JP2014062066A - 口腔用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 次の成分(A)、(B)、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6〜9.2である口腔用組成物。
【選択図】図1
Description
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6〜9.2である口腔用組成物に関する。
したがって、象牙質知覚過敏症を予防又は改善するための、液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物、練り歯磨組成物、その他の剤型を有する口腔用組成物として、幅広く用いることができる。
本発明の口腔用組成物は、炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸(A)を含有し、液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物、練り歯磨組成物、その他の剤型を有するものである。かかる成分(A)は、少なくともその一部が後述する成分(B)の塩基性アミノ酸とともに、本発明の口腔用組成物中では良好な溶解性を示すことのできる脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成しており、ほぼ全ての成分(A)が成分(B)とともに脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成しているのが好ましい。したがって、かかる脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を口腔用組成物中に溶解したままの状態で口腔内の隅々まで十分に行き渡らせて、所望の象牙質の表面まで容易に到達させることができる。また、脂肪酸の塩基性アミノ酸塩が歯の表面に到達した際には、かかる脂肪酸の塩基性アミノ酸塩又は脂肪酸が析出して歯の表面に堅固に固着するため、象牙細管の開口部を堅固に封鎖して、象牙質知覚過敏症に起因する痛みを効果的に防止することができる。また、脂肪酸及び脂肪酸の塩基性アミノ酸塩は耐酸性があるため、酸性の飲料や食品によっても象牙細管の開口部を封鎖性が失われることを防止し、象牙質知覚過敏症に起因する痛み抑制効果を持続することができる。なお、成分(A)や成分(B)のうち、脂肪酸の塩基性アミノ酸塩を形成したもの以外の残余の成分(A)や成分(B)は、本発明の口腔用組成物中に、遊離脂肪酸や遊離塩基性アミノ酸として存在することとなる。すなわち、本発明の口腔用組成物は、成分(A)、(B)、又は成分(A)と(B)の塩を含むものである。
成分(A)の含有量は、本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、使用感、溶解性及び象牙細管の開口部封鎖性の点から、本発明の口腔用組成物中に、遊離脂肪酸換算で0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、成分(A)の含有量は、使用感、溶解性の点から、遊離脂肪酸換算で1質量%以下であることが好ましく、保存安定性と風味の点から、0.7質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物が液状歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等の液体口腔用組成物である場合、使用感及び象牙細管の開口部封鎖性の点から、本発明の口腔用組成物中に、遊離塩基性アミノ酸換算で0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましい。成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、保存安定性の点から、遊離塩基性アミノ酸換算で2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.8質量%以下であることがよりさらに好ましい。
なお、本発明の口腔用組成物のpHとは、pH電極を用いて測定した値であり、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合は組成物を測定した値であり、本発明の口腔用組成物が練り歯磨組成物である場合には、蒸留水を加えて歯磨組成物の濃度として10質量%の水溶液に調整した後に測定した値を意味する。
[1]次の成分(A)、(B)、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度のモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6以上9.2以下である口腔用組成物。
[2](A)、(B)、又は(A)と(B)の塩、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6以上9.2以下である口腔用組成物。
[4]成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))は、1.1以上であって、1.15以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、15以下であって、7以下が好ましく、3以下がより好ましい上記[1]〜[3]いずれか1の口腔用組成物。
[6]成分(B)がアルギニン又はリジンであり、より好ましくはアルギニンである上記[1]〜[5]いずれか1の口腔用組成物。
