JP2014060075A - 電極体、電極体の製造方法および電池 - Google Patents

電極体、電極体の製造方法および電池 Download PDF

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Abstract

【課題】内部抵抗が低く基材から剥がれ難くい活物質層を備えた電極体、該電極体の製造方法、および該電極体を備えた電池を提供する。
【解決手段】基材と電極活物質を含む活物質層とを備えた電極体の製造方法であって、基材の表面に、電極活物質と化学結合し得る成分を含む修飾層を形成する修飾層形成工程と、電極活物質の原料と融剤とを含む混合組成物からなる混合層を修飾層上に形成する混合層形成工程と、混合層に熱処理、活性エネルギー線照射またはプラズマ処理を施して電極活物質の原料から電極活物質を生成する活物質生成工程と、融剤を除去する融剤除去工程と、を有する電極体の製造方法、該方法により製造される電極体、および該電極体を備えた電池とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、電極活物質を含む活物質層を備えた電極体、該電極体の製造方法、および該電極体を備えた電池に関する。
近年、パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴って、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界においても、電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量の電池の開発が進められている。各種電池の中でも、エネルギー密度と出力が高いことから、リチウムイオン二次電池が注目されている。リチウムイオン二次電池は、他の二次電池よりもエネルギー密度が高く、高電圧での動作が可能という特徴を有している。そのため、リチウムイオン二次電池は小型軽量化を図りやすい二次電池として携帯電話等の小型情報機器に使用されている。また、近年は電気自動車やハイブリッド自動車用等の大型機器の動力用としての需要も高まっている。
リチウムイオン二次電池には、正極層及び負極層と、これらの間に配置される電解質層とが備えられている。当該電解質層に用いられる電解質としては、例えば非水系の液体状や固体状の物質が知られている。液体状の電解質(以下において、「電解液」という。)は、正極層や負極層の内部へと浸透しやすい。そのため、電解液が用いられる場合には、正極層や負極層に含有されている電極活物質と電解質との界面が形成され易いので、電池の性能を向上させやすい。ところが、広く用いられている電解液は可燃性であるため、安全性を確保するためのシステムを搭載する必要がある。一方、難燃性である固体状の電解質を用いると、上記システムを簡素化できる。それゆえ、不燃性である固体状の電解質を含有する層が備えられる形態の電池の研究開発も進められている。
このようなリチウムイオン二次電池の電極材料に適用し得る技術として、例えば特許文献1には、フラックス法によってナノ無機結晶が基材上に形成された積層体が開示されている。また、特許文献2には、基板上に正極材料を含むペーストを塗工した後、乾燥、加圧、および加熱することによって薄膜電池正極を製造する方法が開示されている。また、特許文献3には、メッキ処理などの表面処理を行った集電体と、正極活物質、導電材および結着剤を含む電極層とからなり、正極活物質のタップ密度、結着剤の量、および集電体と電極層との剥離強度が所定の範囲である二次電池用正極が開示されている。また、特許文献4には、Cuを含む集電体に所定の元素を含む緩衝層を介して活物質部を形成した負極が開示されている。また、特許文献5には、フラックス法を用いてコバルト酸リチウムを合成する方法が開示されている。また、特許文献6には、フラックス法を用いて立方晶ガーネット関連型リチウムランタンジルコニウム酸化物の単結晶を合成する方法が開示されている。
特開2011−063452号公報 特表2009−524900号公報 特開2009−129889号公報 特開2006−164793号公報 特開2002−234796号公報 特開2011−195372号公報
特許文献1に開示されている方法によれば、基材上に高密度で高品質な結晶薄膜を形成できる。当該結晶薄膜は内部抵抗を低くすることができるので、電極体に好適であると考えられる。しかしながら、特許文献1に開示されている技術を電池の電極体に適用しようとすると、活物質層に相当する結晶薄膜と集電体に相当する基材との密着性が不十分であるため、電極体として機能し得ない。かかる問題は上記特許文献2〜6に開示されているような従来技術を参酌しても解決し得なかった。
