JP2014062180A - 塩素含有ポリマ組成物、それを用いた電線及びケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリクロロプレンをはじめとした塩素含有ポリマに対してメルカプト基を含有するシランカップリング剤を十分にグラフトさせることで架橋特性に優れた塩素含有ポリマ組成物、それを用いた電線及びケーブルを提供する。
【解決手段】塩素含有ポリマに、メルカプト基を含有するシランカップリング剤を配合すると共に、第三級アミン化合物からなる添加剤を配合するものである。
【選択図】図1
【解決手段】塩素含有ポリマに、メルカプト基を含有するシランカップリング剤を配合すると共に、第三級アミン化合物からなる添加剤を配合するものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、グラフト反応促進剤の存在下において塩素含有ポリマにメルカプト基を含有するシランカップリング剤を効率良くグラフトさせることにより得られる塩素含有ポリマ組成物、それを用いた電線及びケーブルに関するものである。
塩素含有ポリマの一つであるポリクロロプレンは可とう性、耐屈曲性などに優れた材料であり、電線の絶縁材やキャブタイヤケーブル用のシース材など、電線及びケーブル用の被覆材料として広く使用されている。
ポリクロロプレンの加硫は、加硫剤や加硫促進剤、その他各種特性を付与するための配合剤を添加した後に、硫黄加硫方式、金属酸化物加硫方式などの方法で所定の温度、時間条件下で行われる。
これらの方法で加硫する場合、十分に加硫させるためには、100℃以上の温度且つある程度の時間が必要であるために、加硫釜などのバッチ方式、あるいは加硫管を用いた連続製造方式により実施されるのが一般的である。
しかしながら、加硫釜などのバッチ方式ではケーブルドラムの釜への出し入れや釜の管理などに多大な工数を費やすこと、加硫管を用いた連続製造方式では設備を導入する際には莫大なコストが発生してしまうことから、必ずしも経済的な方法とは言えない。
より経済的な加硫方法としては、樹脂やゴム分子に加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤をグラフト反応または共重合することにより、100℃以下の比較的低温条件下にて分子同士の橋かけが可能となるシラン水架橋方式が知られている。
シラン水架橋はポリエチレンをはじめとした汎用樹脂や一部ゴムへの適用が広く行われているが、ポリクロロプレンへのシラン水架橋の適用はメルカプト基を含有するシランカップリング剤について過去に検討例(特許文献1)があるものの、ほとんど実用されていないのが現状である。
この理由の一つとして、メルカプト基含有シランカップリング剤は、ポリクロロプレンへのグラフト反応活性に乏しく、押出外観不良や架橋後のゲル分率、および引張強さの低い被覆材となってしまう可能性がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ポリクロロプレンをはじめとした塩素含有ポリマに対してメルカプト基を含有するシランカップリング剤を十分にグラフトさせることで架橋特性に優れた塩素含有ポリマ組成物、それを用いた電線及びケーブルを提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、塩素含有ポリマと、メルカプト基を含有するシランカップリング剤と、第三級アミン化合物からなる添加剤とからなることを特徴とする塩素含有ポリマ組成物である。
請求項2の発明は、塩素含有ポリマとしてポリクロロプレンゴムを用い、前記メルカプト基を含有するシランカップリング剤として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用い、前記アミン化合物として、ピリジンまたは2,6−ジメチルピリジンを用いることを特徴とする請求項1に記載の塩素含有ポリマ組成物である。
請求項3の発明は、前記ピリジンまたは2,6−ジメチルピリジンは、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに対して1/10〜1モル当量含むことを特徴とする請求項2に記載の塩素含有ポリマ組成物である。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の塩素含有ポリマ組成物を、導体を被覆する絶縁材に用いることを特徴とする電線である。
