JP2021155588A - 架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法 - Google Patents

架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性及び引張特性の低下が抑制され、耐摩耗性に優れたフッ素ゴム組成物、この架橋フッ素ゴム組成からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材、及びその製造方法を提供する。【解決手段】テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、BET比表面積が80〜300m2/gの乾式シリカ(X)を6〜25質量部含有し、前記乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを、前記乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下含有する架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理してなる、架橋フッ素ゴム組成物、この架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材、及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法に関する。
電気・電子機器分野や産業分野、自動車に使用される絶縁電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコード(光ファイバーケーブル)の配線材には、耐熱性、機械特性(例えば、引張特性)など種々の特性が要求されている。
耐熱性が要求される用途には、通常、架橋ポリエチレンなどの樹脂で形成した被覆層を導体の外周面に有する配線材が用いられており、これと同等又は高い耐熱性が求められる場合には、架橋フッ素ゴム組成物で形成した被覆層を有する配線材が用いられてきた。例えば、特許文献1には、シラン架橋法により得られる架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材が開示されている。
国際公開第2017/138642号
配線材は、使用の形態によっては、屈曲されたり、引き回されたりするため、配線材同士の擦れ又は配設部との擦れが生じ、また連続的な製造方法においてもローラやコンベア等の搬送部との擦れが生じ、このような擦れに対して、より高いレベルでの耐久性(耐摩耗性)が求められる。しかし、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材(被覆層)は耐摩耗性が十分ではなく、改善の余地があった。架橋フッ素ゴム組成物に無機フィラーを配合することにより配線材の耐摩耗性を改善できることが多いが、耐摩耗性を改善することはできても、配線材に通常要求されるレベルの耐熱性及び/又は機械特性が維持できない場合があった。
本発明は、耐熱性及び機械特性の低下が抑制され、耐摩耗性に優れた架橋フッ素ゴム組成物及びこのフッ素ゴム組成物で形成した被覆層を有する配線材、さらにはこの配線材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、フッ素ゴムと併用するフィラー及び樹脂を、架橋方法を含めて検討し、その結果、フッ素ゴムとして選択したテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムに対して、シリカの中でも乾式シリカを選択したうえで、そのBET比表面積及び使用量を特定の範囲に設定し、架橋反応処理することにより、架橋フッ素ゴム組成物が有する耐熱性及び機械特性を大きく低下させることなく、耐摩耗性を改善できることを見出した。本発明者らはこの知見に基づき、更に研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
〔1〕
下記架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理してなる、架橋フッ素ゴム組成物。
[架橋性フッ素ゴム組成物]
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)を6〜25質量部含有し、前記乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを、前記乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下含有する架橋性フッ素ゴム組成物。
〔2〕
前記ベースゴム100質量%中に、前記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを60質量%以上とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を3〜40質量%とを含有する〔1〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔3〕
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニル含有量が15〜30質量%である〔2〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔4〕
前記ベースゴム中にフッ素樹脂を含有する〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔5〕
前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースゴム100質量部に対して、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、前記ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有する、〔1〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材。
〔7〕
下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する配線材の製造方法。
工程(A):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、前記ベースゴムにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、前記乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下の、前記乾式シリカ(X)以外の無機フィラーと、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(C):工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
〔8〕
前記ベースゴム100質量%中に、前記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを60質量%以上含有し、かつエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を3〜40質量%含有する〔7〕に記載の配線材の製造方法。
〔9〕
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニル含有量が15〜30質量%である〔8〕に記載の配線材の製造方法。
〔10〕
前記ベースゴム中にフッ素樹脂を含有する〔7〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の配線材の製造方法。
〔11〕
〔7〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる配線材。
本発明によれば、耐熱性及び引張特性の低下を抑制しながらも、耐摩耗性に優れた架橋フッ素ゴム組成物及びそれを用いた配線材を提供することができる。さらに、この配線材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[架橋フッ素ゴム組成物]
本発明の架橋フッ素ゴム組成物は、後述する架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理してなる架橋物である。
本発明の架橋フッ素ゴム組成物は、少なくともベースゴムが直接又は架橋剤等を介して架橋した架橋構造を有しており、機械特性、耐熱性、及び耐摩耗性を高い水準でバランスよく発揮する。架橋構造は、架橋性フッ素ゴム組成物を架橋させる架橋反応(架橋法)の種類によって異なり、明確かつ一概に規定できるものではない。
架橋性フッ素ゴム組成物を架橋させる架橋反応(架橋法)は、特に制限されず、公知の樹脂架橋法、例えばポリオレフィン等の架橋反応を適用できる。例えば、電子線架橋法、有機過酸化物架橋法、シラン架橋法が挙げられる。特殊な設備を要せずに高い生産性で架橋反応処理可能となる点で、シラン架橋法が好ましい。
本発明において、有機過酸化物架橋法とは、化学架橋法の1つであり、熱を加えることにより有機過酸化物等を分解させて生じるラジカルによってベースゴム同士を直接架橋反応させる方法(有機過酸化物架橋法)をいう。また、シラン架橋法とは、有機過酸化物架橋法とは別の化学架橋法であり、架橋触媒として有機過酸化物を含有する架橋性フッ素ゴム組成物において、有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱して有機過酸化物から生じるラジカルによって架橋剤としてのシランカップリング剤をベースゴムにグラフト化反応させてシラングラフトゴムを得た後に、所望により成形し、次いで、好ましくはシラノール縮合触媒の存在下で、シラングラフトゴムを水分と接触させることにより、シランカップリング剤をシラノール縮合反応させる方法をいう。
本発明の架橋フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム組成物の架橋物であるため、配線材に通常、要求される耐熱性を示す。
[架橋性フッ素ゴム組成物]
