JP2014062173A - 樹脂組成物および電子部品装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス転移温度(Tg)の向上および熱分解による重量減少率の低減の双方を実現し得る樹脂組成物、及び該樹脂組成物より得られた硬化物を、半導体素子を封止する封止材として備えることにより優れた高温での信頼性を有する電子部品装置を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含有することを特徴とする樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および電子部品装置に関する。
近年、電気エネルギーの有効活用等の観点から、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いた素子を搭載するSiC/GaNパワー半導体装置(SiCまたはGaNを用いた素子を搭載する半導体装置をSiC/GaNパワー半導体装置と記載する)が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
これらに代表される素子は、従来のSiを用いた素子に比べて、電力損失を大幅に低減できるばかりでなく、より高い電圧や大電流、200℃以上といった高温下であっても動作することが可能であるため、従来のSiパワー半導体装置では適用が難しかった用途への展開が期待されている。
このように、SiCまたはGaNを用いた素子(半導体素子)に代表される過酷な状況下で動作可能となる素子においては、これらの素子を保護するために半導体装置に設けられる半導体封止材に対しても従来以上の耐熱性が求められている。
ここで、従来のSiパワー半導体装置では、半導体封止材として、接着性、電気的安定性等の観点から、エポキシ系の樹脂組成物の硬化物を主材料として構成したものが一般的に用いられている。
このような樹脂組成物の硬化物の耐熱性を表す指標として、一般的には、ガラス転移温度(Tg)が用いられている。これはTg以上の温度領域では、半導体封止材(硬化物)がゴム状になり、これに起因してその強度や接着強度が低下することによる。そのため、Tgを上げるための方法として、樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量、または、硬化剤(フェノール樹脂硬化剤)の水酸基当量を下げて架橋密度を上げたり、それら官能基(エポキシ基および水酸基)間を繋ぐ構造を剛直な構造にする等の手法がとられる。
また、Tg以外に樹脂組成物の耐熱性を表す指標として、熱分解による重量減少率が用いられている。ここで、半導体封止材の重量減少は、結合エネルギーが低いエポキシ樹脂と硬化剤の連結部分の熱分解により起こる。そのため、官能基密度が高い半導体封止材では、重量減少率の低下を図ることは不利とされることから、重量減少率の低下を図るための手法と、前述の高Tgを得るための手法とでは、その目的が相反する。
特開2005−167035号公報
本発明は、ガラス転移温度(Tg)の向上および熱分解による重量減少率の低減の双方を実現し得る樹脂組成物を提供すること、及び該樹脂組成物より得られた硬化物を、半導体素子を封止する封止材として備えることにより優れた高温での信頼性を有する電子部品装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(13)に記載の本発明により達成される。
(1)下記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。


(一般式(1A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(1B)または下記一般式(1C)で表されるヒドロキシフェニル基を表し、Xは、下記一般式(1D)または下記一般式(1E)で表されるヒドロキシフェニレン基を表す。nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


(一般式(1B)〜(1E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)


(一般式(2A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(2B)または下記一般式(2C)で表されるグリシジル化フェニル基を表し、Xは、下記一般式(2D)または下記一般式(2E)で表されるグリシジル化フェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


(一般式(2B)〜(2E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)
(2)当該樹脂組成物中における前記フェノール樹脂系硬化剤の含有率をA1[質量%]とし、前記エポキシ樹脂の含有率をA2[質量%]としたとき、A1/(A1+A2)が0.2以上、0.9以下なる関係を満足する第(1)項に記載の樹脂組成物。
(3)前記フェノール樹脂硬化剤は、その水酸基当量が90〜190g/eqである第(1)項または第(2)項に記載の樹脂組成物。
(4)前記エポキシ樹脂は、そのエポキシ当量が160〜290g/eqである第(1)項ないし第(3)項のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)無機充填材を含有する第(1)項ないし第(4)項のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)下記に示す硬化促進剤の少なくとも1種を含有する第(1)項ないし第(5)項のいずれかに記載の樹脂組成物。

(ただし、上記一般式(6)において、Pはリン原子を表す。R、R、RおよびRは芳香族基またはアルキル基を表す。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。x、yは1〜3、zは0〜3であり、かつx=yである。)


(ただし、上記一般式(7)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rはヒドロキシル基を表す。fは0〜5であり、gは0〜3である。)


(ただし、上記一般式(8)において、Pはリン原子を表す。R10、R11およびR12は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R13、R14およびR15は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、R14とR15が結合して環状構造となっていてもよい。)


(ただし、上記一般式(9)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R16、R17、R18およびR19は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。式中R20は、基YおよびYと結合する有機基である。式中R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYは、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。R20、およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、Y、Y、YおよびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。Zは芳香環または複素環を有する有機基、
あるいは脂肪族基である。)
(7)カップリング剤を含有する第(1)項ないし第(6)項のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)離型剤を含有する第(1)項ないし第(7)項のいずれかに記載の樹脂組成物。
(9)前記樹脂組成物より得られた硬化物であって、該硬化物のガラス転移温度(Tg)が200℃以上であり、かつ200℃で1000時間放置後の重量減少率が0.3%以下となる第(1)ないし第(8)項のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10)第(1)項ないし第(9)項のいずれかに記載の樹脂組成物より得られた硬化物を、半導体素子を封止する封止材として備えることを特徴とする電子部品装置。
(11)下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。


(一般式(2A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(2B)または下記一般式(2C)で表されるグリシジル化フェニル基を表し、Xは、下記一般式(2D)または下記一般式(2E)で表されるグリシジル化フェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


(一般式(2B)〜(2E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)
(12)第(11)項記載の樹脂組成物より得られた硬化物であって、該硬化物のガラス転移温度(Tg)が200℃以上であり、かつ200℃で1000時間放置後の重量減少率が0.3%以下となる第(11)項記載の樹脂組成物。
(13)第(11)項または第(12)項記載の樹脂組成物より得られた硬化物を、半導体素子を封止する封止材として備えることを特徴とする電子部品装置。
本発明は、ガラス転移温度(Tg)の向上および熱分解による重量減少率の低減の双方を実現し得る樹脂組成物、及び該樹脂組成物より得られた硬化物を、半導体素子を封止する封止材として備えることにより優れた高温での信頼性を有する電子部品装置を提供し得るものである。
本発明の樹脂組成物を用いた電子部品装置を半導体装置に適用した場合の一例を示す縦断面図である。
以下、本発明の樹脂組成物および電子部品装置を好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の樹脂組成物を説明するのに先立って、本発明の電子部品装置について説明する。
なお、以下では、本発明の樹脂組成物を用いた電子部品装置(本発明の電子部品装置)を、半導体装置に適用した場合を一例に説明する。また、以下で挙げる記載PKG(パッ
ケージを以下PKGと記載する場合がある)は一例であり、半導体素子の好ましい態様としては、本実施形態では、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)に代表される高温にて動作する素子を用いたもので構成される。
<半導体装置>
図1は、本発明の樹脂組成物を用いた電子部品装置を半導体装置に適用した場合の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置1は、QFP(Quad Flat Package)型の半導体パッケージであり、半導体チップ(半導体素子)2と、半導体チップ2を接着層8を介して支持するダイパッド5と、半導体チップ2と電気的に接続されたリード6と、半導体チップ2を封止するモールド部(封止部)7とを有している。
半導体チップ2の好ましい態様としては、本実施形態では、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたもので構成される。
また、ダイパッド5は、金属基板で構成され、半導体チップ2を支持する支持体として機能を有するものである。
このダイパッド5は、例えば、Cu、Fe、Niやこれらの合金(例えば、Cu系合金や、Fe−42Niのような鉄・ニッケル系合金)等の各種金属材料で構成される金属基板や、この金属基板の表面に銀メッキや、Ni−Pdメッキが施されているもの、さらにNi−Pdメッキの表面にPd層の安定性を向上するために設けられた金メッキ(金フラッシュ)層が設けられているもの等が用いられる。
また、ダイパッド5の平面視形状は、通常、半導体チップ2の平面視形状に対応し、例えば、正方形、長方形等の四角形とされる。
ダイパッド5の外周部には、複数のリード6が、放射状に設けられている。
このリード6のダイパッド5と反対側の端部は、モールド部7から突出(露出)している。
リード6は、導電性材料で構成され、例えば、前述したダイパッド5の構成材料と同一のものを用いることができる。
また、リード6には、その表面に錫メッキ等が施されていてもよい。これにより、マザーボードが備える端子に半田を介して半導体装置1を接続する場合に、半田とリード6との密着性を向上させることができる。
ダイパッド5には、接着層8を介して半導体チップ2が固着(固定)されている。
この接着層8は、特に限定されないが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリイミド系接着剤およびシアネート系接着剤等の各種接着剤を用いて形成される。
また、半導体チップ2は、電極パッド3を有しており、この電極パッド3とリード6とが、ワイヤー4で電気的に接続されている。これにより、半導体チップ2と各リード6とが電気的に接続されている。
このワイヤー4の材質は、特に限定されないが、ワイヤー4は、例えば、Au線、Al
線、Cu線、Ag線で構成することができる。
そして、ダイパッド5、ダイパッド5の上面側に設けられた各部材およびリード6の内側の部分は、モールド部7により封止されている。その結果として、リード6の外側の端部がモールド部7から突出している。
このモールド部7が、本発明の樹脂組成物の硬化物により構成され、このものは、本発明の樹脂組成物を用いたトランスファーモールド等の成形方法により、上記のように各部材を封止し、その後、80℃〜200℃程度の温度で、10分〜10時間程度の時間をかけて樹脂組成物を硬化させることにより形成される。
また、半導体チップ2を、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたものとすると、前記背景技術で説明したように、モールド部7としては、接着性、電気的安定性、難燃性および耐熱性(特に耐熱性において高Tgと重量減少の低減化との両立)、高温での信頼性に優れることが求められる。
以下、この樹脂組成物について説明する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含有するものである。


