JP2014058616A - 水生生物付着防止粘着テープ - Google Patents

水生生物付着防止粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性とを、互いにバランス良く両立できる、水生生物付着防止粘着テープを提供する。
【解決手段】防汚層2と基材層3と粘着層4をこの順に含む粘着テープであって、該基材層がエラストマー樹脂を含み、該基材層が、アミン系モノマーおよびアミド系モノマーから選ばれる少なくとも1種である窒素含有モノマーを含む、水生生物付着防止粘着テープ。
【選択図】図1

Description

本発明は、水生生物付着防止粘着テープに関する。詳細には、本発明は、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に水中生物が付着して繁殖することを防止するための、水生生物付着防止粘着テープに関する。
船舶などの水中構造物は、海水に接触する部分において、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、付着珪藻などの海洋生物が付着して繁殖し、流体抵抗の増加や熱伝導性の低下といった設備機械性能の低下や、付着した海洋生物の海外への拡散など、好ましくない状態を引き起こしている。また、付着した海洋生物を除去する作業には大きな労力と膨大な時間が必要であり、経済的な損失を被っている。
上記のような被害を防止するため、従来、防汚塗料が水中構造物に塗装されている。防汚塗料には、古くは有機スズ化合物や現在では亜酸化銅などの毒性防汚剤が含まれている。防汚塗料の毒性によって海洋生物の付着成長はほぼ抑制できるが、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤は人体や環境に少なからず悪影響を与えるため、長期的にみれば深刻な問題となる。また、防汚塗料を塗装後に乾燥させる際には、30重量%程度の有機溶剤(VOC)が揮発し、作業環境や周辺の環境に悪影響を与えている。スプレー式塗装では、VOCの大気中への排出の他に、塗料の10重量%〜20重量%は風により周囲に飛散していると言われている。一方で、長年使用した防汚塗料を塗り替える際には、古くなった防汚塗料をサンドブラストや金属研磨機で剥離するが、その際に、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤を含んだ大量の塗膜片が周囲に飛散して作業者や環境に悪影響を与えると共に、剥離した防汚塗料は産業廃棄物として処理されるため、大きな問題となっている。
以上の様に、これまでの防汚塗料では、海洋生物に対する付着阻害効果はあるものの、人体や環境に対して大きな悪影響があり、多くの問題が解決されないまま現在に至っているのが現状である。
従来、粘着テープを海水中で使用すると、粘着層が海水と接触することによって被着体への粘着力が低下してしまい、使用中に粘着層が被着体から剥離してしまうという問題があった。また、従来、粘着テープは海水中で使用されることは少なく、また、海水中で使用される場合であっても、使用後の再剥離性を考慮されていないため、剥離する際に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じてしまい、剥離する際には被着体に糊残りが生じてしまうというような問題が起こる。このため、海水中で使用した粘着テープを新たな粘着テープに貼り替えるためには、多大な労力が必要である。また、海水中で使用した粘着テープを一度剥離してしまうと、基材の塑性変形によって粘着テープの再貼り付けができず、施工時のリワーク性に乏しいという問題がある。
そこで、銅薄と粘着剤とをプライマーを介して貼り合わせた粘着テープが提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、このような粘着テープにおいては、海洋生物の付着抑制を銅薄の銅成分によって実現させているため、環境への悪影響の可能性があるという問題がある。また、このような粘着テープは、FRP板に対するピール接着力が2.6kg/25mmまたは7.5kg/25mm(プライマー前処理後)と非常に大きく設計されており、海水中での使用中に粘着層が被着体から剥離してしまうという問題を回避している一方で、必要以上に粘着層の全体としてのピール接着力が高くなってしまい、使用後の粘着テープを貼り替える場合に粘着テープが人力で容易に剥がれるとは考えにくく、結局、削り取るなどの行為が必要なため、大きな労力が必要となる。また、このように粘着力が非常に高いことに加えて、基材が金属板であることから、使用後の粘着テープを一度剥離してしまうと基材が塑性変形してしまい、施工時のリワーク性に乏しいという問題がなお残る。また、銅は比重が8.94g/cmと重い物質であり、船舶などの移動構造物に使用することは、燃費を悪化させ経済的に好ましくない。
すなわち、海水中での使用に適した粘着テープには、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性とを、互いにバランス良く両立できることが求められる。
特公昭63−62487号公報 特公平1−54397号公報
本発明の課題は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性とを、互いにバランス良く両立できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することにある。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、
防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む粘着テープであって、
該基材層がエラストマー樹脂を含み、
該基材層が、アミン系モノマーおよびアミド系モノマーから選ばれる少なくとも1種である窒素含有モノマーを含む。
好ましい実施形態においては、上記エラストマー樹脂が、(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタン系ポリマー成分を含有するポリウレタンアクリル樹脂を含む。
好ましい実施形態においては、上記窒素含有モノマーの含有割合が、上記(メタ)アクリル系ポリマー成分の1重量%〜50重量%である。
好ましい実施形態においては、上記基材層の23℃における破断伸びが100%〜2000%である。
好ましい実施形態においては、上記基材層の23℃における破断応力が10MPa以上である。
好ましい実施形態においては、上記粘着層がカルボキシル基含有アクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤組成物を含む。
本発明によれば、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性とを、互いにバランス良く両立できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープの一例の概略断面図である。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む。本発明の水生生物付着防止粘着テープは、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。本発明の水生生物付着防止粘着テープの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。本発明の水生生物付着防止粘着テープの厚みは、好ましくは50μm〜500μmである。
図1に、本発明の水生生物付着防止粘着テープの一例の概略断面図を示す。本発明の水生生物付着防止粘着テープ100は、防汚層2と基材層3と粘着層4をこの順に含む。図1に示すように、防汚層2の表面や、粘着層4の表面には、剥離フィルム1が設けられていても良い。基材層には、防汚層との密着性をさらに向上させるために、プライマーをあらかじめ塗工しておいても良い。
基材層は、エラストマー樹脂を含む。エラストマー樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なエラストマー樹脂を採用し得る。このようなエラストマー樹脂としては、例えば、加硫ゴム、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーなどが挙げられる。
基材層中に含まれ得るエラストマー樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。基材層がエラストマー樹脂を含むことにより、曲面や鋭角面など、平面以外の部位にも容易に作業性良く貼着でき、貼着後の表面にしわや浮きなどの外観不良が生じ難い、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
基材層中のエラストマー樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60〜100重量%であり、さらに好ましくは70〜99重量%であり、特に好ましくは80〜98重量%であり、最も好ましくは90〜97重量%である。
基材層の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、エラストマー樹脂以外の任意の適切な材料を採用し得る。このような基材層の材料としては、好ましくは、耐水性、強度、柔軟性、裂け性に優れるものである。このような基材層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明において、基材層に含まれるエラストマー樹脂としては、本発明の効果を十分に発現させ得る点で、好ましくは、ウレタン系エラストマーである。ウレタン系エラストマーとしては、好ましくは、ポリウレタンアクリル樹脂およびポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはポリウレタンアクリル樹脂である。ポリウレタン樹脂としては、例えば、カーボネート系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタンなどが挙げられる。エラストマー樹脂としてウレタン系エラストマーを採用することにより、曲面や鋭角面など、平面以外の部位にも一層容易に作業性良く貼着でき、貼着後の表面にしわや浮きなどの外観不良が一層生じ難い、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