[7]さらに脱感作剤(D)を含有し、好ましくは脱感作剤(D)が、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは硝酸カリウム、クエン酸カリウムから選ばれる1種又は2種である上記[1]〜[6]いずれか1の口腔用組成物。
[8]脱感作剤(D)の含有量は、モル濃度が0.4〜0.6モル/kgであることが好ましく、又は3〜15質量%であることが好ましく、4〜12質量%であることがより好ましい上記[7]の口腔用組成物。
[9]pHは、6.5以上であり、好ましくは7以上であり、より好ましくは7.2以上であり、9.2以下であって、好ましくは9以下であり、より好ましくは8.8以下である上記[1]〜[8]いずれか1の口腔用組成物。
[10]アルカリ剤のpH調整剤のモル濃度は、成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比(pH調整剤/(A))が0.5以下であり、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.2以下である上記[1]〜[8]いずれか1の口腔用組成物。
[11]アルカリ剤のpH調整剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる1種又は2種であり、好ましくは水酸化カリウムである上記[1]〜[10]いずれか1の口腔用組成物。
[12]象牙質知覚過敏の予防用又は治療用である上記[1]〜[11]いずれか1の口腔用組成物。
[14]液体口腔用組成物であって、成分(B)の含有量は、遊離塩基性アミノ酸換算で0.02質量%以上であって、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、2質量%以下であって、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下である上記[1]〜[13]いずれか1の口腔用組成物。
[15]液体口腔用組成物であって、水(C)の含有量は、70質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、95質量%以下であり、好ましくは90質量%以下である上記[1]〜[14]いずれか1の口腔用組成物。
[16]液体口腔用組成物であって、グリセリンを含有し、グリセリンの含有量が0質量%より多く、10質量%以下であり、好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下である上記[1]〜[15]いずれか1の口腔用組成物。
[18]液体口腔用組成物であって、ソルビトールを含有し、ソルビトールの含有量が、1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、15質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である上記[1]〜[16]いずれか1の口腔用組成物。
[20]練り歯磨組成物であって、成分(B)の含有量は、遊離塩基性アミノ酸換算で0.05質量%以上であって、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、2質量%以下であって、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下である上記[1]〜[12]又は[19]いずれか1の口腔用組成物。
[22]練り歯磨組成物であって、グリセリンを含有し、グリセリンの含有量が0質量%より多く、20質量%であり、好ましくは2〜15質量%である上記[1]〜[12]又は[19]〜[21]いずれか1の口腔用組成物。
[23]練り歯磨組成物であって、ソルビトールを含有し、ソルビトールの含有量5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下である上記[1]〜[12]又は[19]〜[22]いずれか1の口腔用組成物。
[25]練り歯磨組成物であって、増粘性シリカを含有し、増粘性シリカの含有量が0.1〜20質量%であり、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜8質量%である上記[1]〜[12]又は[19]〜[24]いずれか1の口腔用組成物。
[27]成分(A)、成分(B)及び成分(C)の一部の水を添加して混合する工程、さらに成分(C)の残りの水を添加して混合する工程を備える上記[26]の口腔用組成物の製造方法。
表1に示す組成の液体口腔用組成物を成分(A)と成分(B)と成分(C)と他の水溶性成分を常法にしたがって混合し、得られた混合物と界面活性剤、香料等の油溶性成分を添加して混合することにより製造した。得られた各液体口腔用組成物を用い、下記に示す象牙細管の開口部封鎖状態の評価を行った。また、表1に示す組成の液体口腔用組成物については、使用直後の象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果の評価を行った。評価結果を表1にそれぞれ示す。
牛歯の象牙質を試料とし、試料を1モル乳酸水溶液にて室温で30分脱灰し、砥粒サイズ40μmのサンドペーパー、及び砥粒サイズ3μmのサンドペーパーで表面を研磨処理した。この試料の表面を、実施例及び比較例の液体口腔用組成物10mlに30秒間浸漬し、次に試料を蒸留水で10秒間洗浄した。洗浄後の試料の表面における象牙細管の開口部をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、(株)キーエンス製)を用いて倍率2000倍で観察し、目視で象牙細管の開口状態を確認し、下記の基準により評価した。評価の結果を表1に示す。
AA:象牙細管の開口が十分に覆われている
A :象牙細管の開口がほぼ覆われている
B :象牙細管の開口が覆われている部分と、象牙質が露出している部分とを確認で
