JP2014234414A - 易接着性粘着シート - Google Patents

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和孝 原
鈴木 聡
Satoshi Suzuki
聡 鈴木
太樹 末吉
Hiroki Sueyoshi
太樹 末吉
内藤 友也
Tomoya Naito
友也 内藤
麻美 久保
Asami Kubo
麻美 久保
倉田 直記
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直記 倉田
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Abstract

【課題】防汚用粘着シートの突き合わせの作業性を向上させ、かつ、防汚用粘着シートのつなぎ目からの剥離および防汚用粘着シート間の隙間における汚染を防止できる易接着性粘着シートを提供すること。【解決手段】基材層10とその一方の面側に設けられた粘着層20とを有し、基材層10の粘着層20が設けられていない面側に易接着処理が施されている易接着性粘着シートであって、切断用線材30が剥離可能に取り付けられている、易接着性粘着シート。【選択図】図1

Description

本発明は、易接着性粘着シートに関する。
例えば、水中構造物(例えば、船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所の冷却水給水路、および工場の冷却水給水路)の接水表面においては、水生生物(例えば、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、および付着珪藻)が付着して繁殖し、流体抵抗の増加や熱伝導性の低下といった設備機械性能の低下や、付着した水生生物の水中への拡散等、好ましくない状態を引き起こしている。また、付着した水生生物を除去する作業には大きな労力と膨大な時間が必要であり、経済的な損失を被っている。
上記のような被害を防止するため、上記構造物を被着体として防汚用粘着シートを貼付することが提案されている(特許文献1または2)。しかしながら、複数枚の防汚用粘着シートを貼付することから、シートのつなぎ目から粘着シートが剥離するという問題や、つなぎ目に隙間が存在すると、例えば隙間に水生生物が侵入して接水表面に直接付着するという問題もある。上記つなぎ目からの剥離は、防汚用粘着シートの構造物に対する接着力を増強することで抑制され得るが、この場合、劣化した防汚用粘着シートの剥離除去が極めて困難となり、再施工時の作業性が著しく低下するという問題がある。
上記つなぎ目における隙間を無くす方法として、隣接する防汚用粘着シートの端部を重ねて貼付することが考えられる(例えば、特許文献2)。しかしながら、この場合には、一方の防汚用粘着シートの防汚層表面に他方の防汚用粘着シートを貼付するところ、防汚層表面には粘着剤や接着剤が密着しないか、密着しても接着または粘着力が不足して剥離する危険性を有するという問題がある。
また、隣接する防汚用粘着シートを隙間なく突き合わせることが考えられるが、位置合わせや切断が困難であり、作業性が低いという問題がある。例えば、ハサミでは位置合わせの精度が不足している。また、カッターでは構造物を傷つけやすく、構造物の防食塗料層などを傷つけて腐食が発生するおそれがある。
特開2012−117112号公報 特公平04−27076号公報
本発明の目的は、防汚用粘着シートの突き合わせの作業性を向上させ、かつ、防汚用粘着シートのつなぎ目からの剥離および防汚用粘着シート間の隙間における汚染を防止できる易接着性粘着シートを提供することにある。
本発明によれば、易接着性粘着シートが提供される。
該易接着性粘着シートは、基材層とその一方の面側に設けられた粘着層とを有し、該基材層の該粘着層が設けられていない面側に易接着処理が施されている易接着性粘着シートであって、切断用線材が剥離可能に取り付けられている。
好ましい実施形態においては、前記切断用線材が、該基材層の該粘着層が設けられていない面の表面に取り付けられている。
本発明の別の局面によれば、構造物の施工方法が提供される。
該構造物の施工方法は、
前記易接着性粘着シート、および、基材層とその一方の面側に設けられた粘着層とを有する防汚用粘着シートを準備すること(工程1)、
2枚以上の該防汚用粘着シートと少なくとも1枚の該易接着性粘着シートとを、汚染が防止されるべき表面を有する構造物の該表面に、該防汚用粘着シートが互いに重なり、かつ、その重なり部分が、該易接着性粘着シートの前記切断用線材上となるように貼付すること(工程2)、ならびに
前記切断用線材を前記易接着性粘着シートから剥離することにより、前記重なり部分を有する防汚用粘着シートの端部を切断除去すること(工程3)を含む。
好ましい実施形態においては、該構造物の施工方法は、前記端部を切断除去された防汚用粘着シートの隣接する切断面を突き合せること(工程4)をさらに含む。
本発明の易接着性粘着シートによれば、防汚用粘着シートの突き合わせに関する作業性を向上させ、かつ、防汚用粘着シートのつなぎ目からの剥離および防汚用粘着シートの隙間における汚染を防止できる。
より詳細には、本発明の易接着性粘着シートによれば、防汚用粘着シート端部の切断除去を迅速に行うことができ、精密な位置合わせは不要で、かつ構造物を傷つけずに精度の高い切断ができるので、作業性が向上する。
構造物表面における防汚用粘着シートの重ね貼り箇所の下に事前に配置した線材により切断する場合、線材のセットの手間により作業性が低下するが、本発明の易接着性粘着シートによれば、構造物表面に線材を事前に配置する必要が無いため、作業性が高い。
また、本発明の易接着性粘着シートによれば、易接着性粘着シートの粘着層と構造物表面との接着力、および防汚用粘着シートの粘着層と構造物表面との接着力を、各粘着シートを剥離除去可能な程度に抑えつつ、易接着性粘着シートの基材層の易接着処理表面と防汚用粘着シートの粘着層とを極めて強固に接着することができる。その結果、剥離除去時の作業性を低下させることなく、つなぎ目からの防汚用粘着シートの剥離を抑制することができる。
図1(a)は、本発明の1つの実施形態による易接着性粘着シートの概略断面図である。図1(b)は、本発明の別の実施形態による易接着性粘着シートの概略断面図である。 図2(a)は、本発明の1つの実施形態による構造物の施工方法で用いられる防汚用粘着シートの概略断面図である。図2(b)は、本発明の別の実施形態による構造物の施工方法で用いられる防汚用粘着シートの概略断面図である。図2(c)は、本発明の別の実施形態による構造物の施工方法で用いられる防汚用粘着シートの概略断面図である。 図3(a)、(b)および(c)はそれぞれ、本発明の1つの実施形態による構造物の施工方法を説明する概略図である。 図4(a)および(b)はそれぞれ、本発明の1つの実施形態における工程2を説明する概略図である。 図5(a)、(b)および(c)はそれぞれ、本発明の別の実施形態における工程2を説明する概略図である。 図6(a)および(b)はそれぞれ、本発明の別の実施形態における工程2を説明する概略図である。 図7(a)、(b)および(c)はそれぞれ、本発明の別の実施形態における工程2を説明する概略図である。 図8(a)および(b)はそれぞれ、本発明の別の実施形態における工程2を説明する概略図である。 図9は、本発明の別の実施形態における工程2を説明する概略図である。
[A.易接着性粘着シート]
[A−1.全体構造]
図1(a)は、本発明の1つの実施形態による易接着性粘着シート100aの概略断面図である。本実施形態においては、易接着性粘着シート100aは、基材層10とその一方の面側に設けられた粘着層20とを有し、基材層10の粘着層20が設けられていない面(以後「基材層表面」と称することがある)側に易接着処理が施されている。また、基材層表面上に切断用線材30が剥離可能に取り付けられている。図示しないが、易接着性粘着シートの基材層10表面および/または粘着層20の粘着面(以後「粘着層表面」と称することがある)には、剥離フィルムが設けられていてもよい。
図1(b)は、本発明の別の実施形態による易接着性粘着シート100bの概略断面図である。本実施形態においては、易接着性粘着シート100bの端部は、基材層10表面から粘着層20表面に向かって傾斜する傾斜面とされている。このように傾斜面を設けることにより、防汚用粘着シートを重ねて貼付する際の空気の噛み込みを防止することができる。また、空気の噛み込み防止等を目的として界面活性剤を含む施工液を用いながら貼付する場合に、施工液をその重ね合わせた端部から押出すことが容易にできる。傾斜面の傾斜角度θは、基材層10および粘着層20の厚み、物性等に応じて適切に設定され得る。
易接着性粘着シートの端部に傾斜面を設ける方法としては、例えば、基材層の成膜硬化後に切削する;成膜硬化中にスキージで成形する;エッジをダレさせる;塗工時に塗工端部に流動によるダレを生じさせる;コーターの塗液吐出部端部にテーパーを付けて端部への吐出量を連続的に減らす;などが挙げられる。易接着性粘着シートが帯状である場合、傾斜面は、易接着性粘着シートの少なくとも一方(例えば両方)の長辺端部に設けられ得る。
