JP2018044032A - 触媒バッチ、それを用いて形成される電線・ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性および表面平滑性に優れ、加熱変形性が抑えられた被覆層をシラン架橋により形成する。【解決手段】触媒バッチは、ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)とシラノール縮合触媒(B)とを含有し、ポリマ(a)はポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、シラングラフトポリマ(A)はシラン化合物がポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって遊離ラジカル発生剤に対するシラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、シラノール縮合触媒(B)をポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒バッチ、それを用いて形成される電線・ケーブルおよびその製造方法に関する。
電気機器に電力を供給したり電気信号を伝達したりするために用いられる電線・ケーブルは、その表面に被覆層として絶縁層やシースが設けられている。
被覆層には、外部からの圧力により潰れないようにゴム弾性を有することが求められている。また、電線・ケーブルは高温度に曝されることもあり、これに対する耐熱性も求められている。
ゴム弾性や耐熱性を発現させる方法としては、被覆層に架橋処理を施すことが知られている。架橋処理には、電子線架橋や化学架橋、シラン架橋があるが、これらの中でも、シラン架橋は特殊な設備を必要としないことから様々な分野で採用されている。
シラン架橋は、遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物(例えば、シランカップリング剤など)をポリマにグラフト重合させてシラングラフトポリマを得た後に、シラノール縮合触媒の存在下でシラングラフトポリマを水分と接触させることにより、架橋構造を導入する方法である。
電線やケーブルの被覆層をシラン架橋により形成する場合、まず、シラングラフトポリマを含むシランバッチと、シラノール縮合触媒(以下、単に触媒ともいう)およびポリマを含む触媒バッチとを溶融しながら混合する。続いて、この混合物を導体の外周に押し出して成形する。そして、その成形体を水に接触させてシラン架橋を施す(例えば、特許文献1を参照)。このように、被覆層をシラン架橋により形成するには、シランバッチと触媒バッチとを押出前に混合する必要がある。
特開2008−297453号公報
本発明者らの検討によれば、しかしながら、特許文献1に示すシラン架橋方法では、シランバッチと触媒バッチとを溶融混練している最中に架橋反応が意図せずに進行してしまうため、形成される被覆層で外観不良が生じることがわかった。特に、耐熱性やゴム弾性を向上させる目的で触媒濃度を高くするほど、外観不良が顕著となる。
具体的に説明すると、触媒バッチ中の触媒濃度を高くすると、触媒バッチとシランバッチとを混合したときに、触媒をシランバッチ中に均一に分散させにくくなる。そのため、触媒バッチとシランバッチとの混合物では、触媒が凝集する領域が形成されてしまう。このような領域では、架橋反応が急激に進行し、高粘度な架橋物が形成されやすい。このような架橋物は、混合物を押し出して被覆層を形成したときに異物となるため、被覆層の表面荒れを引き起こし、表面平滑性を低下させる。
一方、表面平滑性を改善するために、触媒濃度を下げ、触媒の凝集を抑制することも考えられるが、この場合、被覆層において十分な架橋度が得られず、被覆層に要求される耐熱性を満たすことが困難となる。
このように、被覆層をシラン架橋により形成する場合、触媒の分散性に起因して、シランバッチと触媒バッチとの混合から押出までの間に架橋が進行してしまうため、被覆層において耐熱性(耐熱老化性や耐加熱変形性)および表面平滑性を両立することが困難となっていた。特に、高温下での変形性(加熱変形性)を抑えること、つまり、耐加熱変形性を向上させることが困難であった。
そこで、本発明は、耐熱性および表面平滑性に優れ、加熱変形性が抑えられた被覆層をシラン架橋により形成する技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチに配合してシラン架橋させるための触媒バッチであって、
ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)と、
シラノール縮合触媒(B)と、を含有し、
前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、
前記シラングラフトポリマ(A)は、前記シラン化合物が前記ポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、
前記シラノール縮合触媒(B)を前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む、触媒バッチ
が提供される。
本発明の他の態様によれば、
ポリオレフィンを含むポリマ(a)であって、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含む前記ポリマ(a)100質量部に対して、シラン化合物を1質量部以上10質量部以下、遊離ラジカル発生剤を、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにそれぞれ添加し、前記ポリマ(a)に前記遊離ラジカル発生剤の存在下で前記シラン化合物をグラフト重合させてシラングラフトポリマ(A)を形成しつつ、当該シラングラフトポリマ(A)にシラノール縮合触媒(B)を、前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように添加することで、触媒バッチを得る触媒バッチ調製工程と、
前記触媒バッチと、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチとを10:90〜90:10の範囲内で混合し、その混合物を導体の外周を被覆するように押し出して成形体を得る押出工程と、
前記成形体をシラン架橋させて被覆層を形成する架橋工程と、を有する電線・ケーブルの製造方法
が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
導体と前記導体の外周上に配置される被覆層とを備え、
前記被覆層は、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチと触媒バッチとを10:90〜90:10の範囲内で含む混合物をシラン架橋させてなり、
前記触媒バッチは、
ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)と、
シラノール縮合触媒(B)と、を含有し、
前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、
