構成される。別の実施形態では、制御モジュール2520は、ブレードピッチアクチュエータ410のうちの少なくとも1つを調節し、到着情報790に従って少なくとも1つの個別の回転子ブレード932を移動させるように構成される。本実施形態では、ブレードピッチアクチュエータ410が、各回転子ブレード932を独立して調節し、最適な様式で風力タービン2500と風力事象755との間の結合を調整し得るように、ブレードピッチアクチュエータ410は、回転子ブレード932のそれぞれのための別個のピッチ制御機構を含んでもよい。さらに別の実施形態では、制御モジュール2520は、ヨー制御ギヤおよびモータ420ならびにブレードピッチアクチュエータ410のうちの少なくとも1つのいずれかまたは両方を調節し、それぞれ、ナセル934および/または少なくとも1つの個別の回転子ブレード932を移動させるように構成される。
図26は、風力事象755への応答の予測ベースの制御を伴う1つの例示的航空機2600を図示する。航空機2600は、航空機1040の実施形態であり、方法2400を実装する。航空機2600は、(a)システム700と、(b)制御モジュール2620と、(c)1つまたはそれを上回るエンジン2635、および航空機2600の進行速度を変化させるように個別のエンジン2635を作動させる、または調節する、1つまたはそれを上回る個別のスラストアクチュエータ2630と、(d)1つまたはそれを上回るエレベータ2645、および航空機2600の迎角を調節するように個別のエレベータ2645を移動させる、1つまたはそれを上回る個別の迎角アクチュエータ2640と、(e)少なくとも1つの方向舵2655、および航空機2600のヨーを調節するように個別の方向舵2655を移動させる、少なくとも1つの個別のヨーアクチュエータ2650と、(f)1つまたはそれを上回る補助翼2665、および航空機2600をロールさせる、または航空機2600のロールを調節するように個別の補助翼2665を移動させるための1つまたはそれを上回る個別のロールアクチュエータ2660とを含む。随意に、航空機2600はさらに、1つまたはそれを上回る他のデバイス2675と、航空機2600の飛行性質を変化させるように、それぞれ、他のデバイス2675を移動させる、1つまたはそれを上回る個別の他のアクチュエータ2670とを含む。他のデバイス2675は、例えば、1つまたはそれを上回るフラップおよび/またはスポイラを含んでもよい。エンジン2635は、1つまたはそれを上回るタービン、プロペラ、ピストンエンジン、および/またはロケットエンジンを含んでもよい。
制御モジュール2620は、制御モジュール2320の実施形態である。スラストアクチュエータ2630、迎角アクチュエータ2640、ヨーアクチュエータ2650、ロールアクチュエータ2660、および随意に、他のアクチュエータ2670は、アクチュエータ2330の実施形態を形成する。エンジン2635、エレベータ2645、方向舵2655、補助翼2665、および随意に、他のデバイス2675は、可動部品2350の実施形態を形成する。航空機2600は、システム700を統合する、航空機1030の実施例である。
一実施形態では、制御モジュール2620は、迎角アクチュエータ2640、ヨーアクチュエータ2650、ロールアクチュエータ2660、および他のアクチュエータ2670のうちの少なくとも1つを制御し、到着情報790に従って、大気体積750に対して、それぞれ、エレベータ2645、方向舵2655、補助翼2665、および他のデバイス2675のうちの少なくとも1つを移動させるように構成される。本実施形態では、エレベータ2645、方向舵2655、補助翼2665、および他のデバイス2675に含まれる各個別制御表面は、航空機2600と風力事象755との間の結合を最適に調整するように、それぞれ、迎角アクチュエータ2640、ヨーアクチュエータ2650、ロールアクチュエータ2660、および他のアクチュエータ2670によって、独立して移動させられてもよい。
別の実施形態では、制御モジュール2520は、少なくとも1つのスラストアクチュエータ2630を制御して、到着情報790に従って少なくとも1つの個別の航空機エンジン2635を調節するように構成される。本実施形態では、スラストアクチュエータ2630が、各エンジン2635を独立して調節し、最適な様式で航空機2600と風力事象755との間の結合を調整し得るように、スラストアクチュエータ2630は、各エンジン2635のための別個の制御機構を含んでもよい。エンジン2635を減速または加速することは、例えば、乗心地を向上させるように、航空機2600が、より効果的に乱流およびウインドシアに対処することを可能にし得る。少なくとも1つのプロペラを含む航空機2600の実施形態では、スラストアクチュエータ2630は、プロペラの個々のブレードのピッチを移動させてもよい。