(一般式(1A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(1B)または下記一般式(1C)で表されるヒドロキシフェニル基を表し、Xは、下記一般式(1D)または下記一般式(1E)で表されるヒドロキシフェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


(一般式(1B)〜(1E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)


(一般式(2A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(2B)または下記一般式(2C)で表されるグリシジル化フェニル基を表し、Xは、下記一般式(2D)または下記一般式(2E)で表されるグリシジル化フェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


(一般式(2B)〜(2E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)
以下、樹脂組成物に含まれる各成分について順次説明する。
[フェノール樹脂系硬化剤]
フェノール樹脂系硬化剤は、下記一般式(1A)で表される重合体であり、本発明の樹脂組成物に含まれる主材料のうちの1つである。(なお、本発明で重合体とは一般式(1A)におけるn=0の化合物も概念に含むものである)
このフェノール樹脂系硬化剤は、このものを介して、エポキシ樹脂同士を架橋させることにより、樹脂組成物を硬化させる機能を有するものである。


(一般式(1A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(1B)または下記一般式(1C)で表されるヒドロキシフェニル基を表し、Xは、下記一般式(1D)または下記一般式(1E)で表されるヒドロキシフェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


(一般式(1B)〜(1E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)
かかる構成の前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤において、nは分布を持つ一般式(1A)で表わされるフェノール樹脂系硬化剤の平均値であり、0〜6が好ましく、0〜3がより好ましく、0〜1がさらに好ましい。また、前記一般式(1A)で表わされるフェノール樹脂系硬化剤の数平均分子量は390以上1000以下が好ましく、400以上600以下がより好ましく、400以上550以下がさらに好ましく、特に400以上500以下が好ましい。本発明のフェノール樹脂系硬化剤は水酸基を複数有する芳香環を含むため、分子間の水素結合の相互作用が強く、従来の樹脂に比べ、成形性特に連続成形時の充填性において、従来の流動性や硬化性の概念とは異なる特異な挙動を示す場合があり、前記数平均分子量、特にその上限値を抑制した前記範囲であれば、硬化性も優れ、良好な連続成形性を保持しつつ、本発明の樹脂組成物の硬化物の高いガラス転移温度と低重量減少率を優れたものとすることができる。なお、前記nは数平均分子量と前記X、Y、およびビフェニル骨格部分の構造とその構成比を知ることにより算出できる。
また一般式(1A)〜(1E)中のR、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5炭化水素基を表す。R、RおよびRにおいて、炭素の数が5以下であれば、得られる樹脂組成物の反応性が低下して、成形性が損なわれてしまうのを確実に防止することができる。
具体的には、置換基R、RおよびRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、t−ペンチル基等のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基であるのが好ましい。これにより、樹脂組成物の硬化性と疎水性のバランスを特に優れたものとすることができる。
また、aは、一般式(1A)において、同一のベンゼン環上に結合する置換基Rの数を表し、aは、互いに独立して、0〜4の整数であり、b、dは、一般式(1B)、(1
D)において、同一のベンゼン環上に結合する置換基Rの数を表し、bは、互いに独立して、0〜4の整数であり、dは、互いに独立して、0〜3の整数であり、さらに、c、eは、一般式(1C)、(1E)において、同一のベンゼン環上に結合する置換基Rの数を表し、cは、互いに独立し、0〜3であり、eは、互いに独立して、0〜2の整数であり、aは好ましくは0〜2の整数であり、b、c、d、eは好ましくは0または1の整数である。
本発明では、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤において、前記一般式(1B)で表される一価ヒドロキシフェニル基(以下一価ヒドロキシフェニル基とは水酸基を1個有するヒドロキシフェニル基の意味で記載する)と、前記一般式(1D)で表される一価ヒドロキシフェニレン基(以下一価ヒドロキシフェニレン基とは水酸基を1個有するヒドロキシフェニレン基の意味で記載する)とが含まれ、かつ、前記一般式(1C)で表される二価ヒドロキシフェニル基(以下二価ヒドロキシフェニル基とは水酸基を2個有するヒドロキシフェニル基の意味で記載する)と、前記一般式(1E)で表される二価ヒドロキシフェニレン基(以下二価ヒドロキシフェニレン基とは水酸基を2個有するヒドロキシフェニレン基の意味で記載する)とが含まれる構成となっている。
前記一般式(1B)で表される一価ヒドロキシフェニル基と、前記一般式(1D)で表される一価ヒドロキシフェニレン基とが含まれる構成とすることで、樹脂組成物を、優れた難燃性、低吸水率、耐半田性を発現するものとすることができる。
さらに、前記一般式(1C)で表される二価ヒドロキシフェニル基と、前記一般式(1E)で表される二価ヒドロキシフェニレン基とが含まれる構成とすることで、フェノール性水酸基の密度を高めることができ、その結果として、樹脂組成物の硬化物の(Tg)が上昇する。ここで、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤において、フェノール性水酸基の密度を高めることは、一般的に重量減少率を悪化させる傾向がある。しかしながら、該硬化剤と該エポキシによる架橋体は、ビフェニル骨格と水酸基を2個有するフェノール類を含むフェノール類を連結するメチレン基部分が、立体的嵩高さにより保護されると推察されるため、比較的熱分解を受けづらく、Tgが上昇する割に重量減少率が悪化しづらくなっていると考えられる。
また、前記フェノール樹脂系硬化剤において、各重合体が有する前記一般式(1B)で表されるヒドロキシフェニル基の数と、前記一般式(1D)で表されるヒドロキシフェニレン基の数との合計をkとしたときの各重合体のkの平均値k0と、各重合体が有する前記一般式(1C)で表されるヒドロキシフェニル基の数と、前記一般式(1E)で表されるヒドロキシフェニレン基の数との合計をmとしたときの各重合体のmの平均値m0の比であるk0/m0は、0/100〜82/18であるのが好ましく、20/80〜80/20であるのがより好ましく、25/75〜75/25であるのがさらに好ましい。k0/m0が上記範囲にあることにより、流動特性、耐半田性、難燃性、連続成形性、耐熱性のバランスに優れた樹脂組成物を、経済的に得ることができる。
なお、k0およびm0の値は、電界脱離質量分析(Field Desorption
Mass Spectrometry;FD−MS)で測定される相対強度比を質量比とみなして算術計算することによって求めることができる。さらに、H−NMRまたはC−NMR測定によっても求めることができる。
(フェノール樹脂系硬化剤の製造方法)
以上のような前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤の製造方法としては、例えば、下記一般式(3)で表されるビフェニレン化合物、下記一般式(4)で表される一価フェノール化合物、下記一般式(5)で表される二価フェノール化合物とを酸性触媒下で反応させる方法があげられる。


(一般式(3)中、Zは、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す)


(一般式(4)中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数を表す。)