そこで本発明は、内部抵抗が低く基材から剥がれ難くい活物質層を備えた電極体、該電極体の製造方法、および該電極体を備えた電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
本発明の第1の態様は、基材と電極活物質を含む活物質層とを備えた電極体の製造方法であって、電極活物質と化学結合し得る成分を含む修飾層が表面に形成された基材を準備する工程と、電極活物質の原料と融剤とを含む混合組成物からなる混合層を修飾層上に形成する混合層形成工程と、混合層に熱処理、活性エネルギー線照射またはプラズマ処理を施して電極活物質の原料から電極活物質を生成しつつ、電極活物質と修飾層に含まれる成分とを化学結合させる活物質生成工程と、融剤を除去する融剤除去工程と、を有する、電極体の製造方法である。
本発明において「電極活物質の原料と融剤とを含む混合組成物」とは、フラックス法によって電極活物質を生成するために必要な電極活物質の原料と融剤とを含む混合組成物を意味している。すなわち、電極活物質の原料および融剤は、生成する電極活物質の種類等に応じて適宜選択されるものである。なお、フラックス法とは、ある結晶性化合物(電極活物質)を得るために、該結晶性化合物となる原料(溶質)と該結晶性化合物を融点以下の温度で溶解する融剤(フラックス)とを混合した後、結晶性化合物を成長させるためのエネルギーを与え(例えば、熱処理、活性エネルギー線照射またはプラズマ処理)、最後に融剤を除去する方法である。
また、上記本発明の第1の態様において、基材の表面に、電極活物質と化学結合し得る成分を含む修飾層を形成する修飾層形成工程を含むことが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様において、電極活物質に含まれる金属元素と同一の金属元素を修飾層に含ませることが好ましい。かかる形態とすることによって、活物質生成工程において電極活物質と修飾層に含まれる成分とが化学結合しやすくなり、活物質層と修飾層との接合強度を強めることができる。
また、上記本発明の第1の態様において、活物質層に導電助剤および結着剤を含ませないことが好ましい。かかる形態とすることによって、本発明の電極体の製造方法によって製造された電極体を電池に用いた際に、該電池のエネルギー密度を向上させることができる。
さらに、上記本発明の第1の態様において、活物質層の層厚を0.1μm以上10μm以下とすることが好ましい。かかる形態とすることによって、本発明の電極体の製造方法によって製造された電極体を電池に用いた際に、該電池の容量を確保しつつ活物質層における導電性の低下を抑制できる。
本発明の第2の態様は、基材と、該基材上に形成された修飾層と、該修飾層上に形成された電極活物質を含む活物質層と、を備え、修飾層が電極活物質と化学結合した成分を含んでいる、電極体である。
上記本発明の第2の態様において、電極活物質と化学結合した修飾層に含まれる成分が、電極活物質に含まれる金属元素と同一元素であることが好ましい。かかる形態とすることによって、電極活物質と修飾層に含まれる成分とが化学結合しやすくなり、活物質層と修飾層との接合強度を強めることができる。
また、上記本発明の第2の態様において、活物質層が導電助剤および結着剤を含まないことが好ましい。かかる形態とすることによって、本発明の電極体を電池に用いた際に、該電池のエネルギー密度を向上させることができる。
さらに、上記本発明の第2の態様において、活物質層の層厚が0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。かかる形態とすることによって、本発明の電極体を電池に用いた際に、該電池の容量を確保しつつ活物質層における導電性の低下を抑制できる。
さらに、上記本発明の第2の態様において、活物質層が、電極活物質の原料と融剤とを含む混合組成物からなる混合層を修飾層上に形成し、該混合層に熱処理、活性エネルギー線照射またはプラズマ処理を施して電極活物質の原料から電極活物質を生成しつつ、電極活物質と修飾層に含まれる成分とを化学結合させた後、融剤を除去する工程を経て得られたものであることが好ましい。かかる形態とすることによって、内部抵抗が低く基材から剥がれ難くい活物質層を備えた電極体を容易に得ることができる。
本発明の第3の態様は、上記本発明の第2の態様に係る電極体を備えた電池である。
本発明によれば、内部抵抗が低く基材から剥がれ難くい活物質層を備えた電極体、該電極体の製造方法、および該電極体を備えた電池を提供することができる。
電極体10の断面を概略的に示す図である。 電極体10の製造方法の流れを概略的に示したフロー図である。 電極体10の製造方法を説明する図である。 実施例1にかかる電池の充放電特性を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
