特許文献2や特許文献3に示された遠心分離機のように、ケーキを掻き取る掻き取り具として、回転自在な掻取ローラを用いると、掻取具をバスケットの内周に取り付けられたフィルタに接する位置まで変位させることが可能になるため、残留ケーキの量を少なくすることができる。しかしながら、特許文献2や特許文献3に示された遠心分離機のように、周方向に並ぶ刃部が掻取ローラの外周に設けられていると、回転しない掻取刃をフィルタに接触させた場合ほどではないにしても、フィルタが布のような柔らかい材料からなる場合に、多少なりとも掻取ローラの刃部がフィルタを傷めることになるため、フィルタの寿命が短くなるおそれがある。また周方向に並ぶ刃部を外周に備えた掻取ローラを用いる場合には、掻取ローラの回転に伴って刃部をケーキ内に垂直に進入させてケーキの付着力を弱めるというメカニズムによりケーキを除去することになるが、このようなメカニズムによったのでは、ケーキを効率良く?き取ることが困難であり、ケーキの掻取工程を終了した時点で相当量のケーキが残留することになるのを避けられない。
本発明の目的は、周方向に並ぶ複数の刃部を外周に有する掻取ローラを用いた場合のようにフィルタを傷めることなく、バスケットの周壁部の内周に形成されたケーキを効率よく掻き取って、高い回収率でケーキを回収することができるようにした遠心分離機及び遠心分離機用ケーキ掻取装置を提供することにある。
本願においては、前記の目的を達成するため、少なくとも以下に示す第1ないし第20の発明が開示される。
本願に開示された第1の発明は、液分を通過させる透過孔を備えた周壁部を有し、中心軸線を中心にして回転し得るように支持されて回転駆動されるバスケットと、バスケットの周壁部の内側に形成されたケーキを掻き取るケーキ掻取装置とを備えた遠心分離機に係るものである。本発明においては、ケーキ掻取装置が、バスケットの周壁部の内側に形成されたケーキに接触してバスケットにより回転駆動される掻取ローラを備えている。掻取ローラは、その回転中心軸線の回りを螺旋状に延びるネジ山を有する雄ネジ部を外周に備えていて、この雄ネジ部がケーキに接触して回転しながらケーキを掻き取る。
上記のように、外周部に雄ネジ部を備えた掻取ローラを用いると、回転している掻取ローラのネジ山をフィルタの内周に形成されたケーキ層に押付けた際に、掻取ローラの回転に伴って、傾斜したネジ山からケーキ層にバスケットの軸線方向に沿った力を加えることができるため、ケーキ層からケーキを容易に剥離させて掻き落とすことができる。
また掻取ローラの雄ネジ部がケーキ層に押付けられると、そのネジ山がケーキ層内にくい込むため、ネジ山とネジ山との間の溝部にケーキが入り込む。溝部に入り込んだケーキには、掻取ローラの回転に伴って、傾斜したネジ山からバスケットの軸線方向に沿った力が加えられるため、溝部に入り込んだケーキはバスケットの周壁部の内周に形成されたケーキ層から容易に剥離させられる。掻取ローラのネジ山とネジ山との間の溝部内に入り込んでケーキ層から剥離させられたケーキは、溝部内に保持された状態で、掻取ローラの回転方向の前方側に移送される。掻取ローラのネジ山とネジ山との間の溝部内に保持されて移送されるケーキは、該溝部による拘束が解かれれば容易に落下する状態にあるため、掻取ローラの回転に伴って、剥離されたケーキを保持していた溝部がケーキ層から離れると、バスケット内に容易に落下する。バスケットの周壁部側への掻取ローラの変位に伴って、これらの動作が連続的に行われるため、バスケット内のケーキを円滑かつ効率的に掻き落とすことができる。掻取ローラの外周には鋭い刃部を設ける必要がなく、また掻取ローラは回転しながらフィルタに接するため、フィルタに付着しているケーキをフィルタを損傷することなく除去することができる。従って、掻取ローラを最終的にフィルタに接触する位置まで変位させてケーキを殆ど残すことなく、掻き取ることができる。
外周部に雄ネジ部を有する掻取ローラは、長尺の丸棒又は円柱体の外周にネジ切り加工を施すことにより形成した長尺の雄ネジを所定の長さにカットすることにより製造することができる。丸棒や円柱体の外周にネジを形成することは容易であるため、上記の様に構成すると、掻取ローラの外周に周方向に並ぶ多数の刃部を形成する場合に比べて、掻取ローラの製造を容易にすることができる。
本願に開示された第2の発明では、掻取ローラが、バスケット内で、バスケットの軸線方向に沿って、バスケットの周壁部のほぼ全体に亘って延びる長さを有していて、バスケットの周壁部に向う方向と該周壁部から離れる方向とに変位し得るように設けられる。
上記のように構成すると、ケーキを掻き取る際に掻取ローラをバスケットの軸線方向に変位させることなく、掻取ローラにバスケットの周壁部側の変位を行わせるだけでバスケット内のケーキを掻き取ることができるため、掻取ローラを軸線方向に変位させる機構を省略することができ、掻取ローラを駆動する機構を簡単にすることができる。
上記のように構成する場合、掻取ローラはバスケット内でバスケットの周壁部の内面の全体に亘って延びるように設けることが好ましいが、バスケットの周壁部側への掻取ローラの変位を可能にするためには、掻取ローラの軸線方向の両端とバスケットの軸線方向に相対する内面との間に必要最小限のクリアランスを設けておく必要があるだけでなく、掻取ローラの両端とバスケットの軸線方向に相対する内面との間に、掻取ローラを支持する支持部を配置するスペースを確保しておく必要がある。従って、掻取ローラは、厳密にはバスケットの周壁部の全体に亘って延びるように設けることはできず、バスケットの周壁部の内面の軸線方向寸法よりも僅かに短く形成せざるをえない。この意味で、本発明においては、掻取ローラを、バスケットの軸線方向に沿って、バスケットの周壁部の「ほぼ」全体に亘って延びるように設けるとしている。
掻取ローラは、バスケットの周壁部に向う方向とバスケットの周壁部から離れる方向とに変位し得るように設ける必要があるが、この掻取ローラの変位は、掻取ローラをバスケット内で該バスケットの軸線と平行な回動中心軸線を中心に回動させる(旋回させる)ことにより行わせるようにしてもよく、流体圧シリンダなどを駆動源としたリニア駆動装置により、掻取ローラをバスケットの径方向に直線的に変位させることにより行わせるようにしてもよい。
本願に開示された第3の発明では、掻取ローラが、バスケットの周壁部の軸線方向寸法よりも短い軸線方向寸法を有するように形成されて、バスケットの周壁部に向う方向及び該周壁部から離れる方向と、バスケットの軸線方向とに変位し得るように設けられる。
上記のように構成する場合には、掻取ローラに、バスケットの周壁部側への変位と、バスケットの軸線方向への変位とを行わせることにより、バスケット内に形成されたケーキを掻き取る。このように構成すると、大形の掻取ローラを用いずにフィルタの内周に形成されたケーキを掻き取ることができる。
本願に開示された第4の発明は、第2の発明に適用されるもので、本発明においては、掻取ローラが、外周部に雄ネジ部を有してバスケットの軸線方向に並べて配置された複数の単位ローラにより構成される。