さらに別の実施形態では、制御モジュール2520は、到着情報790に従って、上記で議論されるように、(a)迎角アクチュエータ2640、ヨーアクチュエータ2650、ロールアクチュエータ2660、および他のアクチュエータ2670のうちの少なくとも1つ、ならびに(b)少なくとも1つのスラストアクチュエータ2630のいずれかまたは両方を制御するように構成される。
図27は、風力事象755への応答の予測ベースの制御を伴う1つの例示的風力タービン2700を図示する。風力タービン2700は、風力タービン2700の実施形態であり、方法2400を実装する。風力タービン2700は、ナセル934と、3つのブレード932と、塔2710とを含む。風力タービン2700はさらに、ライダ720と、風力予測ユニット710と、制御モジュール2520とを含む。ライダ720は、ナセル934の上に搭載される。加えて、風力タービン2700は、風力予測ユニット710による予測風力事象755に基づいて制御モジュール2520によって決定付けられるように、ブレード932のピッチを調節するように、それぞれ、ブレード932を移動させ得る、3つのブレードピッチアクチュエータ410を含む。風力タービン2700はまた、風力予測ユニット710による予測風力事象755に基づいて制御モジュール2520によって決定付けられるように、塔2710の垂直軸を中心としてナセル934を回転させ得る、ヨー制御ギヤおよびモータ420も含む。到着情報790に基づいて必要と見なされるとき、制御モジュール2520は、ブレード932および/またはナセル934の調節を達成するように、制御ライン2720を介して、制御信号をブレードピッチアクチュエータ410ならびにヨー制御ギヤおよびモータ420のうちの1つまたはそれを上回るものに通信する。例証を明確にするために、全ての制御ライン2720が図27に示されているわけではない。
この範囲から逸脱することなく、風力タービン2700は、図27に示されるよりも少ないまたは多いブレード932を含んでもよい。
図28は、風力事象755への応答の予測ベースの制御を伴う1つの例示的航空機2800を図示する。航空機2800は、航空機2600の実施形態であり、方法2400を実装する。航空機2800は、ライダ720と、風力予測ユニット710と、制御モジュール2520とを含む。ライダ720は、概して、航空機2800の進行方向に対面するように、航空機2800のノーズの近傍に搭載される。航空機2800は、2つのエンジン2635と、風力予測ユニット710による予測風力事象755に基づいて制御モジュール2620によって決定付けられるように、エンジン2635を調節し得る、2つのそれぞれ関連付けられるスラストアクチュエータ2630とを含む。航空機2800はさらに、(a)2つのエレベータ2645、および風力予測ユニット710による予測風力事象755に基づいて制御モジュール2620によって決定付けられるようにエレベータ2645を調節し得る、2つのそれぞれ関連付けられる迎角アクチュエータ2640と、(b)方向舵2655、および風力予測ユニット710による予測風力事象755に基づいて制御モジュール2620によって決定付けられるように方向舵2655を調節し得る、ヨーアクチュエータ2650と、(c)2つの補助翼2665、および風力予測ユニット710による予測風力事象755に基づいて制御モジュール2620によって決定付けられるように補助翼2665を調節し得る、2つのそれぞれ関連付けられるロールアクチュエータ2660とを含む。到着情報790に基づいて必要と見なされるとき、制御モジュール2620は、エンジン2635、エレベータ2645、方向舵2655、および/または補助翼2665の調節を達成するように、制御ライン2820を介して、制御信号をスラストアクチュエータ2630、迎角アクチュエータ2640、ヨーアクチュエータ2650、ならびにロールアクチュエータ2660のうちの1つまたはそれを上回るものに通信する。例証を明確にするために、全ての制御ライン2820が図28に示されているわけではない。