ポリウレタンアクリル樹脂は、アクリル成分とウレタン成分を有する。ポリウレタンアクリル樹脂は、より具体的には、(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタンポリマー成分を含有する複合ポリマーである。ポリウレタンアクリル樹脂中における(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタンポリマー成分との重量比率は、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー成分/ウレタンポリマー成分=1/99〜80/20である。ポリウレタンアクリル樹脂中における(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタンポリマー成分との重量比率が上記範囲内に収まることにより、前駆体混合物の粘度の上昇を抑制できて作業性を良好に維持できるとともに、ポリウレタンアクリル樹脂に優れた柔軟性や優れた強度を付与できる。(メタ)アクリル系ポリマー成分/ウレタンポリマー成分が1/99未満では、前駆体混合物の粘度が高くなり、作業性が悪化するおそれがあり、80/20を超えると、ポリウレタンアクリル樹脂としての柔軟性や強度が得られないおそれがある。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」と記載されている場合は「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」と記載されている場合は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分は、(メタ)アクリル酸系モノマーと単官能(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー成分を用いて得られるポリマーであることが好ましい。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分は、特に、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー成分を用いて得られるポリマーであることが好ましい。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分は、上記ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーに加えて、さらに、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー成分を用いて得られるポリマーであることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸系モノマーとは、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられる。本発明の効果を一層発現できる点で、(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、好ましくは、アクリル酸が挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂の原料となるモノマー成分中の(メタ)アクリル酸系モノマーの含有割合は、好ましくは1重量%〜15重量%であり、より好ましくは2重量%〜10重量%である。ポリウレタンアクリル樹脂の原料となるモノマー成分中の(メタ)アクリル酸系モノマーの含有割合が上記範囲内に収まることにより、ポリウレタンアクリル樹脂の合成反応を円滑に進ませることができ、ポリウレタンアクリル樹脂に十分な強度と耐水性を付与できる。ポリウレタンアクリル樹脂の原料となるモノマー成分中の(メタ)アクリル酸系モノマーの含有割合が1重量%未満では、ポリウレタンアクリル樹脂の合成反応に長時間を要するおそれや、ポリウレタンアクリル樹脂が十分な強度を有しないおそれがある。ポリウレタンアクリル樹脂の原料となるモノマー成分中の(メタ)アクリル酸系モノマーの含有割合が15重量%を超える場合には、ポリウレタンアクリル樹脂の吸水率が大きくなり、耐水性に問題が生じるおそれがある。(メタ)アクリル酸系モノマーは、ポリウレタンアクリル樹脂中のウレタン成分とアクリル成分との相溶性に大きく影響するものである。
Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられる。Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、本発明の効果を一層発現できる点で、好ましくは、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、イソボルニルアクリレートが挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分中の、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは20重量%〜99重量%であり、より好ましくは30重量%〜98重量%である。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分中の、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が上記範囲内に収まることにより、ポリウレタンアクリル樹脂に十分な強度を付与できるとともに、ポリウレタンアクリル樹脂の剛性の上がり過ぎを抑制できる。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分中の、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が、20重量%未満では、ポリウレタンアクリル樹脂が十分な強度を有しないおそれがある。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分中の、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が、99重量%を超えると、ポリウレタンアクリル樹脂の剛性が上がりすぎて脆くなるおそれがある。
Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソブチル、2−メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルオロフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等が挙げられる。Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、本発明の効果を一層発現できる点で、好ましくは、アクリル酸n−ブチルが挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分中の、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下である。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分中の、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が上記範囲内に収まることにより、ポリウレタンアクリル樹脂に十分な強度を付与できる。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分中の、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が、50重量%を超える場合には、ポリウレタンアクリル樹脂が十分な強度を有しないおそれがある。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分の原料モノマーに含まれる、(メタ)アクリル酸系モノマーや単官能(メタ)アクリル系モノマーなどの(メタ)アクリル系モノマーは、ウレタンとの相溶性、放射線等の光硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分の原料モノマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のモノマーが含まれていても良い。このような他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、その誘導体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエンアクリレート、メトキシエチルアクリレート等が挙げられる。他のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。他のモノマーの種類や使用量は、目的に応じて、適宜選択し得る。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分の原料モノマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の多官能モノマーが含まれていても良い。このような多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。本発明の効果を一層発現できる点で、このような多官能モノマーとしては、好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー成分の原料モノマーに他の多官能モノマーが含まれている場合、その含有割合は、原料モノマー中の(メタ)アクリル系モノマーに対して、好ましくは1重量%〜20重量%である。上記含有割合が1重量%以上であれば、ポリウレタンアクリル樹脂の凝集力を十分に高く維持することができ、上記含有割合が20重量%以下であれば、ポリウレタンアクリル樹脂の弾性率が高くなりすぎることがなく、被着体表面の凹凸に良好に追従することができる。
ポリウレタンアクリル樹脂中のウレタンポリマー成分は、好ましくは、ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる。ジオールの水酸基とイソシアネートとの反応には、触媒を用いても良い。
低分子量のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコールが挙げられる。
高分子量のジオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合して得られるポリエーテルポリオール;上述の2価のアルコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオール;アクリルポリオール;カーボネートポリオール;エポキシポリオール;カプロラクトンポリオール;等が挙げられる。本発明の効果を一層発現できる点で、高分子量のジオールとしては、これらの中でも、好ましくは、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリアルキレンカーボネートジオール(PCD)が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物と(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
エポキシポリオールとしては、アミン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中のウレタンポリマー成分を製造する際には、上記ジオールを、(メタ)アクリル系モノマーへの溶解性、イソシアネートとの反応性等を考慮して、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。ポリウレタンアクリル樹脂の強度を向上させる場合には、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。ポリウレタンアクリル樹脂の伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用すると効果的である。ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好である。ポリエステルポリオールは、ポリウレタンアクリル樹脂の強度を向上させることができる。
ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート;これらのジイソシアネートの二量体、三量体;ポリフェニルメタンジイソシアネート;などが挙げられる。ジイソシアネートは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートの三量体としては、例えば、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられる。
本発明の効果を一層発現できる点で、ジイソシアネートとしては、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添トリレンジイソシアネート(HTDI)、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシレンジイソシアネート(HXDI)が挙げられる。
