JP2014065446A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】小柄な乗員がシートクッションの前部に座わった場合であっても、シートバックを利用した適切な着座姿勢を取ることを可能にする。
【解決手段】車両用シート1は、シートクッション12及びシートバック13と、前記シートバック13の全体を、前記シートクッション13の前後方向に移動可能な移動機構4とを備え、前記移動機構4は、前記シートバック13が前記シートクッション12の上方に位置する位置において前記シートバック13の移動を規制するロック機構を有する。
【選択図】図1
【解決手段】車両用シート1は、シートクッション12及びシートバック13と、前記シートバック13の全体を、前記シートクッション13の前後方向に移動可能な移動機構4とを備え、前記移動機構4は、前記シートバック13が前記シートクッション12の上方に位置する位置において前記シートバック13の移動を規制するロック機構を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、シートクッションの前後方向において、シートバックの全体をシートクッションに対して相対的に移動可能とする車両用シートに関する。
従来、リアシートのシートクッションとシートバックとが互いに分離され、当該シートバックをシートクッションの前方におけるデッドスペースに収納できるように構成した車両用シートが知られている(特許文献1)。当該車両用シートによれば、荷物の出し入れが楽に行える広い荷室スペースを実現することができる。
また、リアシートのシートバックとシートクッションとを分離可能とし、当該シートバックをラゲッジルームの上方でルーフに近接させて格納できるように構成した車両用シートが知られている(特許文献2)。当該車両用シートによれば、ルーフ近傍の余剰スペースを有効利用して、ラゲッジルームスペースを効果的に拡大することができる。
また、運転席のフロアパネルを上下方向に調整可能に構成し、シートの座面位置の高さを調整可能に構成した車両用シートが知られている(特許文献3)。当該車両用シートによれば、体格が小さい乗員であっても、ペダルの操作性を向上することができる。
しかし、引用文献1及び2においては、荷室スペースを拡大するための構成を開示するのみであり、乗員の体格差に対しては特に考慮されていない。また、引用文献3においては、乗員の体格差を考慮して操作ペダルに対する車両用シート全体の位置調整を可能にする旨が開示されているものの、小柄な乗員は臀部から膝までの長さも短いため、特に運転時においてはシートクッションの前方に座らざるを得ず、シートバックに臀部又は腰部をシートバックに密接させた適切な着座姿勢を取りにくくなり、利便性及び快適性を欠いてしまうという問題があった。
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗員の体格の相違に関わらず、利便性及び快適性の低下を抑止することができる車両用シートを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一例としての車両用シートは、シートクッション及びシートバックと、前記シートバックの全体を、前記シートクッションの前後方向に移動可能な移動機構とを備え、前記移動機構は、前記シートバックが前記シートクッションの上方に位置する位置において前記シートバックの移動を規制するロック機構を有することを特徴とする。
これにより、シートクッションの前後方向において、シートバック全体のシートクッションに対する相対位置を調整することによりシートクッションの座面の前後長を調整することができる。そして、ロック機構により、調整後の位置でシートバックをロックすることができる。そのため、小柄な乗員がシートクッションの前部に座った場合であっても、臀部又は腰部をシートバックに密接させることができる。したがって、小柄な乗員であっても、シートバックに臀部又は腰部を密接させて適切な着座姿勢を取ることができる。
以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施例に限定されるものではない。
[第1実施形態]
図1及び図2を参照して、運転席シートとして適用した第1実施形態に係る車両用シート1を説明する。車両フロア上に載置された車両用シート1は、ヘッドレスト11と、乗員が着座するシートクッション12と、シートバック13と、当該シートバック13の全体を、シートクッション12の前後方向に移動可能な移動機構4とを備える。移動機構4はシートクッション12に設けられており、シートバック13はこの移動機構4によりシートクッション12の前後方向に移動可能である。そして、シートバック13の移動は、後述するロック機構40により規制することができる。なお、以下において前方及び後方とは、それぞれ車両の前側方向及び後側方向のことをいい、本実施形態においてはシートクッション12の長手方向に対応する。また、上方とは車両用シート1に対して車両のルーフ側の方向をいい、下方とは車両用シート1に対して車両のフロア側の方向をいう。さらに、シートクッション12の上方には、シートクッション12の直上の他、斜め上方も含まれる。
図1及び図2を参照して、運転席シートとして適用した第1実施形態に係る車両用シート1を説明する。車両フロア上に載置された車両用シート1は、ヘッドレスト11と、乗員が着座するシートクッション12と、シートバック13と、当該シートバック13の全体を、シートクッション12の前後方向に移動可能な移動機構4とを備える。移動機構4はシートクッション12に設けられており、シートバック13はこの移動機構4によりシートクッション12の前後方向に移動可能である。そして、シートバック13の移動は、後述するロック機構40により規制することができる。なお、以下において前方及び後方とは、それぞれ車両の前側方向及び後側方向のことをいい、本実施形態においてはシートクッション12の長手方向に対応する。また、上方とは車両用シート1に対して車両のルーフ側の方向をいい、下方とは車両用シート1に対して車両のフロア側の方向をいう。さらに、シートクッション12の上方には、シートクッション12の直上の他、斜め上方も含まれる。
シートバック13の両側には、それぞれ締結用アーム14が固定されている。そして、シートバック13は、1対の締結用アーム14により支持されている。また、締結用アーム14は、可動式締結部材15を介して移動機構4に締結され且つ固定されている。この移動機構4はシートクッション12に設けられているため、シートバック13は、締結用アーム14及び可動式締結部材15を介してシートクッション12の移動機構4に締結される。また、シートバック13は、シートクッション12とは別体で構成され、シートクッション12から分離している。そして、シートクッション12の上面と、シートバック13の下端部とは離間している。これにより、シートバック13を前後移動させる際に、シートバック13がシートクッション12に干渉することを防止できる。