本願に開示された第5の発明は、第3の発明に適用されるもので、本発明においては、掻取ローラが複数個設けられて、該複数個の掻取ローラがバスケットの軸線方向に並べて配置される。
本願に開示された第6の発明は、第1ないし第5の発明に適用されるもので、本発明においては、雄ネジ部のネジ山が、切れ目なく連続的に伸びるように設けられる。
雄ネジ部によるケーキの掻取作用を効果的に行わせるためには、上記のように雄ネジ部のネジ山を連続的に設けるのが好ましいが、本発明はこのように雄ネジ部を設ける場合に限定されない。本願に開示された第7の発明においては、雄ネジ部のネジ山の途中に該ネジ山を分断する切り欠き部が設けられて、雄ネジ部のネジ山が複数の部分に区分された状態で設けられる。
本願に開示された第8の発明では、雄ネジ部が、掻取ローラの軸線方向に並ぶ複数の単位ネジ部により構成される。
本願に開示された第9の発明では、雄ネジ部が、掻取ローラの中心軸線の周りを螺旋状に伸びるネジ山を複数有して、該複数のネジ山が互いに平行に伸びる多重螺旋構造を有している。
掻取ローラの外周に雄ネジ部を設けた場合、雄ネジ部が一方向のネジ(右ネジ又は左ネジのいずれか一方)のみからなっていると、雄ネジ部でケーキを掻き取る過程で、掻取ローラからスラスト方向の推力が生じ、この推力は掻取ローラの両端を支持している支持部材の一方に集中的にかかるため、該一方の支持部材にかかる負担が過大になってその寿命が短くなったり、支持部材の損傷により掻取ローラをスムーズに回転させることができなくなったりするおそれがある。このような問題が生じるのを防ぐため、以下に示す第10ないし第16の発明が開示される。
第10の発明においては、掻取ローラの外周に設ける雄ネジ部が、中心軸線を共有した状態で掻取ローラの軸線方向に並ぶ第1のネジ部と第2のネジ部とを備え、第1のネジ部と第2のネジ部とが互いに逆ネジの関係を有するように設けられる。
上記のように構成しておくと、第1のネジ部により生じる推力の向きと第2のネジ部により生じる推力の向きとが互いに逆になるため、第1のネジ部及び第2のネジ部の長さを等しくして両ネジ部が発生する推力の大きさを等しくしておけば、両ネジ部が発生する推力を相殺して掻取ローラの雄ネジ部全体が発生する推力を零とすることができる。また第1のネジ部と第2のネジ部の長さを異ならせた場合でも、両ネジ部を逆ネジとしない場合に比べて、掻取ローラの雄ネジ部全体が発生する推力を軽減することができる。このように、本発明によれば、掻取ローラの軸線方向の両端を支持する支持部材の一方に偏って大きな力が加わるのを防いで、ケーキ掻取装置の寿命を長くすることができる。また片側の支持部材に集中的に力が加わるのを防ぐことができるため、掻取ローラの回転を円滑に行わせることができる。
更に、ケーキ掻取装置の構成に応じて、左ネジとするネジ部の長さと右ネジとするネジ部の長さとを適宜に異ならせることにより、掻取ローラが発生する推力を適当な大きさに調整することもできる。
第11の発明では、前記第4の発明のように、掻取ローラがバスケットの軸線方向に並部複数の単位ローラにより構成される場合に、複数の単位ローラのうちの少なくとも一つの単位ローラの外周の雄ネジ部が、他の単位ローラの外周に設けられた雄ネジ部に対して逆ネジの関係を有するように設けられる。
また第12の発明では、前記第4の発明のように、掻取ローラがバスケットの軸線方向に並部複数の単位ローラにより構成される場合に、単位ローラが偶数個設けられて、該偶数個の単位ローラのうちの半数の単位ローラの外周の雄ネジ部が右ネジとされ、他の半数の単位ローラの外周の雄ネジ部が左ネジとされる。
第13の発明では、前記第5の発明のように、掻取ローラが複数個設けられて、該複数個の掻取ローラがバスケットの軸線方向に並べて配置される場合に、複数の掻取ローラのうちの少なくとも一つの掻取ローラの外周の雄ネジ部が、他の掻取ローラの外周に設けられた雄ネジ部に対して逆ネジの関係を有するように設けられる。
第14の発明では、第5の発明のように、掻取ローラが複数個設けられて、該複数個の掻取ローラがバスケットの軸線方向に並べて配置される場合に、掻取ローラが偶数個設けられて、該偶数個の掻取ローラのうちの半数の掻取ローラの外周の雄ネジ部が右ネジとされ、他の半数の掻取ローラの外周の雄ネジ部が左ネジとされる。
第15の発明では、第8の発明のように、雄ネジ部が、掻取ローラの軸線方向に並ぶ複数の単位ネジ部により構成される場合に、複数の単位ネジ部のうちの少なくとも一つが、他の単位ネジ部に対して逆ネジの関係を有するように設けられる。
第16の発明では、第8の発明のように、雄ネジ部が、掻取ローラの軸線方向に並ぶ複数の単位ネジ部により構成される場合に、単位ネジ部が偶数個設けられて、該偶数個の単位ネジ部のうちの半数が右ネジとされ、他の半数の単位ネジ部が左ネジとされる。
第17の発明は、第1ないし第16の発明のいずれかに適用されるもので、本発明においては、バスケットが、その中心軸線を鉛直方向に向けた状態で配置される。
第18の発明も第1ないし第16の発明のいずれかに適用されるもので、本発明においては、バスケットが、その中心軸線を水平方向に向けた状態で配置される。
第19の発明は、遠心分離機のバスケットの周壁部の内側に形成されたケーキ層からケーキを掻き取るケーキ掻取装置に係るものである。本発明に係るケーキ掻取装置は、バスケットの周壁部の内側に形成されたケーキ層に接触してバスケットにより回転駆動される掻取ローラを備える。掻取ローラは、その回転中心軸線の回りを螺旋状に延びるネジ山を有する雄ネジ部を外周に備えて、雄ネジ部がケーキ層に接触して回転しながらケーキを掻き取るように構成されている。
第20の発明は、第19の発明に適用されるもので、本発明においては、掻取ローラの外周の雄ネジ部が、軸線方向に並ぶ第1のネジ部と第2のネジ部とを有し、第1のネジ部及び第2のネジ部が互いに逆ネジの関係を有している。
上記のように、本発明によれば、雄ネジ部を外周に有する掻取ローラを用いて、掻取ローラの雄ネジ部の傾斜したネジ山をケーキ層に接触させて回転させながらケーキを掻き取るようにしたので、掻取ローラの外周のネジ山がケーキ層内に食い込んだ状態で回転しながらネジ山とネジ山との間の溝部内に進入したケーキにバスケットの軸線方向に沿った力を加えることにより行われるケーキ剥離動作と、剥離したケーキをバスケット内に落下させる位置まで移送する移送動作とにより、ケーキの掻取を効率よく行わせることができ、バスケットの周壁部の内側に形成されたケーキを、殆ど残すことなく、回収することができる。
特に、本発明において、掻取ローラの外周に設ける雄ネジ部が、掻取ローラの軸線方向に並ぶ第1のネジ部と第2のネジ部とを備えて、第1のネジ部と第2のネジ部とが互いに逆ネジの関係を有するようにした場合には、第1のネジ部により生じる推力の向きと第2のネジ部により生じる推力の向きとを逆向きにして、掻取ローラ全体から生じる推力を軽減するか又は打ち消すことができるため、掻取ローラの両端を支持する支持部材に無理な力が加わるのを防いで、ケーキ掻取装置の寿命を長くすることができる。