ウレタンポリマー成分を形成するためのジオール成分とジイソシアネート成分の使用割合は、NCO/OH(当量比)が、好ましくは1.1〜2.0であり、より好ましくは1.15〜1.35である。NCO/OH(当量比)が上記範囲内に収まることにより、ポリウレタンアクリル樹脂に優れた強度、十分な伸び、十分な柔軟性を付与できる。NCO/OH(当量比)が1.1未満の場合、ポリウレタンアクリル樹脂の強度が低下するおそれがある。NCO/OH(当量比)が2.0を超えると、ポリウレタンアクリル樹脂の伸びと柔軟性を十分に確保することができないおそれがある。
ウレタンポリマー成分に対して水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを添加しても良い。ウレタンポリマー成分に対して水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを添加することにより、ウレタンプレポリマー成分の分子末端に(メタ)アクリロイル基を導入することができ、(メタ)アクリル系モノマーとの共重合性が付与され、ウレタン成分とアクリル成分との相溶性が高まり、破断強度などのS−S特性の向上を図ることができる。本発明の効果を一層発現できる点で、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーの使用量は、ウレタンポリマー成分に対して、好ましくは0.1重量%〜10重量%であり、より好ましくは1重量%〜5重量%である。
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタンポリマー成分とがグラフト構造や架橋構造により相互に結合したヘテロジニアスネットワーク構造を有する。(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタンポリマー成分とが、それぞれ独自に架橋構造をとるIPN構造(相互侵入高分子網目層)や、(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタンポリマー成分の一方が架橋構造を有し、他の一方がリニア構造の高分子鎖を有していて該架橋構造の中に侵入しているようなsemi−IPN構造の場合は、ポリウレタンアクリル樹脂の伸張時の応力が発現しにくい場合がある。
基材層に含まれるエラストマー樹脂がポリウレタンアクリル樹脂である場合、該基材層は、例えば、(メタ)アクリル系モノマーを希釈剤として、この(メタ)アクリル系モノマー中でジオールとジイソシアネートとの反応を行ってウレタンポリマー成分を形成し、(メタ)アクリル系モノマーとウレタンポリマーとを主成分として含む混合物を基材(必要に応じて剥離処理されている)等の上に塗布し、光重合開始剤の種類等に応じて、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や紫外線等の放射線、可視光等を照射して硬化させ、その後、基材等を剥離除去することにより、基材層を形成することができる。あるいは、基材等を剥離除去せずに、基材等の上に基材層が積層された形態で得ることもできる。
基材層に含まれるエラストマー樹脂がポリウレタンアクリル樹脂である場合、該基材層は、より具体的には、例えば、ジオールを(メタ)アクリル系モノマーに溶解させた後、ジイソシアネート等を添加してジオールと反応させて粘度調整を行い、これを支持体等に、あるいは、必要に応じて支持体等の剥離処理面に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることによって得ることができる。この方法では、(メタ)アクリル系モノマーをウレタン合成中に一度に添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。また、ジイソシアネートを(メタ)アクリル系モノマーに溶解させた後、ジオールを反応させてもよい。この方法によれば、分子量が限定されるということはなく、高分子量のポリウレタンを生成することもできるので、最終的に得られるウレタンの分子量を任意の大きさに設計することができる。酸素による重合阻害を避けるために、支持体等上に塗布した混合物の上に、剥離処理したシート(セパレーター等)をのせて酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に基材を入れて、酸素濃度を下げてもよい。
放射線等の種類や照射に使用されるランプの種類等は適宜選択することができる。このようなランプとしては、例えば、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等の低圧ランプ;メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧ランプ;等が挙げられる。
紫外線などの照射量は、基材層の特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、好ましくは100mJ/cm〜5000mJ/cmであり、より好ましくは1000mJ/cm〜4000mJ/cmであり、さらに好ましくは2000mJ/cm〜3000mJ/cmである。紫外線の照射量を上記範囲内に収めることにより、劣化させることなく十分な重合率が得られる。紫外線の照射量が100mJ/cmより少ないと、十分な重合率が得られないおそれがあり、5000mJ/cmより大きいと、劣化の原因となるおそれがある。紫外線等を照射する際の温度は、目的に応じて、任意の適切な温度に設定することができる。紫外線等を照射する際の温度が高すぎると、重合熱による停止反応が起こり易くなり、特性低下の原因となりやすい。このため、紫外線等を照射する際の温度は、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは50℃以下であり、さらに好ましくは30℃以下である。
ポリウレタンアクリル樹脂を調製するにあたり、少なくともウレタンポリマー成分を含む混合物(例えば、(メタ)アクリル系モノマーとウレタンポリマーとを主成分とする混合物)には、好ましくは光重合開始剤が含まれる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル;アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール;2−ナフタレンスルフォニルクロライド等の芳香族スルフォニルクロライド;1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等の光活性オキシム;などが挙げられる。
基材層は、アミン系モノマーおよびアミド系モノマーから選ばれる少なくとも1種である窒素含有モノマーを含む。基材層に含まれ得る窒素含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イミドアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、これらの誘導体などが挙げられる。基材層がアミン系モノマーおよびアミド系モノマーから選ばれる少なくとも1種である窒素含有モノマーを含むことにより、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性とを、互いにバランス良く両立できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
基材層に含まれる窒素含有モノマーの含有割合は、ポリウレタンアクリル樹脂の(メタ)アクリル系ポリマー成分に対して、好ましくは1重量%〜50重量%であり、より好ましくは3重量%〜45重量%であり、さらに好ましくは5重量%〜40重量%であり、特に好ましくは7重量%〜35重量%であり、最も好ましくは10重量%〜30重量%である。ここで、本発明においては、ポリウレタンアクリル樹脂の(メタ)アクリル系ポリマー成分の量は、該(メタ)アクリル系ポリマー成分を構成するモノマー成分の総量と同じものと扱う。基材層に含まれる窒素含有モノマーの含有割合をポリウレタンアクリル樹脂の(メタ)アクリル系ポリマー成分に対して上記範囲内に調整することによって、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。特に、基材層に含まれる窒素含有モノマーの含有割合をポリウレタンアクリル樹脂の(メタ)アクリル系ポリマー成分に対して上記範囲内に調整することは、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性に大きく寄与し得る。基材層に含まれる窒素含有モノマーの含有割合がポリウレタンアクリル樹脂の(メタ)アクリル系ポリマー成分に対して過度に多すぎると、基材層の吸水率が高くなってしまうおそれがあり、海水中で使用することに適さないおそれがある。
基材層は、その23℃における破断伸びが、好ましくは100%〜2000%であり、より好ましくは150〜1800%であり、さらに好ましくは200〜1500%である。基材層の23℃における破断伸びを上記範囲内に調整することによって、剥離作業に要する労力が一層軽減でき、剥離した際の基材の塑性変形が一層抑制され、施工時のリワーク性に一層優れた、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。剥離角度が5〜60°という浅い角度における剥離の際に、基材が伸びることにより、剥離点における応力集中が大きくなるために粘着力が低下し、良好な剥離性を発現できる。また、防汚層付き粘着シートは、船などの被着体に貼着する場合、平面に貼るだけでなく、曲面、90度角面、鋭角面などの形状にも良好に追従できることが必要である。上記のような様々な形状に追随できない場合は、貼着後の表面にしわや浮きなどの外観不良が生じるおそれがある。
基材層は、その23℃における破断応力が、好ましくは10MPa以上であり、より好ましくは10〜200MPaであり、さらに好ましくは12〜150MPaであり、特に好ましくは15〜100MPaである。基材層の23℃における破断応力を上記範囲内に調整することによって、剥離作業に要する労力が一層軽減でき、剥離した際の基材の塑性変形が一層抑制され、施工時のリワーク性に一層優れた、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。基材層の23℃における破断応力が10MPa未満の場合、使用後に被着体から剥離する際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく低下するおそれがある。
基材層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、リン酸エステル、滑剤、界面活性剤、充填剤や顔料(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなど)などが挙げられる。
基材層は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。基材層が紫外線吸収剤を含むことにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープの耐候性が向上する。基材層が紫外線吸収剤を含んでいない場合、野外での使用において太陽光によって基材が劣化しやすくなり、当初の基材強度を維持することが難しくなるおそれがある。そして、基材が劣化してしまうと、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープを被着体から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。
基材層の厚みは、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは1μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜800μmであり、さらに好ましくは20μm〜500μmである。基材層の厚みを上記範囲内に収めることにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープは、防汚層と基材層との密着性に優れ、曲面や鋭角面など、平面以外の部位にも容易に作業性良く貼着でき、貼着後の表面にしわや浮きなどの外観不良が生じ難い。