本発明に用いる架橋性フッ素ゴム組成物は、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)(以下、乾式シリカ(X)ということがある)を6〜25質量部含有し、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下含有し、適用する架橋法に応じて必須の又は好適な後述する成分を更に含有してもよい組成物である。
この架橋性フッ素ゴム組成物は、後述する架橋反応処理により、少なくともベースゴムが架橋しうる組成物であればよく、適用する架橋反応の種類等により、上記成分に加えて更に架橋剤、架橋助剤、架橋触媒、架橋促進剤等を適宜含有することが好ましい。
本発明において、電子線架橋法、有機過酸化物架橋法又はシラン架橋法に好適に適用可能な架橋性フッ素ゴム組成物を、それぞれ、電子線架橋性フッ素ゴム組成物、有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物又はシラン架橋性フッ素ゴム組成物ということがある。
電子線架橋性フッ素ゴム組成物又は有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物は、上述のベースゴム及び乾式シリカ(X)、さらには必要により含有される乾式シリカ(X)以外の無機フィラー、に加えて、架橋助剤及び/又は有機過酸化物を含有することが好ましい。さらに、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シラン架橋性フッ素ゴム組成物は、上述の、ベースゴム及び乾式シリカ(X)、さらには必要により含有される乾式シリカ(X)以外の無機フィラー、に加えて、ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤、及びシラノール縮合触媒を含有することが好ましい。シラン架橋性フッ素ゴム組成物において、シランカップリング剤は少なくとも一部がベースゴムにグラフト化反応していればよく、残りはグラフト化反応していなくてもよい。
シラン架橋性フッ素ゴム組成物の好ましい態様は、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下の、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーと、シラノール縮合触媒とを含有するシラン架橋性フッ素ゴム組成物である。
以下に、本発明に用いる各成分について説明する。
<ベースゴム>
ベースゴムは、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム(FEPM)(以下、フッ素ゴムということがある)を含有する。ベースゴムがフッ素ゴムを含有すると、得られる架橋フッ素ゴム組成物に、耐熱性を付与することができる。
− テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム −
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレンとプロピレンとの共重合体のゴムであって、架橋反応しうるものであれば、特に限定されない。第3の共重合成分として、テトラフルオロエチレン及びプロピレンと重合可能な、種々の重合性成分を共重合させたフッ素ゴムも含まれる。
フッ素ゴムとしては、架橋反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有するゴムが好ましく挙げられる。例えば、シラン架橋法に用いる場合、シランカップリング剤のグラフト化反応可能な部位と有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位を有するものが好ましい。電子線架橋法又は有機過酸化物架橋法に用いる場合、電子線の照射又は有機過酸化物から発生するラジカルの存在により、架橋反応可能な部位を有するものが好ましい。このような架橋反応可能な部位及びグラフト化反応可能な部位としては、特に制限されないが、例えば、炭素鎖中の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子が挙げられる。テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
− 他のゴム又は樹脂 −
ベースゴムは、フッ素ゴムの他に、他のゴム又は樹脂を含有してもよい。
フッ素ゴム以外の他のゴム、及び樹脂は特に制限されず、配線材の被覆材料として通常用いられるものを特に制限されることなく用いることができる。フッ素ゴムと同様に、シラン架橋法に用いる場合には、有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位を、電子線架橋又は有機過酸化物架橋に持ちる場合には、ラジカルの存在下で架橋反応可能な部位を有するものが好ましい。ゴムとしては、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合ゴムが挙げられる。中でも、樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、フッ素樹脂、及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂が好ましい。これらは1種又は2種以上を併用できる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、架橋反応しうるものであれば、特に限定されず、エチレンと酢酸ビニルとを共重合して得られる共重合体樹脂等が挙げられる。ベースゴムがエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂を含有すると、得られる架橋フッ素ゴム組成物に、優れた、機械特性及び耐熱性等を付与することができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、その酢酸ビニル含有量(VA)が15〜35質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることがさらに好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル含有量が上記範囲内にあると、耐摩耗性をより一層高めることができる。加えて、フッ素ゴムとエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂との相溶性をより一層高めることができる。同様の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を2種以上併用する場合についても、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂それぞれが上記範囲の酢酸ビニル含有量を有していることが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル含有量は、JIS K 7192に準拠して求めることができる。
フッ素樹脂としては、主鎖又は側鎖にフッ素原子を含有する、単独重合体若しくは共重合体の樹脂が挙げられる。フッ素樹脂は、通常、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)を(共)重合することにより、得られる。ベースゴムがフッ素樹脂を含有すると、得られる架橋フッ素ゴム組成物に、優れた、耐摩耗性等を付与することができる。
このようなフッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン等のペルフルオロ炭化水素、及び、フッ化ビニリデンなどの部分フッ素炭化水素等の含フッ素モノマー同士の共重合体の樹脂、さらにはこれらの含フッ素モノマーとエチレンなどの炭化水素の共重合体((ただし、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを除く)の樹脂が挙げられる。
具体的には、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル共重合体樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂などが挙げられる。なかでも、エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、又はその組合せが好ましい。
フッ素樹脂の融点は、240℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。融点が高すぎると、混練り時あるいは押出時にコンパウンドや成形体に発泡を生じさせる場合がある。融点はASTM D3159に基づき測定することができる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂は、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体の樹脂であれば特に限定されない。ベースゴムがエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂を含有すると、得られる架橋フッ素ゴム組成物に、優れた、耐摩耗性等を付与することができる。エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。
− ベースゴム中の各成分の含有率等 −
ベースゴムは、フッ素ゴム100質量%でもよいが、他のゴム又は樹脂を含有していてもよい。ベースゴムが、フッ素ゴムに加えて、他のゴム又は樹脂を含有する場合には、各成分の含有量の合計が100質量%となるように、適宜調整される。
ベースゴム100質量%中のフッ素ゴムの含有率は、特に限定されないが、耐熱性を付与する観点からは、60質量%以上が好ましく、60〜90質量%がより好ましく、65〜85質量%が特に好ましい。
ベースゴム100質量%中のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の含有率は、特に限定されないが、3〜40質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、7〜20質量%が特に好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の含有率が上記範囲内であると、機械特性と耐熱性とを両立することができる。
