JP2014065483A - 水中構造物の防汚処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】防汚用粘着テープを用いた水中構造物の防汚処理方法であって、防汚用粘着テープの剥離およびその進行ならびに脱落を防止し得る方法を提供する。
【解決手段】水中構造物20の一方の側面21の喫水線22より上の位置から底部を通って反対側の側面21’の喫水線22より上の位置までつなぎ目なく連続して防汚用粘着テープ10を貼付することを含む、水中構造物の防汚処理方法。防汚用粘着テープ10をその長手方向が略鉛直方向になるように貼付する。
【選択図】図1A
【解決手段】水中構造物20の一方の側面21の喫水線22より上の位置から底部を通って反対側の側面21’の喫水線22より上の位置までつなぎ目なく連続して防汚用粘着テープ10を貼付することを含む、水中構造物の防汚処理方法。防汚用粘着テープ10をその長手方向が略鉛直方向になるように貼付する。
【選択図】図1A
Description
本発明は、防汚用粘着テープを用いた水中構造物の防汚処理方法に関する。
船舶、ブイ、海上油田プラットフォーム等の水中構造物の接水表面においては、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、付着珪藻等の水生生物が付着して繁殖し、流体抵抗の増加や熱伝導性の低下といった設備機械性能の低下や、付着した水生生物の水中への拡散等、好ましくない状態を引き起こしている。また、付着した水生生物を除去する作業には大きな労力と膨大な時間が必要であり、経済的な損失を被っている。
上記のような被害を防止するため、従来、防汚塗料が水中構造物に塗装されている。しかしながら、防汚塗料を塗装後に乾燥させる際には、30重量%程度の有機溶剤(VOC)が揮発し、作業環境や周辺の環境に悪影響を与えている。スプレー式塗装では、VOCの大気中への排出の他に、塗料の10〜20重量%は風により周囲に飛散していると言われており、環境に対する大きな悪影響がある。
これに対し、銅または銅合金製の基材を含む防汚用粘着テープを水中構造物の接水表面に貼付することにより水生生物の付着を防止することが提案されている(例えば、特許文献1)。このような防汚用粘着テープを用いた防汚処理においては、VOCの環境中への排出が低減され、塗工環境の変化による塗膜の質の変化も生じず、また、施工者の塗工技量の差が生じないという利点がある。しかしながら、水流の抵抗によって防汚用粘着テープが剥離したり、該剥離が進行して脱落してしまう場合がある。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、防汚用粘着テープを用いた水中構造物の防汚処理方法であって、防汚用粘着テープの剥離およびその進行ならびに脱落を防止し得る方法を提供することにある。
本発明は、水中構造物の防汚処理方法を提供する。該方法は、水中構造物の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して防汚用粘着テープを貼付することを含む。
好ましい実施形態においては、上記防汚用粘着テープをその長手方向が略鉛直方向になるように貼付する。
好ましい実施形態においては、上記防汚用粘着テープの喫水線より上に貼付された部分の長さが、テープ幅以上である。
好ましい実施形態においては、上記水中構造物が船舶である。
本発明の別の局面によれば、防汚用粘着テープが貼付された水中構造物が提供される。該水中構造物には、防汚用粘着テープが、一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して貼付されている。
好ましい実施形態においては、上記防汚用粘着テープをその長手方向が略鉛直方向になるように貼付する。
好ましい実施形態においては、上記防汚用粘着テープの喫水線より上に貼付された部分の長さが、テープ幅以上である。
好ましい実施形態においては、上記水中構造物が船舶である。
本発明の別の局面によれば、防汚用粘着テープが貼付された水中構造物が提供される。該水中構造物には、防汚用粘着テープが、一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して貼付されている。
本発明によれば、防汚用粘着テープを水中構造物の一方の側面から底部を通って反対側の側面までつなぎ目なく連続して、かつ、その両端が喫水線より上の位置になるように貼付することにより、防汚用粘着テープの剥離およびその進行ならびに脱落を防止することができる。
[A.水中構造物の防汚処理方法]
図1Aは本発明の防汚処理方法を説明する概略図であり、図1Bは本発明の好ましい実施形態による防汚処理方法が適用された水中構造物の概略側面図である。図1Aに示されるように、本発明の防汚処理方法は、水中構造物(図示例では、船舶)20の一方の側面21の喫水線22より上の位置から底部を通って反対側の側面21’の喫水線22より上の位置までつなぎ目なく連続して防汚用粘着テープ10を貼付することを含む。防汚用粘着テープの剥離は、通常、その端部、特に隅部から開始するところ、一方の側面の喫水線の上方から底部を通って反対側の側面の喫水線の上方まで一本の連続した防汚用粘着テープを貼付することにより、4つの隅部が全て喫水線より上に位置し、水流抵抗を受けないので、剥離の開始を好適に防止し得る。また、水面下の視認できない箇所で防汚用粘着テープが破断して剥離が生じた場合でも、喫水線まで剥離が進行するまでに水上から視認できるので、脱落に至る前に粘着テープを回収する等の手段を講じることができる。その結果、剥離の進行や脱落を検知できず、剥離や脱落した粘着テープがスクリューに絡み付く等のリスクを回避することができる。また、防汚用粘着テープが脱落することによる環境負荷を低減することができる。