掻取ローラを複数個並べて配置して、複数の掻取ローラのうちの少なくとも一つの掻取ローラの外周の雄ネジ部を他の掻取ローラの外周の雄ネジ部に対して逆ネジの関係を有する雄ネジ部とした場合、掻取ローラを軸線方向に並ぶ複数の単位ローラにより構成して、複数の単位ローラのうちの少なくとも一つの単位ローラの外周の雄ネジ部を他の単位ローラの外周の雄ネジ部に対して逆ネジの関係を有する雄ネジ部とした場合、或いは掻取ローラの外周に設ける雄ネジ部を軸線方向に間隔をあけて並ぶ複数の単位ネジ部により構成して、複数の単位ネジ部のうちの少なくとも一つを、他の単位ネジ部に対して逆ネジの関係を有するネジ部とした場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
先ず図1ないし図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係わる遠心分離機の構成を説明する。図1において、1は円筒状のケーシング本体101と、その上端の開口部を閉じる蓋板102とを備えたケーシング、2はケーシング1内に配置されて回転自在に支持された籠型のバスケットである。ケーシング1は、ショックアブソーバを備えた支持装置103により、ケーシング本体101の中心軸線を垂直方向に向けた状態で支持されている。ケーシングの蓋板102は、ヒンジ105により開閉し得るように設けられている。
バスケット2は、液分を通過させるための無数の透過孔(図示せず。)を有する円筒状の周壁部201と、該周壁部の軸線方向の一端を閉じる底壁部202と、周壁部201の軸線方向の他端から径方向の内側に突出するように設けられた環状の端部壁203とを備えていて、端部壁203の内周部がバスケットの開口部2aとなっている。バスケット2の底壁部202には、ケーキ排出口205が形成され、ケーキ排出口205の周壁部205aに、放射状に設けられた複数のリブ206を介して回転軸207の下端が連結されている。バスケット2は、その軸線をケーシング1の軸線に一致させ、かつ開口部2aをケーシング1の蓋板102側に向けた状態でケーシング1内に配置され、その底壁部202に接続された回転軸207が、ケーシング1の蓋板102に固定された軸受装置3により回転自在に支持されている。従ってバスケット2は、垂直方向(鉛直方向)に延びる中心軸線の回りを自在に回転することができる。バスケット2の周壁部201の内周には、ろ布、金網、多孔板などからなるフィルタ4が適宜の手段により固定されている。
ケーシング1の蓋板102に電動機5が取り付けられ、電動機5の回転軸がバスケット2の回転軸207に連結されている。電動機5によりバスケット2を回転駆動するバスケット駆動装置が構成されている。
本実施形態の遠心分離機にはまた、バスケット2の周壁部の内側に取り付けられたフィルタ4の内周に形成されたケーキCを掻き取るケーキ掻取装置8が設けられている。ケーキ掻取装置8は、バスケット2の端部壁203の内側の開口部2aを通してバスケット内に挿入された掻取駆動軸801と、バスケット2内に配置されて掻取駆動軸801に一端(後端部)が取り付けられた3本の旋回アーム802と、これらの旋回アーム802の他端(先端)に支持された掻取ローラ803と、掻取ローラ803を、バスケット2の周壁部に向う方向(接近していく方向)と該周壁部から離れていく方向とに変位させるように掻取駆動軸801を駆動する掻取駆動装置805とを備えている。
ケーキ掻取装置8は、掻取駆動装置805をケーシング外に位置させた状態でケーシングの蓋板102に支持されていて、蓋板102が閉じられる際に、掻取駆動軸801、旋回アーム802及び掻取ローラ803が、バスケット2内に挿入されるようになっている。ケーシングの蓋板102が閉じられた状態にあるときに、掻取駆動軸801及び掻取ローラ803のそれぞれの中心軸線O2−O2及びO3−O3 がバスケット2内で該バスケットの中心軸線O1−O1 と平行な方向に延びるように、掻取駆動軸801及び掻取ローラ803が設けられている。
掻取駆動装置805は、モータ806と、該モータの回転を掻取駆動軸801の軸線を中心とした回転に変換して掻取駆動軸801に伝達する旋回駆動機構807とからなっていて、掻取駆動軸801を往復回転させることにより、掻取ローラ803を、バスケット2の周壁部に接近していく方向と該周壁部から離れていく方向とに旋回させる。
図2(A)及び(B)に示されているように、掻取ローラ803は、軸線方向に沿って均一な断面積を有する丸棒又は円柱体の外周にねじ切り加工を施すことにより、中心軸線O3−O3 の回りを螺旋状に延びる連続したネジ山803aを外周に形成した雄ネジ状の部材からなっていて、その中心軸線O3−O3 をバスケット2の中心軸線O1−O1 と平行な方向に向けた状態で、旋回アーム802の先端に回転自在に支持されている。
図示の例では、バスケットの軸線方向に間隔をあけて配置されて掻取駆動軸801に後端部が固定された3本の旋回アーム802の先端に、長手方向をバスケットの軸線方向に向けた矩形状の第1のローラ支持板810が溶接されている。図2(B)に示されているように、第1のローラ支持板810の長手方向の両端には、一対の軸受け部材811,811が固定され、これらの軸受け部材により、バスケットの軸線と平行な方向に延びる回動軸813が回転自在に支持されている。
また長手方向をバスケットの軸線方向に向けた第2のローラ支持部板814が設けられて、この第2のローラ支持板814の幅方向の一端が回転軸813に溶接等により固定され、これにより、第2のローラ支持板814が第1のローラ支持板810に回動自在に支持されている。
第1のローラ支持板810と第2のローラ支持板814との間には、両支持板の長手方向に間隔をあけて、複数のコイルバネ815が配置され、これらのコイルバネにより第1のローラ支持板810と第2のローラ支持板814とが結合されている。第2のローラ支持板814の長手方向の両端には、第1の掻取ローラ支持板810と反対側に位置させて、バスケットの中心軸線と平行な方向に相対する1対の軸支持部材816,816が固定され、掻取ローラ803の軸心部を貫通した孔に回転自在に嵌合されたローラ支持軸817(図3参照)の両端が軸支持部材816,816に固定されている。掻取ローラ803は、第2のローラ支持板814の前方(第1のローラ支持板810と反対側)に配置されて、軸支持部材816,816に両端が固定されたローラ支持軸817により回転自在に支持されている。
なお本実施形態では、掻取ローラ803の軸心部を回転自在に貫通させたローラ支持軸の両端を軸支持部材816、816に固定することにより掻取ローラ803を回転自在に支持しているが、掻取ローラ803の軸心部に固定した回転軸の両端を軸支持部材に軸受けを介して回転自在に支持することにより、掻取ローラ803を回転自在に支持するようにしてもよい。