ベースゴムは、フッ素ゴムに加えて、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有することが好ましく、ベースゴム100質量%中に、フッ素ゴムを60質量%以上とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を3〜40質量%とを含有することが好ましい。
ベースゴム100質量%中の、フッ素樹脂の含有率は、特に限定されないが、5〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、7〜20質量%が特に好ましい。フッ素樹脂の含有率が上記範囲内であると、架橋フッ素ゴム組成物の耐摩耗性をさらに向上させることができる。
ベースゴム100質量%中の、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂の含有率は、特に限定されないが、5〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、7〜20質量%が特に好ましい。エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂の含有率が上記範囲内であると、機械特性と耐熱性とを両立できる。
機械特性と耐熱性の両立の観点からは、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂の含有量とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の含有量とは合計がベースゴム100質量%中の、5〜25質量%であることが好ましい。
<BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ>
架橋性フッ素ゴム組成物は、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカを含有する。乾式シリカ(X)は、上記組成を有するベースゴムに対して密着して、耐摩耗性の向上に寄与する。
乾式シリカとは、乾式法で製造されたシリカをいう。乾式シリカ(X)としては、乾式法で製造されたものを特に制限なく使用することができる。乾式シリカ(X)は、その表面に、ベースゴムと吸着、結合、又は相互作用(例えば、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用等による))して密着可能な部位を有しているものが好ましく、特に後述するシラン架橋法に用いる場合、乾式シリカ(X)は、その表面に、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものが好ましい。上記密着可能な部位は、特に制限されず、上記化学結合しうる部位として機能するものであってもよく、密着可能な部位及び化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、カルボキシ基、シラノール基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。乾式シリカとしては、市販品を用いることができる。乾式シリカ(X)は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、乾式シリカ(X)と後述する乾式シリカ(X)以外の乾式シリカを併用する場合についても、それぞれが所定のBET比表面積を有するものとする。
乾式シリカ(X)のBET比表面積は、80〜300m/gであり、機械特性及び耐熱性を大きく損なわずに、耐摩耗性を付与し、さらに優れた押出外観品質を付与する観点からは、90〜250m/gが好ましく、150〜220m/gがより好ましい。
BET比表面積(m/g)は、JIS Z 8830:2013の「キャリアガス法」に準拠して、吸着質として窒素ガスを用いて、測定される値である。例えば、比表面積・細孔分布測定装置「フローソーブ」(島津製作所社製)を用いて測定した値である。
乾式シリカ(X)の含有量は、ベースゴム100質量部に対して、6〜25質量部であり、8〜20質量部が好ましく、8〜15質量部がより好ましい。
<BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ以外の無機フィラー>
BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ以外の無機フィラー(以下、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーという)としては、通常、配線材の製造に用いられるものを特に制限なく使用することができる。乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを添加すると、増量させてコストを抑制できる点で好ましい。加えて、耐熱性、引張特性、難燃性等を調整できる点で好ましい。以下、乾式シリカ(X)と乾式シリカ(X)以外の無機フィラーとを合わせて単に「無機フィラー」という場合がある。
乾式シリカ(X)以外の無機フィラーは、乾式シリカ(X)と同様に、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位と化学結合しうる部位を有するものが好ましい。
乾式シリカ(X)以外の無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基若しくは結晶水を有する化合物のような金属水和物、更には、窒化ほう素、シリカ(乾式シリカ(X)以外の乾式シリカ、湿式シリカ)、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛が挙げられる。乾式シリカ(X)以外の無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、及びタルクからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。シラン架橋法における(溶融)混合時の発泡を抑制する観点からは、湿式シリカを使用しないことが好ましい。乾式シリカ(X)以外の無機フィラーは、通常の表面処理剤で表面処理されたものを用いることもできる。
乾式シリカ(X)以外の無機フィラーは、粒子であることが好ましく、その平均粒径は適宜に設定される。
乾式シリカ(X)以外の無機フィラーのBET比表面積(m/g)は、特に制限されない。
乾式シリカ(X)以外の無機フィラーの含有量は、耐摩耗性の低下を軽減する観点からは、ベースゴム100質量部に対する乾式シリカ(X)の含有量の2倍以下であり、1.7倍以下が好ましく、1.5倍以下がより好ましく、同量以下がさらに好ましい。乾式シリカ(X)以外の無機フィラーの添加による効果の観点からは、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーの含有量の下限は0.1質量部以上が実際的である。耐摩耗性を優れたものとする観点からは、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを添加しないことが好ましい。
<他の成分>
架橋性フッ素ゴム組成物は、さらに、必要に応じて以下の成分を含んでいてもよい。
− 架橋助剤 −
架橋性フッ素ゴム組成物を電子線架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物は架橋助剤を含有してもよい。架橋助剤としては、電子線架橋法に通常用いられるものを特に制限されることなく用いることができる。
架橋助剤としては、通常、多官能性化合物が挙げられ、例えば、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の(メタ)アタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物が挙げられる。トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
架橋助剤の、架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量は、適宜に設定され、例えば、ベースポリマー100質量部に対して3〜15質量部に設定することができる。
− シランカップリング剤 −
架橋性フッ素ゴム組成物を電子線架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物はシランカップリング剤を含有してもよい。架橋性フッ素ゴム組成物をシラン架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物はシランカップリング剤を含有する。
シラン架橋性フッ素ゴム組成物に用いるシランカップリング剤としては、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で、ベースゴムのグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)とシラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む、例えばシリルエステル基等)とを有するものが好ましい。このようなシランカップリング剤としては、従来のシラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。シラノール縮合可能な反応部位は、乾式シリカ(X)及び/又は乾式シリカ(X)以外の無機フィラーが化学結合しうる部位を有する場合には、その部位とも化学結合しうる反応部位として機能するものが好ましい。
シランカップリング剤としては、不飽和基を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、(メタ)アクリロキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。シランカップリング剤は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シランカップリング剤は、そのままの形態で用いてもよいし、溶剤で希釈した形態で用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、機械特性及び耐熱性を大きく低下させることなく、耐摩耗性を更に改善できる点で、ベースゴム100質量部に対して、2.0質量部を越え15.0質量部以下が好ましく、3〜12質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。