図1Aは本発明の防汚処理方法を説明する概略図であり、図1Bは本発明の好ましい実施形態による防汚処理方法が適用された水中構造物の概略側面図である。図1Aに示されるように、本発明の防汚処理方法は、水中構造物(図示例では、船舶)20の一方の側面21の喫水線22より上の位置から底部を通って反対側の側面21’の喫水線22より上の位置までつなぎ目なく連続して防汚用粘着テープ10を貼付することを含む。防汚用粘着テープの剥離は、通常、その端部、特に隅部から開始するところ、一方の側面の喫水線の上方から底部を通って反対側の側面の喫水線の上方まで一本の連続した防汚用粘着テープを貼付することにより、4つの隅部が全て喫水線より上に位置し、水流抵抗を受けないので、剥離の開始を好適に防止し得る。また、水面下の視認できない箇所で防汚用粘着テープが破断して剥離が生じた場合でも、喫水線まで剥離が進行するまでに水上から視認できるので、脱落に至る前に粘着テープを回収する等の手段を講じることができる。その結果、剥離の進行や脱落を検知できず、剥離や脱落した粘着テープがスクリューに絡み付く等のリスクを回避することができる。また、防汚用粘着テープが脱落することによる環境負荷を低減することができる。
防汚用粘着テープは、水中構造物の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して貼付される限りにおいて、その長手方向が任意の適切な方向となるように貼付され得る。例えば、防汚用粘着テープを水中構造物の一方の側面に鉛直方向を基準として時計回りにα度傾斜させて貼付する場合、反対側の側面には逆方向に同じ角度で(すなわち、反時計回りにα度)傾斜させて貼付することが好ましい。このように貼付することにより、皺やヨレを防止して良好な密着性を得ることができる。また、複数の防汚用粘着テープを傾斜角度、間隔等を揃えて規則的に貼付することができるので、美観にも優れる。
防汚用粘着テープは、好ましくは水中構造物の側面において長手方向が略鉛直方向になるように貼付される。ここで、略鉛直方向とは、鉛直方向を基準として時計回りまたは反時計回りに、例えば10度未満、好ましくは7度以下、さらに好ましくは5度以下の角度をなす方向を意味する。このように貼付することにより、貼付時の作業性が向上するので、皺やヨレを防止して良好な密着性を容易に得ることができる。また、伸縮性に乏しいテープや幅広テープを用いた場合であっても、つなぎ目のない一本のテープで一方の側の喫水線から底部を通って反対側の喫水線まで連続して貼付することができる。
防汚用粘着テープの喫水線より上に貼付された部分の長さXは、好ましくはテープ幅以上であり、より好ましくはテープ幅を超え、さらに好ましくはテープ幅の2倍以上であり、特に好ましくはテープ幅の5倍以上である。このように貼付することにより、防汚用粘着テープの脱落を好適に防止することができる。
図2〜4を参照しながら、上記防汚用粘着テープの脱落防止効果が奏されるメカニズムを以下に具体的に説明する。図2に示されるように、本発明の防汚処理方法に従って長手方向が略鉛直方向になるように貼付された防汚用粘着テープ10が剥離すると、初期においては長辺方向の端部がめくれた状態Aとなり、中期においては該粘着テープ10が破断して剥離先端が喫水線22以下にある状態Bとなり、後期においては剥離先端が喫水線22より上に到達した状態Cとなる。ここで、図3に示されるように、剥離先端が水中にある場合、剥離した部分が水流を受けて流されるので、防汚用粘着テープ10は鉛直方向に対して90度折れ曲がった状態で180度ピールモードとなる。その結果、剥離先端の長さYは、テープ幅の√2倍となり、剥離に要する力は√2倍となる。その後、剥離がさらに進行して剥離先端が喫水線22より上に到達すると、図4に示されるように、剥離した部分が水流を受けて斜め下方向に流されるので、剥離先端が粘着テープの長手方向に対してなす角度θは鋭角となり、剥離先端長Yはテープ幅の1/sinθ倍となる。その結果、剥離に要する力も1/sinθ倍(例えば、θ=30度で2倍、θ=10度で約5.8倍)となり、喫水線22より上に剥離が進行した状態Cにおいては、剥離の進行速度が大幅に抑制される。本発明においては、喫水線より上に貼付する粘着テープの長さXを調節することにより、上記のような水中での剥離モードと水面上での剥離モードとの違いを利用して、剥離の進行速度を抑制することができる。その結果、剥離が端部に到達して粘着テープが脱落する前にこれを防止する処理(例えば、回収処理)をすることができる。
1つの実施形態においては、防汚用粘着テープは、その両端部が水中構造物の上面(船舶の場合は甲板)に達するように貼付される。このように貼付することにより、剥離が進行した場合であっても水中構造物の上面(例えば、甲板)でテープ回収等の脱落防止作業をすることができるからである。
本発明の防汚処理方法においては、図1Bに示すように、好ましくは水中構造物の喫水面の略全面を覆うように複数の防汚用粘着テープを貼付する。このとき、防汚用粘着テープを、好ましくは、その隣接する端部間に隙間が生じないように突合わせて貼付するが、突合わせて貼付することが困難な場合においては、隣接する端部を重ねて貼付してもよい。この場合の重ねる幅は、好ましくは1cm以下である。
また、一般に、面積の広い粘着テープを貼付する際には、気泡の噛み込みなどを防止する観点から、界面活性剤を含む施工液が用いられ得る。本発明においても、同様の観点から、任意の適切な施工液が用いられ得る。
