JP5709019B2 - 塩素含有樹脂組成物を用いた電線、及びケーブル並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素含有樹脂組成物に関するものであり、特に、水分により架橋することができる塩素含有樹脂組成物を用いた電線、及びケーブル並びにそれらの製造方法に関する。
塩素含有樹脂として例えばポリクロロプレン等は電線の絶縁層を構成する樹脂に用いられる。塩素含有樹脂を絶縁層に成形する場合、架橋系として、金属酸化物、架橋促進剤、又は過酸化物などを塩素含有樹脂に添加し、混練して樹脂組成物とした後に、樹脂組成物を成形加工する。そして、成型加工された樹脂組成物を加熱することで架橋して絶縁層を形成する。架橋の際の加熱温度は少なくとも100℃以上が必要とされ、また加熱時間は少なくとも10分以上が必要とされる。
ただし、加熱により架橋を行う場合、樹脂組成物を比較的高温で加熱するため、形成された絶縁層を冷却する際に体積収縮が生じ、絶縁層の寸法精度にズレ(外形変動)が生じるという問題がある。また、樹脂組成物を加熱して架橋する場合、加熱する工程を設ける必要性があり、製造工程が複雑となる。さらに、加熱に際して熱エネルギーを消費するという問題もある。
この点、加熱による架橋ではなく、水分によって低温度で架橋する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には、ハロゲン化ポリマの塩素含有樹脂にアミノ有機シランを添加してグラフトする方法が提案されている。塩素含有樹脂にグラフトされたアミノ有機シランは水分により加水分解することでシラノールとなり、シラノールが縮合して、塩素含有樹脂を架橋することになる。
特開昭61−228010号公報
しかしながら、特許文献1の樹脂組成物においては、水分によって低温度で架橋できるものの、架橋されて形成される樹脂成形体の架橋度が低いという問題があった。特許文献1に示すように塩素含有樹脂にシラン化合物をグラフトさせる際には、反応の副生成物として塩化水素が発生することになる。発生した塩化水素は未反応のシラン化合物と反応してアンモニウム塩を生成する。アンモニウム塩の生成により塩素含有樹脂にグラフトすべきシラン化合物が消費され、その量が減少するため、シラン化合物のグラフト率が低下することになる。その結果、塩素含有樹脂の架橋度が低下する。
また、塩化水素は、シラン化合物が加水分解されたシラノールの縮合を促進するため、樹脂組成物は成形機内で早期架橋を起こし、樹脂成形体の外観が不良となる。
本発明は、このような問題に鑑みて成されたもので、その目的は、水分により低温度で架橋可能であって、架橋した際の架橋度が高く、且つ外観が良好となる塩素含有樹脂組成物を用いた電線、及びケーブル並びにそれらの製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、導体の上に絶縁層を有する電線において、前記絶縁層は、塩素含有樹脂と、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトされるシラン化合物と、前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤と、を含有し、前記塩素含有樹脂100質量部に対して、前記シラン化合物の含有量が2質量部以上10質量部以下、前記塩化水素捕捉剤の含有量が1質量部以上10質量部以下である塩素含有樹脂組成物である電線が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記シラン化合物が前記アミノ基を1つ有する、第1の態様の電線が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記塩化水素捕捉剤が、金属酸化物、金属カルボン酸塩、亜リン酸エステル化合物、3級アミン化合物、ピリジン類、ハイドロタルサイト系化合物、ゼオライト、又はこれらの反応生成物の少なくともいずれかを含む、第1の態様又は第2の態様の電線が提供される。
本発明の第4の態様によれば、前記塩素含有樹脂がクロロプレンゴムである、第1〜第3の態様のいずれかの電線が提供される。
本発明の第5の態様によれば、導体上に絶縁層を有する電線の上に又は前記電線を複数撚り合わせてなるコア上にシースを有するケーブルにおいて、前記シースは、塩素含有樹脂と、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトされるシラン化合物と、前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤と、を含有し、前記塩素含有樹脂100質量部に対して、前記シラン化合物の含有量が2質量部以上10質量部以下、前記塩化水素捕捉剤の含有量が1質量部以上10質量部以下である塩素含有樹脂組成物であるケーブルが提供される。
本発明の第6の態様によれば、前記シラン化合物が前記アミノ基を1つ有する第5の態様に記載のケーブルが提供される。
