JP2014062066A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】露出した象牙質の表面における象牙細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖して、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止する口腔用組成物に関する。
【解決手段】 次の成分(A)、(B)、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6〜9.2である口腔用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、口腔用組成物に関する。
象牙質知覚過敏症は、歯面に機械的、温度的或いは化学的刺激が与えられた際に疼痛が誘発される疾患である。歯周炎の進行や加齢、強い歯磨処理等によって、歯肉の退縮や歯牙のエナメル質の損傷が生じ、これらに被覆されていた歯牙の象牙質が露出することが要因となる。従来より、このような象牙質知覚過敏症を予防又は治療するために種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、重炭酸カリウム及び塩化カリウムの中から選択されたカリウム塩を有効量で施用する方法が開示されており、カリウムイオンの作用によって知覚神経自体の活動の低下を図り、疼痛を緩和させるものである。また、特許文献2には、硝酸カリウム等の可溶性のカリウム塩のほか、可溶性の第一スズ塩及び塩化ストロンチウム等の可溶性のストロンチウム塩も、象牙質の敏感性をやわらげることのできる活性成分として開示されている。さらに、特許文献3には、口腔ケア維持組成物をブラッシングによって口腔に適用した際、かかる組成物に含まれる遊離又は塩形の塩基性アミノ酸により、歯の過敏性を軽減し得ることが記載されている。
一方、再石灰化を促進して歯を元の健康な状態に戻すことも、象牙質知覚過敏症の発症を抑制するのに寄与し得る。例えば、特許文献4には、再石灰化成分として、フッ素化合物と、酸化亜鉛やクエン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の水難溶性亜鉛化合物を含有する口腔用組成物が開示されている。
他方、象牙質知覚過敏症の発症メカニズムとしては、動水力学説、すなわち、露出した象牙質の表面では象牙細管が開口し、外部からの刺激がこの開口部から象牙細管内の組織液へと伝達され、組織液の流動が細管内の奥端部に位置する歯髄神経に到達して、疼痛が知覚されるという説が支持されている。こうした説に基づき、象牙質知覚過敏症の発症を抑制すべく、例えば、特許文献5には、アルミニウム化合物を含有する第一液と、リン酸化合物等を含有する助剤とに分離構成した知覚過敏症用塗布剤が開示されており、第一液と助剤との反応によってアルミニウム塩を沈着させることで、象牙細管の開口部を物理的に封鎖する試みがなされている。また、特許文献6に開示されている象牙質知覚過敏予防・治療剤は、乳酸アルミニウム等の金属塩とポリオールリン酸エステル等との反応により形成されるコロイドによって、特許文献4に開示された口腔用組成物と同様に、象牙細管の開口部の封鎖を図っている。
特表昭61−501389号公報 特開2000−281551号公報 特表2011−510981号公報 特開2000−247852号公報 特開平6−116153号公報 特開平5−117157号公報
しかしながら、特許文献1又は2に記載の知覚神経の活動を低下させる成分では、知覚神経周辺のイオンバランスを変化させて神経を鈍感にさせるため、充分に疼痛を低減できないだけでなく、痛みを軽減させる即効性や持続性に欠ける。また、特許文献4に記載の口腔用組成物がもたらす再石灰化は緩和な作用であるため、象牙質知覚過敏症の発症を即効的に抑制することも、その効果を持続することも難しい。
こうしたことから、象牙質知覚過敏症の発現を防止する手段として、動水力学説に基づき、象牙細管の開口部を封鎖して、象牙細管内の組織液の流動を抑制するのが有効であると考えられる。しかしながら、特許文献3のように、塩基性アミノ酸を用いるのみでは、象牙細管の開口部を十分に封鎖することが困難であり、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを軽減させる効果に欠ける。また、特許文献5は乳酸アルミニウム塩を形成させることにより象牙細管の開口部を封鎖しようとするものであるが、この塩を象牙細管の開口部周辺に沈着させる必要があるため、開口部を十分に封鎖させることは難しく、特許文献6に記載のコロイドによっても象牙細管の開口部を充分に封鎖することは難しいため、いずれの文献に記載の剤も、象牙質視覚過敏症に起因する痛みを軽減させる即効性に欠け、十分に痛みを軽減させる効果にも欠ける。
したがって、本発明は、露出した象牙質の表面における象牙細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖して、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止する口腔用組成物に関する。
そこで本発明者は、特定のアルキル基を有する脂肪酸と塩基性アミノ酸とを特定のモル比で水とともに併用し、特定のpH域とすることで、露出した象牙質の表面における象牙細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖し、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することができる口腔用組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6〜9.2である口腔用組成物に関する。