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の塩素含有ポリマ組成物を、電線を被覆するシースに用いることを特徴とするケーブルである。
本発明は、ポリクロロプレンをはじめとした塩素含有ポリマへのメルカプト基を含有したシランカップリング剤のグラフトを促進することが可能であり、押出外観良好、架橋処理後のゲル分率および引張強さが高い塩素含有ポリマ被覆材を得ることができる。グラフト反応促進剤は塩素含有ポリマコンパウンド中に少量配合するだけでよいため、架橋特性以外の電線やケーブル諸特性への悪影響や材料コストの増加はほとんどないものと考えられる。また、このようなシラン水架橋方式を用いた電線及びケーブルの製造は、現在の主流である加硫釜あるいは加硫管を用いる製造方式と比べて製造・設備コストを大きく低減できるものである。
以下、本発明の好適な一実施の形態を詳述する。
本発明は、塩素含有ポリマに、メルカプト基を含有するシランカップリング剤を配合してグラフト反応させる際に、グラフト反応を促進する添加剤として、第三級アミン化合物を配合するものである。
本発明に用いる塩素含有ポリマとしては、分子中にハロゲン化アルキル部位を有するものであれば良く、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンやこれらを含む共重合体などが挙げられる。
メルカプト基含有シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ここで、塩素含有ポリマへのメルカプト基含有シランカップリング剤のグラフト効率を向上させるためには以下の方式が考えられる。
(1)塩素含有ポリマを改質させることで、グラフト反応を活性化させ、グラフト効率を向上させる。
(2)メルカプト基含有シランカップリング剤のグラフト反応を促進させることで、グラフト反応を活性化させ、グラフト効率を向上させる。
(1)については第二級アミンをポリクロロプレン分子中のハロゲン化アルキル部位と反応させることで、ポリクロロプレン分子中に二重結合上の炭素またはアリル位の炭素にCl原子が結合しない二重結合を発現させ、メルカプト基やスルフィド基を含有するシランカップリング剤のグラフト効率を向上する方法を筆者らが見出した(特願2012−062362号、発明の名称:ポリクロロプレン組成物及びそれを用いた電線ケーブル)。
本発明は、(2)の考え方を実現するものであり、塩素含有ポリマ分子中のハロゲン化アルキル部位との反応性が低く、且つメルカプト基の反応活性を高める触媒的作用を持った化合物として、第三級アミン化合物を用いることで、塩素含有ポリマへのメルカプト基含有シランカップリング剤のグラフト効率を向上させるものである。
メルカプト基(−SH)は、下式のとおりに開裂してチオラートイオンを生成することで、ハロゲン化アルキルをはじめとした様々な官能基と反応することが知られている。
R1−SH → R1−S- + H+ …(1)
R1−S- + R2−Cl → R1−S−R2 + Cl- …(2)
(R1,R2:アルキル基)
R1−SH → R1−S- + H+ …(1)
R1−S- + R2−Cl → R1−S−R2 + Cl- …(2)
(R1,R2:アルキル基)
本発明は、(1)式のチオラートイオン生成反応を促進することで塩素含有ポリマへのメルカプト基含有シランカップリング剤のグラフト反応((2)式の反応)効率を上げるものであり、(1)式のチオラー卜イオン生成反応を促進する化合物としては塩基性化合物などのイオン性雰囲気を形成するものが好ましい。
本発明において、チオラートイオン生成反応を促進する、つまり塩素含有ポリマへのメルカプト基含有シランカップリング剤のグラフト反応効率を上げる化合物として第三級アミン化合物を用いるものである。
第三級アミン化合物と比べて第一級および第二級アミン化合物は、求核性が高く塩素含有ポリマのハロゲン化アルキル部位と反応することで消費されてしまう。これに対して、第三級アミン化合物は、立体障害により比較的求核性が低く、且つ塩基性が比較的高いことから、塩素含有ポリマと反応しにくく系内にそのまま存在することでメルカプト基含有シランカップリング剤を効率良く活性化できる。