(一般式(5)中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表し、cは0〜3の整数を表す。)
なお、前記一般式(3)で表される化合物中のZにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。また、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、t−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基、1−メチルペントキシ基、2−メチルペントキシ基、3−メチルペントキシ基、4−メチルペントキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、2,4−ジメチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、3,4−ジメチルブトキシ基、4,4−ジメチルブトキシ基、2−エチルブトキシ基および1−エチルブトキシ基等が挙げられる。また、Rにおける炭素数1〜
5の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、t−ペンチル基等のアルキル基が挙げられる。
このような前記一般式(3)で表される化合物としては、具体的には、例えば、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル、4,4’−ビスブロモメチルビフェニル、4,4’−ビスヨードメチルビフェニル、4,4’−ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,4’−ビスメトキシメチルビフェニル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でも、4,4’−ビスメトキシメチルビフェニルまたは4,4’−ビスクロロメチルビフェニルを用いるのが好ましい。4,4’−ビスメトキシメチルビフェニルは、比較的低温で合成が可能であり、反応副生成物の留去や取り扱いが容易であるという観点から好ましく用いられ、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルは、微量の水分の存在に起因して発生するハロゲン化水素を酸触媒として利用することができるという観点から好ましく用いられる。
前記一般式(4)で表される一価フェノール化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール、フェニルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノール、ノニルフェノール、メシトール、2,3,5−トリメチルフェノー
ル、2,3,6−トリメチルフェノール等が挙げられ、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フェノール、o−クレゾールが好ましく、特にフェノールが、エポキシ樹脂との反応性に優れるという観点から、より好ましく用いられる。
下記一般式(5)で表される二価フェノール化合物としては、例えば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン等が挙げられ、これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レゾルシノールおよびヒドロキノンが、樹脂組成物の反応性という観点から好ましく用いられ、さらに、レゾルシノールが比較的低温でフェノール樹脂系硬化剤の合成ができるという観点からより好ましく用いられる。
さらに、酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、およびルイス酸等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記一般式(3)で表される化合物中の基Zが、ハロゲン原子である場合、反応時の副生成物であるハロゲン化水素が酸性触媒として作用する。そのため、反応系中に酸性触媒を添加する必要がなくなることから、少量の水を添加することで速やかに反応を開始させることができる。
これらの化合物を酸性触媒下で反応させるフェノール樹脂系硬化剤の製造方法としては、前記数平均分子量が好ましくは390以上1000以下、より好ましくは400以上600以下、さらに好ましくは400以上550以下、特に好ましくは400以上500以下となるように任意の条件を設定すればよいが、例えば、前記一価フェノール化合物、前記二価フェノール化合物の合計1モルに対して、ビフェニレン化合物0.01〜0.8モル、必要に応じて酸性触媒0.01〜0.05モルをそれぞれ秤量し、その後これらを80〜170℃の温度で、窒素フローにより発生ガスおよび水分を系外へ排出しながら、1〜20時間反応させる。そして、反応終了後に残留する未反応モノマー(例えば、ベンジル化合物やジヒドロキシナフタレン化合物)、反応副生物(例えば、ハロゲン化水素、メタノール)、触媒を減圧蒸留、水蒸気蒸留等の方法で留去することによってフェノール樹脂系硬化剤を得る方法が挙げられる。
なお、一価フェノール化合物および二価フェノール化合物の配合比率の好ましい範囲としては、前記k0/m0が、好ましくは0/100〜82/18、より好ましくは20/
80〜80/20、さらに好ましくは25/75〜75/25となるような任意の条件とすればよいが、一価フェノール化合物および二価フェノール化合物の合計量100mol%に対して、一価フェノール化合物の配合比率が好ましくは15〜85mol%であり、より好ましくは20〜80mol%であり、さらに好ましくは20〜75mol%である。一価フェノール化合物の配合比率が上記下限値以上であれば、原料コストの上昇を抑えることができ、得られる樹脂組成物が、流動性に優れるものとすることができる。一価フェノール化合物の配合比率が上記上限値以下であれば、得られる樹脂組成物が、耐熱性に優れ、成形温度において充分な硬度を有するため、成形性に優れたものとすることができる。一価フェノール化合物の配合比率が上記上限値以下であれば、原料コストの上昇を抑えることができ、得られる樹脂組成物が、流動特性、耐半田性および難燃性に優れ、成形温度において充分な靭性を有するため、成形性に優れたものとすることができる。以上のように2種のフェノール化合物の配合比率を上述の範囲とすることで、流動特性、耐半田性、難燃性、耐熱性、および成形性特に連続成形性のバランスに優れた樹脂組成物を、経済的に得ることができる。
ここで、フェノール樹脂系硬化剤の数平均分子量、水酸基当量、k0/m0の比率は、
当業者に公知のフェノール樹脂の合成方法の手法を用いて調整することができる。
例えば、フェノール樹脂系硬化剤のk0/m0の比率は、合成に使用する一価フェノール化合物、二価フェノール化合物の配合比率によりを調整することができる。また、分子量や粘度は一価フェノール化合物、および二価フェノール化合物と、ビフェニレン化合物のモル比を1:1に近づける等の方法で、フェノール樹脂系硬化剤を高分子量化、高粘度化させることができる。一方一価フェノール化合物と二価フェノール化合物に対しビフェニレン化合物のモル比を減らす、酸触媒の配合量を減らす、ハロゲン化水素ガスが発生する場合にはこれを窒素気流等で速やかに系外に排出する、反応温度を下げる等の手法によって高分子量成分の生成を低減させ、数平均分子量を前記好ましい範囲とする方法が使用できる。この場合、反応の進行は、一般式(3)で表される化合物と一価フェノール化合物および二価フェノール化合物との反応で副生成するハロゲン化水素、アルコールのガスの発生状況や、あるいは反応途中の生成物をサンプリングしてゲルパーミエーションクロマトグラフ法により分子量で確認することもできる。
なお、樹脂組成物には、上記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤を用いることによる効果が損なわれない範囲で、他の硬化剤が含まれていてもよく、好ましくは全硬化剤中50質量%以上、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤を含むことが好ましい。併用できる硬化剤としては、特に限定されないが、例えば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、縮合型の硬化剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重付加型の硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシレンジアミンのような脂肪族ポリアミン;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族ポリアミン;ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジドのようなポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸のような脂環族酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のような芳香族酸無水物等を含む酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂のような半導体封止材分野において当業者がフェノール樹脂系硬化剤として公知のもの、ポリビニルフェノールに代表されるフェノールポリマーのようなポリフェノール化合物;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルのようなポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートのようなイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂のような有機酸類等が挙げられる。
また、触媒型の硬化剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノールのような3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールのようなイミダゾール化合物;BF錯体のようなルイス酸等が挙げられる。
さらに、縮合型の硬化剤としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂のようなフェノール樹脂系硬化剤;メチロール基含有尿素樹脂のような尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂のようなメラミン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、難燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール樹脂系硬化剤が好ましい。
フェノール樹脂系硬化剤は、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂のようなノボラック型樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂のような多
官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のような変性フェノール樹脂;フェニレン骨格および/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂のようなアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFのようなビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらのうち、硬化性の点から水酸基当量は90g/eq以上、250g/eq以下のものが好ましい。
樹脂組成物中における本発明のフェノール樹脂系硬化剤を含む全硬化剤の配合量は、1質量%以上、20質量%以下であるのが好ましく、2質量%以上、15質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以上、10質量%以下であるのがさらに好ましい。上記範囲内であれば、得られる樹脂組成物が、硬化性、耐熱性および耐半田性のバランスに優れるものとすることができる。
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂は、下記一般式(2A)で表される重合体であり、本発明の樹脂組成物に含まれる主材料のうちの1つである。(なお、本発明で重合体とは一般式(2A)におけるn=0の化合物も概念に含むものである)


(一般式(2A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(2B)または下記一般式(2C)で表されるグリシジル化フェニル基を表し、Xは、下記一般式(2D)または下記一般式(2E)で表されるグリシジル化フェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数をあらわす。)