複数のコイルバネ815は、掻取ローラ803がバスケット内のケーキに接触して該ケーキを掻き取る際に掻取ローラ803にかかる衝撃を吸収するためと、掻取ローラ803をフィルタに接触させた際に、掻取ローラがフィルタから離れる側に変位するのを許容して、フィルタの損傷を防ぐために設けられている。本実施形態では、第1のローラ支持板810と、第2のローラ支持板814と、第1のローラ支持板810に第2のローラ支持板814を回動自在に支持する回動軸813と、コイルバネ815とにより、旋回アーム802の先端に掻取ローラ803を回転自在に支持する支持機構が構成されている。
掻取ローラ803は、掻取駆動装置805により駆動されて、バスケット2の開口部2aに相応する位置よりもバスケットの径方向の内側に設定された退避位置と、バスケット2の内周に取り付けられたフィルタ4に接触した状態になる最終掻取位置との間を旋回させられる。
第1のローラ支持板814のバスケットの底壁部202寄りに配置された第1のローラ支持板814の端部には、バスケット内に掻き落とされたケーキをケーキ排出口205側に案内する案内羽820が取り付けられている。
図1に示されたケーシング1にはまた、バスケット2の開口部2aを通してバスケット2内に挿入されて、バスケット2内に原液を供給する給液パイプ等が取り付けられるが、これらの図示は省略されている。ケーシング1内の下部には、底壁部110が設けられ、底壁部110の中央部に、バスケット2のケーキ排出口205の周壁部205aを隙間を介して同心的に取り囲むケーキ案内ダクト111が取り付けられている。ダクト111とケーシングの周壁部101との間に、固液分離処理を行う際にバスケット2から排出された液分を受ける溝部112が形成されている。溝部112内に落下した液分は、ケーシング1の底壁部110に接続された排液管113を通して外部に排出される。
図示の遠心分離機を用いて原液を液分とケーキとに分離する処理を行なう際には、先ずバスケット2を所定の給液速度で回転させて、図示しない給液パイプを通してバスケット2内に原液を供給する給液工程を行う。次いでバスケット2を高速回転させることにより、原液を液分とケーキとに分離する固液分離工程を行って、原液中の液分をバスケット2の内周に配置されたフィルタ4とバスケット2の周壁部201に設けられた透過孔とを通してバスケット2外に排出させる。給液工程と固液分離工程とを繰り返すことにより、フィルタ4の内周にケーキ層Cを形成していく。フィルタの内周に形成されたケーキ層Cの厚みが所定値を超えたときに固液分離工程を終了し、次いで図示しない洗浄液供給装置から回転しているバスケット2内のケーキ層に洗浄液(通常は清水)を供給してケーキを洗浄するケーキ洗浄工程を行う。
ケーキ洗浄工程が終了した後、バスケットを所定時間高速回転させて遠心脱水を行うことによりケーキ中の水分を除去する。次いで必要に応じてバスケット内のケーキを乾燥させるケーキ乾燥工程を行った後、ケーキ掻取工程を行う。
ケーキ掻取工程では、バスケットを80rpm程度の低速の掻取時回転速度で回転させた状態で、掻取駆動軸801を回転させて、掻取ローラ803をバスケット2の開口部2aの内側に設定した退避位置からバスケットの周壁部側に旋回させることにより、掻取ローラ803をフィルタ4の内周に形成されたケーキ層C中に進入させながらケーキを掻き落とす掻落し動作を行わせる。掻取ローラ803がフィルタ4に接する最終掻取位置に達した後、バスケットを一定時間の間回転させることにより、掻取ローラによる掻き落とし動作を継続させ、フィルタに付着しているケーキの大部分を掻き落とす。次いで掻取ローラ803を退避位置まで旋回させて、ケーキ掻取工程を終了する。
掻取ローラ803により掻き取られてバスケットの底面に落下したケーキは、バスケットの回転に伴って、掻取ローラの下部に取り付けられた案内羽820に当たり、該案内羽によりバスケットの底壁部の中央寄りに移動させられて、バスケットの底部に設けられたケーキ排出口205から下方に排出される。
掻取ローラ803を構成する雄ネジ状部材のネジ部は、右ネジでも左ネジでもよいが、本実施形態では、掻取ローラ803を構成する雄ネジ状部材のネジ部が左ネジの形で(雄ネジ部を横から見た場合に、ネジ山が左上がりに傾斜した形に見えるように)設けられている。
上記実施形態のように、外周部に雄ネジ部を構成するネジ山803aを備えた掻取ローラ803をケーキCに接触させる(押付ける)と、掻取ローラ803は、バスケットの回転により駆動されて、ローラ支持軸817の周りを回転する。このとき掻取ローラのネジ山803aがケーキ層内にくい込み、ネジ山とネジ山との間に形成された掻取ローラの外周の溝部内にケーキが入り込む。掻取ローラの外周の溝部内に入り込んだケーキには、掻取ローラ803の回転に伴って、傾斜したネジ山からバスケットの軸線方向に沿った力が加えられる。そのため、掻取ローラのネジ山の間の溝部に入り込んだケーキはケーキ層Cから強制的に剥離させられる。掻取ローラ803の外周の溝部内に入り込んでケーキ層Cから剥離させられたケーキは、溝部内に保持された状態で、掻取ローラの回転方向の前方側に移送される。掻取ローラのネジ山とネジ山との間の溝部内に保持されて移送されるケーキは、該溝部による拘束が解かれれば容易に落下する状態にあるため、掻取ローラの回転に伴って、剥離されたケーキを保持していた溝部がケーキ層Cから離れると、剥離させられたケーキがバスケット内に落下する。
掻取ローラ803の回転に伴って、上記の動作が連続的に行われるため、バスケット内のケーキを円滑かつ効率的に掻き落とすことができる。掻取ローラ803は、外周に刃部を有していないため、最終的にフィルタに接した状態になってもフィルタを損傷することがない。特に本実施形態では、旋回アームの先端に掻取ローラ803を支持する支持機構にバネ815を設けて、掻取ローラ803がフィルタ4に接触したときに、掻取ローラ803がバネ815の付勢力に抗してフィルタから離れる方向に変位することが許容されるようにしたので、掻取ローラ803からフィルタ4に無理な力が加わってフィルタが損傷するのを防ぐことができる。そのため掻取ローラ803が最終掻取位置に達してフィルタに接触した状態になった後も、ケーキ掻取動作を継続させて、フィルタに付着しているケーキを掻き取ることができ、フィルタの内周に殆どケーキを残すことなく、ケーキの回収を行うことができる。
上記の実施形態では、バスケットの軸線方向に沿って、該バスケットの周壁部の内面のほぼ全体に亘って延びる掻取ローラ803を、一つの雄ネジ状部材により構成しているが、掻取ローラ803を一つの雄ネジ状の部材により構成する代りに、その軸線方向に並ぶ複数のローラにより構成してもよい。このように構成すると、比較的短い雄ネジ状の部材を組み合わせることによりバスケットの軸線方向のほほ全体に亘って延びる掻取ローラを構成することができる。
上記の実施形態では、掻取ローラ803に、バスケット2の周壁部の内面の軸線方向寸法にほぼ等しい軸線方向寸法を持たせて、掻取ローラ803をバスケット2の周壁部側へ変位させるだけで、バスケット内のケーキを掻き取る形式の遠心分離機に本発明を適用したが、本発明を適用できる遠心分離機はこのような形式の遠心分離機に限られるものではなく、掻取ローラにバスケットの周壁部の内面の軸線方向寸法よりも短い軸線方向寸法を持たせて、該掻取ローラをバスケットの周壁部に接離する方向と、バスケットの軸線方向との双方向に変位させることによりケーキを掻き取る形式の遠心分離機にも本発明を適用することができる。