この車両用シート1に通常の体格の乗員が着座する場合には、後述するロック機構40により、シートバック13の移動を図1に示すシートバック13移動前の位置(デフォルト位置)においてロックする。これにより、乗員は、臀部又は腰部をシートバック13に密着させることができる。また、車両用シート1はシートバック13に接続されたヘッドレスト11を備え、乗員は頭部をヘッドレスト11に密着させることもできる。一方、小柄な体格の乗員は、アクセルペダル、又はステアリングペダルを操作するために、車両用シート1の前部に着座する。そのため、シートバック13をシートクッション12に対して相対的に移動させる。すなわち、シートクッション12の前方(図2の矢印Aで示す方向)に向けて、シートバック13を単独で移動させる。そして、シートバック13を図2に示す移動後の位置(運転位置)においてロックする。これにより、乗員は、車両用シート1の前部に着座した場合であっても、臀部又は腰部をシートバック13に密着させることができ、また頭部をヘッドレスト11に密着させることができる。
そして、シートバック13が移動後の位置にあるときに通常の体格の乗員が着座する場合には、図1に示す位置まで、シートバック13をシートクッション12の後方(図2の矢印Bで示す方向)に向けて移動させる。これにより、シートバック13を図1に示すデフォルト位置(シートバック13が最後部に配置される位置)に戻すことができる。このように、車両用シート1のシートバック13は、単体でシートクッション12の前後方向に移動させることができる。これにより、シートクッション12の前後方向において、シートバック13全体のシートクッション12に対する相対位置を調整し、シートクッション12の座面の前後長を調整することができる。なお、シートバック13は、二箇所以上の複数の位置、又はシートクッション12の上方の任意の位置においてロックすることもできる。
次に図3を参照して、車両用シート1の他の使用方法について説明する。図3に示すように、シートバック13を前方に移動させることにより、シートクッション12の後部が開放される。すなわち、リアシートのシートクッションと、フロントシートのシートクッション12後部との間に障害物(シートバック13)がなくなる。そして、リアシートのシートクッション(不図示)の上方空間と、フロントシートのシートクッション12後部の上方空間とが連通する。そのため、シートバック13、特に助手席のシートバック13を前方に移動させることにより、荷物を搭載するための搭載スペースを形成することができる。また、非運転時において、特にフロントシートのシートバック13を前方に最大限移動させることにより、すなわち、シートクッション12の最前部まで移動させることにより、フロントシートとリアシートの対面シートを形成することもできる。
このような車両用シート1によれば、シートバック13の全体を単体でシートクッション12の前方に移動させることができる。そのため、小柄な乗員がシートクッション12の前部に着座した場合であっても、乗員の臀部又は腰部をシートバック13に密着させることができる。したがって、小柄な乗員であっても、シートバック13を利用した適切な着座姿勢を取ることができる。また、シートバック13をシートクッション12の前部に移動させることにより、搭載スペース又は対面シートを形成することもできる。
続いて図4を参照して、シートバック13の移動機構としての電動移動機構4について説明する。図4はシートクッション12に埋設された電動移動機構4を上方から見た構成を示している。この電動移動機構4はシートクッション12に不図示のボルトによって固定されており、車両用シート1の長手方向に直交する幅方向において対をなして設けられている。
電動移動機構4は、シートバック13がシートクッション12の上方に位置する位置において当該シートバック13の移動を規制するロック機構40としてのウォーム機構を備える。また、電動移動機構4は、シートバック13に前後移動の駆動力を供給する駆動源としてのモータ41と、ロック機構40に接続されたスクリュー42と、スクリュー42が貫通し且つスクリュー42に螺合する送りナット43と、スクリュー42及び送りナット43を保持する金属製のガイドレール5とを有する。そして、ロック機構40は、モータ41の回転軸に接続されたウォーム軸401と、ウォーム軸401と噛み合うウォームホイール402とを有する。このウォームホイール402には、スクリュー42が固定されている。また、送りナット43には、可動式締結部材15が固定されている。
送りナット43は雌ネジ部を有し、当該雌ネジ部がスクリュー42の雄ネジ部に螺合している。これにより、送りナット43はガイドレール5に導かれて前後方向に移動可能である。また、ガイドレール5は、断面略コの字状の形状を有すると共に、前後方向に延在し且つ上下方向に立設された側壁部51と、側壁部51から幅方向に延在する上壁部52及び下壁部(不図示)とを有する。そして、上壁部52からは上側張出壁部53が下方に向かって延在しており、下壁部からは下側張出壁部(不図示)が上方に向かって延在している。この上側張出壁部53及び下側張出壁部の先端は、内方に折り返されている。これにより、送りナット43は、ガイドレール5から外れないように、上側張出壁部53及び下側張出壁部の先端によってガイドレール5内に保持される。
また、ガイドレール5の前方端部及び後方端部には、前端保持ブラケット54及び後端保持ブラケット55が不図示のボルトとナットによって固定されている。この前端保持ブラケット54及び後端保持ブラケット55は、それぞれスクリュー42が貫挿する保持穴を有する。そして、スクリュー42は、保持穴の内側に回転可能に保持される。また、送りナット43の移動は、前端保持ブラケット54及び後端保持ブラケット55への当接により規制される。そのため、送りナット43がガイドレール5の前端又は後端から脱落することはない。
モータ41から伝達された回転力によりウォーム軸401が正転すると、ウォーム軸401と噛み合うウォームホイール402が回転する。そのため、ウォームホイール402に固定されたスクリュー42が回転し、スクリュー42に螺合する送りナット43は前方に移動する。そして、送りナット43の前方移動に伴い、送りナット43に固定された可動式締結部材15も前方に移動する。これにより、可動式締結部材15に締結された締結用アーム14が前方に移動すると共に、締結用アーム14に固定されたシートバック13も前方に移動する。一方、モータ41から伝達された回転力によりウォーム軸401が逆転すると、ウォーム軸401と噛み合うウォームホイール402は逆方向に回転する。これにより、ウォームホイール402に固定されたスクリュー42が逆方向に回転し、スクリュー42に螺合する送りナット43が後方に移動する。送りナット43の後方移動に伴い、可動式締結部材15も後方に移動する。これにより、締結用アーム14が後方に移動すると共に、シートバック13も後方に移動する。