(一般式(2B)〜(2E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)
かかる構成の前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂において、nは分布を持つ一般式(2A)で表わされるエポキシ樹脂の平均値であり、0〜6が好ましく、0〜3がより好ましく、0〜1がさらに好ましい。また前記一般式(2A)で表わされるエポキシ樹脂の数平均分子量は450以上2000以下が好ましく、500以上1000以下がより好ましく、500以上800以下がさらに好ましく、500以上700以下が最も好ましい。本発明のエポキシ樹脂はその硬化過程等において水酸基を複数有する芳香環を含むフェノール樹脂に由来する水素結合の相互作用の影響を強く受け、従来の樹脂に比べ、成形性特に連続成形時の充填性において、従来の流動性や硬化性の概念とは異なる特異な挙動を示す場合があり、前記数平均分子量、特にその上限値を抑制した前記範囲であれば、硬化性も優れ、良好な連続成形性を保持しつつ、本発明の樹脂組成物の硬化物の高いガラス転移温度と低重量減少率を優れたものとすることができる。なお、nは数平均分子量と前記X、Y、およびビフェニル骨格部分の構造とその構成比を知ることにより算出できる。またRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5炭化水素基を表す。一般式(2B)〜(2E)中のRおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5炭化水素基を表す。R、RおよびRにおいて、炭素の数が5以下であれば、得られる樹脂組成物の反応性が低下して、成形性が損なわれてしまうのを確実に防止することができる。
具体的には、置換基R、RおよびRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、t−ペンチル基等のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基であるのが好ましい。これにより、樹脂組成物の硬化性と疎水性のバランスを特に優れたものとすることができる。
また、aは、一般式(2A)において、同一のベンゼン環上に結合する置換基Rの数を表し、aは、互いに独立して、0〜4の整数であり、b、dは、一般式(2B)、(2D)において、同一のベンゼン環上に結合する置換基Rの数を表し、bは、互いに独立して、0〜4の整数であり、dは、互いに独立して、0〜3の整数であり、さらに、c、
eは、一般式(2C)、(2E)において、同一のベンゼン環上に結合する置換基Rの数を表し、cは、互いに独立し、0〜3であり、eは、互いに独立して、0〜2の整数であり、aは好ましくは0〜2の整数であり、b、c、d、eは好ましくは0または1の整数である。
本発明では、前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂において、前記一般式(2B)で表される1つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニル基と、前記一般式(2D)で表される1つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニレン基とが含まれ、かつ、前記一般式(2C)で表される2つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニル基と、前記一般式(2E)で表される2つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニレン基とが含まれる構成となっている。
前記一般式(2B)で表される1つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニル基と、前記一般式(2D)で表される1つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニレン基とが含まれる構成とすることで、樹脂組成物を、優れた難燃性、低吸水率、耐半田性を発現するものとすることができる。
さらに、前記一般式(2C)で表される2つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニル基と、前記一般式(2E)で表される2つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニレン基とが含まれる構成とすることで、グリシジルエーテル基の密度を高めることができ、その結果として、樹脂組成物の硬化物の(Tg)が上昇する。ここで、前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂において、グリシジルエーテル基の密度を高めることは、一般的に重量減少率を悪化させる傾向がある。しかしながら、本発明の硬化剤と本発明のエポキシによる架橋体は、ビフェニル骨格と一価または二価のフェノールを連結するメチレン基部分が、立体的嵩高さにより保護されると推察されるため、比較的熱分解を受けづらく、Tgが上昇する割に重量減少率が悪化しづらくなっていると考えられる。
(エポキシ樹脂の製造方法)
以上のような前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂は、例えば、以下のように、エポキシ樹脂において当業者に公知の方法で製造することができる。
すなわち、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤を用意し、このフェノール樹脂系硬化剤が備える水酸基を、エピクロルヒドリンと反応させて、グリシジルエーテル基に置換することにより、前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂を得る方法が挙げられる。その際、使用する原料の前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤の選定は、硬化剤として好ましい態様のものを選び、該硬化剤をエポキシ樹脂において当業者に公知の方法でエポキシ化する方法も採用可能である。
より詳しくは、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤に過剰のエピクロルヒドリンを加える。その後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物の存在下において、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃の温度範囲で、好ましくは1〜10時間程度の時間反応させる。そして、反応終了後に、過剰のエピクロルヒドリンを蒸留除去し、残留物をメチルイソブチルケトン等の有機溶剤に溶解し、ろ過し水洗して無機塩を除去し、次いで有機溶剤を留去することによってエポキシ樹脂を得る方法が挙げられる。
なお、エピクロルヒドリンの添加量は、フェノール樹脂系硬化剤の水酸基当量に対して2〜15倍モル程度に設定されているのが好ましく、2〜10倍モル程度に設定されているのがより好ましい。さらに、アルカリ金属水酸化物の添加量は、フェノール樹脂系硬化
剤の水酸基当量に対して0.8〜1.2倍モル程度に設定されているのが好ましく、0.9〜1.1倍モル程度に設定されているのがより好ましい。
なお、樹脂組成物には、上記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂を用いることによる効果が損なわれない範囲で、他のエポキシ樹脂が含まれていてもよく、好ましくは全エポキシ樹脂中50質量%以上前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
他のエポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂のような結晶性エポキシ樹脂;メトキシナフタレン骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のようなノボラック型エポキシ樹脂;芳香族炭化水素とホルムアルデヒドとを縮合して得た樹脂をフェノールで変性し、さらにエポキシ化して得られるフェノール変性芳香族炭化水素−ホルムアルデヒド樹脂型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂のような多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂のようなアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂のようなナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートのようなトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂のような有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂;フェノールフタレインとエピクロルヒドリンとを反応して得られるフェノールフタレイン型エポキシ樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、このような他のエポキシ樹脂のうち、結晶性エポキシ樹脂は、流動性に優れる点で好ましく、多官能エポキシ樹脂は、良好な耐熱性と連続成形における金型の汚染が軽度である点で好ましく、フェノールフタレイン型エポキシ樹脂は、後述する無機充填材含有率が低い場合でも優れた難燃性、耐半田性のバランスに優れる点で好ましく、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂のようなアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール変性芳香族炭化水素−ホルムアルデヒド樹脂型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂は、耐半田性に優れる点で好ましく、ナフトール型エポキシ樹脂およびメトキシナフタレン骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂のような分子中にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、難燃性と耐熱性のバランスに優れる点で好ましい。
また、得られる樹脂組成物の耐湿信頼性の観点から、イオン性不純物であるNaイオンやClイオンを極力含まないことが好ましい。さらに、樹脂組成物の硬化性の観点から、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100g/eq以上、500g/eq以下であることが好ましい。
樹脂組成物中における全エポキシ樹脂の配合量は、1質量%以上、20質量%以下であるのが好ましく、2質量%以上、15質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以上、10質量%以下であるのがさらに好ましい。上記範囲内であれば、得られる樹脂組成物が、硬化性、耐熱性および耐半田性のバランスに優れるものとすることができる。
さて、上述したように本発明では、樹脂組成物中に、フェノール樹脂系硬化剤として前記一般式(1A)で表される重合体と、エポキシ樹脂として前記一般式(2A)で表され
る重合体とが主材料として含まれていることが好ましい。
これらの重合体において、前記一般式(1A)で表される重合体は、前記一般式(1C)で表される二価ヒドロキシフェニル基と、前記一般式(1E)で表される二価ヒドロキシフェニレン基とのうちのいずれか一方を必須に含まれる基を有し、前記一般式(2A)で表される重合体は、前記一般式(2C)で表される2つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニル基と、前記一般式(2E)で表される2つのグリシジルエーテル基を有するグリシジル化フェニレン基とのうちのいずれか一方を必須に含まれる基を有する構成となっている。
すなわち、前記一般式(1A)で表される重合体では、その主骨格を構成するフェニル基に2つの水酸基が導入された構造単位を含み、前記一般式(2A)で表される重合体では、その主骨格を構成するフェニル基に2つのグリシジルエーテル基が導入された構造単位を含むものとなっている。
かかる構成とすることで、前記一般式(1A)で表される重合体では、水酸基密度の向上が図られ、前記一般式(2A)で表される重合体では、エポキシ基密度の向上を図ることができる。
このように、フェノール樹脂系硬化剤としての前記一般式(1A)で表される重合体と、エポキシ樹脂としての前記一般式(2A)で表される重合体との双方の官能基密度の向上が図られているため、本発明の樹脂組成物の硬化物の架橋密度が高くなる。その結果、かかる硬化物のガラス転移温度(Tg)の向上が図られる。
また、前記一般式(1A)で表される重合体および前記一般式(2A)で表される重合体は、前記一般式(1A)で表される重合体では、その主骨格を構成するフェニル基に水酸基が導入され、前記一般式(2A)で表される重合体では、その主骨格を構成するフェニル基にグリシジルエーテル基が導入されている以外は同一の構造単位を有する構成となっている。すなわち、これらの重合体では、その主骨格が同一の構造単位を有している。
ここで、通常、上記のように樹脂組成物から得られる硬化物のTgの向上を図るために官能基密度を高くした場合には、これに反して、エポキシ基(グリシジルエーテル基)と水酸基との反応により形成された架橋点(連結部分)が熱分解することに起因して、重量減少率が高くなるという問題が生じる。
しかしながら、本発明では、上記のように官能基密度を高くしたとしても、架橋点の熱分解に起因する重量減少を的確に防止または抑制することができる。これは、前記一般式(1A)で表される重合体および前記一般式(2A)で表される重合体の双方を、その主骨格を上述したような同一の構造単位としたことによると推察される。更に前述の通り、メチレン基周辺が架橋により立体的に保護されることも二次的な分解を抑制するため、重量減少を防止又は抑制する効果があるものと考えられる。
以上のように、樹脂組成物中に、フェノール樹脂系硬化剤として前記一般式(1A)で表される重合体と、エポキシ樹脂として前記一般式(2A)で表され重合体とが主材料として含まれている構成とすることにより、樹脂組成物から得られる硬化物の高Tgと、硬化物の重量減少率の低減との双方を実現することができる。その結果、樹脂組成物から得られる硬化物は、接着性、電気的安定性、難燃性、成形性、特に連続成形性および耐熱性に優れたものとなり、特に耐熱性において高Tgと重量減少の低減化を両立させることができる。
具体的には、樹脂組成物をかかる構成とすることで、前記硬化物のTgを、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、300℃以下、さらに好ましくは220℃以上、270℃以下とすることができ、かつ、その重量減少率を、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.07%以上、0.25%以下、さらに好ましくは0.07%以上、0.2%以下とすることができる。硬化物のTgおよび重量減少率をかかる範囲内に設定できれば、SiCやGaNなどの半導体素子を搭載したパッケージの半導体封止材として、高温下でも樹脂の劣化を生じにくいため長時間動作を可能とする。
なお、硬化物の重量減少率は、例えば、円盤状試験片を形成し、175℃で4時間硬化する。その後、125℃で20時間乾燥処理し、冷却後の重量を初期重量とする。次に、大気下200℃の高温槽に円盤試験片を投入し、1000時間加熱処理、冷却後の重量を処理重量とする。熱処理前後の重量減少率を算出することで測定できる。
また、このような樹脂組成物において、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤の含有率をA1[質量%]とし、前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂の含有率をA2[質量%]としたとき、A1/(A1+A2)が0.2以上、0.9以下なる関係を満足するのが好ましく、0.3以上、0.7以下なる関係を満足するのがより好ましい。これにより、グリシジルエーテル基と水酸基とで形成される架橋点の数が適切な範囲内に設定され、硬化物の高Tg化をより確実に図ることができる。
また、このような樹脂組成物において、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤の水酸基当量の下限値は、好ましくは90g/eq以上、より好ましくは100g/eq以上に設定されている。また、その水酸基当量の上限値は、好ましくは190g/eq以下、より好ましくは180g/eq以下、さらに好ましくは170g/eq以下に設定されている。
また、前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂のエポキシ当量の上限値、下限値は、前記1Aの水酸基がグリシジルエーテル基に置換した場合の理論値から導かれる値が好ましいが、エポキシ化が一部未反応になる場合は、その理論値の好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上となっていれば本発明の効果を発現し得るものである。具体的には、前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂のエポキシ当量の下限値は、好ましくは150g/eq以上、より好ましくは170g/eq以上に設定されている。また、そのエポキシ当量の上限値は、好ましくは290g/eq以下、より好ましくは260g/eq以下、さらに好ましくは240g/eq以下に設定されている。下限値および上限値をかかる範囲内に設定することにより、エポキシ基と水酸基との反応により形成される架橋点が適切な範囲内に設定され、より確実に硬化物の高Tg化を図ることができる。
また本発明では、下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含有することを特徴とする樹脂組成物も、硬化剤として、例えば一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等の適切なフェノール樹脂系硬化剤と組み合せることで、SiCまたはGaNを用いた素子(半導体素子)に代表される過酷な状況下で動作可能となる素子に好適な樹脂組成物を得ることができる。前記フェノール樹脂系硬化剤の事例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂のようなノボラック型樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂のような多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のような変性フェノール樹脂;フェニレン骨格および/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂のようなアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFのようなビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよ
い。これらのうち、硬化性の点から水酸基当量は90g/eq以上、250g/eq以下のものが好ましい。
[低応力剤]
既に説明したように、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂を含むことで高Tgと重量減少の低減化を両立させることができるが、高温保管特性と高温動作特性をいずれも極めて優れたものとする態様としては、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、を含有することを特徴とする樹脂組成物、または5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物が挙げられる。ここで前記5%重量減少温度(Td5)が240℃以上とは、示差熱・熱重量同時測定装置(TG・DTA)を使用して窒素気流下、10℃/分の昇温速度で低応力剤を30℃から加熱していき、初期重量の5%が失われた時の温度が240℃以上のことである。
ここで低応力剤とは弾性率を低減する等の作用で硬化物の応力を緩和させる、または弾性率が顕著に低減しなくてもリードフレーム等の金属との密着性を向上させる、またはBGA
等のエリア実装タイプの半導体パッケージにおいて反りを低減する、等の機能を有すると当業者において一般に認識されるものである。
本発明の5%重量減少温度が240℃以上の低応力剤としては、半導体封止用樹脂組成物で当業者に公知の低応力剤において5%重量減少温度が240℃以上であれば特に限定されないが、シリコーンゴム、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンレジン、ポリシルセスキオキサン、ビスA型などのエポキシ樹脂と両末端にカルボキシル基など
が導入されたシロキサンポリマーとの付加物等のシリコーン−樹脂変性物、等のシリコーン化合物において5%重量減少温度が240℃以上のもの、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、前記ポリブタジエンにエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基等の官能基を導入した変性プリブタジエンにおいて5%重量減少温度が240℃以上のもの、天然ゴムにおいて5%重量減少温度が240℃以上のもの、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリイソブチレンゴム、および前記各種ゴムのモノマーを適宜共重合させたもの、等の合成ゴムにおいて5%重量減少温度が240℃以上のもの、が例示されるが、好ましいものとしては、東レ・ダウコーニング社製FZ3730等が例示されるエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、ポリアルキレンエーテル基等を導入した変性ポリアルキルシロキサン、変性ポリアリールシロキサン、変性ポリアルキルアリールシロキサンに代表される変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング社製CF2152等が例示されるシリコーンゴム、その他シリコーンパウダー、シリコーンレジン、ポリシルセスキオキサン粉末、ビスA型などのエポキシ樹脂と両末端にカルボキシル基などが導入され
たシロキサンポリマーとの付加物等のシリコーン−樹脂変性物、日本曹達製JP−200等が例示される変性ポリブタジエン、PTIジャパン製CTBN1008SP等が例示されるカルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体、において5%重量減少温度が240℃以上のものが特に好ましいものとして例示される。
本発明の5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、を含有する樹脂組成物、または5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物において電子部品装置の高温保管および高温動作特性の試験において極めて優れた信頼性を発現する理由は明らかではないが、高温で本発明の5%重量減少温度が240℃以上の低応力剤と一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂が、複合的に影響
し合い、その相乗効果で半導体素子と樹脂組成物の硬化物界面やボンディングパッド、ボンディングワイヤーと樹脂組成物の硬化物界面に影響を与え、信頼性が向上するものと推察される。
これらの低応力剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用しても良い。
低応力剤の配合割合の下限値としては、全樹脂組成物中0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。低応力剤の配合割合の下限値が上記範囲内であれば、成形物に低応力特性を付与することができる。また、低応力剤の配合割合の上限値としては、全樹脂組成物中1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.7質量%以下である。低応力剤の配合割合が上記範囲内であれば、流動性の低下による成形時における充填不良の発生や高粘度化による金線変形等の不具合の発生を抑えることができるが、本発明の主眼である高温保管および高温動作特性に顕著な効果を奏する範囲としては、0.1質量%以上0.7質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上0.6質量%以下である時、本発明の5%重量減少温度が240℃以上の低応力剤が、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂等の成分と適度な分散状態となり、その相乗効果が十分に得られ半導体素子と樹脂組成物の硬化物界面やボンディングパッド、ボンディングワイヤーと樹脂組成物の硬化物界面に影響を与え、信頼性が向上するものである。
[その他の成分]
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、前記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤および前記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤の他に、以下に示すようなその他の成分が含まれていてもよい。
[無機充填材]
無機充填材は、樹脂組成物の硬化に伴う吸湿量の増加や、強度の低下を低減する機能を有するものであり、当該分野で一般的に用いられる無機充填材を使用することができる。
具体的には、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素および窒化アルミ等が挙げられ、これらの無機質充填材は、単独でも混合して使用してもよい。
無機充填材の平均粒径は、金型キャビティへの充填性の観点から、0.01μm以上、150μm以下であることが好ましい。なお、平均粒径はレーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
樹脂組成物中における無機充填材の量の下限値は、樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上である。下限値が上記範囲内であると、良好な耐半田クラック性を有する硬化物を得ることができ、また、相対的に樹脂分が減るため、重量減少率を抑制することができるという効果に加え、半導体素子に接している本発明の樹脂組成物の硬化物の界面に適度な硬度を与え、本発明の主眼である優れた高温保管特性のみならず、高温動作特性をも得ることができる。
また、樹脂組成物中の無機充填材の量の上限値は、樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは93質量%以下であり、より好ましくは91質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以下である。上限値が上記範囲内であると、得られる樹脂組成物は良好な流動性、成形性を発現するとともに、適度な柔軟性を付与でき、本発明の主眼である優れた高
温保管特性のみならず、高温動作特性をも得ることができる。
本発明では、無機充填材の平均粒径は、金型キャビティへの充填性の観点から、0.01μm以上、150μm以下であることが好ましいが、より好ましくは、平均粒径が7μm以上50μm以下の球状シリカを組成物に対し、60質量%以上85質量%以下含むことが好ましく、65質量%以上83質量%以下含むことがより好ましい。前記範囲だと、高温下における半導体素子に十分に密着し、かつ素子に大きなストレスを与えないため、本発明の主眼である優れた高温保管特性のみならず、高温動作特性をも得ることができる。
また、本発明では平均粒径が0.1μm以上6μm以下の球状シリカを組成物に対し、1質量%以上25質量%以下含むことが好ましく、3質量%以上20質量%以下含むことがより好ましい。前記範囲だと、高温下における半導体素子に十分に密着し、かつ素子に大きなストレスを与えないため、本発明の主眼である優れた高温保管特性のみならず、高温動作特性をも得ることができる。
さらに本発明では、平均粒径が7μm以上50μm以下の球状シリカを組成物に対し、60質量%以上85質量%以下含むことに加え、平均粒径が0.1μm以上6μm以下の球状シリカを組成物に対し、1質量%以上25質量%以下含むと、高温下における半導体素子に十分に密着し、かつ素子に大きなストレスを与えないため、本発明の主眼である優れた高温保管特性のみならず、高温動作特性をも得ることができる。
なお、後述する、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物や、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤を用いる場合には、これらの無機系難燃剤と上記無機充填材の合計量を上記範囲内とすることが好ましい。
[硬化促進剤]
硬化促進剤は、エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール樹脂系硬化剤の水酸基との反応を促進する機能を有するものであり、一般に使用される硬化促進剤が用いられる。
硬化促進剤の具体例としては、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等が例示されるアミジンや3級アミン、さらには前記アミジン、アミンの4級塩等の窒素原子含有化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、硬化性の観点からはリン原子含有化合物が好ましく、また耐半田性と流動性の観点では、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が特に好ましく、連続成形における金型の汚染が軽度である点では、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物は特に好ましい。
樹脂組成物で用いることができる有機ホスフィンとしては、例えばエチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
樹脂組成物で用いることができるテトラ置換ホスホニウム化合物としては、例えば下記一般式(6)で表される化合物等が挙げられる。