図4は、バスケットの周壁部の内面の軸線方向寸法よりも短い軸線方向寸法を有する掻取ローラを用いる遠心分離機に本発明を適用した実施形態を示したものである。図4に示した実施形態では、ケーキ掻取装置8′が、バスケット2の端部壁203の内側の開口部2aを通してバスケット内に挿入された掻取駆動軸801′と、バスケット2内に配置されて掻取駆動軸801′に一端(後端部)が取り付けられた2本の旋回アーム802′と、バスケットの周壁部の内面の軸線方向寸法よりも短い長さを有するように形成されて旋回アーム802′の他端(先端)に固定された支持板810′に取り付けられた掻取ローラ803′と、掻取ローラ803′の旋回とバスケット2の軸線方向に沿った直線移動とを行なわせるように掻取駆動軸801′を駆動する掻取駆動装置805′とを備えている。
ケーキ掻取装置8′は、掻取駆動装置805′をケーシング外に位置させた状態でケーシングの蓋板102に支持されて、蓋板102が閉じられる際に掻取駆動軸801′、旋回アーム802′及び掻取ローラ803′がバスケット2内に挿入されるようになっている。ケーシングの蓋板102が閉じられた状態にあるときに、掻取駆動軸801′がバスケットの中心軸線と平行な方向に延び、旋回アーム802′がバスケット2の中心軸線と交差する方向に延びるように、掻取駆動軸801′及び旋回アーム802′が設けられている。
掻取駆動装置805′は、モータ806′と、該モータの回転を掻取駆動軸801′の軸線を中心とした回転に変換して掻取駆動軸801′に伝達する伝達機構(図示せず。)とを備えて掻取駆動軸801′をその中心軸線の回りに回転させることによりバスケット内で旋回アーム802′を所定の範囲で旋回させる旋回駆動機構と、モータ830′と、該モータの回転を直線運動に変換して掻取駆動軸801′に伝達する伝達機構831′とを備えて、掻取駆動軸801′をバスケットの軸線方向(本実施形態では図4の上下方向)に駆動する軸線方向駆動装置とからなっている。掻取駆動軸801′のケーシング内に配置される部分を覆うように、掻取駆動軸801′の直線変位に追従して伸縮するシール用のベローズ832′が設けられていて、このベローズにより、バスケット内で生じるミストや粉塵等が掻取駆動装置805′側に侵入するのが防止されている。
掻取ローラ803′は、外周にネジ山が形成された雄ネジ状の部材からなっていて、図1ないし図3に示した実施形態における掻取ローラ803の支持構造と同様の、衝撃を吸収するためのコイルバネ815′を備えた支持機構により、旋回アーム802′の先端に回転自在に支持されている。掻取ローラ803′は、バスケット2の端部壁の内周(開口部2a)に相応する位置よりも更に径方向の内側に退避した状態になる退避位置と、バスケットの内周に取付けられたフィルタ4に接した状態になる最終掻取位置との間を旋回させられる。
掻取ローラ803′はまた、バスケット2の軸線方向に沿った掻取駆動軸801′の直線運動に伴って、バスケットの底壁部202に近接した状態になる第1の位置と、バスケット2の端部壁203に近接した状態になる第2の位置(図4に示された位置)との間をバスケットの軸線方向に沿って直線移動させられる。その他の構成は、図1ないし図3に示された実施形態と同様である。
本実施形態による場合にも、バスケットを80rpm程度の低速の掻取時回転速度で回転させた状態で、ケーキ掻取工程を行う。ケーキ掻取工程では、ケーキの掻取を、バスケットの底壁寄りの位置から開始してもよく、バスケットの端部壁203寄りの位置から開始してもよい。何れの場合も、掻取ローラ803′を退避位置からバスケットの周壁部側に移動させる動作と、バスケットの周壁部側の位置から退避位置に戻す動作とを、掻取ローラをバスケットの軸線方向に移動させながら繰り返し行わせることにより、バスケットの内周に形成されたケーキを掻き取る。
例えば、ケーキの掻取をバスケットの端部壁203寄りの位置から開始する場合には、掻取ローラ803′をバスケットの端部壁203に近接した第1の位置に位置させた状態で、掻取駆動軸801′を回転させて、バスケットの開口部2aよりも更に径方向の内側に設定された退避位置にある掻取ローラ803′を、バスケットの外径側(フィルタ4側)に旋回させる。これにより、掻取ローラ803′をフィルタ4の内周に形成されたケーキ層C中に進入させながらケーキを掻き取る掻き取り動作を行わせる。掻取ローラ803′がバスケット2の内周に配置されたフィルタ4に接した状態になる最終掻取位置に達したときに掻取ローラ803′のフィルタ側への旋回動作を停止させ、その状態で一定時間の間掻取ローラによる掻取動作を行わせる。一定時間が経過した後、掻取駆動軸801′の回転方向を反転させて、掻取ローラを退避位置に戻す。次いで、掻取駆動軸801′を掻取ローラ803′の軸線方向寸法分だけ下降させて、掻取ローラ803′を、ケーキ層Cの次に掻き取るべき部分に対向させる。その後、掻取ローラ803′を再度バスケットの外径側に旋回させて、掻取ローラによるケーキの掻取動作を行わせる。掻取ローラ803′がバスケットの底壁部202に近接した第2の位置で行うケーキの掻取動作を完了するまで、上記の動作を繰り返す。掻取ローラ803′のネジ山がケーキを掻き取るメカニズムは、図1ないし図3に示した実施形態と同様である。
上記の説明では、掻取ローラ803′を退避位置だら最終掻取位置まで移動させた後退避位置に戻す動作と、掻取ローラ803′をバスケットの軸線方向に移動させる動作とを繰り返し行わせることによりケーキを掻き取るとしたが、掻取ローラ803′によるケーキの掻取方は上記の例に限定されない。例えば、掻取ローラ803′を一定量だけ(ケーキ層の一定の厚みに相当する分だけ)バスケットの周壁部側に移動させる(ケーキ内に進入させる)動作と、掻取ローラ803′を退避位置に戻してバスケットの軸線方向に移動させる動作とを、掻取ローラがバスケットの軸線方向の端部に達するまで繰り返すことにより、ケーキ層をその軸線方向(バスケットの軸線方向と同じ。)の全長に亘って一定の厚みだけ掻き取る動作を複数回繰り返すことにより、バスケット内に形成されたケーキ層を掻き取るようにしてもよい。
上記の実施形態では、旋回アーム802又は802′にコイルバネ815又は815′を介して掻取ローラ803又は803′を支持するようにしたが、コイルバネに代えて板バネを用いることもできる。
図4に示した実施形態において、旋回アーム802′に板バネを介して掻取ローラ803′を支持した実施形態の要部の構成を図5(A),(B)に示した。図5(A),(B)において830′は、相対する一対の帯板部830a′,830b′と、両帯板部の幅方向の一端を相互に連結する連結部830c′とを一体に有して横断面がU字形を呈する板バネである。旋回アーム802′の先端に固定された支持板810′に板バネ830′の一方の帯板部830a′がネジ止めなどの適宜の手段により固定され、板バネ830′の他方の帯板部830b′に、ローラ支持具831′を介して掻取ローラ803′が回転自在に支持されている。