易接着性粘着シートの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。易接着性粘着シートの厚みは、好ましくは50μm〜5000μmである。
易接着性粘着シートの形状は、構造物の形状等に応じて任意の適切な形状であり得る。代表的には矩形であり、例えば、帯状であり得る。本明細書において、「帯状」とは、幅(幅方向)に対して長さ(長辺方向)が10倍以上であることをいう。帯状の防汚用粘着シートは、ロール状で供給され得るので、取扱性および作業性が向上する。易接着性粘着シートは、防汚用粘着シートよりも狭幅のシートとすることができる。1つの実施形態において、易接着性粘着シートの短辺の長さは、例えば0.5cm〜50cm、好ましくは1cm〜30cmの範囲であり得る。
易接着性粘着シートとしては、透明のもの、好ましくは無色透明のものを用い得る。この場合、切断用線材の視認性が増し、作業効率が向上し、除去忘れを防止できる。
[A−2.切断用線材]
上記のとおり、易接着性粘着シートには、切断用線材が剥離可能に取り付けられている。
(取り付け)
本明細書において、上記切断用線材について「剥離」とは、易接着性粘着シート表面(例えば、基材層10表面)に取り付けられた切断用線材を剥離する概念(図1)だけでなく、易接着性粘着シートの厚み方向の任意の適切な位置に取り付けられた切断用線材を、易接着性粘着シートを切断しながら引き上げて剥離する概念をも包含する。
切断用線材の取り付けの態様としては、例えば、切断用線材の一部または全体が、易接着性粘着シートの基材層表面および/または粘着層表面に取り付けられていてもよく、切断用線材の一部または全体が、上記基材層および/または粘着層の内部(例えば、基材層内部、粘着層内部、および基材層と粘着層との界面)に包埋されて取り付けられていてもよい。
本明細書において、切断用線材について「易接着性粘着シートの基材層表面および/または粘着層表面に取り付けられている」とは、切断用線材の長さ方向の断面の少なくとも一部が、上記基材層表面および/または上記粘着層表面と接触していることを意味する。
切断用線材について「基材層および/または粘着層の内部に取り付けられている」とは、切断用線材の長さ方向の断面の少なくとも一部が、上記基材層および/または上記粘着層の内部に包埋していることを意味する。
切断用線材の取り付けの方法は、切断用線材の取り付け位置に応じて変化し得る。
例えば、取り付け位置が基材層表面および/または粘着層表面の場合、基材層と粘着層との積層前に切断用線材をこれらの層表面に取り付けてもよく、積層後に切断用線材をこれらの層表面に取り付けてもよい。
切断用線材を基材層表面および/または粘着層表面に取り付ける方法としては、任意の適切な方法を用い得る。そのような方法としては、例えば、接着剤を塗布した切断用線材をこれらの層表面に貼り付ける方法が挙げられる。上記接着剤としては、適宜希釈した接着剤を用い得る。また、上記接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、およびイソシアネート系接着剤を用い得る。
また、例えば、切断用線材の一部または全体が基材層内部および/または粘着層内部に包埋されている場合、切断用線材の取り付けの方法としては、例えば、基材層形成材料および/または粘着層形成材料の塗工時に切断用線材の一部または全体を包埋する方法、および、基材層と粘着層との積層前に切断用線材を何れかの層表面に取り付けた後に切断用線材が基材層と粘着層との界面に位置するようにこれらの層を積層する方法が挙げられる。
易接着性粘着シートの形状が帯状である場合、易接着性粘着シートの帯の長辺方向(例えば、長辺方向全域)において、切断用線材が取り付けられ得る。
この場合、複数枚の帯状の防汚用粘着シートを構造物の表面に略平行に貼付する場合に、防汚用粘着シートの重なり部分が切断用線材上となるように貼付しやすくなる。なお、本明細書において、「略平行」とは、0°±20°の範囲を包含し、好ましくは0°±10°、さらに好ましくは0°±5°、特に好ましくは0°±1°である。また、「長辺方向」および「略鉛直方向」についても同様とする。
易接着性粘着シートの形状が帯状である場合に、切断用線材は、易接着性粘着シートの幅方向の略中央部に取り付けられ得る。この場合、防汚用粘着シート端部の切断除去後に、易接着性粘着シートの基材層に接着する複数枚の防汚用粘着シートとの接着力がより安定化する。
切断用線材の一部(例えば、長辺方向の一方又は両方の端部)は、易接着性粘着シートに取り付けられていなくてもよい。また、当該一部は易接着性粘着シートより外側に延出し得る。これらの場合、切断用線材の剥離時に当該一部を引張り代とすることができ、切断用線材を易接着性粘着シートから剥離しやすくなる。
1枚の易接着性粘着シートに取り付けられている切断用線材の数は1本以上であればよく、例えば1本〜5本であり、1本〜3本であることが好ましく、1本であることがより好ましい。
(切断用線材)
上記切断用線材としては、例えば、着色されたものを用い得る。また、上記易接着性粘着シートとは異なる色彩に着色されたものを用い得る。好ましくは、上記構造物の表面とは異なる色彩に着色されたものを用い得る。これらの場合、切断用線材の視認性が増し、作業効率が向上し、除去忘れを防止できる。
切断用線材としては、例えば、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、および合成樹脂からなる繊維(合成繊維)からなる群より選択される少なくとも1つを含む線材を用い得る。合成繊維としては、例えば、ポリアミド繊維(例えば、ナイロン繊維)、アラミド繊維(例えば、ケブラー繊維)、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、セルロース系繊維(例えば、セルロースアセテート繊維)、ビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊維)、アクリロニトリル系繊維、および芳香族ポリエーテルイミド繊維とポリビニルアルコール繊維との混繊糸が挙げられ、ポリアミド繊維が好ましい。
切断用線材の直径は、例えば、1μm〜1cmであり、好ましくは5μm〜750μmであり、より好ましくは10μm〜500μmである。
[A−3.基材層]
易接着性粘着シートの基材層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材層を採用し得る。上記基材層の材料としては、好ましくは、耐水性、強度、柔軟性、裂け性に優れるものである。上記基材層の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アラミド(紙)、ガラスクロス、ナイロン布などが挙げられる。上記材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
上記基材層は、その破断点応力が、好ましくは10MPa以上、より好ましくは12MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。上記基材層が、B項で詳細を述べる防汚用粘着シートの基材層と同等以上の破断点応力を有することにより、防汚用粘着シートのつなぎ目における易接着性粘着シートの基材層の破壊、例えば破断が抑制され、その結果、つなぎ目部分の接着または粘着力を防汚用粘着シートの接着または粘着力と同等以上にすることができる。また、上記基材層の破断点応力の上限は、上記基材層の取扱性の観点から、好ましくは200MPa以下である。
上記基材層の破断点応力は、JIS7161、JIS7162、JIS7172に準じて測定することができる。
易接着性粘着シートの基材層表面には易接着処理が施されている。これにより、易接着性粘着シートの基材層表面と上記防汚用粘着シートの粘着層との間の接着力は、防汚用粘着シートの粘着層と上記構造物表面との間の接着力よりも大きくなり、易接着性粘着シートの基材層表面上に防汚用粘着シートを非常に強固に接着することができる。その結果、上記構造物表面と防汚用粘着シートとの接着力を剥離除去が困難なレベルまで増強することなく、防汚用粘着シートのつなぎ目からの剥離が好適に防止される。易接着性粘着シートの基材層表面に対する防汚用粘着シートの接着力(23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力)は、好ましくは15N/20mm以上、より好ましくは20N/20mm以上である。なお、劣化した防汚用粘着シートと易接着性粘着シートとを剥離除去する際には、これらの粘着シートを構造物表面からまとめて剥離することができる。
上記基材層の180度ピール接着力は、例えば、以下のようにして測定することができる。すなわち、基材層を基材上に積層して粘着シートを作成し、これを80mm×20mmの試験片サイズにカットする。被着体として30mm×100mm×厚さ2mmのエポキシ樹脂にガラスクロスを入れて強化したプラスチックFRP板を使用する。被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合せ、23℃で30分放置後、引張速度300mm/minで初期の180度ピール接着力を測定する。