粘着層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着層を採用し得る。このような粘着層の材料としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂系粘着剤、アミノ樹脂系粘着剤、ビニル樹脂(酢酸ビニル系重合体など)系粘着剤、硬化型アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。粘着層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着層の厚みは、好ましくは10μm以上である。粘着層の厚みが上記範囲内に収まることにより、被着体の形状に十分に追従でき、接着面積を十分に確保でき、十分な粘着力が発現できる。粘着層の厚みが10μmより薄いと、被着体の形状に十分に追従できなくなり、接着面積が減少してしまい、十分な粘着力が発現できないおそれがある。粘着層の厚みの上限は、取扱性の観点から、好ましくは300μm以下である。
粘着層は、粘着剤組成物を含む。粘着層中の粘着剤組成物の含有割合は、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは90重量%〜100重量%であり、特に好ましくは95重量%〜100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。すなわち、最も好ましくは、粘着層は粘着剤組成物からなる。
粘着剤組成物は、好ましくは、アクリル系ポリマーを含む。
粘着剤組成物中のアクリル系ポリマーの含有割合は、好ましくは68重量%以上であり、より好ましくは70重量%〜99.9重量%であり、さらに好ましくは72重量%〜99.5重量%であり、特に好ましくは74重量%〜99重量%であり、最も好ましくは75重量%〜98.5重量%である。粘着剤組成物中のアクリル系ポリマーの含有割合を上記範囲内に調整することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
アクリル系ポリマーとしては、任意の適切なアクリル系ポリマーを採用し得る。このようなアクリル系ポリマーは、好ましくは、カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを主成分とする。アクリル系ポリマー中のカルボキシル基含有アクリル系ポリマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは70重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは90重量%〜100重量%であり、特に好ましくは95重量%〜100重量%であり、最も好ましくは98重量%〜100重量%である。アクリル系ポリマー中のカルボキシル基含有アクリル系ポリマーの含有割合を上記範囲内に調整することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
すなわち、粘着剤組成物は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを主成分とする。
粘着剤組成物中のカルボキシル基含有アクリル系ポリマーの含有割合は、好ましくは60重量%を超え、より好ましくは63重量%〜99.9重量%であり、さらに好ましくは65〜99.5重量%であり、特に好ましくは67重量%〜99.3重量%であり、最も好ましくは70重量%〜99重量%である。粘着剤組成物中のカルボキシル基含有アクリル系ポリマーの含有割合を上記範囲内に調整することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、好ましくは、直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分中の、直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは50重量%〜99.9重量%であり、さらに好ましくは60重量%〜95重量%であり、特に好ましくは70重量%〜93重量%である。カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分中の、直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合を上記範囲内に調整することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は、好ましくは2〜14であり、より好ましくは2〜10である。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の、(メタ)アクリル酸エステルを含有していても良い。このような(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル;などが挙げられる。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、カルボキシル基含有モノマーを含有する。このようなカルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分がカルボキシル基含有モノマーを含有することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合は30重量%未満であり、好ましくは0.5重量%〜25重量%であり、より好ましくは1重量%〜20重量%であり、さらに好ましくは1.5重量%〜18重量%であり、特に好ましくは2重量%〜15重量%である。カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合が上記範囲内に収まることにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーとしては、これらの中でも、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、より好ましくは、アクリル酸が挙げられる。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、その他のモノマーを含有していても良い。このようなその他のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このようなその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の水酸基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリールスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン等の窒素含有複素環系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、チオグリコール酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、得られるポリマーの凝集力を調整する等を目的として、必要に応じて、多官能性モノマーを含有していても良い。このような多官能性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
多官能性モノマーとしては、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら中でも、多官能性モノマーとしては、好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分中の多官能性モノマーの含有割合は、好ましくは0.01重量%〜3.0重量%であり、より好ましくは0.02重量%〜2.0重量%であり、さらに好ましくは0.03重量%〜1.5重量%である。カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分中の多官能性モノマーの含有割合が3.0重量%を超えると、粘着剤の凝集力が高くなりすぎるおそれがある。カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分中の多官能性モノマーの含有割合が0.01重量%未満であると、粘着剤の凝集力が低下するおそれがある。
粘着剤組成物に含有されるカルボキシル基含有アクリル系ポリマーの調製のためには、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤を使用し得る。重合時間を短くすることができる点等から、重合開始剤として、好ましくは、光重合開始剤を使用し得る。このような重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等のアゾ系重合開始剤;ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエート、過酸化ラウロイル等の過酸化物系重合開始剤;レドックス系重合開始剤;等が挙げられる。
熱重合開始剤の使用量としては、任意の適切な量を採用し得る。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、BASF製、商品名「イルガキュア651」)、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、BASF製、商品名「イルガキュア184」)、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、BASF製、商品名「イルガキュア2959」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、BASF製、商品名「ダロキュアー1173」)、メトキシアセトフェノンなどが挙げられる。
α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。
光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。
ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジブトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)一2一フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−4−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,3,5,6−テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF製、商品名「ルシリンTPO」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメチトキシベンゾイル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−n一ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF製、商品名「イルガキュア819」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10−ビス[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2−メチルベンゾイル)ホスフィンオキシドなどが挙げられる。アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、これらの中でも、好ましくは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF製、商品名「イルガキュア819」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF製、商品名「ルシリンTPO」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドが挙げられる。