本発明の口腔用組成物によれば、露出した象牙質の表面における象牙細管の開口部を即効的かつ充分に封鎖することができる。しかも、必ずしもブラッシング等の外的負荷をかけなくても、象牙細管の開口部を覆うことができ、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することが可能である。
したがって、象牙質知覚過敏症を予防又は改善するための、液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物、練り歯磨組成物、その他の剤型を有する口腔用組成物として、幅広く用いることができる。
図1は、実施例1の口腔用組成物を用いた際における、象牙質の表面のマイクロスコープ写真である。 図2は、実施例2の口腔用組成物を用いた際における、象牙質の表面のマイクロスコープ写真である。 図3は、比較例1の口腔用組成物を用いた際における、象牙質の表面のマイクロスコープ写真である。 図4は、実施例10の口腔用組成物を用いた際における、象牙質の表面のマイクロスコープ写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の口腔用組成物は、炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸(A)を含有し、液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物、練り歯磨組成物、その他の剤型を有するものである。かかる成分(A)は、少なくともその一部が後述する成分(B)の塩基性アミノ酸とともに、本発明の口腔用組成物中では良好な溶解性を示すことのできる脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成しており、ほぼ全ての成分(A)が成分(B)とともに脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成しているのが好ましい。したがって、かかる脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を口腔用組成物中に溶解したままの状態で口腔内の隅々まで十分に行き渡らせて、所望の象牙質の表面まで容易に到達させることができる。また、脂肪酸の塩基性アミノ酸塩が歯の表面に到達した際には、かかる脂肪酸の塩基性アミノ酸塩又は脂肪酸が析出して歯の表面に堅固に固着するため、象牙細管の開口部を堅固に封鎖して、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することができる。また、脂肪酸及び脂肪酸の塩基性アミノ酸塩は耐酸性があるため、酸性の飲料や食品によっても象牙細管の開口部を封鎖性が失われることを防止し、象牙質知覚過敏症に起因する痛み抑制効果を持続することができる。なお、成分(A)や成分(B)のうち、脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成したもの以外の残余の成分(A)や成分(B)は、本発明の口腔用組成物中に、遊離脂肪酸や遊離塩基性アミノ酸として存在することとなる。すなわち、本発明の口腔用組成物は、成分(A)、(B)、又は成分(A)と(B)の塩を含むものである。
成分(A)が有する炭化水素基の炭素数は、成分(B)とともに形成する脂肪酸の塩基性アミノ酸塩が適度な温度域にクラフト点を有して良好な溶解性を保持する観点から18以下が好ましく、16以下がより好ましく、組成物の使用時の風味及び後味の点から12以上が好ましい。また、炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、直鎖炭化水素基、分岐鎖を有する炭化水素基が挙げられ、飽和炭化水素基が好ましく、直鎖飽和炭化水素基がより好ましい。かかる炭化水素基としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、脂肪酸の塩基性アミノ酸塩の水への溶解性の観点からはラウリン酸、ミリスチン酸が好ましく、より風味を良好にする観点からはパルミチン酸が好ましい。
成分(A)は、本発明の口腔用組成物において、少なくとも成分(A)の一部が成分(B)とともに脂肪酸の塩基性アミノ酸塩として存在しているため、本発明の口腔用組成物中の成分(A)の含有量は、遊離脂肪酸換算量として表される。
成分(A)の含有量は、本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、使用感、溶解性及び象牙細管の開口部封鎖性の点から、本発明の口腔用組成物中に、遊離脂肪酸換算で0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、成分(A)の含有量は、使用感、溶解性の点から、遊離脂肪酸換算で1質量%以下であることが好ましく、保存安定性と風味の点から、0.7質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