上記水中構造物としては、半潜水状態で水中に存在する任意の適切な水中構造物であり得る。例えば、船舶、ブイ、海上油田プラットフォーム等が挙げられ、好ましくは船舶である。該水中構造物の表面には、防汚塗料や防食塗料が塗工されていてもよい。
上記防汚用粘着テープとしては、基材層とその一方の面側に設けられた粘着層とを有する限りにおいて、任意の適切な粘着テープが用いられ得る。図5(a)は、本発明の好ましい実施形態において用いられ得る防汚用粘着テープの概略断面図である。防汚用粘着テープ10aは、基材層11とその一方の面側に設けられた粘着層12とを有する。図5(b)は、本発明の別の好ましい実施形態において用いられ得る防汚用粘着テープの概略断面図である。防汚用粘着テープ10bは、基材層11の粘着層12が設けられていない面側に防汚層13をさらに有する。また、任意の適切な他の層をさらに有していてもよい。図示しないが、防汚用粘着テープの防汚層13の表面および/または粘着層12の表面には、剥離フィルムが設けられていてもよい。
防汚用粘着テープの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。防汚用粘着テープの厚みは、好ましくは50〜5000μmである。
防汚用粘着テープの形状は、代表的には帯状である。長辺および短辺の長さは、用途や使用環境などによって、任意の適切な長さを採用し得る。貼付または剥離の際の作業効率の観点から、短辺の長さ(幅)は、例えば15cm以上、好ましくは30cm〜5m、より好ましくは50cm〜4mであり得る。
上記基材層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材層を採用し得る。このような基材層の材料としては、好ましくは、耐水性、強度、柔軟性、裂け性に優れるものである。このような基材層の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。このような基材層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
基材層は、その伸びが、好ましくは100%以上、より好ましくは120%以上、さらに好ましくは150%以上である。基材層の伸びが100%以上であることによって、防汚用粘着テープは、様々な水中構造物の形状に良好に追従でき、平面に良好に貼付できるだけでなく、屈曲部(船体表面に存在するような曲面部分、90度角の部分、鋭角部分など)にも良好に貼付できる。基材層の伸びが100%未満の場合、様々な水中構造物の形状に十分に追従できず、皺や粘着剤の未接着部分が発生してしまい、外観不良や接着不良の原因となるおそれがある。基材層の伸びの上限は、基材層の強度の観点から、好ましくは2000%以下である。
基材層は、その破断点応力が、好ましくは10MPa以上、より好ましくは12MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。基材層の破断点応力が10MPa未満の場合、使用済みの防汚用粘着テープを水中構造物から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。基材層の破断点応力の上限は、基材層の取扱性の観点から、好ましくは200MPa以下である。
上記基材層の伸びおよび破断点応力は、JIS7161、JIS7162、JIS7172に準じて測定することができる。
基材層は、その弾性率が、好ましくは4000MPa以下、より好ましくは1000MPa以下、さらに好ましくは100MPa以下、特に好ましくは50MPa以下である。基材層の弾性率が4000MPa以下であることによって、防汚用粘着テープは、様々な水中構造物の形状に良好に追従でき、施工性が向上する。基材層の弾性率の下限は、基材層の取扱性の観点から、好ましくは0.1MPa以上である。
基材層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、リン酸エステル、滑剤、界面活性剤、充填剤や顔料(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなど)などが挙げられる。
基材層は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。基材層が紫外線吸収剤を含むことにより、防汚用粘着テープの耐候性が向上する。基材層が紫外線吸収剤を含んでいない場合、野外での使用において太陽光によって基材が劣化しやすくなり、当初の基材強度を維持することが難しくなるおそれがある。そして、基材が劣化してしまうと、使用済みの防汚用粘着テープを水中構造物から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。
基材層の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは20〜500μmである。基材層の厚みが20μmより薄いと、ハンドリング性が悪くなり、基材としての役割を果たせず、実用的ではなくなるおそれがある。基材層の厚みが500μmより厚いと、水中構造物の形状に十分に追従できなくなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