− 有機過酸化物 −
架橋性フッ素ゴム組成物を有機過酸化物架橋法又はシラン架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物は有機過酸化物を含有する。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、有機過酸化物架橋法ではベースゴム同士の架橋反応もしくはベースゴムとシランカップリング剤とのラジカル反応による架橋反応、又はシラン架橋法ではシランカップリング剤のベースゴムへのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤のグラフト化反応部位とベースゴムのグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、上記機能を有し、ラジカル重合又は従来のシラン架橋法に用いられるものを特に制限されずに用いることができる。例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。有機過酸化物は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
有機過酸化物の分解温度は、80〜195℃が好ましく、125〜180℃が特に好ましい。本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
有機過酸化物の、架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量は、特に制限されず、架橋法に応じて適宜に決定することができる。
本発明においては、いずれの架橋法においても、ベースゴム100質量部に対して、0.003〜0.5質量部が好ましく、0.005〜0.5質量部がより好ましく、0.005〜0.2質量部が更に好ましい。
シラン架橋法において、有機過酸化物の含有量を上記範囲内にすることにより、適切な範囲で架橋反応又はグラフト化反応を行うことができ、高い耐熱性を架橋フッ素ゴム組成物に付与できる。更にゲル状のブツ(凝集塊)の発生を抑えることができる。
− シラノール縮合触媒 −
架橋性フッ素ゴム組成物をシラン架橋法により架橋させる場合、シラン架橋性フッ素ゴム組成物はシラノール縮合触媒を含有することが好ましい。
シラノール縮合触媒は、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位を水分の存在下で縮合反応(促進)させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、ベースゴム同士が架橋される。
このようなシラノール縮合触媒としては、特に制限されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物が挙げられる。シラノール縮合触媒(X)は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シラノール縮合触媒の、シラン架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量は、特に限定されないが、ベースゴム100質量部に対して、0.0001〜0.5質量部が好ましく、0.001〜0.2質量部がより好ましい。シラノール縮合触媒の含有量が上述の範囲内にあると、シランカップリング剤の縮合反応による架橋反応がほぼ均一に進みやすく、外観や耐熱性等の物性が向上し、更に生産性も向上する。
− その他の添加剤(酸化防止剤など) −
架橋性フッ素ゴム組成物は、電線、電気ケーブル、電気コード等において、通常、使用される各種の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような添加剤として、例えば、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、又は、充填剤(難燃(助)剤を含む。)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン酸化防止剤、フェノール酸化防止剤又は硫黄酸化防止剤等が挙げられ、フェノール酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤は、ベースゴム100質量部に対して、好ましくは0.1〜15.0質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部で加えることができる。
架橋フッ素ゴム組成物は、上記の成分を含有する架橋性フッ素ゴム組成物の架橋物である。
架橋フッ素ゴム組成物が、電子線架橋法又は有機過酸化物架橋法により得られた架橋物である場合、架橋フッ素ゴム組成物は、ベースゴムの架橋物と、乾式シリカ(X)とを少なくとも含有する。架橋フッ素ゴム組成物は、その他の任意の成分、例えば、シランカップリング剤等を併用した場合には、シランカップリング剤を介したベースゴムの架橋物を含有する。
架橋フッ素ゴム組成物が、シラン架橋法により得られた架橋物である場合、架橋フッ素ゴム組成物は、ベースゴムがシラノール縮合(シロキサン結合)を介して縮合したシラン架橋ベースゴムを少なくとも含有する。このシラン架橋ベースゴムの一形態は、シラン架橋ベースゴムと乾式シリカ(X)を含む。乾式シリカ(X)は、シラン架橋ベースゴムのシランカップリング剤と結合していてもよい。このシラン架橋ベースゴムは、複数の架橋ベースゴムがシランカップリング剤により乾式シリカ(X)に結合又は吸着して、乾式シリカ(X)及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した架橋ベースゴムと、上記架橋性ゴムのシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シランカップリング剤を介して架橋した架橋ベースゴムとを少なくとも含む。また、シラン架橋ベースゴムは、乾式シリカ(X)及びシランカップリング剤を介した結合(架橋)と、シランカップリング剤を介した架橋とが混在していてもよい。さらに、シランカップリング剤と未反応のゴム成分及び/又は架橋していないシラン架橋性ゴムを含んでいてもよい。乾式シリカ(X)に加えて、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを用いる場合には、シラン架橋ベースゴムは、上記で説明した形態に加えて、上記乾式シリカ(X)が乾式シリカ(X)以外の無機フィラーに置き換わった以外は、上記に記載したのと同様の形態をも含む。
架橋フッ素ゴム組成物は、上述の配線材に通常求められる耐熱性及び機械特性を維持しながらも、優れた耐摩耗性を発現する。その理由は定かではないが以下のように考えられる。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含むベースゴムを使用したことにより耐熱性が高められている。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含むベースゴムとBET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)とを特定量で併用したことにより、ベースゴムと乾式シリカ(X)との間の密着が高まっている。加えて、このような架橋性フッ素ゴム組成物を架橋処理したことにより、ベースゴム同士が乾式シリカ(X)を巻き込んで均一に架橋されている。その結果、フッ素ゴムによる耐熱性及び機械特性を維持しつつ、耐摩耗性が向上すると考えられる。その上で、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーの量を、乾式シリカ(X)の含有量の2倍以下の割合に設定することにより、耐摩耗性を大きく損なわずに増量してベースゴムの使用量を低減することができる。
<架橋フッ素ゴム組成物の製造方法>
架橋フッ素ゴム組成物の製造方法は、上記各成分を混合して架橋性フッ素ゴム組成物とし、架橋反応処理する工程を有する。
− 架橋性フッ素ゴム組成物の調製 −
架橋性フッ素ゴム組成物は、通常、上記成分を混合して調製することができる。
架橋性フッ素ゴム組成物は、上記各成分を一度に(溶融)混合して調製することができる。溶融混合する場合の条件は、特に限定されないが、後述する工程(A1)の条件を採用できる。架橋性フッ素ゴム組成物は、後述する配線材の製造方法における工程(A)により調製することが好ましい。上記各成分の溶融混合により、又は工程(A)により調製したシラン架橋性フッ素ゴム組成物は、後述するように、シランカップリング剤がベースゴムにグラフト化反応したシラン架橋性ゴムを含有し、更には有機過酸化物の分解物を含有していてもよい。
各成分の混合順は、特に制限されないが、乾式シリカ(X)を含む無機フィラーとシランカップリング剤とを予め混合することが、シランカップリング剤の揮発を抑制できる点で、好ましい。
架橋フッ素ゴム組成物は、上述の架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理して製造することができる。架橋反応(架橋法)は、上述した通りである。
架橋フッ素ゴム組成物の製造方法は、導体の外周面に被覆層を形成する工程を含まない以外は、後述する配線材の製造方法と同じである。
[配線材]
本発明の配線材は、導体の外周面に本発明の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材である。この被覆層を備えた配線材は、耐熱性、引張特性、及び耐摩耗性をバランスよく備えている。
配線材としては、電気・電子機器の内部配線若しくは外部配線に使用される電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコードが挙げられ、電線又はケーブルが好ましい。本発明の配線材は、中でも、特に耐摩耗性が求められる配線材(例えば、耐熱自動車用ケーブル、耐熱自動車用電線(AFEXやEFFX)等)として、好ましく用いることができる。