上記易接着処理としては、任意の適切な化学的表面処理、物理的表面処理、およびその組み合わせが用いられ得る。具体例としては、金属、酸化物、無機物などの蒸着;酸素、窒素、アルゴンなどのスパッタリング;プラズマ処理;塩酸、硫酸、硝酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ、または有機溶媒による表面処理;UV/オゾンの照射;コロナ放電処理;火炎処理;カップリング剤の塗布;金型の形状転写、サンドブラスト、延伸折り曲げによる粗面化処理;基材形成材料へのフィラー、カップリング剤等の添加による表面改質処理;等が挙げられる。
また、易接着性粘着シートの基材層の粘着層が設けられる側の面にも、易接着処理が施され得る。この場合、剥離除去の際の糊残りが抑制される。また、この場合、UV/オゾンの照射、アルカリによる表面処理(ケン化)、または基材形成材料へのフィラー、カップリング剤等の添加が好ましい。上記基材層の両面を同時に処理できるからである。
上記基材層の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。上記基材層の厚みは、好ましくは20μm〜500μmである。上記基材層の厚みが上記範囲内であると、ハンドリング性が向上し、構造物の形状への追従も向上する。
[A−4.粘着層]
易接着性粘着シートの粘着層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着層を採用し得る。上記粘着層の材料としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂系粘着剤、アミノ樹脂系粘着剤、ビニル樹脂(酢酸ビニル系重合体など)系粘着剤、硬化型アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。上記粘着層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
上記粘着層は、その23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が、好ましくは30N/20mm以下、より好ましくは20N/20mm以下、さらに好ましくは15N/20mm以下である。上記粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が上記範囲内であると、使用済みの防汚用粘着シートを構造物から剥がす際の作業効率が向上する。粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力の下限は、十分な粘着力を維持できる観点から、好ましくは5N/20mmである。上記接着力は、上記基材層の180度ピール接着力と同様の条件で測定することができる。
粘着層は、海水に接触させた際に、粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の粘着層における圧縮弾性率に対して、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上である。粘着層を海水に接触させた際に、粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の粘着層における圧縮弾性率の1.1倍以上であれば、水中においても良好な接着性を発現できる。粘着層を海水に接触させた際の、粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率の、海水接触前の粘着層における圧縮弾性率に対する倍率の上限は、取扱性の観点から、好ましくは100倍である。
粘着層の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着層の厚みは、好ましくは10μm以上である。粘着層の厚みが上記範囲内であると、構造物の形状への追従性が向上し、接着面積の増加により、粘着力が向上する。粘着層の厚みの上限は、取扱性の観点から、好ましくは100μmである。
[A−5.製造方法]
易接着性粘着シートは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、別途準備した基材層と粘着層とを貼り合わせる方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成する方法、基材層形成材料と粘着層形成材料を共押出しする方法などが挙げられる。これらの方法においては、粘着層との積層前に基材層に易接着処理を施してもよく、積層後に易接着処理を施してもよい。切断用線材の取り付け方法は、上述した通りである。
[B.構造物の施工方法]
上記構造物の施工方法は、上述した工程1〜3を含む。以下、各工程について詳細を述べる。
[B−1.工程1]
工程1においては、上記易接着性粘着シート、および、基材層とその一方の面側に設けられた粘着層とを有する防汚用粘着シートとを準備する。
≪防汚用粘着シート≫
(i)全体構造
図2(a)は、本発明の好ましい実施形態において用いられ得る防汚用粘着シートの概略断面図である。防汚用粘着シート200aは、基材層40とその一方の面側に設けられた粘着層50とを有する。
図2(b)は、本発明の別の好ましい実施形態において用いられ得る防汚用粘着シートの概略断面図である。防汚用粘着シート200bは、基材層40の粘着層50が設けられていない面側に防汚層60をさらに有する。また、防汚用粘着シート200bは、防汚層60に代えて、または、防汚層60に加えて、任意の適切な他の層をさらに有していてもよい。
図2(c)は、本発明のさらに別の好ましい実施形態において用いられ得る防汚用粘着シートの概略断面図である。防汚用粘着シート200cは、一方の端部に防汚層60より外側に延出した基材層40と粘着層50とを含む接着代を有する。この場合、防汚用粘着シート200cの端部の重なり部分がより安定となるため、切断除去の作業性および位置合わせの精度が向上する。また、接着代の基材層側表面には易接着処理が施され得る。また、接着代は、両方の端部に設けられていてもよい。
図示しないが、防汚用粘着シート200の、基材層40(または防汚層60など)側表面および/または粘着層50側表面には、剥離フィルムが設けられていてもよい。
防汚用粘着シートの端部は、上記基材層(または上記防汚層など)側表面から上記粘着層側表面に向かって傾斜する傾斜面とされ得る。傾斜面を設ける方法としては、易接着性粘着シートの場合と同様に考えることができる。
防汚用粘着シートの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。防汚用粘着シートの厚みは、好ましくは50μm〜5000μmである。
防汚用粘着シートの形状は、構造物の形状等に応じて任意の適切な形状であり得る。代表的には矩形であり、例えば、帯状であり得る。
防汚用粘着シートとしては、透明のもの、好ましくは無色透明のものを用い得る。この場合、工程3における切断用線材の視認性が増し、作業効率が向上し、除去忘れを防止できる。
(ii)基材層
防汚用粘着シートの基材層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材層を採用し得る。このような基材層の材料としては、好ましくは、耐水性、強度、柔軟性、裂け性に優れるものである。このような基材層の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。このような基材層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
上記基材層は、その伸びが、好ましくは100%以上、より好ましくは120%以上、さらに好ましくは150%以上である。基材層の伸びが上記範囲内であると、防汚用粘着シートは、様々な構造物の形状に良好に追従でき、平面に良好に貼付できるだけでなく、屈曲部(船体表面に存在するような曲面部分、90度角の部分、鋭角部分など)にも良好に貼付できる。基材層の伸びの上限は、基材層の強度の観点から、例えば2000%である。
基材層は、その破断点応力が、好ましくは10MPa以上、より好ましくは12MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。基材層の破断点応力が上記範囲内であると、使用済みの防汚用粘着シートを構造物から剥がす際の作業効率が向上する。基材層の破断点応力の上限は、基材層の取扱性の観点から、好ましくは200MPaである。
基材層の伸びおよび破断点応力は、JIS7161、JIS7162、JIS7172に準じて測定することができる。
基材層は、その弾性率が、好ましくは4000MPa以下、より好ましくは1000MPa以下、さらに好ましくは100MPa以下、特に好ましくは50MPa以下である。基材層の弾性率が上記範囲内であると、防汚用粘着シートは、様々な構造物の形状に良好に追従でき、施工性が向上する。基材層の弾性率の下限は、基材層の取扱性の観点から、好ましくは0.1MPaである。
基材層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、リン酸エステル、滑剤、界面活性剤、充填剤や顔料(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなど)などが挙げられる。