また、成分(A)の含有量は、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合、使用感及び象牙細管の開口部封鎖性の点から、本発明の口腔用組成物中に、遊離脂肪酸換算で1.5質量%以下であることが好ましく、風味の点から、1.2質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることがさらに好ましい。本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合、成分(A)の含有量は、象牙細管の開口部封鎖性の点から、本発明の口腔用組成物中に、遊離脂肪酸換算で0.15質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.25質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の口腔用組成物は、塩基性アミノ酸(B)を含有する。かかる成分(B)は、口腔用組成物中では、成分(A)とともに形成される脂肪酸の塩基性アミノ酸塩のクラフト点を降下させる作用をもたらしつつ、良好な溶解性を付与することができる。また、象牙質の表面に到達した際に、かかる脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を効果的に析出させて象牙質表面を覆い、象牙細管の開口部を十分に封鎖することができる。
かかる成分(B)としては、例えば、アルギニン、リジンが挙げられ、一方を単独で用いてもよく、双方を組み合わせて用いてもよい。なかでもクラフト点を降下させる観点、及び風味の点から、アルギニンが好ましい。
成分(B)は、本発明の口腔用組成物において、少なくとも成分(B)の一部が成分(A)とともに脂肪酸の塩基性アミノ酸塩として存在しているため、本発明の口腔用組成物中の成分(B)の含有量は、遊離塩基換算量として表される。
成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、使用感及び象牙細管の開口部封鎖性の点から、本発明の口腔用組成物中に、遊離塩基性アミノ酸換算で0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましい。成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、保存安定性の点から、遊離塩基性アミノ酸換算で2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.8質量%以下であることがよりさらに好ましい。
成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合、象牙細管の開口部封鎖性の点から、本発明の口腔用組成物中に、遊離塩基性アミノ酸換算で0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、保存安定性及び風味の点から、遊離塩基性アミノ酸換算で2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.8質量%以下であることがよりさらに好ましい。
本発明の口腔用組成物において、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度のモル比((B)/(A))は、溶解性の高い脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を効率的に形成させる観点、及び象牙細管の開口部封鎖性を向上する観点、適度なpHや良好な風味及び使用感を保持する観点、並びに保存安定性の点から、1以上であって、好ましくは1より大きく、1.1以上が好ましく、1.15以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、37以下であって、15以下が好ましく、7以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
成分(A)と成分(B)は、上記モル比を有し、少なくともこれらの一部がともに脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成している。したがって、成分(B)のモル濃度と成分(A)のモル濃度との差が大きい程、成分(B)の遊離塩基がより多く存在することとなるが、保存後において口腔用組成物の色の変化を抑制し、良好な外観を保持する観点から、成分(B)のモル濃度と成分(A)のモル濃度との差が小さいことが好ましい。かかる観点から、成分(B)のモル濃度と成分(A)のモル濃度との差((B)−(A))は、好ましくは100モル/kg以下であり、より好ましくは40モル/kg以下であり、さらに好ましくは20モル/kg以下であり、さらに好ましくは15モル/kg以下である。成分(B)のモル濃度と成分(A)のモル濃度との差((B)−(A))は、成分(A)が十分に脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成する観点から、好ましくは0モル/kg以上であり、好ましくは0モル/kgより大きく、より好ましくは0.1モル/kg以上であり、さらに好ましくは0.5モル/kg以上であり、よりさらに好ましくは1モル/kg以上である。また、成分(B)のモル量と成分(A)のモル量との差((B)−(A))は、好ましくは0〜100モル/kgであり、より好ましくは0.1〜40モル/kgであり、さらに好ましくは1〜20モル/kgであり、さらに好ましくは1〜15モル/kgである。本発明におけるモル濃度は、質量モル濃度であり、組成物1kg当たりの成分の物質量(モル)である。
本発明の口腔用組成物は、水(C)を含有する。これにより、成分(A)と成分(B)の脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成し、良好に溶解させながら、口腔内の隅々まで十分に行き渡らせることが可能となり、象牙質の表面を脂肪酸又は脂肪酸の塩基性アミノ酸塩で覆うことが可能となり、象牙細管の開口部封鎖性を高めることができる。かかる観点から、本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、水(C)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である。また、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合、水(C)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上であり、好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