(ただし、上記一般式(6)において、Pはリン原子を表す。R、R、RおよびRは芳香族基またはアルキル基を表す。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。x、yは1〜3、zは0〜3であり、かつx=yである。)
一般式(6)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られるがこれに限定されるものではない。まず、テトラ置換ホスホニウムハライドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。次いで水を加えると、一般式(6)で表される化合物を沈殿させることができる。一般式(6)で表される化合物において、リン原子に結合するR、R、RおよびRがフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール類であり、かつAは該フェノール類のアニオンであるのが好ましい。本発明における前記フェノール類とは、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどの単環式フェノール類、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、アントラキノールなどの縮合多環式フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、フェニルフェノール、ビフェノールなどの多環式フェノール類などが例示される。
ホスホベタイン化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物等が挙げられる。


(ただし、上記一般式(7)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rはヒドロキシル基を表す。fは0〜5であり、gは0〜3である。)
一般式(7)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、トリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、例えば、下記一般式(8)で表される化合物等が挙げられる。


(ただし、上記一般式(8)において、Pはリン原子を表す。R10、R11およびR12は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R13、R14およびR15は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、R14とR15が結合して環状構造となっていてもよい。)
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換またはアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基等の置換基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
またホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとベンゾキノン類の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。しかしこれに限定されるものではない。
一般式(8)で表される化合物において、リン原子に結合するR10、R11およびR12がフェニル基であり、かつR13、R14およびR15が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物が樹脂組成物の硬化物の熱時弾性率を低下させる点で好ましい。
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物としては、例えば下記一般式(9)で表される化合物等が挙げられる。