前記シラングラフトポリマ(A)は、前記シラン化合物が前記ポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、
前記シラノール縮合触媒(B)を前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む、電線・ケーブル
が提供される。
本発明によれば、シラン架橋により、耐熱性および表面平滑性に優れ、加熱変形性が抑えられた被覆層を形成することができる。
本発明の一実施形態に係る電線の長さ方向に垂直な断面を示す図である。 本発明の一実施形態に係るケーブルの長さ方向に垂直な断面を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電線の製造装置の一例を示す概略図である。
本発明者らは、触媒バッチとシランバッチとを混合して押し出すまでの間に生じる、意図しない架橋反応を抑制するために、触媒の分散について検討を行った。その結果、触媒の分散媒として、シラングラフトポリマを用いるとよいことを見出した。すなわち、シラングラフトポリマに触媒を分散させて、触媒バッチを構成するとよいことを見出した。
このような触媒バッチによれば、触媒が、シラングラフトポリマ中に予め分散されているとともに、触媒バッチ自体が、シラングラフトポリマを含むシランバッチと混ざりやすいので、触媒濃度を高くした場合であっても、触媒を凝集させることなく良好に分散できる。これにより、触媒の凝集による架橋反応を抑制し、異物の生成を抑制することができる。したがって、触媒濃度の高い触媒バッチを用いることで、耐熱性とともに表面平滑性に優れる被覆層を形成することができる。
さらに、本発明者らは、触媒バッチに用いるシラングラフトポリマを調製する際にシラン化合物をグラフト重合させるポリマとして、半結晶塩素化ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含むものを用いることで、高温下での変形性(加熱変形性)が抑えられること、つまり、耐加熱変形性が向上することを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
〔触媒バッチ〕
触媒バッチとは、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチに配合することで、シラングラフトポリマのシラン架橋を促進させるための成分である。
本実施形態では、触媒バッチは、触媒の分散性を高める観点から、以下のように構成される。
すなわち、触媒バッチは、ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)と、シラノール縮合触媒(B)と、を含有し、ポリマ(a)は、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、シラングラフトポリマ(A)は、シラン化合物がポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、遊離ラジカル発生剤に対するシラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、シラノール縮合触媒(B)をポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む。
以下、触媒バッチを構成する各成分について説明する。
(シラングラフトポリマ(A))
シラングラフトポリマ(A)は、ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたものであり、触媒バッチにおいて、シラノール縮合触媒(B)を分散させる分散媒として作用する。
ポリマ(a)に含まれるポリオレフィンとしては、シラン化合物をグラフト重合できるものであれば、特に限定されず、公知の成分を用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体などを用いることができる。
EVAは、シラノール縮合触媒(B)やその他の添加剤(例えば難燃剤など)の受容性が高く、これらを多量に配合しても凝集させることなく均一に分散させることができ、好ましく用いることができる。
また、ポリマ(a)に含まれるポリオレフィンとしては、LLDPEを好ましく用いることができる。LLDPEの配合量を、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部〜70質量部とすることで、被覆層の加熱変形性を抑えることができる。10質量部未満となると、加熱変形性を十分に抑えることができなくなる。一方、70質量部を超えると、被覆層の押出時にメルトフラクチャーが生じ、表面平滑性が低下する(外観が荒れる)。
ポリマ(a)には、ポリオレフィンに加え、半結晶塩素化ポリエチレン(CPE)を好ましく用いることができる。半結晶CPEの配合量を、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部〜70質量部とすることで、被覆層の加熱変形性を抑えることができる。10質量部未満となると、加熱変形性を十分に抑えることができなくなる。一方、70質量部を超えると、熱老化試験後の伸び特性が劣る。これは、高温での脱塩酸に起因するものと考えられる。
ポリマ(a)に用いられる半結晶CPEとしては、示差走査熱量(DSC)測定で得られる結晶残(つまり、結晶残を示す結晶融解熱量)が、10J/g〜50J/gであるものが好ましい。このような範囲内の結晶残を有する半結晶CPEを用いることで、被覆層の加熱変形性を抑えることができる。ここで、DSC測定による結晶融解熱量とは、示差走査熱量計を用い、昇温速度10℃/分で測定したDSCチャートの全結晶ピーク面積より計算した値を指す。
このように、加熱変形性を抑える観点から、ポリマ(a)は、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶CPE、および、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下のLLDPEの、少なくとも一方を含むことが好ましい。
シラン化合物は、ポリマと反応可能な不飽和結合性基と、シラノール縮合反応により架橋を形成可能な加水分解性のシラン基と、を有するシランカップリング剤である。シラン化合物は、ポリマ(a)にグラフト重合されることでポリマ(a)にシラン基を導入する。
不飽和結合性基としては、例えば、ビニル基、メタクリル基およびアクリル基などが挙げられる。加水分解性のシラン基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェノキシ基などの加水分解可能な構造を有するものが挙げられる。これらの加水分解可能な構造を有するシラン基として、例えばハロシリル基、アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、フェノキシシリル基などが挙げられる。