図1は電極体10の断面を概略的に示す図である。図1に示したように、電極体10は基材1、修飾層2および活物質層6を備えている。
基材1は、電極体10を電池に組み込んだ際に集電体として機能し得るものである。基材1には従来公知の電池に用いられる集電体を用いることができる。基材1は、例えばCu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を用いて構成することができる。また、これらの金属材料は、例えば箔やメッシュ等の形態とすることができる。
修飾層2は、活物質層6に含まれる電極活物質と化学結合した成分を含んでいる。当該成分は後述するようにして電極活物質7(図3参照)を生成するときに、該電極活物質7と化学結合する。その結果、修飾層2と活物質層6との接合強度が増大し、剥がれ難くなる。修飾層2と活物質層6との接合強度が強いことによって、電極体10を電池に用いた際に修飾層2と活物質層6との界面での電気抵抗が低くなり、該電池の充放電特性が向上する。
修飾層2に含まれる上記成分としては、電極活物質7(図3参照)に含まれる金属元素と同一元素であることが好ましい。したがって、当該成分は活物質層6に含まれる電極活物質7に応じて適宜選択することができる。修飾層2には、例えばCo、Mn、Ni、Fe、Ti、Al等から選択される一又は二以上の典型金属元素を含む金属材料、CoO、Co、MnO、MnO、Mn、NiO、NiO、FeO、Fe、Fe、TiO等のセラミックス材料等を用いることができる。
電極体10を電池に用いた場合の修飾層2におけるイオン伝導度の低下や電池のエネルギー密度の低下を抑制する観点から、修飾層2は活物質層6との密着性を確保できる範囲でできる限り薄いことが好ましい。修飾層2の厚さは、例えば10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。
次に、活物質層6について説明する。活物質層6は電極活物質を含む層であり、該電極活物質がいわゆるフラックス法で生成された層である。フラックス法で電極活物質を生成することによって、高密度で高品質な活物質層6を形成でき、活物質層6における内部抵抗を低くすることができる。活物質層6に含まれる電極活物質としては、フラックス法で生成できるものであればとくに限定されない。活物質層6に含まれる電極活物質の具体例としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)、層状マンガン酸リチウム(LiMnO)、三元系リチウム層状化合物(LiCoNiMn1−x−y、0<x+y<1,0<x、0<y)、スピネル型ニッケルマンガン酸リチウム(LiNiMn2−x、0<x<2)、オリビン型リチウム化合物(LiCoNiMnFe1−x−y−zPO、0<x+y+z<1,0<x、0<y、0<z)、スピネル型チタン酸リチウム(LiTi12およびLiTi)等を挙げることができる。
活物質層6は導電助剤および結着剤を含まないことが好ましい。従来の電極体に備えられた活物質層には、通常、電極活物質、導電助剤、および結着剤が含まれていた。しかしながら、導電助剤と結着剤は電池における酸化還元反応に寄与しないため、電池のエネルギー密度を下げる要因になっていた。本発明によれば、後述するようにしてフラックス法で活物質層6を所定の厚さに形成することにより、活物質層6に導電助剤を含ませなくとも、活物質層6を電池に使用した際に実用に耐えるものとすることができる。また、フラックス法で電極活物質を生成することにより、電極活物質同士を結合させることができるため、活物質層6に結着剤を含ませなくとも、活物質層6を電池に使用した際に実用に耐えるものとすることができる。
上記のように電池のエネルギー密度を向上させるという観点からは活物質層6に導電助剤および結着剤を含ませないことが好ましいが、活物質層6が導電助剤および結着剤を含んでいてもよい。活物質層6に導電助剤を含有させることにより、活物質層6における導電性を向上させることができる。当該導電助材としては、電池に使用可能な公知の導電助材を適宜用いることができる。例えば、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料のほか、電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を用いることができる。また、活物質層6に含有させることができる結着剤としては、電池に使用可能な公知の結着剤を適宜用いることができる。当該結着剤としては、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を例示することができる。