この範囲から逸脱することなく、航空機2800は、1つまたはそれを上回る他のデバイス2675と、1つまたはそれを上回る他のアクチュエータ2670とを含んでもよい。また、この範囲から逸脱することなく、航空機2800は、より少ないまたは多くのスラストアクチュエータ2630、エンジン2635、迎角アクチュエータ2640、エレベータ2645、方向舵2655、ヨーアクチュエータ2650、ロールアクチュエータ2660、および補助翼2665をそれぞれ具備してもよく、これらの構成要素の配置は、図28に示されるものと異なり得る。
いくつかの実施形態を説明してきたが、本開示の精神から逸脱することなく、種々の修正、代替的構造、および均等物、例えば、ステップの順序および構成等の変動が使用され得ることが、当業者によって認識されるであろう。加えて、いくつかの周知の数学的導出および数式、プロセス、ならびに要素は、本開示を不必要に曖昧にすることを回避するために説明されていない。故に、上記の説明は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
特徴の組み合わせ
上記で説明される特徴ならびに以下で請求されるものは、この範囲から逸脱することなく、種々の方法で組み合わせられてもよい。例えば、本明細書に説明される航空力学的装置における風力事象の到着を予測するための方法の1つのシステムの側面は、本明細書に説明される航空力学的装置における風力事象の到着を予測するための方法の別のシステムの特徴を組み込み得る、または交換し得ることが理解されるであろう。以下の実施例は、上記で説明される実施形態のいくつかの可能な非限定的組み合わせを例証する。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの他の変更ならびに修正が、本明細書のシステム、装置、および方法に行われ得ることが明確なはずである。
(A1)航空力学的構造における風力事象の到着を予測するための方法は、航空力学的構造に向かって移動する大気体積中の風速を感知して、空間的分散型風速測定の時系列を取得するステップと、分散型風速測定のうちの少なくとも1つから風力事象の存在を判定するステップと、空間的分散型風速測定の時系列に基づいて風力事象を追跡し、航空力学的構造における風力事象の到着時間を推定するステップとを含んでもよい。
(A2)(A1)として表される方法では、追跡するステップは、空間的分散型風速測定の時系列から、風力事象のパケット速度を判定して、到着時間を推定するステップを含んでもよい。
(A3)(A1)および(A2)として表される方法のいずれかまたは両方では、空間的分散型風速測定の時系列は、航空力学的構造に対する所定の場所における第1の幾何学的表面にわたる風速の表面測定の時系列を含んでもよい。
(A4)(A3)として表される方法はさらに、(a)判定するステップにおいて、相互に一貫した様式で時間的および空間的に表面測定を伝搬し、大気体積の体積風力場の時間発展を判定するステップと、時間発展の少なくとも1つの時点を評価して、風力事象を検出し、風力事象のタイプを判定するステップと、(b)追跡するステップにおいて、時間発展の少なくとも一部を通して風力事象の伝搬を追跡し、到着時間を推定するステップとを含んでもよい。
(A5)(A4)として表される方法はさらに、時間発展から、(i)航空力学的構造と関連付けられる第2の幾何学的表面における体積風力場の現在の値の風力場マップ、および(ii)航空力学的構造の第2の幾何学的表面における風力事象と関連付けられる体積風力場の将来の値の少なくとも1つの風力場マップを抽出して、風力事象を予想して航空力学的構造の調節を可能にする、フィードフォワード制御データを提供するステップを含んでもよい。
(A6)(A3)として表される方法はさらに、(a)判定するステップにおいて、風力パラメータ表面マップの対応する時系列として、表面測定の時系列を要約するステップであって、風力パラメータ表面マップはそれぞれ、複数のセクタのための少なくとも1つの風力場パラメータを示し、セクタはそれぞれ、いくつかの個々の風速測定と関連付けられる、ステップと、風力パラメータ表面マップのうちの少なくとも1つを評価して、風力事象を検出し、風力事象のタイプを判定するステップと、(b)追跡するステップにおいて、風力パラメータ表面マップの時系列の少なくとも一部を通して風力事象の伝搬を追跡し、到着時間を推定するステップとを含んでもよい。