(ただし、上記一般式(9)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R16、R17、R18およびR19は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。式中R20は、基YおよびYと結合する有機基である。式中R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYは、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである
。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。R20、およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、Y、Y、Y、およびY5は互いに同一であっても異なっていてもよい。Zは芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基である。)
一般式(9)において、R16、R17、R18およびR19としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等のアルキル基、アルコキシ基、水酸基などの置換基を有する芳香族基もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。
また、一般式(9)において、R20は、YおよびYと結合する有機基である。同様に、R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。同様にYおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。基R20およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、基Y、Y、Y、およびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。このような一般式(9)中の−Y−R20−Y−、およびY−R21−Y−で表される基は、プロトン供与体が、プロトンを2個放出してなる基で構成されるものであり、プロトン供与体としては、分子内にカルボキシル基、または水酸基を少なくとも2個有する有機酸が好ましく、さらには芳香環を構成する隣接する炭素にカルボキシル基または水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物が好ましく、芳香環を構成する隣接する炭素に水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物がより好ましく、例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、1,1’−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオールおよびグリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
また、一般式(9)中のZは、芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基を表し、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基およびオクチル基等の脂肪族炭化水素基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基およびビフェニル基等の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基等のグリシジルオキシ基、メルカプト基、アミノ基を有するアルキル基およびビニル基等の反応性置換基等が挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基が熱安定性の面から、より好ましい。
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物の製造方法としては、メタノールを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のプロトン供与体を加えて溶かし、次に室温攪拌下ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を滴下する。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラ置換ホスホニウムハライドをメタノールに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出する。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が得られる。しかし、これに限定されるものではない。
本発明の好ましい硬化促進剤としては、前記一般式(6)〜(9)で表される化合物が例示されるが、高温下における半導体素子に十分に密着するという観点から、特にホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、およびホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が好ましい。この理由は明らかではないが、本発明の一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤や、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂に由来する構造に含まれる水酸基を複数有する芳香族基と前記硬化促進剤が硬化時や素子の高温動作時に半導体素子界面で特異な挙動を示すことにより、優れた高温保管特性のみならず、高温動作特性をも発現するのではないかと考えられる。
硬化促進剤の配合割合は、全樹脂組成物中0.1質量%以上、1質量%以下であることがより好ましい。硬化促進剤の配合割合が上記範囲内であると、充分な硬化性を得ることができる。また、硬化促進剤の配合割合が上記範囲内であると、充分な流動性を得ることができる。
また、前記従来知られた硬化促進剤の効果に加え、本発明では、硬化促進剤の配合割合が0.11質量%以上、0.70質量%以下、最も好ましくは、0.12質量%以上、0.65質量%以下の時に本発明の優れた高温保管特性のみならず、高温動作特性をも発現するという特異な効果を奏するものである。
以上、本発明において、特に重要な組成について説明したが、本発明においては、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含み、前記低応力剤、無機充填材、硬化促進剤が前記の好ましい態様である組合せの際に、最も本発明の主眼である優れた高温保管特性のみならず、高温動作特性をも最良の特性となるものである。
[芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物]
芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(A)(以下、単に、「化合物(A)」と言うことがある。)は、これを用いることにより、フェノール樹脂系硬化剤とエポキシ樹脂との架橋反応を促進させる硬化促進剤として、潜伏性を有しないリン原子含有硬化促進剤を用いた場合であっても、樹脂組成物の溶融混練中での反応を抑えることができる。
かかる化合物(A)が含まれることにより、より高せん断条件下での封止材の形成が可能となり、樹脂組成物の流動特性向上、および連続成形におけるパッケージ表面離型成分の浮き出し、あるいは金型表面の離型成分の蓄積を抑制することによって金型の清掃サイクルを軽減する効果を有する点で好ましい。
また、化合物(A)は、樹脂組成物の溶融粘度を下げ、流動性を向上させる効果があるほか、詳細な機構は不明ながら、耐半田性が向上する効果も有する。
化合物(A)としては、下記一般式(10)で表される単環式化合物または下記一般式(11)で表される多環式化合物等を用いることができ、これらの化合物は水酸基以外の置換基を有していてもよい。


(ただし、上記一般式(10)において、R22、R26はどちらか一方が水酸基であり、片方が水酸基のとき他方は水素原子、水酸基または水酸基以外の置換基である。R23、R24およびR25は水素原子、水酸基または水酸基以外の置換基である。)


(ただし、上記一般式(11)において、R27、R33はどちらか一方が水酸基であり、片方が水酸基のとき他方は水素原子、水酸基または水酸基以外の置換基である。R28、R29、R30、R31およびR32は水素原子、水酸基または水酸基以外の置換基である。)
一般式(10)で表される単環式化合物の具体例としては、例えば、カテコール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステルまたはこれらの誘導体が挙げられる。
また、一般式(11)で表される多環式化合物の具体例としては、例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびこれらの誘導体が挙げられる。これらのうち、流動性と硬化性の制御のしやすさから、芳香環を構成する2個の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物が好ましい。また、混練工程での揮発を考慮した場合、母核は低揮発性で秤量安定性の高いナフタレン環である化合物とすることがより好ましい。この場合、化合物(A)を、具体的には、例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびその誘導体等のナフタレン環を有する化合物とすることができる。これらの化合物(A)は1種類を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
かかる化合物(A)の配合割合は、全樹脂組成物中に0.01質量%以上、1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.03質量%以上、0.8質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以上、0.5質量%以下である。化合物(A)の配合割合の下限値が上記範囲内であると、樹脂組成物の充分な低粘度化および流動性向上効果を得ることができる。また、化合物(A)の配合割合の上限値が上記範囲内であると、樹脂組成物の硬化性の低下や硬化物物性の低下を引き起こすおそれが少ない。
[カップリング剤]
カップリング剤は、樹脂組成物中に無機充填材が含まれる場合に、エポキシ樹脂と無機充填材との密着性を向上させ機能を有するものであり、例えば、シランカップリング剤等が用いられる。
シランカップリング剤としては、メルカプトシラン等各種のものを用いることができる。
シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合の下限値としては、全樹脂組成物中0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合の下限値が上記範囲内であれば、エポキシ樹脂と無機充填材との界面強度が低下することがなく、電子部品装置における良好な耐半田クラック性を得ることができる。また、シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合の上限値としては、全樹脂組成物中1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下である。シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合の上限値が上記範囲内であれば、エポキシ樹脂と無機充填材との界面強度が低下することがなく、装置における良好な耐半田クラック性を得ることができる。また、シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合が上記範囲内であれば、樹脂組成物の硬化物の吸水性が増大することがなく、電子部品装置における良好な耐半田クラック性を得ることができる。
[無機難燃剤]
無機難燃剤は、樹脂組成物の難燃性を向上させる機能を有するものであり、一般に使用される無機難燃剤が用いられる。
具体的には、燃焼時に脱水、吸熱することによって燃焼反応を阻害する金属水酸化物や、燃焼時間の短縮することができる複合金属水酸化物が好ましく用いられる。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム
、水酸化バリウム、水酸化ジルコニアを挙げることができる。
複合金属水酸化物としては、2種以上の金属元素を含むハイドロタルサイト化合物であって、少なくとも一つの金属元素がマグネシウムであり、かつ、その他の金属元素がカルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、または亜鉛から選ばれる金属元素であればよく、そのような複合金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム・亜鉛固溶体が市販品で入手が容易である。
なかでも、耐半田性と連続成形性のバランスの観点からは水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム・亜鉛固溶体が好ましい。
無機難燃剤は、単独で用いても、2種以上用いてもよい。また、連続成形性への影響を低減する目的から、シランカップリング剤等の珪素化合物やワックス等の脂肪族系化合物等で表面処理を行って用いてもよい。
なお、本発明では前記無機難燃剤を使用することは差し支えないが、好ましくは無機難燃剤を125℃で20時間乾燥処理し、デシケータ-内で冷却後の重量を初期重量として
、200℃の高温槽に前記無機難燃剤を投入し、1000時間加熱処理、デシケータ-内
で冷却後の重量を処理後重量とした場合の初期重量に対する処理後の重量減少率が0.1重量%以上である難燃剤を使用しないことが好ましく、さらには無機難燃剤を使用せず、難燃性を有するレジンのみで樹脂組成物を構成することが望ましい。
すなわち、本発明の樹脂組成物において、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂とは、ともに、難燃作用のあるビフェニル骨格を有することから高い難燃性を有し、難燃剤としての機能をも有している。そのため、200℃以上の高温下で水を放出し、その結果、硬化物の重量減少率の増加を招く可能性のある金属水酸化物系難燃剤の配合を省略したとしても、難燃剤を添加した場合と同様の特性を、樹脂組成物に付与することができる。
[離型剤]
ここで離型剤とはトランスファー成形機等で成形する際、成形物を金型から離型させる機能を有するものである。
本発明の離型剤としては、半導体封止用樹脂組成物で当業者に公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えばカルナバが挙げられる。
これらの離型剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用しても良い。
離型剤の配合割合の下限値としては、全樹脂組成物中0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。離型剤の配合割合の下限値が上記範囲内であれば、成形時に金型から硬化物を離型させることができる。また、離型剤の配合割合の上限値としては、全樹脂組成物中1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。離型剤の配合割合の上限値が上記範囲内であれば、成形品表面に離型剤が染み出すことによる汚れを抑制することができる。
また、上述したその他の成分以外に、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等の着色剤等当業者に公知の成分を適宜配合してもよい。
なお、上述したような本発明の樹脂組成物は、フェノール樹脂系硬化剤、エポキシ樹脂、さらにはその他の成分を、例えば、ミキサー等を用いて常温でそれぞれ均一に混合し、その後、必要に応じて、加熱ロール、ニーダーまたは押出機等の混練機を用いて溶融混練し、続いて必要に応じて冷却、粉砕することにより、所望の分散度や流動性等に調整することができる。
また、本実施形態では、本発明の電子部品装置を、前記説明等で述べた場合に限定されず、各種の形態の半導体パッケージに適用することができ、例えば、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)、プラスチック・リード付きチップ・キャリヤ(PLCC)、クワッド・フラット・パッケージ(QFP)、ロー・プロファイル・クワッド・フラット・パッケージ(LQFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子に適用されるパッケージのみでなく、パワートランジスタなどのパワー系素子を搭載するTO−220等のパッケージにも好ましく適用することができる。
以上、本発明の樹脂組成物および電子部品装置について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の樹脂組成物には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよい。
また、本発明の電子部品装置の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(フェノール樹脂系硬化剤1;MFBA型フェノールの合成)
セパラブルフラスコに撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入口を装着し、1,3−ジヒドロキシベンゼン(東京化成工業社製、「レゾルシノール」、融点111℃、分子量110、純度99.4%)291質量部、フェノール(関東化学社製特級試薬、「フェノール」、融点41℃、分子量94、純度99.3%)235質量部、あらかじめ粒状に砕いた4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(和光純薬工業社製、「4,4’−ビスクロロメチルビフェニル」、融点126℃、純度95%、分子量251)125質量部を、セパラブルフラスコに秤量し、窒素置換しながら加熱し、フェノールの溶融の開始に併せて攪拌を開始した。
その後、系内温度を110〜130℃の範囲に維持しながら3時間反応させた後、加熱し、140〜160℃の範囲に維持しながら3時間反応させた。
なお、上記の反応によって系内に発生した塩酸ガスは、窒素気流によって系外へ排出した。
反応終了後、150℃2mmHgの減圧条件で未反応成分を留去した。次いで、トルエン400質量部を添加し、均一溶解させた後、分液漏斗に移し、蒸留水150質量部を加えて振とうした後に、水層を棄却する操作(水洗)を洗浄水が中性になるまで繰り返し行
った後、油層を125℃減圧処理することによってトルエン、残留未反応成分等の揮発成分を留去し、下記式(12A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤1(重合体)を得た。
なお、このフェノール樹脂系硬化剤1における水酸基当量は135であった。
また、電界脱離質量分析(Field Desorption Mass Spectrometry;FD−MS)により測定・分析された相対強度比を質量比とみなして算術計算することにより得られた、水酸基が1個の構造単位の繰り返し数kの平均値k0、水酸基が2個の構造単位の繰り返し数mの平均値m0の比k0/m0は、0.98/1であり、数平均分子量は460であった。なお、前記数平均分子量はWaters社製アライアンス(2695セパレーションズモデュール、2414リフラクティブインデックスディテクター、TSKゲルGMHHR−Lx2+TSKガードカラムHHR−Lx1、移動相:THF、0.5ml/分)を用い、カラム温度40.0℃、示差屈折率計内温度40.0℃、サンプル注入量100μlの条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を測定した。