活物質層6の層厚は特に限定されないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。活物質層6の厚さを上記範囲の下限以上とすることによって、電極体10を電池に用いた場合に実用に耐えうる容量を確保しやすくなる。また、活物質層6の厚さを上記範囲の上限以下とすることによって、活物質層6に導電助剤を含ませなくても、活物質層6を電池に用いた際の活物質層6における導電性を確保することができる。
なお、導電助剤および結着剤を含ませずに活物質層を形成する従来の方法としては、スパッタを用いる方法があるが、スパッタでは数百nmオーダーの活物質層しか形成できず、実用に耐え得るものではなかった。一方、本発明によれば、活物質層を1μm以上にすることができるため、実用に耐える。
これまでに説明した電極体10は、基材1を集電体、活物質層6を電極として、電解質層(セパレータ)、対極、集電タブ、および筺体等のその他電池に必要な公知の部材と組み合わせて電池を構成することができる。
次に、電極体10の製造方法を例にして本発明の電極体の製造方法について図2および図3を参照しつつ説明する。図2は電極体10の製造方法の流れを概略的に示したフロー図である。図3は電極体10の製造方法を説明する図である。
図2に示したように、電極体10の製造方法は、修飾層形成工程S1、混合層形成工程S2、活物質生成工程S3、および融剤除去工程S4を備えている。以下、これらの工程について説明する。
修飾層形成工程S1は、基材1の表面に、活物質層6に含まれる電極活物質と化学結合し得る成分を含む修飾層2を形成する工程である。上記電極活物質と化学結合し得る成分とは、上述したように、電極活物質に含まれる金属元素と同一の金属元素であることが好ましい。修飾層2を形成する方法としては、例えば図3に例示したようにメッキが考えられる。メッキによって修飾層2を形成することによって、修飾層2を所望の厚さに形成しやすく、基材1と修飾層2との密着性を高めることができる。修飾層2をメッキで形成する場合、その方法は特に限定されず公知の方法を適用することができる。例えば、基材1の表面の脱脂、酸洗、脱スマット、ジンケー処理(亜鉛置換処理)を経た後、電解メッキで修飾層2を形成することができる。ただし、本発明において修飾層2を形成する方法はメッキに限定されず、その外の方法としては、スパッタリング、CVD法、ゾル―ゲル法等が挙げられる。
なお、修飾層形成工程S1は本発明において必須の工程ではなく、電極活物質と化学結合し得る成分を含む修飾層2が予め表面に形成された基材1を準備して、混合層形成工程S2以降の工程を実施してもよい。
混合層形成工程S2は、活物質層6に含まれる電極活物質7の原料と融剤とを含む混合組成物からなる混合層6aを修飾層2上に形成する工程である。具体的には、図3に例示したように、活物質層6に含まれる電極活物質7の原料となる活物質原料4および活物質原料5と融剤3とを用意してこれらを混合し、修飾層2上に塗工する工程とすることができる。このとき、混合層6aに導電助剤および結着剤を含ませないことによって、上述したように活物質層6に導電助剤および結着剤を含ませないことが好ましい。また、活物質層6の層厚が1μm以上10μm以下となるように混合層6aの厚さを調整することが好ましい。
混合組成物を修飾層2に塗工する方法は特に限定されず、例えばディップコート法、スクリーニング法、溶液滴下法、印刷法、ロール・ツー・ロール法、スピンコート法、転写法、バーコート法、スキージ法、インクジェット法が挙げられる。
上記混合組成物は、活物質原料4および活物質原料5に由来する結晶水や付着水、湿気等の水分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。また、上記混合組成物の状態は、粉末状、液状、液体の融剤3中に粉末の活物質原料4および活物質原料5が分散したペースト状、または水分中で融剤3と活物質原料4および活物質原料5とが分散したペースト状であってもよい。
上記混合組成物に含有される活物質原料4および活物質原料5の濃度は、0.1mol%以上95mol%以下であることが好ましく、75mol%以下であることがより好ましく、0.5mol%以上50mol%以下であることがさらに好ましい。活物質原料4および活物質原料5の濃度を95mol%以下とすることにより、活物質生成工程S3でエネルギーを与えた際に活物質原料4および活物質原料5が充分に溶融しなくなるという事態を防止しやすくなる。
なお、上記混合組成物は、例えばB、B・HO、B2.5等の蒸発抑制剤や増粘剤を含んでいてもよい。