ローラ支持具831′は、バスケットの軸線方向に延びるように形成されて板バネ830′の帯板部830b′の外面に適宜の手段により固定された板状部831a′と、板状部831a′の長手方向の一端及び他端から板バネ830′と反対側に突出した一対の突出部831b′,831c′とを一体に有するコの字型の部材からなっている。掻取ローラ803′は、その軸線O3−O3をバスケットの中心軸線と平行な方向に向けた状態でローラ支持具の一対の突出部831b′,831c′の間に配置され、掻取ローラ803′を軸線方向に回転自在に貫通した回転軸817′の一端及び他端がそれぞれ突出部831b′及び831c′に固定されている。
図5に示したように、掻取ローラ803′を板バネを介して旋回アームの先端に支持する構造にすると、掻取ローラの支持構造の簡素化を図ることができる。また板バネは、コイルバネのようにケーキの破片が侵入する部分を有しないので、旋回アームの先端に板バネを介して掻取ローラを支持する構造にすると、掻取装置の洗浄を容易にすることができる。
図1ないし図3に示した実施形態においても、掻取ローラ803を板バネを介して旋回アーム802の先端に支持する構造を採用することができるのはもちろんである。
上記の各実施形態において、雄ねじ部のネジ山をケーキ内に容易に食い込ませるためには、ネジ山を、内周側から外周側に向うに従って厚みが薄くなっていくようにテーパが付けられた形状に形成しておくことが好ましい。この場合、ネジ山の外縁部は、フィルタの損傷を防ぐために、尖鋭な刃を形成しないような形(例えば先端に僅かに丸みがついた形)にしておくことが好ましい。
上記のように、掻取ローラの雄ネジ部のネジ山を、内周側から外周側に向うに従って厚みが薄くなっていく形状に形成しておくと、雄ネジ部のネジ山をケーキ内にくい込ませやすくすることができるため、掻取ローラによるケーキの掻取を円滑かつ効率よく行わせることができる。また掻取ローラの雄ネジ部の外縁部を、尖鋭な刃を形成しない形状に形成しておくと、掻取ローラがフィルタを損傷するおそれをなくすことができる。
掻取ローラが一度に掻き取るケーキの量を多くするためには、掻取ローラの軸線方向の全長に亘って雄ネジ部を連続的に伸びるように設けることが好ましいが、本発明はこのように雄ネジ部を設ける場合に限定されるものではない。例えば、ケーキを掻き取る際にバスケットにかかる負荷を軽減するために、雄ネジ部を、掻取ローラの軸線方向に間隔をあけて並ぶ複数の単位ネジ部により構成することもできる。
また掻取ローラの軸線方向の全長に亘って雄ネジ部を設ける場合、該雄ネジ部は必ずしもその全体が連続している必要はなく、掻取ローラ803の軸線方向の全長に亘って設けた雄ネジ部のネジ山803aの途中に少なくとも一つの切り欠きを設けることにより、雄ネジ部を不連続に設けて、雄ネジ部を複数の部分に区分(分割)するようにしてもよい。この場合、
掻取ローラの外周に設ける雄ネジ部を複数の単位ネジ部により構成した場合や、複数の部分に区分した場合でも、雄ネジ部が複数の部分に区分されていても、雄ネジ部のネジ山をケーキ層内にくい込ませてネジ山からケーキにバスケットの軸線方向に沿った力を加えることによりケーキを強制的に剥離させる剥離動作と、剥離したケーキをネジ山とネジ山との間に保持してケーキ層から離れる位置まで移送する移送動作とを行わせることができることに変わりはないので、ケーキの掻取動作を効率良く行わせることができる。
また掻取ローラに設ける雄ネジ部は、掻取ローラの中心軸線の周りを螺旋状に伸びるネジ山を複数有して、該複数のネジ山が互いに平行に伸びるように設けられている多重螺旋構造を有していてもよい。
上記の各実施形態においては、掻取ローラ803が単一の雄ネジ状部材からなっているが、掻取ローラ803は、外周部に雄ネジ部を有してバスケットの軸線方向に隙間無く並べて配置された複数の単位ローラ(雄ネジ状部材)からなっていてもよい。この場合複数の単位ローラはそれぞれが自在に回転するように設けられてもよく、複数の単位ローラが一体となって回転するように設けてもよい。
上記の各実施形態では、掻取ローラの外周の雄ネジ部が一方向のネジ(右ネジ又は左ネジのいずれか一方)のみからなっている。このように構成されていると、雄ネジ部でケーキを掻き取る過程で、掻取ローラからスラスト方向の推力が生じ、この推力は掻取ローラの両端を支持している支持部材の一方に集中的にかかる。例えば、図1及び図2に示した例において、掻取ローラ803の外周に設けられている雄ネジ部が左ネジであって、掻取ローラ803が上から見て右回転すると、掻取ローラ803が上向きの推力を発生し、掻取ローラ803の上端及び下端を支持している軸支持部材816のうち、上側の軸支持部材816に力がかかり、上側の軸支持部材にかかる負担が過大になってその寿命が短くなるおそれがある。図4に示した実施形態においても同様の問題が生じる。
上記のような問題が生じるのを防ぐためには、例えば図6に示したように、掻取ローラの外周に設ける雄ネジ部を、中心軸線を共有した状態で掻取ローラの軸線方向に並ぶ第1のネジ部803Aと第2のネジ部803Bとにより構成して、第1のネジ部803Aと第2のネジ部803Bとに互いに逆ネジの関係を持たせておけばよい。即ち、第1のネジ部803Aを右ネジとする場合には、第2のネジ部803Bを左ネジとし、第1のネジ部803Aを左ネジとする場合には、第2のネジ部803Bを右ネジとすればよい。
上記のように構成しておくと、第1のネジ部803Aにより生じる推力の向きと第2のネジ部803Bにより生じる推力の向きとが互いに逆になるため、第1のネジ部803A及び第2のネジ部803Bの長さを等しくして両ネジ部が発生する推力の大きさを等しくしておけば、両ネジ部が発生する推力を相殺して掻取ローラの雄ネジ部全体が発生する推力を零とすることができる。また第1のネジ部803Aと第2のネジ部803Bの長さを異ならせた場合でも、両ネジ部を逆ネジとしない場合に比べて、掻取ローラの雄ネジ部全体が発生する推力を軽減することができる。従って、掻取ローラ803の軸線方向の両端を支持する軸支持部材816,816の一方に偏って大きな力が加わるのを防いで、ケーキ掻取装置の寿命を長くすることができる。また片側の軸支持部材816に集中的に力が加わるのを防ぐことができるため、掻取ローラの回転を円滑に行わせることができる。
また、ケーキ掻取装置の構成に応じて、左ネジとするネジ部の長さと右ネジとするネジ部の長さとを適宜に異ならせることにより、掻取ローラが発生する推力を適当な大きさに調整することもできる。例えば、図6に示した例において、第1のネジ部803Aの軸線方向寸法と、第2のネジ部803Bの軸線方向寸法との間に差を持たせて、必要に応じて、掻取ローラが発生する推力を調整するようにすることができる。例えば、第1のネジ部803Aの長さを第2のネジ部803Bの長さよりも長くして、掻取ローラに働く重力と第2のネジ部803Bが発生する下向きの推力とを第1のネジ部803Aが発生する推力によりほぼ打ち消すことにより、掻取ローラ803の回転をより円滑に行わせるようにすることもできる。