また、このロック機構40はセルフロック機能を有する。具体的には、モータ41を停止してウォーム軸401が回転を停止すると、ウォームホイール402によってウォーム軸401を回転させることはできない。そのため、スクリュー42が回転しないので、送りナット43の移動が規制される。これにより、可動式締結部材15、締結用アーム14及びシートバック13の移動も規制され、シートバック13の位置を維持することができる。つまり、乗員がシートクッション12の上方における任意の位置にシートバック13を移動した後に、当該シートバック13の移動をロック機構40によって規制することができる。例えば、図2に示す運転位置、又は図3に示す最前部の位置において、シートバック13はシートクッション12の上方に位置する。そして、シートバック13は、当該位置においてロック機構40によって移動が規制されるので、シートバック13の位置を維持することができる。
続いて図5及び6を参照して、シートクッション12を、車両フロアに対して前後方向又は上下方向に移動可能とする構成について説明する。なお、図5は、シートクッション12とシートバック13を一体的に後方に移動させた状態を示す。また、図6は前後方向におけるシートクッション12の位置を調整可能な調整機構6を側方から見た概略側面図を示す。
車両用シート1は、シートクッション12を前後方向に移動可能な調整機構6として、1対のシートクッション台座6を備える。なお、図5においては、シートクッション台座6が有するロアレール61のみが図示されている。そして、ロアレール61は、車両フロア91に配置され且つ固定されている。また、このロアレール61上に、シートクッション12はアッパレール62を介して載置される。なお、シートクッション台座6は、車両フロア91に埋設することもできる。
ロアレール61上に載置されたシートクッション12は、シートバック13と一体的に前後移動させることができる。具体的に、シートバック13は、締結用アーム14及び可動式締結部材15を介してシートクッション12に支持されている。そのため、シートクッション12を前後方向に移動させると、当該シートクッション12と一体的に、シートバック13も前後方向に移動する。なお、シートクッション12を移動させても、ロアレール61は移動することなく、車両フロア91に固定されたままである。
このシートクッション12を移動させた状態、例えば図5に示すようにシートクッション12を後方に移動させた状態であっても、シートバック13単体をシートクッション12に対して前後方向に移動させることは可能である。さらに、調整機構6は、シートクッション12を上下方向に移動可能に構成することもできる。これにより、シートクッション12とシートバック13とを一体的に上下方向に移動させることもできる。
この調整機構6により、ユーザのシーンに合わせて、シートクッション12とシートバック13との位置を一体的に調整することができる。すなわち、シートバック13とシートクッション12とが分離されている場合であっても、それぞれの調整操作を別々に行う必要が無い。そのため、ユーザは、容易且つ短時間で車両用シート1の位置を調整することができる。
ここで図6を参照して調整機構6について説明する。なお、図6は、車両の前方に向かって左側に配置された調整機構6を側方から見た様子を示している。図6に示すように、調整機構6の金属製のロアレール61には、シートクッション12に固定された金属製のアッパレール62が前後方向に移動可能に支持されている。このロアレール61及びアッパレール62は、車両用シート1の幅方向でそれぞれ対をなして配設されている。
ロアレール61は略U字状の断面を有し、前後方向及び幅方向に延在する底壁部63と、当該底壁部63の幅方向両端からそれぞれ立設された側壁部64と、当該両側壁部64の上端から幅方向内側にそれぞれ張り出すロアレール張出壁部65と、当該張出壁部の先端から下側に折り返されたロアレール折返し壁部66とを一体的に有する。なお、ロアレール折返し壁部66は側方からは視認できないが、説明の便宜のため図中点線で示している。
また、ロアレール61は、両ロアレール折返し壁部66間に、上方に開口する開口部(不図示)を有している。そして、ロアレール折返し壁部66には、前後方向(長手方向)に並設された複数の四角形のロック孔67が所定の間隔をもって形成されている。アッパレール62は、ロアレール61の開口部に沿って車両前後方向に延在する本体壁部68と、ロアレール61の側壁部64、ロアレール張出壁部65に包囲されるアッパレール折返し壁部69とを一体的に有する。また、アッパレール62は、アッパレール折返し壁部69の外側面に固着されたベアリング610を介してガイドレール5に支持されている。そして、ベアリング610がロアレール61の底壁部63上を転動することで、アッパレール62はロアレール61に対し前後方向に摺動することができる。なお、アッパレール折返し壁部69は、側方からは視認できないが、説明の便宜のため図中点線で示している。
アッパレール62には、一対のロックレバー405が連結されている。そして、ロックレバー405は、アッパレール62の長手方向に沿う回転軸周り(図6の矢印Cで示す方向)に回動可能である。このロックレバー405には、下方に延出して幅方向外側に折り返された複数のロック爪406が所定の間隔をもって形成されている。これらロック爪406は、ロックレバー405の回動に伴いロック孔67へと挿入される。これにより、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動が規制され、アッパレール62に支持される車両用シート1が位置決めされる。
一方、ロック爪406がロック孔67から外されることで、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動が許容される。そして、ロックレバー405は、図示しない付勢手段により、ロック爪406がロック孔67に挿入される方向に常時付勢されている。すなわち、ロックレバー405は、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動を規制するように常時付勢されている。そして、外部からの操作力が入力されることにより、ロックレバー405は、付勢手段の付勢力に抗してロック爪406がロック孔67から外れる方向に回動する。これにより、ロックレバー405によるロックが解除され、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動が許容される。