本発明の第7の態様によれば、前記塩化水素捕捉剤が、金属酸化物、金属カルボン酸塩、亜リン酸エステル化合物、3級アミン化合物、ピリジン類、ハイドロタルサイト系化合物、ゼオライト、又はこれらの反応生成物の少なくともいずれかを含む、第5の態様又は第6の態様のケーブルが提供される。
本発明の第8の態様によれば、前記塩素含有樹脂がクロロプレンゴムである、第5〜第7の態様のいずれかのケーブルが提供される。
本発明の第9の態様によれば、導体の上に絶縁層を有する電線の製造方法において、塩素含有樹脂100質量部に対して、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトするシラン化合物2質量部以上10質量部以下、前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤1質量部以上10質量部以下をそれぞれ添加して得られた塩素含有樹脂組成物を、前記導体の上に被覆して絶縁層を形成して、これを水分により架橋する電線の製造方法が提供される。
本発明の第10の態様によれば、導体上に絶縁層を有する電線の上に又は前記電線を複数撚り合わせてなるコアの上にシースを形成するケーブルの製造方法において、前記シースが塩素含有樹脂100質量部に対して、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトするシラン化合物2質量部以上10質量部以下、前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤1質量部以上10質量部以下をそれぞれ添加して得られた塩素含有樹脂組成物を、前記電線又は前記コアの上に被覆してシースを形成して、これを水分により架橋するケーブルの製造方法が提供される。
本発明によれば、架橋した際の架橋度が高く、且つ外観が良好となる塩素含有樹脂組成物を用いた電線及びケーブル並びにそれらの製造方法が得られる。
本発明の一実施形態にかかるケーブルの断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る塩素含有樹脂組成物の製造方法を説明した後、本発明の一実施形態に係る塩素含有樹脂組成物を説明する。
(1)塩素含有樹脂組成物の製造方法
本実施形態の製造方法においては、塩素含有樹脂100質量部に対して、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、アミノ基により塩素含有樹脂にグラフトするシラン化合物2質量部以上10質量部以下、シラン化合物のアミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤1質量部以上10質量部以下をそれぞれ添加し、混練して、塩化水素捕捉剤の存在下で塩素含有樹脂にシラン化合物をグラフトする。
[添加剤]
まず、製造方法において用いる塩素含有樹脂、シラン化合物、及び塩化水素捕捉剤についてそれぞれ説明する。
(塩素含有樹脂)
塩素含有樹脂は樹脂組成物のベースポリマであり、塩素を含有するものであれば特に限定されない。塩素含有樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、エピクロヒドリンゴムなどの塩素含有モノマーから合成された樹脂類、又は塩素化ポリオレフィン、塩素化ブチルゴムなどのポリマ合成された後に塩素化された樹脂類などが挙げられる。塩素含有樹脂の中でもクロロプレンゴムが好ましい。また、これらの樹脂を単独あるいはブレンドしたものであっても良い。
(シラン化合物)
シラン化合物は、アミノ基及び加水分解性シリル基を有している。
アミノ基は、塩素含有樹脂と反応してグラフトする置換基である。シラン化合物はアミノ基により塩素含有樹脂とグラフトすることで、塩素含有樹脂に加水分解性シリル基を導入する。アミノ基としては塩素含有樹脂とグラフトできるものであれば特に限定されず、少なくとも1つの水素原子と結合した窒素原子から構成されるものであることが好ましく、1級アミノ基又は2級アミノ基であることが好ましい。
加水分解性シリル基は加水分解によりシラノール基となり、脱水縮合(シラノール縮合)することで塩素含有樹脂を架橋する。加水分解性シリル基は、例えば下記一般式(1)
に示す構造を有する。
Figure 0005709019

(ただし、Xは加水分解性基を、Rは炭素数1〜20のアルキル基を、nは0、1、又は2を、それぞれ示す。)