きる
C :象牙質の表面に付着物を確認できるが、象牙質がほぼ露出している
D :象牙細管が露出している(象牙質の表面に付着物を確認できない)
表1に示す実施例1〜7、比較例1〜3の液体口腔用組成物について、使用直後の象牙質知覚過敏症に起因する痛み防止の程度を評価した。評価対象者は最近1ヶ月の間で歯がしみるのが毎日である者、又は週に数回である者をパネラーとした。評価方法は、パネラー3名に各液体口腔用組成物を使用してもらい、使用直後に冷水を口に含み、象牙質知覚過敏症に起因する痛みの評価を行った。評価は、3:しみない、2:ややしみる、1:しみる、の3つの中から回答を得た。パネラーの回答の合計値を象牙質知覚過敏症に起因する痛みの抑制効果の評価として表1に示す。この評価は、数値が大きいほど、象牙質知覚過敏症に起因する痛みが抑制又は低減されたことを意味する。
表1の実施例1〜7、比較例1〜3の液体口腔用組成物を用い、室温(25℃)で1週間、5℃の温度で1週間、50℃の温度で2週間、各々保存した後、外観変化を肉眼により以下の基準で観察した。結果を表1に示す。
4:保存前とほぼかわりない
3:黄色くなった
2:やや白濁した
1:析出物が認められた
味の評価は、液体口腔用組成物を口に含み20秒間含嗽した後に吐き出し、下記基準にしたがって、パネラー3名により行った。評価結果の合計を表1に示す。
3:脂肪酸の油風味を感じない
2:脂肪酸の油風味をやや感じる
1:脂肪酸の油風味を感じ、あとに残る
表2に示す組成の液体口腔用組成物を、上記と同様に製造し、上記と同様に象牙細管の開口部の封鎖状態、保存安定性を評価した。評価結果を表2に示す。
表3に示す組成の練り歯磨組成物を、成分(A)と成分(B)と成分(C)と他の水溶性成分を常法にしたがって混合し、得られた混合物と研磨剤、界面活性剤、香料等の油溶性成分を添加して混合することにより製造した。得られた各練り歯磨き組成物を用い、下記に示す象牙細管の開口部封鎖状態の評価、味の評価を行い、また、上記と同様の保存安定性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
牛歯の象牙質を試料とし、試料を1モル乳酸水溶液にて室温で30分脱灰し、砥粒サイズ40μmのサンドペーパー、及び砥粒サイズ3μmのサンドペーパーで表面を研磨処理した。この試料の表面を、実施例及び比較例の練り歯磨組成物2gと蒸留水6gを混合した溶液8gに30秒間浸漬し、次に試料を蒸留水で10秒間洗浄した。洗浄後の試料の表面における象牙細管の開口部をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、(株)キーエンス製)を用いて倍率2000倍で観察し、目視で象牙細管の開口状態を確認し、下記の基準により評価した。
AA:象牙細管の開口が十分に覆われている
A :象牙細管の開口がほぼ覆われている
B :象牙細管の開口が覆われている部分と、象牙質が露出している部分とを確認で
きる
C :象牙質の表面に付着物を確認できるが、象牙質がほぼ露出している
D :象牙細管が露出している(象牙質の表面に付着物を確認できない)
味の評価は、練り歯磨き組成物1gを歯ブラシ(ディープクリーン超コンパクト 普通・花王(株)製)を用いてブラッシング30秒間行ってから吐き出して口を水で漱ぎ、下記基準にしたがって、パネラー3名により行った。
3:脂肪酸の油風味を感じない
2:脂肪酸の油風味をやや感じる
1:脂肪酸の油風味を感じ、あとに残る
表4に示す組成の練り歯磨組成物を、表3の練り歯磨組成物と同様に製造し、象牙細管の封鎖状態と味を同様に評価した。評価結果を表4に示す。
Claims (8)
- 次の成分(A)、(B)、及び(C):
(A)炭素数12〜18の炭化水素基を有する脂肪酸
(B)塩基性アミノ酸、及び
(C)水
を含有し、成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度とのモル比((B)/(A))が1以上37以下であり、かつpHが6以上9.2以下である口腔用組成物。 - 成分(B)の遊離塩基性アミノ酸換算のモル濃度と成分(A)の遊離脂肪酸換算のモル濃度との差((B)−(A))が0モル/kg以上100モル/kg以下である請求項1に記載の口腔用組成物。
- (D)硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ストロンチウム、及び酢酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の脱感作剤を含有する請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
- 象牙質知覚過敏の予防用又は治療用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- 液体口腔用組成物であって、成分(A)を遊離脂肪酸換算で0.02質量%以上1質量%以下含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- 練り歯磨組成物であって、成分(A)を遊離脂肪酸換算で0.15質量%以上1.5質量%以下含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- 成分(A)、成分(B)及び成分(C)を混合する工程を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の口腔用組成物の製造方法。
- 成分(A)、成分(B)及び成分(C)の一部の水を混合する工程、さらに成分(C)の残りの水を添加して混合する工程を備える請求項7に記載の口腔用組成物の製造方法。
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