配線材は、導体の外周面に架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を少なくとも1層有していればよく、それ以外の構成は配線材の通常の構成と同様とすることができる。例えば導体の外周面に少なくとも1層の被覆層を有する電線であって、被覆層の少なくとも1層が架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層である電線とできる。あるいは、少なくとも1層の被覆層を有する電線又はこれらを複数束ねた束の外周面に被覆層(シース)を形成したケーブルであって、これらの被覆層の少なくとも1層が架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層であるケーブルとすることができる。
用いる導体としては、通常のものを用いることができ、単線でも撚線でもよく、また裸線でも錫メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体を形成する金属材料としては軟銅、銅合金、アルミニウム等が挙げられる。
架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層は、導体の外周面に直接設けられていてもよく、又は他の部材又は層を介して間接的に設けられていてもよい。耐摩耗性の観点からは、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層は最外層とすることが好ましい。
架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層の厚さ(肉厚)は、通常の配線材と同様である。導体の周りに形成される被覆層の厚さは特に限定しないが、通常、0.15〜5mm程度である。本発明の架橋フッ素ゴム組成物は上述のように高い耐摩耗性を発現するため、従来の架橋フッ素ゴム組成物を用いる場合のように厚さを厚くする必要はなく、被覆層の低肉厚化によりコスト低減を図ることもできる。
[配線材の製造方法]
配線材の製造方法は、上記各成分を混合して架橋性フッ素ゴム組成物とし、この架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して、架橋反応処理する工程を有することが好ましい。
以下に、配線材の製造方法の好ましい形態を説明する。
本発明において、混合するとは、均一な混合物を得ることをいう。
各成分の混合は、上述の、架橋性フッ素ゴム組成物の製造法における混合と同様に、後述する工程(A1)の条件を採用して行うことができる。
導体の外周面を被覆する方法は、架橋性フッ素ゴム組成物で導体を被覆できる方法であればよく、適宜の成形方法が適用される。例えば、成形方法としては、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた射出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。本発明においては、導体と架橋性フッ素ゴム組成物とを共押出する押出成形(押出被覆)が好ましい。
押出成形は、汎用の押出成形機を用いて、行うことができる。押出成形温度は、ベースゴムの種類、押出速度(引取り速度)の諸条件に応じて適宜に設定され、例えば、好ましくは150〜200℃に設定することが好ましい。
架橋反応処理の方法は特に制限されず、電子線架橋法、有機過酸化物架橋法、シラン架橋法のいずれであってもよい。シラン架橋法は、化学架橋機や電子線架橋機等の特殊な機械を必要としないため好ましい。加えて、シラン架橋法は、通常長時間を要する有機過酸化物架橋工程を省略できるため、生産性の点でも好ましい。
架橋性フッ素ゴム組成物を電子線架橋法で架橋反応処理して配線材を製造する場合、、架橋反応処理として電子線を照射する。電子線の照射条件は、電子線架橋性フッ素ゴム組成物(ベースゴム)を架橋反応させることができる限り特に制限されない。例えば、電子線の照射量は1〜30Mradとすることでき、より好ましくは5〜25Mradであり、照射時の加速電圧は500〜2000keVとすることができる。
電子線架橋法による配線材の製造方法の一例は、下記の工程を有する製造方法である。
工程(E):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、架橋助剤3〜15質量部と、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下の、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーとを溶融混練して、架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(F):工程(E)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(G):工程(F)で得られた被覆層前駆体を、電子線を照射して架橋反応処理する工程
工程(E)における各成分の配合量は、上述の架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量と同一であり、配合量を設定する理由も同じである。
架橋性フッ素ゴム組成物を有機過酸化物架橋法で架橋反応処理して配線材を製造する場合、架橋反応処理として有機過酸化物の分解温度以上に加熱する。加熱条件は、有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物が含有する有機過酸化物の分解温度以上であればよく、加熱時間も特に限定されない。
有機過酸化物法による配線材の製造方法の一例は、下記の工程を有する製造方法である。
工程(H):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0.5〜2.0質量部と、架橋助剤3〜10質量部と、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下の、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーとを、有機過酸化物が分解しない温度(例えば130℃以下)で溶融混練して有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物を調製する工程と、
工程(I):工程(H)で得られた有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物を導体の外周面に成形して被覆層前駆体を形成する工程と、
工程(J):工程(I)で得られた被覆層前駆体を化学架橋装置で有機過酸化物の分解温度以上(好ましくは、170℃〜270℃)で加熱して架橋反応処理する工程
工程(H)における各成分の配合量は、上述の架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量と同一であり、配合量を設定する理由も同じである。
架橋性フッ素ゴム組成物をシラン架橋法で架橋反応処理して配線材を製造する場合、架橋反応処理として水分と接触させる。水分と接触させる条件は後述する。
シラン架橋法による配線材の製造方法としては、下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する製造方法(本発明の製造方法ということがある。)が好ましい。

工程(A):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、前記ベースゴムにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下の、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーと、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(C):工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
工程(A)における各成分の配合量は、上述のシラン架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量と同一であり、配合量を設定する理由も同じである。
工程(A)において有機過酸化物の配合量を上記含有量の範囲にすると、上記理由に加えて、ベースゴムにシランカップリング剤を効果的にグラフト化反応させることができ、未反応のシランカップリング剤同士の縮合反応及び未反応のシランカップリング剤の揮発を抑制できる。また、ベースゴム同士の架橋反応を抑制することもできる。その結果、上述のように、架橋フッ素ゴム組成物に高い耐熱性を付与しながらも、ブツの発生を抑えることができる。
工程(A)における各成分の混合順は、特に限定されないが、ベースゴム、乾式シリカ(X)を含む無機フィラー、シランカップリング剤、及び有機過酸化物を(溶融)混合した後に、得られた混合物(シランマスターバッチ)とシラノール縮合触媒とを混合することが、シランカップリング剤がベースゴムへのグラフト化反応する前にシラノール縮合反応することを抑制できる点で、好ましい。このとき、「ベースゴム、乾式シリカ(X)を含む無機フィラー、シランカップリング剤及び有機過酸化物を混合する」とは、混合する際の混合順を特定するものではなく、どのような順で混合してもよいことを意味する。乾式シリカ(X)を含む無機フィラーは、乾式シリカ(X)のみである態様と、乾式シリカ(X)と乾式シリカ(X)以外の無機フィラーとを含む態様とを包含する意味である。
すなわち、本発明においては、工程(A)を行うに際して、下記工程(A1)でベースゴムの全部を用いる場合、下記工程(A1)及び工程(A3)を行い、下記工程(A1)でベースゴムの一部を用いる場合、下記工程(A1)〜工程(A3)を行うことがより好ましい。

工程(A1):ベースゴムの全部又は一部と、乾式シリカ(X)と、シランカップリング剤と、工程(A)で乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを用いる場合には乾式シリカ(X)以外の無機フィラーとを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、ベースゴムとシランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