一般式(1)に示すように、加水分解性シリル基は、構造中に加水分解可能な置換基(加水分解性基X)を有している。加水分解性シリル基において、ケイ素原子は、主鎖に結合する部分と、加水分解性基などに結合する部分と、を有している。加水分解性基の数は特に限定されず、ケイ素原子1つに対して少なくとも1つあればよく、架橋性及び硬化性の点から2つ以上が好ましく、3つであることがより好ましい。加水分解性基としては、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェノキシ基などがある。これらの加水分解性基を有するシリル基としては、例えばハロシリル基、アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、フェノキシシリル基などが挙げられる。その中でも加水分解が穏やかに進行して取り扱い性に優れる点で、アルコキシ基を含むアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基におけるアルコキシ基の種類は特に限定されず、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などがあり、これらのいずれか1種類又は数種類が選択される。その中でも加水分解性に優れる点からメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
シラン化合物において、上記アミノ基の数は特に限定されないが、数が多いと、それぞれのアミノ基が塩素含有樹脂と反応することで成形加工中に早期架橋が生じ、成形体の外観不良を生じさせる場合がある。このため、シラン化合物におけるアミノ基の数は2つ以下であることが好ましく、1つであることがより好ましい。また、上記加水分解性シリル基の数も特に限定されず、少なくとも1つあればよい。化合物の入手性から、1つ又は2つの加水分解性シリル基を有することが好ましい。
従って、シラン化合物としては、1つのアミノ基及び少なくとも1つの加水分解性シリル基を有することが好ましい。このシラン化合物によれば、水分で塩素含有樹脂組成物を架橋できると共に、塩素含有樹脂の早期架橋を抑制しつつ樹脂成形体の外観を良好とすることができる。
上記シラン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(アミノメチル)トリメトキシシラン、(アミノメチル)メチルジメトキシシラン、(アミノメチル)トリエトキシシラン、(アミノメチル)メチルジエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。また、アミノ基を2つ有するものとして、N−2−アミノエチルーアミノプロピルトリメトキシランなどがある。シラン化合物は、これらに限定されず、従来公知のものを用いることが可能である。
(塩化水素捕捉剤)
塩化水素捕捉剤は、塩素含有樹脂とシラン化合物とのグラフトの際に生じる塩化水素と反応し、塩化水素を中和又は構造中に捕捉して塩化水素の作用を抑制する化合物である。本実施形態の塩化水素捕捉剤としては、シラン化合物のアミノ基に反応する化学構造を有さないものであれば特に限定されない。
「アミノ基に反応する化学構造」としては、例えばクロロ基、クロロカルボニル基、グリシジル基、イソシアネート基、スルホ基、カルボキシル基などがあげられる。これらの構造を有する化合物を塩化水素捕捉剤として使用した場合、シラン化合物中のアミノ基と反応して、塩素含有樹脂にグラフトされるシラン化合物の量が低減し、シラン化合物の塩素含有樹脂へのグラフトの比率(グラフト化率)が低下することになる。
従って、塩化水素捕捉剤としてはアミノ基に反応する化学構造を有さないものであれば特に限定されず、塩化水素と反応し中和するもの、又は塩化水素を構造中に捕捉するものなどを用いることができる。塩化水素と反応し中和するものとしては、例えば金属酸化物、金属カルボン酸塩、亜リン酸エステル化合物、3級アミン化合物、ピリジン類などがある。また塩化水素を構造中に捕捉するものとしては、例えばハイドロタルサイト系化合物、ゼオライトなどがある。
金属酸化物としては、特に限定されず、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化錫、酸化鉛、酸化カドミウム等があるが、環境汚染性がなく、塩化水素の捕捉性能がよいことから酸化亜鉛、酸化マグネシウムが好ましい。
金属カルボン酸塩としては、特に限定されず、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、カドミウム、ストロンチウム、鉛、ナトリウムなどの金属元素と、炭素数7〜20の長鎖カルボン酸との塩などがある。この中でも樹脂との相溶性、環境汚染性、塩化水素の捕捉性能が良いことから、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などが好ましい。これら金属カルボン酸塩は2種類以上を併用してもかまわない。
亜リン酸エステル化合物としては、特に限定されず、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニル・フエニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリチルジホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリラウリル・トリチオホスファイト等が挙げられる。この中でも塩化水素の捕捉性能が良いことから、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイトが好ましい。