シラン化合物の配合量は、ポリマ(a)100質量部に対して、1質量部〜10質量部である。1質量部未満となると、シラン架橋により被覆層を形成したときに、十分な架橋度が得られず、耐熱性が低くなってしまう。一方、10質量部を超えると、グラフト重合によりシラングラフトポリマ(A)を形成するときに、シラン化合物同士が反応して異物(縮合物)を形成しやすくなるため、被覆層において外観不良が起こり、表面平滑性が損なわれる。耐熱性と表面平滑性とをより高い水準で両立する観点からは、シラン化合物の配合量は2質量部〜6質量部であることが好ましい。
遊離ラジカル発生剤は、加熱により分解してラジカルを発生させるものである。遊離ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物を用いることができる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5ジメチル2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネートなどを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
遊離ラジカル発生剤の配合量は、遊離ラジカル発生剤に対するシラン化合物の質量比率(シラン化合物/遊離ラジカル発生剤)が5〜400、好ましくは100〜300となるような量である。その比率が5未満であって、遊離ラジカル発生剤の量が相対的に多くなると、ポリマの架橋点が増え、反応初期の架橋形成速度が過度に高くなるため、ポリマ同士の高分子量化が進み、粘度の違いから粒が形成されて、表面平滑性が損なわれてしまう。一方、比率が400を超えると、遊離ラジカル発生剤が過度に少なくなるため、十分な架橋度が得られず、耐熱性が低くなってしまう。
(シラノール縮合触媒(B))
触媒(B)は、触媒バッチとシランバッチとを混合したときに、これらに含まれるシラングラフト材料に導入されたシラン基同士の縮合を促進させ、架橋構造の形成を効率的にするものである。
触媒(B)としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、マグネシウムやカルシウム等のII族元素、コバルトや鉄等のVIII族元素、錫、亜鉛およびチタン等の金属元素やこれらの元素を含む金属化合物を用いることができる。また、オクチル酸やアジピン酸の金属塩、アミン系化合物、酸などを用いることができる。具体的には、金属塩として、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクタエート、酢酸第一錫、カブリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等を用いることができる。アミン系化合物として、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン等を用いることができる。酸として、硫酸や塩酸などの無機酸、トルエンスルホン酸や酢酸、ステアリン酸、マレイン酸などの有機酸を用いることができる。
触媒(B)の配合量は、ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部〜1質量部であり、0.03質量部〜0.3質量部が好ましい。0.01質量部未満となると、十分な架橋度が得られず、耐熱性が低くなる。一方、1質量部を超えると、シランバッチを混合して押し出すまでの間に架橋が進行しやすくなり、表面平滑性が損なわれてしまう。
(その他の添加剤)
触媒バッチには、必要に応じて、そのほかの添加剤が含有されていてもよい。
例えば、被覆層の難燃性を向上させる目的で難燃剤を含有させることができる。難燃剤としては、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの非ハロゲン系難燃剤、臭素等のハロゲン元素を分子内に有するハロゲン系難燃剤、リン元素を分子内に有するリン系難燃剤、シアヌール酸又はイソシアヌール酸の誘導体などを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、難燃剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、ポリマ(a)100質量部に対して60質量部〜300質量部となるように配合するとよい。
また例えば、可塑剤、酸化防止剤(老化防止剤を含む)、カーボンブラック等の充填剤、滑剤、銅害変色防止剤、架橋助剤、安定剤などのその他の添加剤を含有させてもよい。
〔触媒バッチの調製〕
次に、上述した触媒バッチの調製方法について説明する。
まず、ポリマ(a)に対して、所定量のシラン化合物および遊離ラジカル発生剤を添加する。これらを所定の温度で溶融混練することで、ポリマ(a)にシラン化合物をグラフト重合させ、シラングラフトポリマ(A)を形成する。このとき、溶融混練してグラフト重合するのと同時に、シラングラフトポリマ(A)へ所定量のシラノール縮合触媒(B)を添加する。すなわち、本実施形態では、ポリマ(a)へシラン化合物をグラフト重合しつつ、シラングラフトポリマ(A)にシラノール縮合触媒(B)を分散させる。このように、グラフト重合と同時に触媒(B)を分散させることで、触媒(B)をシラングラフトポリマ(A)中に均一に分散できる。しかも、溶融混練中での架橋反応の進行を抑制し、触媒バッチ中での架橋物(異物)の発生を抑制できる。なお、グラフト重合後に触媒(B)を分散させようとすると、均一に分散できないばかりか、架橋反応が進行して異物が形成されてしまう。逆に、グラフト重合前に予め触媒(B)を分散させていると、粘性を有する触媒(B)によりポリマ(a)が滑りやすくなるため、シラン化合物を添加してグラフト重合するときに、シラン化合物の分散が阻害され、均一にグラフト重合できなくなる。そればかりか、触媒(B)とシラン化合物との接触時間が長くなり、意図しない架橋反応が進行しやすくなってしまう。
触媒バッチは、触媒(B)がシラングラフトポリマ(A)中に均一に分散するように構成されている。しかも、重合と分散とを同時に行って調製されているため、調製中での意図しない架橋反応が抑制されており、架橋に伴う異物(架橋物)の発生が少なくなるように構成されている。
なお、触媒(B)の添加は、液状のまま添加してもよいが、それが困難な場合、その他の添加剤(例えば難燃剤など)に含浸させた後、添加するか、もしくはポリマ(a)に分散させて混合物として添加してもよい。
また、その他の添加剤として酸化防止剤を添加する場合は、シラン化合物のグラフト重合を阻害しないように、重合を始めてから所定時間経過した後に添加するとよい。例えば、触媒(B)と同時に添加するとよい。
〔電線〕
次に、上述した触媒バッチを用いて電線を製造する方法、および、電線の概略構造について、図1および図3を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電線の長さ方向に垂直な断面を示す図である。図3は、電線の製造装置の一例を示す概略図である。
まず、導体11を準備する。導体11としては、例えば、低酸素銅や無酸素銅等からなる銅線、銅合金線、アルミニウムや銀等からなる金属線、又は金属線を撚り合わせた撚り線を用いることができる。導体11の外径は、電線10の用途に応じて適宜変更することができる。