基材層は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。基材層が紫外線吸収剤を含むことにより、防汚用粘着シートの耐候性が向上する。また、野外での使用において太陽光による基材の劣化を防止でき、当初の基材強度を維持しやすくなる。そのため、使用済みの防汚用粘着シートを構造物から剥がす際にも基材層が切断することなく、作業効率が向上する。
基材層の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは20μm〜500μmである。基材層の厚みが20μm以上であると、ハンドリング性が向上する。基材層の厚みが500μm以下であると、構造物の形状への追従性が向上し、シートのつなぎ目部分の凹凸がより小さくなり、汚れがより付きにくくなる。
基材層上に防汚層を設ける場合、基材層には、防汚層との密着性を向上させるために、プライマーをあらかじめ塗工しておいても良いし、シランカップリング剤をあらかじめ添加しておいても良い。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂の特性である低表面エネルギーが原因で、基材層への密着性が低い場合がある。防汚層と基材層の密着性が低いと、防汚効果を発揮する防汚層が、使用中の衝撃や物理的ダメージによって基材層から剥離してしまい、本来の防汚効果が持続できないおそれがある。そのため、基材層の表面にプライマーをあらかじめ塗工して防汚層との密着性を高めたり、シリコーン樹脂と反応するシラノール基やアルコキシシラン基をシランカップリング剤によって基材層中に導入し、縮合型シリコーン樹脂の塗工時に基材層上の反応基と縮合反応させて密着性を向上させたりすることができる。
シランカップリング剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。市販されている具体的なシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製のKBM5103、KBM1003、KBM903、KBM403、KBM802などが挙げられる。
基材層にシランカップリング剤が含まれる場合、基材層中のシランカップリング剤の含有割合は、好ましくは0.01重量%〜10重量%である。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が10重量%以下であると、シランカップリング剤が架橋点となって基材層が硬くなってしまう危険性を回避できる。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が0.01重量%以上であると、基材層と防汚層との間の密着性が向上する。
基材層の粘着層が設けられる側の面には、易接着処理が施されていてもよい。易接着処理を施すことにより、剥離除去の際の糊残りが抑制され得る。易接着処理としては、易接着性粘着シートの基材層表面に施される処理と同様の処理が挙げられる。
(iii)粘着層
防汚用粘着シートの粘着層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着層を採用し得る。このような粘着層としては、上述した易接着性粘着シートの粘着層と同様の粘着層が挙げられる。
(iv)防汚層
上記防汚層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防汚層を採用し得る。このような防汚層の形成材料は、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂等の表面エネルギーの小さい樹脂を含む。
防汚層は、好ましくは防汚剤をさらに含む。防汚剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。防汚層が防汚剤を含む場合、防汚剤がマトリックスである上記樹脂の表面に移行して表面を覆うことにより、高い防汚効果が長期間維持され得る。
防汚層中、上記樹脂100重量部に対する防汚剤の含有割合は、好ましくは2重量部以上、より好ましくは2重量部〜200重量部、さらに好ましくは3重量部〜150重量部、特に好ましくは4重量部〜120重量部、最も好ましくは5重量部〜100重量部である。上記樹脂に対する防汚剤の含有割合が上記範囲内であると、防汚層の防汚効果がより確実に発現でき、また、最終成形品や被膜の外観が向上し、防汚層の強度が向上し、防汚性をより長期間持続できる。
防汚剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防汚剤を採用し得る。このような防汚剤としては、例えば、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸などが挙げられる。本発明において使用され得る防汚剤は、好ましくは、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
シリコーンオイルとしては、例えば、信越化学工業(株)製のKF96L、KF96、KF69、KF99、KF50、KF54、KF410、KF412、KF414、FL、東レダウコーニング株式会社製のBY16−846、SF8416、SH203、SH230、SF8419、FS1265、SH510、SH550、SH710、FZ-2110、FZ-2203が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
防汚剤として、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤を用いても良い。これらの防汚剤を用いることにより、珪藻やフジツボなどの水生生物の付着防止効果がより一層向上する。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいても良い。
また、防汚層形成材料として、市販の塗料組成物を用いることもできる。市販の塗料組成物としては、例えば、中国塗料社製の商品名「ペラクリン」および「バイオクリン」、NKMコーティングス社製の商品名「エバークリーン」などが挙げられる。
防汚層の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。防汚層の厚みは、好ましくは5μm〜500μmである。防汚層の厚みが5μm以上であると、防汚効果が有効に働く期間がより長くなる。防汚層の厚みが500μm以下であると、防汚用粘着シートの重量が小さくなるため、ハンドリング性が向上し、シートのつなぎ目部分の凹凸が小さくなり、汚れがより付きにくくなる。
(v)製造方法
防汚用粘着シートは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、別途準備した基材層と粘着層とを貼り合わせる方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成する方法、別途準備した基材層と粘着層とを貼り合わせた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成し、基材層のもう一方の面に防汚層形成材料を塗布して防汚層を形成する方法、基材層形成材料と粘着層形成材料を共押出しして基材層/粘着層の積層体を形成させた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法などが挙げられる。
防汚層形成材料を基材層上に塗布する方法としては、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップなどが挙げられる。これらの方法で防汚層形成材料を基材層上に塗布して、例えば、室温(例えば15℃)から250℃までの温度(好ましくは、室温から180℃の温度)で乾燥させることにより、防汚層を形成することができる。
[B−2.工程2]
(i)工程概要
図3は、本発明の1つの実施形態による構造物の施工方法を説明する概略図である。本実施形態の工程2においては、図3(a)に示すように、構造物70の汚染が防止されるべき表面に、易接着性粘着シート100と防汚用粘着シート200とを、2枚の防汚用粘着シート200の端部が互いに重なり、さらに、その重なり部分が、易接着性粘着シート100の切断用線材30上となるように貼付する。
上記貼付の方法としては、より具体的には、例えば、構造物70の汚染が防止されるべき表面に易接着性粘着シート100を貼付した後に、1枚の防汚用粘着シート200を易接着性粘着シート100の切断用線材30上に端部が重なるように貼付し、さらに、別の防汚用粘着シート200を易接着性粘着シート100の切断用線材30上に端部が重なるように貼付する方法が挙げられる。また、例えば、易接着性粘着シートと防汚用粘着シートとを含む粘着シートセット(詳細は後述する)を順次貼付する方法が挙げられる。
代表的には、防汚用粘着シートを、構造物の汚染が防止されるべき表面の全面を覆うように貼付するが、必要に応じて、表面の所望の部位(例えば、後述の屈曲部)のみを覆うように貼付してもよい。
また、汚染が防止されるべき表面において、防汚用粘着シートの端部は隙間を有さずに互いに重なることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において隣接する防汚用粘着シート間の一部に重なり部分を有さない隙間が存在してもよい。