本発明の口腔用組成物は、知覚神経周辺のイオンバランスを変化させて神経の過敏性を除去する観点、又は神経を鈍感にさせる作用をもたらす観点から、さらに硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の脱感作剤(D)を含有することが好ましい。これらの脱感作剤(D)は、水溶性であり、組成物において、各々カリウムイオン又はストロンチウムイオンを供給して、知覚神経周辺のイオンバランスを変化させることができる、いわゆる神経鈍感化成分である。脱感作剤(D)としては、神経を鈍感にさせる作用を向上する観点から、硝酸カリウム、クエン酸カリウムがより好ましい。
本発明で用いる脱感作剤(D)の含有量は、口腔用組成物を口腔内に適用した際に、脱感作剤(D)によって、有効に知覚神経周辺のイオンバランスを変化させて象牙質知覚過敏症に起因する痛みの軽減を図る観点から、本発明の口腔組成物におけるモル濃度(質量モル濃度)が0.4〜0.6モル/kgであることが好ましく、又は本発明の口腔組成物中に、3〜15質量%であることがより好ましく、4〜12質量%であることがさらに好ましい。
本発明の口腔用組成物は、さらに湿潤剤を含有させることができる。かかる湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクトール等が挙げられる。なかでも、口腔用組成物の保存安定性、風味の観点から、グリセリン、ソルビトールが好ましい。グリセリンの含有量は、本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、保存安定性、風味の観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0質量%より多く、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。また、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合、グリセリンの含有量は、本発明の口腔組成物中に、保存安定性、風味の観点から、好ましくは0質量%より多く、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。
ソルビトールの含有量は、本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、保存安定性、風味の観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。また、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合、ソルビトールの含有量は、保存安定性、風味の観点から、本発明の口腔組成物中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
本発明の口腔用組成物は、さらに粘結剤を含有させることができる。かかる粘結剤としては、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム等が挙げられ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロースが好ましく、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の口腔用組成物が液状歯磨組成物又は練り歯磨組成物である場合、粘結剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上であり、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下である。
本発明の口腔用組成物が液状歯磨組成物又は練り歯磨組成物である場合は、上記粘結剤とともに、さらに増粘性シリカを併用することが好ましい。増粘性シリカとは、吸油量が200〜400mL/100gのシリカである。ここで、吸油量とは、シリカが担持できる油量を示したものであり、測定方法はJIS K5101−13−2(2004年制定)に準ずる方法により、吸収される煮あまに油の量により特定する。増粘性シリカの含有量は、本発明の液状歯磨組成物又は練り歯磨組成物中に、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは2〜8質量%である。
本発明の口腔用組成物は、上記成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、研磨性シリカ、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第2リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト等の研磨剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤等の界面活性剤;サッカリンナトリウム等の甘味剤;メントール等の香料;色素;薬効成分等を適宜含有させることができる。なお、ここで研磨性シリカとは、吸油量が50〜150mL/100gのものをいう。また、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合、研磨剤の含有量は、象牙細管の開口部を効果的に封鎖する観点から、好ましくは12質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、含有しないこともできる。
またさらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム等のフッ素イオン供給化合物、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、乳酸アルミニウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルギニン−炭酸カルシウム等の象牙質知覚過敏用の他の成分をさらに含有することもできる。
本発明の口腔用組成物において、pHは、成分(A)と成分(B)とから形成される脂肪酸の塩基性アミノ酸塩の水への高い溶解性を保持する観点、及び良好な風味や使用感をもたらす観点から、6以上であって、好ましくは6.5以上であり、より好ましくは7以上であり、さらに好ましくは7.2以上であり、9.2以下であって、好ましくは9以下であり、より好ましくは8.8以下である。
なお、本発明の口腔用組成物のpHとは、pH電極を用いて測定した値であり、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合は組成物を測定した値であり、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合には、蒸留水を加えて歯磨組成物の濃度として10質量%の水溶液に調整した後に測定した値を意味する。
本発明の口腔用組成物は、pH調製剤として、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、これらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩等の各種塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の成分(B)以外のアルカリ剤を含有することができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。pH調整剤として水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を含有する場合は、これらの含有量は、成分(A)が成分(B)と脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成する観点、保存安定性の観点から、成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比(pH調整剤/(A))が、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下であり、さらに好ましくは0.2以下である。また、pH調整剤として上記アルカリ剤を含有する場合は、保存安定性などの観点から水酸化カリウムが好ましい。
本発明の口腔用組成物の製造方法は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を添加して混合する工程1を含み、この工程1において他の水溶性成分を混合することが好ましく、この工程1の後に、界面活性剤及び油溶性成分を添加して混合する工程2を含むことが好ましい。また、硝酸カリウム等の脱感作剤を配合する場合には、工程1において添加して混合してもよいが、工程1の後に、添加して混合してもよい。また、工程2においてグリセリンを界面活性剤や油溶性成分とともに添加して混合してもよい。
本発明の口腔用組成物の製造方法は、予め成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の一部(C1)を添加して混合する工程1、並びに成分(C)の残部(C2)を添加して混合する工程3を含むこともできる。これら成分(A)〜(C)以外の成分を用いる場合、例えば、成分(A)及び成分(B)と、成分(C)の一部(C1)とを予め混合し、次いで、これに成分(C)の残部(C2)と、必要に応じて成分(D)等の他の成分とを添加して混合するのがよい。予め混合する成分(C)の一部(C1)としては、成分(C)100質量%のうち、好ましくは50〜100質量%を用い、より好ましくは70〜90質量%を用いる。なお、成分(C)の含有量は、混合する成分(C1)及び(C2)のほか、配合又は添加する各成分に予め含まれる水分の合計量である。なお、工程1において、成分(A)、成分(B)に成分(C)の全量を添加せずに、成分(C)の一部(C1)を添加して混合する場合は、成分(A)又は成分(B)の塩の形成を阻害する水溶性成分を添加する場合は、上記の阻害する成分を残部(C2)とともに添加して混合することが好ましい。
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の口腔用組成物及びその製造方法を開示する。
[1]次の成分(A)、(B)、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度のモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6以上9.2以下である口腔用組成物。
[2](A)、(B)、又は(A)と(B)の塩、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6以上9.2以下である口腔用組成物。