続いて、ポリマ(a)、シラン化合物、遊離ラジカル発生剤、触媒(B)を準備し、上述した手順により、シラングラフトポリマ(A)中に触媒(B)が分散する触媒バッチ13を調製する。なお、このとき、必要に応じて他の添加剤(例えば、難燃剤や酸化防止剤など)を配合し、触媒バッチ13中に分散させてもよい。
また、触媒バッチ13の調製とは別に、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチ14を調製する。このグラフト重合は、触媒バッチ13と同様に行うとよい。
シランバッチ14におけるポリマは、特に限定されず、絶縁層12に求められる特性に応じて適宜変更するとよい。柔軟性の観点からは、例えば、EVAやエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン系のαオレフィン共重合体などを用いるとよい。また、強度の観点からは、例えば、プロピレン系のαオレフィンとの共重合体などを用いるとよい。柔軟性および強度を両立する観点からは、これらのポリマを併用するとよい。シランバッチ14におけるポリマにグラフト重合させるシラン化合物は、上述したものを用いるとよい。
続いて、上記で調製した触媒バッチ13およびシランバッチ14を押出機100に供給し溶融混練して混合し、その混合物15を導体11の外周に押し出して被覆させる。本実施形態の触媒バッチ13は、触媒(B)がシラングラフトポリマ(A)に分散しているので、シランバッチ14と混合したときに、触媒(B)を凝集させることなく、混合物15中に分散させることができる。これにより、混合して押し出すまでの間に架橋反応が進行してしまうことを抑制し、押し出した成形体において異物の発生を低減することができる。
触媒バッチ13とシランバッチ14とは、10:90〜90:10の範囲内の質量比率で混合する(左側の数値が触媒バッチ13の比率を表し、右側の数値がシランバッチ14の比率を表す)。なお、例えば比率10:90を「10/90」と表すことや、また例えば比率90:10を「90/10」と表すこともある(分子側の数値が触媒バッチ13の比率を表し、分母側の数値がシランバッチ14の比率を表す)。触媒バッチ13の配合量が過度に少ないと、絶縁層12の架橋度が不十分となり、所望の耐熱性を得られなくなる。一方、触媒バッチ13の配合量が過度に多くなると、シランバッチ14の配合量が少なくなり、絶縁層12の架橋度が不十分となり、所望の耐熱性を得られなくなる。
続いて、成形体を例えば大気中に曝して水分に接触させる。これにより、触媒バッチ13におけるシラングラフトポリマ(A)、および、シランバッチ14におけるシラングラフトポリマのそれぞれのシラン基を加水分解させてシラノール基とする。そして、これらのシラノール基同士を触媒(B)により脱水縮合することで架橋構造を導入する。このように、触媒バッチ13およびシランバッチ14の混合物15をシラン架橋させることにより、シラン架橋体からなる電気絶縁性の絶縁層12を形成する。
以上により、本実施形態の電線10を得る。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態の触媒バッチは、シラノール縮合触媒(B)がシラングラフトポリマ(A)中に均一に分散するように構成されている。つまり、触媒バッチは、予めシラノール縮合触媒(B)が分散した状態となっている。また、触媒バッチは、シラングラフトポリマ(A)を含むので、シラングラフトポリマを含むシランバッチとの分散性に優れている。さらに、重合と分散とを同時に行って調製されているため、調製中での意図しない架橋反応が抑制されており、架橋に伴う異物(架橋物)の発生が少なくなるように構成されている。このような触媒バッチによれば、触媒濃度を高くした場合であっても、シランバッチと混合して押し出すまでの間に、シラノール縮合触媒(B)が凝集し、架橋反応が急激に進行してしまうことを抑制できる。つまり、架橋反応にともなう異物の形成を抑制できる。したがって、本実施形態の触媒バッチによれば、シランバッチと混合して押し出すことで、表面平滑性および耐熱性に優れる絶縁層12を形成することができる。
さらに、触媒バッチに用いるシラングラフトポリマ(A)を調製する際にシラン化合物をグラフト重合させるポリマ(a)は、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶CPE、および、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下のLLDPEの、少なくとも一方を含む。これにより、絶縁層12の加熱変形性を抑えることができる。
本実施形態の触媒バッチは、さらに、難燃剤を含有することが好ましい。つまり、触媒バッチは、難燃剤含有触媒バッチとして構成されていることが好ましい。触媒バッチ中に予め難燃剤を分散させることにより、触媒バッチとシランバッチとを混合したときに難燃剤を混合物中に均一に分散させることができる。難燃剤の配合量は、例えば、ポリマ(a)100質量部に対して60質量部以上300質量部以下であることが好ましい。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、被覆層として電線10の絶縁層12を形成する場合について説明したが、本発明では、図2に示すように、上述の触媒バッチを用いてケーブル20の電気絶縁性のシース25を形成してもよい。具体的には、導体21の外周に絶縁層22が設けられた電線23を3本撚り合わせ、それを押さえテープ24などで押さえ、その外周にシース25を形成するとよい。シース25の形成は、上述の実施形態で説明した絶縁層12と同様に、行うとよい。
なお、図2では、3本の電線23を撚り合わせる場合を図示するが、電線23の本数は、これに限定されず、適宜変更することができる。
また、上述の実施形態では、難燃剤を触媒バッチに配合しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、難燃剤を含む難燃性バッチを別途調製し、シランバッチと触媒バッチとを混合する際に難燃性バッチをあわせて混合するようにしてもよい。
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
〔サンプルの作製方法〕
実施例1〜実施例20、および、比較例5〜比較例18のサンプルを、以下の方法により作製した。
(触媒バッチの調製)
以下のようにして、触媒バッチを調製した。遊離ラジカル発生剤をシラン化合物中に溶解させ、ポリ袋中で粉状の難燃剤に含浸させた。次に、3Lニーダー中の内部温度が90℃になったらポリマを投入し、ポリマが軟化したらシラン化合物を含浸させておいた粉体を投入して混練した。150℃になったら、シラノール縮合触媒および酸化防止剤を投入し、内部温度が160℃になったら材料を取り出した。これにより、シラングラフトポリマ中にシラノール縮合触媒が分散する触媒バッチを得た。そして、触媒バッチを取り出し、8インチロールにてテープ形状にし、角ペレタイザーでペレットにした。なお、シラノール縮合触媒を取出直前に投入したのは、ニーダー内での架橋反応抑制のためであり、酸化防止剤を取出直前に投入したのは、シラン化合物のグラフト重合を阻害しないようにするためである。