防汚用粘着シートが例えば帯状である場合、防汚用粘着シートの長辺端部が、1枚以上(例えば、2枚)の防汚用粘着シートの端部(例えば、長辺端部)と重なるように貼付し得る。防汚用粘着シートの帯の長辺方向全域において、防汚用粘着シートの長辺端部が互いに重なるように貼付することが好ましい。
防汚用粘着シートが例えば帯状である場合、防汚用粘着シートの重なり部分の形状は、例えば帯状であり得る。上記重なり部分の形状が帯状である場合、重なり部分の帯の長辺方向全域において、重なり部分が切断用線材上となるように貼付し得る。
また、貼付された防汚用粘着シートよりも外側に上記切断用線材の一部(例えば、一方又は両方の端部)が配置され得る。貼付された防汚用粘着シートよりも外側に上記切断用線材の一部が配置される場合としては、例えば、(i)切断用線材の一部が易接着性粘着シートに取り付けられておらず、かつ、当該一部が貼付された防汚用粘着シートよりも外側に配置される場合、および(ii)貼付された易接着性粘着シートの一部が貼付された防汚用粘着シートよりも外側に配置され、かつ、当該一部に切断用線材が取り付けられている場合、が挙げられる。これらの場合、防汚用粘着シートに覆われていない切断用線材部分があり、切断用線材を引き上げることがより容易となるため、切断用線材の剥離時の作業性が向上する。(i)の場合、当該一部を引張り代とすることにより、切断用線材を引き上げることがさらに容易となる。
また、これらの粘着シートを貼付する際には、任意の適切な界面活性剤を含む施工液が用いられ得る。この場合、気泡の噛み込みが防止できる。特に、面積の広い粘着シートを貼付する際に有効である。
(ii)実施形態a
図4は、工程2の1つの好ましい実施形態(実施形態a)を説明する概略図である。実施形態aにおいては、構造物70の汚染が防止されるべき表面(図示例では船舶の船底部)に易接着性粘着シート100を貼付した後に、防汚用粘着シート200を貼付する。詳細は以下に述べる。
まず、易接着性粘着シート100を、船舶の一方の側面の喫水線より上の位置から船舶底部を通って反対側の側面の喫水線より上の位置までつなぎ目なく連続して貼付し、次に、防汚用粘着シート200を同様に貼付する。また、易接着性粘着シート100および防汚用粘着シート200は帯状(代表的には、ロール状)であり、貼付方向は帯の長辺方向と一致する。例えば、ロール状の易接着性粘着シート100および防汚用粘着シート200はロール貼り機を用いて貼付され得る。帯状の易接着性粘着シート100および防汚用粘着シート200は複数用いられ、当該複数の帯状の易接着性粘着シート100および防汚用粘着シート200は所定の間隔で略平行となるように貼付される。この場合、複数の切断用線材30の間隔は、略等間隔である。また、複数の防汚用粘着シート200の間隔も略等間隔である。
次に、図4(a)に示すように、隣接する易接着性粘着シート100xおよび100yそれぞれの切断用線材30x(図示せず)および30y上に、帯状の防汚用粘着シート200xの両方の長辺端部が配置されるように、防汚用粘着シート200xを貼付する。この段階では、易接着性粘着シート100yの切断用線材30y上には、防汚用粘着シート200xのみが配置されている。
次に、図4(b)に示すように、防汚用粘着シート200xに隣接する防汚用粘着シート200yを、(i)その一方の長辺端部が、防汚用粘着シート200xの長辺端部と重なり、かつ、その重なり部分が切断用線材30y(図示せず)上となり、さらに(ii)他方の長辺端部が、易接着性粘着シート100yに隣接した易接着性粘着シート100zの切断用線材30z上に配置されるように、貼付する。
以上の貼付を順次繰り返すことにより、汚染が防止されるべき表面を有する構造物に、隙間なく、作業性よく、上記施工方法を実施することができる。
(iii)実施形態b
図5および図6は、工程2の別の好ましい実施形態(実施形態b)を説明する概略図である。実施形態bにおいては、帯状の防汚用粘着シート200を帯状の易接着性粘着シート100の基材層10表面に所定の幅(a)分ずらし、長辺方向を略平行に揃えて、かつ、防汚用粘着シート200の長辺端部が切断用線材30上に重なるように、予め貼り合わせる。
次いで、2組以上の貼り合わせられた防汚用粘着シート200と易接着性粘着シート100とを、長辺方向を略平行に揃えて、構造物70の表面に貼付する。その際、隣接する防汚用粘着シート200の端部が、易接着性粘着シート100の切断用線材30上で互いに重なるように貼付する。
また、防汚用粘着シートを易接着性粘着シートの基材層表面に貼り合わせる際のずらし幅aは、その上に貼り合わせられる防汚用粘着シートの接着代として機能し得る程度の幅であり、例えば、1cm〜20cm、好ましくは5cm〜10cm程度であり得る。実施形態bにおいては、防汚用粘着シートと易接着性粘着シートとを貼り合わせてから構造物の表面に貼付するので、粘着シートの位置合わせが比較的容易となる。その結果、接着代が少なくて済むので、実施形態aで用いるものよりも狭幅の易接着性粘着シートを用いることができる。
実施形態bにおいては、図5(a)に示すように、易接着性粘着シート100と防汚用粘着シート200とを貼り合わせた粘着シートセット300を予め準備しておき、図5(b)および(c)に示すように、貼り合わせた粘着シートセット300を構造物70の表面に順次貼付してもよい。
また、図6に示すように、易接着性粘着シート100と防汚用粘着シート200との貼り合わせと、貼り合わせた粘着シートセット300の構造物70の表面への貼付とを連続的に行ってもよい。
(iv)実施形態c
図7は、工程2のさらに別の好ましい実施形態(実施形態c)を説明する概略図である。実施形態cにおいては、隣接する防汚用粘着シート200が重なり、かつ、その重なり部分が切断用線材30上に位置するように、予め易接着性粘着シート100と防汚用粘着シート200とを貼り合わせ、次いで、貼り合わせられた易接着性粘着シート100と防汚用粘着シート200とを含む粘着シートセット300を構造物70の表面に貼付する。実施形態cにおいては、易接着性粘着シート100と防汚用粘着シート200とを同数ずつ貼り合わせてもよく、粘着シートセット300の両端が同じ粘着シートとなるようにどちらかの粘着シートを1枚多く貼り合わせてもよい。貼り合わせる粘着シートの総数は、作業性等に応じて適切に設定され得、好ましくは3〜8枚である。実施形態cにおいても、実施形態bと同様に防汚用粘着シートと易接着性粘着シートとを貼り合わせてから構造物の表面に貼付するので、粘着シートの位置合わせが比較的容易となる。その結果、接着代が少なくて済むので、実施形態aで用いるものよりも狭幅の易接着性粘着シートを用いることができる。
(v)実施形態dおよびe
図8および図9は、工程2のさらに別の好ましい実施形態(それぞれ実施形態dおよびe)を説明する概略図である。実施形態dおよびeにおいては、屈曲部の先端に上記切断用線材が配置されるように上記易接着性粘着シートを貼付し得る。具体例として、上記汚染が防止されるべき表面が船首である場合における防汚用粘着シートおよび易接着性粘着シートの好ましい配置状態を説明する概略図を図8に示す(図8(a)は、船首の斜視図であり、図8(b)は上面図である)。また、上記汚染が防止されるべき表面が船尾である場合における防汚用粘着シートおよび易接着性粘着シートの好ましい配置状態を説明する概略図を図9に示す。図示されるように、先ず、屈曲部の先端に切断用線材30が配置されるように易接着性粘着シート100を貼付し、次いで、2枚の防汚用粘着シート200xおよび200yを、一方の防汚用粘着シート200xの端部と他方の防汚用粘着シート200yの端部とが、切断用線材30上で互いに重なるように貼付する。なお、「屈曲部の先端」とは、直線的に折れ曲がった屈曲部については折れ曲がり部分(頂点部分)であり、湾曲した屈曲部については最も曲率が大きい部分である。
構造物が屈曲部を有する場合、防汚用粘着シートを鋭い屈曲部に折り曲げたまま強固な接着状態を維持することは困難な場合があった。そこで従来、屈曲部の先端(例えば、稜線)につなぎ目が配置されるように防汚用粘着シートを突き合わせて貼付されていた。しかしながら、この場合には、つなぎ目に強い水流が当たるなどの厳しい条件に曝されることにより、剥離の危険性が生じる。
本実施形態によれば、端部を切断除去して突き合せた防汚用粘着シート200xおよび200yに求められる変形量が小さくて済むばかりでなく、易接着性粘着シートの基材層表面と防汚用粘着シートの粘着面とが強固に接着しているため、厳しい条件に曝されても剥離するおそれはなく、汚染防止効果を維持できる。
(vi)その他
工程2においては、構造物の形状、大きさ等に応じて、実施形態a〜dのいずれか1つのみを実施してもよく、2つ以上を組み合わせて実施してもよい。
ロール状の易接着性粘着シートおよび防汚用粘着シートの貼付方法について具体例を挙げて詳細を述べる。構造物が例えば大型船舶の場合、例えば、乾ドック内で一方の側の舷にロール状の粘着シートとロール貼り機とを積載したゴンドラを吊るし、粘着シートを貼付しながら床までゴンドラを降ろし、船底をくぐるようにロール貼り機および粘着シートを反対側の舷まで移動させ、次いで、ゴンドラを上げながら貼付することができる。また、構造物が例えば小型船舶の場合、例えば、人力でロール状の粘着シートを巻き解きながら船底まで降ろし、反対側の舷まで船底をくぐらせて、次いで、持ち上げながら貼付することや、船舶(ボート)を引っくり返し、その上から貼付することができる。