工程(A2):シラノール縮合触媒とキャリアゴムとしてベースゴムの残部とを混合する工程
工程(A3):工程(A1)で得られた溶融混合物と、シラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物とを混合する工程
工程(A1)は、下記工程(A1−1)及び(A1−2)の2段階で各成分を混合することがより好ましい。
工程(A1−1):乾式シリカ(X)及びシランカップリング剤、並びに工程(A)で乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを用いる場合には乾式シリカ(X)以外の無機フィラー、を混合する工程
工程(A1−2):工程(A1−1)で得られた混合物とベースゴムの全部又は一部とを有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、ベースゴムとシランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
上記工程(A1)は、「ベースゴムの全量(100質量部)が配合される態様」と、「ベースゴムの一部が配合される態様」とを含む。工程(A1)において、ベースゴムの一部が配合される場合、ベースゴムの残部は、好ましくは工程(A2)で配合される。
本発明において、「ベースゴムの一部」とは、ベースゴムのうち工程(A1)で使用するベースゴムであって、ベースゴムそのものの一部(ベースゴムと同一組成を有する)、ベースゴムを構成する成分の一部、ベースゴムを構成する一部の成分(例えば、複数の成分のうちの特定の成分全量)をいう。
また、「ベースゴムの残部」とは、ベースゴムのうち工程(A1)で使用する一部を除いた残りのベースゴムであって、具体的には、ベースゴムそのものの残部、ベースゴムを構成する成分の残部、ベースゴムを構成する残りの成分をいう。
工程(A1)でベースゴムの一部を配合する場合、工程(A)におけるベースゴムの配合量100質量部は、工程(A1)〜工程(A3)、好ましくは工程(A1)及び工程(A2)で混合されるベースゴムの合計量である。
ここで、工程(A2)でベースゴムの残部が配合される場合、ベースゴムは、工程(A1)において、好ましくは80〜99質量%、より好ましくは85〜95質量%が配合され、工程(A2)において、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%が配合される。
本発明の製造方法において、シランカップリング剤は、上記のように、乾式シリカ(X)と前混合等されることが好ましい(工程(A1−1))。前混合されたシランカップリング剤は、乾式シリカ(X)の表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が乾式シリカ(X)に付着又は結合する。このようにして、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減でき、しかも、乾式シリカ(X)に付着又は結合しないシランカップリング剤が縮合して溶融混合が困難になることも防止できる。更には、押出被覆の際に所望の形状を得ることもできる。乾式シリカ(X)に加えて乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを用いる場合には、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーも前混合等されることが好ましい。シランカップリング剤は、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーにも、乾式シリカ(X)と同様に付着又は結合する。
乾式シリカ(X)とシランカップリング剤とを前混合する方法としては、特に限定されないが、湿式処理、乾式処理等の混合方法が挙げられる。好ましくは、有機過酸化物の分解温度未満の温度、好ましくは10〜60℃、より好ましくは室温近傍(20〜25℃)で乾式シリカ(X)とシランカップリング剤を、数分〜数時間程度、乾式又は湿式により、混合する方法が挙げられ、乾式シリカ(X)中にシランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加えて混合する乾式処理がより好ましい。工程(A1)においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、ベースゴムを混合していてもよい。乾式シリカ(X)に加えて乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを用いる場合にも、同様に前混合を行うことができる。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(A1−1)で得られた、乾式シリカ(X)とシランカップリング剤との混合物とベースゴムの全部又は一部と、適宜に工程(A1−1)で混合されていない残余の成分とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱しながら、溶融混合する(工程(A1−2))。このようにすると、ベースゴム成分同士の過剰な架橋反応を防止することができ、外観に優れた架橋成形体が得られる。
工程(A1)において、上記成分を溶融混合(溶融混練、混練りともいう)する温度は、有機過酸化物の分解温度以上、好ましくは有機過酸化物の分解温度+(25〜110)℃の温度である。この分解温度はベースゴム成分が溶融してから設定することが好ましい。上記混合温度であれば、上記成分が溶融し、有機過酸化物が分解、作用して必要なシラングラフト化反応が工程(A1)において十分に進行する。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。ベースゴム成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
有機過酸化物は、上記工程(A1)の溶融混合時、すなわち、工程(A1−1)で得られた混合物とベースゴムとを溶融混合する際に、存在していればよい。有機過酸化物は、例えば、工程(A1−1)において混合されてもよく、工程(A1−2)において混合されてもよい。
本発明の製造方法において、シラノール縮合触媒は好ましくは工程(A3)で混合されるが、工程(A1)、特に工程(A1−2)においては、シラノール縮合触媒を実質的に混合せずに上述の各成分を混合することが好ましい。これにより、シランカップリング剤のシラノール縮合反応を抑えることができ、溶融混合しやすく、また押出被覆の際に所望の形状を得ることができる。ここで、「実質的に混合せず」とは、シランカップリング剤のシラノール縮合反応による上述の問題が生じない程度(例えば、ベースゴム100質量部に対して0.01質量部以下)に存在していてもよいことを意味する。
本発明の製造方法において、上記添加剤、特に酸化防止剤は、いずれの工程で混合されてもよいが、シランカップリング剤のベースゴムへのグラフト化反応を阻害しない点で、工程(A2)で混合されるのがよい。
このようにして、工程(A1)(好ましくは、工程(A1−1)及び工程(A1−2))を行って、シランマスターバッチ(シランMBともいう)が調製される。このシランMBは、後述の工程(B)により成形可能な程度にシランカップリング剤がベースゴムにグラフトしたシラン架橋性ゴムを含有している。
本発明の製造方法において、工程(A1)でベースゴムの一部を溶融混合する場合、ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合し、触媒マスターバッチ(触媒MBともいう)を調製する(工程(A2))。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ベースゴムの溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(A1)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、80〜250℃、より好ましくは100〜240℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
キャリアゴムとしての上記ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒との混合割合は、特に限定されないが、好ましくはシラン架橋性フッ素ゴム組成物中の上記含有量を満たすように、設定される。
工程(A2)において、無機フィラーを混合してもよい。この場合、無機フィラーの配合量は、特には限定されないが、キャリアゴム100質量部に対し、200質量部以下が好ましい。無機フィラーの配合量が多すぎるとシラノール縮合触媒が分散しにくく、架橋が進行しにくくなる場合がある。
本発明の製造方法において、次いで、工程(A1)で得られた溶融混合物(シランMB)と、シラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物(触媒MB)とを混合する(工程(A3))。好ましくはシランMBと触媒MBとを混合する。
工程(A3)において、シラノール縮合触媒を混合する場合、シラノール縮合触媒単独で、又はシラノール縮合触媒と他のゴム又は樹脂との混合物として、混合することができる。
混合方法は、特に制限されないが、工程(A1)の溶融混合と基本的に同様であり、少なくともベースゴムが溶融する温度で混合する。混合温度は、ベースゴムに応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜240℃である。その他の条件、例えば混合(混練)時間は適宜設定することができる。
工程(A3)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBとシラノール縮合触媒が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
工程(A3)においては、シランMBとシラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物とを溶融混合する前に、ドライブレンドすることが好ましい。ドライブレンドの方法及び条件は、特に限定されず、例えば、工程(A1)での乾式処理による混合及びその条件が挙げられる。