触媒バッチにおける材料の配合(ポリマ100質量部に対する各材料の質量部)を、実施例1〜実施例20については表1に、比較例5〜比較例18については表2に示す。
Figure 2018044032
Figure 2018044032
実施例1〜実施例20、および、比較例5〜比較例18のサンプルの触媒バッチには、以下の材料を用いた。
・ポリオレフィン EVA エバフレックスV5274:三井・デュポンポリケミカル株式会社製
・ポリオレフィン LLDPE NUCG5130:株式会社NUC製
・塩素化ポリエチレン 半結晶CPE エラスレン402B(DSC測定結晶残10J/g):昭和電工株式会社製
・塩素化ポリエチレン 半結晶CPE エラスレン252B(DSC測定結晶残35J/g):昭和電工株式会社製
・塩素化ポリエチレン 半結晶CPE エラスレン303B(DSC測定結晶残50J/g):昭和電工株式会社製
・シラン化合物 KBM−1003:信越化学工業株式会社製
・遊離ラジカル発生剤 パークミルD:日油株式会社製
・シラノール縮合触媒 ネオスタンU−830:日東化成株式会社製
・酸化防止剤 イルガノックス1010:BASFジャパン株式会社製
・難燃剤 三酸化アンチモン:Twinkling Star製
・難燃剤 サイテックス8010:アルベマール日本株式会社製
(シランバッチの調製)
以下のようにして、シランバッチを調製した。40mm押出機を用い、ホッパーからポリマを投入し、シラン化合物に遊離ラジカル発生剤を溶解させた溶液を液添ポンプで注入し、シリンダ温度200℃、押出機内滞留時間100秒〜150秒の設定で、ストランド状に押し出し、ペレタイザーにより径2mm〜3mmのシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを調製した。
シランバッチに使用した材料として、ポリマはV5274(EVA エバフレックス:三井・デュポンポリケミカル株式会社製)、シラン化合物はKBM−1003(信越化学工業株式会社製)、遊離ラジカル発生剤はパークミルD(日油株式会社製)であり、ポリマ100質量部に対して、シラン化合物を4質量部、遊離ラジカル発生剤を0.1質量部の割合で配合した。
(電線の作製)
以下のようにして、上記で調製した触媒バッチおよびシランバッチを用いて被覆層を形成し、電線を作製した。触媒バッチのペレットとシランバッチのペレットとを混合して、20mm押出機へホッパーから投入し、シリンダ温度180℃、ダイス温度200℃にて押出機内滞留時間120秒〜150秒に設定して、導体の外周に被覆厚が0.4mmとなるように押出被覆した。導体としては、径0.8mmの芯線を用いた。シランバッチ(シランMB)に対する触媒バッチ(触媒MB)の混合比率を、実施例1〜実施例20については表1に、比較例5〜比較例18については表2に示す。
その後、押出被覆された導体を温度80℃で水分が存在する環境下に24時間放置し、シラン架橋させて絶縁層を形成することで、電線を作製した。
さらに、比較例1〜比較例4のサンプルを、以下の方法により作製した。
実施例1〜実施例20、および、比較例5〜比較例18では、シラングラフトポリマを用いた触媒バッチと、シランバッチとを用いて被覆層を形成し、電線を作製したのに対し、比較例1〜比較例4では、シラングラフトポリマを用いない触媒バッチと、シランバッチとを用いて被覆層を形成し、電線を作製した。
シラングラフトポリマを用いない触媒バッチとして、以下のようなものを調製した。
・EVA V5274を99質量部、ネオスタンU−830を1質量部の割合(触媒含有濃度1%)で混練した組成物(MB1)
・EVA V5274を99.9質量部、ネオスタンU−830を0.1質量部の割合(触媒含有濃度0.1%)で混練した組成物(MB2)
比較例1〜比較例4では、触媒バッチが難燃剤を含有せず、比較例1〜比較例4のサンプルでは、シラングラフトポリマを用いない触媒バッチ、(シラングラフトポリマを用いない)難燃性バッチ、および、シランバッチを押出時に混合して、被覆層を形成した。
比較例1〜比較例4について、難燃性バッチにおける材料の配合(ポリマ100質量部に対する各材料の質量部)、シランバッチ(シランMB)に対する難燃性バッチ(難燃性MB)の混合比率、および、シランバッチ(シランMB)に対する触媒バッチ(触媒MB1または触媒MB2)の混合比率を、表2に示す。
〔評価方法〕
作製した電線を、以下の方法により評価した。
(表面平滑性)
作製した電線の絶縁層表面について、平滑さを手触りで、粒状の突起の有無を目視で評価した。平滑な手触りで電線5m当たり粒状の突起が1個も無い特に良好なものを◎、平滑な手触りであるが、電線5m当たり粒状の突起が1個〜2個目視で確認されたものを○、手触りで荒れが分かり、電線5m当たり粒状の突起が10個以上目視で確認され、特に外観が荒れているものを×とし、○以上(○および◎)を合格とした。
(熱老化後の引張特性)
熱老化性を、熱老化後の引張特性で評価した。作製した電線から芯線を引き抜いて得られた絶縁層に対し、23℃(±3℃)、湿度50%(±10%)の雰囲気下で初期の引張試験を行うと共に、熱老化試験は恒温槽内158℃下で168h放置後、23℃(±3℃)、湿度50%(±10%)の雰囲気下で24h〜48h以内に引張試験を行い、初期に対する残率を求めた。強度残率、伸び残率共に80%以上を合格とした。なお、試験は初期、熱老化共にn=3平均であり、標線は50mmとして評価した。
(加熱変形性)
作製した電線を、120℃の加熱変形試験機内に30分間予熱のため静置した後、重り2.5N下で1時間試験し、試験前後の絶縁層厚の変形率を算出した。この試験はJIS C 3005に準拠するが、試験時間は30分ではなく、より厳しく1時間とした。変形率≦50%を合格とした。
(評価結果)
実施例1〜実施例20についての評価結果を表1に、比較例1〜比較例18についての評価結果を表2に示す。
<実施例1〜実施例20>
実施例1〜実施例20は、外観、熱老化引張特性、および、加熱変形性のいずれについても合格した。つまり、実施例1〜実施例20により、表面平滑性および耐熱性を両立した被覆層を形成できることが確認された。
このうち特に加熱変形性については、触媒バッチに用いるシラングラフトポリマ(つまり上述のシラングラフトポリマ(A))を調製する際にシラン化合物をグラフト重合させるポリマ(つまり上述のポリマ(a))として、半結晶CPEおよびLLDPEの少なくとも一方を含むものを用いることで、抑えられることがわかった。以下、より詳しく説明する。
実施例1〜実施例20に示されるように、ポリマ(a)としては、ポリオレフィンを含むポリマを好ましく用いることができる。
加熱変形性を抑えるため、1つの観点として、実施例1〜実施例8および実施例11〜実施例20に示されるように、半結晶CPEを用いることができ、ポリマ(a)としては、ポリオレフィン、および、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶CPEを含むものを好ましく用いることができる。