続いて図7及び8を参照して、車両用シート1のリクライニング機構7について説明する。なお、図7は、シートバック13を後方に倒した状態を示す。また、図8はシートバック13のリクライニング機構7の概略断面図を示す。
図7は、シートバック13を後方に回動して倒した状態を示す。第1実施形態の車両用シート1においては、シートバック13の下端がシートクッション12の上面から離間しており、両者の間には空間が形成されている。そのため、シートクッション12上面の表皮及びシートバック13の下端は、互いに干渉しない。そして、車両用シート1は、シートバック13を回動可能に支持するリクライニング機構7(図8)を備え、後方及び前方に回動させることができる。これにより、シートバック13を回動させ、シートバック13の下端がシートクッション12の表面に接触するまで傾けることができる。
図8は、ロック状態にあるリクライニング機構7を示している。リクライニング機構7は、円盤状のロアアーム71とアッパアーム72を備えている。ロアアーム71は締結用アーム14に固定され、アッパアーム72はシートバック13に固定される。そして、ロアアーム71とアッパアーム72との間には、ロック部が配設されている。このロック部は、第1ポール73と、第2ポール74と、カム75と、レリーズプレート76と、付勢部材としての渦巻きばね77とを有する。レリーズプレート76は、カム75の側面に一体的に取付けられている。また、アッパアーム72の外周面は、ロアアーム71の端面より突出しており、この外周面には、円弧状のストッパプレート78が周方向に沿って配設されている。そして、ロアアーム71の外周には、金属板からなるリングホルダ79がレーザ溶接等によって固定されている。
アッパアーム72の第1ポール73及び第2ポール74の端面と対向する内周面には、内歯721が全周に亘って形成されている。また、第1ポール73の外方端(アッパアーム72の内歯721と対向する端面)には、アッパアーム72の内歯721と噛合する外歯731が形成されている。そして、第1ポール73の内方端(外方端とは逆向きの端面)には、カム75の外周に係合する内面カム部732が形成されている。同様に、第2ポール74の外方端(アッパアーム72の内歯721と対向する端面)には、アッパアーム72の内歯721と噛合する外歯741が形成されている。そして、第2ポール74の内方端(外方端とは逆向きの端面)には、カム75の外周に係合する内面カム部742が形成されている。
図8に示すロック状態においては、カム75が第1ポール73の内面カム部732及び第2ポール74の内面カム部742に当接し、第1ポール73及び第2ポール74が径方向外方へ押圧されている。これにより、第1ポール73の外歯731及び第2ポール74の外歯741をアッパアーム72の内歯721に噛み合わせることができる。このようにして、第1ポール73の外歯731及び第2ポール74の外歯741とアッパアーム72の内歯721とが噛合い、ロアアーム71に対するアッパアーム72の回動が規制される。
この状態で操作ハンドル(不図示)を操作すると、カム75およびレリーズプレート76が渦巻きばね77の付勢力に抗して一体的に回転される。そして、第1ポール73の内面カム部732及び第2ポール74の内面カム部742からカム75の当接が外れると共に、第1ポール73が回転軸線70側に引き寄せられる。そのため、第1ポール73の外歯731とアッパアーム72の内歯721との噛合が解除される。同時に、第2ポール74も回転軸線70側に引き寄せられ、第2ポール74の外歯741とアッパアーム72の内歯721との噛合が解除される。これにより、シートクッション12に対してシートバック13を、任意の角度位置に回動させることができる。
また、ロックを解除した状態で、シートバック13をシートクッション12に対して、所定の角度以上前方に回転させると、すなわちシートバック13を前方に倒すと、点線で示したアッパアーム72の突部722が、第1ポール73の係合部(不図示)と係合する。これにより、第1ポール73の径方向外方への移動が妨げられる。この状態で操作ハンドルを離すと、渦巻きばね77の作用力により、カム75が第1ポール73を径方向外方の内歯721に押し付けようとするが、第1ポール73の移動が阻止されているため、噛み合いは生じない。同時に、第1ポール73の移動が阻止されることによって、カム75の回転も阻止される。そのため、レリーズプレート76が回転せず、第2ポール74は、レリーズプレート76によって内歯721から離間した非噛合位置に保持される。よって、シートバック13はロックされずに回転させることができる。
反対に、シートバック13を後方に回転させると、すなわちリクライニングさせると、ロアアーム71に対してアッパアーム72が相対回転される。そして、シートバック13が所定の角度位置までリクライニングされると、ストッパプレート78がリングホルダ79に当接し、シートバック13の角度がフルリクライニング位置で規制される。また、前倒し状態あるいはリクライニング状態から、操作レバーを操作して、シートバック13を着座に最適な位置になるように後方あるいは前方に戻し、その位置で操作レバーを離すと、第1ポール73、第2ポール74、カム75およびレリーズプレート76が、ロック状態に復帰し、再びロック状態となる。
以上説明した第1実施形態に係る車両用シート1によれば、シートバック13全体のシートクッション12に対する相対位置を調整することにより、シートクッション12の座面の前後方向の長さを調整することができる。これにより、乗員の体格の相違に関わらず、利便性及び快適性の低下を抑止することができる。また、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合であっても、臀部又は腰部をシートバック13に密接させることができる。すなわち、乗員の臀部から膝までの長さに応じて、シートバック13の位置を調整することができる。そのため、小柄な乗員であっても、シートバック13を利用した適切な着座姿勢を取ることができる。
また、シートバック13を前方に移動させることにより、リアシートとフロントシートとの間の遮蔽物をなくすことができる。これにより、リアシートとフロントシートとの対面シートの形成、又は荷物搭載スペースの拡大を行うことができる。さらに、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合であっても、シートバック13がシートクッション12の干渉を受けないので、リクライニング機構7を十分に利用することができる。そして、シートクッション12とシートバック13の互いの表皮が接触していないため、シートクッション12とシートバック13との間の隙間に、砂又は埃等のゴミが溜まってしまうことを防止できる。また、シートクッション12におけるシートバック13の下方に位置する部分も、シートバック13を移動させることによって容易に清掃することができる。