光重合開始剤の使用量としては、カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%であり、より好ましくは0.03重量%〜3重量%であり、さらに好ましくは0.05重量%〜2重量%である。光重合開始剤の使用量が、カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分に対して0.01重量%より少ないと、重合反応が不十分になるおそれがある。光重合開始剤の使用量が、カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分に対して5重量%を超えると、光重合開始剤が紫外線を吸収することによって紫外線が粘着層内部まで届かず、重合率の低下を招くおそれがあり、生成するポリマーの分子量が小さくなることによって、形成される粘着剤の凝集力が低くなるおそれがある。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、得られるポリマーの凝集力を調整する等を目的として、必要に応じて、架橋剤を含有していても良い。このような架橋剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などを挙げることができる。このような架橋剤としては、これらの中でも、好ましくは、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、これらとトリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体などが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N´−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーは、上記モノマー成分を用いて、任意の適切な方法で製造し得る。例えば、上記モノマー成分と上記重合開始剤を配合した混合物に紫外線(UV)を照射させて、モノマーを一部重合させた部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ)として調製できる。
カルボキシル基含有アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、100000〜5000000である。
粘着剤組成物は、好ましくは、アクリル系ポリマーとアクリル系オリゴマーを含む。なお、本発明において、ポリマーやオリゴマーの重量は、そのポリマーやオリゴマーを構成する全モノマー成分の総重量と同じものとして扱う。例えば、粘着剤組成物中のアクリル系ポリマーの重量は、アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分の総重量と同じものとして扱う。
粘着剤組成物中のアクリル系ポリマーに対するアクリル系オリゴマーの含有割合は、好ましくは40重量%未満であり、より好ましくは0.1重量%〜37重量%であり、さらに好ましくは0.5〜35重量%であり、特に好ましくは0.7重量%〜33重量%であり、最も好ましくは1重量%〜30重量%である。粘着剤組成物中のアクリル系ポリマーに対するアクリル系オリゴマーの含有割合を上記範囲内に調整することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
アクリル系オリゴマーは、重量平均分子量Mwが、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは100以上5000未満であり、さらに好ましくは100〜1000である。アクリル系オリゴマーの重量平均分子量Mwを上記範囲内に調整することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
アクリル系オリゴマーは、その計算Tg(Tgが測定可能なときは実際に測定したガラス転移温度でもよい)が、好ましくは10℃〜300℃であり、より好ましくは20℃〜250℃であり、さらに好ましくは30℃〜230℃であり、特に好ましくは40℃〜200℃であり、最も好ましくは50℃〜180℃である。アクリル系オリゴマーの計算Tgを上記範囲内に調整することにより、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
本発明においてアクリル系オリゴマーの「計算Tg」とは、アクリル系オリゴマーを構成する単量体由来の構造単位のTgについて、Foxの計算式により求められる計算ガラス転移温度である。Foxの式とは、以下に示すような、共重合体のガラス転移温度Tg(℃)と、共重合体を構成する単量体のそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tg(℃)との関係式である。なお、以下のFoxの式において、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wは単量体iの重量分率、Tg(℃)は単量体iのホモポリマーのガラス転移温度を示す。
1/(273+Tg)=Σ(W/(273+Tg))
なお、ホモポリマーのガラス転移温度Tg(℃)としては、具体的には、「Polymer Handbook 3rd Edition」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION、1989年)に記載された値を使用することができる。
アクリル系オリゴマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー単位として含む。
このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルのような(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル;等を挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
アクリル系オリゴマーに含まれ得るモノマー単位としては、上記のような(メタ)アクリル酸エステルのほかに、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分(共重合性モノマー)が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分(共重合性モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩等の塩;エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニルモノマー;フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステルのような含フッ素ビニルモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物系モノマー;2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニルモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンのようなアミド基含有ビニルモノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニルピラゾール、N−ビニルイソオキサゾール、N−ビニルチアゾール、N−ビニルイソチアゾール、N−ビニルピリダジン等の窒素含有複素環系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィンまたはジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類;等を挙げることができる。このような他のモノマー成分(共重合性モノマー)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
アクリル系オリゴマーとしては、例えば、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソブチルメタクリレート(IBMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とジエチルアクリルアミド(DEAA)の共重合体、1−アダマンチルアクリレート(ADA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)、1−アダマンチルメタクリレート(ADMA)、1−アダマンチルアクリレート(ADA)の各単独重合体等を挙げることができる。
アクリル系オリゴマーは、t−ブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル基が分岐構造を持った(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸イソボルニルのような(メタ)アクリル酸の脂環式アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸フェニルや(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルなどの環状構造を持った(メタ)アクリレートなど、嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位として含んでいても良い。このような嵩高い構造をアクリル系オリゴマーに導入することで、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
アクリル系オリゴマーは、三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーをモノマー単位として含んでいても良い。三環以上の脂環式構造のようなより嵩高い構造をアクリル系オリゴマーに導入することで、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。
上記三環以上の脂環式構造は、橋かけ環構造等の立体構造であっても良い。このような脂環式構造をアクリル系オリゴマーに導入することで、粘着剤組成物は、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に被着体から再剥離し易いという特性とを、互いによりバランス良く両立し得る。このような脂環式構造としては、例えば、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基などが挙げられる。このような脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、トリシクロペンタニルメタクリレート、トリシクロペンタニルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート等が挙げられる。このような脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
アクリル系オリゴマーには、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基が導入されていても良い。このような官能基の例としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メルカプト基を挙げることができる。
防汚層としては、防汚効果を発現できる層であれば、任意の適切な層を採用し得る。