半結晶CPEを含むポリマ(a)のポリオレフィンとしては、実施例1〜実施例8および実施例11〜実施例20に示されるように、EVAおよびLLDPEの少なくとも一方を含むものを用いることができる。例えば、実施例1〜実施例8および実施例11〜実施例17に示されるように、EVAからなるものを用いることができ、また例えば、実施例19および実施例20に示されるように、LLDPEからなるものを用いることができ、また例えば、実施例18に示されるように、EVAおよびLLDPEを含むものを用いることができる。
半結晶CPEおよびEVAを含むポリマ(a)は、実施例1〜実施例8および実施例11〜実施例18に示されるように、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶CPE、および、ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上90質量部以下のEVAを含むことが好ましい。
半結晶CPEおよびLLDPEを含むポリマ(a)は、実施例18〜実施例20に示されるように、ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上70質量部以下の半結晶CPE、および、ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上70質量部以下のLLDPEを含むことが好ましい。
加熱変形性を抑えるため、他の観点として、実施例9、実施例10、および、実施例18〜実施例20に示されるように、LLDPEを用いることができ、ポリマ(a)としては、ポリオレフィンとして、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下のLLDPEを含むものを好ましく用いることができる。
LLDPEを含むポリマ(a)としては、例えば、実施例9および実施例10に示されるように、半結晶CPEを含まないもの(LLDPEを含むポリオレフィンからなるもの)を用いることができ、また例えば、実施例18〜実施例20に示されるように、半結晶CPEを含むもの(LLDPEを含むポリオレフィン、および、半結晶CPEを含むもの)を用いることができる。
LLDPEを含むポリオレフィンからなるポリマ(a)のポリオレフィンとしては、実施例9および実施例10に示されるように、LLDPEの他のポリオレフィン成分としてEVAを含むものを用いることができる。
LLDPEを含むポリオレフィン、および、半結晶CPEを含むポリマ(a)のポリオレフィンとしては、例えば、実施例19および実施例20に示されるように、LLDPEからなるものを用いることができ、また例えば、実施例18に示されるように、LLDPEの他のポリオレフィン成分としてEVAを含むものを用いることができる。
LLDPEおよびEVAを含むポリオレフィンを含むポリマ(a)は、実施例9、実施例10、および、実施例18に示されるように、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下のLLDPE、および、ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上90質量部以下のEVAを含むことが好ましい。
このように、加熱変形性を抑えるため、ポリマ(a)としては、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶CPE、および、ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下のLLDPEの少なくとも一方を含むものが好ましく用いられることがわかった。
ポリマ(a)に用いられる半結晶CPEとしては、実施例1〜実施例8および実施例11〜実施例20に示されるように、DSC測定で10J/g以上50J/g以下の結晶残を有するものを好ましく用いることができる。
実施例1〜実施例20に示されるように、シラングラフトポリマ(A)としては、シラン化合物がポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、遊離ラジカル発生剤に対するシラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、シラノール縮合触媒(つまり上述のシラノール縮合触媒(B))をポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含むものを好ましく用いることができる。
特に、実施例11〜実施例20に示されるように、シラングラフトポリマ(A)として、シラン化合物がポリマ(a)100質量部に対して2質量部以上6質量部以下であって、遊離ラジカル発生剤に対するシラン化合物の比率が100以上300以下となるようにグラフト重合されてなり、シラノール縮合触媒(B)をポリマ(a)100質量部に対して0.03質量部以上0.3質量部以下となるように含むものを用いることで、表面平滑性が特に良好で、かつ熱老化引張特性の強度・伸びの残率が90%以上という優れた特性が得られた。
また、実施例1〜実施例20に示されるように、触媒バッチとシランバッチとは、10:90〜90:10の範囲内の質量比率で混合されることが好ましい。
<比較例1〜比較例4>
比較例1〜比較例4は、触媒バッチ(または難燃性バッチ)にシラングラフトポリマを用いておらず、また、触媒バッチと難燃性バッチとを別々に調製したものである。比較例1および比較例2は、熱老化引張特性は良好であるが、外観が荒れ、加熱変形性についても不合格であった。
比較例3は、触媒バッチの配合量を減らした結果だが、外観、加熱変形性について依然不合格であり、熱老化引張特性まで劣る結果となった。比較例4は、触媒バッチの触媒濃度を低濃度にした結果だが、外観は改善するものの、熱老化引張特性および加熱変形性については不合格となった。
このように、比較例1〜比較例4のように、触媒バッチにシラングラフトポリマを用いない手法では、外観、熱老化引張特性、および、加熱変形性のすべてについて合格するサンプルは得られなかった。
<比較例5〜比較例12>
比較例5は、シラン化合物の配合量が1質量部未満であることで、十分な架橋度が得られず、熱老化引張特性に劣り、比較例6は、シラン化合物の配合量が10質量部を超えることで、グラフト共重合時にシラン化合物同士の反応が促進されて異物が生成され、外観に劣る。
比較例7は、遊離ラジカル発生剤の配合量が、シラン化合物/遊離ラジカル発生剤の質量比率で400を超えることで、熱老化引張特性に劣り、比較例8は、この比率が5未満であることで、外観に劣る。この理由は、以下のように推測される。一般に、シラン化合物に対して遊離ラジカル発生剤の割合が高くなるほど(質量比率が低くなるほど)、ポリマの架橋点が多くなり、反応初期の架橋形成速度が向上するが、遊離ラジカル発生剤が過多になると、ポリマ同士の高分子量化が進み、粘度の違いから粒となり外観荒れを起こすためである。
比較例9は、触媒バッチ中に含まれるシラノール縮合触媒の配合量が0.01質量部未満であることで、必要な架橋度が得られず、熱老化引張特性に劣り、比較例10は、触媒バッチ中に含まれるシラノール縮合触媒の配合量が1質量部を超えることで、押出機内で架橋反応が進行し、外観荒れが生じている。