3級アミン化合物としては、特に限定されず、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン等がある。
ピリジン類としては、特に限定されず、ピリジン、ビピリジニル、ピコリン、5−エチ
ル−2−ピコリン、ルチジン、2,6−ジ−tert−ブチルピリジンなどがある。
ハイドロタルサイト系化合物としては、マグネシウム、アルミニウム等の金属イオンを含み、天然に産出するハイドロタルサイトを用いることができる。また、2価の金属塩及び3価の金属塩を含む水溶液とアルカリ性溶液との混合による共沈法等により合成される合成品としてのハイドロタルサイトを用いることができる。更に、亜鉛等の金属イオンを添加して合成されるハイドロタルサイトを用いることができる。
また、ゼオライトとしては、アルカリ金属元素もしくはアルカリ土類金属元素と、酸化アルミニウム、酸化ケイ素からなる多孔質な骨格構造の結晶体を用いることができる。
[製造工程]
まず、塩素含有樹脂100質量部に対して、上記塩化水素捕捉剤を1質量部以上10質量部以下添加して混練する。塩化水素捕捉剤は塩素含有樹脂に添加、混合されて樹脂中に分散した状態となる。
塩素含有樹脂組成物において、塩化水素捕捉剤の含有量が1質量部未満の場合、グラフトの際に発生する塩化水素を捕捉することが不十分となり、グラフト化率が低下し、架橋度が低下する。一方、10質量部を超過する場合、架橋成形された樹脂成形体の表面に塩化水素捕捉剤が析出する現象、いわゆるブリード現象あるいはブルーム現象が生じる。
続いて、塩化水素捕捉剤を含有する塩素含有樹脂に、シラン化合物を2質量部以上10質量部以下添加して混練することで塩素含有樹脂組成物を製造する。樹脂中に添加されたシラン化合物はアミノ基により塩素含有樹脂にグラフトされる。グラフトにより塩素含有樹脂には加水分解性シリル基が導入されることになる。グラフトの際に副生成物として塩化水素が発生するが、発生する塩化水素は塩化水素捕捉剤により捕捉される。このため、塩化水素は未反応のシラン化合物との反応が抑制され、シラン化合物の消費が抑制される。その結果、グラフトするシラン化合物の量が減少せず、シラン化合物のグラフト化率が向上することになる。
塩素含有樹脂組成物において、シラン化合物の含有量が2質量部未満の場合、塩素含有樹脂の分子間を架橋することが不十分となる。一方、10質量部を超過する場合、塩素含有樹脂と未反応のシラン化合物が樹脂組成物内に残存し、これが架橋後に樹脂成形体表面に析出する現象、いわゆるブリード現象が発生する。
上記実施形態の製造方法において、シラン化合物及び塩化水素捕捉剤の添加順序は特に限定されないが、塩化水素捕捉剤を予め添加することが好ましい。この構成によれば、塩化水素捕捉剤が存在する樹脂組成物中にシラン化合物を添加できるため、添加の際に生じる塩化水素の作用を極力抑制することができる。
(2)塩素含有樹脂組成物
上記製造方法により得られる塩素含有樹脂組成物は、塩素含有樹脂と、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、アミノ基により塩素含有樹脂にグラフトされるシラン化合物と、シラン化合物のアミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤と、を含有する。そして、塩素含有樹脂100質量部に対して、シラン化合物の含有量が2質量部以上10質量部以下、塩化水素捕捉剤の含有量が1質量部以上10質量部以下となっている。
塩素含有樹脂組成物において、塩素含有樹脂はシラン化合物とグラフトしており、塩素含有樹脂には加水分解性シリル基が導入されている。塩化水素捕捉剤は、その一部又は全部が塩化水素を中和又は捕捉することで塩化水素との反応生成物となっており、塩素含有樹脂組成物中の塩化水素捕捉剤には塩化水素との反応生成物が含まれることになる。
上記製造方法により得られる塩素含有樹脂組成物は、シラン化合物の塩素含有樹脂へのグラフト化率が高く、加水分解性シリル基を多く有している。このため、塩素含有樹脂組成物を水分に接触させて樹脂成形体を形成する場合、加水分解により多くのシラノール基が形成されることとなり、架橋度が高く、外観の良好な樹脂成形体となる。
また、上記塩素含有樹脂組成物は、その目的に応じて以下に示す各種配合剤を含有しても良い。
(老化防止剤)
老化防止剤は、一次老化防止剤としてフェノール系又はアミン系があり、二次老化防止剤として硫黄系がある。また、老化防止剤は、一次老化防止剤と二次老化防止剤とを併用しても良い。