融剤3は、基材1の材質やフラックス法で生成する電極活物質7の種類に応じて適宜選択することができる。なお、融剤3は融剤除去工程S4において加熱蒸発や水洗いで除去するため、水溶性であり、水中に浸漬させることで溶解させることができるものや水で洗い流すことができるものであることが好ましい。このような融剤3としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、炭酸ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸リチウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸マグネシウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リチウム、酸化ナトリウム、クエン酸マグネシウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化リチウム、水酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、及びそれらの混合物や、それらに対応するアンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
活物質原料4および活物質原料5はフラックス法によって生成される電極活物質7に応じて適宜選択することができる。活物質原料4および活物質原料5の具体例としては、コバルト、酸化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、水酸化コバルト、シュウ酸コバルト、ステアリン酸コバルト、クエン酸コバルト、マンガン、酸化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、酢酸マンガン、水酸化マンガン、シュウ酸マンガン、クエン酸マンガン、ニッケル、酸化ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、水酸化ニッケル、シュウ酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、クエン酸ニッケル、鉄、酸化鉄、硝酸鉄、炭酸鉄、酢酸鉄、水酸化鉄、シュウ酸鉄、ステアリン酸鉄、クエン酸鉄などの遷移金属化合物、酸化リン、リン酸リチウム、リン酸アンモニウムなどのリン含有化合物、及び、融剤3の具体例として挙げた上記物質のうちリチウム元素を含む化合物等が挙げられる。
活物質生成工程S3は、電極活物質7を生成するためのエネルギーを混合層6aに与えて活物質原料4および活物質原料5を溶融させた後に徐冷することによって電極活物質7を生成しつつ、電極活物質7と修飾層6に含まれる成分とを化学結合させる工程である。混合層6aにエネルギーを与える方法としては、熱処理、活性エネルギー線照射またはプラズマ処理などが挙げられる。
活物質生成工程S3おいて熱処理を行う場合、その熱処理条件は、混合層6aに含まれ材料や基材1の材質などに応じて適宜選択される。電極体10の製造コスト低減や余分な反応を抑える等の観点から、当該熱処理における温度は低い方が好ましく、当該熱処理における温度を低くできるように混合層形成工程S2において適切な融剤を選択することが好ましい。加熱温度は、例えば70℃以上800℃以下とすることができる。また、加熱処理の際の昇温速度は例えば0.1℃/分以上100℃/分以下、好ましくは15℃/分程度とすることができる。一方、徐冷は例えば0.1℃/分以上2000℃/分以下、好ましくは200℃/時程度で行うことができる。このような加熱および徐冷は、例えば電気炉に備えられたプログラムを用いて行ってもよく、水冷によって冷却してもよい。
なお、加熱処理によって混合層6aにエネルギーを与える方法を例示したが、本発明はかかる形態に限定されず、活性エネルギー線照射やプラズマ処理などによって混合層6aにエネルギーを与えてもよい。このようにして混合層6aにエネルギーを与えるために手段としては、例えば電気炉、ヒーター、大気圧プラズマジェット、大気圧マイクロプラズマジェット、レーザー、真空紫外光、紫外光等が挙げられる。
融剤除去工程S4は、活物質生成工程S3において電極活物質7を生成した後、電極活物質7および融剤3を含む層6bから融剤3を除去する工程である。融剤3を除去する方法としては、例えば、水洗い(例えば、水中に浸漬させる)や加熱蒸発が挙げられる。
このように、上記工程S1乃至S4を経ることによって、電極体10を作製することができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明に説明する。ただし、本発明はこれらの形態によって限定されるものではない。
(実施例1)