[B−3.工程3]
工程3においては、上記切断用線材を上記易接着性粘着シートから剥離することにより、上記重なり部分を有する防汚用粘着シートの端部を切断除去する。
本実施形態の工程3においては、図3(b)に示すように、切断用線材30を易接着性粘着シート100から剥離することにより、上記重なり部分を有する防汚用粘着シート200の端部を切断除去する。
切断用線材30は、構造物70の表面から略鉛直方向に向かって剥離され得る。切断用線材30を剥離する手段としては、任意の適切な方法を用い得、例えば、切断用線材30の少なくとも一方の端を剥離方向に引き上げる方法が挙げられる。
[B−4.工程4]
本発明の構造物の施工方法は、さらに、上記の端部を切断除去された防汚用粘着シートの隣接する切断面を突き合せる工程4を有していてもよい。突き合せる方法としては、任意の適切な方法を選択し得る。
好ましい実施形態の工程4を図3(c)に示す。
[C.粘着シートセット]
本明細書では、B項に記載の構造物の施工方法に用いるための粘着シートセットであって、上記易接着性粘着シートと上記防汚用粘着シートとを含む粘着シートセットについても記載する。易接着性粘着シートおよび防汚用粘着シートの詳細については、A項およびB項に記載したとおりである。
1つの実施形態において、上記粘着シートセットは、防汚用粘着シートが、易接着性粘着シートの基材層表面上に所定の幅分ずらして、長辺方向を略平行に揃えて、かつ、防汚用粘着シートの長辺端部が切断用線材上に重なるように、貼り合わせられている形態であり得る。このような形態の粘着シートセットは、例えば、工程2の実施形態bにおいて適用され得、例えば、図5(a)に示すようなロール状の粘着シートセットとして提供され得る。
別の実施形態において、上記粘着シートセットは、防汚用粘着シートと易接着性粘着シートとが交互に貼り合わせられている形態であって、互いに隣接する防汚用粘着シートの端部が、これらの防汚用粘着シートの間に位置する易接着性粘着シートの上記切断用線材上で互いに重なるように貼り合わせられている形態であり得る。
上記形態においては、防汚用粘着シートと易接着性粘着シートとを交互に同数ずつ貼り合わせられていてもよく、粘着シートセットの両端が同じ粘着シートとなるようにどちらかの粘着シートが一枚多く貼り合わせられていてもよい。貼り合わせる粘着シートの総数は、例えば、3〜8枚であり得る。このような形態の粘着シートセットは、例えば、工程2の実施形態cにおいて適用され得、図7(a)に例示され得る。
[D.構造物]
本明細書では、汚染が防止されるべき表面を有する構造物であって、上記構造物の施工方法によって得られる構造物についても記載する。易接着性粘着シートおよび構造物の施工方法の詳細については、上述したとおりである。
上記構造物は、汚染が防止されるべき表面を有する限りにおいて、任意の適切な構造物であり得る。構造物としては、例えば、船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所の冷却水給水路、工場の冷却水給水路等の水中構造物、風力発電用プロペラ、橋脚、建築物、自動車、重機、および航空機類が挙げられる。本発明の効果が好適に得られることから、構造物は、好ましくは水中構造物である。また、構造物の汚染が防止されるべき表面には、防汚塗料や防食塗料が塗工されていてもよい。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
(防汚用粘着シート)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):71重量部、n−ブチルアクリレート(BA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、ポリオールとして数平均分子量650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG650、三菱化学(株)製):68.4重量部、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL):0.01重量部を投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI、三井化学ポリウレタン(株)製):25.5重量部を滴下し、65℃で5時間反応させ、ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。その後、ヒドロキシエチルアクリレート(商品名「アクリックス HEA」、東亜合成(株)製):6.1重量部を投入し、65℃で1時間反応することで、アクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。
得られたアクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製):1重量部、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6,−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(商品名「ルシリンTPO」、BASF(株)製):0.25重量部、紫外線吸収剤(商品名「TINUVIN123」、BASF(株)社製):1.25重量部、酸化防止剤(商品名「TINUVIN400」、BASF(株)社製):0.6重量部を添加することにより、シロップを得た。
セパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面に、得られたシロップをアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。このシロップ層上にカバーセパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)し、基材層を得た。
得られた基材層を幅10mm、長さ100mmに切断し、チャック間距離が50mmとなるように設置して、引張試験機(商品名「Autograph AG−X 200N」、(株)島津製作所製)によりS−S試験(温度:23℃、湿度:65%RH、引張速度:200mm/min)を行った。この測定値を基に、破断伸びおよび破断応力を求めたところ、それぞれ、415%および27.1MPaであった。また、得られたS−S曲線の初期立ち上がりの傾きから弾性率を求めたところ、4.9MPaであった。
剥離フィルム(厚み=約38μm)/アクリル系粘着剤層(厚み=50μm)/剥離フィルム(厚み=約38μm)の構成を有する市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.591」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の一方の面に粘着層として貼り合わせた。次いで、基材層の他方の面に防汚用塗料組成物(中国塗料社製、製品名「ペラクリン」)を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、常温で24時間乾燥させて防汚層を形成した。これにより、防汚用粘着シート(1)を作成した。防汚用粘着シート(1)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
(易接着性粘着シート)
ポリウレタンエラストマーシート(シーダム社製、製品名「DUS451」、厚み:150μm)を基材層とした。シランカップリング剤(信越化学工業社製、製品名「KBM5103」)の0.1wt%トルエン溶液を用いたディッピング法によって基材層表面に成膜することにより、易接着処理を行った。剥離フィルム(厚み=約38μm)/アクリル系粘着剤層(厚み=50μm)/剥離フィルム(厚み=約38μm)の構成を有する市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.5919」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の一方の面に粘着層として貼り合わせた。
次に、基材層の他方の面の中央に、ナイロン糸(テグス2号)表面に、10倍希釈したゴム系接着剤(コニシ社製、製品名「G17」;希釈液は専用薄め液Zを使用)を塗布しながら貼り付け、一体品を得た。これにより易接着性粘着シート(1)を作成した。易接着性粘着シート(1)の構成は、切断用線材(ナイロン糸)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であり、幅50mmであった。ナイロン糸は手で強く引けば基材層表面から剥離することができた。
(構造物の施工)