フェノール系の一次老化防止剤には、モノフェノール系、ビスフェノール系、及びポリフェノール系のそれぞれに分類される一次老化防止剤がある。モノフェノール系の一次老化防止剤は、例えば、2,2´−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6´−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、又はモノ(α−メチルベンジル)等が挙げられる。また、ビスフェノール系の一次老化防止剤は、例えば、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンとのブチル化反応生成物、又はジ(α−メチルベンジル)等が挙げられる。また、ポリフェノール系の一次老化防止剤は、例えば、2,5´−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5´−ジ−t−アミルハイドロキノン、トリ(α−メチルベンジル)等が挙げられる。
アミン系の一次老化防止剤としては、キノリン系や芳香族第二級アミン系がある。キノリン系の老化防止剤は、例えば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、又は6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン等が挙げられる。芳香族第二級アミン系の老化防止剤は、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4´−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジエニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N´−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−イソプロピル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、又はN−フェニル−N´−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
硫黄系の二次老化防止剤には、ベンゾイミダゾール系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系、及び有機チオ酸系のそれぞれに分類される二次老化防止剤がある。ベンゾイミダゾール系の二次老化防止剤は、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、又は2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩等が挙げられる。また、ジチオカルバミン酸塩系の二次老化防止剤は、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、又はジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。更に、チオウレア系の二次老化防止剤は、例えば、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、又はトリブチルチオ尿素等が挙げられる。更に、有機チオ酸系の二次老化防止剤は、チオジプロピオン酸ジラウリル等が挙げられる。
(加工助剤)
混練又は成形時の加工性を安定させるための加工助剤としては、例えば、石油系油(すなわち、プロセス油)、又は芳香環(ベンゼン環)を含むエステル系可塑剤を用いることができる。プロセス油としては、パラフィン系油、アロマチック系油、又はナフテン系油等が挙げられる。エステル系可塑剤としては、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(Dioctyl phthalate=DOP)、フタル酸ジイソノニル(Diisononyl phthalate:DINP)、フタル酸ジイソデシル(Diisodecyl phthalate:DIDP)、又はトリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(Trioctyl trim ellitate):TOTM)等の芳香環を分子中に有した可塑剤が挙げられる。なお、加工助剤は、プロセス油又はエステル系可塑剤のいずれかを単独で用いるか、若しくは、プロセス油及び/又はエステル系可塑剤の中から複数の化合物を選択して混合した混合物を用いることができる。
(難燃剤)
難燃性を付与するための難燃剤には無機系の難燃剤又は有機系の難燃剤がある。
無機系の難燃剤としては、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、又はリン系化合物等が挙げられる。
また、有機系の難燃剤としては、塩素系、臭素系等のハロゲン系有機難燃剤がある。塩素系の難燃剤は、塩素化パラフィン、又はパークロロシクロペンタデカンが挙げられる。臭素系の難燃剤は、例えば、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレン−(5,6−ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、エチレンビス(ペンタブロモベンゼン)等が挙げられる。難燃剤は、無機系の難燃剤又は有機系の難燃剤のいずれかを単独で用いるか、若しくは、無機系の難燃剤及び/又は有機系の難燃剤の中から複数の難燃剤を選択して混合した混合物を用いることができる。