[変形形態]
続いて図9及び図10を参照して、シートバック13の移動機構4の変形形態として手動移動機構84について説明する。この手動移動機構84は、上述した電動移動機構4とは異なり、手動で駆動可能な移動機構である。なお、図9は、シートバック13を前方に移動させた状態を示している。また、図10は、車両の前方に向かって左側に配置された手動移動機構84を上方から見た様子を示している。
続いて図9及び図10を参照して、シートバック13の移動機構4の変形形態として手動移動機構84について説明する。この手動移動機構84は、上述した電動移動機構4とは異なり、手動で駆動可能な移動機構である。なお、図9は、シートバック13を前方に移動させた状態を示している。また、図10は、車両の前方に向かって左側に配置された手動移動機構84を上方から見た様子を示している。
手動移動機構84は、シートクッション12に不図示のボルトによって固定されており、車両用シート1の長手方向に直交する幅方向において対をなして配設されている。また、手動移動機構84は、シートクッション12に固定された第1レール81と、不図示の可動式締結部材15に固定された第2レール82とを有する。そして、第1レール81は、シートクッション12に埋設され、不図示のボルトによって固定されている。ここで、シートバック13は、締結用アーム14及び可動式締結部材15を介して第2レール82に固定され且つ支持されている。その結果、シートバック13を前後方向に移動させると、第2レール82も前後方向に移動することになる。なお、図10においては、図面上側に締結用アーム14が位置し、図面下側にシートクッション12が位置することになる。
第1レール81は、第2レール82を当該第1レール81に対して前後方向に移動可能に支持している。この第1レール81及び第2レール82は、車両用シート1の幅方向でそれぞれ対をなして配設されている。第1レール81は略コの字状の断面を有し、前後方向に延在し且つ上下方向に立設された側壁部83と、側壁部83の上下方向両端からそれぞれ幅方向に延在する上壁部85及び下壁部(不図示)と、上壁部85の端部から下方向内側に延在する上張出壁86と、下壁部の端部から上方向内側に延在する下張出壁部(不図示)と、上張出壁部86及び下張出壁の先端から内側に折り返された第1折返し壁部810とを一体的に有する。なお、第1折返し壁部810は上方からは視認できないが、説明の便宜のために点線にて示している。また、第1レール81は、対向する第1返し壁部810同士の間で、側方(シートバック13側)に開口する開口部(不図示)を有している。そして、第1折返し壁部810には、それぞれ前後方向(長手方向)に並設された複数の四角形のロック孔88が所定の間隔をもって形成されている。
第2レール82は、第1レール81の開口部に沿って前後方向に延在する本体壁部89と、第1レール81の側壁部83、第1レール81の張出壁部に包囲される第2折返し壁部820とを一体的に有する。そして、第2レール82には、ロック機構としての一対のロックレバー801が連結されている。このロックレバー801は、第1レール81の長手方向に沿う回転軸周り(図10の矢印Dで示す方向)に回動可能である。このロックレバー801には、下方に延出して幅方向外側に折り返された複数のロック爪802が所定の間隔をもって形成されている。これらロック爪802は、ロックレバー801の回動に伴いロック孔88へと挿入される。これにより、第1レール81及び第2レール82の相対移動が規制され、第2レール82に支持されるシートバック13が位置決めされる。すなわち、ロック孔88の位置に応じた複数の位置において、シートバック13をロックすることができる。
一方、ロック爪802が第2レール82のロック孔88から外されることで、第1レール81及び第2レール82の相対移動が許容される。すなわち、ロックレバー801は、不図示の付勢手段により、ロック爪802がロック孔88に挿入される側に常時付勢されている。つまり、ロックレバーは、第1レール81及び第2レール82の相対移動を規制するように常時付勢されている。そして、外部からの操作力が入力されると、ロックレバー801は、付勢手段の付勢力に抗してロック爪802がロック孔88から外れる方向に回動する。これにより、ロックレバー801によるロックが解除され、第1レール81及び第2レール82の相対移動が許容される。
ロックを解除した状態で、乗員がシートバック13を前方に移動させると、シートバック13と共に第2レール82も前方に移動する。その後、乗員は、ロックレバー801を作動させることによって、移動後の位置でシートバック13の移動をロックすることができる。一方、ロックを解除した状態で、乗員がシートバック13を後方に移動させると、シートバック13と共に第2レール82も後方に移動する。そして、乗員は、ロックレバー801を作動させることによって、移動後の位置でシートバック13の移動をロックすることができる。このように、乗員は、シートバック13を前方又は後方に移動させ、且つシートバック13を移動後の位置に維持することができる。つまり、乗員がシートクッション12の上方における任意の位置にシートバック13を移動した後に、当該シートバック13の移動をロックレバー801によって規制することができる。
本変形形態に係る車両用シート1によっても、シートバック13全体のシートクッション12に対する相対位置を調整することにより、シートクッション12の座面の前後方向の長さを調整することができる。これにより、乗員の体格の相違に関わらず、利便性及び快適性の低下を抑止することができる。また、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合に、臀部又は腰部をシートバック13に密接させることができる。すなわち、乗員の臀部から膝までの長さに応じて、シートバック13の位置を調整することができる。また、シートバック13を前方に移動させることにより、リアシートとフロントシートとの間の遮蔽物をなくすことができる。さらに、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合であっても、リクライニング機構7を十分に利用することができる。そして、シートクッション12とシートバック13との間の隙間にゴミが溜まってしまうことを防止できると共に、シートクッション12におけるシートバック13の下方に位置する部分を容易に清掃することができる。