(式(12A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記式(12B)または下記式(12C)で表されるヒドロキシフェニル基を表し、Xは、下記式(12D)または下記式(12E)で表されるヒドロキシフェニレン基を表す。)

(フェノール樹脂系硬化剤2;MFBA型フェノールの合成)
前記(フェノール樹脂系硬化剤1;MFBA型フェノールの合成)において、レゾルシノールを374質量部、フェノールを141質量部、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル100質量部とした以外はすべてフェノール樹脂系硬化剤1の合成と同様の操作を行い、式(12A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤2(重合体)を得た。
なお、このフェノール樹脂系硬化剤2における水酸基当量は120であった。
また、電界脱離質量分析により測定・分析された相対強度比を質量比とみなして算術計算することにより得られた、水酸基が1個の構造単位の繰り返し数kの平均値k0、水酸基が2個の構造単位の繰り返し数mの平均値m0の比k0/m0は、0.51/1であり、数平均分子量は480であった。
(フェノール樹脂系硬化剤3;BA型フェノールの準備)
ビフェニレン骨格を有するフェノール(フェノールの水酸基が1個のもの)アラルキル樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851SS。水酸基当量203g/eq)を用意した。
(フェノール樹脂系硬化剤4;TPM型フェノールの準備)
トリフェニルメタン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7500。水酸基当量97g/eq)を用意した。
(エポキシ樹脂1;MFBA型エポキシの合成)
セパラブルフラスコに撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入口を装着し、前述のフ
ェノール樹脂硬化剤1を100質量部、エピクロルヒドリン(東京化成工業(株)製)400質量部を秤量し、100℃に加熱して溶解させた後、水酸化ナトリウム(固形細粒状、純度99%試薬)60質量部を4時間かけて徐々に添加し、さらに3時間反応させた。次にトルエン200質量部を加えて溶解させた後、蒸留水150質量部を加えて振とうし、水層を棄却する操作(水洗)を洗浄水が中性になるまで繰り返し行った後、油層を125℃2mmHgの減圧条件でエピクロルヒドリンを留去した。得られた固形物にメチルイソブチルケトン300質量部を加えて溶解し、70℃に加熱し、30質量%水酸化ナトリウム水溶液13質量部を1時間かけて添加し、さらに1時間反応した後、静置し、水層を棄却した。油層に蒸留水150質量部を加えて水洗操作を行い、洗浄水が中性になるまで同様の水洗操作を繰り返し行った後、加熱減圧によってメチルイソブチルケトンを留去し、下記式(13A)で表される化合物を含むエポキシ樹脂1(エポキシ当量200g/e
q)を得た。このエポキシ樹脂の数平均分子量は560であった。


(式(13A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記式(13B)または下記式(13C)で表されるグリシジル化フェニル基を表し、Xは、下記式(13D)または下記式(13E)で表されるグリシジル化フェニレン基を表す。)

(エポキシ樹脂2;MFBA型エポキシの合成)
フェノール樹脂系硬化剤2(120質量部)を用いること以外はエポキシ樹脂1の手順と同様に合成を行い、上記式(13A)で表される化合物を含むエポキシ樹脂2(エポキシ当量185g/eq)を得た。得られたエポキシ樹脂2の数平均分子量は670であっ
た。
(エポキシ樹脂3;BA型エポキシの準備)
ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂型エポキシ樹脂(フェノールの水酸基が1個のビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂を原料とするエポキシ樹脂)(日本化薬株式会社製、NC3000。エポキシ当量276g/eq、軟化点58℃)を用意した。
(エポキシ樹脂4;TPM型エポキシの準備)
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、1032H−60。エポキシ当量171g/eq、軟化点60℃)を用意した。
(離型剤)
離型剤1としては、カルナバ(日興ファイン社製、「ニッコウカルナバ」)を用意した。
(無機充填材1)
無機充填材1としては、溶融球状シリカ(電気化学工業社製「FB560」、平均粒径30μm)を用意した。なお、本発明の平均粒径は島津製作所製レーザー回折散乱式粒度分布計SALD−7000を使用して測定した。
(無機充填材2)
無機充填材2としては、溶融球状シリカ(アドマテックス社製「SO−25R」、平均粒径0.5μm)を用意した。
(硬化促進剤1)
硬化促進剤1としては、下記式(14)で示される硬化促進剤を用意した。


[硬化促進剤1の合成方法]
撹拌装置付きのセパラブルフラスコに4,4’−ビスフェノールS37.5g(0.15モル)、メタノール100mlを仕込み、室温で撹拌溶解し、更に攪拌しながら予め50mlのメタノールに水酸化ナトリウム4.0g(0.1モル)を溶解した溶液を添加した。次いで予め150mlのメタノールにテトラフェニルホスホニウムブロマイド41.9g(0.1モル)を溶解した溶液を加えた。しばらく攪拌を継続し、300mlのメタノールを追加した後、フラスコ内の溶液を大量の水に撹拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。沈殿を濾過、乾燥し、白色結晶の硬化促進剤1を得た。
硬化促進剤2としては、下記式(15)で示される硬化促進剤を用意した。


[硬化促進剤2の合成方法]
冷却管及び攪拌装置付きのセパラブルフラスコに2,3‐ジヒドロキシナフタレン12.
81g(0.080mol)、テトラフェニルホスホニウムブロミド16.77g(0.040mol)およびメタノール100mlを仕込み攪拌し、均一に溶解させた。予め水酸化ナトリウム1.60g(0.04ml)を10mlのメタノールに溶解した水酸化ナトリウム溶液をフラスコ内に徐々に滴下すると結晶が析出した。析出した結晶をろ過、水洗、真空乾燥し、硬化促進剤2を得た。

硬化促進剤3としては、下記式(16)で示される硬化促進剤を用意した。


[硬化促進剤3の合成方法]
メタノール1800gを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン249.5g、2,3−ジヒドロキシナフタレン384.0gを加えて溶かし、次に室温攪拌下28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液231.5gを滴下した。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド503.0gをメタノール600gに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し、桃白色結晶の硬化促進剤3を得た。
硬化促進剤4としては、下記式(17)で示される1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物を用意した。


[硬化促進剤4の合成方法]
冷却管及び攪拌装置付きのセパラブルフラスコにベンゾキノン6.49g(0.060mol)、トリフェニルホスフィン17.3g(0.066mol)およびアセトン40mlを仕込み、攪拌下、室温で反応した。析出した結晶をアセトンで洗浄後、ろ過、乾燥し暗緑色結晶の硬化促進剤4を得た。
硬化促進剤5としては、トリフェニルホスフィン(和光純薬製)を用意した。
(シランカップリング剤1)
シランカップリング剤1としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−803)を用意した。
(低応力剤1)
低応力剤1としては、以下の合成方法で得た反応物A(Td5:255℃)を用意した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、YL−6810、エポキシ当量170g/eq、融点47℃)66.1重量部を140℃で加温溶融し、オルガノポリシロキサン(東レ・ダウコーニング(株)製、BY16−750)33.1重量部及びトリフェニルホスフィン0.8重量部を添加して、30分間溶融混合して反応物Aを得た。
(低応力剤2)
低応力剤2としては、FZ−3730(東レ・ダウコーニング製エポキシ基、ポリアルキレンエーテル基、メチル基等を有するシリコーンオイル、Td5:270℃)を用意した