(充填剤・補強剤)
充填剤・補強剤として、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー等が挙げられる。
(シラノール縮合触媒)
成形後の架橋速度を向上させるためのシラノール縮合触媒としては、例えばジブチル錫ジラウリレートやジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫ジアセトアセトネートなどの有機錫化合物、ネオデカン酸錫などの無機錫化合物、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)などのチタン化合物、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)などのジルコニウム化合物等が挙げられる。
(3)樹脂成形体、電線、ケーブル
次に、上記塩素含有樹脂組成物から形成される樹脂成形体、電線、及びケーブルについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るケーブルの断面図を示す。図1に示すように、ケーブル20は、導体1及び導体1を被覆する絶縁層2を備える電線10からなるコア(図中では1本の電線10)の外周にシース3を備える。
導体1は、例えば、銅又は銅合金等の導電性材料から形成され、所定の導体断面積を有する。導体1の導体径は特に限定されず、用途に応じて最適な数値が適宜選択される。
押出成形機などを用いて導体1上に塩素含有樹脂組成物を押し出して被覆する。その後、室温雰囲気中に放置し、湿気による架橋を起こすことで、樹脂成形体としての絶縁層2を形成し、電線10を得る。樹脂成形体の形成において、塩素含有樹脂組成物は室温雰囲気中の湿気によって加水分解性シリル基が加水分解を起こし、シラノール基となる。シラノール基はシラノール縮合により脱水縮合を起こし、塩素含有樹脂の異なる分子間を架橋して、樹脂成形体となる。絶縁層2の厚さは特に限定されず、用途に応じて最適な厚さが選択される。
続いて、上記電線10をコアとして、コアの周囲に押出成形機などを用いて塩素含有樹脂組成物を押し出して被覆する。その後、絶縁層2の形成と同様にして、樹脂成形体としてのシース3を形成し、ケーブル20を得る。
なお、上記実施形態においては、1本の電線上にシースを形成したケーブルの場合について説明したが、電線を2本以上とすることも可能である。また、絶縁層又はシースのいずれか一方を塩素含有樹脂組成物で構成してもよい。
(4)本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、塩素含有樹脂とシラン化合物とのグラフトの際に発生する塩化水素の作用を抑制する塩化水素捕捉剤を含有している。しかも、塩化水素捕捉剤としてシラン化合物と反応する化学構造を有さないものを用いている。このため、塩化水素とシラン化合物との反応によるアンモニウム塩の生成が抑制されて未反応のシラン化合物の消費が抑制されることで、シラン化合物の塩素含有樹脂へのグラフト化率を向上することができる。その結果、水分による架橋に際して、架橋度が高く、且つ外観が良好な樹脂成形体とすることができる。
また、本実施形態において、シラン化合物として、1つのアミノ基及び少なくとも1つの加水分解性シリル基を有するシラン化合物を用いることで、樹脂組成物を架橋する際の早期架橋を抑制して、架橋された樹脂成形体の外観を良好なものとすることができる。
また、塩素含有樹脂組成物が水分により架橋された樹脂成形体からなる絶縁層又はシースによれば、架橋度が高く、押出表面荒れや表面析出物の発生が抑制されるため、外観の良好な電線又はケーブルとすることができる。
以下の方法及び条件で、本発明に係る電線を製造した。これらの実施例は、本発明に係るケーブルの一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(実施例1)
塩素含有樹脂としてのメルカプタン変性ポリクロロプレン(分子量:約20万)100質量部に対して、塩化水素捕捉剤としての酸化マグネシウム5質量部を混合し、ニーダにより混練することで樹脂組成物とする。その後、樹脂組成物を130mm押出機のフィーダより供給し、シラン化合物としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン3質量部をフィーダの下部より注入して、実施例1の塩素含有樹脂組成物を調整する。得られた塩素含有樹脂組成物を、絶縁層を備える電線の外側へ被覆すると同時にポリクロロプレンにシラン化合物をグラフト化した。その後、室温雰囲気中に放置して、湿気による架橋を起こし、実施例1のケーブルを製造した。なお、その軟銅撚線の導体の断面積、絶縁層の厚さ、シースの厚さを、それぞれ38mm2、1.2mm、2.1mmとした。