防汚層としては、好ましくは、防汚塗料を用いることなく防汚効果を発現できる層であり、例えば、防汚効果を有する任意の適切な樹脂を材料とする。このような樹脂としては、好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、防汚剤などの他の成分の含有割合によって、任意の適切な含有割合を採用し得る。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、好ましくは30重量%〜98重量%、より好ましくは40重量%〜97重量%、さらに好ましくは45重量%〜96重量%、特に好ましくは50重量%〜95重量%である。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層の防汚効果が十分に発現できるとともに、防汚層の機械的特性が十分に発現できる。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が30重量%未満の場合、防汚層の機械的特性が低下するおそれがある。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が98重量%を超える場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。
シリコーン樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン樹脂を採用し得る。シリコーン樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このようなシリコーン樹脂としては、常温で液状のシリコーン樹脂であっても良いし、常温で固体状のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、縮合型のシリコーン樹脂であっても良いし、付加型のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、単独で乾燥させる1液型のシリコーン樹脂であっても良いし、硬化剤を配合する2液型のシリコーン樹脂であっても良い。本発明においては、これらの中でも、1液型の室温硬化性(RTV)樹脂、2液型の室温硬化性(RTV)樹脂が好ましい。1液型のRTV樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製のKE−3475、KE−45S、KE−445、KE−44、KE−441、KE−3497、KE−4896などが挙げられる。2液型のRTV樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製のKE106、KE−66、KE−1031、KE−1800などが挙げられる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープにおける水生生物の易除去性を向上させるために、シリコーン樹脂としては、水洗除去時の水圧などによって樹脂表面が弾性変形することにより付着物の剥離が容易になるような物性を有するシリコーン樹脂が好ましい。このようなシリコーン樹脂は、該シリコーン樹脂の100%モジュラス(引張応力)が、好ましくは0.1MPa〜10MPa、より好ましくは0.1MPa〜6MPaである。また、このようなシリコーン樹脂は、有機溶剤に可溶であるものが好ましい。
防汚層は、防汚剤を含んでいても良い。防汚剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。防汚層が防汚剤を含む場合、該防汚剤は、マトリックスであるシリコーン樹脂の表面に移行し、表面を防汚物質で覆うことによって、水生生物のシリコーン樹脂表面への付着を抑制し、さらに非加水分解性であることから、高い防汚効果を長期間維持する作用を発現することができる。
防汚層が防汚剤を含む場合、防汚層中、シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合は、好ましくは2重量%以上、より好ましくは2重量%〜200重量%、さらに好ましくは3重量%〜150重量%、特に好ましくは4重量%〜120重量%、最も好ましくは5重量%〜100重量%である。シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層の防汚効果が十分に発現できるとともに、防汚層の外観特性や機械的特性が十分に発現できる。シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合が2重量%未満の場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合が200重量%を超える場合、最終成形品や被膜の外観が不良となるおそれがあり、また、防汚層の強度が低下して防汚性を持続できなくなるおそれがある。
防汚剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防汚剤を採用し得る。このような防汚剤としては、例えば、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸などが挙げられる。本発明においては、防汚剤としては、好ましくは、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
シリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂との反応性や自己縮合性を有さないものが好ましい。このようなシリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。このようなシリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂に含まれるオルガノポリシロキサンとある程度不相溶であるものが好ましく、長期間にわたって防汚効果を持続できる点で、例えば、一般式(I)で表されるシリコーンオイルが好ましい。
Figure 2014058616
一般式(I)中、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フルオロアルキル基、ポリエーテル基、または水酸基を表し、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリエーテル基、フルオロアルキル基を表し、nは0〜150の整数を表す。
一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、水酸基である。一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、4−トリフルオロブチル基である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が、好ましくは180〜20000、より好ましくは1000〜10000である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、粘度が、好ましくは10センチストークス〜10000センチストークス、より好ましくは100センチストークス〜5000センチストークスである。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、両末端または片末端のRが水酸基である末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、RおよびRの全てがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたフェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルの市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製のKF96L、KF96、KF69、KF99、KF50、KF54、KF410、KF412、KF414、FL、東レダウコーニング株式会社製のBY16−846、SF8416、SH200、SH203、SH230、SF8419、FS1265、SH510、SH550、SH710、FZ−2110、FZ−2203が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
防汚剤として、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤を用いても良い。これらの防汚剤を用いることにより、珪藻やフジツボなどの水生生物の付着防止効果がより一層向上する。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいても良い。
防汚層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。防汚層の厚みは、好ましくは5μm〜500μmである。防汚層の厚みが上記範囲内に収まることにより、防汚効果が十分に長く有効に働くとともに、ハンドリング性に優れ、テープのつなぎ目部分の凹凸が小さく、汚れが付きにくい。防汚層の厚みが5μmより薄いと、防汚効果が有効に働く期間が短くなり、実用的ではなくなるおそれがある。防汚層の厚みが500μmより厚いと、本発明の水生生物付着防止粘着テープが分厚くなって重量が大きくなるため、ハンドリング性が悪くなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
防汚層および基材層から選ばれる少なくとも1種は、シランカップリング剤、シリコーンパウダー、およびシリカ粒子から選ばれる少なくとも1種を含んでいても良い。すなわち、(1)防汚層がシランカップリング剤、シリコーンパウダー、およびシリカ粒子から選ばれる少なくとも1種を含み、基材層がシランカップリング剤、シリコーンパウダー、およびシリカ粒子のいずれも含まない場合であっても良いし、(2)防汚層がシランカップリング剤、シリコーンパウダー、シリカ粒子のいずれも含まず、基材層がシランカップリング剤、シリコーンパウダー、およびシリカ粒子から選ばれる少なくとも1種を含む場合であっても良いし、(3)防汚層および基材層の両方がシランカップリング剤、シリコーンパウダー、およびシリカ粒子から選ばれる少なくとも1種を含む場合であっても良い。
防汚層および基材層から選ばれる少なくとも1種がシランカップリング剤、シリコーンパウダー、およびシリカ粒子から選ばれる少なくとも1種を含むことにより、防汚層と基材層とのより高い密着性を発現することができる。防汚層と基材層との密着性が低いと、防汚効果を発揮する防汚層が、使用中の衝撃や物理的ダメージによって基材層から剥離してしまい、本来の防汚効果が持続できないおそれがある。
防汚層と基材層の密着性は、防汚層がシリコーン樹脂を含む場合に特に顕著である。これは、シリコーン樹脂の特性である低表面エネルギーが原因である。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合であっても、防汚層と基材層の高い密着性を発現することができる。
シランカップリング剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基含有シランカップリング剤;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基含有シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基含有シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;などが挙げられる。
市販されている具体的なシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製のKBM5103、KBM1003、KBM903、KBM403、KBM802などが挙げられる。
シリコーンパウダーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
シリコーンパウダーの平均粒径は、好ましくは1nm〜100μmであり、より好ましくは10nm〜70μmであり、さらに好ましくは100nm〜50μmであり、特に好ましくは500nm〜20μmである。シリコーンパウダーの平均粒径が上記範囲内に収まることによって、防汚層と基材層との高い密着性をより効果的に発現することができる。