繊維強化プラスチック製の船舶の底部に、複数枚の易接着性粘着シート(1)を所定の間隔を設けて略平行に貼付した。その後に、複数枚の防汚用粘着シート(1)を、所定の間隔を設けて略平行に、かつ、易接着性粘着シート(1)と略平行に、隙間無く貼付した。その際に、隣接する防汚用粘着シート(1)の端部が重なり、重なり部分は帯状であり、切断用線材上に位置するように貼付した。なお、切断用線材は、帯状の重なり部分のほぼ中央に位置していた。ナイロン糸を引き上げて重なり部分を切断し、切断された防汚用粘着シート(1)の端部を余剰部分として除去した。以上の処理により、簡易な作業で高精度の突き合せ処理を行うことができた。
[実施例2]
(防汚用粘着シート)
ポリウレタンエラストマーシート(シーダム社製、製品名「DUS451」、厚み:150μm)を基材層とした。剥離フィルム(厚み=約38μm)/アクリル系粘着剤層(厚み=50μm)/剥離フィルム(厚み=約38μm)の構成を有する市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「HJ9150」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の一方の面に粘着層として貼り合わせた。次いで、基材層の他方の面に防汚用塗料組成物(中国塗料社製、製品名「ペラクリン」)を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、150℃で10分間乾燥させて防汚層を形成した。これにより、防汚用粘着シート(2)を作成した。防汚用粘着シート(2)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
(易接着性粘着シート)
PETフィルム(東レ社製、製品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)を基材層とし、一方の面にSiO蒸着膜(厚み:15nm)を形成することにより、易接着処理を施した。市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.591」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の易接着処理を施していない面に粘着層として貼り合わせた。
次に、基材層の易接着処理をした表面の中央に、実施例1と同様の処理をすることにより、上記ナイロン糸との一体品を得た。これにより易接着性粘着シート(2)を作成した。易接着性粘着シート(2)の構成は、切断用線材(ナイロン糸)/基材層(厚み=50μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。また、易接着性粘着シート(2)の幅は50mmであった。ナイロン糸は手で強く引けば基材層表面から剥離することができた。
(構造物の施工)
全長約8mのボートの船底部に、実施例1と同様の方法で、易接着性粘着シート(2)および防汚用粘着シート(2)を貼付し、防汚用粘着シート(2)の端部を切断除去した。以上の処理により、簡易な作業で高精度の突き合せ処理を行うことができた。
[実施例3]
(防汚用粘着シート)
ポリウレタンエラストマーシート(日本マタイ社製、製品名「エスマーURS-PX」、厚み:150μm)を基材層とした。市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.5919」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の一方の面に粘着層として貼り合わせた。次いで、基材層の他方の面に防汚用塗料組成物(中国塗料社製、製品名「ペラクリン」)を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、150℃で10分間乾燥させて防汚層を形成した。これにより、防汚用粘着シート(3)を作成した。防汚用粘着シート(3)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
(易接着性粘着シート)
ガラスクロス(前田硝子社製、製品名「EP11」、厚み:110μm)を基材層とした。シランカップリング剤(東レダウコーニング社製、製品名「Z6040」)の3wt%水溶液にガラスクロスを浸漬し、次いで、常温乾燥して表面に成膜することにより、易接着処理を施した。市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「HJ9150」)の片側の剥離フィルムを剥離し、処理後のガラスクロスの一方の面に粘着層として貼り合わせた。
次に、基材層の他方の面の中央に、実施例1と同様の処理をすることにより、上記ナイロン糸との一体品を得た。これにより易接着性粘着シート(3)を作成した。易接着性粘着シート(3)の構成は、切断用線材(ナイロン糸)/基材層(厚み=110μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。また、易接着性粘着シート(3)の幅は50mmであった。ナイロン糸は手で強く引けば基材層表面から剥離することができた。
(構造物の施工)
防食塗料(中国塗料社製、製品名「バンノー500」)で塗装された鋼鉄製の四角柱に、易接着性粘着シート(3)の切断用線材が四角柱の稜線部分に位置するように易接着性粘着シート(3)を折り曲げて貼付した。その後に、第1の防汚用粘着シート(3)を折り曲げて四角柱に貼付した。その際、四角柱の一方の側面Aでは、第1の防汚用粘着シート(3)は易接着性粘着シート(3)を完全に覆っていたが、上記稜線部分を介して隣接する側面Bでは、第1の防汚用粘着シート(3)は易接着性粘着シート(3)のうち稜線部分に近い一部を覆うのみであった。その後に、第2の防汚用粘着シート(3)を折り曲げて四角柱に貼付した。その際、四角柱の側面Bでは、第2の防汚用粘着シート(3)は易接着性粘着シート(3)を完全に覆っていたが、側面Aでは、第1の防汚用粘着シート(3)は易接着性粘着シート(3)のうち稜線部分に近い一部を覆うのみであった。
ナイロン糸を引き上げて重なり部分を切断し、切断された第1および第2の防汚用粘着シート(3)の端部を余剰部分として除去した。以上の処理により、簡易な作業で高精度の突き合せ処理を行うことができた。防汚用粘着シート(3)は、つなぎ目において易接着性粘着シート(3)表面と強固に接着しており、ケルヒャー社製高圧洗浄機による水流を当てても剥離は生じなかった。
[実施例4]
(防汚用粘着シート)
粘着層として市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「HJ9150」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防汚用粘着シート(4)を作成した。防汚用粘着シート(4)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
(易接着性粘着シート)
ポリイミドシート(日東電工社製、製品名「360UL」)のポリイミドフィルム面に窒素ガススパッタリングを行うことにより、易接着処理を行った。具体的には、ガス圧が0.4Pa、窒素ガスの導入量が標準状態において200cc/分、グロー放電の処理電力が0.4kw、処理時間が5分、処理周波数が13.56MHZのスパッタリング条件で表面をエッチングし、アミド基を導入した。
次に、基材層の易接着処理をした表面の中央に、実施例1と同様の処理をすることにより、上記ナイロン糸との一体品を得た。これにより、易接着性粘着シート(4)を作成した。得られた易接着性粘着シート(4)の幅は、50mmであった。ナイロン糸は手で強く引けば基材層表面から剥離することができた。
(構造物の施工)
易接着性粘着シート(4)を船底キール部の先端を覆うように貼付した。その際には、易接着性粘着シート(4)の切断用線材が船底キール部の先端部分に位置するように易接着性粘着シート(4)を折り曲げて貼付した。その後に、第1の防汚用粘着シート(4)を折り曲げて船底キール部の先端を覆うように貼付した。その際、船底キール部の一方の面Aでは、第1の防汚用粘着シート(4)は易接着性粘着シート(4)を完全に覆っていたが、他方の面Bでは、第1の防汚用粘着シート(4)は易接着性粘着シート(4)のうち先端部分に近い一部を覆うのみであった。その後に、第2の防汚用粘着シート(4)を折り曲げて船底キール部の先端を覆うように貼付した。その際、船底キール部の面Bでは、第2の防汚用粘着シート(4)は易接着性粘着シート(4)を完全に覆っていたが、面Aでは、第1の防汚用粘着シート(4)は易接着性粘着シート(4)のうち先端部分に近い一部を覆うのみであった。また、第1および第2の防汚用粘着シート(4)を貼付する際には施工液を使用した。
ナイロン糸を引き上げて重なり部分を切断し、切断された第1および第2の防汚用粘着シート(4)の端部を余剰部分として除去した。この際、切断部分から問題なく施工液を排除することができた。以上の処理により、簡易な作業で高精度の突き合せ処理を行うことができた。なお、その後、船底キール部を海水中で2ヶ月間放置したところ、つなぎ目の隙間に水生生物の付着が見られた。しかしながら、易接着性粘着シート(4)および防汚用粘着シート(4)を剥離除去することにより水生生物も容易に除去できたため、船底への直接的な汚染および除去困難な付着物の発生はなかった。
[実施例5]
(防汚用粘着シート)