[3]成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度との差((B)−(A))は、0モル/kg以上100モル/kg以下であり、好ましくは0モル/kgより大きく、0.1モル/kg以上が好ましく、0.5モル/kg以上がより好ましく、1モル/kg以上がさらに好ましく、40モル/kg以下が好ましく、20モル/kg以下がより好ましい上記[1]又は[2]の口腔用組成物。
[4]成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))は、1.1以上であって、1.15以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、15以下であって、7以下が好ましく、3以下がより好ましい上記[1]〜[3]いずれか1の口腔用組成物。
[5]成分(A)が有する炭化水素基の炭素数が18以下であり、好ましくは16以下であり、12以上である上記[1]〜[4]いずれか1の口腔用組成物。
[6]成分(B)がアルギニン又はリジンであり、より好ましくはアルギニンである上記[1]〜[5]いずれか1の口腔用組成物。
[7]さらに脱感作剤(D)を含有し、好ましくは脱感作剤(D)が、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは硝酸カリウム、クエン酸カリウムから選ばれる1種又は2種である上記[1]〜[6]いずれか1の口腔用組成物。
[8]脱感作剤(D)の含有量は、モル濃度が0.4〜0.6モル/kgであることが好ましく、又は3〜15質量%であることが好ましく、4〜12質量%であることがより好ましい上記[7]の口腔用組成物。
[9]pHは、6.5以上であり、好ましくは7以上であり、より好ましくは7.2以上であり、9.2以下であって、好ましくは9以下であり、より好ましくは8.8以下である上記[1]〜[8]いずれか1の口腔用組成物。
[10]アルカリ剤のpH調整剤のモル濃度は、成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比(pH調整剤/(A))が0.5以下であり、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.2以下である上記[1]〜[8]いずれか1の口腔用組成物。
[11]アルカリ剤のpH調整剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる1種又は2種であり、好ましくは水酸化カリウムである上記[1]〜[10]いずれか1の口腔用組成物。
[12]象牙質知覚過敏の予防用又は治療用である上記[1]〜[11]いずれか1の口腔用組成物。
[13]液体口腔用組成物であって、成分(A)の含有量は、遊離脂肪酸換算で0.02質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、1質量%以下であり、好ましくは0.7質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である上記[1]〜[12]いずれか1の口腔用組成物。
[14]液体口腔用組成物であって、成分(B)の含有量は、遊離塩基性アミノ酸換算で0.02質量%以上であって、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、2質量%以下であって、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下である上記[1]〜[13]いずれか1の口腔用組成物。
[15]液体口腔用組成物であって、水(C)の含有量は、70質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、95質量%以下であり、好ましくは90質量%以下である上記[1]〜[14]いずれか1の口腔用組成物。
[16]液体口腔用組成物であって、グリセリンを含有し、グリセリンの含有量が0質量%より多く、10質量%以下であり、好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下である上記[1]〜[15]いずれか1の口腔用組成物。
[18]液体口腔用組成物であって、ソルビトールを含有し、ソルビトールの含有量が、1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、15質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である上記[1]〜[16]いずれか1の口腔用組成物。
[19]練り歯磨組成物であって、成分(A)の含有量は、遊離脂肪酸換算で1.5質量%以下であって、好ましくは1.2質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下であり、0.15質量%以上であって、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.25質量%以上である上記[1]〜[12]のいずれか1の口腔用組成物。
[20]練り歯磨組成物であって、成分(B)の含有量は、遊離塩基性アミノ酸換算で0.05質量%以上であって、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、2質量%以下であって、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下である上記[1]〜[12]又は[19]いずれか1の口腔用組成物。
[21]練り歯磨組成物であって、水(C)の含有量は、8質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは12質量%以上であり、55質量%以下であり、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である上記[1]〜[12]、[19]又は[20]いずれか1の口腔用組成物。