[第2実施形態]
図11乃至15を参照して、運転席シートとして適用した第2実施形態に係る車両用シート1を説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
図11乃至15を参照して、運転席シートとして適用した第2実施形態に係る車両用シート1を説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
第2実施形態に係る車両用シート1においては、シートバック13を移動するための移動機構4は、車両フロア91に設けられている。そして、シートバック13は、締結用アーム14を介して移動機構4に締結され且つ支持されている。そのため、シートバック13の全体は、車両フロア91に埋設された移動機構4によりシートクッション12の前後方向に移動可能である。なお、第1実施形態と同様に、シートバック13の下端はシートクッション12の上面から離間している。
第2実施形態の移動機構4は、車両フロア91に不図示のボルトによって固定されており、車両用シート1の長手方向に直交する幅方向において対をなして配設されている。そして、この車両用シート1の移動機構4としては、例えば、図4を参照して上述した電動移動機構4を用いることができる。この場合、電動移動機構4は、第1実施形態と同様に、モータ41と、ロック機構40としてのウォーム機構と、スクリュー42と、送りナット43と、ガイドレール5とを有する。そして、送りナット43はガイドレール5に導かれて前後方向に移動可能であり、この送りナット43には可動式締結部材15(不図示)が固定される。そのため、モータ41からの駆動力により送りナット43が前方に移動すると、送りナット43に固定された可動式締結部材15も前方に移動する。これにより、可動式締結部材15に締結された締結用アーム14を介して、シートバック13が前方に移動する。
一方、モータ41からの駆動力により送りナット43が後方に移動すると、送りナット43に固定された可動式締結部材15も後方に移動する。これにより、可動式締結部材15に締結された締結用アーム14を介して、シートバック13も後方に移動する。なお、電動移動機構4に代えて、図10を参照して上述した手動移動機構84を用いることもできる。
この車両用シート1に通常の体格の乗員が着座する場合には、シートバック13を図11に示すデフォルト位置においてロックする。一方、小柄な体格の乗員の場合、アクセルペダル、又はステアリングペダルを操作するために、乗員は車両用シート1の前部に着座する。そのため、シートバック13をシートクッション12の前方に向けて移動させ、シートバック13を図12に示す運転位置においてロックする。さらに、シートバック13が運転位置にあるときに通常の体格の乗員が着座する場合には、図11に示す位置まで、シートバック13をシートクッション12の後方に向けて移動させる。これにより、シートバック13をデフォルト位置に戻すことができる。このように、第2実施形態のシートバック13も、単体でシートクッション12の前後方向に移動させることができる。
また、図13に示すように、第2実施形態においても、シートバック13を前方に移動させることにより、シートクッション12の後部を開放することができる。これにより、荷物を搭載するための搭載スペースを形成することができる。さらに、非運転時において、シートバック13を前方に最大限移動させることにより、フロントシートとリアシートの対面シートを形成することもできる。
さらに、図14に示すように、第2実施形態においても、シートクッション12を車両フロアに対して前後方向又は上下方向に移動可能である。すなわち、シートクッション12とシートバック13とは、前後方向又は上下方向に一体的に移動可能である。なお、図14は、シートクッション12とシートバック13とを後方に移動させた状態を示す。
第1実施形態と同様に、シートクッション12は、シートクッション台座6のロアレール61の上方に配置されている。一方、第1実施形態とは異なり、ロアレール61は台座部材620の下方に配置されている。そして、台座部材620はロアレール61に対して可動に構成されており、シートクッション12は台座部材620上に載置されている。このシートクッション12及び台座部材620は、図6を参照して上述した調整機構6によって、シートバック13と一体的に前後方向に移動させることができる。つまり、シートバック13は、締結用アーム14及び可動式締結部材15を介して台座部材620に固定され且つ支持されている。そして、シートクッション12は台座部材620上に載置されている。したがって、台座部材620(シートクッション12)を前後方向に移動させると、シートバック13も台座部材620と共に前後方向に移動することになる。このように、台座部材620、シートクッション12及びシートバック13は、一体的に前後移動させることができる。
調整機構6は、ロック機構として一対のロックレバー405を有する。そして、ロックレバー405のロック爪406は、ロックレバー405の回動に伴いロック孔67へと挿入される。これにより、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動が規制され、アッパレール62に支持される台座部材620及びシートクッション12が位置決めされる。一方、ロック爪406がロック孔67から外されることで、ロックレバー405によるロックが解除され、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動が許容される。また、調整機構6は、シートクッション12を上下方向に移動可能に構成することもできる。これにより、シートクッション12とシートバック13とを一体的に上下方向に移動させることもできる。
さらに、第2実施形態に係る車両用シート1も、リクライニング機構7を有する。すなわち、車両用シート1は、図8を参照して上述したリクライニング機構7を備え、シートバック13を後方及び前方に回動させることができる。例えば、図15に示すように、シートバック13を後方に回動して倒すことができる。シートバック13の下端は、シートクッション12の上面から離間しており、両者の間には空間が形成されている。このリクライニング機構7においても、ロアアーム71は、締結用アーム14に固定され、アッパアーム72は、シートバック13に固定される。そして、ロアアーム71とアッパアーム72との間には、ロック部が配設されている。