上記の各実施形態では、バスケットの底壁部にケーキの排出口を設けるタイプの遠心分離機に本発明を適用したが、バスケットの底壁部にケーキの排出口を設けずに、バスケットの開口部からバスケット内に挿入した吸引パイプやスクリューコンベアなどのケーキ排出手段により掻き取られたケーキを外部に排出するタイプの遠心分離機にも本発明を適用することができる。この場合、案内羽820は不要である。
上記の実施形態では、バスケットの軸線を垂直方向に向けて配置する縦型の遠心分離機に本発明を適用したが、バスケットの軸線を水平方向に向けて配置する横型の遠心分離機や、バスケットの軸線を水平方向に対して傾斜した方向に向けて配置する遠心分離機にも本発明を適用することができる。
図7は、横型の遠心分離機に本発明を適用した例を示している。図7において、2′は液分を透過させる孔を有する周壁部201′と、周壁部201′の軸線方向の一端を閉じる底壁部と、周壁部201′の軸線方向の他端の内周から径方向の内側に突出した環状の端部壁とを有するかご形のバスケットで、このバスケットは、その中心軸線を水平方向に向けて配置されている。バスケットの周壁部201′の内周には、布や、多孔板と金網との積層体などにより構成されたフィルタ4′が取り付けられている。バスケット2′は図示しないケーシング内に配置されて、電動機や油圧モータ等の図示しない駆動源により回転駆動される。
10はフィルタ4′の内側に形成されたケーキを回収するためにバスケット2′内に挿入されたシュートである。シュート10は、傾斜した状態で配置されて、その上端寄りの部分が、バスケット2′の開口部を通してバスケット内に挿入され、シュート10の上端10aはバスケット2′内で上方に開口させられている。シュート10の下端(図示せず。)は、バスケット2′の開口部と、バスケット2′を収容したケーシングの蓋板に設けられたシュート導出孔とを通して外部に導出されて下方に開口させられている。
20は、バスケット2′を収容した図示しないケーシングの蓋板(図1に示された蓋板102と同様の板)が閉じられているときに、該蓋板を貫通してバスケット2′の開口部からバスケット内に挿入されてバスケットの中心軸線と平行な方向に伸びる掻取駆動軸、21は掻取駆動軸20に取り付けられて固液分離処理時にバスケット2′内に配置されるケーキ掻取部である。図示しないケーシングには、モータを駆動源として、ケーキ掻取部21を図に鎖線で示した退避位置と、図に実線で示した最終掻取位置との間で往復回動させるように掻取駆動軸20を駆動する掻取駆動装置(図示せず。)が取り付けられ、この掻取駆動装置と、掻取駆動軸20と、ケーキ掻取部21とによりケーキ掻取装置が構成されている。
ケーキ掻取部21は、ケーキ案内ダクト22と、ケーキ案内ダクト22に取り付けられた掻取ローラ23とにより構成されている。ケーキ案内ダクト22は、板面を掻取駆動軸20の中心軸線と平行な方向に向けた状態で相互間に所定の間隔を隔てて配置された第1及び第2の側板部22a及び22bと、第1の側板部22aの内側に配置されて後端部が掻取駆動軸20に固定されたローラ支持板22cと、第1の側板部22a及び第2の側板部22bの幅方向(掻取駆動軸20の軸線方向に沿う方向)の両端部間を相互に連結する2つの側板部22d、22dと、第1の側板部22aの外側の面を覆うカバー板22eとを備えていて、その内側に、掻き取られたケーキをシュート10内に案内するガイド空間Sが形成されている。
ケーキ案内ダクト22に十分な強度を持たせるため、ローラ支持板22cが十分に厚い板により構成されるとともに、第2の側板部22bの先端寄りの部分に肉厚部22b1が設けられ、これらの部分の幅方向の両端部間を連結する側板部22d,22dが十分に厚い板材により構成されて、ローラ支持板22c、第2の側板部22b及び側板部22d、22dの突合わせ部が溶接により接合されることにより、ケーキ案内ダクト22が組立てられている。本実施形態では、ローラ支持板22cの先端部側に位置するケーキ案内ダクト22の一端22Aをケーキ案内ダクトの先端部とし、ケーキ案内ダクトの他端22Bを該ケーキ案内ダクトの後端部とする。
掻取ローラ23は、図8に示されているように、バスケット2′の周壁部201′の軸線方向寸法よりも僅かに短い長さを有する円柱状のローラ23aの外周に、中心軸線を共有した状態で軸線方向に並ぶ第1のネジ部23Aと第2のネジ部23Bとからなる雄ネジ部を設けたもので、第1のネジ部23Aと第2のネジ部23Bとは互いに逆ネジの関係を有するように設けられている。
掻取ローラ23は、ケーキ案内ダクト22の先端部側のガイド空間Sに臨む位置に、その中心軸線を掻取駆動軸20の中心軸線と平行な方向に向けた状態で配置されてローラ支持板22cに支持されている。図示の例では、掻取駆動軸20の軸線方向と平行な方向に伸びるローラ支持部材25が、掻取駆動軸20の軸線方向に間隔を隔てて配置された一対の板バネ26,26を介してローラ支持板22cに支持され、ローラ支持部材25の長手方向の両端に設けられた相対するローラ支持部25a,25aに、掻取ローラ23の軸心部に取り付けられた回転軸24の両端が軸受けを介して回転自在に支持されている。
本実施形態では、第1のネジ部23Aが左ネジからなり、第2のネジ部23Bが右ネジからなっている。本実施形態ではまた、第1のネジ部23Aの軸線方向長さと、第2のネジ部23Bの軸線方向長さとが等しく設定されていて、第1のネジ部23A及び第2のネジ部23Bがそれぞれ、大きさが等しく、向きが180度異なるスラスト方向の推力を発生するようになっている。
本実施形態では、ケーキ掻取部21が図7に鎖線で示した退避位置と、同図に実線で示した最終掻取位置との間を回動するように、ケーキ掻取部21の回動範囲がストッパにより規制されている。
ケーキ掻取部21は、回転駆動されているバスケット2′内に原液を供給して固液分離処理を行う際に、図7に鎖線で示した退避位置に配置される。固液分離処理を行う際にケーキ掻取部21がバスケット内に形成される液面と干渉することがないようにするため、ケーキ掻取部21が退避位置にあるときに、ケーキ掻取部21の各部のうち、バスケットの周壁部に最も近い位置に配置された部材である掻取ローラ23が、バスケット2′の端部壁に形成された開口部の内周に相応する位置よりも更に内径側に配置されるように、ケーキ掻取部21の退避位置が設定されている。
またケーキ掻取部21が図7に実線で示された最終掻取位置に達して停止させられたときに、ケーキ案内ダクト22の第2の側板部22bの先端寄りの部分に形成された肉厚部22b1の先端(ケーキ案内ダクト22の最先端)がフィルタ4′との間に僅かな隙間を形成するように(ケーキ案内ダクト22の先端がフィルタに接触しないように)、最終掻取位置が設定されている。掻取ローラ23は、板バネ26によりケーキ案内ダクトの内側のガイド空間Sから離れる方向に(外側に)付勢されているため、フィルタにケーキが付着していない状態で(バスケットが空の状態で)、ケーキ掻取部21を最終掻取位置側に回動させたときには、ケーキ掻取部21が最終掻取位置に達する前に掻取ローラ23がフィルタ4′に接触し、ケーキ掻取部21が最終掻取位置に達した状態では、掻取ローラ23が板バネ26の付勢力によりフィルタ4′に押付けられた状態になる。