[22]練り歯磨組成物であって、グリセリンを含有し、グリセリンの含有量が0質量%より多く、20質量%であり、好ましくは2〜15質量%である上記[1]〜[12]又は[19]〜[21]いずれか1の口腔用組成物。
[23]練り歯磨組成物であって、ソルビトールを含有し、ソルビトールの含有量5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下である上記[1]〜[12]又は[19]〜[22]いずれか1の口腔用組成物。
[24]練り歯磨組成物であって、粘結剤を含有し、粘結剤の含有量が0.2質量%以上であり、好ましくは0.4質量%以上であり、2質量%以下であり、好ましくは1.5質量%以下である上記[1]〜[12]又は[19]〜[23]いずれか1の口腔用組成物。
[25]練り歯磨組成物であって、増粘性シリカを含有し、増粘性シリカの含有量が0.1〜20質量%であり、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜8質量%である上記[1]〜[12]又は[19]〜[24]いずれか1の口腔用組成物。
[26]成分(A)、成分(B)及び成分(C)を添加して混合する工程を備える上記[1]〜[25]いずれか1の口腔用組成物の製造方法。
[27]成分(A)、成分(B)及び成分(C)の一部の水を添加して混合する工程、さらに成分(C)の残りの水を添加して混合する工程を備える上記[26]の口腔用組成物の製造方法。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[実施例1〜7、比較例1〜3]
表1に示す組成の液体口腔用組成物を成分(A)と成分(B)と成分(C)と他の水溶性成分を常法にしたがって混合し、得られた混合物と界面活性剤、香料等の油溶性成分を添加して混合することにより製造した。得られた各液体口腔用組成物を用い、下記に示す象牙細管の開口部封鎖状態の評価を行った。また、表1に示す組成の液体口腔用組成物については、使用直後の象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果の評価を行った。評価結果を表1にそれぞれ示す。
《象牙細管の開口部封鎖状態の評価》
牛歯の象牙質を試料とし、試料を1モル乳酸水溶液にて室温で30分脱灰し、砥粒サイズ40μmのサンドペーパー、及び砥粒サイズ3μmのサンドペーパーで表面を研磨処理した。この試料の表面を、実施例及び比較例の液体口腔用組成物10mlに30秒間浸漬し、次に試料を蒸留水で10秒間洗浄した。洗浄後の試料の表面における象牙細管の開口部をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、(株)キーエンス製)を用いて倍率2000倍で観察し、目視で象牙細管の開口状態を確認し、下記の基準により評価した。評価の結果を表1に示す。
AA:象牙細管の開口が十分に覆われている
A :象牙細管の開口がほぼ覆われている
B :象牙細管の開口が覆われている部分と、象牙質が露出している部分とを確認で
きる
C :象牙質の表面に付着物を確認できるが、象牙質がほぼ露出している
D :象牙細管が露出している(象牙質の表面に付着物を確認できない)
図1〜3は、実施例1、2及び比較例1の液体口腔用組成物で処理した後の試料の状態を示すマイクロスコープ写真である。図1に示すように、象牙質の表面には光に反射して光沢のある付着物があり、象牙細管の開口部をこれらの付着物が封鎖している状態が認められる。図2では、象牙細管の開口が付着物で覆われている部分と、象牙質が露出している部分とが認められる。図3は、象牙質が露出しており、表面に付着物は確認されず、象牙細管の開口部を確認することができる。
[象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果の評価]
表1に示す実施例1〜7、比較例1〜3の液体口腔用組成物について、使用直後の象牙質知覚過敏症に起因する痛み防止の程度を評価した。評価対象者は最近1ヶ月の間で歯がしみるのが毎日である者、又は週に数回である者をパネラーとした。評価方法は、パネラー3名に各液体口腔用組成物を使用してもらい、使用直後に冷水を口に含み、象牙質知覚過敏症に起因する痛みの評価を行った。評価は、3:しみない、2:ややしみる、1:しみる、の3つの中から回答を得た。パネラーの回答の合計値を象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果の評価として表1に示す。この評価は、数値が大きいほど、象牙質知覚過敏症に起因する痛みが抑制又は低減されたことを意味する。
《保存安定性の評価方法》
表1の実施例1〜7、比較例1〜3の液体口腔用組成物を用い、室温(25℃)で1週間、5℃の温度で1週間、50℃の温度で2週間、各々保存した後、外観変化を肉眼により以下の基準で観察した。結果を表1に示す。
4:保存前とほぼかわりない
3:黄色くなった
2:やや白濁した
1:析出物が認められた
《味の評価方法》
味の評価は、液体口腔用組成物を口に含み20秒間含嗽した後に吐き出し、下記基準にしたがって、パネラー3名により行った。評価結果の合計を表1に示す。
3:脂肪酸の油風味を感じない
2:脂肪酸の油風味をやや感じる
1:脂肪酸の油風味を感じ、あとに残る
表1の結果によれば、実施例1〜7の組成物は、比較例1〜3の組成物に比して、象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制に優れた効果を発揮するとともに、低温安定性にも優れ、味も良好であることがわかる。なお、比較例2〜3は固化しており、含嗽することができないため、味の評価はできなかった。