基材層上に防汚層を設ける場合、基材層には、防汚層との密着性を向上させるために、プライマーをあらかじめ塗工しておいても良いし、シランカップリング剤をあらかじめ添加しておいても良い。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂の特性である低表面エネルギーが原因で、基材層への密着性が低い場合がある。防汚層と基材層の密着性が低いと、防汚効果を発揮する防汚層が、使用中の衝撃や物理的ダメージによって基材層から剥離してしまい、本来の防汚効果が持続できないおそれがある。そのため、基材層の表面にプライマーをあらかじめ塗工して防汚層との密着性を高めたり、シリコーン樹脂と反応するシラノール基やアルコキシシラン基をシランカップリング剤によって基材層中に導入し、縮合型シリコーン樹脂の塗工時に基材層上の反応基と縮合反応させて密着性を向上させたりすることができる。
シランカップリング剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。市販されている具体的なシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製のKBM5103、KBM1003、KBM903、KBM403、KBM802などが挙げられる。
基材層にシランカップリング剤が含まれる場合、基材層中のシランカップリング剤の含有割合は、好ましくは0.01〜10重量%である。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が10重量%を超える場合、シランカップリング剤が架橋点となって基材層が硬くなってしまうおそれがある。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が0.01重量%未満の場合、基材層と防汚層との間に十分な密着性が発現できないおそれがある。
基材層の粘着層が設けられる側の面には、易接着処理が施されていてもよい。易接着処理を施すことにより、剥離除去の際の糊残りが抑制され得る。易接着処理としては、任意の適切な化学的表面処理、物理的表面処理、およびその組み合わせが用いられ得る。具体例としては、金属、酸化物、無機物などの蒸着;酸素、窒素、アルゴンなどのスパッタリング;プラズマ処理;塩酸、硫酸、硝酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ、または有機溶媒による表面処理;UV/オゾンの照射;コロナ放電処理;火炎処理;カップリング剤の塗布;金型の形状転写、サンドブラスト、延伸折り曲げによる粗面化処理;基材形成材料へのフィラー、カップリング剤等の添加による表面改質処理;等が挙げられる。
上記粘着層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着層を採用し得る。このような粘着層の材料としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂系粘着剤、アミノ樹脂系粘着剤、ビニル樹脂(酢酸ビニル系重合体など)系粘着剤、硬化型アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。粘着層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着層は、その23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が、好ましくは30N/20mm以下、より好ましくは20N/20mm以下、さらに好ましくは15N/20mm以下である。粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が30N/20mmを超える場合、使用済みの防汚用粘着テープを水中構造物から剥がすことが困難になり、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力の下限は、十分な粘着力を維持できる観点から、好ましくは5N/20mm以上である。
上記粘着層の180度ピール接着力は、例えば、以下のようにして測定することができる。すなわち、粘着層を基材上に積層して粘着シートを作成し、これを80mm×20mmの試験片サイズにカットする。被着体として30mm×100mm×厚さ2mmのエポキシ樹脂にガラスクロスを入れて強化したプラスチックFRP板を使用する。被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合せ、23℃で30分放置後、引張速度300mm/minで初期の180度ピール接着力を測定する。
粘着層は、海水に接触させた際に、該粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着層における圧縮弾性率に対して、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上である。粘着層を海水に接触させた際に、該粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着層における圧縮弾性率の1.1倍以上であれば、水中においても良好な接着性を発現できる。粘着層を海水に接触させた際の、該粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率の、海水接触前の該粘着層における圧縮弾性率に対する倍率の上限は、取扱性の観点から、好ましくは100倍以下である。
粘着層の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着層の厚みは、好ましくは10μm以上である。粘着層の厚みが10μmより薄いと、水中構造物の形状に十分に追従できなくなり、接着面積が減少してしまい、十分な粘着力が発現できないおそれがある。粘着層の厚みの上限は、取扱性の観点から、好ましくは100μm以下である。