シリコーンパウダーとしては、例えば、直鎖状のジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つシリコーンゴム粒子や、シロキサン結合が三次元網目状に架橋した構造を持つポリオルガノシルセスキオキサン硬化物であるシリコーンレジン粒子や、シリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被膜したシリコーン複合粒子などが挙げられる。
市販されている具体的なシリコーンパウダーとしては、例えば、信越化学工業(株)製のシリコーン複合パウダー(KMP−600、KMP−601、KMP−602、KMP−605、X−52−7030など)、シリコーンゴムパウダー(KMP−597、KMP−598、KMP−594、X−52−875など)、シリコーンレジンパウダー(KMP−590、KMP−701、X−52−854、X−52−1621など)が挙げられる。
シリカ粒子は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
シリカ粒子の平均粒径は、好ましくは1nm〜100μmであり、より好ましくは2nm〜70μmであり、さらに好ましくは3nm〜50μmであり、特に好ましくは5nm〜30μmである。シリカ粒子の平均粒径が上記範囲内に収まることによって、防汚層と基材層との高い密着性をより効果的に発現することができる。
シリカ粒子としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO)の粒子もしくは二酸化ケイ素(SiO)によって構成された粒子が挙げられ、例えば、疎水性のシリカ粒子や親水性のシリカ粒子が挙げられる。シリカ粒子としては、例えば、表面が疎水処理された粒子や表面が親水処理された粒子も挙げられる。
市販されている具体的なシリカ粒子としては、例えば、アエロジルシリーズ(日本アエロジル(株)製)が用いられる。より具体的には、疎水性においては、アエロジルR8200(1次平均粒子径:12nm、ヘキサメチルジシラザン処理)、アエロジルR104(1次平均粒子径:12nm、オクタメチルシクロテトラシロキサン処理)、アエロジルR972(1次平均粒子径:16nm、ジメチルジクロロシラン処理)、アエロジルR974(1次平均粒子径:12nm、ジメチルジクロロシラン処理)、アエロジルR812(1次平均粒子径:7nm、ヘキサメチルジシラザン処理)などが挙げられ、親水性においては、アエロジル200(1次平均粒子径:12nm)、アエロジル300(1次平均粒子径:7nm)などが挙げられる。
防汚層および基材層の合計に対する、シランカップリング剤、シリコーンパウダー、およびシリカ粒子の合計の含有割合は、好ましくは0.01重量%〜100重量%であり、より好ましくは0.5重量%〜30重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%〜10重量%であり、特に好ましくは1重量%〜5重量%である。上記含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層と基材層との高い密着性をより効果的に発現することができる。上記含有割合が0.01重量%未満の場合、基材層と防汚層との間に十分な密着性が発現できないおそれがある。
なお、防汚層および基材層の合計に対するシランカップリング剤の含有割合の上限は、好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下である。防汚層および基材層の合計に対するシランカップリング剤の含有割合の上限が上記範囲内に収まることにより、シランカップリング剤が架橋点となって該シランカップリング剤を含む層が硬くなり過ぎることを抑制できる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、別途準備した基材層と粘着層を貼付した後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成し、基材層のもう一方の面に防汚層形成材料を塗布して防汚層を形成する方法、基材層形成材料と粘着層形成材料を共押出しして基材層/粘着層の積層体を形成させた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、などが挙げられる。
防汚層形成材料を基材層上に塗布する方法としては、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップなどが挙げられる。これらの方法で防汚層形成材料を基材層上に塗布して、例えば、室温から250℃までの温度(好ましくは、室温から180℃の温度)で乾燥させることにより、防汚層を形成することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
<破断伸び、破断応力の測定>
基材層を幅10mm、長さ100mmに切断し、チャック間距離が50mmとなるように設置して、引張試験機(商品名「Autograph AG−X 200N」、(株)島津製作所製)によりS−S試験(温度:23℃、湿度:65%RH、引張速度:200mm/min)を行った。この測定値を基に、破断伸び、破断応力を求めた。
<投錨力の測定>
評価対象の粘着テープを80mm×20mmの試験片サイズにカットした。被着体として100mm×100mm×厚さ0.4mmのアルミ板を紙やすり♯400で研磨したものを使用した。被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合せ、23℃で30分放置後、基材側だけを把持し投錨力を測定した。引張速度は300mm/min、引っ張り角度は180度とした。
また。貼り合わせ後30分放置し、60℃の人工海水(GEX(株)製のシーウォータードライタイプを純水1000gに対して36g溶解)に7日間浸漬してからの投錨力も同様に測定した。
<180度ピール接着力の評価>
評価対象の粘着テープを80mm×20mmの試験片サイズにカットした。被着体として30mm×100mm×厚さ2mmのエポキシ樹脂にガラスクロスを入れて強化したプラスチックFRP板を使用した。被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合せ、23℃で30分放置後、初期の180度ピール接着力を測定した。引張速度は300mm/minとした。
また、貼り合わせ後30分放置し、60℃の人工海水(GEX(株)製のシーウォータードライタイプを純水1000gに対して36g溶解)に7日間浸漬してからの180度ピール接着力も同様に測定し、投錨破壊なく被着体より剥離できた場合を○とし、投錨破壊したものを×とした。
〔製造例1〕
トルエン100重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)(商品名:FA−513M、日立化成工業株式会社製)60重量部、メチルメタクリレート(MMA)40重量部、および、連鎖移動剤としてチオグリコール酸(GSH酸)3重量部を、4つ口フラスコに投入した。70℃にて窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を投入し、70℃で2時間反応させ、続いて、80℃で2時間反応させた。その後、反応液を130℃の温度雰囲気下に投入し、トルエン、連鎖移動剤、および未反応モノマーを乾燥除去させ、固形状のアクリル系重合体(A)を得た。得られたアクリル系重合体(A)のガラス転移温度は144℃、重量平均分子量は5500であった。
〔実施例1〕
(粘着層)
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):94重量部、アクリル酸(AA):6重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより、一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整し、(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。この(メタ)アクリル系モノマー混合物に、アクリル系オリゴマーとして、製造例1で得られたアクリル系重合体(A)を5重量部添加し、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.16重量部を添加し、これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)することにより、厚み50μmの粘着層(1−A)を得た。
(基材層)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):61重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、アクリロイルモルホリン(商品名「ACMO」、(株)興人製):10重量部、ポリオールとして数平均分子量650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG650、三菱化学(株)製):68.4重量部を投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI、三井化学ポリウレタン(株)製):25.5重量部を滴下し、65℃で5時間反応させ、ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。その後、ヒドロキシエチルアクリレート(商品名「アクリックス HEA」、東亜合成(株)製):6.1重量部を投入し、65℃で1時間反応することで、アクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。
得られたアクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製):1重量部、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6,−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(商品名「ルシリンTPO」、BASF製):0.25重量部、紫外線吸収剤(商品名「TINUVIN123」、BASF製):1.25重量部、酸化防止剤(商品名「TINUVIN400」、BASF製):0.6重量部を添加することにより、シロップを得た。
セパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面に、得られたシロップをアプリケーターにて塗工し、厚み200μmのシロップ層を形成した。このシロップ層上にカバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)し、基材層(1−B)を得た。
(粘着テープ)
得られた粘着層(1−A)と基材層(1−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。シリコーン樹脂(TSE3032、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ):100重量部に、防汚剤としてシリコーンオイル(KF96−500CS、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):30重量部を添加した後、ホモミキサーを用いて撹拌し、樹脂に防汚剤を均一に溶解または分散させた。撹拌後、脱泡し、基材層に塗工するための防汚層形成材料を得た。これを基材層に塗布し、100℃で5分間硬化させ、粘着テープ(1)を作成した。
粘着テープ(1)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例2〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(2−A)を得た。