まず、一方の面側にCoからなる層(修飾層)が形成されたアルミニウム集電箔(基材)を用意した。次に、活物質原料としてCo(NO・6HOとLiNOとを用い、融剤としてLiOH・HOを用い、生成後の電極活物質(LiCoO)の濃度が1mol%となるようにこれらを秤量して乳鉢にて15分間混合し、バーコート法にて上記修飾層上に塗工し、混合層を形成した。その後、大気中にて以下の条件で混合層に熱処理を施した。すなわち、室温(25℃)から300℃まで15℃/分で加熱した後、300℃で3時間保持し、3℃/分で100℃まで冷却した。その後、温水中にて超音波洗浄を15分間行い、融剤を除去して活物質層を形成した。このようにして作製した電極体のアルミニウム集電箔、修飾層および活物質層の厚さは、それぞれ200μm、3μm、3μmであった。
上記のようにして得られた電極体と、セパレータ(ポリプロピレン)、および対極(Li)を組み合わせて電池を作製し、充放電特性を評価した。評価条件は下記の通りであり、評価結果を図4に示した。
充放電条件:4.2Vまで定電流充電した後、3.0Vまで定電流放電。電流密度は0.1C。繰り返し数:2サイクル(cy)。
電解液:LiPF(エチレンカーボネート(EC)+ジメチルカーボネート(DMC)+エチルメチルカーボネート(EMC))
充放電装置:東洋システム株式会社製TOSCAT3100
実施例1にかかる電極体は活物物質層と修飾層との接合強度が強く、活物質層と修飾層との界面抵抗が低くなっていることによって、図4に示したように良好な充放電特性を示した。
(比較例1)
比較例1として修飾層を形成していないAl集電箔上に実施例1と同様の手順で活物質を生成したが、活物質層が集電箔から剥がれてしまい。充放電特性を評価することができなかった。
以上、現時点において実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明した。ただし、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。また、そのような変更を伴う電極体、電極体の製造方法および電池も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 基材(集電体)
2 修飾層
3 融剤(フラックス)
4 活物質原料
5 活物質原料
6a 混合層
6 活物質層
7 電極活物質
10 電極体

Claims (11)

  1. 基材と電極活物質を含む活物質層とを備えた電極体の製造方法であって、
    前記電極活物質と化学結合し得る成分を含む修飾層が表面に形成された前記基材を準備する工程と、
    前記電極活物質の原料と融剤とを含む混合組成物からなる混合層を前記修飾層上に形成する混合層形成工程と、
    前記混合層に熱処理、活性エネルギー線照射またはプラズマ処理を施して前記電極活物質の原料から前記電極活物質を生成しつつ、前記電極活物質と前記修飾層に含まれる成分とを化学結合させる活物質生成工程と、
    前記融剤を除去する融剤除去工程と、
    を有する、電極体の製造方法。
  2. 前記基材の表面に、前記電極活物質と化学結合し得る成分を含む前記修飾層を形成する修飾層形成工程を含む、請求項1に記載の電極体の製造方法。
  3. 前記電極活物質に含まれる金属元素と同一の金属元素を前記修飾層に含ませる、請求項1または2に記載の電極体の製造方法。
  4. 前記活物質層に導電助剤および結着剤を含ませない、請求項1乃至3のいずれかに記載の電極体の製造方法。
  5. 前記活物質層の層厚を0.1μm以上10μm以下とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の電極体の製造方法。
  6. 基材と、該基材上に形成された修飾層と、該修飾層上に形成された電極活物質を含む活物質層と、を備え、
    前記修飾層が前記電極活物質と化学結合した成分を含んでいる、電極体。
  7. 前記化学結合した成分が前記電極活物質に含まれる金属元素と同一元素である、請求項6に記載の電極体。
  8. 前記活物質層が導電助剤および結着剤を含まない、請求項6または7に記載の電極体。
  9. 前記活物質層の層厚が0.1μm以上10μm以下である、請求項6乃至8のいずれかに記載の電極体。
  10. 前記活物質層が、
    前記電極活物質の原料と融剤とを含む混合組成物からなる混合層を前記修飾層上に形成し、該混合層に熱処理、活性エネルギー線照射またはプラズマ処理を施して前記電極活物質の原料から前記電極活物質を生成しつつ、前記電極活物質と前記修飾層に含まれる成分とを化学結合させた後、前記融剤を除去する工程を経て得られたものである、請求項6乃至9のいずれかに記載の電極体。
  11. 請求項6乃至10のいずれかに記載の電極体を備えた電池。
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