[実施例8〜9]
表2に示す組成の液体口腔用組成物を、上記と同様に製造し、上記と同様に象牙細管の開口部の封鎖状態、保存安定性を評価した。評価結果を表2に示す。
表2に示すように、いずれの実施例の液体口腔用組成物も象牙細管の開口が封鎖されており、保存安定性も良好であることがわかる。
[実施例10〜12]
表3に示す組成の練り歯磨組成物を、成分(A)と成分(B)と成分(C)と他の水溶性成分を常法にしたがって混合し、得られた混合物と研磨剤、界面活性剤、香料等の油溶性成分を添加して混合することにより製造した。得られた各練り歯磨き組成物を用い、下記に示す象牙細管の開口部封鎖状態の評価、味の評価を行い、また、上記と同様の保存安定性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
《象牙細管の開口部封鎖状態の評価》
牛歯の象牙質を試料とし、試料を1モル乳酸水溶液にて室温で30分脱灰し、砥粒サイズ40μmのサンドペーパー、及び砥粒サイズ3μmのサンドペーパーで表面を研磨処理した。この試料の表面を、実施例及び比較例の練り歯磨組成物2gと蒸留水6gを混合した溶液8gに30秒間浸漬し、次に試料を蒸留水で10秒間洗浄した。洗浄後の試料の表面における象牙細管の開口部をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、(株)キーエンス製)を用いて倍率2000倍で観察し、目視で象牙細管の開口状態を確認し、下記の基準により評価した。
AA:象牙細管の開口が十分に覆われている
A :象牙細管の開口がほぼ覆われている
B :象牙細管の開口が覆われている部分と、象牙質が露出している部分とを確認で
きる
C :象牙質の表面に付着物を確認できるが、象牙質がほぼ露出している
D :象牙細管が露出している(象牙質の表面に付着物を確認できない)
図4は、実施例10の練り歯磨組成物で処理した後の試料の状態を示すマイクロスコープ写真である。図4に示すように、実施例の練り歯磨組成物で処理した象牙質の表面は、光に反射して光沢のある付着物があり、象牙細管の開口部をこれらの付着物が封鎖している状態が認められる。
《味の評価方法》
味の評価は、練り歯磨き組成物1gを歯ブラシ(ディープクリーン超コンパクト 普通・花王(株)製)を用いてブラッシング30秒間行ってから吐き出して口を水で漱ぎ、下記基準にしたがって、パネラー3名により行った。
3:脂肪酸の油風味を感じない
2:脂肪酸の油風味をやや感じる
1:脂肪酸の油風味を感じ、あとに残る
表3に示すように、実施例の練り歯磨組成物は、象牙細管の開口が封鎖されており、実際の使用による象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果にも優れていた。一方、比較例の練り歯磨組成物は、象牙細管の開口がほぼ露出しており、実際の使用による象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果も殆ど認められなかった。
[実施例13]
表4に示す組成の練り歯磨組成物を、表3の練り歯磨組成物と同様に製造し、象牙細管の封鎖状態と味を同様に評価した。評価結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例の練り歯磨組成物は、象牙細管の開口が封鎖されており、味も良好であることが認められる。

Claims (8)

  1. 次の成分(A)、(B)、及び(C):
    (A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
    (B)塩基性アミノ酸、及び
    (C)水
    を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6以上9.2以下である口腔用組成物。
  2. 成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度との差((B)−(A))が0モル/kg以上100モル/kg以下である請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. (D)硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の脱感作剤を含有する請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
  4. 象牙質知覚過敏の予防用又は治療用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
  5. 液体口腔用組成物であって、成分(A)を遊離脂肪酸換算で0.02質量%以上1質量%以下含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
  6. 練り歯磨組成物であって、成分(A)を遊離脂肪酸換算で0.15質量%以上1.5質量%以下含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
  7. 成分(A)、成分(B)及び成分(C)を混合する工程を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の口腔用組成物の製造方法。
  8. 成分(A)、成分(B)及び成分(C)の一部の水を混合する工程、さらに成分(C)の残りの水を添加して混合する工程を備える請求項7に記載の口腔用組成物の製造方法。
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