そして、操作ハンドルを操作することにより、シートクッション12に対してシートバック13を、任意の角度位置に回動させることができる。反対に、シートバック13を後方に回転させ、所定の角度位置までリクライニングされると、シートバック13の角度がフルリクライニング位置で規制される。そして、前倒し状態あるいはリクライニング状態から、操作レバーを操作して、シートバック13を着座に最適な位置になるように後方あるいは前方に戻し、その位置で操作レバーを離すと、再びロック状態となる。
このような第2実施形態に係る車両用シート1によっても、シートバック13全体のシートクッション12に対する相対位置を調整することにより、シートクッション12の座面の前後方向の長さを調整することができる。これにより、乗員の体格の相違に関わらず、利便性及び快適性の低下を抑止することができる。また、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合に、臀部又は腰部をシートバック13に密接させることができる。すなわち、乗員の臀部から膝までの長さに応じて、シートバック13の位置を調整することができる。また、シートバック13をシートクッション12の前方に移動させることにより、リアシートとフロントシートとの間の遮蔽物をなくすことができる。さらに、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合であっても、リクライニング機構7を十分に利用することができる。そして、シートクッション12とシートバック13との間の隙間にゴミが溜まってしまうことを防止できると共に、シートクッション12におけるシートバック13の下に位置する部分を容易に清掃することができる。
さらに、第2実施形態に係る車両用シート1によれば、締結用アーム14を介して車両フロア91によってシートバック13を支持することができる。そのため、第1実施形態と比較して車両用シート1をより安定的に支持することができる。
[第3実施形態]
図16乃至19を参照して、運転席シートとして適用した第3実施形態に係る車両用シート1を説明する。なお、第3実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。なお、第3実施形態においては、説明の便宜のために車両のルーフ95を点線で示している。
図16乃至19を参照して、運転席シートとして適用した第3実施形態に係る車両用シート1を説明する。なお、第3実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。なお、第3実施形態においては、説明の便宜のために車両のルーフ95を点線で示している。
第3実施形態に係る車両用シート1においては、シートバック13を移動するための移動機構4が車両ルーフ95に設けられている。そして、シートバック13は、締結用アーム14を介して移動機構4に締結され且つ天吊された状態で支持されている。そのため、シートバック13の全体は、車両ルーフ95に埋設された移動機構4によりシートクッション12の前後方向に移動可能である。なお、第1実施形態と同様に、シートバック13の下端はシートクッション12の上面から離間している。
第3実施形態の移動機構4は、車両ルーフ95に不図示のボルトによって固定されており、車両用シート1の長手方向に直交する幅方向において対をなして配設されている。そして、この車両用シート1の移動機構4としては、例えば、図4を参照して上述した電動移動機構4を用いることができる。この場合、電動移動機構4は、第1実施形態と同様に、モータ41と、ロック機構40としてのウォーム機構と、スクリュー42と、送りナット43と、ガイドレール5とを有する。そして、送りナット43はガイドレール5に導かれて前後方向に移動可能であり、この送りナット43には可動式締結部材15(不図示)が固定されている。そのため、モータ41からの駆動力により送りナット43が前方に移動すると、送りナット43に固定された可動式締結部材15も前方に移動する。これにより、可動式締結部材15に締結された締結用アーム14を介して、シートバック13が前方に移動する。
一方、モータ41からの駆動力により送りナット43が後方に移動すると、送りナット43に固定された可動式締結部材15も後方に移動する。これにより、可動式締結部材15に締結された締結用アーム14を介して、シートバック13も後方に移動する。なお、電動移動機構4に代えて、図10を参照して上述した手動移動機構84を用いることもできる。
この車両用シート1に通常の体格の乗員が着座する場合には、シートバック13を図16に示すデフォルト位置においてロックする。一方、小柄な体格の乗員の場合、アクセルペダル、又はステアリングペダルを操作するために、乗員は車両用シート1の前部に着座する。そのため、シートバック13をシートクッション12の前方に向けて移動させ、シートバック13を図17に示す運転位置においてロックする。さらに、シートバック13が運転位置にあるときに通常の体格の乗員が着座する場合には、図16に示す位置まで、シートバック13をシートクッション12の後方に向けて移動させる。これにより、シートバック13をデフォルト位置に戻すことができる。このように、第3実施形態のシートバック13も、単体でシートクッション12の前後方向に移動させることができる。
また、図18に示すように、第3実施形態においても、シートバック13を前方に移動させることにより、シートクッション12の後部を開放することができる。これにより、荷物を搭載するための搭載スペースを形成することができる。さらに、非運転時において、シートバック13を前方に最大限移動させることにより、フロントシートとリアシートの対面シートを形成することもできる。
さらに、図19に示すように、第3実施形態においても、シートクッション12を車両フロアに対して前後方向又は上下方向に移動可能である。なお、図19は、シートクッション12を後方に移動させた状態を示す。
第1実施形態と同様に、シートクッション12は、シートクッション台座6のロアレール61の上方にアッパレール62を介して配置されている。そして、シートクッション12は、図6を参照して上述した調整機構6によって、前後方向に移動させることができる。一方、第1実施形態とは異なり、シートバック13は、シートクッション12に固定されてはいない。つまり、第3実施形態においては、シートクッション12のみを前後移動させることができる。
調整機構6は、ロック機構としての一対のロックレバー405を有する。そして、ロックレバー405のロック爪406は、ロックレバー405の回動に伴いロック孔67へと挿入される。これにより、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動が規制され、アッパレール62に支持されるシートクッション12が位置決めされる。一方、ロック爪406がアッパレール62のロック孔67から外されることで、ロックレバー405によるロックが解除され、ロアレール61及びアッパレール62の相対移動が許容される。また、調整機構6は、シートクッション12を上下方向に移動可能に構成することもできる。これにより、シートクッション12を上下方向に移動させることもできる。