エーテル系ウレタン樹脂フィルム(Fait Plast社製、製品名「EST−001」、厚み:100μm)を基材層とした。市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.591」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の一方の面に粘着層として貼り合わせた。次いで、基材層の他方の面に防汚用塗料組成物(中国塗料社製、製品名「ペラクリン」)を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、150℃で10分間乾燥させて防汚層を形成した。これにより、防汚用粘着シート(5)を作成した。防汚用粘着シート(5)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
(易接着性粘着シート)
PETフィルム(東レ社製、製品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)を基材層とし、一方の面にコロナ処理による表面改質を行い、表面の濡れ張力を48mN/mとした。市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.5919」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の易接着処理を施していない面に粘着層として貼り合わせた。
次に、基材層の易接着処理をした表面の中央に、実施例1と同様の処理をすることにより、上記ナイロン糸との一体品を得た。これにより易接着性粘着シート(5)を作成した。易接着性粘着シート(5)の構成は、切断用線材(ナイロン糸)/基材層(厚み=50μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。また、易接着性粘着シート(5)の幅は50mmであった。ナイロン糸は手で強く引けば基材層表面から剥離することができた。
(構造物の施工)
全長約8mのボートの船底部に、実施例1と同様の方法で、易接着性粘着シート(5)および防汚用粘着シート(5)を貼付し、防汚用粘着シート(5)の端部を切断除去したところ、実施例1と同様の結果を得た。
なお、易接着性粘着シート(5)は、船底部の曲面に沿うように十分に変形し、ボートの表面に良好な密着性で貼付した。
[実施例6]
(防汚用粘着シート)
エーテル系ウレタン樹脂フィルム(Fait Plast社製、製品名「EST−001」、厚み:200μm)を基材層とした。市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.591」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の一方の面に粘着層として貼り合わせた。次いで、基材層の他方の面に防汚用塗料組成物(中国塗料社製、製品名「ペラクリン」)を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布し、常温で24時間乾燥させて防汚層を形成した。これにより、防汚用粘着シート(6)を作成した。防汚用粘着シート(6)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
(易接着性粘着シート)
PETフィルム(東レ社製、製品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)を基材層とし、一方の面に大気圧プラズマ処理(ヘリウム:酸素=98:2、RF出力300W)による表面改質を行い、表面の濡れ張力を47mN/mとした。市販の粘着剤(日東電工社製、製品名「No.5919」)の片側の剥離フィルムを剥離し、基材層の易接着処理を施していない面に粘着層として貼り合わせた。
次に、基材層の易接着処理をした表面の中央に、実施例1と同様の処理をすることにより、上記ナイロン糸との一体品を得た。これにより易接着性粘着シート(6)を作成した。易接着性粘着シート(6)の構成は、切断用線材(ナイロン糸)/基材層(厚み=50μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。また、易接着性粘着シート(6)の幅は50mmであった。ナイロン糸は手で強く引けば基材層表面から剥離することができた。
(構造物の施工)
易接着性粘着シート(6)を真ちゅう製のプロペラのエッジ部分を覆うように貼付した。その際には、易接着性粘着シート(6)の切断用線材がエッジ部分に位置するように易接着性粘着シート(6)を折り曲げて貼付した。その後に、第1の防汚用粘着シート(6)を折り曲げてプロペラのエッジ部分を覆うように貼付した。その際、エッジ部分の一方の面Aでは、第1の防汚用粘着シート(6)は易接着性粘着シート(6)を完全に覆っていたが、他方の面Bでは、第1の防汚用粘着シート(6)は易接着性粘着シート(6)のうち先端部分に近い一部を覆うのみであった。その後に、第2の防汚用粘着シート(6)を折り曲げてプロペラのエッジ部分を覆うように貼付した。その際、エッジ部分の面Bでは、第2の防汚用粘着シート(6)は易接着性粘着シート(6)を完全に覆っていたが、面Aでは、第1の防汚用粘着シート(6)は易接着性粘着シート(6)のうちエッジ部分に近い一部を覆うのみであった。
ナイロン糸を引き上げて重なり部分を切断し、切断された第1および第2の防汚用粘着シート(6)の端部を余剰部分として除去した。以上の処理により、簡易な作業で高精度の突き合せ処理を行うことができた。
なお、その後、水中でプロペラを駆動させたが、防汚用粘着シート(6)の剥離は生じなかった。
[実施例7]
ナイロン撚り糸(120デニール3本撚り)を用いた以外は、実施例3と同様の実験を行った。ナイロン撚り糸の色は、被着体である鋼鉄製四角柱(上記防食塗料で塗装されたもの)の赤銅色上で目立つように白色を選択した。用いた易接着性粘着シート(3)および防汚用粘着シート(3)の何れも無色透明であった。
ナイロン撚り糸を引き上げて重なり部分を切断し、切断された防汚用粘着シート(3)の端部を余剰部分として除去した。以上の処理により、簡易な作業で高精度の突き合せ処理を行うことができた。さらに、ナイロン撚り糸が着色されているために、除去し忘れのおそれが無く、一層作業性が向上した。
[比較例1]
易接着性粘着シート(1)を用いずに、繊維強化プラスチック製の船舶の底部に防汚用粘着シート(1)を貼付した。このとき、防汚用粘着シート(1)を隙間なく突き合わせるように貼付したが、貼付時の延伸応力が経時で緩和し、防汚用粘着シート(1)が若干収縮したため、つなぎ目に隙間が生じた。生じた隙間は1mm〜2mm程度であったが海水中への浸漬試験(8月から9月の夏季の約1ヶ月)においてフジツボ類が隙間に大量に付着した。防汚用粘着シート(1)を剥離除去したが、フジツボ類は隙間から船舶底部表面と粘着層との間に侵入し、強固な付着力で付着していたので、除去には多大な労力を要した。
[比較例2]
実施例1と同様の防汚用粘着シート(1)を真ちゅう製のプロペラに、エッジ部分につなぎ目が配置されるように突き合わせて貼付した。その後、水中でプロペラを駆動させたところ、回転と水流の抵抗のためにつなぎ目から剥離が生じた。
[比較例3]
易接着性粘着シート(4)を用いないこと、および、重ね貼りした防汚用粘着シート(4)を切断しなかったこと以外は実施例4と同様にして船底キール部に防汚用粘着シート(4)を貼付した。その後、船底キール部を海水中で2ヶ月間放置したところ、防汚用粘着シート(4)の一部が剥離していた。これは、重ね貼りの部分に施工液が残存し、船底表面と防汚用粘着シート(4)との密着性が低下したためと考えられる。
本発明の易接着性粘着シートは、特に、水中構造物の接水表面の汚染防止に好適に適用され得る。
100 易接着性粘着シート
200 防汚用粘着シート
300 粘着シートセット
10 基材層
20 粘着層
30 切断用線材
40 基材層
50 粘着層
60 防汚層
70 構造物

Claims (4)

  1. 基材層とその一方の面側に設けられた粘着層とを有し、該基材層の該粘着層が設けられていない面側に易接着処理が施されている易接着性粘着シートであって、
    切断用線材が剥離可能に取り付けられている、易接着性粘着シート。
  2. 前記切断用線材が、該基材層の該粘着層が設けられていない面の表面に取り付けられている、請求項1に記載の易接着性粘着シート。
  3. 請求項1または2に記載の易接着性粘着シート、および、基材層とその一方の面側に設けられた粘着層とを有する防汚用粘着シートを準備すること(工程1)、
    2枚以上の該防汚用粘着シートと少なくとも1枚の該易接着性粘着シートとを、汚染が防止されるべき表面を有する構造物の該表面に、該防汚用粘着シートが互いに重なり、かつ、その重なり部分が、該易接着性粘着シートの前記切断用線材上となるように貼付すること(工程2)、ならびに
    前記切断用線材を前記易接着性粘着シートから剥離することにより、前記重なり部分を有する防汚用粘着シートの端部を切断除去すること(工程3)を含む、構造物の施工方法。
  4. 前記端部を切断除去された防汚用粘着シートの隣接する切断面を突き合せること(工程4)をさらに含む、請求項3に記載の構造物の施工方法。

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