比較例11は、シランバッチに対する触媒バッチの割合が過度に小さいことで、シランバッチ中に触媒バッチを十分に分散できず架橋反応が阻害され、熱老化引張特性に劣り、比較例12は、シランバッチに対する触媒バッチの割合が過度に大きいことで、シランバッチの量が少なくなったため、熱老化引張特性に劣るものと考えられる。
比較例5〜比較例12では、半結晶CPEおよびLLDPEのいずれも配合されておらず、比較例10を除きいずれも、加熱変形性について不合格であった。なお、比較例10は加熱変形性について合格しているものの、外観荒れが生じている。
<比較例13〜比較例18>
比較例13は、ポリマ(a)にLLDPEが含まれるものの、その配合量が10質量部未満であるため、また、比較例14は、ポリマ(a)に半結晶CPEが含まれるものの、その配合量が10質量部未満であるため、それぞれ、加熱変形性は50%に近い値まで減少しているが、合格域までは改善(減少)しなかった。
比較例15および比較例17は、ポリマ(a)に10質量部以上のLLDPEが含まれることで、加熱変形性について合格しているが、LLDPEの配合量が70質量部を超えて過度に大きいことで、押出時にメルトフラクチャーが起こり、外観荒れが生じている。
比較例16および比較例18は、ポリマ(a)に10質量部以上の半結晶CPEが含まれることで、加熱変形性について合格しているが、半結晶CPEの配合量が70質量部を超えて過度に大きいことで、熱老化試験での高温長時間の試験で脱塩酸が生じ、伸び残率に劣っている。なお、半結晶CPEを用いる場合、LLDPEを用いる場合と比べ、配合量が過度に大きくなっても、良好な表面平滑性が得られている。
比較例13〜比較例18では、半結晶CPEおよびLLDPEの少なくとも一方が配合されることで、加熱変形性について改善(減少)が見られる。
以上のように、本発明によれば、シラノール縮合触媒がシラングラフトポリマに分散されて構成される触媒バッチを用いることにより、耐熱性(耐熱老化性や耐加熱変形性)および表面平滑性を両立する被覆層を形成することができる。
また、触媒バッチに用いるシラングラフトポリマを調製する際にシラン化合物をグラフト重合させるポリマとして、半結晶CPEおよびLLDPEの少なくとも一方を含むものを用いることで、被覆層の加熱変形性を抑えることができる。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチに配合してシラン架橋させるための触媒バッチであって、
ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)と、
シラノール縮合触媒(B)と、を含有し、
前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、
前記シラングラフトポリマ(A)は、前記シラン化合物が前記ポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、
前記シラノール縮合触媒(B)を前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む、触媒バッチが提供される。
[付記2]
付記1の触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記ポリマ(a)は、前記ポリオレフィン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の前記半結晶塩素化ポリエチレンを含む。
[付記3]
付記2の触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記ポリオレフィンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体および前記直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含む。
[付記4]
付記3の触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の前記半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上90質量部以下の前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む。
[付記5]
付記3の触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上70質量部以下の前記半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上70質量部以下の前記直鎖状低密度ポリエチレンを含む。
[付記6]
付記2〜付記5のいずれか1つの触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記半結晶塩素化ポリエチレンは、示差走査熱量測定で10J/g以上50J/g以下の結晶残を有する。
[付記7]
付記1の触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記ポリマ(a)は(前記ポリオレフィンとして)、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の前記直鎖状低密度ポリエチレンを含む。
[付記8]
付記7の触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記ポリオレフィンは、前記直鎖状低密度ポリエチレンの他のポリオレフィン成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む。
[付記9]
付記8の触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の前記直鎖状低密度ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して30質量部以上90質量部以下の前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む。
[付記10]
付記1〜付記9のいずれか1つの触媒バッチにおいて、好ましくは、
前記シラングラフトポリマ(A)は、前記シラン化合物が前記ポリマ(a)100質量部に対して2質量部以上6質量部以下であって、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が100以上300以下となるようにグラフト重合されてなり、
前記シラノール縮合触媒(B)を前記ポリマ(a)100質量部に対して0.03質量部以上0.3質量部以下となるように含む。
[付記11]
付記1〜付記10のいずれか1つの触媒バッチにおいて、好ましくは、
さらに、難燃剤を含有する。
[付記12]
本発明の他の態様によれば、