上記防汚層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防汚層を採用し得る。このような防汚層の形成材料は、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂等の表面エネルギーの小さい樹脂を含む。
防汚層は、好ましくは防汚剤をさらに含む。防汚剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。防汚層が防汚剤を含む場合、該防汚剤がマトリックスである上記樹脂の表面に移行して表面を覆うことにより、高い防汚効果が長期間維持され得る。
防汚層中、上記樹脂に対する防汚剤の含有割合は、好ましくは2重量%以上、より好ましくは2〜200重量%、さらに好ましくは3〜150重量%、特に好ましくは4〜120重量%、最も好ましくは5〜100重量%である。上記樹脂に対する防汚剤の含有割合が2重量%未満の場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。ベース樹脂に対する防汚剤の含有割合が200重量%を超える場合、最終成形品や被膜の外観が不良となるおそれがあり、また、防汚層の強度が低下して防汚性を持続できなくなるおそれがある。
防汚剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防汚剤を採用し得る。このような防汚剤としては、例えば、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸などが挙げられる。本発明において使用され得る防汚剤は、好ましくは、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
シリコ−ンオイルとしては、例えば、信越化学工業(株)製のKF96L、KF96、KF69、KF99、KF50、KF54、KF410、KF412、KF414、FL、東レダウコーニング株式会社製のBY16−846、SF8416、SH203、SH230、SF8419、FS1265、SH510、SH550、SH710、FZ-2110、FZ-2203が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
防汚剤として、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤を用いても良い。これらの防汚剤を用いることにより、珪藻やフジツボなどの水生生物の付着防止効果がより一層向上する。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいても良い。
また、防汚層形成材料として、市販の塗料組成物を用いることもできる。該市販の塗料組成物としては、例えば、中国塗料社製の商品名「ペラクリン」、「バイオクリン」、「バンノー500」、NKMコーティングス社製の商品名「エバークリーン」などが挙げられる。
防汚層の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。防汚層の厚みは、好ましくは5〜500μmである。防汚層の厚みが5μmより薄いと、防汚効果が有効に働く期間が短くなり、実用的ではなくなるおそれがある。防汚層の厚みが500μmより厚いと、防汚用粘着テープが分厚くなって重量が大きくなるため、ハンドリング性が悪くなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
防汚用粘着テープは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、別途準備した基材層と粘着層とを貼り合わせる方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成する方法、別途準備した基材層と粘着層とを貼り合わせた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成し、基材層のもう一方の面に防汚層形成材料を塗布して防汚層を形成する方法、基材層形成材料と粘着層形成材料を共押出しして基材層/粘着層の積層体を形成させた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法などが挙げられる。
防汚層形成材料を基材層上に塗布する方法としては、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップなどが挙げられる。これらの方法で防汚層形成材料を基材層上に塗布して、例えば、室温から250℃までの温度(好ましくは、室温から180℃の温度)で乾燥させることにより、防汚層を形成することができる。
防汚用粘着テープを水中構造物に貼付する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。大型船舶の場合、例えば、乾ドック内で一方の側の舷にロール状の防汚用粘着テープとロール貼り機とを積載したゴンドラを吊るし、粘着テープを貼付しながら床までゴンドラを降ろし、船底をくぐるようにロール貼り機および粘着テープを反対側の舷まで移動させ、次いで、ゴンドラを上げながら貼付することができる。また、小型船舶の場合、例えば、人力でロール状の防汚用粘着テープを巻き解きながら船底まで降ろし、反対側の舷まで船底をくぐらせて、次いで、持ち上げながら貼付することや、船舶(ボート)を引っくり返し、その上から貼付することができる。