こうして、シランMBとシラノール縮合触媒との(溶融)混合物として、シラン架橋性ゴムを含有するシラン架橋性フッ素ゴム組成物が調製される。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(A)で得られたシラン架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程(B)を行う。工程(B)で得られる被覆層前駆体は、シランカップリング剤がシラノール縮合反応をしていない未架橋物である。
この工程(B)は、シラン架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆できればよく、上述の、導体の外周面の被覆方法を特に制限されることなく適用できる。
工程(B)の被覆は、工程(A3)の混合と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、被覆の際、例えば押出被覆の際に、又はその直前に、成形原料として工程(A1)で得られた溶融混合物とシラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物とを溶融混合する態様が挙げられる。例えば、工程(A1)で得られた溶融混合物とシラノール縮合触媒等との混合物を被覆装置内で溶融混合し、次いで、導体等の外周面に押出被覆して、所望の形状に成形する一連の工程を採用できる。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(B)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させる工程(C)を行う。これにより、シランカップリング剤の反応部位が加水分解されてシラノールとなり、被覆層前駆体中に存在するシラノール縮合触媒によりシラノールの水酸基同士が縮合して架橋反応が起こる。こうして、ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤がシラノール縮合して架橋した架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材を得ることができる。
この工程(C)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は常温で進行する。したがって、工程(C)において、被覆層前駆体を水に積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、被覆層前駆体と水分とを接触させることもできる。例えば、高湿度雰囲気への暴露、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
こうして、配線材が製造される。この配線材は、上述のシラン架橋性ゴムが、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位がシラノール縮合反応して架橋したシラン架橋フッ素ゴムを含有している。
上記本発明の製造方法は、以下のように、表現できる。
下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する配線材の製造方法であって、
工程(a):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、シランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下の、乾式シリカ(X)以外の無機フィラーとを、有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混練し、シランマスターバッチを調製する工程
工程(b):工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に、得られたシラン架橋性組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を形成する工程
工程(c):工程(b)で得られた被覆層前駆体を水と接触させてシラン架橋反応処理する工程を含む、製造方法。
上記方法において、工程(a)及び工程(b)の混合工程は上記工程(A)に対応し、工程(b)の被覆工程は上記工程(B)に対応し、工程(c)は上記工程(C)に対応する。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、表1において、各例における配合に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
実施例1〜22及び比較例1〜11は、下記成分を用いて、それぞれの諸元を表1に示す条件に設定して実施し、後述する評価を併せて示した。
なお、表1中に示す各化合物の詳細を以下に示す。
<ベースゴム>
フッ素ゴム1:アフラス150P(商品名)、AGC旭硝子社製、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム
フッ素ゴム2:アフラス400E(商品名)、AGC旭硝子社製、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム

フッ素樹脂1:EP610(商品名)、ダイキン工業社製、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)共重合体樹脂、融点:180℃
フッ素樹脂2:RP4020(商品名)、ダイキン工業社製、エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(エチレン−FEP)共重合体樹脂、融点:160℃

EVA1:エバフレックスEV360(商品名)、三井・ダウポリケミカル社製、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、VA含有量:25質量%
EVA2:エバフレックスEV180(商品名)、三井・ダウポリケミカル社製、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、VA含有量:33質量%

EEA1:NUC6510(商品名)、日本ユニカー社製、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂
<有機過酸化物>
有機過酸化物1:パーカドックス14(商品名)、化薬アクゾ社製、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン
有機過酸化物2:パーヘキサ25B(商品名)、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、分解温度154℃
<無機フィラー>
シリカ1:BET比表面積=200m/g、アエロジル200(商品名)、日本アエロジル社製、乾式シリカ
シリカ2:BET比表面積=90m/g、アエロジル90G(商品名)、日本アエロジル社製、乾式シリカ
シリカ3:BET比表面積=150m/g、アエロジル150(商品名)、日本アエロジル社製、乾式シリカ
シリカ4:BET比表面積=300m/g、アエロジル300(商品名)、日本アエロジル社製、乾式シリカ
シリカ5:BET比表面積=450m/g、アエロジル450(商品名)、日本アエロジル社製、乾式シリカ
シリカ6:BET比表面積=50m/g、アエロジル50(商品名)、日本アエロジル社製、乾式シリカ
シリカ7:BET比表面積=12m/g、クリスタライト5X(商品名)、龍森社製、乾式シリカ
炭酸カルシウム1:ソフトン1200(商品名)、備北粉化工業社製、炭酸カルシウム
焼成クレー1:サティトンSP−33(商品名)、エンゲルハード社製、焼成クレー
タルク1:MVタルク(商品名)、日本ミストロン株式会社製、タルク
<架橋助剤>
架橋助剤1:TAIC(商品名)、三菱ケミカル社製、トリアリルシアヌレート
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤1:KBM−1003(商品名)、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒1:アデカスタブOT−1(商品名)、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート
<酸化防止剤>
酸化防止剤1:イルガノックス1010(商品名)、BASF社製、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(実施例1〜17及び比較例1〜10)
本実施例及び比較例においては、シラン架橋性フッ素ゴム組成物を調製し、これを導体の外周面上に押出被覆した後にシラノール縮合反応させて形成した被覆層を有する配線材を製造した。
まず、表1の「シランMB」欄に示す各成分のうち無機フィラーと、シランカップリング剤と、有機過酸化物とを、表1に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で1時間混合して、粉体混合物を得た(工程(A1))。次に、このようにして得られた粉体混合物と、表1の「シランMB」に示す各成分のうちベースゴムを、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度200℃で排出し、シランMBを得た(工程(A1))。得られたシランMBは、ベースゴムにシランカップリング剤がグラフト反応したシラン架橋性ゴムを含有している。
一方、表1の「触媒MB」欄に示す、キャリアゴムとシラノール縮合触媒と酸化防止剤とを、表1に示す質量比で、180〜190℃でバンバリーミキサーにて溶融混合し、材料排出温度180〜190℃で排出して、触媒MBを得た(工程(A2))。
次いで、シランMBと触媒MBとを密閉型のリボンブレンダーに投入し、室温(25℃)で5分間ドライブレンドしてドライブレンド物を得た。このとき、シランMBと触媒MBとの混合比は、表1に示す質量比である。
次いで、得られたドライブレンド物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径30mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内でドライブレンド物を溶融混合しながら(工程(A3))(シラン架橋性フッ素ゴム組成物)、1/0.8TA導体の外周面上に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(B))。この被覆導体を温度40℃、湿度95%の雰囲気に1週間放置した(工程(C))。