続いて、製造された実施例1のケーブルにおけるシースの架橋度及び外観を評価した。それぞれの評価方法について以下に説明する。
(架橋度)
ケーブルのシースの架橋度は、ポリクロロプレンのゲル分率を測定することによって評価した。具体的には、実施例1のケーブルを23℃50%RHの雰囲気内に1週間放置した後、THF(テトラヒドロフラン)溶媒に浸漬してシース中の未架橋分子を溶媒中に抽出した。そして、未架橋分子の抽出前の重量と、抽出後の重量と、の重量比からゲル分率を算出した。そして、ゲル分率が70%以上のものを良と判断して「○」、70%に満たないものを不良と判断して「×」とした。
実施例1のケーブルのシースの架橋度を測定したところ、ゲル分率が70%であり、合格であった。
(外観評価)
外観評価としては、押出表面荒れ、及び表面析出物の有無を確認した。
押出表面荒れは、押し出したシースの表面を目視で観察評価した結果であり、良と判断したものを「○」、可と判断したものを「△」、不良と判断したものを「×」とした。
また、表面析出物の有無は、作製したケーブルを室温雰囲気に30日間放置した後のシース表面を目視で観察し、表面析出物のないものを良と判断して「○」、粉状又は液状の析出物があったものを不良と判断し「×」とした。
実施例1のケーブルの外観を目視したところ、表面荒れが確認されず、良好な押出し外観であった。また表面析出物も確認されなかった。実施例1の塩素含有樹脂組成物の調整条件、及び評価結果を以下の表1にまとめた。
Figure 0005709019
(実施例2〜6)
実施例2〜4では、上記実施例1のシラン化合物の含有量を変更した以外は、実施例1と同様にしてケーブルを製造した。シラン化合物の含有量として、実施例2では2質量部、実施例3では7質量部、実施例4では10質量部とした。
実施例5及び実施例6では、実施例1のシラン化合物の種類を変更した以外は、実施例1と同様にしてケーブルを製造した。実施例5では3−アミノプロピルトリエトキシシランを、実施例6ではアミノ基を2つ有するN−2−アミノエチルーアミノプロピルトリメトキシランをそれぞれ用いた。
実施例2〜6のケーブルの架橋度を実施例1と同様に評価したところ、いずれのケーブルにおいてもゲル分率が高く、架橋度が高いことが確認された。また外観を評価したところ、いずれのケーブルにおいても外観の不良は確認されなかった。ただし、実施例6のケーブルでは、押出表面荒れの評価において鮫肌状の荒れが一部確認されたため、可の「△」の評価となった。これは、実施例6では2つのアミノ基を有するシラン化合物を用いており、グラフトが早く、結果的に早期架橋が生じたため、と考えられる。
(実施例7〜13)
実施例7〜9では、上記実施例1の塩化水素捕捉剤の含有量を変更した以外は、実施例1と同様にしてケーブルを製造した。塩化水素捕捉剤の含有量として、実施例7では1質量部、実施例8では5質量部、実施例9では10質量部とした。
実施例10〜13では、上記実施例1の塩化水素捕捉剤の種類を変更した以外は、実施例1と同様にしてケーブルを製造した。塩化水素捕捉剤として、実施例10ではステアリン酸バリウムを、実施例11ではトリオクチルホスファイトを、実施例12では2,6−ルチジンを、実施例13ではハイドロタルサイトをそれぞれ用いた。
得られた実施例7〜13のケーブルについて、上記実施例1と同様にして、ゲル分率(架橋度)及び外観を評価したところ、いずれのケーブルにおいてもゲル分率が高く、架橋度が高いことが確認された。またいずれのケーブルにおいても外観の不良は確認されなかった。実施例7〜13の塩素含有樹脂組成物の調整条件、及び得られたシースの評価結果を以下の表2にまとめた。
Figure 0005709019
(比較例1)
比較例1では、塩化水素捕捉剤を含有しない以外は実施例1と同様にしてケーブルを製造した。
比較例1のケーブルについて、上記実施例1と同様にして架橋度及び外観を評価したところ、押出し表面荒れや表面抽出物は確認されなかったが、ゲル分率が57%と70%よりも低く、十分な架橋度を有さないことが分かった。これは、シラン化合物の塩素含有樹脂へのグラフトの際に生じる塩化水素によって、未反応のシラン化合物が消費されてグラフトが阻害されることで、最終的に架橋する塩素含有樹脂が少なくなったためと考えられる。比較例1の塩素含有樹脂組成物の調整条件、及び得られたシースの評価結果を以下の表3にまとめた。なお、表3では本発明の範囲から外れる数値及び特性の得られなかった項目について下線で示している。
Figure 0005709019
(比較例2)
比較例2では、塩化水素捕捉剤として、シラン化合物のアミノ基と反応するグリシド基を有するエポキシ化大豆油を用いた点以外は、実施例1と同様にしてケーブルを製造した。
得られた比較例2のケーブルを実施例1と同様に評価したところ、外観不良は確認されなかったが、ゲル分率が低く、架橋度が低いことが分かった。これは、グリシド基を有する塩化水素捕捉剤によってシラン化合物が消費されて、塩素含有樹脂とのグラフトが阻害されて、架橋度が低下したものと考えられる。
(比較例3〜6)