[B.水中構造物]
本発明の水中構造物は、防汚用粘着テープが貼付された水中構造物であって、該防汚用粘着テープが、該水中構造物の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して貼付されている。防汚用粘着テープおよびその貼付方法の詳細については、上記A項に記載したとおりである。
本発明の水中構造物は、防汚用粘着テープが貼付された水中構造物であって、該防汚用粘着テープが、該水中構造物の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して貼付されている。防汚用粘着テープおよびその貼付方法の詳細については、上記A項に記載したとおりである。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[製造例1]
(基材層)
反応容器に、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製):71重量部、n−ブチルアクリレート(東亜合成(株)製):19重量部、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(三菱化学(株)製):68.4重量部、ジラウリル酸ジブチルスズ:0.01重量部、水添キシリレンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン(株)製):25.5重量部を投入および混合して、65℃で5時間重合させ、これにより、混合物1を得た。
(基材層)
反応容器に、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製):71重量部、n−ブチルアクリレート(東亜合成(株)製):19重量部、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(三菱化学(株)製):68.4重量部、ジラウリル酸ジブチルスズ:0.01重量部、水添キシリレンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン(株)製):25.5重量部を投入および混合して、65℃で5時間重合させ、これにより、混合物1を得た。
得られた混合物1に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製):1重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:5重量部、ジフェニル(2,4,6,−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASF製):0.25重量部、商品名「TINUVIN123」(BASF製):1.25重量部、商品名「TINUVIN400」(BASF製):0.6重量部を添加および混合することにより、シロップ1を得た。
得られたシロップ1を、セパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製)の表面に150μmの厚みになるように塗布して、シロップ層を形成した。窒素パージ環境下、該シロップ層に紫外線ランプ(ブラックライト)にて紫外線を照射(照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)して重合硬化させ、これにより、基材層を得た。
(粘着層)
反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部、アクリル酸:10重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して混合し、攪拌しながら紫外線を照射することにより、塗工可能な粘度までUV重合させた。得られた混合物に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.08重量部を添加および混合し、これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製)の表面に50μmの厚みになるように塗布した。窒素パージ環境下、該塗布層に紫外線ランプ(ブラックライト)にて紫外線を照射(照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)して重合硬化させ、これにより、粘着層を得た。
反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部、アクリル酸:10重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して混合し、攪拌しながら紫外線を照射することにより、塗工可能な粘度までUV重合させた。得られた混合物に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.08重量部を添加および混合し、これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製)の表面に50μmの厚みになるように塗布した。窒素パージ環境下、該塗布層に紫外線ランプ(ブラックライト)にて紫外線を照射(照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)して重合硬化させ、これにより、粘着層を得た。
(防汚用粘着テープ)