用いられる第三級アミン化合物としては、具体的にはピリジン、2,6−ジメチルピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、またこれら以外の脂肪族や芳香族第三級アミンなどが挙げられる。
このように、特に第三級アミン化合物をグラフト促進剤として用い、メルカプト基含有シランカップリング剤をグラフトした塩素含有ポリマは、任意の温度・時間・湿度条件で加水分解性シリル基同士の架橋(シラン水架橋)が可能であり、グラフト時やグラフト後にシラノール縮合触媒を加えることでグラフト後の塩素含有ポリマの架橋速度を増加させることもできる。
シラノール縮合触媒としては、マグネシウムやカルシウムなどのII族、コバルド鉄などのVIII族、もしくは錫、亜鉛、チタン等の元素や金属化合物、オクチル酸またはアジピン酸の金属塩、アミン系化合物、酸などが挙げられる。より具体的には、ジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテー卜、ジブチル錫ジオクタエート、酢酸第一錫、カブリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸、塩酸などの無機酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸などの有機酸が使用される。
本発明は、上記のようにして作製したメルカプト基含有シランカップリング剤をグラフトした塩素含有ポリマ組成物を、電線の絶縁体やケーブルのシースの被覆材として適用することができる。
電線及びケーブルの被覆材への適用にあたり、可塑剤、安定剤(塩化水素捕捉剤)、酸化防止剤、老化防止剤、滑剤、難燃剤、充填剤、カーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤などの通常用いられる電線及びケーブル用配合剤を添加することができる。
次に、塩素含有ポリマ組成物の作製の具体例を説明する。
ここでは、塩素含有ポリマとしてポリクロロプレンを用いた例を示す。
ポリクロロプレンへのスルフィド基を含有するシランカップリング剤のグラフト反応、ケーブルの製造および架橋処理は以下のとおりに実施した。条件は一例である。
第一ステップとしては、ロール混練機を用いてポリクロロプレンを素練り後、安定剤を添加した。安定剤とはポリクロロプレン分子から脱離した塩化水素を捕捉する働きを有する化合物である。安定剤はポリクロロプレンに均一分散させればよく、50〜60℃程度の低温、5分以内の短時間での混練で問題ない。
第二ステップとしては、第一ステップ後のコンパウンドにロール機を用いてグラフト反応促進剤を添加した。第一ステップと同様にグラフト反応促進剤についてもポリクロロプレンに均一分散させればよく、50〜60℃程度の低温、5分以内の短時間での混練で問題ない。
第三ステップとしては、押出機を用いて第二ステップ後のコンパウンドにメルカプト基含有シランカップリング剤を添加し、ポリクロロプレンへグラフト反応させ、導体上に押出被覆することでケーブルを作製した。
シランカップリング剤は押出前に別工程で塗布または混練することもできる。押出機からダイスまでの設定温度は120℃、押出機内の滞留時間は約10分とした。
さらにシラノール縮合触媒またはシラノール縮合触媒を含むマスタバッチを第三ステップ押出時または第三ステップをコンパウンド押出として第三ステップ後のコンパウンドに第四ステップとして再度押出機を用いて添加、導体上に押出被覆することもできる。
上記の混練・グラフト反応を達成するためにはロール機や押出機以外でもニーダー、ミキサー、オートクレーブなど一般に使用される混練、反応装置であれば特に限定されることはなく、これらの混練、グラフト反応条件(温度、時間)についても上記の範囲に何ら限定されるものではない。また、第一〜第四ステップの任意の工程において滑剤、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃剤、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、カーボンブラックなど通常使用される電線及びケーブル被覆材用の添加剤を配合することができる。