(A7)(A6)として表される方法はさらに、風力パラメータ表面マップの時系列から、(i)航空力学的構造と関連付けられる第2の幾何学的表面における少なくとも1つの風力場パラメータの現在の値の風力パラメータマップ、および(ii)第2の幾何学的表面における風力事象と関連付けられる少なくとも1つの風力場パラメータの将来の値の少なくとも1つの風力場マップを判定して、風力事象を予想して航空力学的構造の調節を可能にする、フィードフォワード制御データを提供するステップを含んでもよい。
(A8)(A1)から(A7)として表される方法のうちのいずれかでは、航空力学的構造は、風力タービンであってもよい。
(A9)(A8)として表される方法では、追跡するステップはさらに、風力タービンの回転子直径の3分の1以下の粗さの空間分解能で、風力タービンの回転子面上の風力事象の衝突場所を推定するステップを含んでもよい。
(A10)(A8)および(A9)として表される方法のいずれかまたは両方では、追跡するステップは、回転子面における風力事象の到着の少なくとも3秒前に到着時間を推定するステップを含んでもよい。
(A11)(A1)から(A7)として表される方法のうちのいずれかでは、航空力学的構造は、航空機であってもよく、大気体積は、航空機の基準枠から視認されるように航空機に向かって移動してもよい。
(A12)(A11)として表される方法では、追跡するステップは、風力事象上の航空機の発生時間を、本発生時間の前に推定し、航空機の1つまたはそれを上回る制御表面を調節するための時間を提供するステップを含んでもよい。
(A13)(A1)から(A12)として表される方法のうちのいずれかはさらに、(1)判定するステップにおいて、分散型風速測定のうちの少なくとも1つから、風力事象のタイプを判定するステップと、(2)追跡するステップにおいて、風力事象の風速を追跡して、航空力学的構造における到着に応じて風力事象の推定風速を判定するステップと、(3)事前定義された正常風速からの推定風速の偏差を計算するステップと、(4)偏差および航空力学的構造上の風力事象のタイプの衝突の影響に基づいて、航空力学的構造上の風力事象の衝突の重大性を定量化するステップとを含んでもよい。
(A14)(A13)として表される方法はさらに、到着時間、タイプ、および重大性を示す重大性メトリックを航空力学的構造に通信するステップと、到着時間、タイプ、および重大性メトリックに従って、航空力学的構造の動作を調節するステップとを含んでもよい。
(A15)(A1)から(A14)として表される方法のうちのいずれかでは、感知するステップは、航空力学的構造に配置されたライダを使用して、大気体積のサブセットを繰り返し走査し、ライダビームの見通し線に沿った風速の測定として空間的分散型風速測定の時系列を取得するステップを含んでもよい。
(A16)(A15)として表される方法では、繰り返し走査するステップは、ライダにおいて頂点を有する円錐表面を繰り返し走査し、空間的分散型風速測定の時系列を取得するステップを含んでもよい。
(A17)(A16)として表される方法では、航空力学的構造は、風力タービンであってもよく、風力事象は、主に風力タービンの回転子面と平行な水平方向に沿って、風力タービンに衝突する水平風力事象であってもよい。
(A18)(A15)として表される方法では、繰り返し走査するステップは、主に垂直に配向された表面および主に水平に配向された表面の両方を繰り返し走査し、空間的分散型風速測定の時系列を取得するステップを含んでもよい。
(A19)(A18)として表される方法では、航空力学的構造は、航空機であってもよく、風力事象は、航空機の進行方向と主に直交する速度成分を有してもよい。
(B1)航空力学的構造における風力事象の到着を予測するためのシステムは、(a)航空力学的構造に向かって移動する大気体積中の風速を感知して、空間的分散型風速測定の時系列を取得するためのライダと、(b)空間的分散型風速測定のうちの少なくとも1つから風力事象の存在を判定するための風力事象識別モジュールと、(c)空間的分散型風速測定の時系列に基づいて風力事象を追跡し、航空力学的構造における風力事象の到着時間を推定するための追跡モジュールとを含んでもよい。
(B2)(B1)として表されるシステムでは、ライダは、大気体積中で円錐表面を繰り返し走査し、円錐表面上の風力測定から空間的分散型風速測定の時系列を取得するように構成されてもよく、円錐表面は、ライダにおいて頂点を有する。
(B3)(B1)として表されるシステムでは、ライダは、半径方向に拡張するロゼット表面を繰り返し走査し、半径方向に拡張するロゼット表面上の風力測定から空間的分散型風速測定の時系列を取得するように構成されてもよく、半径方向に拡張するロゼット表面は、ライダにおいて頂点を有する。