上記基材層の一方の面に防汚用塗料組成物(中国塗料(株)製、製品名「ペラクリン」)を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、150℃で10分間乾燥させて防汚層を形成した。次いで、該基材層の他方の面に上記粘着層を貼り合わせて、防汚層を有する防汚用粘着テープを得た。得られた防汚用粘着テープの構成は、防汚層(厚み:100μm)/基材層(厚み:150μm)/粘着層(厚み:50μm)であった。
上記基材層の一方の面に防汚用塗料組成物(中国塗料(株)製、製品名「ペラクリン」)を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、150℃で10分間乾燥させて防汚層を形成した。次いで、該基材層の他方の面に上記粘着層を貼り合わせて、防汚層を有する防汚用粘着テープを得た。得られた防汚用粘着テープの構成は、防汚層(厚み:100μm)/基材層(厚み:150μm)/粘着層(厚み:50μm)であった。
[製造例2]
(粘着層)
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):90重量部、アクリル酸(AA):10重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより、一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整し、(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。この(メタ)アクリル系モノマー混合物に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.08重量部を添加した。これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)することにより、厚み50μmの粘着層を得た。
(粘着層)
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):90重量部、アクリル酸(AA):10重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより、一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整し、(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。この(メタ)アクリル系モノマー混合物に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.08重量部を添加した。これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)することにより、厚み50μmの粘着層を得た。
(基材層)
ウレタン樹脂基材(シーダム(株)製、製品名「DUS451」、厚み100μm、幅250mm)を基材層として用いた。
ウレタン樹脂基材(シーダム(株)製、製品名「DUS451」、厚み100μm、幅250mm)を基材層として用いた。
(防汚層)
上記基材層に、付加型シリコーンエラストマー(旭化成ワッカーシリコーン(株)製、製品名「LR7665」)と流動パラフィン(和光純薬工業(株)製)とシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、製品名「KBM5103」)とを100:10:5の割合で混合した混合液をアプリケーターにて塗工し、厚み100μmのシロップ層を形成した。該シロップ層を150℃で5分間処理して硬化させて、基材層上に防汚層を形成した。なお、形成された防汚層の幅は180mmであり、基材層の両端部は防汚層が設けられていない未塗工部とされていた。
上記基材層に、付加型シリコーンエラストマー(旭化成ワッカーシリコーン(株)製、製品名「LR7665」)と流動パラフィン(和光純薬工業(株)製)とシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、製品名「KBM5103」)とを100:10:5の割合で混合した混合液をアプリケーターにて塗工し、厚み100μmのシロップ層を形成した。該シロップ層を150℃で5分間処理して硬化させて、基材層上に防汚層を形成した。なお、形成された防汚層の幅は180mmであり、基材層の両端部は防汚層が設けられていない未塗工部とされていた。
(防汚用粘着テープ)
上記粘着層と防汚層付き基材層とをハンドローラーにて貼り合わせ、次いで、防汚層が設けられていない両端の未塗工部を切り落とした。これにより、片面の全面に防汚層を備える防汚用粘着テープ(テープ幅:180mm)を得た。得られた防汚用粘着テープの構成は、防汚層(厚み:100μm)/基材層(厚み:100μm)/粘着層(厚み:50μm)であった。
上記粘着層と防汚層付き基材層とをハンドローラーにて貼り合わせ、次いで、防汚層が設けられていない両端の未塗工部を切り落とした。これにより、片面の全面に防汚層を備える防汚用粘着テープ(テープ幅:180mm)を得た。得られた防汚用粘着テープの構成は、防汚層(厚み:100μm)/基材層(厚み:100μm)/粘着層(厚み:50μm)であった。
[実施例1]