作製した電線及びケーブルは熱や水分、触媒の作用で架橋を促進させることができ、恒温槽や室内または屋外に放置することで架橋することが可能である。
次に本発明の実施例と比較例を説明する。
図1は、本発明の実施例と比較例で電線(ケーブル)を作製する20mm単軸押出機1を示したものである。
単軸押出機1は、ホッパー2からコンパウンドを投入し、スクリュ3で混練しながら、シリンダ(1)8とシリンダ(2)9を通して加熱し、ブレーカープレート4で押出圧を調整し、ネック5を通してヘッド6にコンパウンドを押し出し、同時にヘッド6に導体10を供給し、導体10の外周にコンパウンドを被覆し、これを所定の径に引き出して電線(ケーブル)11を作製するものである。
次に本発明の実施例と比較例を表1、2により説明する。
表2に示す配合でポリクロロプレンにシランカップリング剤をグラフト反応させ、表1に示す押出条件で電線(ケーブル)を作製した。
第一ステップとして、8インチオープンロールを用いてポリクロロプレン(非硫黄変性タイプ、ムーニー粘度ML1+4(100℃):48)をロール表面温度59℃、3分間素練りを行った後、安定剤として酸化マグネシウムをポリクロロプレン100質量部に対して4質量部添加してロール表面温度60℃、5分間の条件で混練した。
第二ステップでは、8インチオープンロールを用いて第一ステップ後のコンパウンドにグラフト反応促進剤としてピリジンまたは2,6−ジメチルピリジンをポリクロロプレン100質量部に対して0.1〜1.35質量部添加し、60℃、3分間の条件で混練した。
第三ステップとして、第二ステップ後のコンパウンドに、図1に示した20mm単軸押出機(L/D=25)を用いて3−メルカプトプロピルトリメトキシシランをポリクロロプレン100質量部に対して1.92質量部添加し、表1に示すように、シリンダ1、シリンダ2、ダイスの設定温度をそれぞれ120℃、スクリュ回転数7rpm(滞留時間約10分)の条件でグラフト反応および銅導体(導体公称断面積1.5mm2)上に、被覆厚1.4mmとなるように押出被覆することで電線(ケーブル)を作製した。
作製後の電線(ケーブル)は70℃、飽和水蒸気中に24時間放置することで架橋処理を行った。
電線(ケーブル)の外観および架橋処理後の被覆材のゲル分率、引張強さを評価した。電線(ケーブル)の外観は、目視、手触りにより評価し、良好であるものを合格、ざらつきやメルトフラクチャーなどにより外観不良が生じたものを不合格とした。
ゲル分率は、押出直後の被覆材および架橋処理後の被覆材0.5gを40メッシュの真鍮製金網に入れて65℃オイルバス中でテトラヒドロフランにより抽出処理し、その後、80℃で4時間真空乾燥した後の質量を秤量し、抽出前の質量との比から下式により算出した。架橋処理後の被覆材のゲル分率が80%以上であれば合格、80%未満であれば架橋不十分と判断し不合格とした。表2中の押出直後の被覆材のゲル分率は参考値であり、合否の判断項目からは除外した。
ゲル分率(%)=(抽出後質量(g)/抽出前質量(g))×100
ゲル分率(%)=(抽出後質量(g)/抽出前質量(g))×100
引張強さは、JIS C3005に準拠して銅導体を引き抜いた長さ150mmの管状試験片を作製して500mm/minの引張速度で実施した。
ポリクロロプレンは、結晶性ゴムであるが、ポリエチレンなどのプラスチックと比べて結晶化温度は約33℃とかなり低い。このため外気温が高くなる時期や使用場所によっては、結晶化があまり進んでいない状態で電線(ケーブル)を使用する可能性があることから、表2の引張強さの測定は、試験片を40℃の恒温槽で1時間アニール処理(解結晶)してから、23℃、50RHの試験環境下で2時間放置後、ポリクロロプレンが解結晶した状態で速やかに試験を行った。
架橋処理後の被覆材の引張強さが7MPa以上であれば合格、7MPa未満であれば架橋(引張強度)不十分と判断し不合格とした。
表2中の総合的な判定は、押出後のケーブルの外観、架橋処理後のゲル分率と引張強さが全て合格であれば(○:合格)、これらの一項目でも不合格であれば(×:不合格)として表記した。
実施例1では、電線(ケーブル)の外観は円滑であり、70℃、24h飽和水蒸気中での架橋処理後のゲル分率81%、引張強さ8.4MPaであった。グラフト反応促進剤としてピリジンを0.10質量部(シランカップリング剤に対して1/10モル当量)添加すると押出外観が良好であり、且つ架橋処理後のゲル分率、引張強さがピリジンを添加しない比較例1よりも高いシラングラフトポリクロロプレンを得ることができた。