(低応力剤3)
低応力剤3としては、CTBN1008SP(PTIジャパン製両末端にカルボキシル基を有するブタジエンとアクリロニトリルの共重合体、Td5:250℃)を用意した。
(低応力剤4)
低応力剤4としては、JP−200(日本曹達製エポキシ化ポリブタジエン、Td5:2
45℃)を用意した。
(低応力剤5)
低応力剤5としては、CF2152(東レ・ダウコーニング製ポリメチルシロキサンゴ
ム、Td5:280℃)を用意した。
(低応力剤6)
低応力剤6としては、BTA751(ローム・アンド・ハース製コアがブタジエンスチレン系エラストマーでシェルが架橋ポリメタクリル酸メチルであるコアシェル微粒子、Td5:200℃)を用意した。
(着色剤1)
着色剤としては、カーボンブラック(三菱化学社製、「MA600」)を用意した。
2.樹脂組成物の製造
[実施例1]
エポキシ樹脂1(8.44質量部)、フェノール樹脂系硬化剤1(4.96質量部)、無機充填材1(75.00質量部)、無機充填材2(10.00質量部)、硬化促進剤3(0.31質量部)、シランカップリング剤1(0.20質量部)、離型剤1(0.20質量部)、低応力剤1(0.5質量部)、着色剤1(0.40質量部)をそれぞれ秤量し、これらをミキサーを用いて混合した後、表面温度が95℃と25℃の2本ロールを用いて混練することにより混練物を得た。次いで、この混練物を、冷却後粉砕することで実施例1の樹脂組成物を得た。
[実施例2〜14、比較例1〜4]
原材料の種類および配合量を表1に示すように変更したこと以外は前記実施例1と同様にして、実施例2〜14、比較例1〜4の樹脂組成物を得た。
3.評価
使用した低応力剤及び得られた各実施例および各比較例の樹脂組成物を、以下の方法で評価した。
3−1.5%重量減少温度(Td5)の評価
サンプル(低応力剤)をPtパンに10mg入れ、窒素気流下10℃/分で30℃から400℃までの熱重量減少量をTG・DTA測定装置(セイコーインスツル株式会社、EXSTAR7000)を用いて測定し、サンプルの初期重量の5%が失われた時の温度(Td5)を測定した。
3−2.スパイラルフロー(SF)の評価
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−15」)を用いて、ANSI/ASTM D 3123−72に準じたスパイラルフロー測定用金型に、175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件で、各実施例および各比較例の樹脂組成物を注入し、流動長を測定し、これをスパイラルフローとした。
スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。単位はcm。SiCまたはGaNパワー半導体パッケージへ適用して、モジュールを封止するためには、60cm以上となっていることが好ましい。
3−3.ガラス転移温度(Tg)の評価
各実施例および各比較例の樹脂組成物のガラス転移温度は、JISK 7244−3に
準じて測定した。
すなわち、各実施例および各比較例の樹脂組成物について、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間90秒で、80mm×10mm×4mmの試験片を成形し、175℃、4時間で後硬化し、動的粘弾性(エーアンドディ社製、「DDV−25GP」)を測定し(昇温速度:5℃/分、周波数:10Hz、荷
重:800g)、tanδピーク温度をガラス転移温度として読み取った。
3−4.重量減少率の評価
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120sの条件で、各実施例および各比較例の樹脂組成物から、直径50mm、厚さ3mmの円盤状試験片を成形し、175℃で4時間後硬化した。その後、125℃で20時間乾燥処理し、冷却後の重量を初期重量とした。次いで、大気下200℃の高温槽に円盤試験片を投入し、1000時間加熱処理、冷却後の重量を処理後重量とした。
なお、表1には、熱処理前後の重量減少率を百分率で示した。
3−5.耐燃性の評価
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−30」)を用いて、金型温度175℃、注入時間15秒、硬化時間120秒、注入圧力9.8MPaの条件で、各実施例および各比較例の樹脂組成物を注入成形して、175℃、4時間で後硬化することで、3.2mm厚の耐燃試験片を作製した。
得られた耐熱試験片について、UL94垂直法の規格に則り耐燃試験を行った。
なお、表1には、判定後の耐燃ランク(クラス)を示した。
3−6.高温保管特性(HTSL)評価
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、圧力9.8MPa、硬化時間2分で、チップサイズ3.5mm×3.5mmの16pSOPを成形し、175℃、4時間で硬化した後、175℃での高温保管試験を行った。配線間の電気抵抗値が初期値の20%増加したパッケージを不良と判定し、不良になるまでの時間を測定した。不良時間はn=4個の平均値。単位は時間である。
3−7.高温動作特性(HTOL)評価
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、圧力9.8MPa、硬化時間2分で、チップサイズ3.5mm×3.5mmの16pSOPを成形し、175℃、4時間で硬化した後、デイジーチェーンにつないだ両端に0.5Aの直流電流を流し、この状態で175℃での高温保管を行った。配線間の電気抵抗値が初期値の20%増加したパッケージを不良と判定し、不良になるまでの時間を測定した。不良時間はn=4個の平均値。単位は時間である。
以上のようにして得られた各実施例および各比較例の樹脂組成物における評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。

表1に示したように、各実施例では、硬化物の耐燃性および流動性の特性を維持しつつ、硬化物のガラス転移温度(Tg)の向上および重量減少率の低下の双方を実現することができた。また高温保管特性、高温動作特性についても良好であった。
また、SiCまたはGaNを用いた素子(半導体素子)に代表される過酷な状況下で動作可能となる素子を搭載した半導体装置において極めて優れた信頼性が得られた。
これに対して、比較例1では、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂を使用しているため、高Tg、低重量減少の特徴は有しているものの、5%重量減少温度が240℃未満の低応力剤を使用したものであり、実施例に比べ劣る結果となった。比較例2では、一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤を使用した事例であり、Tgが実施例よりやや低く、重量減少も実施例よりやや大きかった。また高温保管特性、高温動作特性についてもやや劣る結果であった。比較例3では、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(フェノールの水酸基が1個のビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂)とビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂型エポキシ樹脂(フェノールの水酸基が1個のビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂を原料とするエポキシ樹脂)を使用したものであり、重量減少率は良好であるものの、Tgが200℃よりはるかに低く、高温保管特性、高温動作特性についても劣る結果であった。比較例4ではTgが高いものの、耐燃性、重量減少率、流動性が劣るものであり、いずれも本発明の特徴である高Tg、低重量減少率であり、かつ電子部品装置の高温保管特性、高温動作特性を両立することができないものであった。
1 半導体装置
2 半導体チップ
3 電極パッド
4 ワイヤー
5 ダイパッド
6 リード
7 モールド部
8 接着層


Claims (13)

  1. 下記一般式(1A)で表されるフェノール樹脂系硬化剤と、下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。


    (一般式(1A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(1B)または下記一般式(1C)で表されるヒドロキシフェニル基を表し、Xは、下記一般式(1D)または下記一般式(1E)で表されるヒドロキシフェニレン基を表す。nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


    (一般式(1B)〜(1E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)


    (一般式(2A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(2B)または下記一般式(2C)で表されるグリシジル化フェニル基を表し、Xは、下記一般式(2D)または下記一般式(2E)で表されるグリシジル化フェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


    (一般式(2B)〜(2E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)
  2. 当該樹脂組成物中における前記フェノール樹脂系硬化剤の含有率をA1[質量%]とし、前記エポキシ樹脂の含有率をA2[質量%]としたとき、A1/(A1+A2)が0.2以上、0.9以下なる関係を満足する請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記フェノール樹脂硬化剤は、その水酸基当量が90〜190g/eqである請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂は、そのエポキシ当量が160〜290g/eqである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 無機充填材を含有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 下記に示す硬化促進剤の少なくとも1種を含有する請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の樹脂組成物。


    (ただし、上記一般式(6)において、Pはリン原子を表す。R、R、RおよびRは芳香族基またはアルキル基を表す。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。x、yは1〜3、zは0〜3であり、かつx=yである。)


    (ただし、上記一般式(7)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rはヒドロキシル基を表す。fは0〜5であり、gは0〜3である。)


    (ただし、上記一般式(8)において、Pはリン原子を表す。R10、R11およびR12は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R13、R14およびR15は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、R14とR15が結合して環状構造となっていてもよい。)


    (ただし、上記一般式(9)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R16、R17、R18およびR19は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。式中R20は、基YおよびYと結合する有機基である。式中R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYは、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。R20、およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、Y、Y、YおよびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。Zは芳香環または複素環を有する有機基、
    あるいは脂肪族基である。)
  7. カップリング剤を含有する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 離型剤を含有する請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂組成物より得られた硬化物であって、該硬化物のガラス転移温度(Tg)が200℃以上であり、かつ200℃で1000時間放置後の重量減少率が0.3%以下となる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の樹脂組成物より得られた硬化物を、半導体素子を封止する封止材として備えることを特徴とする電子部品装置。
  11. 下記一般式(2A)で表されるエポキシ樹脂と、5%重量減少温度(Td5)が240℃以上の低応力剤と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。


    (一般式(2A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記一般式(2B)または下記一般式(2C)で表されるグリシジル化フェニル基を表し、Xは、下記一般式(2D)または下記一般式(2E)で表されるグリシジル化フェニレン基を表す。また、nは0以上の数を表す。さらに、nが2以上の場合、2つ以上のXは、それぞれ互いに独立して、同一であっても異なっていてもよい。Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、aは0〜4の整数を表す。)


    (一般式(2B)〜(2E)中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素数1〜5の炭化水素基を表し、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜3の整数、eは0〜2の整数を表す。)
  12. 請求項11記載の樹脂組成物より得られた硬化物であって、該硬化物のガラス転移温度(Tg)が200℃以上であり、かつ200℃で1000時間放置後の重量減少率が0.3%以下となる請求項11記載の樹脂組成物。
  13. 請求項11または請求項12記載の樹脂組成物より得られた硬化物を、半導体素子を封止する封止材として備えることを特徴とする電子部品装置。

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