防食塗料(中国塗料(株)製、製品名「バンノー500」)を塗布した鋼板表面を有するプレジャーボートの一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って他方の側面の喫水線より上の位置まで、製造例1の防汚用粘着テープを長手方向が鉛直方向となるようにつなぎ目なく連続して貼付した。このとき、粘着テープの両端部を喫水線よりテープ幅相当だけ上に位置させた。次いで、貼付した防汚用粘着テープの喫水以下の側端部を故意に剥離することにより、粘着テープが事故で破断し、剥離が進行した状況を再現した。この状態で、該プレジャーボートを25ノット相当で走行させ、水流に晒したところ、防汚用粘着テープの剥離が進行し、剥離部分が90度折れ曲がった状態で180度ピールモードとなったが、喫水線まで剥離が進行した段階で、剥離はそれ以上進行しなかった。
防食塗料(中国塗料(株)製、製品名「バンノー500」)を塗布した鋼板表面を有するプレジャーボートの一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って他方の側面の喫水線より上の位置まで、製造例1の防汚用粘着テープを長手方向が鉛直方向となるようにつなぎ目なく連続して貼付した。このとき、粘着テープの両端部を喫水線よりテープ幅相当だけ上に位置させた。次いで、貼付した防汚用粘着テープの喫水以下の側端部を故意に剥離することにより、粘着テープが事故で破断し、剥離が進行した状況を再現した。この状態で、該プレジャーボートを25ノット相当で走行させ、水流に晒したところ、防汚用粘着テープの剥離が進行し、剥離部分が90度折れ曲がった状態で180度ピールモードとなったが、喫水線まで剥離が進行した段階で、剥離はそれ以上進行しなかった。
[実施例2]
表面をゲルコート仕上げしたFRP船の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って他方の側面の喫水線より上の位置まで、製造例1の防汚用粘着テープを長手方向が鉛直方向となるようにつなぎ目なく連続して貼付した。このとき、粘着テープの喫水線よりも上に貼付された部分の長さはテープ幅の6倍であった。次いで、貼付した防汚用粘着テープの一箇所を喫水線より下の位置で故意に切断し、剥離した。この状態で、該FRP船を30ノット相当で走行させ、水流に晒したところ、防汚用粘着テープの剥離先端が喫水線より上に到達し、テープ幅の2倍の長さになるまで剥離が進行したが、それ以上は進行しなかった。
表面をゲルコート仕上げしたFRP船の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って他方の側面の喫水線より上の位置まで、製造例1の防汚用粘着テープを長手方向が鉛直方向となるようにつなぎ目なく連続して貼付した。このとき、粘着テープの喫水線よりも上に貼付された部分の長さはテープ幅の6倍であった。次いで、貼付した防汚用粘着テープの一箇所を喫水線より下の位置で故意に切断し、剥離した。この状態で、該FRP船を30ノット相当で走行させ、水流に晒したところ、防汚用粘着テープの剥離先端が喫水線より上に到達し、テープ幅の2倍の長さになるまで剥離が進行したが、それ以上は進行しなかった。
[実施例3]
製造例2の防汚用粘着テープを用いたこと以外は実施例1と同様にしてプレジャーボートに防汚用粘着テープを貼付した。実施例1と同様の評価を行ったところ、得られた効果は実施例1と同等であった。
製造例2の防汚用粘着テープを用いたこと以外は実施例1と同様にしてプレジャーボートに防汚用粘着テープを貼付した。実施例1と同様の評価を行ったところ、得られた効果は実施例1と同等であった。
[比較例1]
防食塗料(中国塗料(株)製、製品名「バンノー500」)を塗布した鋼板表面を有するプレジャーボートに製造例1の防汚用粘着テープを長手方向が水平方向となるように貼付し、該粘着テープが全て水中に浸漬した状態で走行させたこと以外は実施例1と同様に試験した。その結果、180度ピールモードで剥離が進行し、最終的には防汚用粘着テープが脱落した。
防食塗料(中国塗料(株)製、製品名「バンノー500」)を塗布した鋼板表面を有するプレジャーボートに製造例1の防汚用粘着テープを長手方向が水平方向となるように貼付し、該粘着テープが全て水中に浸漬した状態で走行させたこと以外は実施例1と同様に試験した。その結果、180度ピールモードで剥離が進行し、最終的には防汚用粘着テープが脱落した。
本発明の防汚処理方法は、特に、水中構造物の接水表面の汚染防止に好適に適用され得る。
10 防汚用粘着テープ
20 水中構造物
22 喫水線
20 水中構造物
22 喫水線
Claims (5)
- 水中構造物の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して防汚用粘着テープを貼付することを含む、水中構造物の防汚処理方法。
- 前記防汚用粘着テープをその長手方向が略鉛直方向になるように貼付する、請求項1に記載の水中構造物の防汚処理方法。
- 前記防汚用粘着テープの喫水線より上に貼付された部分の長さが、テープ幅以上である、請求項1または2に記載の水中構造物の防汚処理方法。
- 前記水中構造物が船舶である、請求項1から3のいずれかに記載の水中構造物の防汚処理方法。
- 防汚用粘着テープが貼付された水中構造物であって、
該防汚用粘着テープが、該水中構造物の一方の側面の喫水線より上の位置から底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して貼付されている、水中構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013177838A JP2014065483A (ja) | 2012-09-04 | 2013-08-29 | 水中構造物の防汚処理方法 |
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