(基材層)
(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):41重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、アクリロイルモルホリン(商品名「ACMO」、(株)興人製):30重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み=200μmの基材層(2−B)を得た。
(粘着テープ)
得られた粘着層(2−A)と基材層(2−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。シリコーン樹脂(TSE3032、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ):100重量部に、防汚剤としてシリコーンオイル(KF96−500CS、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):30重量部を添加した後、ホモミキサーを用いて撹拌し、樹脂に防汚剤を均一に溶解または分散させた。撹拌後、脱泡し、基材層に塗工するための防汚層形成材料を得た。これを基材層に塗布し、100℃で5分間硬化させ、粘着テープ(2)を作成した。
粘着テープ(2)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例3〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(3−A)を得た。
(基材層)
(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):61重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド(商品名「DMAA」、(株)興人製):10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み=200μmの基材層(3−B)を得た。
(粘着テープ)
得られた粘着層(3−A)と基材層(3−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。シリコーン樹脂(TSE3032、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ):100重量部に、防汚剤としてシリコーンオイル(KF96−500CS、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):30重量部を添加した後、ホモミキサーを用いて撹拌し、樹脂に防汚剤を均一に溶解または分散させた。撹拌後、脱泡し、基材層に塗工するための防汚層形成材料を得た。これを基材層に塗布し、100℃で5分間硬化させ、粘着テープ(3)を作成した。
粘着テープ(3)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例4〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(4−A)を得た。
(基材層)
(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):41重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド(商品名「DMAA」、(株)興人製):30重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み=200μmの基材層(4−B)を得た。
(粘着テープ)
得られた粘着層(4−A)と基材層(4−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。シリコーン樹脂(TSE3032、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ):100重量部に、防汚剤としてシリコーンオイル(KF96−500CS、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):30重量部を添加した後、ホモミキサーを用いて撹拌し、樹脂に防汚剤を均一に溶解または分散させた。撹拌後、脱泡し、基材層に塗工するための防汚層形成材料を得た。これを基材層に塗布し、100℃で5分間硬化させ、粘着テープ(4)を作成した。
粘着テープ(4)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例5〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(5−A)を得た。
(基材層)
(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):61重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、N,N−ジエチルアクリルアミド(商品名「DEAA」、(株)興人製):10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み=200μmの基材層(5−B)を得た。
(粘着テープ)
得られた粘着層(5−A)と基材層(5−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。シリコーン樹脂(TSE3032、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ):100重量部に、防汚剤としてシリコーンオイル(KF96−500CS、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):30重量部を添加した後、ホモミキサーを用いて撹拌し、樹脂に防汚剤を均一に溶解または分散させた。撹拌後、脱泡し、基材層に塗工するための防汚層形成材料を得た。これを基材層に塗布し、100℃で5分間硬化させ、粘着テープ(5)を作成した。
粘着テープ(5)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例6〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(6−A)を得た。
(基材層)
(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):61重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(商品名「HEAA」、(株)興人製):10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み=200μmの基材層(6−B)を得た。
(粘着テープ)
得られた粘着層(6−A)と基材層(6−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。シリコーン樹脂(TSE3032、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ):100重量部に、防汚剤としてシリコーンオイル(KF96−500CS、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):30重量部を添加した後、ホモミキサーを用いて撹拌し、樹脂に防汚剤を均一に溶解または分散させた。撹拌後、脱泡し、基材層に塗工するための防汚層形成材料を得た。これを基材層に塗布し、100℃で5分間硬化させ、粘着テープ(6)を作成した。
粘着テープ(6)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔比較例1〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(C1−A)を得た。
(基材層)
(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):71重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み=200μmの基材層(C1−B)を得た。
(粘着テープ)
得られた粘着層(C1−A)と基材層(C1−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。シリコーン樹脂(TSE3032、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ):100重量部に、防汚剤としてシリコーンオイル(KF96−500CS、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):30重量部を添加した後、ホモミキサーを用いて撹拌し、樹脂に防汚剤を均一に溶解または分散させた。撹拌後、脱泡し、基材層に塗工するための防汚層形成材料を得た。これを基材層に塗布し、100℃で5分間硬化させ、粘着テープ(C1)を作成した。
粘着テープ(C1)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=200μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
Figure 2014058616
表1に示すように、本発明の水生生物付着防止粘着テープは、海水中での使用中に被着体から剥離し難いという特性と、海水中での使用後に基材と粘着剤との層間において投錨破壊が生じることなく被着体から剥離し易いという特性とを、互いにバランス良く両立できることが判る。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、水中生物が付着して繁殖することを防止できるため、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に好適に利用できる。
1 剥離フィルム
2 防汚層
3 基材層
4 粘着層
100 水生生物付着防止粘着テープ

Claims (6)

  1. 防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む粘着テープであって、
    該基材層がエラストマー樹脂を含み、
    該基材層が、アミン系モノマーおよびアミド系モノマーから選ばれる少なくとも1種である窒素含有モノマーを含む、
    水生生物付着防止粘着テープ。
  2. 前記エラストマー樹脂が、(メタ)アクリル系ポリマー成分とウレタン系ポリマー成分を含有するポリウレタンアクリル樹脂を含む、請求項1に記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  3. 前記窒素含有モノマーの含有割合が、前記(メタ)アクリル系ポリマー成分の1重量%〜50重量%である、請求項2に記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  4. 前記基材層の23℃における破断伸びが100%〜2000%である、請求項1から3までのいずれかに記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  5. 前記基材層の23℃における破断応力が10MPa以上である、請求項1から4までのいずれかに記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  6. 前記粘着層がカルボキシル基含有アクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤組成物を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の水生生物付着防止粘着テープ。

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