実施例2では、電線(ケーブル)の外観は円滑であり、70℃、24h飽和水蒸気中での架橋処理後のゲル分率83%、引張強さ8.4MPaであった。グラフト反応促進剤としてピリジンを1.00質量部(シランカップリング剤に対して1モル当量)添加すると押出外観が良好であり、且つ架橋処理後のゲル分率、引張強さがピリジンを添加しない比較例1よりも高いシラングラフトポリクロロプレンを得ることができた。
実施例3では、電線(ケーブル)の外観は円滑であり、70℃、24h飽和水蒸気中での架橋処理後のゲル分率83%、引張強さ9.0MPaであった。グラフト反応促進剤として2,6−ジメチルピリジンを0.14質量部(シランカップリング剤に対して1/10モル当量)添加すると押出外観が良好であり、且つ架橋処理後のゲル分率、引張強さが2,6−ジメチルピリジンを添加しない比較例1よりも高いシラングラフトポリクロロプレンを得ることができた。
実施例4では、電線(ケーブル)の外観は円滑であり、70℃24h飽和水蒸気中での架橋処理後のゲル分率84%、引張強さ8.9MPaであった。グラフト反応促進剤として2,6−ジメチルピリジンを1.35質量部(シランカップリング剤に対して1モル当量)添加すると押出外観が良好であり、且つ架橋処理後のゲル分率、引張強さが2,6−ジメチルピリジンを添加しない比較例1よりも高いシラングラフトポリクロロプレンを得ることができた。
以上より、ポリクロロプレンにメルカプト基を含有するシランカップリング剤をグラフトする際にグラフト反応促進剤を用いれば、電線(ケーブル)の外観が良好、且つ架橋後のゲル分率、引張強さが比較的高いシラングラフトポリクロロプレンを得られることが分かった。また、グラフト反応促進剤はピリジン、2,6−ジメチルピリジンともにシランカップリング剤のモル数に対して1/10程度でも十分に効果が見られた。
これに対して、比較例1は、電線(ケーブル)の外観は円滑であったものの、70℃、24h飽和水蒸気中での架橋処理後のゲル分率75%、引張強さ6.6MPaとなり不合格であった。グラフト反応促進剤を添加した実施例1〜4と比較して架橋処理後のゲル分率、引張強さがともに低下したことは、グラフト反応促進剤がなければポリクロロプレンとシランカップリング剤のグラフト反応は十分に進行しないこと、その結果として架橋反応も不十分となったことが推測される。
1 押出機
2 ホッパー
3 スクリュ
4 ブレーカープレート
5 ネック
6 ヘッド
7 ダイス
8 シリンダ1
9 シリンダ2
10 導体
11 電線(ケーブル)
2 ホッパー
3 スクリュ
4 ブレーカープレート
5 ネック
6 ヘッド
7 ダイス
8 シリンダ1
9 シリンダ2
10 導体
11 電線(ケーブル)
Claims (5)
- 塩素含有ポリマと、
メルカプト基を含有するシランカップリング剤と、
第三級アミン化合物からなる添加剤と
からなることを特徴とする塩素含有ポリマ組成物。 - 塩素含有ポリマとしてポリクロロプレンゴムを用い、
前記メルカプト基を含有するシランカップリング剤として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用い、
前記アミン化合物として、ピリジンまたは2,6−ジメチルピリジンを用いることを特徴とする請求項1に記載の塩素含有ポリマ組成物。 - 前記ピリジンまたは2,6−ジメチルピリジンは、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに対して1/10〜1モル当量含むことを特徴とする請求項2に記載の塩素含有ポリマ組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の塩素含有ポリマ組成物を、導体を被覆する絶縁材に用いることを特徴とする電線。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の塩素含有ポリマ組成物を、電線を被覆するシースに用いることを特徴とするケーブル。
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