(B4)(B1)から(B3)として表されるシステムのうちのいずれかでは、風力事象識別モジュールは、空間的分散型風速測定のうちの少なくとも1つから風力事象のタイプを判定するように構成されてもよい。
(B5)(B4)として表されるシステムはさらに、少なくともタイプに基づいて、航空力学的構造への風力事象の影響の重大性を示す重大性メトリックを生成するための重大性判定モジュールを含んでもよい。
(B6)(B5)として表されるシステムはさらに、航空力学的構造の少なくとも1つの個別の性質を特徴付ける、少なくとも1つの第1のパラメータと、正常な風況を特徴付ける、少なくとも1つの第2のパラメータとを含んでもよく、重大性判定モジュールは、重大性メトリックを生成するために少なくとも1つの第1のパラメータおよび少なくとも1つの第2のパラメータを利用するように構成されてもよい。
(B7)(B5)および(B6)として表されるシステムのいずれかまたは両方はさらに、到着時間、タイプ、および重大性メトリックを航空力学的構造に通信するためのインターフェースを含んでもよい。
(C1)風力事象への応答の予測ベースの制御を伴う航空力学的装置は、(a)航空力学的装置に向かって移動する大気体積中の風速を感知して、空間的分散型風速測定の時系列を取得するためのライダと、(b)空間的分散型風速測定の時系列に基づいて、航空力学的装置における風力事象の到着を予測するための風力予測ユニットと、(c)大気体積に対して航空力学的装置の少なくとも一部を移動させるための少なくとも1つのアクチュエータと、(d)風力事象の到着の該予測に基づいて、アクチュエータを制御するための制御モジュールとを含んでもよい。
(C2)(C1)として表される航空力学的装置では、風力予測ユニットは、空間的分散型風速測定のうちの少なくとも1つから風力事象の存在およびタイプを判定するための風力事象識別モジュールと、空間的分散型風速測定の時系列に基づいて風力事象を追跡し、航空力学的装置における風力事象の到着時間を推定するための追跡モジュールとを含んでもよい。
(C3)(C2)として表される航空力学的装置では、制御モジュールは、到着時間およびタイプに従ってアクチュエータを制御するように構成されてもよい。
(C4)(C2)および(C3)として表される航空力学的装置のいずれかまたは両方では、風力予測ユニットは、空間的分散型風速測定の時系列および航空力学的装置の空気力学的性質に基づいて、航空力学的装置への風力事象の影響の重大性を示す重大性メトリックを生成するための重大性判定モジュールを含んでもよい。
(C5)(C4)として表される航空力学的装置では、制御モジュールは、到着時間、タイプ、および重大性メトリックに従って、アクチュエータを調節するように構成されてもよい。
(C6)(C1)から(C5)として表される航空力学的装置のうちのいずれかでは、航空力学的装置は、風力タービンを含んでもよい。
(C7)(C6)として表される航空力学的装置では、ライダは、風力タービンのナセルの上に搭載されてもよく、少なくとも1つの機械的要素は、回転子ブレードであってもよい。
(C8)(C7)として表される航空力学的装置では、風力予測ユニットは、到着の少なくとも3秒前に到着を予測して、回転子ブレードの調節のための少なくとも3秒を可能にするために構成されてもよい。
(C9)(C7)および(C8)として表される航空力学的装置のいずれかまたは両方では、風力予測ユニットは、風力タービンの回転子直径の3分の1以下の粗さの空間分解能で到着を予測するために構成されてもよい。
(C10)(C1)から(C5)として表される航空力学的装置のうちのいずれかでは、航空力学的装置は、航空機を含んでもよい。
(C11)(C10)として表される航空力学的装置では、ライダは、航空機の進行方向に対面して航空機の上に搭載されてもよい。
(C12)(C11)として表される航空力学的装置では、風力予測ユニットは、航空機の長さの半分以下の粗さの空間分解能で到着を予測するために構成されてもよい。
(C13)(C10)から(C12)として表される航空力学的装置のうちのいずれかでは、風力予測ユニットは、風力事象上の航空機の発生を予測し、航空機の1つまたはそれを上回る制御表面を調節するための時間を提供するように構成されてもよい。
したがって、上記の説明に含有される、または付随の図面に示される事柄は、限定的な意味ではなく、例証的として解釈されるべきであることに留意されたい。以下の請求項は、本明細書に説明される一般的および具体的特徴、ならびに本方法、システム、および装置の範囲の全ての記述を網羅することを意図している。