さらに、第3実施形態に係る車両用シート1も、リクライニング機構7を有する。すなわち、車両用シート1は、図8を参照して上述したリクライニング機構7を備え、シートバック13を後方及び前方に回動させることができる。例えば、図20に示すように、シートバック13を後方に回動して倒すことができる。シートバック13の下端は、シートクッション12の上面から離間しており、両者の間には空間が形成されている。このリクライニング機構7においても、ロアアーム71は、締結用アーム14に固定され、アッパアーム72は、シートバック13に固定される。そして、ロアアーム71とアッパアーム72との間には、ロック部が配設されている。
そして、操作ハンドルを操作することにより、シートクッション12に対してシートバック13を、任意の角度位置に回動させることができる。反対に、シートバック13を後方に回転させ、所定の角度位置までリクライニングされると、シートバック13の角度がフルリクライニング位置で規制される。そして、前倒し状態あるいはリクライニング状態から、操作レバーを操作して、シートバック13を着座に最適な位置になるように後方あるいは前方に戻し、その位置で操作レバーを離すと、再びロック状態となる。
このような第3実施形態に係る車両用シート1によっても、シートバック13全体のシートクッション12に対する相対位置を調整することにより、シートクッション12の座面の前後方向の長さを調整することができる。これにより、乗員の体格の相違に関わらず、利便性及び快適性の低下を抑止することができる。また、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合に、臀部又は腰部をシートバック13に密接させることができる。すなわち、乗員の臀部から膝までの長さに応じて、シートバック13の位置を調整することができる。また、シートバック13をシートクッション12の前方に移動させることにより、リアシートとフロントシートとの間の遮蔽物をなくすことができる。さらに、小柄な乗員がシートクッション12の前部に座った場合であっても、リクライニング機構7を十分に利用することができる。そして、シートクッション12とシートバック13との間の隙間にゴミが溜まってしまうことを防止できると共に、シートクッション12におけるシートバック13の下に位置する部分を容易に清掃することができる。
さらに、第3実施形態に係る車両用シート1によれば、締結用アーム14を介して車両ルーフ95によってシートバック13を支持することができる。そのため、第1実施形態と比較して車両用シート1をより安定的に支持することができる。
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態及び変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
上記各実施形態においてはシートバック13の下端がシートクッション12から離間していた。しかし、シートバック13を上下方向に移動させる調整機構を設けることにより、シートバック13の下端をシートクッション12に接触可能としてもよい。また、本発明は助手席シート又はリアシート(後席シート)に適用されてもよい。この場合も使用者の臀部から膝までの長さに応じて、シートバック13の位置を調整することができる。
1:車両用シート、4:移動機構、5:ガイドレール、6:調整機構、7:リクライニング機構、11:ヘッドレスト、12:シートクッション、13:シートバック、14:締結用アーム、15:可動式締結部材、40:ロック機構、41:モータ、42:スクリュー、43:送りナット、51:側壁部、52:上壁部、53:上側張出壁部、54:前端保持ブラケット、55:後端保持ブラケット、61:ロアレール、62:アッパレール、63:底壁部、64:側壁部、65:ロアレール張出壁部、66:ロアレール折返し壁部、67:ロック孔、68:本体壁部、69:アッパレール張出壁部、70:回転軸線、71:ロアアーム、72:アッパアーム、73:第1ポール、74:第2ポール、75:カム、76:レリーズプレート、77:渦巻きばね、78:ストッパプレート、79:リングホルダ、81:第1レール、82:第2レール、83:側壁部、84:手動移動機構、85:上壁部、86:上張出壁、88:ロック孔、89:本体壁部、91:フロア、95:ルーフ、401:ウォーム軸、402:ウォームホイール、405:ロックレバー、406:ロック爪、610:ベアリング、620:台座部材、721:内歯、722:突部、731:外歯、732:内面カム部、741:外歯、742:内面カム部、801:ロックレバー、802:ロック爪、810:第1折返し壁部、820:第2折返し壁部
Claims (8)
- シートクッション及びシートバックと、
前記シートバックの全体を、前記シートクッションの前後方向に移動可能な移動機構とを備え、
前記移動機構は、前記シートバックが前記シートクッションの上方に位置する位置において前記シートバックの移動を規制するロック機構を有することを特徴とする、車両用シート。 - 前記移動機構は、前記シートクッションに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート。
- 前記移動機構は、車両フロアに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート。
- 前記移動機構は、車両ルーフに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート。
- 車両フロアに対する前記シートクッションの位置を調整可能な調整機構を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用シート。
- 前記シートクッションの上面と、前記シートバックの下端部とが離間していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用シート。
- 前記シートバックを回動可能に支持するリクライニング機構を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用シート。
- 前記シートバックは、前記移動機構に締結された締結用アームにより支持されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用シート。
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