本実施形態の遠心分離機においては、ケーキ掻取部21が退避位置から最終掻取位置に向けて回動していく過程で、掻取ローラ23がケーキとの接触を開始する(ケーキの掻取を開始する)までの間に、ケーキ掻取部21の内側のガイド空間Sの下端の開口部Saが、図7に示したようにシュート10の上端の開口部10a内に開口した状態になって、掻取ローラ23が最終掻取位置に達するまでの間(ケーキの掻取が行われる間)、ケーキ掻取部21の内側のガイド空間Sの下端の開口部Saが、図7に示したようにシュート10の上端の開口部10a内に開口した状態を維持するように、ケーキ掻取部21とシュート10との間の位置関係が設定されている。
固液分離処理が終了し、ケーキ洗浄工程が終了した後、バスケット2′の周壁部の内側に取り付けられたフィルタ4′の内周に形成されたケーキ層からケーキを?き取る際には、図示しない掻取駆動装置によって掻取駆動軸20を駆動することにより、ケーキ掻取部21を図7に鎖線で示した退避位置から、図7に実線で示した最終掻取位置に向けて回動させる。この過程では、掻取ローラ23がケーキ案内ダクト22の第2の側板部22bの先端よりも先行した状態でバスケット2′の周壁部側に変位していく。掻取ローラ23は、板バネ26によりバスケットの周壁部側に付勢された状態でケーキに押付けられるため、前述した掻取ローラ23の雄ネジ部による掻取作用によりケーキが?き取られる。掻取ローラ23により?き取られたケーキは、ケーキ案内ダクト22の内側のガイド空間S内に落下してシュート10内に落下させられる。このときケーキ案内ダクト22の第2の側板部22bの先端寄りの部分に形成された肉厚部22b1は、掻取ローラ23により?き取られて飛散したケーキがケーキ案内ダクト22の先端を越えるのを妨げて、ガイド空間S内に落下させる働きをする。掻取ローラ23はケーキ掻取部21が最終掻取位置に達して停止した後もバネ26の付勢力によりケーキに接触した状態を保持してケーキを掻き取るため、フィルタの内周に付着したケーキの殆どを掻き取って回収することができ、フィルタの内周に付着した状態で残るケーキの量を従来のケーキ掻取装置を用いた場合よりも大幅に少なくすることができる。
従来のケーキ掻取装置を用いた場合には、フィルタ4′を目視し得る状態になるまでケーキを掻き取ることは困難であったが、本発明に係るケーキ掻取装置を用いた場合には、フィルタのほぼ全体を目視し得る状態になるまでケーキを回収することができることが実験により確認された。
本実施形態においても、掻取ローラ23の外周の雄ネジ部が、等しい長さを有する第1のネジ部23Aと第2のネジ部23Bとからなっていて、両ネジ部が逆ネジの関係を有するため、第1のネジ部23A及び第2のネジ部23Bがそれぞれ発生するスラスト方向の推力を互いにを打ち消して掻取ローラ全体が発生する推力をほぼ零にすることができる。従って、掻取ローラ23の両端を支持しているローラ支持部25a,25aの一方に偏った力が加わるのを防ぐことができ、ケーキ掻取装置の寿命が短くなったり、掻取ローラの円滑な回転が妨げられたりするのを防ぐことができる。
上記の各実施形態では、掻取ローラのネジ部を構成する第1のネジ部と第2のネジ部の長さを等しくして、掻取ローラが発生する推力をほぼ零とするようにしたが、本発明はこのように雄ネジ部を構成する場合に限定されるものではない。例えば、第1のネジ部と第2のネジ部の長さを異ならせた場合でも、両ネジ部を逆ネジとすれば、逆ネジとしない場合に比べて、掻取ローラの雄ネジ部全体が発生する推力を軽減することができる。
更に、掻取ローラがその軸線方向を垂直方向(鉛直方向)に向けて配置されていて、掻取ローラの軸線方向に重力が作用する場合のように、ケーキ掻取装置の構造上、掻取ローラの両端を支持する支持部材にかかる力が不均一になる場合には、第1のネジ部と第2のネジ部の長さを調整することにより、ケーキ掻取時に掻取ローラが発生する推力を調整して、掻取ローラの両端を支持する支持部材にほぼ均等に力が加わるようにすることもできる。
また掻取ローラを複数個設ける場合には、複数の掻取ローラのうちの少なくとも一つの掻取ローラの外周に設けられた雄ネジ部を、他の掻取ローラの外周に設けられた雄ネジ部に対して逆ネジの関係を有するように設けておくことより上記と同様の効果を得ることができる。この場合、掻取ローラの数を偶数として、偶数個の掻取ローラのうちの半数の掻取ローラの外周の雄ネジ部を右ネジとし、他の半数の掻取ローラの外周の雄ネジ部を左ネジとすることにより、掻取ローラ群全体から生じるスラスト方向の推力の軽減を顕著に図ることができる。また偶数個の掻取ローラのそれぞれの外周に設ける雄ネジ部の長さを等しくしておくと、複数の掻取ローラ群全体から生じるスラスト方向の推力をほぼ零にすることができる。
同様に、掻取ローラの軸線方向長さをバスケットの周壁部の軸線方向長さにほぼ等しくして、掻取ローラの旋回運動のみによりバスケット内のケーキを掻き取る構成をとるに当たり、掻取ローラをバスケットの軸線方向に並べて配置された複数の単位ローラにより構成する場合にも、複数の単位ローラのうちの少なくとも一つの単位ローラの外周の雄ネジ部を、他の単位ローラの外周の雄ネジ部に対して逆ネジの関係を有するように設けておくことより、上記と同様の効果を得ることができる。この場合、単位ローラの数を偶数として、偶数個の単位ローラのうちの半数の単位ローラの外周の雄ネジ部を右ネジとし、他の半数の単位ローラの外周の雄ネジ部を左ネジとすることにより、掻取ローラ全体から生じるスラスト方向の推力の軽減を顕著に図ることができ、偶数の単位ローラのそれぞれの外周に設ける雄ネジ部の長さを等しくしておくと、掻取ローラ全体から生じるスラスト方向の推力をほぼ零にすることができる。
更に、掻取ローラの外周の雄ネジ部を、掻取ローラの軸線方向に間隔をあけて並ぶ複数の単位ネジ部により構成する場合には、複数の単位ネジ部のうちの少なくとも一つを、他の単位ネジ部に対して逆ネジの関係を有するように設けることができる。この場合も、単位ネジ部の数を偶数として、偶数の単位ネジ部のうちの半数を右ネジとし、他の半数の単位ネジ部を左ネジとすることにより、掻取ローラが発生する推力をほぼ零にすることができる。
またケーキ掻取装置の構成に応じて、左ネジとするネジ部の長さと右ネジとするネジ部の長さとを適宜に異ならせることにより、掻取ローラが発生する推力を適当な大きさに調整することもできる。
例えば、掻取ローラがその軸線方向を垂直方向(鉛直方向)に向けて配置されていて、掻取ローラの軸線方向に重力が作用する場合のように、ケーキ掻取装置の構造上、掻取ローラの両端を支持する支持部材にかかる力が不均一になる場合には、第1のネジ部と第2のネジ部の長さを調整することにより、ケーキ掻取時に掻取ローラが発生する推力を調整して、掻取ローラの両端を支持する支持部材にほぼ均等に力が加わるようにすることができる。