比較例3及び比較例4では、シラン化合物の含有量を本発明の範囲外とした以外は、実施例1と同様にしてケーブルを製造した。シラン化合物の含有量として、比較例3では1質量部、比較例4では11質量部とした。
得られたケーブルを評価したところ、比較例3ではゲル分率が低く、架橋度が低いことが確認された。一方、比較例4ではゲル分率が高いものの、シースの表面に液状の析出物が検出され、表面析出物の発生が確認された。
比較例5及び比較例6では、塩化水素捕捉剤の含有量を本発明の範囲外とした以外は、実施例1と同様にしてケーブルを製造した。塩化水素捕捉剤の含有量として、比較例5では0.5質量部、比較例6では11質量部とした。
得られたケーブルを評価したところ、比較例5ではゲル分率が低く、所定の架橋度を得られないことが分かった。一方、比較例6ではシースの表面に粉状の析出物が検出され、表面析出物の発生が確認された。
1 導体
2 絶縁層
3 シース
10 電線
20 ケーブル

Claims (10)

  1. 導体の上に絶縁層を有する電線において、
    前記絶縁層は、
    塩素含有樹脂と、
    アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトされるシラン化合物と、
    前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤と、を含有し、
    前記塩素含有樹脂100質量部に対して、前記シラン化合物の含有量が2質量部以上10質量部以下、前記塩化水素捕捉剤の含有量が1質量部以上10質量部以下である塩素含有樹脂組成物であることを特徴とする電線
  2. 前記シラン化合物が前記アミノ基を1つ有することを特徴とする請求項1に記載の電線。
  3. 前記塩化水素捕捉剤が、金属酸化物、金属カルボン酸塩、亜リン酸エステル化合物、3級アミン化合物、ピリジン類、ハイドロタルサイト系化合物、ゼオライト、又はこれらの反応生成物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電線。
  4. 前記塩素含有樹脂がクロロプレンゴムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電線。
  5. 導体上に絶縁層を有する電線の上に又は前記電線を複数撚り合わせてなるコア上にシースを有するケーブルにおいて、
    前記シースは、
    塩素含有樹脂と、
    アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトされるシラン化合物と、
    前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤と、を含有し、
    前記塩素含有樹脂100質量部に対して、前記シラン化合物の含有量が2質量部以上10質量部以下、前記塩化水素捕捉剤の含有量が1質量部以上10質量部以下である塩素含有樹脂組成物であることを特徴とするケーブル。
  6. 前記シラン化合物が前記アミノ基を1つ有することを特徴とする請求項5に記載のケーブル。
  7. 前記塩化水素捕捉剤が、金属酸化物、金属カルボン酸塩、亜リン酸エステル化合物、3級アミン化合物、ピリジン類、ハイドロタルサイト系化合物、ゼオライト、又はこれらの反応生成物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載のケーブル。
  8. 前記塩素含有樹脂がクロロプレンゴムであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のケーブル。
  9. 導体の上に絶縁層を有する電線の製造方法において、
    塩素含有樹脂100質量部に対して、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトするシラン化合物2質量部以上10質量部以下、前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤1質量部以上10質量部以下をそれぞれ添加して得られた塩素含有樹脂組成物を、前記導体の上に被覆して絶縁層を形成して、これを水分により架橋することを特徴とする電線の製造方法。
  10. 導体上に絶縁層を有する電線の上に又は前記電線を複数撚り合わせてなるコアの上にシースを形成するケーブルの製造方法において、
    前記シースが塩素含有樹脂100質量部に対して、アミノ基及び加水分解性シリル基を有し、前記アミノ基により前記塩素含有樹脂にグラフトするシラン化合物2質量部以上10質量部以下、前記シラン化合物の前記アミノ基に反応する化学構造を有さない塩化水素捕捉剤1質量部以上10質量部以下をそれぞれ添加して得られた塩素含有樹脂組成物を、前記電線又は前記コアの上に被覆してシースを形成して、これを水分により架橋することを特徴とするケーブルの製造方法。
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