このようにして、上記導体の外周面上に、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材である電線をそれぞれ製造した。
(実施例18〜20及び比較例11)
本実施例及び比較例においては、電子線架橋性フッ素ゴム組成物を調製し、これを導体の外周面上に押出被覆した後に電子線架橋法により架橋反応処理して形成した被覆層を有する配線材を製造した。
表1に示す各成分を、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度200℃で排出し、電子線架橋性フッ素ゴム組成物を得た(工程(E))。
次いで、得られた電子線架橋性フッ素ゴム組成物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径30mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内で上記電子線架橋性フッ素ゴム組成物を溶融混合しながら、1/0.8TA導体の外周面上に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(F))。
得られた被覆導体を電子線架橋設備に通し、加速電圧750keVで12Mradの電子線を照射して架橋反応させ、配線材を得た(工程(G))。
このようにして、上記導体の外周面上に、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材である電線を製造した。
(実施例21及び22)
本実施例においては、有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物を調製し、これを導体の外周面上に押出被覆した後に有機過酸化物架橋法により架橋反応処理して形成した被覆層を有する配線材を製造した。
表1に示す各成分及を、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、具体的には100℃において10分混練り後、材料排出温度115℃で排出し、有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物を得た(工程(H))。
次いで、得られた有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=20、スクリュー直径50mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度115℃、ヘッド温度125℃)に導入した。この押出機内でドライブレンド物を溶融混合しながら、1/0.8TA導体の外周面上に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(I))。
被覆後、被覆導体を加圧架橋設備に導入し、有機過酸化物架橋法によって架橋反応処理を行った。架橋温度は220℃で10分間架橋反応処理を行った(工程(J))。
このようにして、上記導体の外周面上に、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材である電線を製造した。
製造した各電線について、下記試験をし、その結果を表1に示した。
<引張試験>
各電線から導体を抜き取って作製した管状試験片を用いて、JIS C 3005に基づき、標線間距離20mm、引張速度200mm/分で引張試験を行い、引張強度(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
本試験において、引張強度は10MPa以上が合格であり、12MPa以上が好ましい。また、引張伸びは、150%以上が合格である。
<耐摩耗性試験>
製造した各電線について、JASO D 618の耐摩耗試験のテープ摩耗試験に基づき試験を行った。荷重は567g(追加荷重:500g)で試験を行った。導体が露出するまでの回数をカウントした。この試験を4回行い、4回の試験の平均値を求めて耐摩耗性を評価した。
耐摩耗性試験は、上記平均値が400回以上で合格である。600回以上が好ましい。
さらに、各電線について、下記の好ましい特性について評価した。
<押出外観試験>
押出外観試験は、被覆導体の外観を観察して評価した。
被覆導体の外観にブツがなく電線形状に成形できたものを「A」、ブツの発生を確認できたが外観に問題がない程度であり、電線形状に成形できたものを「B」、著しく外観不良が発生して電線形状に成形できなかったものを「C」とした。押出外観試験は、評価「B」以上が好ましい。
Figure 2021155588
Figure 2021155588
表1に示す結果から明らかなように、本発明で規定する組成を満たさない架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理して得られる架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材は、電子線架橋法又はシラン架橋法のいずれの架橋反応処理を採用しても、引張試験及び耐摩耗性試験のいずれかが不合格であり、機械特性、耐熱性、及び耐摩耗性を兼ね備えることができない。
これに対して、本発明で規定する組成を満たす架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理して得られる架橋フッ素ゴム成形体からなる被覆層を有する配線材は、架橋反応処理として電子線架橋法及びシラン架橋法のいずれの架橋法を採用しても、引張試験及び耐摩耗性試験のいずれにも合格している。加えて、本発明の架橋フッ素ゴム組成物を被覆層として有する配線材は、配線材に通常要求されるレベルの耐熱性を有している。このため、機械特性と耐熱性と耐摩耗性とを高い水準でバランスよく発揮している。このように架橋フッ素ゴム組成物は優れた機械特性と耐熱性とを維持しながらも、耐摩耗性に優れることが分かる。

Claims (11)

  1. 下記架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理してなる、架橋フッ素ゴム組成物。
    [架橋性フッ素ゴム組成物]
    テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)を6〜25質量部含有し、前記乾式シリカ(X)以外の無機フィラーを、前記乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下含有する架橋性フッ素ゴム組成物。
  2. 前記ベースゴム100質量%中に、前記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを60質量%以上とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を3〜40質量%とを含有する請求項1に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
  3. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニル含有量が15〜30質量%である請求項2に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
  4. 前記ベースゴム中にフッ素樹脂を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
  5. 前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースゴム100質量部に対して、前記ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有する、請求項1に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材。
  7. 下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する配線材の製造方法。
    工程(A):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを含有するベースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、BET比表面積が80〜300m/gの乾式シリカ(X)6〜25質量部と、前記ベースゴムにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、前記乾式シリカ(X)の含有量に対して2倍以下の、前記乾式シリカ(X)以外の無機フィラーと、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
    工程(B):前記工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
    工程(C):前記工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
  8. 前記ベースゴム100質量%中に、前記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムを60質量%以上含有し、かつエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を3〜40質量%含有する請求項7に記載の配線材の製造方法。
  9. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニル含有量が15〜30質量%である請求項8に記載の配線材の製造方法。
  10. 前記ベースゴム中にフッ素樹脂を含有する請求項7〜9のいずれか1項に記載の配線材の製造方法。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる配線材。
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