ポリオレフィンを含むポリマ(a)であって、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含む前記ポリマ(a)100質量部に対して、シラン化合物を1質量部以上10質量部以下、遊離ラジカル発生剤を、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにそれぞれ添加し、前記ポリマ(a)に前記遊離ラジカル発生剤の存在下で前記シラン化合物をグラフト重合させてシラングラフトポリマ(A)を形成しつつ、当該シラングラフトポリマ(A)にシラノール縮合触媒(B)を、前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように添加することで、触媒バッチを得る触媒バッチ調製工程と、
前記触媒バッチと、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチとを10:90〜90:10の範囲内で混合し、その混合物を導体の外周を被覆するように押し出して成形体を得る押出工程と、
前記成形体をシラン架橋させて被覆層を形成する架橋工程と、を有する電線・ケーブルの製造方法が提供される。
[付記13]
本発明のさらに他の態様によれば、
導体と前記導体の外周上に配置される被覆層とを備え、
前記被覆層は、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチと触媒バッチとを10:90〜90:10の範囲内で含む混合物をシラン架橋させてなり、
前記触媒バッチは、
ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)と、
シラノール縮合触媒(B)と、を含有し、
前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、
前記シラングラフトポリマ(A)は、前記シラン化合物が前記ポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、
前記シラノール縮合触媒(B)を前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む、電線・ケーブルが提供される。
10 電線
11 導体
12 絶縁層
13 触媒バッチ
14 シランバッチ
15 混合物
20 ケーブル
21 導体
22 絶縁層
23 電線
24 押さえテープ
25 シース

Claims (7)

  1. ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチに配合してシラン架橋させるための触媒バッチであって、
    ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)と、
    シラノール縮合触媒(B)と、を含有し、
    前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、
    前記シラングラフトポリマ(A)は、前記シラン化合物が前記ポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、
    前記シラノール縮合触媒(B)を前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む、触媒バッチ。
  2. 前記ポリマ(a)は、前記ポリオレフィン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の前記半結晶塩素化ポリエチレンを含む請求項1に記載の触媒バッチ。
  3. 前記ポリオレフィンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体および前記直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含む請求項2に記載の触媒バッチ。
  4. 前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の前記直鎖状低密度ポリエチレンを含む請求項1に記載の触媒バッチ。
  5. 前記ポリオレフィンは、前記直鎖状低密度ポリエチレンの他のポリオレフィン成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む請求項4に記載の触媒バッチ。
  6. ポリオレフィンを含むポリマ(a)であって、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含む前記ポリマ(a)100質量部に対して、シラン化合物を1質量部以上10質量部以下、遊離ラジカル発生剤を、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにそれぞれ添加し、前記ポリマ(a)に前記遊離ラジカル発生剤の存在下で前記シラン化合物をグラフト重合させてシラングラフトポリマ(A)を形成しつつ、当該シラングラフトポリマ(A)にシラノール縮合触媒(B)を、前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように添加することで、触媒バッチを得る触媒バッチ調製工程と、
    前記触媒バッチと、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチとを10:90〜90:10の範囲内で混合し、その混合物を導体の外周を被覆するように押し出して成形体を得る押出工程と、
    前記成形体をシラン架橋させて被覆層を形成する架橋工程と、を有する電線・ケーブルの製造方法。
  7. 導体と前記導体の外周上に配置される被覆層とを備え、
    前記被覆層は、ポリマにシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマを含むシランバッチと触媒バッチとを10:90〜90:10の範囲内で含む混合物をシラン架橋させてなり、
    前記触媒バッチは、
    ポリオレフィンを含むポリマ(a)に遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリマ(A)と、
    シラノール縮合触媒(B)と、を含有し、
    前記ポリマ(a)は、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の半結晶塩素化ポリエチレン、および、前記ポリマ(a)100質量部に対して10質量部以上70質量部以下の直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含み、
    前記シラングラフトポリマ(A)は、前記シラン化合物が前記ポリマ(a)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であって、前記遊離ラジカル発生剤に対する前記シラン化合物の比率が5以上400以下となるようにグラフト重合されてなり、
    前記シラノール縮合触媒(B)を前記ポリマ(a)100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下となるように含む、電線・ケーブル。
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